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    元スレ八幡「俺ガイルのキャラをシャッフルする」

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    551 :

    めぐり先輩も怒ってたのか

    552 = 1 :

    あ、表記かえるの忘れてた
    これから奉仕部は下名前表記しますね

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    海老名「………ではではー!続いて文化祭実行委員長よりご挨拶です!」

    川崎「…………」


    八幡(マイクを握る川崎には、少し緊張の色が見られる)


    川崎「どうも、文化祭実行委員長を努めさせていただきました、川崎大志です」


    八幡(川崎のスピーチはつつがなく進んでいく)

    八幡(文化祭実行委員全員、文化祭運営に協力してくれた先生や有志、すべての人に感謝を述べ、自分が委員長に立候補をした経緯を語った。観客席からは、『堅いぞー!』とか『緊張してんのかー?』なんて野次も飛ばされていた)

    八幡(そして)



    川崎「……最後に、今回文化祭に一番貢献してくれた委員のことを話します」

    彩加「……!」

    八幡「……?」


    川崎「一度、準備が順調に進んでいる慢心から、文実を自由参加にしていた期間がありました」

    八幡(観客がざわつく)


    川崎「その期間は委員の数もグッと減り、すぐに順調に進んでいた準備は難航しました」

    川崎「僕は自分の決断に後悔しました。やはり僕は城廻さんや海老名先輩のようにはいかないと、自己嫌悪にも陥りました」

    川崎「そんな中、彼は1人で、もくもくと作業を続け……たった1人で、文実全体の遅れを食い止めてくれていました」


    「…………」

    八幡(バツの悪そうに、目を伏せる委員もいた)

    553 = 1 :

    川崎「嫌な顔一つせず……いや、嫌な顔はしてたか……それでも、文句も言わず、まるで自分がするのが当然かのように、他人の仕事を請け負い、僕たちに見せつけるかのように……働いてくれました」

    川崎「そんな彼の姿を見て、目が覚めたんです」

    川崎「今まで自分がどれだけくだらないことに嫉着してきたのかということに気づけたんです」

    川崎「1人だろうが……誰にも見られてなかろうが……それでも誰かのために働ける、そんな彼が、とても眩しくて」

    川崎「あんな人になりたい。そう思えました」




    八幡(………なんかすっげぇ恥ずかしいんだけど…………)

    八幡(川崎がどう思おうとあれは独善的な行動に代わりはないわけで……)

    八幡(傷口を直接えぐられてる感触)




    川崎「……結果、彼のおかげでなんとか文実は持ち直し、準備を整えることが出来ました」

    川崎「だからこそ!僕は……俺は、この文化祭を最高に盛り上げたい!!」

    川崎「過去最高に盛り上がったと言われる、一昨年を超えるくらい!」

    川崎「だから………とりあえず楽しめええええええええええ!!」


    「お………」


    「「おおおおおおおおおおおおっ!!」」


    八幡(川崎はカンペを握りしめながら絶叫した)

    八幡(あれ後半完全アドリブだろ……)



    八幡(……恥ずかしさで死にそうなのは確かだが)

    八幡(やはり、なんだか少し報われた気がした)

    554 = 1 :

    八幡「さてと………」

    八幡(記録雑務の当日の仕事は、文字通り記録だ)

    八幡(文化祭の様子を写真に収め、記録する。また、各団体の見回りなども行う)

    八幡「……ま、することもねぇし、な…」


    八幡(戸塚や葉山にも別の仕事が割り当てられていて、とてもじゃないが出し物を見て回る空気ではない)

    八幡(俺はといえば写真をパシャパシャやっているだけなので、正直普通に遊べる感じである。写真を撮る名目で中は入れますし…)



    留美「はっちまーん!」

    八幡「おわっ!?」

    八幡(腰に軽い衝撃を受ける)

    八幡「ちょっ、離せ留美……」

    八幡(変な目で見られるだろうが……)

    留美「写真撮ってるだけなの?だったら一緒に遊ぼ、ほら」

    八幡「……そういうわけにもいかねぇよ、仕事だからな……」

    八幡(思ってもないことを口にする)

    八幡(確か去年も、こいつに絡まれて散々な思いをした覚えがある……)

    八幡(別に留美が嫌いってわけじゃない)

    八幡(女子と2人で文化祭って……なぜか妙に意識してしまうのだ)


    留美「むー、やっぱり冷たい……」

    八幡「仕方ないだろ……仕事が一区切りついたら遊ぼうぜ、みんなで」

    留美「……むぅー、みんなで、かぁ…」

    八幡「そう言うなって……」


    八幡(引きはがすと、留美は戻っていった。おおかたクラスに戻るのだろう)

    八幡(……そういや俺アイツの交友関係知らねぇな。まぁだいたい察し付くけど…)

    555 :

    もう付き合っちゃえばいいのに
    ここまで好意全開で勘違いなんてありえないしなにが不満なんだろ

    556 :

    八幡「……ん?」

    八幡(LINE?)

    LINE 漆黒の月光牙 ちょっと前
    フーハハハハ!!
    八幡よ。今すぐ2-Fへ来るがよい!!
    パーティーの始まりだぞ!!

    八幡「……なんとなく察しはついたぜ」

    八幡「既読付けちまったし、行くか……」




    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    雪ノ下「……………………」

    八幡「……………………」

    八幡(よりにもよって、こいつか……)

    八幡(店内ではメイド服を来た女の子たちがせわしなく働いている)

    八幡(恥ずかしがってる子もいるが、大抵の子はなんかもう、吹っ切れてる)

    八幡(やけくそ気味に『萌え萌えキューンっ!』なんて言ってるのは正直見てて微笑ましい)

    八幡(……だがこいつはそういうわけにもいかないようで)


    雪ノ下「……お、お帰り、なさい、ま……せ……」

    八幡(あかん、目が笑ってない)

    材木座「ほら。頑張るのだ、雪ノ下よ!」

    平塚「腹を括れ……あっ、ご注文はお決まりですかぁ~??ただ今参りますぅ~・」

    雪ノ下「………クッ!!こんな屈辱……しかもよりにもよってこんな男に!!」

    八幡「聞こえてんぞ……」


    八幡(……しっかし、あれだな、こいつのメイド服姿)

    八幡(普段とのギャップがやばい。もともとかなり整った顔をしてることもあり、破壊力は抜群だ……)

    八幡(……顔赤くなってねぇかな)


    材木座「……ほむぅ、なんだ。雪ノ下よ、貴様はその程度のことすらできん雑魚だったか……」

    雪ノ下「……」カチン

    材木座「どうやら我の買いかぶりだったようだ。すまないな、できないことを無理に強要する趣味はない。下がっていろ」

    雪ノ下「…………」ガシッ

    材木座「ぎょふっ!?」

    雪ノ下「お帰りなさいませぇ、ご主人様?今少しゴミ掃除をしている最中でして……申し訳ありませんが、でていってくれないでしょうか?」

    八幡(目がマジだ)

    八幡「すまん、材木座」ダダッ

    材木座「ちょっ!?はちまん!!我を、我を見捨てるというのか!?待て、待つんだ雪ノ下嬢!撤回する!貴女は最高のメイドだだからその手を……」

    雪ノ下「遺言は聞き届けたわ……」

    材木座「が、あ、ぁぁぁ………」



    材木座「」カクリ


    生徒たち「お、オーナーぁぁぁ!!」

    557 = 1 :

    今日は終わり。
    遅くなってすいませんでした。
    これから以前よりはぺーすあがるとおもいます

    余談ですがアキト最終章面白かったです

    560 :


    るみの厄ネタ発動したかと思ったが、純粋に心配してただけみたいでよかったよかった

    562 :

    乙!!
    なんだろうこのなに一つ間違ってない青春ラブコメ……

    564 :

    ここまでされてなおルミルミと付き合わないのはよっぽどはるのんに植え付けられたトラウマがでかいんやろなあ
    そう考えるとこのシャッフルは絶妙だな

    565 :


    八幡報われすぎだろこれが本当の青春物語だ

    566 :

    陽乃さんなんて呼びかたしてたから何となくだけど同級生じゃなくて年上なイメージ。

    しかしシナリオ通りに進むとなるとはるのんとゆきのんが対立するのか……、どうなるか期待

    567 = 1 :

       __   _____   ______
       ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
        'r ´          ヽ、ン、
      ,'==─-      -─==', i
      i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
      レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
       !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |  _人人人人人人人人人人人人人人人_
        L.',.  ヽ _ン    L」 ノ| .| > ゆっくりしていってね!!!<
        | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /   ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y
        レ ル` ー--─ ´ルレ レ´

    568 = 1 :

    忘れてください

    569 :

    ゆっくりしていきます!

    570 :

    ルミルミがゆきのんとガハマさんを合わせたような立ち位置でヒロイン力高いね
    天使(戸塚)と葉山っていうある意味で八幡の一番の理解者かもしれない存在が入ったことで奉仕部の安定感が半端ない、これが本物か…

    571 :

    この奉仕部3人の関係性
    ノーマル海老名がいたらと思うとゾッとするぜ…グフフフ
    それにルミルミの正妻ぶりに相模とは大違いの大志の成長ぶり

    572 :

    八幡(文化祭は二日目を迎えた)

    八幡(出し物自体は昨日でだいたい見回ったが記録の仕事がなくなるわけではない)

    八幡(一日目と二日目、両方の記録を残さねばならないからだ)

    八幡(なんなんだよそれ……どっちか片方だけでいいだろ……)

    八幡(ちなみにそれを知ったのは昨日のミーティングでなので当然一日目の記録が残らないものもある)

    八幡(というわけで今日も変わらずパシャパシャとやっております)



    めぐり「ごめんなさい、出してもらった申請書類と違うことされると、ちょっと……」


    八幡(……ん、あれは城廻?)

    八幡(3-B……『トロッコ列車』か。なにか問題でもあったのか?)



    ゴォォォォォォ
    キャァァァァァァァ!!!



    八幡(……なるほどトロッコ列車ではないなこれ)

    573 = 1 :

    先輩「うっ……うちは申請通りトロッコ列車ですよ!面白くするためにちょっとだけ変えてありますけど!」

    めぐり「うぅ~ん……面白くするのはいいと思うんですけど、ちょっと安全面が保証できないような内容となると……」

    先輩「あ、安全面は大丈夫です!」

    めぐり「それを保証するのが申請書類なんですけど……困ったなぁ」

    先輩「う、うぅ………」

    めぐり「あ、わ、私だって文化祭を盛り上げようとしてくれている先輩方の心意気はとてもありがたいんですよ!?でも、やっぱり最低条件としてお客様の安全は保証しないと……そのための私たちの仕事なんですし!」

    先輩「え……えっと……」




    八幡(……あれ天然だとしたら相当だな)

    八幡(あえて相手の言い分をある程度認め、優しく諭すように説得することで自分の行動を客観視させ反省をうながす)

    八幡(そのふわふわぽわっとしたオーラも相まって相手方もあまり強くは出られないようだ)

    八幡(こういう人のことを人身掌握術に長けるっていうんだろうなぁ……)




    先輩「ごめんなさい……申請したものと同じに戻します……」

    めぐり「水を差すようで申し訳ありません!!でもこれも文化祭のためですので……」

    先輩「いや、城廻さんが謝ることはないよ…」

    めぐり「……はい。ありがとうございます。では、私はほかの見回りにいきますので…」




    八幡(そうして城廻は俺が来た方向は反対の方向に歩きだす)

    八幡(俺はほぼ無意識的に元きた道を引き返していた)

    574 = 1 :

    戸塚「……あれ、八幡?」

    八幡「戸塚!」

    八幡(こうして文化祭中に会うのは初めてかもしれない)


    八幡(戸塚は文実の中では例外的にクラスの方を手伝わされていた。まぁ、もともと文実じゃなぇしな俺ら)

    八幡(戸塚の属する国際教養科は9割を女子が占める、お嬢様クラスだ)

    八幡(やはり文化祭は男手が足りないらしい)

    八幡(だから、戸塚が駆り出されたわけだ)


    八幡「クラスの方はいいのか?」

    戸塚「うん……力仕事は終わったから、もう遊んでていいよって言われちゃった」

    八幡「そうか……」

    八幡(なんというホワイト。ぼくもj組に入りたかったとです………)

    戸塚「八幡は、仕事どう?」

    八幡「あー……まぁ、ぼちぼち、な。だいぶ写真は撮ったし」

    戸塚「そっか……じゃ、息抜きになにか出し物でも見て回る?」

    八幡「………っ!」

    八幡(これは………)

    575 = 1 :

    八幡「……いいかもな。仕事ばっかりじゃ気が滅入る。文化祭もフレーム越しでしか見れてねぇし……」

    戸塚「た、大変そうだね……ごめんね?ぼくだけクラスの方手伝うことになっちゃって…」

    八幡「気にすることはねぇだろ。疲れるだけで辛くはねぇし。なんならお前の方が辛いまであると思うぞ」

    戸塚「そ、そうならいいんだけど……じゃあ、どこいこっか?」

    八幡「あ、仕事上だいたいの出し物もう見ちゃったんだけどさ、まだ見れてねぇやつがあるんだ。そこいかないか?」

    戸塚「うん、いいよ。どこなの?」



    八幡「―――――お化け屋敷だよ」

    576 = 1 :

    あークソ
    今日更新分全てのレスの
    「戸塚」→「彩加」でお願いします

    寝ぼけすぎですごめんなさい


    お化け屋敷ーーーーーーーーーーーーーーーー

    八幡「」ガクガクプルプル

    彩加「は、八幡……ちょっと、掴みすぎじゃ」

    八幡(な、な、なんだこのお化け屋敷……なんでこんな無駄に本格的なんだよ…)


    「」足ガシッ

    八幡「う、うおあぁぁぁぁっ!!」

    彩加「は、八幡転ぶ!やめて!」

    八幡「わ、わりぃ……」

    彩加「……でも知らなかった。八幡ってこういうの案外弱いんだね」

    八幡「……お前は随分と強いんだな」

    八幡(妄想とは完全に立場逆転である)

    八幡(普段は可愛いと思える彩加の背中が、今はとてもたくましく、頼もしい)

    彩加「なんかさ、わくわくしないっ?」

    八幡「……しねぇわ……」

    八幡(俺だってお化け屋敷は特別弱いというわけでもない)

    八幡(でもなぜか、このお化け屋敷はツボにハマったらしい。さっきから腰が抜けて膝が震えて……情けない痴態を晒している)


    彩加「……へへ、また知らない八幡がぼくの中に増えた。嬉しいよ」

    八幡「俺の中にもまた新しい彩加が増えたわ……」


    八幡(この半年間、彩加と付き合って)

    八幡(見た目とは違い、男の子らしいが渋い趣味をして、なかなか肝が太いところがあって……)

    八幡(憧れにはひたすら前向きで、それゆえに自分を見失ってしまうこともあって…)

    八幡(彩加のいいところも、悪いところも、たくさん知れた)

    577 = 1 :

    彩加「……あっ、ゴールだね!」

    八幡「やっと終わったか……」

    彩加「楽しかったぁ!なかなか本格的だったね!文化祭でこれは凄いなぁ…」

    八幡「…アマチュアだからこそより自然な感じの恐怖を与えられるのかもな…」

    彩加「……だ、大丈夫?八幡」

    八幡「大丈夫だ……お化け屋敷なんて二度と行かねぇ……」

    彩加「これは……大丈夫じゃないね…」

    八幡「すまんな……自分から行こうって言いだしたのに」

    彩加「いいよ。そんなの。中には苦手な人もいるってことくらい分かってるしさ」

    彩加「……それに、そういうのが苦手な八幡って……なんか、可愛いし」ボソッ

    八幡「ん?何か言ったか?」

    彩加「えっ!?いや、なななんでもない…」

    八幡「…んだよ、気になるだろ」

    彩加「だからなんでもないってば……」

    八幡「いいだろ、いえよ」

    彩加「そんなわざわざ言うことじゃ―――あ」


    彩加「八幡、写真撮った?」

    八幡「あ」

    578 :

    彩加「はい、撮ってきてあげたよ」

    八幡「ホント悪いな……」

    彩加「大丈夫だよ。ぼくだって文実だし」

    八幡「だけどこれは俺の仕事だ」

    彩加「律儀だなぁ……困ったことがあれば助け合えばいいじゃん」

    八幡「む………」

    彩加「……この前のも、結局はそういう話なんでしょ?」

    八幡「う………」


    八幡(改めて思い出すと恥ずかしいな…)

    八幡(何故か高二になってから黒歴史の数がぐんと増えた気がするんだが……)


    <テンテンテン テンテンテンテンテン テンテンテンテレン♪♪


    八幡「……LINE、電話?」

    彩加「隼人くんからかな?」

    八幡「もしもし」

    隼人『やぁ、八幡』

    八幡「どうしたんだ。お前は中央ステージ担当だろ。なにかあったなら本牧の方に……」

    隼人『いや……ちょっと伝えたいことがあってさ』

    八幡「伝えたいこと……?」


    隼人『戸塚のお姉さんが今からバンドやるらしいから……体育館来いよ。一緒に見ようぜ』

    579 :

    八幡(体育館は人でごった返していた)

    八幡(観客の目は、ステージに立つ縦ロールのもとへ吸い寄せられている)

    八幡(戸塚優美子)

    八幡(そしてその周りを取り囲むように、由比ヶ浜先生、海老名先輩、……あとは名前すら知らない)

    八幡(そこで、はたと気付く)

    八幡(配置的には中央にいるのは由比ヶ浜先生なのだ)

    八幡(なのにも関わらず、まるで優美子さんを他の人が囲んでいるように見える)

    八幡(それだけ、女王の放つオーラは凄まじい)

    八幡(見るだけで、戸塚優美子があらゆる才能に愛された存在であることが分かった)


    隼人「来たか」

    八幡「隼人……」

    彩加「………」

    隼人「文実に来てくれたときに初めてあの人のことを知ったけど……予想以上にすごい人なんだね」


    八幡(そう、すごい人)

    八幡(チープだが、戸塚優美子という存在を形容するにはこれだけで十分だ)


    八幡(彩加は、期待と羨望の眼差しで姉をながめている)

    八幡(優美子さんが持っているのはギター……海老名先輩が、キーボードかな?由比ヶ浜先生はマイク……マイク!?)

    八幡(う、歌うのか…由比ヶ浜先生)

    580 = 1 :

    今日は終わります……

    582 :


    相変わらず違和感が仕事しない

    584 :


    由比ヶ浜先生に俺のマイクを扱いてもらいたい

    585 :





    八幡(…………ベースの余韻が、完全に消える)

    八幡(それぞれの楽器を構えていた彼女たちは、一息ついたように楽器を降ろす)

    八幡(サビではあれだけ盛り上がっていた聴衆たちは、曲の余韻に浸るようにしんと目を瞑り、耳を澄ませている)

    八幡(それは、俺も……こいつらも、同じだ)


    八幡(由比ヶ浜先生は呼吸を整えながら、そんな俺達を一瞥し―――)

    八幡(マイクを構えた)




    由比ヶ浜「みんな、ありがとー!」


    「「「おおおおおおおおおっ!!!」」」


    八幡(これまでの静寂が嘘のように、観衆の興奮が爆発する)

    八幡(その観衆の中には……俺もいた)

    八幡(ライブなんてものは人生初体験だが)

    八幡(こんなに声を張り上げたのは人生で初めてかもしれない)


    八幡(それほどまでに、優美子さんたちの演奏は圧倒的だった)

    586 = 1 :

    彩加「すごいっ!やっぱりすごいよ姉さん……!いつか、ぼくも……!」

    隼人「はははは……あの由比ヶ浜先生がね!確かにこれはトリに相応しい!」


    八幡(誰もが、舞台の上の彼女を礼賛した)


    八幡(声援には笑って手を振り返す。その声援は次第に"アンコール!"に変わっていった)


    八幡(便乗するとしよう)



    由比ヶ浜「ありがとう!じゃあ、もう1曲だけ」

    ワァァァァァァァァァァァァァ


    八幡(もはや悲鳴に近いな……)


    八幡(演奏なんてある程度練習をすれば素人目でも大差ない仕上がりにはなる)

    八幡(だが、それをどう魅せるかで、ライブの盛り上がりは決定的に違ってくる)

    八幡(アマチュアのバンド……それも文化祭のために急遽集めたようなメンバーで、ここまでのものを仕上げるのは普通ならまず不可能だろう)


    八幡(それを可能にできるのが)


    八幡(戸塚優美子という存在だ……)

    587 = 1 :

    八幡(聞いていればわかる。このライブはどう見ても優美子さんがリードしている)

    八幡(全員が、ギターに合わせに行っている)

    八幡(優美子さんはそれに応えるように盛り上がる箇所、その場の雰囲気、そういったものを瞬時に判断し……)

    八幡(それに見合った演奏をしている)

    八幡(常にそれの繰り返し)


    八幡(この人が高スペックなのはだいたい知っていたが、実際にこの人の実力を垣間見たのは……今回が初めてだ)

    八幡(その上で評せる)

    八幡(この人は化物だ……)

    八幡(彩加が劣等感を抱いてしまうのも……仕方のないことだ。これを間近で見せつけられてきたなら、自分を捨てたくもなるだろう)




    由比ヶ浜「だから進むの更なる時へぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」

    「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」」」


    八幡(……アンコールももう終わる)

    八幡(あっという間だった)


    彩加「………終わっちゃうね」

    隼人「ずっと聞いてたいなんて思ったのは……いつ以来のことかな」


    八幡(この演奏を、こいつらと聞けてよかったな、なんて)

    八幡(ガラにもないことを思ったりする)

    589 = 1 :

    八幡(割れんばかりの拍手と歓声を浴びながら)

    八幡(優美子さんたちは退場していった)


    八幡「……やっぱとんでもねぇのな、お前の姉ちゃん」

    隼人「ギターの人だろ?あの人めっちゃ美味かったな……教えてもらおうかな…」

    彩加「うぅぅぅ……!姉さんがやってるの見て、ぼくも弾きたくなってきちゃったなぁ」

    八幡「え、彩加お前……ギター弾けるのか?」

    彩加「……姉さんがやってたことは、一通りね。何一つ姉さんには追いつけてないけど」

    八幡「っ……!」

    八幡(それでも一般人を軽く凌駕するレベルではあるんだろうが)

    八幡(こいつにとって、それは劣等感をますます強めるだけにすぎない……)

    隼人「へぇ、今度聞かせてくれよ!」

    彩加「いや、ぼくのなんて人に聞かせるレベルじゃないよ……」

    八幡「もうちょっと自信持てよ。お前が優美子さんより劣るなんてことはないから」

    彩加「………?」

    八幡「優美子さんの音楽の作り方と、お前の音楽の作り方は、違う」

    八幡「優美子さんのをいくら真似ても追いつけるわけないだろ。でもそれはお前が優美子さんより劣ってるからじゃない。例えるなら……敵の作ったゲームで対戦するようなもんだ」

    八幡「お前が本気でやったら、優美子さんなんて目じゃないさ。俺が保証する」

    彩加「そ、そんな………!」

    隼人「……実際俺もそう思うよ。彩加に必要なのは、自分に自信を持つことじゃないかな?」

    彩加「それは……」

    590 = 1 :

    八幡(自分に自信を取り戻す―――)

    八幡(自分を肯定してあげる―――)

    八幡(そうすれば、彩加も……過去と向き合える日が来るはずだ)

    八幡(過去と向き合わせれば、彩加だって俺たちに何があったか相談してくれるはずだ)

    八幡(そうすることで、初めて一歩を踏み出せる)

    八幡(本物への、長い長い道のりの)


    彩加「……そうだよね」

    彩加「自分に自信を持つ……か、でもごめん。急にはできそうにないや」

    隼人「そうか……早く彩加のギター聞きたいんだけどな」

    彩加「ぼく、頑張るよ……ぼくの中の弱い自分を追い出して……そしていつか、その弱い自分ごと自分を認められるように」


    彩加「……だから、さ」




    彩加「八幡も、頑張ろ?ね?」




    八幡「……………!?」

    八幡(頑張る……?)

    八幡(なにを……?)




    八幡(自分に自信を取り戻す)

    自分に自信がないのは?

    八幡(自分を肯定してあげる)

    自分を否定し続けているのは?

    八幡(過去と向き合える日が、いつか―――)


    過去と向き合えていないのは?


    誰だ?


    八幡「ぁ………………」


    八幡(違う……)

    八幡(俺は……………)



    ??『キミってさ、本当に面白いよね』




    八幡(俺は……………………っっっ!)

    591 = 1 :

    彩加「八幡……?」

    八幡「………ぁ」

    隼人「ど、どうした……顔色悪いぞ……」

    八幡「……あ、いや、なんでもない。気にするな………」


    八幡「そうだな……俺も頑張る。だから、彩加も頑張ってくれ……」

    彩加「う、うん………」


    留美「………みーつけた」ドンッ

    八幡「たっ!?……っておま、留美……!」

    留美「仕事、あるんじゃなかったの」

    八幡「あっ……いやほら、一段落付いたからライブでも見に行こうかと……」

    留美「……午後3時ごろ、2-Cのお化け屋敷でボーイッシュ系の女子生徒にしがみつく目つきの悪い男子生徒が目撃されている」

    八幡「なっ……!ちょっと待て!なんで……つーか、見られてた!?」

    留美「やっぱり……彩加とデートしてたんだ。そうなんだ。私の誘いは断っておいて……へぇ~」

    八幡「いや待て留美……これにはバイカル湖よりも深い事情があってだな……」

    留美「言い訳は、無用……謝罪は、行動で示してもらう……行くよ」

    八幡「待てっ……!くび、しまっ……!かっ……はっ……!」




    隼人「は、ははは……俺たちも行くか」

    彩加「……………」

    隼人「彩加?」

    彩加「……あ、ごめん、隼人くん……うん、行こうか」

    592 = 1 :

    居酒屋ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    大志「お疲れ様でしたー!」

    文実「「「お疲れ様でしたー!」」」


    八幡(色々あったが)

    八幡(こうやって、文実の集まりだけで打ち上げをするくらいには、きちんとまとまっていたんだろうな)




    めぐり「いやぁ~、なんとか終わったね!」

    大志「本番は大した問題も起きなくてよかったよ。どうかな、最高に盛り上がる文化祭に出来たかな……」

    めぐり「うーん、最高に盛り上がったのは盛り上がったと思うんだけど……」


    めぐり「……一番盛り上げてくれたのたぶん有志の由比ヶ浜先生たちだよね」チラ

    大志「あぁ………」チラ


    由比ヶ浜「ほえ?どしたの?」




    隼人「いやー、楽しかった。言っても俺が遊べたの二日目の終わりかけからだったけど」

    留美「……うん。4人で、っていうのも悪くない。八幡、これでチャラにしてあげる」

    八幡「」チーン

    彩加「だ、大丈夫……?」

    八幡「……燃え尽きたぜ……真っ白にな」

    隼人「散歩を嫌がる子犬みたいだったもんね、途中から」

    留美「犬八幡……いいかも」

    八幡「……お前のせいで今月は何も買えねぇ」

    留美「それでもねだったら限界までお金出してくれる八幡が好き」

    彩加「貢ぎルートまっしぐら……」

    八幡「やめろ……」

    593 :

    由比ヶ浜先生がいるとはいえ高校生で居酒屋はどうなの?

    594 :

    ssだから問題ない

    595 :

    八幡「てかなんで留美がいるんだ。クラスの打ち上げはどうした?」

    留美「言ったでしょ。私は八幡の付属品」

    八幡「あれ本気だったのか……」


    隼人「付属品、ねぇ……」

    彩加「うーん……」

    八幡「何釈然としない風なんだよ…」


    海老名「わからない?」ヒョコ

    彩加「わっ!?」

    隼人「び、ビックリした……どこから湧いたんですか海老名先輩」

    海老名「そんな人をクリーチャーみたいに……」

    八幡(なぜだか今親近感が湧いた)

    八幡「俺たちに何か用ですか?」

    海老名「腐腐腐……ちょっと、取材をね」

    彩加「嫌な予感しかしない……」

    隼人「………」

    八幡「先回りしときますけど俺たち別にそういうんじゃないですからね?」

    海老名「またまたぁ。男が3人だけで部活なんて……何も起きないわけが……」

    八幡「漫画とは違うんですよ漫画とは……」

    八幡(同性愛者なるものが一定数はいることは理解しているつもりだが)

    八幡(そういう奴と一生に一回でも関わる確率はかなり低いだろう。それも俺みたいに誰ともつるまないやつなど……)


    海老名「……その様子だと、本当に何も気づいてないみたいだね?」

    八幡「え?なにを……」

    隼人「海老名先輩ちょっとこちらで話しましょうか!!」

    海老名「……おっとっと~」




    彩加「……な、何を話してるのかな」

    八幡「さ、さぁ……あいつがここまで取り乱すのも初めて見た気がする……」

    596 = 1 :

    隼人「………」

    留美「あ、おかえり」

    八幡(何を話してたのかは……まぁどうでもいいか。どうせ大したことじゃないだろう)


    海老名「ごめんね、なんか1人で暴走しちゃって……癖なんだよね、考え出したら止まらなくなるの。よく優美子に怒られてたなぁ」

    留美「優美子……?」

    海老名「あぁ、私の一つ上の先輩で、そこにいる戸塚くんのお姉さんだよ」

    留美「上級生を……呼び捨て?」

    海老名「優美子はそういう先輩だったからね」

    八幡(確かに、俺にも出会ってすぐ下の名前呼びを強要してきたなあの人……)


    海老名「水指しちゃってごめんね!じゃあ私は行くから……と、葉山くん、その件はまたいつか、ね」

    隼人「……はい。よろしくお願いします」

    八幡「待て」

    隼人「どうしたんだい?」

    八幡「なに、お前あぁいうのが好みなの?」

    隼人「むっ……心外だな。そういうのじゃないよ」

    八幡(いやしかし今の会話は……)

    八幡(………そう、としか聞こえないが)

    八幡「否定するなら詮索はしないけどよ…」

    八幡(でも確かに、海老名先輩は腐女子だが……顔はいい方だし、生徒会長としての能力の高さと頭の良さは折り紙付きだろう)

    八幡(……まぁ、普通にしてれば、もてるだろうな。この先輩は)

    八幡「……頑張れよ」ポン

    隼人「なんだかものすごく不名誉な誤解をされている気がする………」

    留美「……どんまい、隼人」




    彩加「………隼人くん、まさか……」

    海老名「キミは、それでいいの?」ボソッ

    彩加「!?」

    海老名「なんでもないよ♪じゃね~」

    彩加「…………」

    597 = 1 :

    比企谷家ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    八幡「……疲れた」

    沙希「お帰り」

    八幡「……結局お前来なかったな……」

    沙希「……兄の学校の文化祭に一人で行く妹ってどうよ、実際」

    八幡「俺ならお前の文化祭は一人でも行くぞ」

    沙希「来ないくせに……」

    八幡「いやっ!だってお前……同級生と鉢合わせたら……恥ずかしいだろ。沙希が高校生になったら毎年行くよ」

    沙希「そんときはアンタも受験でしょ」

    八幡「む………」


    八幡(受験、か)

    八幡(受験が始まれば……今の時間も、きっと保てなくなるのだろうか)


    八幡「……沙希は、さ」

    沙希「ん?」

    八幡「高校、どこ受けるんだ?」

    沙希「んー……」

    八幡(とりあえず、別の話題を出して、頭の隅からその考えを追いやることにする)

    沙希「……第一志望は総武だよ」

    八幡「えっ」

    沙希「勘違いしないでよ……ただやっぱりここから近くて、それでいて安定した合格実績のある学校っていうと……やっぱ総武かなって」

    沙希「それに……うちの中学から総武行くの一人か二人だっていうし……」

    八幡「俺の妹だわ……」

    八幡(志望理由が完全に俺と同じである)


    沙希「く、うぅ……『アンタと一緒にするな』とは、言えないか……」

    八幡「仕方ないさ兄弟だもの。沙希成績いいし、まぁ余裕で受かるんじゃね?俺は数学でかなり苦戦したがな……」

    沙希「まぁ、そうは言ってもね……何があるかわかんないのが受験だし。一応第四くらいまでは考えてる」

    八幡「堅実だなー……」

    598 = 1 :

    沙希「アンタは、どうするの」

    八幡「ん?」

    沙希「大学。……やっぱり、東京の方目指したりするの?」

    八幡「んー……」

    八幡(前までの俺ならば私立文系一択で、千葉の中からよさげな私立大学見繕って受けるつもりではいた)

    八幡(だけど、彩加たちとの勉強会によって……数学の成績が飛躍的にあがった)

    八幡(正直言うと、欲が出ている)

    八幡(彩加クラスならば、まず東京の大学を受験するだろう)

    八幡(それを、追いたい。どこまでもついて行きたいたい……そんな、欲が)


    八幡「……保留だ」

    沙希「優柔不断だね」

    八幡「慎重といえ。大学は高校とはまた全然違うんだよ……」




    八幡(彩加を追って、追い続けて)

    八幡(俺は、どうしたいんだ?)

    八幡(彩加になりたい、のか?)


    『優美子さんのをいくら真似てもお前が追いつけるわけないだろ』


    八幡(……わかってる)

    八幡(わかってるから……だから)

    八幡(自分で決めろ、自分の道を)

    八幡(自分で選べ。自分で拓け)

    八幡(その選択に、自信を持って―――)




    第十一章
    そうして文化祭はつつがなく終焉を迎える

    599 = 588 :

    乙でした
    千葉県内によさげな私立大学の文系学部ってあるのかな?

    600 = 1 :

    奉仕部ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    八幡(文化祭も終わり)

    八幡(中秋から晩秋に差し掛かったこの頃)

    八幡(高校生活一大イベントとも呼ばれるイベントが訪れようとしていた……)


    留美「」ドヨーン

    八幡「」ドヨーン

    彩加「な、なんか暗いね二人とも……」


    留美「この手の旅行は毎年経験してるけど……未だに慣れない。あの地獄のような時間だけは未だに耐えられない……」

    八幡「彩加のクラスはそもそも男子が少ないし、隼人は元から4人組ができるから問題ないかもしれねぇけどな……」


    八幡(…………そう、"修学旅行の班決め"である)

    八幡(これで何回惨めな思いをしてきたことか……まぁ惨めなのは慣れてるんだけど。一人入れてもらった立場から生じる罪悪感と場違い感がヤバイ)

    八幡(女子の世界じゃそれがもっと顕著なんだろうな……留美もここ数日ずっとあんなんだ)


    留美「いや……もうカースト低い女子から腹いせにいたぶられるのはいや……」ブツブツ


    八幡(……ほんっと女子ってこわい)




    隼人「え?八幡は俺と組まないのか?俺はそうするつもりでいたんだが……」

    八幡「大和とか大岡とかどうすんだよ。俺が入るとなると一人あぶれるぞ」

    八幡(そっちの方が気まずいわ……)

    隼人「あー……うーん、確かにここで『お前らとは組まない』っていうのは感じ悪いし……でもそれだと作戦がな……」

    八幡「作戦?」

    隼人「いや、なんでもない」

    八幡(なんだコイツ……?)


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