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    元スレ八幡「俺ガイルのキャラをシャッフルする」

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    651 :

    きょーーうーとーーーーーーーーーーーーーー

    八幡(京都タワー……ひっく)パシャリ

    隼人「さぁ!八幡!ようやく車旅も終わった……!観光に行くぞ!」

    八幡「お、おう……あーいやほんとお疲れ様。大変だったろ」

    隼人「案外大丈夫だったよ。川崎くんも修学旅行までの間に腹は決めてたらしいし。ちょっと話題降ってやれば自力でなんとか城廻さんと会話できてた」

    八幡「平塚のがトラウマになってやしないか心配だったが……大丈夫だったか」

    隼人「あの人鋭いところあるのにデリカシーないからね……」

    八幡「言い得て妙だな……」




    大志「めぐりさん、喉とか乾いてない?」

    めぐり「ん?大丈夫だよ〜。自前であるから」

    大志「そ、そう……あそうだ!のど飴とかいる?」

    めぐり「そんな喋ってないから大丈夫かな〜」

    大志「えっと……!怪我してるとことかない!?絆創膏あるよ!?」

    めぐり「見ればわからない〜?」




    雪ノ下「……久々に孫の顔を見たおばあちゃんなの……?必死すぎでしょう…」

    平塚「まぁまぁ、あそこまで好意丸出しだとむしろ好感触だろう」

    材木座「めぐり氏は押しに強いタイプか弱いタイプか……いまいち判断が難しいのだが……」

    折本「え、なになに?川崎ってめぐりちゃんのこと好きなん?何それちょー受けるんですけど!」

    652 = 651 :

    八幡「……んじゃ、まずは計画通りにな」

    隼人「彩加のプランを見てみたが……おおよそ完璧だ。このプランを忠実にこなしさえすれば……めぐりは堕ちる」

    隼人(いや……めぐり"も"かな……ふふふ)

    八幡「……?オーケー。仮にも彩加が立てたプランだ。そこのところの心配はねぇよ」


    八幡「……一つ懸念があるとすれば」

    隼人「あるとすれば、なんだ?」

    八幡「………留美の存在」


    留美「呼ばれて飛び出て」

    八幡「呼んでねぇ!!」

    隼人「清々しいフラグ回収……!」

    八幡「お前班はどうした……」

    留美「私一人かけたところで誰も気付かない」

    八幡「いや先生は気付くだろ!!」

    留美「冗談。……みんなを説得して、八幡たちと同じルートを辿ることになってる」

    八幡「」

    隼人「おい……待て。嫌な予感がするぞ。留美、お前どうやって班員を説得した……?」

    留美「………ふ、それは―――」


    生徒A「葉山くん!奇遇だね!!」ドンツ

    生徒B「私たちも葉山くんたちと方向一緒なの!!」

    生徒C「め、迷惑じゃないなら……ご一緒させてもらえませんか?」

    隼人「」


    留美「…お前の思い通りにはさせない」ニヤリ

    隼人「畜生ォォォォォォォォォッッ!!」




    八幡「……おい、よかったのかあれ。あいつどう見ても嫌がってんだけど」

    留美「何言ってんの。女の子に迫られて嫌な男子がいるわけないじゃない」

    八幡「……その考え方が原因かぁー」

    留美「?何?」

    八幡「いーや……なんでもねぇ……」

    留美「いいから……私たちもいこっ!」

    八幡「お、おい待て引っ張るなって……」


    八幡「………やれやれ」

    653 = 1 :

    短いですが今日は終わりです。
    さすがにもう一ヶ月放置なんてしません

    ……………たぶん

    655 :


    まあ書ききってくれるならどれだけでも待つよ

    657 :

    今一気読みしたけどスレタイからどんなマジキチssかと思って開いたら優しい世界が広がってた

    658 :

    おつおつ、

    無理には急がんでもええのよ、面白いしよく出来てるから書き切っては欲しいけどね

    660 :


    エタるよりずっといいから遅くてもええんやで
    しかし葉山の安定のホモホモしさ

    661 :


    スレ一覧から来て一気読みしてしまった
    原作・アニメとはまた違った感じでとても面白い
    頑張ってください

    662 = 1 :

    バスーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    八幡(とはいえど、まだ自由行動時間には入ってはいない)

    八幡(アルバムに収めるための全体写真を撮るため……清水寺へ行かねばならないのだ)

    八幡(しかしまぁ、清水寺自体も相当な観光名所ではある。恋愛成就の神社や音羽の滝など、デートにおすすめな人気スポットもあるしな)

    八幡(俺らにできることは極力城廻と川崎を2人きりにしてやることくらいだ)


    留美「………」ゲンナリ

    八幡「……大丈夫か、留美」

    留美「なんでこんな人多いの……」

    八幡「修学旅行だからな……」

    八幡(総武校二年……ゆうに200は超える人数の大旅行、しかも普通に市内バスを利用していることもあり、バス内はラッシュアワーなんて目じゃないほどの混雑を見せていた)

    八幡(少し肌寒くなってきた季節。ご丁寧にも暖房をつけてくれていることもあって車内はサウナのように蒸し暑い)

    八幡(さらに四方八方は人、人、人で埋め尽くされ、それは俺たちにうんざりするほどの圧迫感を押し付けてくる)

    八幡(人間嫌いの俺や留美はもうダウン寸前だ)


    生徒C「す、すごい人ですね……ちょっと、体借りてもいいでしょうか?」

    生徒B「あっ、Cずるい!葉山くん、私も…」

    生徒A「ほらアンタら……酔い止めあるから飲みな。あっ、葉山君も飲む?」

    隼人「」



    平塚「……………」

    雪ノ下「…………」

    折本「…………」

    大志「…………」

    めぐり「………………」

    材木座「……フゥーッ………フゥーッ……」

    一同(((((邪魔くせぇ………)))))

    663 = 1 :

    清水寺ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    八幡「やっとついた……」

    留美「……うえ、は、はちまん……たすけて……腕貸して……」

    八幡「俺だって辛いんだよ……自分の足で歩け……」

    八幡(いろいろ意識しちゃうだろ……)

    隼人「……はぁ……はぁ……」

    八幡「…おー、どうした隼人。息荒いぞ」

    八幡(バスに乗る前まで一緒だった女の子とは別れ、隼人は俺のところに駆けつけてきた)

    八幡(それはもう必死に)

    隼人「………地獄だった………」

    八幡「……なんつー顔してんだよ」

    隼人「君にもわかりやすいように伝えるとね」

    八幡「ん?」

    隼人「留美が3人いる感覚だ」

    八幡「地獄だな」

    隼人「だろ」

    留美「……それ、どういう意味」ジロリ

    八幡「自分の胸に聞いてみな……」

    八幡(別に留美といるのは楽しいし嫌いではない。嫌いではないのだが……)

    八幡(………すっごく、疲れる)


    材木座「ぷっはぁー!シャバの空気うめー!」

    雪ノ下「……材木座くん」

    材木座「むん?なんだ雪ノ下よ。心做しか顔色が悪いように思えるぞ」

    雪ノ下「痩せなさい」ニッコリ

    材木座「えっ」

    平塚「……同感だ。材木座、その生き方は多くの人を不幸にするぞ」

    めぐり「……窒息すると思った……ほんとにいつか人殺しちゃうよキミ……」

    大志「は、ははは……」

    材木座「ご、ごふぅ…フルボッコだどん……」

    664 = 1 :

    先生「写真撮るぞー!クラスごとにわかれろ!その後に全体で撮る!」

    八幡「……ほら、行ってこいB組」

    留美「あぁっ……」

    八幡(そんな寂しそうな目するなよ…)

    留美「……また、後でね」

    八幡「あぁ、また後で」

    隼人「できればもう来ないで欲しいな…」

    八幡「そんなに嫌ならはっきり拒絶しちまえばいいのに……」

    隼人「それができたら苦労はしないよ……なんていうか、断れない性分なんだ」

    八幡「大変だな、リア充も」

    八幡(モテる男の苦悩ってやつか。そうやっていい顔してまでモテたいかね)

    隼人「別に期待に応えようとか、そういうのじゃないんだと思うけどね」

    隼人「……嫌われたくは、ないんだろうなぁ」ボソリ

    八幡「ん?」

    隼人「何でもない。忘れてくれ」

    八幡「まぁ言いたくないならいいけどよ」


    材木座「……隼人くーん!はちまーん!共に写真に写ろうではないか!」

    隼人「はいはい、今いくよ」

    八幡「………おう」

    八幡(誰かと写真に写る)

    八幡(家族以外では、初めての経験だ)

    八幡(不思議と気持ちが昂る)


    先生「ほら並べ並べー」

    材木座「……ふむ、これがいいか……それともこのポーズがいいか……」

    平塚「ほら、川崎はここに来い」

    大志「えっ……でも……」

    折本「いいからいいから♪頑張りなよー」

    めぐり「……?どうしたの?みんな」

    平塚「城廻、お前は気にするな……ほら」

    大志「うぅ!……よ、よろしく」

    めぐり「?よろしくね!大志くん」ホンワカ〜

    大志「…………///」カァァ


    八幡「……なんとかやれそうだな」

    隼人「あぁ。川崎頑張ってるもんな」

    八幡「一生懸命やってる奴は、応援したくなる」

    隼人「同感だ」


    665 = 1 :

    先生「はーい撮るぞー!」


    材木座「決めたッ!これだ!」

    平塚「ほらっ、もっとくっつけ!」

    大志「うわっ!」

    めぐり「………!」

    折本「ぴーすっ!」ニカッ

    八幡「」

    八幡(どんな顔すればいいんだ……)

    隼人「………」




    先生「はい―――――チーズっ!」

    隼人「……」グイッ(肩を抱き寄せる)

    八幡「!?」

    隼人「……ほら、笑ってピース!」

    八幡「!?」ニヘラ


    パシャリ

    666 = 1 :

    先生「……よーし、撮影は以上だー」


    八幡「……お前よくああいうこと平気で出来るな……」

    隼人「驚かせたかい?ごめんごめん、ああでもしないと拒絶されそうだったし」

    八幡「……いや、別にいいんだけど……」

    八幡(写真……絶対変な顔で写ってるわ……)

    隼人「親友同士で肩を組むくらい普通だよ。漫画とかでもよくあるだろう?」

    八幡「親友……」

    八幡(……親友。その言葉の甘美な響きは俺の心をくすぐる)

    八幡(俺にも……そう呼べる存在が……そう呼んでくれる存在ができたのだ、と)

    八幡「……ありがとな」

    隼人「え?」

    八幡「いや…………なんでもない」

    八幡(その言葉は一体何に向けてのものだったのか)

    八幡(それは俺にもわからない)

    八幡(ただ一つ言えるのは)

    八幡(俺は……葉山隼人という人間が好きなのだということ)

    八幡(ずっと友達でいたい)

    八幡(彼を、いつからかそう思えるようになっていた、ということだ)



    隼人「……………」

    八幡「なんだ?」

    隼人「わからない……ただ、なぜだかすごく複雑な心境なんだ……」

    八幡「……?」


    八幡(……たまに、こいつのことがわからなくなるときもあるけど……)

    667 :

    留美「……撮り終わったね。じゃ行こうか」

    八幡「なんでこの人ごみの中から瞬時に俺達を見つけることが出来るんだ……」

    八幡(割とマジに盗聴とかされてないか不安になる)

    生徒たち「葉山くーん!」キャイキャイ

    隼人「ははは……」

    雪ノ下「……あら、鶴見さん?」

    平塚「どこかで見た顔だと思ったら……林間学校のときの」

    留美「………久しぶりです」

    雪ノ下「そちらの方たちは?」

    留美「糞に群がる蠅共です」

    隼人「誰が糞だ誰が……」

    めぐり「なんか面白そうだね〜」ニヤニヤ

    大志「ははは……」

    八幡「……迷惑じゃなければ、こいつらと行動してもいいか?」

    材木座「我は構わんぞ。人数は大いに越したことはないからな!」

    大志「俺もいいよ。ところでさ、これから本殿の方へ見学へ行くわけだけど……」

    八幡(川崎はちらりと本殿の方を見やる)

    八幡(そこにあるのは長蛇の列)

    八幡(団体ごとの入場とはいえ、F組で最後尾の俺たちが入れるのはいつになるか……)

    めぐり「混んでるね……」

    平塚「うんざりするな……」

    大志「このまま待ってるだけというのもつまらないしさ……」

    八幡(……打ち合わせ通り。川崎は言葉を紡いでいく)

    八幡(その目が、彼の真摯さを表していた)


    大志「胎内めぐり、行ってみない?」

    668 = 1 :

    胎内めぐりーーーーーーーーーーーーーーーー

    八幡(まず材木座・雪ノ下)

    八幡(次に隼人クラスタ)

    八幡(そして平塚・折本、俺・留美という順番で中に入っていく)

    八幡(最後に……川崎と城廻が残るように)


    八幡「……うまくいったな」

    留美「意外とちゃんとやってるんだね」

    八幡「仕事だからな……」

    八幡(中は案の定真っ暗で何も見えない)

    八幡(予想はしていたし、真っ暗であること以外はなんてことはないのだが……)

    八幡(………なにこれ、こっええ)

    八幡(光というものが俺たちにとってどれだけ重要だったのかがわかる)

    八幡(理屈ではなく、生物の本能として、脳が危険信号を出しているのだ)


    材木座「こ、こyこyこyこyこyこy」

    雪ノ下「材木座くん、ちょっと黙っててくれるかしら?」

    材木座「ふぃっ」


    八幡(いつものように冷たく言い放つ雪ノ下の声音も、心做しか緊張を帯びているように思える)


    折本「……うっはー、マジ暗いんですけど。やっば、うわマジでやっば……」

    平塚「む、む……大丈夫だよな?こっちであってるよな?……迷子になったら洒落にならないぞ……」


    八幡(女同士で固めてしまったのは少し酷だったか。かといって守ってやれるような男子もいないからな……)


    生徒「きゃーきゃー!葉山くんこわいこわーい!!」

    隼人「ははは……離してくれないかな」


    八幡(あいつらは大丈夫そうだな)

    669 = 1 :

    八幡「…………」

    八幡(慎重に……手すりを頼りにゆっくりと歩く。目がなれてくれないかな、と思うも、一向にその気配はない……)

    留美「……………」

    八幡(……そこで、俺は一つ違和感を覚える)

    八幡(留美が……やけに静かなのだ)

    八幡(足音は……聞こえる。人の気配もする。それに一本道ではぐれようがない。留美はそこにいるはずだが……)

    留美「………」

    八幡(どうしたのだろう。てっきり「きゃーこわーい」などと言って腕に抱きついてでもくるかと思っていたが)

    八幡(……なんだよ。妄想するだけならタダだろ。文句あんのか)

    八幡(どうしたんだ、と声をかけようと、口を開く。そのときだった)


    留美「……八幡、ちゃんとそこにいる?」

    八幡「………?」

    留美「い、いるよね……?私を一人になんてしてないよね……?」

    八幡「………………」


    八幡(正直キュンときた)

    八幡(普段の彼女からはそうぞうもつかないような、おどおどとした声音)

    八幡(そうやって、俺を求めてくる姿は……)

    八幡(俺に少し意地悪な心を芽生えさせる)


    八幡「……………」

    留美「ね、ねぇ……返事してよ……八幡」

    八幡「…………」

    留美「………八幡?いるんでしょ?いるんだよね?」

    八幡「……………」

    留美「…………!?い、や、やだっ、八幡!八幡!どこ!?ねぇ!!」ダッ!!

    八幡「!?ちょ、留美!?」

    八幡(ばたばたと、何かが駆けていく音…)

    八幡(そしてそれは、「きゃっ!?」という黄色い悲鳴と、どしんという鈍い衝突音があったと思ったら、止んだ)

    八幡(………あっちゃー)

    670 = 1 :

    折本「な、何!?何があったし!?」

    留美「あ……八幡、八幡……」

    八幡「留美!悪かった!俺はここにいる!」

    留美「………」ハッ

    八幡(さっき起きた衝撃音を頼りに、留美と、留美にぶつかられた折本を見つけ出す)

    八幡「……立てるか」

    留美「あ……うん」

    八幡「折本も……ほら」

    折本「え………あ、ありがとう……」

    平塚「なんだなんだ、何が起こった」

    八幡「……とりあえず行こう。後がつかえる」

    留美「八幡……」ギュッ

    八幡(!手を………)

    留美「……どこにもいかないで」

    八幡「…………あぁ」

    八幡(……留美の手すべすべだなぁ(思考停止))

    八幡(鼓動の加速が止まらない)

    八幡(なんだ……今までこいつ相手にこんなにどきどきしたことなんてなかったのに…)

    大志「どうしたの!?何かあったのー!?」

    八幡「何でもない!大丈夫だ!」


    八幡「……行こうぜ」

    留美「うん……」

    671 :

    堕ちたな(確信

    672 = 1 :

    八幡(しばらく歩くと、闇はだんだんその濃さをなくしていき……少し明るい場所に出た)

    八幡(そこにあったのは石)

    八幡(石がライトアップされているのか……神秘的な雰囲気を醸し出している)

    八幡(石の前まで行くと、平塚と折本が先に立っていた)

    平塚「ここで石を回しながらお願いごとをするそうだ」

    八幡「……へぇ」

    八幡(それは初耳だった)

    折本「じゃ、みんなで回そ」

    八幡「あぁ……」

    八幡(そうして俺は留美の手を離した)

    八幡(仄かな光の中に微かに見える留美の顔は、とても寂しげな目をしていた)

    八幡(……その目やめろって)

    八幡「……一緒に回すぞ、留美」

    留美「……うんっ」


    八幡(お願いごと、ねぇ)

    八幡(欲というものは腐るほどあるが、それでもこう改まって何かを願えと言われても、ぱっとは思いついてくれない)

    八幡(……でも、ここで何かを願ったところで、願い事が叶うわけでもない)

    八幡(あくまで願い事とは自分で叶えるものだ)

    八幡(なら俺は)

    八幡(俺自身ではどうしようもできないことを、願い事にするとしよう)


    八幡(『奉仕部が、ずっと奉仕部のままでいられますように』)

    673 = 1 :

    大志「いやぁ!スリルがあって結構楽しかったね、めぐりさん!」

    めぐり「そうだね。私ずっと怖かったけど、大志くんがいてくれたから心強かったよ〜」

    大志「ほ、ほんと?いやあ、あはは……男らしくできてたなら嬉しいよ!」


    八幡(胎内めぐりが終わり)

    八幡(川崎と城廻の距離は、確実に縮まっていっているように見えた)

    八幡(彼ら以外は全員憔悴しきっていたが…)


    折本「いや……マジで怖かった。いきなり後ろからどしーんっ!って来るんだもん……」

    雪ノ下「私1人ならこんなもの造作もないのだけれど、材木座くんが必要以上に怖がるから……」

    材木座「えっ……いや雪ノ下氏去年みんなでユニバのホラーナイト言ったときもすいません黙ります」

    平塚「なかなかのスリルだったな……出来ることならもう二度と行きたくはない」


    隼人「……」ゲンナリ

    生徒「」ワイワイキャアキャア

    八幡(お疲れ様……)

    674 = 1 :

    八幡(そんな俺は俺で)

    八幡「……ほら、コーヒー」

    留美「…………」

    八幡「悪かったって。いい加減機嫌直してくれよ………」

    留美「…………」パシッ

    留美「……微糖」

    八幡「……嫌いか?」

    留美「………別に」プシュッ

    八幡「……………」

    八幡(外に出て留美が我に帰った途端こんな感じで………)


    八幡「悪気はなかったとはいわないけど……ちょっとからかうつもりだったんだ。怖い思いさせたなら謝る。だからさ…」

    留美「……すっごく怖かった」

    八幡「………」

    留美「……八幡がいなくなったって思ったら、いてもたってもいられなくなった」

    八幡「………」

    留美「……私がどれだけ八幡を大切に思ってるか知らないでしょ」

    八幡「う………」

    留美「もう絶対こんなことしないで」

    八幡「……わかった、約束するよ。これで許してくれるか?」

    留美「デート」

    八幡「は!?」

    留美「修学旅行終わったら、デートして。そしたら、許してあげる」

    八幡「……なんだそれ。ラブコメか」

    留美「………いや?」

    八幡「う………別に、嫌じゃ、ないが……」

    留美「よかった」

    八幡「…………」


    八幡(顔を直視できない)

    八幡(こうして留美の声を聞き、留美の気持ちをぶつけられているだけでも動悸が止まらないのだ)

    八幡(……この感情には心当たりがある)

    八幡(ただそれをはっきりと自覚してしまえば……またあの地獄のような拒絶反応に襲われるのだろう)

    八幡(なら……今だけでも、これに浸っていよう)

    八幡(…俺は、鶴見留美という女の子が好きだ)

    675 = 1 :

    清水の舞台ーーーーーーーーーーーーーーーー

    八幡(時は止まらない)

    八幡(裏を返せば時間は必ず流れゆく)

    八幡(あの長蛇の列も、じっくり待てばいつしかトカゲの尻尾となるのだ)

    八幡(そんなこんなで清水寺の一番有名なやつ)

    八幡(清水の舞台へとやってきた)


    材木座「ほほう!高い!高い!」

    雪ノ下「実際清水の舞台から飛び降りても死には至らないらしいわね」

    折本「え、マジで?死ぬ覚悟って意味じゃないんだー知らなかった」

    めぐり「普通に死ぬより死にそびれて打撲と骨折と出血の痛みがずぅーっと続く方がよっぽどむごいと思うけどね」

    平塚「お前の発想が一番むごたらしい…」

    大志「は、ははは……」


    隼人「いい眺めだな……」

    八幡「隼人……隼人クラスタはどうした?」

    隼人「なんだいそれは……あの子たちなら景色に夢中さ」

    留美「景色>隼人」

    隼人「俺からすればありがたい」

    留美「ふーん……」


    八幡(山と山に挟まれた京都の街並みが一望出来る)

    八幡(なるほど、確かにこれは絶景だ)

    八幡(そして相変わらず京都タワーひっく)

    八幡(千葉ポートタワーといい勝負だ…)


    ぽんぽん

    八幡(不意に肩を叩かれる)

    八幡(……留美か、隼人か、材木座か……人が景色を楽しんでるのに。空気読めよなマジで)

    八幡「……なんかようか?」

    彩加「八幡、奇遇だね!」

    八幡「」

    八幡「えっ?」

    彩加「そ、そんな驚かなくても……」

    八幡(国際教養科は一番手だったはずだが………?)

    八幡(なぜ最後尾であるF組と一緒にいられるんだろうか)

    留美「どうしたの。長居しすぎじゃない?」

    彩加「ぼくたちの班体力ない子が多くて……ちょっと休んでるんだ。ここで」

    隼人「……結構迷惑じゃないかそれ」

    彩加「大丈夫。ちゃんと端っこにいるし……それよりもさ、川崎くん、大丈夫そう?」

    八幡(心配そうに聞いてくる)

    八幡(これを直接確認したかった、というのも動機に含まれてはいるのだろう)

    八幡「あぁ。一生懸命、よく頑張ってるよ。俺たち必要だったのか?っていうくらいには」

    彩加「そっか……よかった!」

    八幡(これほどまでに純新無垢な笑顔を俺は他に知らない)

    676 = 1 :

    八幡「確かに依頼は大事だが……お前がそんなに気負うことはないと思うぞ?一回しかない修学旅行だ。思い切り楽しまないと損だろ」

    隼人「おお……」

    留美「八幡がまともな事言ってる……」

    八幡「お前ら……」

    彩加「…うん、そうだね。でも気になっちゃうのは気になっちゃうから仕方ないや……」

    彩加「それに、こうやって誰かの助けになれているのも、楽しいしね」

    八幡「そっか……苦しくないならいいんだ。自分を大事にしろよ」

    彩加「ふふ、わかってるよ。八幡に心配はかけられないからね……そうだ」

    留美「?」

    彩加「せっかく奉仕部全員揃ったんだし……写真撮ろうよ!写真!」




    平塚「撮るぞー?」

    留美「いいよ」(八幡と腕組)

    隼人「いつでも撮ってくれ」(八幡と肩組)

    八幡「」

    彩加「………」(隼人の隣で苦笑い)


    めぐり「……プッ、ククッ、クフフフフ……」

    雪ノ下「ダメよ……失礼よ、城廻さん……ふふっ、ふふ……」

    折本「比企谷ハーレムじゃん!マジ受けるんだけど……あははははっ!」

    大志「………」




    平塚「はい、チーズ」


    パシャリ


    八幡(この京都で撮られた二枚の写真)

    八幡(これは後に、見る度に俺を悶絶させ)

    八幡(だけど、どうしても捨てることの出来ない……そんな写真になるということは、このときの俺はだいたい想像できていた)

    677 = 1 :

    八幡(そしてその後は)

    八幡(恋愛成就のゲームをしたり)

    八幡(おみくじを引いてまさかの大凶を当てたり)

    八幡(音羽の滝で留美と隼人の柄杓を断り理不尽にむくれられたりした)

    八幡(清水寺を出て、川崎と城廻の距離を縮めるため彩加の用意したプラン通りにあっちへこっちへ連れ回し連れ回され)

    八幡(憔悴しきった俺たちが旅館についたのが午後5時)

    八幡(正直眠ってしまいたかったがまだ仕事が残ってる為眠るわけにもいかず)

    八幡(残っている仕事……川崎と城廻の進捗状況を聞き出す。そのために俺達は4人で卓を囲んだ)


    八幡「……で」

    八幡「手応えはどうだ」

    大志「うん。だいぶ彼女とも話せるようになっている気がするよ。彼女の方、文実のときみたいなよそよそしさは感じない」

    隼人「……確かに傍から見てても好感触に見える。このまま行けば、もしかする可能性はあるぞ」

    大志「ほんとっすか!?」

    材木座「ふむ!我が最初にして最強の腹心、葉山隼人が言うからには間違いはないだろう!」

    八幡「修学旅行はあと2日……3日目の夜に俺たちが用意したスポットで、お前は城廻に告白をする」

    八幡「今までどおりでいい。余計なことは考えるな。俺たちは極力お前と城廻が二人になるようにする。だが、俺たちがするのはそれだけだ。そこのところは忘れるな」

    大志「わかってるよ。もとより、作り物の自分で勝負する気なんてないさ。ありのままの自分をぶつけて、無理だったら潔く諦める」

    大志「めぐりさんに惚れたときから……ずっとこれだけは決めていたことだ」

    隼人「……なら、いいんだ」


    隼人「よしっ!じゃあ遊ぶか!」

    八幡「……えー」

    材木座「ふははははっ!何をする?ありとあらゆるゲームを遊戯部から拝借してきてるぞ!選べ!」

    大志「無難にトランプとかやりたいっす!大富豪とかしません?俺強いっすよ!」

    八幡「俺休みたいんだけど……」

    隼人「俺はポーカーかな……それも賭けポーカー!金じゃなくて、敗者になんでも命令をできる命令権を賭けたポーカーなんでどうだ?」

    八幡「あ、あの……」

    材木座「それも面白そうだな!八幡!貴様はなにがいい?言ってみろ!」

    八幡「…………」


    八幡「……この中からなら、ワンナイト人狼」

    678 = 1 :

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    材木座(…………)マネー2

    大志(…………)マネー5

    隼人(……………)マネー7


    八幡「……じゃ、次やるか」マネー26


    材木座「八幡強すぎやしないか!?」

    八幡「そんなことないぞ。俺より強いプレイヤーなんてわんさかいる」

    大志「そのセリフ自体が強プレイヤーのセリフにほかならないんだよね…」

    隼人「……くそ、次こそはぁっ…!」

    八幡「負けたら罰ゲームだよな?材木座……このままだとお前負けるぞ。覚悟しとけ」シャッシャッシャッ

    材木座「ひぃぅっ!?」

    材木座(ここで負けたら本格的に後がない……ここは勝たねばっ!)


    八幡「カード確認して伏せろ」

    材木座(我は……人狼!よし、占い欠けであればだいたい勝てる役職!)

    材木座(頼む……!女神よ、我に祝福を!)


    隼人「ここから先ワンナイト人狼知らない人はわかんないから読み飛ばしてね」

    八幡「ん?何か言ったか?」

    隼人「なんでもないよ。始めよう」

    679 = 1 :

    〜夜時間〜

    八幡「人狼は顔を上げろ」

    材木座「」mkr

    材木座(ふむ……人狼は我だけか。占い欠けである確率は低くなったか……)

    材木座(しかし、人狼1人でも吊られればゲームオーバーなこのゲーム、むしろ一匹の方が都合がいいとも取れる)

    材木座(なんにしろ明日の他役職の動きしだいだな……そがわかるまでは我も動けぬ)


    八幡「次、占い師……占いたいカードをめくれ」


    八幡「最後に怪盗……自分と交換するカードを選び、交換しろ」




    680 = 1 :

    〜昼時間〜

    八幡(怪盗)「怪盗CO、川崎は【占い師】で、俺の怪盗と交換した。そうだろ?」

    大志(占い師)「ああ、占い師CO。真ん中の二枚のカードは【人狼】【村人】だった」

    隼人(村人)「じゃあ俺と材木座に2票ずつ入れて勝ちだな」

    材木座(人狼)「」


    材木座(人狼)「ま、待て待てぇい!八幡と川崎が2狼の可能性が残ってるだろう!」

    大志(占い師)「いや、そんなこと言われてもな」

    隼人(村人)「占い師怪盗両方欠けってことか?確率15分の1だぞ……」

    材木座(人狼)「ないとはいいきれまい!」

    八幡(怪盗)「あーじゃあいいよ、俺と材木座の2吊りで。この反応するってことはほぼ材木座人狼だし」

    材木座(人狼)「」

    681 = 1 :

    材木座(人狼)「こんなの勝てるかぁ!」

    隼人(村人)「逆ギレ……」

    大志(占い師)「いやまぁ気持ちはわかる…」

    八幡(怪盗)「おいおい最後まであがけよつまんねぇな……」

    材木座(人狼)「ラストのラストで運に見放されたらどうしようもないだろう!?なんなのだ怪盗が占い師を引き当てるなど!聞いてないわ!」

    八幡(怪盗)「いや引いちゃったもんはしょうがねぇし……」

    大志(占い師)「えっともう投票でいいよね」

    隼人(村人)「お疲れ様。せーの」

    材木座(人狼)「え、えー……ほ、ほんとにこれで終わりなのか……?」

    八幡(怪盗)「ほいほい、それじゃありがとさん」


    八幡→材木座
    隼人→材木座
    材木座→八幡
    大志→材木座

    材木座義輝が処刑されました


    八幡「俺の勝ちだ」ペシッ

    人狼陣営の勝利です!

    682 = 1 :

    材木座「!?」
    隼人「!?」
    大志「!?」

    八幡が裏返したカードに書いてあったのは【人狼】のマーク

    慌てて材木座が自分のカードを確認してみると、そこには【怪盗】のマークが描かれていた

    材木座「あっ………あっ……!八幡、キサマァ………!!」

    八幡「しかしこんなうまく引っかかってくれるとは思わなかったぜ」

    大志「なんで俺が占い師だと!?」

    八幡「あ?そんなの勘だ勘。もともと生存狼数を把握できない怪盗狼の勝率は低いんだ。ならとことん博打打ってやるよ。マネーは有り余ってるしな」

    隼人「いやはや、一本取られた……そうか、これで材木座はマネー0だね」

    材木座「あひいいいいいい……」

    八幡「敗者は罰ゲームだったよなぁ……」

    材木座「ど、どうかお手柔らかに……」

    八幡「じゃあ全員分のジュース。今すぐ」

    材木座「は、はいっ!」ダッダッダッダッ

    八幡「もちろん自腹な」

    隼人「案外鬼だね君……」

    八幡「そうか?女子部屋に特攻しろとかいわないだけマシだろ」

    大志「うっわぁ……」

    683 = 1 :

    八幡(とまぁ、そんな感じで)

    八幡(材木座の持ってきた様々なゲームを用いて、俺たちは深夜まではしゃいだ)

    八幡(見回りの先生なんて怖くなかった)

    八幡(ただ、友だちと、対決して、協力して、笑いあって……)

    八幡(その楽しさを、輝かしい青春の1ページを、思いっきり味わう)

    八幡(頭にはそれしかなかった)


    八幡(こんなに楽しい修学旅行は……いや、旅行は、初めてだ)

    八幡(家族旅行でさえも……旅館にこもってすることといえば、1人ぷよぷよかテトリスかリズム天国か、それくらいのものだった)

    八幡(いやめっちゃ面白いんだけど)

    八幡(でもやっぱり……この興奮は。この高揚感は。そんなものたちはとてもじゃないが代え難い)

    八幡(ずっと起きていたいなんて思ったのはいつ以来だろうか)

    八幡(睡魔をこれほどまでに鬱陶しく感じたことなんて今までにあっただろうか)

    八幡(それでも、生理現象には抗えず、こうやって眠りにつき始めているのだが)



    八幡(……だけど、修学旅行はまだ終わっていない)

    八幡(むしろ、始まったばかりなのだ)

    八幡(そう思うだけで、なんだか晴れやかな気持ちになれるのだった)



    「……おやすみ、八幡」


    「また、明日」

    684 = 1 :

    本日はここまで

    そういえばゆるゆりでも修学旅行京都にいってたけど中高生の修学旅行の定番といえば京都という風潮があるのかな?

    685 :


    こんな青春を送りたかった……

    686 :

    おつおつー
    俺は関西在住だから行ってないが、関東の人からすると京都と奈良は定番なんじゃない?

    687 :


    青春してるな八幡

    689 :


    もう何も間違っていない青春ラブコメだなwwwww

    690 :


    普通の人間はこういった青春の中で心を育てていくんだろな

    691 :

    乙乙~
    こんな青春送りたかったな‥

    ちなみにゆるゆりもそうだけど東日本だと中学の修学旅行は大体が奈良京都大阪辺りって聞いたことある

    692 :

    ちょっとるみるみかわいすぎませんかねぇ…

    693 :

    るみるみがストレート過ぎて八幡が原作以上の鉄壁に見えるぜ

    694 :

    二日目・夜ーーーーーーーーーーーーーーーー

    八幡(今、俺は旅館のお土産コーナー内をうーろうろしている)

    八幡(母親への土産を買うためだ)


    八幡(今日は太秦映画村へ行ってから、適当に寺を見て回った)

    八幡(木刀は映画村で買えた。正直邪魔で仕方がなかったが頼まれた手前買わないでいくわけにもいかず結局その後の移動は木刀をぶらさげながらの移動となった)

    八幡(おかげで疲労がマッハでヤバい)

    八幡(お化け屋敷入ったら留美がトラウマ発症してずっと抱きついてくるし……)

    八幡(いやまぁ俺の責任もあるからそれは構わないんだけど)

    八幡(川崎と城廻に気を回す余裕がなかった。そこのところは隼人がうまくやってくれていると信じたいが)

    八幡(先ほどの円卓会議では川崎はなかなか好調、と頼もしいことをいってはいたが)

    八幡(……なーんだか、不安なんだよなぁ)

    八幡(なんというか、城廻めぐりという女の子は、そう一筋縄ではいかないような)

    八幡(そんな気がするのである)


    八幡「……はぁ」

    めぐり「ため息つくと幸せが逃げるよ?」

    八幡「は!?」

    695 :

    八幡「し、城廻……さん。いつの間に」

    めぐり「いや、私も今来たとこだよ。なんか比企谷くんが悩んでるみたいだったから声かけちゃいました!」

    八幡「そうか……城廻さんは何をしに?」

    めぐり「めぐりでいいよ〜。てか、ここに来てやることなんて一つでしょ」

    八幡「それもそうか……」

    めぐり「ところで、ため息なんてついちゃってどうしたの?なんかすっごい思いつめてた顔してたけど?」

    八幡「え?ああ、別になんでもねぇよ…」

    八幡(あ、危ない危ない。悩みの種の張本人に聞かれちゃったよ)

    八幡「……お土産何がいいかなって、それくらいのことだ」

    八幡(はちまんのはぐらかす!)

    めぐり「その程度のことでそんなに思いつめることあるかなぁ?」ニコ

    八幡(めぐりんには こうかが ないようだ…)

    八幡(属性:ぼっちは相性悪いか……ならば)

    八幡「……甘いな、城廻さん。うちの親を舐めてもらっちゃ困る」

    めぐり「へ?」

    八幡「そう、あれは俺が中学生のときの修学旅行の話だ……」

    めぐり「あ、その語り長くなる?」

    八幡「ぐふっ」

    八幡(こうかは ばつぐんだ!)

    696 :

    八幡「……城廻さんの、それはさ」

    めぐり「?」

    八幡「天然なのか?」


    八幡(城廻めぐりは、普段はほんわか明るいオーラを振りまいている、いかにも人気者の女子みたいな女の子だ)

    八幡(だけど、たまに……)

    八幡(腹黒さを見せる)

    八幡(どちらが本当の彼女で、どちらが作り物なのかはわからない)

    八幡(もしかしたら、両方とも素でやっているだけかもしれない)

    八幡(……そう、俺は全く掴めないのだ。城廻めぐりという人物像を)

    八幡(だからこんなにも不安が募るのだろう)

    八幡(その人間の本質すら見抜けていないのに、その人間の心を操作することなどできるものか)

    八幡(この質問は、それを知るための第一歩となるはずだ)

    八幡(といっても、今更わかったところで遅いとは思うが……)


    めぐり「天然、かぁ……」

    めぐり「どうだろうね、自分ではこれ以上ないくらい素直になってるつもりだけど」

    八幡「………?」

    めぐり「それでも、他人からはやっぱりそう見えちゃうわけだ」

    八幡「何を、言って……」

    めぐり「ううん、なんでもないよ。忘れて。質問の答えは……とりあえずYESで。打算的な何かがあるわけじゃない。私は常に自然体だよ」

    八幡「………そうか」

    八幡(天然の定義も曖昧だが)

    八幡(城廻の定義する天然とは「自分を偽らないこと」)

    八幡(そういう意味では、自分は天然には違いないと。そう言いたいのだろう)

    697 :

    めぐり「比企谷くんはさ」

    八幡「……なんだ?」

    めぐり「もし、自分と正反対の人間が現れたとき。その人物にどんな感情を抱く?」

    八幡「………っ!?」


    八幡(「なぜそんな問を」その疑問よりも早く)

    八幡(俺の脳裏に真っ先に浮かんだのは)

    八幡(朗らかに笑う、彩加の顔だった)


    八幡「………憧れ、かな」


    八幡(反射的に、俺はそう答えていた)

    八幡(その答えを聞き、城廻はほんの少し、口角をつりあげる)


    めぐり「……君も、自分が嫌いなんだね」クスリ

    八幡「………」

    めぐり「うん、そうだよね。それは……憧れ。ただの理想像でしかない」

    八幡「……城廻、お前は……」

    めぐり「おっと、それ以上はいけないよ」

    八幡「………………」


    めぐり「私たちは似てるね」

    八幡「そうか?」

    めぐり「うん。君も私も、世界の外側にいる」

    八幡「………………」

    八幡(やはり)

    八幡(そういうこと、なんだろう)

    八幡(この女の、本質は)

    698 = 1 :

    八幡(彼女も、俺と同じ)

    八幡(人よりも少し物事を俯瞰して見ることが出来て、人よりも少し達観した考えを持っている―――――)








    八幡(――――と思い込んでいるだけの、ただの勘違い野郎だ)

    699 :

    八幡「……一緒にするなよ」

    めぐり「…………?」ピク

    八幡(城廻の顔から、表情が消え失せる)

    八幡「俺を、お前なんかと一緒にするな」

    めぐり「……………!」


    八幡「確かに、俺もお前もルーツは同じだ」

    八幡「俺は人間関係のしがらみから逃げるため、お前もおそらく俺と同じようなトラウマから」

    八幡「世の中を斜めから見ることで、自分と世界を切り離し、自分を保とうとした」

    めぐり「………」

    八幡「俺と違ってお前はぼっちじゃなかったがな。でも隼人が言っていた。『友達だけど、アイツのことはよくわからない』」

    めぐり「…………」

    八幡「つまりはそういうことなんだろ?」

    八幡「体裁のためになんとか友達と呼べる人は作ったが」

    八幡「彼らすらも、お前は自分の世界に入らせようとはしなかった」

    めぐり「………………」

    700 :

    八幡「勇気が出なかったんだ」

    八幡「自分の心に、他人を踏み込ませる勇気が」

    八幡「俺は違うぞ」

    八幡「いろいろ葛藤もしたが……それでも、俺はあいつらと真剣に向き合うことに決めた」

    八幡「あいつらの心に踏み込もうともしている」

    八幡「俺とお前の違いは、そこだ」

    八幡「俺は停滞しているだけのお前とは違う」

    八幡「自分の気持ちをくだらねぇ理由付けで誤魔化そうとしているお前とは違う!」

    八幡「同族見つけて自己肯定しようとしてんじゃねぇ!」

    八幡「んなの、隼人に……材木座に、平塚に、それに、川崎に!!失礼だろうが!」


    めぐり「…………………………」


    八幡(………こんなに熱くなったのは初めてかもしれない)

    八幡(思わず我を忘れそうになるほど、俺はこいつに苛立っていた)

    八幡(城廻自身が、俺と城廻は似ていると言っていたが)

    八幡(本当にその通り。まるで鏡を見ているようだ)

    八幡(城廻の言う通り、俺は自分が嫌いだ)

    八幡(だからこそ、城廻のことがとても憎たらしい)


    八幡(城廻は俯いて何も言わない)

    八幡(いっそ泣け。俺はそう思った)

    八幡(心底コイツのことが嫌いなんだなぁと実感する)

    八幡(さっきの言葉も、城廻や川崎に向けてのものというよりは……自分自身に、向けたかった言葉なのかもしれない)

    八幡(しばらくの静寂)

    八幡(急に、城廻は手で顔を抑えた)




    めぐり「………………ぷっ」

    八幡「……?」

    めぐり「あはははははは!」

    八幡(……………!?)

    八幡(な、なんだ!?)


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