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    元スレ上条「俺がジャッジメント?」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★
    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - 上条 + - 初春 + - 御坂美琴 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    251 = 1 :


    「……………………にしても、あのアホ毛ちゃん」

    「……………………ええ」


    ふと初春が呟いた言葉に、黒子は真面目な表情になって返事をする。

    打ち止め。
    ミサカという一人称。
    そして、幼くあるが共通の友人である美琴そっくりのその顔。


    「妹さん、なのでしょうか…………御坂さんが妹がいるっていう話、聞いた事あります?」

    「……………………いえ、ないですの」


    見た感じ、第一位と上条にとてもよく懐いている。
    一方通行には、特に。
    すると、上条と一方通行は一体どういう関係なのだろうか。

    無能力者とレベル5の第一位。

    とても接点がある様に思えないのだが、二人を見るにとても親密な間柄に見えた。


    「謎が多い殿方なんですの」

    「…………そう、ですね」


    二人の間には何かがあった事は一目瞭然だ。
    しかしそれを聞くのは、随分と躊躇われてしまう。
    何だか聞いてはいけない、そんな空気を二人は感じ取っていた。

    まあその三人を巡る、あんな事があったとは想像もつかなかったのだろう。
    表の世界で生きていては気付く筈もない。
    彼女らが思っている以上に、学園都市の『裏』は闇に紛れていた。

    252 = 1 :


    「あー、そういえば」

    「ン? どォした?」


     見舞いに来た彼らのゆかりのある者達が次々に帰宅していくと、一気にその騒がしさは嘘の様に閑散となった。

    そんな中、上条が思い出した様に呟くと、隣で手持ち無沙汰から黄泉川が持ってきた本を読んでいた一方通行が反応した。


    「いや、そういえば弁当のお礼してなかったなって」

    「弁当?」

    「ん。今日の試験の為にわざわざ作って渡してくれたんだよ」

    「誰ンだ?」

    「初春さん」

    「花女か」

    「何だよその呼び方」

    「見たまンまだが」

    「……………………」


    一方通行の言葉に何となく反論の言葉が見付からず、ちょっぴり納得してしまった上条。
    そんな上条を見て、一方通行は何故かドヤ顔になっていた。

    253 = 1 :


    「メールでもしてやったらいいンじゃね?」

    「んー…………メールもいいんだけどこういうのは直接言わなきゃなぁ…………」

    「お前意外と律儀なンだな」

    「マナーとか礼儀とか、結構そういうのは気にする質なんですよ、上条さんは」

    「……………………」

    「なんだよその沈黙は」

    「いや、別にィ…………」


    数々のフラグ建てておいてほったらかしってのは礼儀がなってねェンじゃねェの? とても言いたい気分だったのだがどうせ上条に言っても無駄な気がした為、一方通行は放っておく事にした。


    「…………まぁ、でもメールでも言ってからまた会った時に言えばいいか」


    チラッとベッドの横に置いてある鞄の中に潜む包みを見る。
    まさに助け舟で、あれがなかったらどうなっていたやら。
    きっと、空腹で試験どころではなかったのかもしれない。

    携帯を操作し、電話帳を探る。
    以前勉強を教えてもらった時、初春の剣幕に押されて番号を交換していた為、既に連絡先は知っていた。

    254 = 1 :


    「んー…………文面はっと。普通に『弁当ありがとう、美味しかった』でいいか」

    「ンだよ、面白くねェ」

    「お前は何を期待しているんだ」ポチポチ

    「別にィ?」

    「まあいいけどさ…………送信っと」pi

    送信しました──の画面を確認すると、携帯をベッドの上に置く。
    夕食は小萌特製の弁当もいただきましたし、さてさて何しようかななんて考えていた。

    入院とはいえども今日一日だけ、それに全然大した怪我でもない為、このまま寝転がって過ごすだけというのもそれはそれでつまらない。
    とはいえ隣で本を読む一方通行に声をかけても、どうせ適当にいなされるだろうし。

    はぁ、なんて溜息を吐くと突然電話が鳴る。

    prrrrrrrrr────────

    んー? なんて思いながら画面を確認すると。




    「……………………!?」



    『着信:神裂火織』




    という画面が映し出されていた。

    255 = 1 :


    「おー、神裂か? どうしたんだ?」

    『……………………………………上条当麻』

    「え、何か怒ってらっしゃる………………?」


    電話口から聞こえてきたのは、何故かどす黒い雰囲気の声色の女教皇。
    聖人と呼ばれる彼女の力を、一度その身をもって味わった上条はそれだけで震え上がるに等しかった。
    しかしそこはさすがは上条当麻と言うべきか、そんな声色を別の意味で捉えてしまう事もしばしば。


    「おい、どうしたんだ? まさかまた何かあったのか?」

    「ン?」


    もしや、イギリスで何かあったのか。
    それともインデックスの身に何か起きるのか。

    隣では一方通行が聞き耳を立てているらしく、余程の案件だろうと予想して席を外す為にベッドから身を起こしたのだが。

    256 = 1 :


    『……………………先程のめぇるは、どういう意味なのでしょう?』

    「……………………はい?」


    メール?
    どういうことだ?
    神裂にメールなど送った覚えはない。
    というか、機械に疎い彼女がメール機能を使える事に驚きなのだがそれはこの際関係ないだろう。


    『弁当、ありがとうなどと言うめぇるが私の元に届いたのですが』

    「え…………何で……? ってまさか!」


    ──……………………俺、送信先間違えた?


    『上条当麻からめぇるが来たなんて喜んd…………ゲフンゲフン、とにかくどういう意味なのですか?』

    「あ、いや、別に、その…………すまん。送信先を間違えたみたい『女教皇様! もももしかしてかかか上条さんとででで電話しているのですか!?』なんだ……『こ、これはちち違います!』けど……さ……」


    電話口が何故だか一気に騒がしくなった。
    ぎゃーぎゃー耳に届くその爆音に携帯を一旦離すのだが、それでも病室内に響き渡る程の音量だ。
    さすがは聖人と聖人崩し、その有り余るパワーを声量としてもいかんなく発揮している様だった。


    「何の騒ぎですかァ?」

    「あ、いや、何でもないんだ…………はは」

    『む!? そちらにまだ誰かいるのですか!? 魔法名名乗りに向かいますよ!?』

    「それはやめて! 割とガチで!」


    神裂と五和と一方通行の戦いのその凄まじさを想像して、身震いしたのだがそれはまあ仕方のない事だろう。

    257 = 1 :


    「と、とにかく! それは間違いメールだから気にすんな! ごめんまたな!」

    『あ、ちょっとまだ話は終わっt』pi

    「………………ふぅ」

    「病室内では静かにお願いしますゥ」

    「……………………すまんかった」

    こりゃまた恐ろしい相手に間違いメールを送ってしまった、と上条は嘆く。
    次神裂か五和と会った時、また面倒事になるんだろうななんて考えて鬱になった。


    「不幸だ……………………」

    「いや、自業自得じゃね?」


    そんな一方通行のツッコミに何も返せなくなると、再び携帯を操作する。
    今度は間違えずに…………つかまあ、電話の方が早いだろうと席を立った。

    「トイレ行ってくるわ…………」

    「ごゆっくりィ」











    オー、モシモシウイハルサン? イヤ、タイシタコトジャナインダケドサ…………


    「礼儀、ねェ……………………あン時の様子といい、こりゃもしかしたら花女の一人勝ちも有り得る、かァ?」


    上条がいなくなったその病室で、そんな一方通行の意味深なニヤついた独り言が響き渡っていた。

    258 = 1 :


    「んで、初春」

    「はい?」


     ざわざわと昼休みを楽しげに騒ぐクラス内の同級生達。
    日曜日も空け、月曜日という憂鬱曜日のまず始めの休息時間を満喫している様子だ。
    そんな中、目の前の佐天が何やら楽しそうに口を開いた。


    「昨日が噂の彼の試験だって言ってたじゃん。結局どうなったの? 進展あった?」

    「し、進展って…………///」


    目の前の彼女が協力的な姿勢を見せてくれるのは嬉しいのだが、一々からかってくるのが玉に瑕。
    まあ彼女独特のからかいだと言うのは分かっているので、別に何て事はないのだがやはり意中の少年の話になるとどうしても赤面を隠しきれない。


    「じ、実はですね…………」

    「うんうん」




    「今度、ご飯行かないかって……………………誘われちゃいました///」




    「えええええええええええ!? やったじゃん初春!!」

    259 = 1 :


    両頬に手を当てて、赤面を隠す様に呟いた初春に佐天は素直に祝福する。
    友人の色恋事はこれが初めてで、自身もぶっちゃけそういった経験は殆どないのでドキドキが佐天を襲っていた。



    平常心、平常心。



    いつも彼女をからかうポジションとしては、テンパってる姿を見せるのは御法度だ。
    とはいえ、そんな微笑ましい初春の様子にニヤニヤがへばり付いて取れなかった。


    「でもさ! それって初春に脈ありって事なんじゃない?」

    「え、え///」


    ぽふんっと言う音が聞こえそうな程、更に顔を真っ赤にした初春。
    もう赤く染まった顔を隠すのも無駄なほど、手まで赤くなっていたりしていて。


    何この子、超かわいいんですけど。


    こりゃこんな可愛い素直な友人を応援しないなんて事は出来ないなーなんて思っていたりして、佐天はにやけ顔もそのままに初春の弁当の卵焼きを突いていた。

    260 = 1 :

    ここまで

    また次回!

    261 :

    乙なんだよ!

    262 :

    乙!!

    初春の初々しさと上条さんのかっこよさ……俺得だわ

    263 :

    初春だけに初々しいってっかwwww














    笑えねーよ

    264 :

    >>1
    科学側より魔術側の当て馬の方が怖いなここ
    まあだが上条さんが必要とするときに、彼にしっかり尽くす?初春に嫁度で完全に負けてるなあ
    上条さんもかっこよく描かれてるし初春も一々可愛いし超俺得だわ

    >>263
    おい


    おい

    265 :



    1日で直せるのか……さすが学園都市

    266 :



    ねーちんwwwwww

    267 :

    つーかねーちん携帯使えたのか…
    洗濯機一つであわあわ言ってた頃からだいぶ進歩したな

    268 :

    おつおつですの!

    269 :

    上条と一方通行仲いいなぁー
    >>1乙ですん

    270 :

    追いついた>>1

    271 :

    んー自治スレでローカルルールの話し合いか。

    とりあえず落ち着くまで書き溜めてくる!自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    272 :

    乙です。楽しみに待ってます。自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    273 = 1 :

    自治スレ見たけど落ち着くまでまだ時間掛かりそうだなー。

    投下してっても大丈夫そうかな?

    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    274 :

    俺は気にしないよ↓のは
    みんなはどうなんだろうか自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    275 :

    書き手さんによっては本文終了後に数行空白してるな?気にはならないけど、暫くはメッセージあるだろうね自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    276 = 1 :

    >>274把握した

    結構他スレでも気になるって人いるみたいだからレス毎の最後に行間空けて投下してく



    自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    277 :

    投下しても良いと思うよ自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    278 = 1 :




    コンコン────。

    「どうぞー」

    「……………………」


     現在時刻は正午過ぎ。
    帰り支度をし終えた上条と一方通行の病室にノック音が響き、上条が返事をした。


    「もう支度は済んだじゃん?」

    「帰ろー! ってミサカはミサカは反射されない様に演算補助を切ってあなたの胸に飛び込んでみる」

    「ぐほっ」

    「ぷっ!」

    「ぎゃは、あなたの無様な顔を拝みに来たよ」


     場に姿を現したのは黄泉川と打ち止め、そして一方通行がロシアで出会い今現在は黄泉川家の新しい居候となった番外個体だ。


    「堪能したから演算補助再開! ってミサカはミサカは大満足!」

    「笑うな三下ァ…………ぶっ[ピーーー]ぞ……」

    「わりーわりー。それにしても策士だな、打ち止め」

    「おお、あなたが噂のヒーローさんなんだね」

    「おお、噂の番外個体か! ん…………んー?」

    「どうしたの?」

    「いや、本当に似てんだなーって。ふむ、御坂が成長すればこうなるのか」

    「あはは」


    一方通行から話に聞いた番外個体を見て、上条が感嘆と声を上げた。
    こんな所での初の顔合わせになったが、それはまあいいとして。
    一方通行によれば妹達の中で一番ひねくれている、らしいのだが上条はちっともそんな印象を受けず、明るいいい子なんだなという感想を持ったくらいだった。





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    279 = 1 :



    「おい番外個体。俺と接する時と随分対応が違かねェか?」

    「え、何? 嫉妬してんの?」

    「はァ? 鏡見てからモノを言いやがれ」

    「何言ってるの? 殺すよ? それにミサカこれでも結構モテるんだよ? 街出ればナンパ、ナンパ、ナンパ。まあ素体のお姉様にそこは感謝してるね」

    「…………何だこの会話」

    「家でもこんな感じじゃんよ」

    「あれでも何だか楽しそうだから嫉妬しちゃうかもってミサカはミサカは心配してみたり」


    一方通行との会話でそんな番外個体の素の一部が垣間見えた所で冷や汗を流した上条。
    こんな会話が常に家で交わされていると思うと………………ダメだ、きっと胃がやられる。
    とはいえ、打ち止めの言う通り確かに楽しそうな感じもしたので、別段心配する程の事でもないのだろう。


    「にしても、番外個体の服…………なんつったっけ、アオザイ?」

    「おお、よく知ってるね。ミサカも同居人が福引で当てた服を着てるだけなんだけど、どうかな。似合う?」

    「おー、似合ってるぞ。そういう民族衣装の似合う子って何かいいよな」

    「…………わお。これがお姉様を落とした無自覚のアソコジュンジュンテクなんだね。こりゃクラッと来るよ、ミサカはわかんないけど」

    「あそこってどこ? ってミサカはミサカはあなたに確認してみる」

    「……………………気にすンな」

    「子供の前であんまりそういう言葉言うなじゃんよ…………」

    (…………なんつーか、やっぱお前の言う通りだったわ)ボソッ

    (…………だろォ?)ボソッ

    「どうしたのいきなり二人で内緒話なんかしたりして。あ、まさかそっち系だったりする? ぎゃは」

    「テメェは少し黙ってろ」

    番外個体の無双ぶりに上条は少々面食らい、一方通行が手綱を操るかのようにツッコミをいれる。
    やはり彼女の相手には一方通行しか出来ない様だった。

    ……………………ただ、とても扱いきれてはいないが。




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     とはいえ一方通行にとって、番外個体を上条に会わせるのはぶっちゃけ賭けだったりする。
    妹達の調整を引き受けているのは、上条も常に世話になっているあの名医。

    一方通行も世話になった、あの冥土帰しだ。

     かつては一方通行を殺す為に製造されたのが番外個体で、ロシアでは一方通行を精神崩壊寸前まで追い詰めた存在。
    ミサカネットワークに接続はしているのだが、一万弱いる妹達とは違い打ち止めの命令を受け付けず行動できる個体で。
    また「悪意」の感情の塊であり、その真逆の存在でもある上条とは性質がまるで違うのだ。

    それゆえに、もし悪い方に転がれば番外個体はその精神を崩壊してしまう危険性もあったのだが。
    そこはやはり世界一の名医の調整が功を奏し、信頼のゴーサインを受けていた。

     かねてより妹達を救い、なおかつ一方通行を救った上条には元々興味を持っていた番外個体であり、彼女もまたその危険性をしっかり把握しながらも一度は会ってみたかったらしかった。

    一方通行としても、これ以上妹達の中で一人でも犠牲者を出すつもりもなく、しっかりと冥土帰しの話を聞いた上での自身が決断した結果でもあったりする。


    閑話休題。





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    「いやまあ一方通行は可愛い子達に囲まれて羨ましいです事」

    「テメェはどの口でその言葉を吐いてやがるンだよ」


     青椒肉絲を口に運びながら、上条が言い放った言葉に一方通行が溜息を吐きながら答える。
    ある中華料理店にて、丸い大きめのテーブルを黄泉川家+上条というなんとも珍しいメンバーで囲っていた。

    上条としては居候のおかげであまりこういう料理を堪能出来るチャンスはそうそうない為、しっかりと吟味しながら幸せそうな表情を醸し出している。
    昼食代は黄泉川が出してくれるとの事。
    勿論一度は遠慮したのだが、打ち止めの「一緒に食べようよ」の言葉と、よく考えれば次にいつ来るのかわからないチャンスだった為に相伴に与っていた。


    「ふーん…………」

    「何ですかァ? その意味深は視線は」


    食事も終わり、テーブルに肘を掛け顔を手で支えている番外個体がニヤニヤしながら一方通行を見ていた。
    食後のコーヒーに口を付けながら、そんな番外個体の視線を不快に思ったのか表情を歪ませながら一方通行は答えた。





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    「いやあ、お二人さん仲いいんだねって思って」

    「そりゃあなたの憧れの人だもんねってミサカはミサカは同調してみるっ」

    「へっ?」

    「はァ? 何寝ぼけた事言ってやがるンだァ?」

    「おっ、その話興味あるじゃん」


    心外だ、と言わんばかりの一方通行に四対の視線が集中する。
    答えるのが面倒臭いとばかりに無視を決め込む事にしたが、そうそう逃がしてくれるのだろうか。


    「えー、だってあなたが家でボソボソ言ってるの聞いた事あるよ?」

    「……………………何をだァ?」

    「『その幻想を、ぶち殺す』だっけ。ぎゃは」プププ

    「テ、テメェ…………」ワナワナ

    「え、何それー。この人がそう言ってるのをミサカは聞いた事ないってミサカはミサカはわきわきしながらあなたの顔を見てみたり!」ワクワク

    「どっかで聞いた事ある台詞だな。誰が言ったんだっけ」

    そんな楽しそうな会話が繰り広げられていて、そんな楽しそうな雰囲気に店員さんも微笑ましく感じていたりして。

    ……………………まあそれはいい。






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    283 = 1 :


    「あ、そういえば」

    「ん? どうした?」


    上条としては聞いておきたい事があった。


    「ジャッジメント試験、結局どうなったんですかね」

    「あー、それか。とりあえず採点してからの判断だから、合否の知らせはもうちょい待つじゃん」

    「…………まあ、そうですね」


    黄泉川としてもあれだけの動きを見せられて正直驚いていたりしていた。

    あの学園都市第一位である一方通行相手に、あの善戦。
    黄泉川の予想としては、ぶっちゃけてしまうと五秒も経たずに一方通行が勝つものだと信じてやまなかった。

    ところが、蓋を開けてみてどうだ。

    勝ち負けは途中でうやむやになってしまったとはいえ、あの動き、判断力。
    それを見せられてしまっては黄泉川としては十分に合格点を超えていた所。
    それ以上の上条の姿を見て、ただただ驚いているだけだった。


    「ジャッジメントって何? 審判?」

    「この街を守る風紀委員さんだよってミサカはミサカは番外個体に教えてあげる!」

    「ほー。ヒーローさんは皆のヒーローになるんだね」

    「はは、ヒーローってのやめてくれると嬉しいんだけどな…………」

    「チッ」


    番外個体はまだ学園都市に来て日は浅い。
    そして調整の日々が続いていた為、あまりこの街の生活観やら文化やらに触れておらずまだまだ色んな知識は疎く、まだまだこれから知るべき事はいっぱいあり。
    打ち止めの言葉に納得し、上条に視線を送ると上条は苦笑いで反していた。




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    284 = 1 :


    「あ、ジャッジメントで思い出したけど。打ち止めも番外個体も、白井って奴に気をつけた方がいいぞ」

    「…………誰だそいつはァ?」

    「だれだれ?」


    上条の思い出した様な言葉に一同は食いついた様に反応した。
    ちなみに真っ先に反応したのは一方通行で、やはり妹達に対する思いは強いみたいだ。
    打ち止めは杏仁豆腐を美味しそうに頬張りながら視線を上条に向けるだけ。
    黄泉川も何故か納得したようにうんうんと頷いていたりしていた。


    「常盤台に通うお嬢様なんだがな、打ち止めと一方通行は知ってるだろ? 昨日会ったあのツインテールだよ。んで、白井ってのは、なんつーか、その…………」

    (一方通行、黄泉川先生は妹達の事情知ってるのか?)

    (あァ、あのツインテかよ…………ン? あー…………詳しい所までは知らねェだろ。ただ超電磁砲があいつらのお姉様だっつゥ事は知ってる)

    「また何か内緒話始めたよ」

    「ちょっと本当に心配になったりってミサカはミサカは…………」

    「どうしたじゃん?」

    「あ、いやー別に。はは。ま、とにかく。打ち止めと番外個体のお姉様には白井ってのはご執心らしいから、気をつけた方がいいぞ」

    「? それがどうしたの? ってミサカはミサカはよくわかんないや」




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    「下手すりゃ…………拉致られる」






    「「「………………は?」」」

    「上条の言う通りじゃん…………」


    黄泉川も見た事あるが、美琴に対する黒子の言動を思い出してもはや溜息を吐くしかない。
    一方通行と打ち止めと番外個体の三人はまだよくわかってはいないらしいが。


    「白井ってのは二人の姉に異常な愛情を抱いててな…………もしあいつが姉にそっくりな二人を見かけた時にゃ…………」ブルブル


    縄に縛られた打ち止め、もしくは番外個体。
    黒子はそれに血走った目で息を切らしながら近寄り…………。

    容易に想像出来てしまうその様子を妄想して身震いをする上条。
    そんな上条を見て打ち止めと番外個体もただ事ではない事を感じ、深くは追求はしないがコクコクと頷いてただ従う事にした。




    「…………ちょっとそいつ殺ってくるわァ」




    「だー! ストップ! 根は悪い奴じゃないんだよ! …………タブン」

    「そ、そうじゃん! 正義感溢れたいい奴じゃん! 上条のはちょっと言い過ぎなだけじゃん! …………タブン」

    「…………テメェらの最後の呟きが不安になるンですけどォ?」


    ぎゃーぎゃー騒ぐこの家族のグループに、店員さんはとても困っていたという。

    ……………………まあそれはいい…………いや、よくはないのか?





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    286 = 1 :


    「初春ーっ、一緒に帰ろ」

    「はぁい。佐天さん、あそこのケーキ屋さん寄ってっていいですか?」

    「うん、行こ行こっ」


     放課後のチャイムがなると同時に、静かだった教室内は一気に喧騒が湧く。
    帰ろーぜという声や、ゲーセン行かない? なんていう声も。
    初春の友人もその例に漏れず、二人で肩を並べて教室を後にした。

     本日はジャッジメントの仕事はなく、非番だ。
    その事もあってか、はたまた別の事も相俟ってか初春の気分は非常に良い。
    人生で、ここまで高揚したのは初めて…………それは恐らく言い過ぎではないのであろう。


    「青春してるねー?」ニヤニヤ

    「も~、からかわないで下さいよ」///


    肘で初春の二の腕辺りをつんつんなんて突きながら反応を愉しむ佐天。
    それにいちいち顔を真っ赤にして反論する初春のそんな反応に初々しく感じていた。

     季節は冬の白い吐息も見える夕暮れ。
    冬、といえば女の子にとっては…………いや、カップルにとっては、と言い直しておこう。
    一大事なイベントが待ち受けていたりして、街中もそれに向けて段々とその特徴色とも言える赤がちらほら目立ってきていた。




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    287 = 1 :





            クリスマス────。




     日本人にとってはカップルの聖なる日とも言える一年の内の一回だけの一大イベント。

    1960年代に世界中で超人気を博したバンドの中の一人の、日本人であった妻との合作であるあの名曲も、自然とどこからか耳に入ってくるそんな季節。
    恋する相手がいるのならば意識せずにはいられなく、初春もまさにその中の一人であったりする。


    「お、この曲好きなんだ。いいよねー、これ」

    「そうですね。まさにクリスマスって感じがします」

    「それまでにいけそう?」

    「え、あ、いや…………いけたら、いいなとはオモイマスケド…………///」


    恥ずかしさから声量が段々と萎んでいく様子の初春を佐天はニヤニヤしながら見つめる。
    顔が赤いのは、恐らく夕日だけのせいではないだろう。


    「もう、初春ったら可愛すぎるよー」


    ギュッと横から抱き着かれ、初春もえへへーと顔が緩むのを隠せない様子だ。
    まだ決まっている訳ではない。
    決まっている訳ではないのだが初春の脳内ではもはやそのシチュエーションが完璧に再現されていたりする。





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     それは待ちに待ったクリスマスイヴ。
    町並みもすっかりクリスマス色に染まり、周りを見れどどこもかしくもカップルばかりだ。

    待ち合わせは午後六時、待ち合わせ場所はここ、第七学区の駅前に設置された巨大なクリスマスツリーの前。

     彼がジャッジメントの一七七支部の所属になって、まだ一週間ほどではあるが。
    いまだ研修生という身であるのに、彼の手によって解決された事件の数は両手の指では足りない程。
    同僚はそんな猪突猛進な彼を見て、呆れてはいるのだが実は感心、信頼を寄せているのは私は知っている。

    困った人を見れば、助けずにはいられない。

    まだ研修生だから。
    という理由で止まる彼ではない。
    そしてそんな彼だからこそ、私は好きになった。

    初めて過ごす彼とのクリスマスに、私は期待せずにはいられなかった。




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    後一時間程で来るであろう寮の門限は、今日は気にしない。
    寮監には「親が来るから」という理由で今日は帰らない旨を既に告げており、思いっ切り彼に甘えようと私は計画していた。

    プレゼントは既に用意してある。この二週間、寝る間も惜しんで編み上げた赤いマフラー。

    彼に合うかな。
    合えばいいな。
    気に入ってくれるかな。

    そんな思いを一縫い、また一縫いと糸に託し、何とか完成したのが昨日の話。

    ふあ…………最近あんまり寝ていなかったから、少し眠い。
    でもこれから彼がやってくると思うと、私の心臓がより早く動く。
    それが、今の私の何よりも効く目覚まし時計だ。
    でも、規則正しくは動かない彼時計。

    トクントクンと、彼を思う度ほら、こんなに早くなってしまう。

    ああ。彼との素敵な時間って、だからこんなに早く流れちゃう様に感じるのかなって…………何か私、詩人みたい。


    『飾利ー!』


    そんな中、彼の私を呼ぶ声が耳に届く。
    私の心の音が、より振り幅が増した様だ。


    『あ…………!』




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    ちょっぴり時間が遅れちゃったのを詫びる様に、彼は早いスピードで駆け寄って来る。
    本音を言うと、もう少し早く来てほしかったかも。
    でも、膝に手をついて息を整える彼を見て、そんな事言えない。

    …………言えない。


    『はぁ、はぁ…………ごめん、待たせちゃったか?』


    『いえ、大丈夫ですよ…………あ……』


    言葉の途中でギュッと抱きしめられる私。



    …………ほら、言えなくなっちゃった。




    『冷たいじゃないか…………ごめんな、飾利。これを家に取りに戻ってたんだ』


    彼はそういうと、掌サイズの小さな箱を私に手渡した。
    そのラッピングされた箱は、可愛らしくリボンで大事に、とても大事に包まれていた。


    『この日の、最初にこれを開けてほしいんだ』


    彼の温かい手を頭で感じながら、抱きしめられたその至近距離の彼の胸元でゆっくりとその包みを開ける。





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    『これは………………』


    開けると、中にはもう一つの箱が。
    それは上下に開くタイプの小さな箱で、後ろの部分を金具で止めてあり…………。

    ここで、中身がわかった瞬間涙が溢れてきていた。


    『とうま、さん…………』


    『これを飾利に、つけてほしくて、な』


    そういい笑顔を見せて、指の腹で私の目元を優しく拭ってくれる。
    箱の中を開けると、予想通り。

    銀色の指輪が、入っていた。


    『これ』


    『ん?』


    『当麻さんから…………着けさせて下さい』


    私はそういい、彼にその指輪を渡す。
    彼もそれに納得したような表情を見せて、じゃあ、と言ってポケットからもうひとつの指輪を出して私に渡してくれた。





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    292 = 1 :


    『飾利』


    『……………………はい』


    そういい、手を差し出す。
    そして彼は、私の薬指に優しく、それを嵌めてくれた。


    『えへへ』


    嬉しい。
    嬉しすぎて、まるで違う世界に来ちゃったみたい。
    周りも何も見えない、二人だけの世界。


    『飾利。俺のも、お願い出来るか?』


    『はいっ』


    私より一際大きな彼の手をギュッと握り、そして指輪を彼の手にすっと嵌めていく。
    私に着けてくれた指輪と、おんなじ指輪。
    彼と同じもの、共通点が増えていく。


    『はは。ちょっと恥ずかしいけど、でも嬉しいもんだな、これ』

    『えへへ』


    そういいお互い顔を見合った後、私は彼の胸元に飛びついた。




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    『お、おいおい…………』


    困った様な彼のそんな声。
    でも、私は知っている。
    彼の、私の背中に回してくれた腕が、語ってくれている。

    私を、好きでいてくれている。


    『当麻さん! 大好きです!』

    『ああ、俺も大好きだ。飾利』


    まだクリスマスは始まったばかり。
    二人の始まりのクリスマスは、きっと終わりまでずっと繋いでくれる。
    ううん、終わってもずっと一緒だよ?

    心も、身体も、全部全部。






    ずっと、一緒だよ?










    「おーい」





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    「はっ! こ、ここは!?」

    「ケーキ屋さんの前だよ? さっきからずっと呼んでたのに反応しないからびっくりしちゃったよー」


     気付けばいつもの洋菓子店の前だ。
    見慣れた看板と、いつもの友人の顔が目の前にあり初春は ちょっぴりたじろいだが、首をぶんぶん振って何とか意識を戻す。
    もはや自分の妄想癖が飛びっぱなしな事に心臓が報せを告げる。
    ダメだ、彼の事を考えるとすぐにトリップしてしまう。


    「…………当麻さん、ね」ニヤニヤ

    「えっ!?///」

    「名前、出してたよ? その口から」プクク


    もはや笑いが堪えられないという様子の佐天に、初春はあわわわとなった。
    口に出ていたのか。


    「うぅ…………///」


    カァ~っと赤くなった自分の顔を静める事は出来ずに、あうあう言うしか出来ずにいた。
    通行人の女子高生らしき人物もニヤニヤしながら通過していく。
    微笑ましい様子なのだが、当の本人にとってはそれどころではない。






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    「も~佐天さん///」ポカポカ

    「いたいいたいって初春ー」ニヤニヤ


    頭をポカポカ叩く仕草をして、何とか照れ隠しをするのがやっとだったりした。
    でも、そうなればいいなあ。

    そうなりたいなぁ。










    「ありゃ、初春さん?」










    「え……………………」

    「おや? おやおや?」


    そしてその噂の彼が、こんな所でいきなり顔を出すもんだから初春の意識がトリップしてしまうのは仕方のない事だった。




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    296 = 1 :

    これ書きながらニヤニヤしてた俺きめぇ、saga忘れとか誤字脱字も多いしマジで死ね

    書き溜めてきます、また次回!自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    298 = 272 :

    乙!!2828っていいよね。心が洗われるようだよ。次回も期待~自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/

    300 :



    初春さんの脳内ってwwwwww自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


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