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元スレ久「あんたが三年生で良かった」京太郎「……お別れだな」
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前回が長すぎたからこんなに間が……
嘘です。単純に暇がなかっただけです
そんなわけで、もうちょっとしたら始めます
嘘です。単純に暇がなかっただけです
そんなわけで、もうちょっとしたら始めます
京太郎「……あのさぁ」
久「なに?」
美穂子「なんですか?」
京太郎「動けない」
久「あんたが悪い」
美穂子「そうですね」
京太郎「……」
京太郎(八月の中旬、大学一年の夏休みが始まって間もなく)
京太郎(俺は明確にピンチを迎えていた)
京太郎(場所は自宅……賃貸のマンション)
京太郎(状況は挟み撃ち……腕を両サイドからガッチリホールドされてる)
京太郎(原因は……自業自得としか言い様がない)
久「――ちょっと」グイッ
美穂子「――こっち向いてください」グイッ
京太郎「いでででででっ! 人間の首は左右同時には向けないんだよ!」
京太郎(つまり俺は、一方と関係を持ちながら)
久「いい加減はっきりさせなさいよね」
京太郎(また別の女性に手を出した、とんだクズ野郎ということだ)
美穂子「私もはっきりと聞きたいです」
京太郎(……絶賛、修羅場中)
「「どっち(ですか)!?」」
京太郎「いやぁ、爆釣爆釣」
一太「何だよ、そのチラシの山」
京太郎「新入生歓迎の煽り」
一太「勧誘の嵐に自分から飛び込んでいったのか……」
京太郎「でもなんでもかんでも面白そうに見えてさ、ほら」
一太「ヒゲ部、万事屋銀ちゃん、スケット団、ヒーロー協会、ゲーム制作部(仮)……わけがわからないのばかりじゃないか」
京太郎「面白そうだろ?」
一太「面白いをヤバイに置き換えたら賛成するよ」
京太郎「お前なぁ、せっかくの大学生活なのにつまんないこと言うなよ」
一太「君が変なのばかり持ってくるからだろ」
京太郎「だから面白そうなんだろ。てか、そっちはなんか目ぇつけたとこあんのかよ」
一太「そうだなぁ……バスケ、作曲、将棋……とか?」
京太郎「また予想外な……お前、そんな趣味あったっけ?」
一太「全く新しいことに挑戦してみるのもいいんじゃないかってね」
京太郎「一理あるな」
一太「それに、思いがけない出会いもあるかもしれないだろ?」
一太「バスケをやってたら、ひょんなことから小学校の女子バスケ部のコーチを任されたり」
一太「ネットで公開した曲が女子小学生バンドの耳にとまって、プロデュースをお願いされたり」
一太「将棋で頭角を現して上り詰めれば、才能あふれる女子小学生が弟子入りしてきたり!」
一太「とまぁ、こんな感じで色々あるかもしれないじゃないか」
京太郎「ねーよ」
一太「くそっ、くそぉ……」ダンッ
久「お待たせーって、内木くんどうしたわけ?」
京太郎「ああ、ちょっと現実の非情さを教えてやってた」
久「生暖かく見守ってあげてればいいのに」
京太郎「いや、つい……」
ゆみ「というか、君たちのテーブルにものすごく近寄りがたいんだが」
美穂子「あの、良かったらお水飲みます?」
一太「あ、ありがとう」
京太郎「一杯百円な」
一太「そんなバカなっ!」
京太郎「なんたってみほっちゃんの水だからな」
一太「そ、そうか……お金を出して買った水か」
美穂子「そこのウォーダーサーバーでタダでもらえますよ?」
京太郎「一杯百二十円な」
一太「なんで値上がりしてるんだ!? 今タダって言ってたじゃないか!」
ゆみ「……入学早々、騒がしいな」
久「春だもん、しかたないんじゃない?」
ゆみ「春か……それで、決着は?」
久「……延長戦」
京太郎「ふぃー、ただいまぁ」
京太郎「……」シーン
京太郎「ってだれもいないわな、一人暮らしだし」
京太郎「早いとこ慣れなきゃなぁ」グゥ
京太郎「……よし、まずは晩飯だ」ガラッ
京太郎(うーわ、冷蔵庫の中なんもない)
京太郎(しゃあないな、買いに行くか)
――ピンポーン
京太郎「……」
京太郎(この時間の来客に覚えは……あった)
京太郎(この場合はどっちか、もしくはどっちもか)
京太郎(いっそのこと食事は外で済ませてこれば良かったかもしれない)
『いないのかしら?』
『うーん……あれ、鍵は開いてるわね』ガチャ
久「京太郎ー? 起きて――るわね」
美穂子「晩御飯、一緒にどうですか?」
京太郎(俺の右隣の部屋に久ちゃん、左隣の部屋にみほっちゃん)
京太郎(つまり、俺に逃げ場はないということになる)
京太郎「……」
京太郎(高校を出て、大学に行くことを選択して……だけど俺は誰かを選ぶことができなかった)
京太郎(結局、誰にも答えを出さないままここに至るというわけだ)
京太郎(今思えば、進学を決めたのも猶予が欲しかったからかもしれない)
京太郎(大学に通うのならば、少なくとも夏休みまではまとまった暇がない)
京太郎(それまでにバイトをして、旅費を稼いで……それで、どうする?)
京太郎(一度、答えを出すことから逃げた俺に、決めることができるのか?)
京太郎(こんな……優柔不断野郎に)
美穂子「おいしくないですか?」
京太郎「ん、ああ、おいしい。さすがだよ」
久「上の空って感じ。珍しく考え事?」
京太郎「昼間すっごい勧誘受けてさ」
久「それなら私たちも」
美穂子「先輩たちからも誘われちゃいました」
京太郎「風越からの入学者も結構いんの?」
美穂子「私が知ってる人はそんなにいないんですけど、高校一年の時の先輩が声をかけてくれて」
京太郎「そういうのもあるのか」
久「上下のつながりはあんまりなかったのよね、私たち」
京太郎「麻雀部の先輩と呼べるのは、それこそ一人だけだったしな」
久「部長、元気かな?」
京太郎「外国に高飛びしたんだっけ」
美穂子「えっ、高飛びって……」
久「はいはい、留学の間違いだから」
美穂子「あ……またからかわれちゃいましたね」
京太郎「悪い悪い、みほっちゃんが――」
京太郎(その先の言葉は、出てこなかった)
京太郎(いつも通りのはずだ。でも、それがすごく難しい)
久「京太郎?」
京太郎「ごちそうさん。ちょっと散歩いってくる」
美穂子「あ、ちょっと待ってください」クイッ
京太郎「――っ」
美穂子「はい、これでご飯粒取れました」
京太郎「あ、ああ……」
美穂子「いってらっしゃい」
久「……はぁ」
京太郎「まずい、この状況はまずい」
京太郎「なんか半同棲みたいになってるし……」
京太郎「なにより一番まずいのは……俺の態度だよな」
京太郎「いつも通りにすりゃいいのによ……」
京太郎(現状維持を選んだはずなのになぁ)
京太郎(これじゃ全然維持できてないな)
京太郎「ホント、いやになるな」
京太郎「あーあ、帰りづらいわ」
「あれあれ、もしかして須賀くんじゃね?」
「こんなとこでなにしてんのよ?」
京太郎「散歩だって、散歩」
「あらら、もしかしてひとり寂しく系?」
京太郎「そんな感じ」
京太郎(てか、こいつだれだっけ?)
京太郎(……たしか、同じ組だったか?)
「それマジやばいっしょ。春先からそれじゃぼっち確定っしょ」
京太郎「や、やめろって……ぼっちとかじゃないからっ」
「んじゃ、いっちょ行ってみちゃう?」
京太郎「行ってみちゃわない」
「まぁまぁ、ゆーてもうちら新入生だし? まずは同クラで親睦的な?」
京太郎「なるほどなぁ、結構楽しそうだ」
「でっしょー? とりま参加でFAっしょ」
京太郎「んー……」
京太郎(たしかに、このまま二人に辛気臭い顔見せてもな……)
京太郎「よし、いっちょ行ってみちゃいますか!」
「はいはーい、お一人様ごあんな~い」
京太郎「って、お前キャッチかよ」
「それな。高校時代の経験みたいな?」
久「おっそいわねぇ」
美穂子「なにかあったのかしら?」
久「無きにしも非ずだけど……」
久(やっぱり、帰りづらいのかしらね)
『ごめん……やっぱりまだ、答えられない』
久(あの時、許したのがいけなかったのかな……)
久(許さないで突き放してたら……)
久「……はぁ」
美穂子「またため息」
久「わかる?」
美穂子「久も悩み事?」
久「も、というと?」
美穂子「……私たち、やっぱり迷惑になっているのかしら」
久「さぁ……でも、こっちがいつも通りじゃなかったら、それはそれで気にすると思うのよ」
美穂子「久、あなたは……」
美穂子(彼に、なんて言われたの……?)
美穂子(私は何も言ってもらえなかった……)
久「なに? ……あ、メール」
美穂子「もしかして、京太郎さん?」
久「キャッチに捕まって遅くなるってさ」
京太郎「んなのよー、選べるわけないじゃんかよー」
「はいはいはいはい、そーなのね」
京太郎「んでよー、どいっつもこいつもかわいいくていいやつだしよー」
「はいはいはいはい、そりゃ困っちゃうねー」
京太郎「ちゃんと聞いてんのかよー、こらー!」
「俺が連れてきたんだけどさぁ、須賀ちゃん酒弱すぎね?」
京太郎「だから酔ってねーっての!」
「はいはいはいはい、酔っぱらいはみんなそー言うのね」
「そんでさぁ、何人といたしちゃったわけ?」
京太郎「はぁ?」
「いやいや、そんだけ数いるんだから、何人かは食っちゃったんでしょ?」
京太郎「……」
「……あれ? 須賀ちゃんもしかして――」
京太郎「どどどど童貞ちゃうわ!」
「うーわー……」
「ま、まぁ? 麻雀女子って男できないってジンクスあるみたいだし? そんなのに囲まれてちゃね?」
京太郎「……そうだよ、俺が変な意地張ってたせいだよ」
「そんじゃ、まずはその意地もろとも捨てちゃうしかないっしょ」
京太郎「……素人童貞はまだ嫌だ」
「いやいや、風俗じゃなくてさ。ほら、向こうの端に座ってる子……超かわいくね?」
京太郎「んー、たしかに」
「ちょっと声かけてきちゃおうZE☆」
京太郎「いやいやいやいや」
「須賀ちゃん見てくれいいし、ワンチャンあるっしょ」
京太郎「だからさ、今の俺の状況でそれは――んぐっ」
「まぁ飲もうぜ。難しいこと考えんのやめてさ、フィーリングでいっちゃえよ」
京太郎「こ、このやろ……」
「はい、いってらっしゃーい」ドン
京太郎「うわっ」
京太郎(……そこから先の記憶はない)
――ブー、ブー
京太郎「うっ……るせぇな……」ピッ
京太郎「……zzz」
「んんっ」モゾッ
京太郎「……ん?」モニュ
「もー、触んないでってばぁ」
京太郎「……あれ?」
京太郎(目覚めてみれば見知らぬ部屋)
京太郎(だけど、ここがどんな場所かは知っていた……ラブホだ)
京太郎(そして俺は全裸で、隣で寝ている子も多分……)
京太郎(いいや、まだ状況証拠だけだ。とりあえず話を聞いてみないと……!)
京太郎「なぁ……おーい、もしもーし」ユサユサ
「んんぅ……昨日あんだけしたじゃん……須賀くんってばさかりすぎ……」
京太郎「え……」
京太郎「ほんっとごめん!」
「え、なにが?」
京太郎「なにって……軽はずみにこんなことしちゃったしさ」
「いいよ、別に。うちも須賀くんのことちょっといいかもって思ったし」
京太郎「そう、か」
「あ、でも付き合うとかそういうのはいいから」
京太郎「へ?」
「だってそういうのめんどくさいじゃん」
京太郎「だけど、責任ってかさ」
「ちゃんとゴムしてたし問題なくない?」
京太郎「いや、でもさ――」
「それに、うちこういうの慣れてるしさ」
「それじゃ、シャワー浴びてくるねー」
京太郎(言われてみれば当たり前のことだった)
京太郎(俺にとっての特別が、他の誰かにとっての特別とは限らない)
京太郎(……でも、相手のそっけない態度に、俺もそんなものかと思ってしまう)
京太郎(俺の中の特別が、特別じゃなくなった瞬間だった)
京太郎「頭いてぇ……これが二日酔い」ズキズキ
京太郎「た、ただいまぁ……」
美穂子「あ、おかえりなさい」
久「遅くなるって、まさか朝帰りとはね」
京太郎「……どうしてここに」
久「あんたが鍵持ったまま出てくから、帰るに帰れなかったの」
美穂子「朝ご飯食べます? 勝手に台所借りちゃいましたけど」
京太郎「あ、ああ……うぷっ」
久「ちょっ、酒臭っ」
美穂子「よ、酔い止めは……」アタフタ
京太郎「と、トイレ行かせてくれ……」
京太郎「うぁ……」グッタリ
久「見事にダウンしてるわね」
美穂子「今日が休みで良かった……」
久「まったくね……酔い止めとか買ってくるから、ちょっと看てて」
美穂子「わかったわ」
美穂子「……京太郎さん」
美穂子(あなたは、私のことをどう思っているの?)
美穂子(久に見せる姿と私に見せる姿は、多分全然違う)
美穂子(それに、最近私を見るとき、とても辛そうな顔をする)
美穂子(傍にいられるだけでいい……そう思っていたのに)
京太郎「う……みほっちゃん?」
美穂子「吐き気、どうですか?」
京太郎「――なんで、泣いてんだよ」
美穂子「あ、れ……?」
京太郎「俺、またなんかやらかしたっけ?」
美穂子「朝帰り、しました」
京太郎「はは、そうだったな」
美穂子「本当に心配したんですよ?」
京太郎「だよな……悪かった」
美穂子「……迷惑、ですか?」
京太郎「そんなことないって」
美穂子「でもあなたは、本音を私に聞かせてくれません」
京太郎「……」
美穂子「傍にいられるだけでいいと思ってました……でも、あなたは辛そうな顔をする」
京太郎「それは……」
美穂子「それなら私は――」
京太郎(これ以上涙混じりの声は聞きたくなくて、これ以上泣き顔は見たくなくて)
京太郎(こうなった原因が誰にあるのかも蹴飛ばして……腕を引いて、強く抱きしめる)
『難しいこと考えんのやめてさ、フィーリングでいっちゃえよ』
京太郎(まだ少し頭がぼんやりしていたのもあるかもしれない)
京太郎(難しく考えるのをやめて、俺は感情に従った)
京太郎「みほっちゃん……」
美穂子「京太郎、さん……」
久「はぁ……するんならせめて鍵かけなさいよ」
久「……バーカ」
京太郎「……」
美穂子「……」
京太郎(き、気まずい……)
京太郎(なにも考えずに……とまではいかないけど、ほぼ衝動的にやっちまった)
美穂子「嬉しかったです、私をあんな風に求めてくれて」
京太郎「……ごめん、はっきりしたことも言ってないのに」
美穂子「いいんです。……私だけこんな形で答えをもらったら不公平ですから」
京太郎「そう、か」
京太郎(……なに安心してんだよ、俺は)
京太郎「そういや、久ちゃんは自分の部屋戻ったのか?」
美穂子「酔い止めを買ってくるって。だいぶ時間がかかってるみたいですけど……」
京太郎「どっかのだれかみたいに迷子になったわけじゃあるまいし」
『ただいまー』
京太郎「噂をすればってか」
久「ちょっと、いるんなら返事くらいしてよ」
京太郎「それよりただいまってなんだよ。ここ俺の部屋な」
久「もうとっくに溜まり場になってるじゃない。はい、酔い止め」
京太郎「サンキュ」
美穂子「久、遅かったみたいだけれど……」
久「ちょっと寄り道。おかげで飲み物ぬるくなっちゃった」
京太郎「お、スポドリはありがたいな……ぬるっ」
久「文句言うな」
京太郎「はいはい、どーもありがとさん」
久「けっこう具合良さそうだけど、そんな美穂子の看病が良かったわけ?」
美穂子「あ、えっと……」
京太郎「そりゃあな、みほっちゃんに看病されて元気にならない男はいないんじゃないか?」
久「一家に一人ほしいわね。家事に関しては完敗だし」
京太郎「むしろお嫁さんにほしいよな」
美穂子「もう、二人してからかわないでください」
京太郎「はは、悪いな」
久「……」
久「京太郎、適当に外ぶらついてきて」
京太郎「え、なんで?」
久「酔い止めと飲み物のお代ってことでお願いね」
京太郎「それを言われたら……わかったよ。でも部屋の中漁るなよ?」
久「見られて困るものでもあるわけ?」
京太郎「ない」
京太郎(……とは言えない)
久「なら平気でしょ。はい、ゴー!」
京太郎「はいはい、じゃあ一時間ぐらい時間潰してきますよ」
久「それで、どう思う?」
美穂子「えっと、何の話?」
久「見られて困るものの隠し場所」
美穂子「そうね……そういえば、机の方に視線を動かしていたわ」
久「なるほどね。さすがによく見てるじゃない」
美穂子「でも、こういうのは良くないと思うわ」
久「あいつがどんな趣味か気にならない?」
美穂子「それは……気になるけれど」
久「それじゃ早速」ガラッ
美穂子「あ、久!」
久「んー……グラビア写真集発見」
美穂子「これが京太郎さんの……」
久「ま、フェイクってところね」
美穂子「フェイク?」
久「多少上にものは置いてあったけど、場所がわかりやすすぎるのよ。それに――」カタッ
美穂子「あら、二重底になっていたのね」
久「これが本命……って瑞原プロのサイン入り写真集じゃない」
美穂子「燃やしちゃいましょうか」
久「……え?」
美穂子「なにかおかしなこと言ったかしら?」
久「さ、さすがにそこまでしたら、京太郎もしばらく立ち直れなさそうだから……」
美穂子「そう……」
久(美穂子ってもしかして、瑞原プロのこと嫌いだったりするの?)
久(……あまり触れない方が良さそうね)
久「これは机の上に置いといて……美穂子。なんで京太郎を追い出したか、わかるでしょ?」
美穂子「……やっぱり。寄り道なんて不自然だもの」
久「認めるのね」
美穂子「ええ、京太郎さんに抱かれました」
久「……そっか」
美穂子「でも、それだけなの」
久「それだけ? それで十分すぎるじゃない」
美穂子「私は答えを求めていないし、京太郎さんも答えてはいないの」
久「……」
美穂子「だってあんな迫り方……卑怯だわ」
久「美穂子、あいつを甘やかし過ぎじゃない?」
美穂子「辛そうな人に辛く当たるなんて、私にはできません」
久「そうされて当然のことをあいつはしてるの。普通なら問い詰められて、追い詰められて当然なの」
美穂子「なら、どうしてあなたはそうしないの?」
久「……」
ご明察、寝落ちです
最近朝が早くて……
というわけでもう少ししたら始めます
最近朝が早くて……
というわけでもう少ししたら始めます
久(たしかに、あの時に許した私が言えることじゃないかもね)
久「わかったわよ……とりあえず様子見ね」
美穂子「ありがとう、久」
久「お礼を言われる相手が間違ってる気がするけど」
久(こんなの、いつまでも続けられるわけないのよね……)
久(私が……美穂子だって、いつ我慢できなくなることやら)
久(見事に先越されたし……)ギリッ
久「ところで、美穂子?」
美穂子「なに?」
久「……どうだった?」
美穂子「ど、どうだったって……」
久「痛かったとか気持ちよかったとか」
美穂子「えぇっと……言わなくちゃ、ダメ?」
久「ダメに決まってるでしょ」
京太郎「時間潰せってな……加治木か一太のとこ行くか?」
京太郎「……」
『……私だけこんな形で答えをもらったら不公平ですから』
京太郎「もしかして、気を遣われたのかもな」
京太郎「まったく……情けないにも程があるよな」
京太郎「って、それは今更か」
「あれあれ、須賀ちゃんじゃん」
「どーよ、どうだったよ、ヤっちゃった?」
京太郎「昨日の今日でよく会うな」
「ゆーて俺ん家近いし」
京太郎「ご近所さんかよ」
「てかさー、あの後どうなったのか超気になってるんだけど」
京太郎(……この際こいつでもいいか)
「なぁなぁ、教えてちょ」
京太郎「ならちょっと暇つぶしに付き合えよ」
「おっけ」
「はーはー、お遊びのワンナイトラブねぇ」
京太郎「付き合うとかそういうのは別にいいって言われてさ」
「ま、そーゆーのもあるっしょ」
京太郎「そういうもんかぁ」
「そもそも、なんとなーくで始まるのが多いんじゃねっていうね」
京太郎「告白からのお付き合いってパターンは逆に珍しいってか」
「だから、須賀ちゃんは難しく考えすぎだって」
「無理に答えようとするからダメなんだって」
「もうちょっと肩の力を抜いて気楽にいこーぜ」
「ほら、何を選んでも後悔するなら、今が楽な方を選べって言うっしょ」
京太郎「お前、さてはダメ人間だろ」
「相談乗ってやったのにそれかよぉ!」
京太郎(無理に答えようとするから、か)
京太郎(たしかに、無駄に肩に力入ってたのかもしれない)
京太郎(……あんな風に泣かれるのはごめんだよな)
京太郎「ただいまー」ガチャ
久「ちょっと、おとなしくしてよ……!」
美穂子「そんなとこ触っちゃ……んんっ」
京太郎(帰ってきたら、俺の部屋は百合の園になっていた)
久「はぁ、はぁ……あれ、京太郎」
京太郎「……ごめん、あと一時間ぐらい彷徨ってくるから」
久「こらっ、誤解するな!」
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