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    元スレ上条「俺がジャッジメント?」

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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - 上条 + - 初春 + - 御坂美琴 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    351 = 1 :


    ──あのプリントは……………………。

       店舗名       TEL       住所
    鳥停『アホウドリ』 ○○○-△△△△  第七学区~
    食処『勝膳』   ○△○-△○××  第七学区~
    洋食『オムスター』 ××○-☆☆☆☆  第七学区~
    居酒屋『三源』   △△△-☆○×○  第八学区~
       :         :        :
       :         :        :
       :         :        :





    「って何見てんだあんたああああああああぁぁぁっ!!??」



    「あぁ?」ギロッ

    「あ、何を見ようと個人の自由ですよね。どうぞどうぞ、他のものも何でも見てやって下さい」ペコリ ガクブル

    「黄泉川先生、そろそろいいんじゃないですかー?」


    上条の心からのツッコミを一睨みで黙らせた黄泉川に、小萌が苦笑いをして声を掛ける。
    上条が少し可哀相と思ったのか、上条のシュンと丸まった背中にポンポンと手を当てて撫ではじめていた。





    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    352 = 1 :


    「はは、悪い悪い上条。今小萌と、どこの飯屋に行くか相談してた所じゃんよ」

    「はぁ、それはわかりますけど」

    「あ、ちなみにそれに上条ちゃんも来るんですよー」

    「……………………はい?」


    いやいや、何で俺が?
    というか、聞きたい話ではそれではないのだ。
    試験とこの話は何も繋がってはいない。
    合否を聞くまで実は気が気ではなく、早いとこ聞いておいて気を沈めておきたかった所だったのだが。
    この二人のペースにまんまと乗せられ、ついつい話題のおいてけぼりをくらってしまい上条は少々面食らっていた。


    「えへ、主賓には来て貰わないとですからー」

    「そうじゃん。主役は上条だから」

    「………………へ? それってどういう………………」


    ここまできて、気付かないのは上条くらいなものだろう。まあそれは仕方がない。
    だって上条だから、としか言いようがないし。










    「「ジャッジメント試験、合格おめでとう(じゃん&なのですー)」」


    「…………………………………………へっ?」


    こうして本人も気付かない内に。
    最弱であり最強でもある、幻想殺しを持つ風紀委員が誕生していた。



    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    353 = 1 :

    ここまで!
    もしかしたらこれから超展開とか厨二展開とかくるかも

    言葉選びに無い頭を絞り出してるもんだから疲れちゃう、困っちゃうなのーぶひ

    また次回!自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    354 :

    >>1 超お疲れさまです!!自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    355 :

    初春がかわいすぎてつらい
    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    356 :

    乙です
    話のご都合的に考えて177支部に配属されるんだろうけど
    上条さんは前線だから初春よりむしろ黒子との絡みが増えるという罠が待ち受けてる予感
    どうする初春
    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    357 :


    初春が乙女かわいくてキュンキュンした
    つーか上条さんマジで画鋲入れられたのかwwwwww自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    359 = 1 :

    >>358
    あっ、そうだね
    ごめん注意書き書いておくべきだった

    腐った釘とかの場合、錆の鉄イオンは細胞に対する毒性がめっちゃ強いみたいだから傷口から腐っていっちゃうってばっちゃが言ってた

    絶対真似してはいけません!

    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    360 :

    破傷風は怖いですよね。

    乙です、一気に読ませて頂きました。
    面白いんですけど、「ぶっちゃけ」が多くて読みづらいというか、変だなと感じました。
    ぶっちゃけって話し言葉だと思うんですが。

    361 :



    土御門なんで一般人の前で魔術使ってんだよwwwwww
    それにしても初春の妄想力でレベル1とか学園都市どんだけだよwwwwwww

    362 :


    あ、黄泉川→小萌は月詠センセとかじゃないっけ?

    364 :


    ガチャリ。


    「ただいまー」

    「おかえりとうま」


     何となくまだ実感が湧かずにいる上条は、自室に戻ると居候に挨拶を返しながら机に鞄を置いた。
    そして床に敷いてある座布団に座るや否や、鞄から一枚の紙を取り出し、何度目か分からないのだが再び目を通す。


    『風紀委員認定証』


    ──右の者は来たる今日より、風紀委員試験を合格し、本日より風紀委員である事をここに表す──

    堅苦しい縦書きの文章の右端に自分の名が書かれている事を再確認すると、見間違いではなかろうかと目を擦るのだが、やはりそこに書かれているのは自分の名だと言う事を視認した。

    365 = 1 :


    「とうま、何見てるの?」

    「ん? ああ。これなんだけどな」

    「なになに?」


     上条から差し出された一枚のプリントを受け取ると、インデックスもそれに目を通しはじめる。


    「んーと、なになに? 風紀委員認定証? …………って事は」

    「ん。そうやら俺、合格しちまったらしい」

    「すごいじゃんとうま! やったね!」


    素直に称賛するインデックスに上条も悪い気はしなく、サンキュとだけ返すとそのプリントを再び受け取った。
    これで俺もジャッジメントか、と感慨深げに感傷に浸りながらプリントを机の上に置く。
    インデックスも何処で聴いたのかは知らないが、楽しそうに「やった、やった♪」などと葉っぱを括り付けたブリーフ一枚だけの服装を着たあのグループの歌を口ずさみながらクルクルその場で回っていた。












    「豪華なーご飯ー♪」

    「……………………」

     お祝い的な意味で豪華なご飯が食べられるという期待で目をキラキラさせながら替え歌を歌っていたインデックスを見て、結局コイツはこれかと心の中でツッコんでおいた。

    366 = 1 :


     上条当麻は右手を構えていた。

    緊迫した緊張感から、彼の頬に汗が伝うが彼はそれを拭おうとはしない。
    今目の前にあるそれは、圧倒的な存在感を醸し出しながらも微動だにしていない。
    まるで上条と対峙しようが、動く必要がないとばかりにただ凛と構えているだけ。
    今まで様々な能力者、魔術師達と戦ってきたが、それはまた異質の強さを誇り、上条にとってはなす術もなくただ睨むだけだ。

    その横で心配そうに行方を見つめるインデックスも、苦虫を噛むだけだった。
    自分の頭の中にある10万3000冊の魔導書をもってしても、それに対処できるものは何処にも載っていない。
    考えを張り巡らせ、打開策を探ってもまるで意味のない事の様に思えてしまう。

    相手は、魔術など何の関係もなしにこちらに大打撃を食らわせてくる。
    術式、予備動作など一切なしの攻撃。
    精神も闘志もズタボロに引き裂いてしまうその威力は甚大だ。
    上条の右手をもってしても何の意味も無いだろう。


    「くそ………………ここまでかよ………………!」


    上条が悔しそうに表情を歪ませる。

    367 = 1 :


     ジャッジメントになったというのに。
    自分は何も守れないのか、何も救えないのか。
    平和な世界を望む自分は、こんな所で諦めてしまう事になるのか。
    右腕を切り飛ばされても、ロシアの海に投げ出されても。

    それでも、自分はやってきたと言うのに。


    「ダメだ、インデックス……………………!」

    「とうま……………………っ」

    「俺には出来ない……………………っ」

    「……………………うぅ…………っ」

    「次元が、違い過ぎたんだよ……………………」











    「俺には……………………和牛ロース一人前2000円という高級すぎる幻想はぶち殺せねえんだよっ!!」

    「と、とうまあああああああああああぁぁぁぁ!!」






    「焼肉屋の前で何やってるじゃんよ……………………」

    「ほっとけェ」


    焼肉屋の価格設定が書かれた看板に罵倒を浴びせ、勝手に崩れ落ちた上条に対する黄泉川と一方通行の二人の言葉は酷く冷たいものだったという。

    368 = 1 :


    「ま、とにかく入った入った!」


    「え、ちょ黄泉川先生」

    「オイ、シスターも早く入れ。ンなとこで騒いでたら他の客に迷惑になンだろォが」

    「う、うん」



     背中を押されてされるがままに焼肉屋に入店するのだが、先程見た高級そうな値段設定に上条は少したじろいでしまう。
    こんな所に来れば、自分とインデックスの食べた分のお金など払える余裕もなく、尚且つ手持ちもない。
    という事は黄泉川か、先程職員室で交わした会話から恐らく来ている小萌からお金を借りる事になりそうだ。
    遠慮するにも、ここまで来たのだ、このまま引き返す訳にもいかない。


    まあそもそも何故上条とインデックスがこの焼肉屋の前にいたのかというと、小萌から電話が掛かってきて呼び出されたに過ぎない。



    『お祝いパーティーするから夕方六時半に第七学区の駅前の焼肉屋に来やがれなのですー。こなかったら明日の朝礼で上条ちゃんと先生の婚約かいk『あ、了解っす』ちょ』pi



    それ以上聞くと何やら精神力が削られそうなので用件だけ聞くと、電話を切った。
    しかしお祝いパーティとは、そういうのは週末等休みの日にやるもんとばかりに思っていたので少し驚いていたが、どうせ家に食料もなかった為に天の恵みと言っても過言ではなかったのかもしれない。
    まあさすがにインデックスを置いて、という訳にもいかなかったのでこうして二人して来ていたのだ。

    369 = 1 :


     玄関に入ると、まずはしっかりとした造りの下駄箱が目に入った。
    どうやら靴を脱いで入るタイプの店舗だとわかると不安げに靴を脱ぎ、中に入っていく。


    「いらっしゃいませー! 何名様ですかー?」

    「あ、先に入ってるとこのだから大丈夫じゃんよ」

    「かしこまりましたー!」


    店員さんの威勢のいい声が掛かり、それにビクついてどうしようかと表情を引き攣らせると後ろから黄泉川の助け舟が入り、ホッと一安心していた。
    後ろでは一方通行はズカズカ、インデックスがちょこちょこついてきてる様で、こういう場でインデックスが我を無くして騒ぎまくると思ったのだが、予想外に萎縮していて静にしていた。


    「というか、何で一方通行がここに…………?」

    「あァ? 焼肉屋に来るのに理由なンざいらねェだろ。肉ある処に俺ありだ」

    「何だよそのお前理論」


    一方通行なりのジョークに上条の心が少し楽になると、そこでようやく笑ってみせた。
    何故一方通行がここにいるのかというと、恐らく黄泉川先生辺りに呼ばれたのだろうと予想は付く。
    一方通行も祝ってくれてんのかなーなんて感慨深げに思いながら黄泉川についていくと、ある個室の前まで来ていた。

    まあ彼がいてくれてよかった、と心底思うのはもう少し後の話になるのだが。

    370 = 1 :


    ──わざわざ個室まで取ってくれてたのか……………………って、うん?


     個室の前まで来ると、中から黄色い話し声が聞こえる。
    その様子から察するに、一人や二人ではない。
    ですのーとか、ミサカはーなんて声が聞こえてきたのは気のせいだろうか。


    「んじゃ、入るじゃんよ」


    その声と共にドアが開けられ、中の風景が飛び込んでくる。
    その個室の中に入るや否や。


    「かっかかかかか上条さん!?」

    「あっ上条ちゃん、お待ちしていたのですよー!」

    「あら…………ふーん、あの子がね、初春さん」

    「あ! 助けて! ってミサカはミサカは」

    「ぐへ。お待ちになって下さいの~、ほらあなたのくろk……………………チッ、何で類人猿がここに…………」

    「おー、やっとお出まし? ミサカくたびれたよー」

    「あら、やっと来たのね、愛穂」


    と様々な声が響き渡った。
    その思っていた以上の面子に驚きながらぎこちなく入室する。
    一部若干変なものも混じっていたが気にしない方がいいのだろう。

    もしこの場に青ピがいたのなら彼は震えてこう言うのかもしれない。


    『こ、ここは…………! と、桃源郷やー!』


    と。

     集まる視線にたじろぎながら、上条は黄泉川に促され入室する。
    先程の言葉を発した順番から確認すると、初春、小萌、固法、打ち止め、黒子、番外固体、後は白衣を着た黒髪セミロングの見た事のない女性の計六人。
    それに自分ら四人を合わせると十人の大所帯となった。

    371 = 1 :


    「さ、上条。適当な所座るじゃんよ」

    「は、はぁ」

    「「!」」


    黄泉川がそう言うと、曖昧な返事を返しながら何処に座ろうか、なんて思案顔をする。
    その時、花と桃が特徴の約二名の肩が揺れた。


    「かかかか、上条さんこっちへどどうぞ!」

    「上条ちゃーん、上条ちゃんは先生の横に来るのですよー。それとも先生の膝の上に座りますかー?」

    「いや小萌、それ無理だから。見た目的にも危ないから」

    唐突に場に姿を現した上条の姿に少々フリーズしたが、これはチャンスだと言わんばかりに行動しはじめた初春と、最初からここが勝負時だと狙っていた小萌の声がほぼ同時に響く。
    黄泉川は同僚の言った言葉に冷や汗を垂らしながらツッコミを入れたが、彼女には効果はあまり効いてない様子だった。


    「おいツインテ。テメェ打ち止めに何してやがる」

    「助けてぇ…………」

    「そこの貴方! その子を私に渡して下さいですのおおおぉぉぉ!! その子の見た目と匂いからお姉様の血縁者だと言うのはカ・ク・テ・イ・テ・キに明らか! 私にお姉様分を補給させろですのおおおおおおぉぉぉ!!」

    「うわぁ…………ヒーローさんの言った通りだったよ…………」

    「大人っぽいお姉様も私の横に置いて……………………ぐへへへへ、夢の黒子要塞の完成ですのおおおおおおおぉぉぉぉぉ!」

    「救いようがないね、こりゃ」


    ──……………………うーん、カオス。

    372 = 1 :


    それをなるべく視界に入れない様にして上条が取った位置取りはというと。

    「上条さんはこっちです!」ギュ

    「ダメですー。あなたは上条ちゃんの何なんですかー?」ギュ

    「わ、私は上条さんの…………ゴニョゴニョ…………と、とにかく! きょ、教師ならここは生徒に譲るべきです!」

    「あー! ダメだよ、とうまは私と一緒の所に座るんだよ!」


    適当に座ろうとした所、初春に左腕、小萌に右腕を掴まれ動けなくなってしまっていた。
    その様子にインデックスも参戦すると言わんばかりに噛み付く直前の犬の様に歯を光らせ、上条の頭部にロックオンしていた。


    「ちょ、初春さん、小萌先生! いで、腕がちぎれる!」

    「だ、大丈夫ですか!? ほ、ほら、先生なら上条さんを離してあげてください!」グイ ドキドキ

    「お断りですー。上条ちゃんは先生の可愛い生徒ですから、しっかりと大人の女性が着いていなきゃダメなのですよ」グイ

    「……………………とうま。覚悟は出来てる? 辞世の句は詠み終わった?」ガチッ ガチッ



    「だああああああもう! どうすりゃいいんだっつーの!」



    この状況を打開する術があるのならすぐ早く迅速に早急に慌てず急いで上条さんに教えて下さい!

    373 = 1 :


     その後なんだかんだで初春と小萌の二人の間に座る事で解決した。
    インデックスが小萌の横でカチカチ歯を鳴らしていたのだが、食糧さえ確保出来れば収まってくれるだろう。
    うん、それに賭けるしかない。


     注文を取りに来た店員に黄泉川が乱雑にメニューに指を指して選ぶ。
    ありゃ明らかに適当に選んでるだろうな、と感想をもらしつつとりあえず初春に聞きたい事があったので話題を振ってみた。


    「んで。初春さん達はどうしてここに?」

    「あ、はい。私達もジャッジメントの仕事だと言われて呼び出されただけなんですよ。第一七七支部の全員で来いって言われた時にはおかしいな、とは思いましたけど」

    「あそこの支部の全員と言うと……………………えと、あの人もジャッジメントさんだったりする?」


    上条が視線を向けた先には、ニヤニヤして初春と上条のやり取りを見つめている固法の姿があった。
    彼女が上条に対して軽く会釈をすると、上条もつられて会釈をし返す。
    何と言うか、ボリューム的でパワフルな人だななんて失礼な印象を感じて、勝手に気まずさを感じて初春に視線を戻した。

    「固法先輩ですね、そうですよ」

    「はじめまして、固法美偉と言います。よろしくね」

    「あ、はい。上条当麻です」


    するとテーブル越しに固法から挨拶が飛んできたので上条もペコリと頭を下げると、固法はふーんとかへーなんて感嘆の声を漏らしながらジロジロ観察していた。


    「あ、あの。なんでせうか」

    「いやね、うちの支部でも上条くんの名前結構上がってたから、どんな人なのかなって思ってたけど」

    「へ? そうなんですか?」

    「あなた、しょっちゅう事件に顔出して人を助けてるって話じゃない。通報受けて向かったら「また終わってる」って白井さんがよく言ってたわ」

    「いやあ、よく巻き込まれるだけなんですけどね」


    本当によく街を歩いていたら事件に出くわすだけなので、別段大した事もしてないと上条は謙遜する。

    374 = 1 :


     ただ巻き込まれたなら巻き込まれたで普通の人間ならばスルーか通報するかのどちらかなのだが、彼の場合はその身一つで全力で犯人を鎮圧しようとするのだがそれは単に彼の性格から来ているものであって、何も狙っている訳でもない。
    ただ身体が動いていただけと彼は言う。



    「おかげでうちも簡単に犯人の拘束も出来てる事も多々あるし、あなたには一度お礼を言っておいた方がよさそうね」

    「いえ、別に本当にただ巻き込まれてるってだけですから」アセアセ

    「上条ちゃんはうちの自慢の生徒さんなんですよー」

    「……………………ふーん、なるほどねぇ」ニヤニヤ

    「な、何ですか固法先輩」



     話を横で聞いていた小萌がまるで自分の事の様にエヘンと胸を張るのだが、イマイチ迫力に欠けている。
    固法は初春に視線を移し、意味深な笑みを浮かべては上条と初春を見比べる。
    なるほどなるほど、と何かを言う訳でもなく納得した様な表情を見せていた。




    「お待たせしましたー!」




    そこでお盆に人数分の飲み物を乗せた店員さんが勢いのいい声が響き渡り、初春にとってはある意味助かったと言えよう。

    375 = 1 :


    「んじゃ、全員飲み物持ったか?」

    「持ったー! ってミサカはミサカは勢いよく返事をしてみたり!」



    「乾杯といきたい所だけど、その前にここで重大発表があるじゃん!」

    「「「「「おお?」」」」」



    音頭を取った黄泉川が一旦仕切り直し、上条に視線を向ける。
    相変わらず上条はキョトンとしていて、彼はここに来て殆どそんな反応しかしていないのだがそれはまあいいだろう。


    「まずは上条! ジャッジメント試験、合格おめでとうじゃん!」


    「「「おお!」」」ヤルジャネーカサンシタァ

    「「「ほえ?」」」ウカッタンデスカ!? カミジョウサン!

    「あ、ありがとうございます」


    その黄泉川の言葉で、黄泉川家一家(+小萌&インデックス)は祝福、第一七七支部グループは驚きの表情というくっきりと反応が別れていたが黄泉川は気にせず先を続ける。


    「そして! 何でこの第一七七支部の面子が呼ばれているかわかるじゃんよ?」


    「「「「……………………もしかして」」」」


    ああ、大体予想は付く。
    口を揃えてもしやという言葉を発した上条と第一七七支部の三人は気付いていた。







    「本日より! 上条当麻は第一七七支部配属とするじゃん!」

    376 = 1 :


    「やっぱか!」コノシブカ

    「キャー!」キタワァ!

    「ケッ……………………何であの類人猿が」ボソ

    「あら。よろしくね」





    「まーお堅い話はこれくらいにして…………今日は無礼講! 飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎでもして英気を養うじゃん! 今日は全て一方通行が出してくれるって言うから遠慮は無用じゃん!」

    「お、おい…………一方通行、い、いいのか…………?」

    「あくせられーた……………………」

    「あァ? 第一位の財力ナメてンのかァ? 寝て起きても入ってくる金額で十分賄えるわボケが。テメェは黙って普段食えねェ肉でも食ってその美味さに涙でも流してろォ。シスターも遠慮しねェで腹一杯になるまで食え……………………あっゴメン、やっぱお前は腹八分で」

    「一方通行……………………お前って奴は!」ブワッ

    「あなたかっこいいよ! 輝いてるよ! ってミサカはミサカは感動に打ちひしがれてみる!」






    「まあとにかく! 今日は上条の試験合格を祝して…………」








    「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」



    一際大きな揃った声が個室内に響き、悦びと祝いの空気を作っていった。

    377 = 1 :


    「いやまさか一方通行がスポンサーだとは、な」

    「あァ? 文句でもあンのかコラァ」

    「いや、かなり嬉しいぞ! こんなに美味い焼肉なんて食ったの初めてだ」

    「……………………へっ、そォかい」

    「うっわ照れてるよこの白モヤシ……………………きんもー☆」

    「黙れクソアマ。それよか焼肉屋に来て米ばっか食ってンじゃねェか三下とシスター。肉を食え肉を」

    「だって……………………二人して染み付いたこの貧乏性が抜けなくて…………」

    「これ、大丈夫? このお肉とうまの右手で消えたりしないよね?」

    「おー、そげぶの出番だねってミサカはミサカはヒーローさんの目の前にお肉を持ってきてみる」


    そんな温かい(?)会話が流れるこの異質の面子が集まった個室。

    378 = 1 :


     実際上条もインデックスも感涙を流しながらご飯を掻き込んでいるのを見てほぼ全員がそれに冷や汗を垂らして見ていたり。


    「美味しいんだよ! 美味しいんだよ!」ズババババッ

    「おぉ……………………口の中で美味さと言う名の聖人が暴れてるぜ…………」


    そんな黄泉川家一家の会話の内容と上条家のお涙頂戴の食事情に第一七七支部の三人娘は言葉を失っていたり。


    「ってかあの人って第一位だったのね……………………」

    「あああああぁぁあの腐れ類人猿め、小さなお姉様にあーんしてもらえるなんて羨ましけしからん事を…………」

    「か、上条さん………………それなら私がマイニチゴハンヲツクリニイッテモ…………///」ゴニョゴニョ

    「でもこれからジャッジメントの仕事、彼と一緒って事になるのね」

    「大大大大大大大歓迎です!」キュピーン

    「はっ! そうでしたの! グフフ、先輩権限使ってさも奴隷かの様にコキ使ってやるんですの…………」

    「そんな事したら白井さんの秘密の動画ファイル、御坂さんに送り付けちゃいますよ?」

    「う、初春! それはやめてくださいですのおおおおおぉぉぉ」グオオオォォォ









    「な、なんかあの人が叫ぶと身構えちゃうねってミサカはミサカは震えてみる」

    「」ピク

    「う、うん…………下手すりゃミサカより歪んでるよ、ありゃ」

    「」ピクピク

    「気ィ付けろォ。何かあったらすぐ俺を呼べ。いいな」

    「」

    379 = 1 :


    また大人三人集は三人で固まって酒を飲み交わしていたり。まあそちらは明日も学校やらある為に控え目ではあるのだが。


    「明日も学校なので、今日は少なめなのですー」

    「とはいっても、もう生ビール五杯目じゃんよ」

    「ふふ、私は別に酔い潰れても構わないんだけどね。明日も別にやる事ないし」

    「桔梗…………たまには家事とかしてくれたっていいじゃんか…………」

    「私はね、結局甘いのよ。他人にも、自分にも、ね」

    「あ、上条ちゃーん、ちょっとこっちに来やがれなのですー」



    などなど、まあ何だかんだ言い合いながら、それぞれ中々にこないこの機会を楽しんでいる様であった。



    「はいはい、なんでございましょう?」


     小萌からの召集に応じ、上条は教師陣で固まっていたテーブルの端の方に移動した。
    何故か黄泉川家一家にうまく肉を焼けるメンバーがいなかった為、自分が焼肉奉行として肉を焼く係だったのだが何故かやる気まんまんになっていた黒子が代わってくれるとの事だったのでトングを渡して後を託していた。


    「あなたが上条くんね」

    「あ、はい、そうです。挨拶が遅れましたね、上条当麻です」

    「私は芳川桔梗。好きな様に呼んでくれて構わないわ」


    そういえばここに来て、まだ挨拶を交わしてなかったなと思いながら頭をちょこんと下げる。
    大人びた落ち着きからして年上なのだろうが、黄泉川家の関係者なのだろうか。


    「了解っす。して、自分は何故ここに」


    と言いかけた所で、芳川が再びその口を開いた。

    380 = 1 :


    「見た目は、随分歳相応の子なのね」

    「へ?」


    自分の顔をじっと見つめて芳川は言う。
    うわー綺麗な人だなという感想を漏らしつつ、恥ずかしげにポリポリと頬をかいた。
    異性と目を合わせ続けるなんていうこっぱずかしいのは出来ない上条は勿論とっくに視線を彼女から外していた。


    「あなたが、一方通行とシスターズを救ってくれたのね」

    「…………え…………」


    その言葉と共に、再び彼女の方に視線を向ける。
    そのワードに引っ掛かりを覚え、上条は少し身構える。

     言葉に出て来たシスターズ。
    そしてそれを何故この人が知っている。
    妹達の事については、数少ない人しか知らない筈だ。


    「芳川さん……………………あなたは」

    「そうね……………………研究者、だったとでも言っておこうかしら」


    キッと上条の表情が険しくなる。

    研究者、という事は。
    この芳川は、あの実験────絶対能力進化実験に関わった研究者だというのか。


    「まさか…………………………っ」

    「ええ。多分あなたが考えている事で、間違ってないわ」


    訳のわからない私利私欲だけで研究の世界に陶酔し。
    人の命など何も考えずに勝手に造り出し、勝手に殺し。
    人を人などと思わないあのクソッタレの実験。

    それに、関わっていたというのか。

    あのクソッタレな実験で、どれだけの人間の心を傷付けたのか。
    クローンの素体となったオリジナルの美琴は勿論、それによって生み出された妹達も、そして乗せられた一方通行も。

    381 = 1 :


     この場で糾弾したい気持ちもあったのだが、ここには無関係の人間が多数いる。
    勿論、こんな話など聞かせる訳にもいかない。
    沸き上がる衝動をグッと堪え、いつしか握っていた拳から力を抜いた。


    「……………………あれ」


    でもさっきこの人は何て言った?


    『あなたが、一方通行と妹達を救ってくれたのね』


    その言葉から察するに、芳川は妹達と一方通行の事を…………?


    「ヒーローさん」


    すると、後ろから打ち止めの声が掛かる。
    上条がそれに振り向くと、一方通行と番外個体も上条達の様子を伺っているみたいだった。


    「ヨシカワを、いじめないであげてね。ヨシカワも、あの人と同じでミサカ達を、あの人の事も守ってくれたんだから」


    芳川の腕を掴み上条にそう諭す。
    打ち止めの顔は、とても優しい顔をしていた。
    まるで芳川が大切だと言わんばかりに、逆に自分が守ると言う風に。


    「……………………そっか」


    上条はそれだけを呟くと、半ば立ち上がりそうになっていた体勢を戻す。
    自分の表情から、険しいものが取れていくのがわかった。


    ──この人も、妹達を大切に思ってくれてるんだな。


    打ち止めの反応を見れば、わかりきった事だった。

    382 = 1 :



     左手で打ち止めの頭を撫で、右手の指で目元を拭う芳川を見て上条は心底猛省した。
    研究者という肩書だけで勝手に加害者扱いをして、下手をすればそこで罵倒していたかもしれない。
    拳さえもいれていたのかもしれない。

    短気な自分に少し嫌悪感を催し、それを押し殺して芳川に再び目線を向ける。



    「その、すみませんでした」

    「いえ、いいのよ。あなたもあの子達を大切に思ってるんだって分かったから。助けて終わり、とかだったら逆に私が怒っていたのかも」



    苦笑いを浮かべる。
    でもこれで、本当にこの人が妹達を大切に思っているのがわかって少し嬉しく感じた自分は現金な男なのかも知れない。




    「これからも、あの子達と仲良くしてあげてね」

    「それは勿論です。こっちからお願いしたいくらいですから」




    あんないいやつらをぞんざいには出来やしまい。
    お互い助け、助けられて。
    正に『人間』としての理想の形なのではないか。
    もう一度、自身にも刻み込むように深く頷いた。

    383 = 1 :


    「なら仲直りの握手! ってミサカはミサカは二人の手を握ってみたり!」

    「な、仲直りって……………………」

    「ふふ、別に喧嘩した訳じゃないのよ?」


    打ち止めが楽しそうに二人の手を合わせる。
    それに応える様に、上条は芳川の手を握った。












    「あー! ダメですよ上条ちゃん! 先生以外の他の人に手を出しちゃ先生怒ってぶん殴るぞこらですよー!」

    「もぅ………………無理、りゃんよ………………」

    「えいっ!」

    「ぬお!? ちょ、小萌先s」

    「キャッ!///」


    その言葉と共に、酔い潰れた黄泉川を余所に小萌が上条の横から飛び掛かり、上条が後ろに倒れ込む。
    その勢いと意外な重圧に咄嗟に身体を捻って腕で身体を支えようと床に回したのだが、上条のすぐ後ろで実は聞き耳を立てていた初春を押し倒すかの様に縺れて倒れ込む事になった。

    384 = 1 :


    「あわ、あわわわわわわわわわわ……………………///」


    初春の胸に顔を埋めるかの様な状態の上条に、初春はあわわわわと目を回すだけ。


    「い、意外と柔らかい感触……………………!」


    「へ、へっ?///」


    とうとうその言葉に顔をポンッと音を立てて赤くした初春。
    何故か無意識の内に上条の頭に腕を回していた。うん、無意識で。


    「不純異性交遊発見ですの…………………………」



    「え、ちょ、白井s



    「覚悟しやがれですのこの腐れ類人猿が!!」



    「ぐほっ!!??」



    空間移動にて上条の真上に現れ、身体にエルボーを叩き込み意識を刈り取った黒子。
    全てが終わった時、彼女は右手を上に突き上げていた。
    こういう時彼女は決まってこう言うだろう。









    「「「ジャッジメントですの!」」」

    「そこ! 第一位さん! 大きな妹さん! 固法先輩まで人の台詞取らないで下さいましぃっ!!」

    385 = 1 :

    >>360
    指摘感謝!

    >>362
    あ、そうだったっけ
    まあ時間経って仲良くなったって脳内補完おねしゃす

    やっぱ見返すと所々誤字脱字、文章の変なところもあるなー

    また次回!

    386 = 1 :

    >>370
    つーか計算合ってねーじゃねーかよ死ね

    387 :

    >>386
    どんまいwwwwww

    388 :

    GJ! すげぇ面白いわ
    置いてけぼりの美琴が後でどんな暴れ方するのか気になるぜ!

    389 :

    乙 美琴のハブっぷりに笑う
    あと黄泉川は小萌とは呼ばんだろ

    390 = 389 :

    乙 美琴のハブっぷりに笑う
    あと黄泉川は小萌とは呼ばんだろ

    391 :

    美琴はいま佐天さんと慰めあってるよ

    392 :

    ゴ美琴は処分しておきました

    393 :


    この話はけっこう長編なのかな?

    394 :


    「あ、そういえば門限…………」

    「それなら黄泉川先生が皆さんの寮に連絡しておいてくれたらしいですよー」

    「そうなんですか。なら大丈夫ですね」


     思い出したように呟く初春に、潰れた黄泉川に視線を向けながら小萌が答えた。

    彼女も黄泉川以上に飲んでいた筈なのにケロッとしている様子で、その小さな身体の神秘のポテンシャルにこれ以上触れたら何か危険そうな匂いがしたのでそこには触れない事にしておく。
    教え子の前なので、さすがに喫煙は控えているらしく一応教師としての面目は守れている様だった。

    また黄泉川が寝ている反対の壁側の方では、打ち止めと番外個体の電撃責めで黒焦げになった黒子が沈んでおり、何処から持ってきたのかは知らないが木の枝で少々ビクビクしながらツンツンと突っついてる打ち止めの様子があった。


    「…………ったく、白井の奴…………」


    脇腹を押さえる様にして起き上がる上条。
    いまだダメージが残っているのか、少々痛そうに顔を歪めていた。


    「あっ、上条さん大丈夫ですか?」

    「おー、大丈夫。ありがとう初春さん」

    「い、いえ……………………///」


    その様子にムッとした表情を見せた小萌と、ニヤニヤしてその行方を見守る固法。
    固法は沈んだ黒子に代わって焼肉を焼いており、打ち止めに「面倒見のいいお母さんみたいかも」などと言われてピシッと石化していた。

    395 = 1 :



    「」ガツガツガツガツ

    「これがブラックホール…………!」

    「こンなに食ってンのに身体はちっとも成長しねェンだな…………」

    「不思議ね。彼女の身体について研究してみたいわ」

    「いつかは成長するんだよ! 主に胸とか胸とか! 失礼しちゃうかも!」

    「へェへェ。悪ゥござンした」


    固法の焼く肉を片っ端から片付けていくインデックスに一同は絶句している様で、一方通行はその食べっぷりを見て上条に少々同情していた。






    「インデックス。腹八分にしとけよー」


    「まだお腹四分くらいかも!」ガツガツ


    「「「「「」」」」」

    396 = 1 :


    「上条さんと一方通行さんって仲良いですよね」

    「あァ? 花子は何言ってやがンですかァ?」

    「は、花子って何ですか! 違います! 初春飾利です!」

    「ぶは! は、花子……………………」プルプル

    「ぷっ! な、ナイスネーミング…………」プルプル

    「か、上条さんも固法先輩も笑わないで下さい!///」


     バージョンアップされた呼び名にさすがに耐え切れず上条と固法は吹いてしまっていた。
    一方、変なあだ名を付けられた本人としては笑い話ではないようで、真っ赤な顔をして反論していた。
    しかし彼女の可愛らしい容姿が相俟って、迫力は悲しいほどなかったりする。


    「でもこの二人が仲良くしてるの見ると微笑ましいよねってミサカはミサカは言ってみる!」



    「性格とか、真逆なのにね。基本プラス思考のヒーローさんと、基本マイナス思考のあの人と。一緒に生活してるとこっちまで気が滅入るよ…………まあミサカはそっちの方が気楽なんだけどさ」



    「「い、一緒に生活!?」」

    「ど、どういう事なんですの!?」



    「「「「「「あ、起きた」」」」」」



     ジャッジメント二人娘が告げられた驚愕事実に驚いていると、残りの一人もそれにハッとしながら問い詰める。
    一方通行が番外個体にジト目を送ると、番外個体も口が滑ったと言わんばかりに少々気まずそうな表情を見せた。

    397 = 1 :


    「うん。ミサカとあの人とわーs「お姉ちゃん、ね」とこのヨシカワとあそこのヨミカワの五人は家族なんだよってミサカはミサカは教えてみたり!」

    「へ、へー…………そ、そうなの? アホ毛ちゃん」

    「まあ俺もこの前初めて知ったんだけどなー」


     打ち止めの喋っている最中におかしな単語を聞かれない様に芳川が言葉を挟み込む様に入れる。
    上条としても一方通行が黄泉川家で暮らしてるなんて事実はあのジャッジメント試験の時に初めて聞いたばかりで、いまだに彼らがどんな感じで生活をしているのかは想像についていない様だ。


    「どういう生活してんのか分からんけど、黄泉川先生と芳川さんの大人二人がいるのならまあ安心か」

    「俺をガキ扱いしてンじゃねェよ。それにだ」

    「ん?」

    「こいつが一番堕落した生活送ってやがンから、ガキ共の見本になりゃしn <スパーン!! 「はい、そこまでね」痛ェだろクソ!」

    「すげぇ…………芳川さんのあのハリセン、幻想殺し宿ってんのかな?」

    「あの人は家族には反射しない様にしてくれてるんだよってミサカはミサカは伝えてみる!」

    「へー、そうなのか。へへ、何かいいな、そういうの。俺も触れられれば仲間と見てもらえんのかな?」

    「テメェ相手だと反射効かねェじゃねェか」

    「えーと……………………どういう事なんですの…………?」

    「私もわかりません…………」


    どこから持ってきたのか知らないが、ハリセンを一方通行の頭に叩き込む芳川を見て上条が感嘆の声を漏らす。
    内輪だけの様な会話内容にジャッジメント三人娘はついていけない様で、ただその様子を見ているしか出来なかった。
    ただ、とても仲がいい。
    それだけは分かった。

    398 = 1 :


    「でも、ヒーローさんって…………何?」

    「ヒーローさんはヒーローさんだよってミサカはミサカは答えてあげてみる!」

    「うーん…………ヒーローってのやめてほしいんだよなぁ」


    固法の言葉に打ち止めが答えていると、上条が苦笑いして呟いていた。

     上条としては特に大した事はしていないし、別に崇められたくもない。
    救いを求める者を助けていたらこうなった、とだけ言う。それは別に偉い事でもないし、当たり前の事で。
    そこで繋がった絆を大切にしたい気持ちの面でも、そんな英雄扱いされても上条としては一歩引いてしまう所であったりする。


    ──上条さん達の間で、何があったんでしょうか……………………。


    第一位に君臨する一方通行との仲。
    余りにも友達に似過ぎている打ち止めと番外個体。
    そして上条の事をヒーローと呼ぶ彼女達。

    やはり上条の事を何でも知りたい初春としては、とても気になる所。
    しかし何だか特別そうなその事情に、何となく聞けずにいるのはどうしてだろうか。

    399 = 1 :


    「えー、じゃあ何て呼べばいいの? ってミサカはミサカは考えてみる!」

    「上条でも当麻でも。名前なら何でもいいぞ」

    「うーんと。むむむ……………………」

    「三下」

    「それはやめて!」アクセラレータデジュウブン

    「上条さン」

    「……………………何か背中が痒くなった」

    「とォま」

    「おい       おい。鳥肌立ったぞ、どうしてくれる」ゾワ

    「ミサカもだよ……………………」ゾワワ

    「俺もだァ……………………言うンじゃなかったぜェ…………」ゾワワァ




    「うーん、これかな?     お兄ちゃん! ってミサカはミサカは「ぶぼっ!」」




    「白井が鼻血を出して倒れた!?」

    「打ち止めァ! 俺の後ろに隠れろォ!」

    「み、ミサカも隠れさせてもらうよ」

    「その扱いひど過ぎですの!」

    「ホルモン美味しいかも!」

    「あなたはまだ食べるのね…………っていうか白井さん、鼻血出しながらだと説得力ないわよ」

    400 = 1 :


     そんな会話を聞き流しながら上条の横顔を見つめる。
    力強い目と、比較的整った鼻。
    形のいい口と、シュッとした顎。
    すぐ目の前にいるのに、自分の知らない上条の顔、繋がりを見せられて。

    ちょっぴり、寂しく思っていたのかもしれない。


    「う、初春さん? あの、近いんですが」

    「はっ!!///」


    考え事をしながらじっと見つめていると、いつの間にか近寄っている事に気付いてハッと顔を赤くする。
    目と鼻のすぐ先に想い人の顔がある事に初春は動転し、すぐ離れればよかったのかもしれないが胸の動悸の激しさからなかなかそれをするのは困難を極めた。


    (打ち止めァ)

    (? どうしたの? ってミサカはミサカは耳打ちしてくるあなたにドキンとして近寄ってみたり)

    (三下の背中、思いっ切り押してやれェ)ニヤニヤ

    (それ面白そうじゃん。あなたもなかなかに粋な事仕掛けるね)ニヤニヤ

    (わかった! ってミサカはミサカはいざ突撃ぃ!!)




    「どーん!!」



    「ぬお!?」

    「ひゃ────────────




    上条の背中に思い切りタックルする打ち止め。
    打ち止めも全力で突っ込んでいった為、上条を倒すには十分の力が働き。





    「「」」





    二人して縺れ込んで倒れたのは必然の事。

    ただその際に起きた出来事は偶然の事だった。


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