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元スレ久「あんたが三年生で良かった」京太郎「……お別れだな」
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京太郎「……るせぇ」
京太郎「うるせぇうるせぇうるせぇ!」
京太郎「どうしてこんなとこまで来るんだよ! ずっと日本にいればいいのによ!」
京太郎「綺麗で輝いてるんだよ! 日本での思い出は! だから汚したくないし帰れないんだよ!」
京太郎「それなのにわざわざ俺のとこまで来やがって……!」グイッ
久「ちょっ、なにするのよ……!」
照「京ちゃん、痛い」
京太郎「そこまで言うんだったら二人まとめて食い物にしてやるよ」
京太郎「――だから、蹴るなり殴るなり刺すなり抵抗してくれよ」
京太郎「お願いだからさ……」
久「京太郎……」
照「京ちゃん……」
久「ん……」
照「きょう、ちゃん……」
京太郎「バカだよ、二人とも」
京太郎「なんで抵抗しなかったんだよ」
京太郎「怪我人に二人がかりで勝てないはずないだろ」
京太郎「なんで俺に、一番辛いことやらせるんだよ……」
京太郎「……ダメだ。この二人と一緒にいたら」
京太郎「あの頃の自分に、どうしようもなく戻りたくなる」
京太郎「もう戻れやしないのに……」
京太郎「だから……今度こそさよならだ」
久「んんっ……あれ、京太郎?」
照「クリームは植物性より動物性の方が……」ムニャムニャ
久「起きろっ!」グニィ
照「痛いっ」
久「京太郎がいない!」
照「京ちゃんならさっきまでケーキを……」
久「それはあんたの夢の中!」
久「あーもう、あいつどこ行ったのよ……!」
照「……匂いもわからない」クンクン
久「あんたは犬か!」
照「とりあえず、手分けして探したほうが――」
「よう、探しものかい?」
照「あなたは……」
久「ごめんなさい、今日は本当に付き合ってる時間がないの」
「その前に、アンタらはキョウの知り合いってことでいいのかい?」
久「そうよ、だから探してるの。これ以上時間を取らせないで」
照「……待って、何か知ってるの?」
「ああ、キョウとはそれなりの付き合いだからな」
照「教えて」
「案内してやるよ。車に乗りな」
照「わかった」
久「ちょっと待った、これって――」
――カチッ
「リボルバーだ。古いが、当たれば痛いどころじゃないってのはわかるだろ?」
久「これだから銃社会は……!」
「乗るのか? 乗らねぇのか?」
照「……この場で私たちを撃ったら、それこそあなたもただでは済まない」
「そう、オレはお縄について、下手すりゃ死刑であの世行きだ」
「だけどよ、それがどうした?」
「アンタらが死ねば、あの野郎への最高のプレゼントになるってもんだ」
「オレの第一希望はもちろん、自分の手でアイツをぶちのめすことだけどよ」
久「……ダメね、こっちの話は通じそうにない」
照「……わかった」
「もう一度聞くぜ……乗るのか? 乗らねぇのか?」
京太郎「シャツと飯代でほとんど消えたな……」
京太郎「まぁ、移動は最悪ヒッチハイクでなんとかなるか」
京太郎「……怒ってるだろうな」
京太郎「いや、俺にはもう関係ない」
京太郎「今は少しでも遠くに――」
「よう、乗ってくかい?」
京太郎「あんたは……」
「ただし代金はいただくぜ」
京太郎「あいにく持ち合わせがないんだよ」
「そうか……なら、こんなのに興味はねぇか?」ピラッ
京太郎「……趣味が悪い写真だな」
「今はまだ縛られてるだけだ。時間が経てばどうなるかは保証できないけどよ」
京太郎「赤の他人がどうなろうと関係ない」
「……そうかい。気が変わったんならいつものとこに遊びに来な」
京太郎「……」
京太郎(俺はもうどのみちあの二人と会うことはない)
京太郎(だからどうなろうと関係ない……そうだろ)
京太郎(だけど、考えれば考えるほど……)
『京太郎』
『京ちゃん』
京太郎「ダメだこりゃ」
京太郎「来るなって思ってるのに流れ込んでくる」
京太郎「まったく、ホントにあの二人はどうしようもないな……」
京太郎「……一番どうしようもないのは俺だけどな」
久「いたたたた……絶対これ跡残る」
照「んっ……全然解けない」
久「あんた、あのギュルギュルってやつでどうにかならないの?」
照「無理。こんな状況じゃ使えない」
久「……こんな状況じゃなかったら使えるってことが驚きね」
久「あいつ、来ると思う?」
照「あなたはどう思うの?」
久「そうねぇ……あ、せっかくだし賭けてみない?」
照「京ちゃんが来るか来ないか?」
久「負けた方は大人しく身を引くってことで」
照「うん、それで構わない」
久「じゃあ、同時に言うわよ」
照「わかった」
久「京太郎は――」
照「京ちゃんは――」
「「――絶対来る!」」
久「……不成立じゃない」
照「あなたが変えればいい」
久「変えるわけないでしょ」
「……来ねぇ」
「せっかく舞台を整えてやったってのに……来やがらねぇ」
「~~っ、舐めやがってクソがぁっ!!」ガンッ
京太郎「お邪魔するぜ」
「はぁ、はぁ……遅いお出ましじゃねェか」
京太郎「ああ、別にあんたと遊ぶ気はない。忘れ物を取りに来ただけだ」
「……そうかよ。じゃああのジャップの女どもは好きにさせてもらうぜ」
京太郎「待てよ」
「なんだぁ? さっきは関係ねぇって言ってたよな?」
京太郎「ああ、さっきはな……だけど今は違う」
京太郎「二人とも俺の女だ。手を出すっていうなら覚悟しとけ」
「ほぉ? ……言うじゃねえか、このクソジャップがよぉっ!」
京太郎「騒ぐなよ。おとなしく返すなら俺もおとなしく帰る」
「テメェをぶちのめすか、あの女どもをいたぶってやんなきゃコッチの気がすまねぇんだよ!!」
京太郎「だったらどうする? 怪我人相手に殴り合いか?」
「ハッ、そんな結果が見えた勝負はしねぇよ……これだ」ゴトッ
京太郎「リボルバー……ロシアンルーレットか?」
「六発入りで一発だけ実弾だ。先にくたばった方が負けっていうわかりやすいルールだ」
京太郎「……ちょっといいか?」
「あぁ? 平和ボケしたジャップにはヘヴィか?」
京太郎「いいや、軽すぎる」
京太郎「俺が先に五回引く」
「……正気か、テメェ」
京太郎「俺の勝ち筋は一本、あんたの勝ち筋は五本。有利なのはどっちかは考えなくてもわかるよな?」
「……」
京太郎「それとも、俺がビビって逃げるのに期待してたのか?」
「――ッ、いいじゃねぇか、乗ってやるよ!」
京太郎「じゃあ、行くぜ」カラカラカラ
――カチッ
「チッ、ハズレか」
京太郎「慌てんなよ。まだ一発目だ」
――カチッ
「運の良い野郎だぜ」
京太郎「あんたも知ってるだろ。今の俺の取り柄はそれぐらいだってな」
――カチッ
「お、おい……もう引けねぇってんなら、そこでやめてもいいんだぜ?」
京太郎「やめる? 冗談だろ」
――カチッ
「やめろ、やめろやめろやめろぉ……!」
京太郎「今の俺には――」
――カチッ
京太郎「――幸運の女神が、二人もついてるんだから」
京太郎「さぁ、今度はあんたの番だ」ゴトッ
「あ、ああ……」カタカタ
京太郎「どうした、震えてるぞ? 引く度胸がないなら、ここで終わりにしたっていいんだけどな」
「――っ、ふざけるなっ!!」グイッ
京太郎「……結果の見えた勝負はしないんじゃないのか?」
「今はテメェをブチのめせればそれで十分なんだよぉ!」ブンッ
京太郎「――っ」
――ドサッ
「あ、が……な、なんで」
京太郎「たしかに結果の見えた勝負だったな」
「な、なにしやがった……」
京太郎「あんたみたいな力任せが、たとえ怪我してようが執事殺法に勝てるわけないだろ」
「なんだそりゃ……」
京太郎「せめて岩を素手で砕けるようになってから出直してこい」
「ふざけたことぬかしやがって――がっ」
京太郎「ほら、二人はどこだ」
「……奥の部屋だ」
京太郎「どーも」
「……」
(チクショウ……!)
(あんな、ちょっとツイてるだけのクソジャップに!)
(許せねぇ、ぶっ殺してやる……!)
「ヘイ、キョウ!」
京太郎「あん?」
「最後の一発、受け取りやがれ……!」
――カチッ
「ふ、不発……?」
京太郎「言ったろ、幸運の女神が二人もいるって……よぉ!」ゴスッ
「ぐぁっ……」
京太郎「しばらく寝てろ」
京太郎「大丈夫だったか、二人とも」
照「平気、京ちゃんが助けてくれたから」
久「縛られてた腕が痛いくらいかな」
京太郎「言っておくけど、自業自得だ。俺は帰れって言ったんだからな」
久「でも、ちゃんと来てくれた……違う?」
京太郎「……これっきりだ」
照「うん、それはウソだって私にはわかってるから」
京太郎「チッ……途中まで送ってくから、後は勝手にしてくれ」
京太郎「……」
照「すごい広い」
久「見渡す限りの荒野って、日本じゃまず見られないんじゃない?」
京太郎「……どこまでついてくるんだよ」
照「どこまでも」
久「あんたが諦めるまで」
京太郎「ついてくるなよ」
照「イヤ」
久「それより車ないの? 絶対徒歩で移動する距離じゃないでしょ」
京太郎「知るかよ。疲れたんならいい加減日本に帰れ」
照「帰れだって。帰ったら?」
久「それよりお菓子の備蓄尽きてるんじゃないの?」
照「あ……」
久「どこかで補充してきたら? 待たないけど」
照「むっ」
京太郎「やかましいな……帰れよもう」
照「京ちゃんが帰るなら」
久「というかさ、そう言って帰ると本当に思ってるの?」
京太郎「俺とは違って向こうでの生活があるだろ」
照「そんなの知らない」
京太郎「知らないってな……」
久「わからない? 全部かなぐり捨ててきたって言ってるの」
京太郎「……バカだよ、二人とも」
京太郎「俺は、きっと地獄に落ちるぞ」
照「じゃあ私もついてく」
久「しかたないから付き合ってあげるわよ」
京太郎「……勝手にしろよ」
久「ねぇ、どこ向かってるの?」
京太郎「どこだっていいだろ」
照「うん、京ちゃんがいれば」
久「それであんたがいなければ最高ね」
照「それはこっちのセリフ」
久「良く言うわね。一人で来るの怖がってたくせに」
照「全部諦めようとしてた人に言われたくない」
京太郎「……二人とも、見ない間にちょっと仲良くなったか?」
「「そんなわけない(でしょ)!」」
京太郎「はいはい、そーかい」
『エンディング――追い風と太陽と、幸運の女神』
長い、というか長すぎる……!
下手したら今までで最長の可能性すらありますね
長すぎてもはや眠気とかを超越してしまいました
ともあれ次の怜竜でひとまず最後です
今回ほどは長くならないと思いますが
それでは、これから朝ごはんを食べるので失礼します
下手したら今までで最長の可能性すらありますね
長すぎてもはや眠気とかを超越してしまいました
ともあれ次の怜竜でひとまず最後です
今回ほどは長くならないと思いますが
それでは、これから朝ごはんを食べるので失礼します
乙
この3人で話が始まったから、終わるのも又3人でって感じでしっくりきた
この3人で話が始まったから、終わるのも又3人でって感じでしっくりきた
約三週間ぶりにこんばんはー
久しぶりにやろうかと
それじゃあ、もうちょっとしたら始めます
久しぶりにやろうかと
それじゃあ、もうちょっとしたら始めます
京太郎「ん~……太陽が眩しいぜ」
「夜勤おつかれさん」
京太郎「お、今日は早いね」
「ちょっと早起きしちまっただけだ」
京太郎「はは、それで出勤早めるなんて真面目だな」
「どうせやることもないつまらない人間だよ」
京太郎「そう言うなよ。恋人とかいねーの?」
「生憎、遠距離だよ」
京太郎「おいそれと会いにも行けないな」
「お前は?」
京太郎「毎日会ってるよ」
「チッ、自慢かよ」
京太郎「まぁ、毎回病院じゃムードもへったくれもないけどな」
「病院?」
京太郎「ああ……俺のツレ、ちょっと体悪いんだ」
京太郎「おはようさん」
怜「んー、おそーい」
京太郎「そう言うなって。こちとら夜勤明けだ」
怜「今日のおみやげは?」
京太郎「べったら漬」
怜「なんでやねん」
京太郎「いや、近所のおばさんから東京土産だからってもらって」
怜「浮気?」
京太郎「うちの母親より年上だぞ。どんだけストライクゾーンが広いんだよ」
怜「はやりんは?」
京太郎「全然いける」
怜「ふんふん……ギルティやな」
京太郎「夢を見るだけならタダだろっ」
京太郎「……それで、具合は?」
怜「可もなく不可もなく?」
京太郎「なんで疑問系よ」
怜「見解の相違みたいな?」
京太郎「つまりあれか、大丈夫って言ってるのは自分だけと」
怜「や、実際問題あらへんし」
京太郎「やっぱり自己申告は信用ならねーな」
怜「じゃあ確かめて、どうぞ」
京太郎「えー、悪いのはここですかー?」モミモミ
怜「やーん、すけべー」
――コンコン
竜華「そろそろええかな?」
怜「もうちょい」
京太郎「おしまいだ」
怜「えー?」
京太郎「おとなしくしとけ。入院中だろ」
怜「む~」プクー
竜華「あはは、フグみたい。突っついてもいい?」
怜「ハリセンボンやねん。触ると怪我するで」
竜華「はいはい、お土産持ってきたから機嫌直してなー」
怜「待ってました! ――って、なんでべったら漬やねん!」
竜華「近所のおばちゃんにもらって」
怜「ネタ被り!」
京太郎(というか、出処が同じなんだよなぁ)
怜「2セットももらってどないせいっちゅーねん」
京太郎「そりゃあ、ご飯のお供だよ。朝昼晩って」
怜「まさかのべったら漬漬けかい」
京太郎「ズケズケと言ってくれるな」
怜「んー、あんまおもろくないなぁ……やり直しで」
京太郎「なにぃ?」
竜華「……」プルプル
怜「竜華、お花摘みなら我慢せぇへんほうがええで?」
竜華「ち、ちがっ……」
怜「ならトイレ?」
京太郎「それどっちも同じな」
怜「言わぬが花」
京太郎「お花摘みだけに?」
怜「う~ん……座布団一枚っ」
京太郎「よっしゃ」
竜華「ごめん、診察あるからそろそろ」
京太郎「ん、そうか」
怜「次は甘いのがええな」
京太郎「リクエストとは生意気な」
竜華「あはは……うん、次はケーキ買ってくる」
怜「おおっ、じゃあ楽しみにしとる」
竜華「先生の言うこと、ちゃんと聞いておとなしくしとること……ええ?」
怜「べったら漬を食べるぐらいならええやんな」
竜華「多分、それぐらいなら」
京太郎「それじゃ俺も……」
怜「えー? もう帰るん?」
京太郎「いや、お花摘み」
怜「その隠語はレディース専用やねん」
京太郎「んー……山へ芝刈りに、とか?」
怜「はい座布団没収ー」
竜華「……」
京太郎「しかし医者かぁ……あらためてすごいよな」
竜華「うん、頑張ったから」
京太郎「勉強も運動も麻雀も強くてすごい……というかやばいってのはよく聞いたけどな」
竜華「やばいって」
京太郎「安心しろ。やばいやつならなんでか知り合いによくいるから」
竜華「……須賀くん、トイレは?」
京太郎「お前を送ってからでもいいだろ」
竜華「別にうちは……」
京太郎「さっき、泣きそうだったろ」
竜華「――っ」
京太郎「勘違いだったら悪いけどな……俺には辛そうに見えた」
竜華「うっ、うぅ……」ポロポロ
京太郎「……もしあいつのことなら、話してくれないか?」
京太郎「……」
『……もうダメかもしれへんって』
『治療で進行を遅らせることはできても、改善はしてへんって……』
『入院も長いし、このままやったら……』
怜「大丈夫? 胸揉む?」
京太郎「それよりもギュってしていいか?」
怜「もち。スキンシップならウェルカム」
京太郎「ああ……」ギュッ
怜「んっ」
京太郎(俺になにができる?)
京太郎(もう先が長くないかもしれないこいつに、なにをしてやれる?)
京太郎(……いや、まだダメだって決まったわけじゃない)
怜「今日は情熱的やん」
京太郎「いつも心の中ではこんなもんだよ」
怜「やぁん、もしかしてケダモノになっちゃう?」
京太郎「ここが病室じゃなきゃな」
怜「じゃあお持ち帰りしてもよし」
京太郎「良くなったらな」
怜「はよ良くなれー、はよ良くなれー」
京太郎「よし、その意気だ」
怜「うーん、ニケツしたい!」
京太郎「退院したらな」
怜「じゃあ……結婚したい」
京太郎「……退院したら、盛大に式挙げようぜ」
怜「指輪は?」
京太郎「頑張って用意する」
怜「ならうちも頑張って治す」
京太郎「ちょっと飲み物買ってくるわ」
怜「ん……ふわぁ、うちはもう一眠りしとこかな」
京太郎「ああ、おやすみ」
京太郎「……くそっ」ガンッ
京太郎(何が退院したらだ……!)
京太郎(あんな言葉、ただの逃げじゃねぇかよ!)
京太郎(でもダメだ……あんなに辛いなんて)
京太郎(……泣けるなら俺が泣きてぇよ)
「あら、京太郎さん」
京太郎「……どうも、園城寺さん」
「そんな他人行儀な呼び方しなくてもいいんですよ?」
京太郎「はは……お義母さんはまだ早いですから」
「そんなことない……だってあなたは、もう何年もあの子の傍にいてくれたじゃない」
京太郎「俺は……なにもできないですから」
「いてくれるだけで十分ですよ」
京太郎「……」
京太郎(それでも、俺は……!)
京太郎「すみません、夜勤明けなんで失礼します」
「ごめんなさい、眠いところを引き止めてしまって」
京太郎「いえ。それよりも、今は寝てるんでそっとしといてやってください」
「よう、お疲れか?」
京太郎「ん、ああ……」
「今日も見舞い行ってたんだろ?」
京太郎「まあな……」
京太郎(ここ最近、あいつの前でちゃんと笑えてるか怪しい)
京太郎(ぎこちなくないだろうか……あいつに、心配をかけてないだろうか)
京太郎(知らないのなら、気取られるわけには……)
「ほら、飲めよ」
京太郎「悪いな……えっと」
「リュージでいい」
京太郎「あれ、そんな名前だったっけ?」
リュージ「昔から仲がいいやつからはそう呼ばれてんだよ」
京太郎「……ああ、苗字と名前から取ってるのか」
京太郎(なんか、ハギヨシさんみたいだな)
京太郎「じゃあ俺のことも京ちゃんでいいぜ」
リュージ「いや、気持ち悪い」
京太郎「当たり前だ。俺も男からそんな呼び方されたら気持ち悪い」
リュージ「はっ、今日も夜勤だろ? 居眠りしないようにな」
京太郎「そっちこそ、早起きしすぎて夜中に出勤するなよ」
リュージ「言ってろよ」
京太郎(……こういうの、なんか久しぶりだな)
京太郎(こっちに来てから、同年代のやつと付き合う機会が減ったしな)
「須賀くん、ちょっといいかい?」
京太郎「はい」
「……彼に、なにかされなかったか?」
京太郎「なにかって……コーヒーもらったぐらいですよ」
「そうか、ならいいんだ」
京太郎「なにかあるんですか?」
「その、あまり大きな声では言えないんだけどね……」
京太郎「暴力団、ね」
『あくまで噂なんだけど……暴力団と付き合いがあるって』
『もちろん噂は噂だけどね。ほら、なにか問題があった時に困るじゃないか』
京太郎「……だからなんだってんだよ」
京太郎「それだったら俺だって、極道の娘と友人関係だっての」
京太郎「まったく、つまんねーこと言いやがってよ」
怜「んん……もう昼?」
京太郎「なんだ、せっかく寝顔見てたのに」
怜「あかんなぁ、女子のすっぴんのぞくとか犯罪行為やで?」
京太郎「アホ、何回一緒に寝たと思ってるんだよ」
怜「はい、セクハラ発言いただきましたー」
京太郎「おっと、これは迂闊だったな」
怜「ふふん、出るとこ出たら大変なことになるやろな?」
京太郎「マジか……見逃してくれっ、なんでもするから!」
怜「ん? 今なんでもするって――けほっ、けほっ」
京太郎「おい、大丈夫かよ」
怜「けほっ……ちょい休めば――げほっ、げほっ!」
京太郎「明らかに酷くなってるだろ! 看護師さん呼ぶからなっ」
京太郎「……まだか」
『治療で進行を遅らせることはできても、改善はしてへんって……』
京太郎(あれじゃあ、改善するどころか……)
――ガラッ
京太郎「――っ、先生、あいつはっ?」
「容態は落ち着いて、今は寝ています」
京太郎「そうですか……」
「ただ、徐々にですが病状は悪化の傾向にあります」
京太郎「……やっぱり、そうなんですね」
「……清水谷先生から聞いていましたか」
京太郎「俺が無理に聞き出したんです」
「彼女は園城寺さんのために医師を志したそうですね……気の毒な話だ」
京太郎「なんで、もうダメみたいに言うんですか」
「入院してもう数年……投薬を続けていますが、病は徐々に進行している」
京太郎「じゃあ打つ手はないって言うんですか!?」
「ゼロとは言えません。しかし……」
京太郎「お金の問題だったらなんとかするし、俺にできることならなんだって……!」
「……金銭の問題でも、あなたにどうにかできることでもないんです」
「病気の完治の芽があるとすれば、それは……心臓の移植しかないんですよ」
京太郎「……なあ、清水谷」
竜華「なに?」
京太郎「心臓の移植って、難しいのか?」
竜華「……先生から聞いたんやね」
京太郎「まるで、移植には期待できないみたいな言い方だった」
竜華「正直、難しいと思う」
京太郎「難しい手術なのか?」
竜華「技術的にもやけど、まずドナーが見つからへん」
京太郎「誰でもいいってわけじゃ、ないんだよな」
竜華「うん……合わん臓器を移植しても、ダメになるだけやから」
京太郎「そうか……」フラッ
竜華「帰るん?」
京太郎「悪い、一人にしてくれ」
ここまでのヒロイン二人エンドはハッピーエンドにはならないからこれから先もと思うと読んでて辛い
なんでや前回の久と照は割とハッピーだったやろが
京太郎が自身の何かを犠牲にする傾向が高いが
京太郎が自身の何かを犠牲にする傾向が高いが
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