元スレ八幡「なんだ、かわ……川越?」沙希「川崎なんだけど、ぶつよ?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
451 :
八幡「はあ……学校行きたくねえ」
小町「起こしに来たらいきなりそんな事を言われる小町の身にもなってよお兄ちゃん、ポイント低いよ…………てか何? また寝不足?」
八幡「ああ、なんだか寝付けなくて…………だから体調不良で休んでもいいよな」
小町「何言ってんの、沙希さんを迎えに行かなきゃいけないんでしょ。早く起きてご飯食べて」
八幡「うー……」
小町「…………もしかして沙希さんと喧嘩でもした?」
八幡「いや、そんなんじゃないんだが…………ちょっとやらかして……会いづらいんだ」
小町「うーん、よければ小町が話聞くよ。とりあえず朝ご飯食べよ」
八幡「ああ……」
452 = 451 :
小町「ええーっ! お、お兄ちゃんが!? 沙希さんを抱きしめた!?」
八幡「声がでけえよ……てか俺自身信じられねえ、何であんな行動に出たんだか…………川崎には悪いことをしたと思ってる」
小町「えーそっかなー、案外沙希さんも嬉しく感じてるかもよ」
八幡「何でそんなポジティブに考えられるんだよ……」
小町「お兄ちゃんはネガティブ過ぎ! 本当に嫌だったら今日の送り迎え断ってきたりするでしょ。それがないんだから少なくとも嫌とは感じてないって」
八幡「そ、そうかな」
小町「そうだって。もしかしたら恥ずかしがるかもしれないけどそこはお兄ちゃんが余裕を持って接してあげればいいの」
八幡「そんなもんなのか……よ、よし、気にしないようにして頑張ってみるか」
小町「そうそう、むしろ気張らずにいつも通りに接する方がいいって」
八幡「わかった……ごちそうさん、悪いけど俺はもう行くな。片付け頼んでいいか?」
小町「お任せあれ。沙希さんによろしくー」
八幡「おう」
453 = 451 :
八幡(小町との会話でヒントになったことがある)
八幡(そう、恥ずかしがるというアレだ。似たようなことが先週にもあった)
八幡(なら同じようになかったことにしてしまえばいいのだ。きっと川崎も同じことを考えるだろう)
八幡(現金なもので、解決策を思い付くと俺の足取りは軽くなり、軽快に自転車を漕いでいく)
八幡(見えた、川崎家だ…………お、ちょうど川崎が出て来た)
八幡(こちらに気付いたか手を振ってくる。何か機嫌が良さそうだ。到着、っと)
沙希「おはよ比企谷」ニコニコ
八幡「おはよう川崎、ずいぶん機嫌良さそうだな」
沙希「ん、ちょっとね」
八幡「昨日何かあったのか? 俺は何のイベントもなかったから幸せのお裾分けしてくれよ」
八幡(ここでなかったことにしようとする意志をさりげなく強調しておく。マジ俺策士)
沙希「仕方ないね、教えてあげる。実は昨日さ」
八幡「おう」
沙希「比企谷があたしを抱きしめてくれたんだ」
ガッシャアアアン!
沙希「ど、どしたの派手にずっこけて!? 大丈夫!?」
八幡「お、おま、な、何を」
沙希「とりあえず立ちなよ、ほら」スッ
八幡「あ、えっと……わりぃ」
沙希「んっ、しょ」
八幡(川崎の差し伸べてくれた手を掴み、俺は立ち上がる)
454 = 451 :
沙希「さ、行こ。あんまりのんびりしてると遅刻しちゃうよ」
八幡「あ、ああ」
八幡(俺は自転車を起こし、跨がる)
八幡(すぐに川崎も後ろに乗り、俺の身体に腕を回してきた)
八幡「じゃ、じゃあ行くぞ」
沙希「ん、よろしく」
八幡(あれ? あっれー?)
八幡(むしろ川崎さんの方がいつも通りに接してますよねこれ。しかも昨日のことをなかったことにしないまんま)
八幡(いや、ギクシャクしたりするより全然いいんだけどさ)
八幡(それより気になるのは…………)
『比企谷があたしを抱きしめてくれたんだ』
八幡(…………川崎はあれを『いいこと』として捉えているってことだよな)
八幡(…………)
八幡(…………)
八幡(…………うん、あれだ)
八幡(川崎は長女だからな。あんなふうに人から抱きしめられることがあまりなかったんだろう)
八幡(膝枕と同じだ。してあげるばかりでしてもらうことが少なかったから、それを嬉しく感じてるんだ)
八幡(まったく。男を勘違いさせそうになるなんて罪な女だぜ)
455 = 451 :
とりあえずここまで
昨晩の沙希さんはいつまで玄関でニヤニヤしてたんでしょうね?
456 :
川崎攻略する様子見てるはずだったんだが俺が川崎に攻略されてるわ
457 :
一日一沙希のお陰で毎日の仕事が苦にならなくなりました
458 :
一日一沙希のお陰で彼女と別れました!
459 :
一日一沙希が生き甲斐になりました!
460 = 450 :
一日一沙希のおかげでまったく勉強にしゅうちゅできん!w
461 :
一日一沙希のおかげで志望校に合格!
彼女もできて本当に幸せです!
一日一沙希を始めて人生が変わりました!
463 = 462 :
間違えた
>>458だった
川崎が可愛いすぎて童謡した
464 = 451 :
八幡(さて、例の公園に到着っと)キキッ
沙希「よっ、と」ヒョイ
八幡「んじゃまたあとでな」
沙希「あ、ちょっと待って」
八幡「うん?」
沙希「ごめん、ちょっとそっちに立ってくれる?」
八幡(川崎が指したのはベンチのそばだ。とりあえず自転車を止めて言うとおりにする)
八幡「これでいいのか?」
沙希「ん」
八幡(短く返事をした川崎は俺に近付く……って近い近い、近過ぎじゃね? もう身体が密着しそうなんだけど!)
八幡「な、何だよ」
沙希「さっき言ってたでしょ。幸せの、お裾分け」
八幡(そう言うと川崎は俺の背中に腕を回して抱き付いてきた)
八幡「かっ、川崎っ、止めろって!」
沙希「嫌だったら無理やり振りほどいていいよ。抵抗はしないし、それであたしがどうこう思うことはないからさ」
八幡「い、嫌じゃないけど」
八幡(良い匂い柔らかいヤバいヤバいヤバい)
沙希「ん、このぐらいにしとこっか」スッ
八幡「はあっ、はあっ、お、お前な……」
沙希「あたしは比企谷に抱き締められるの、好きだよ」
八幡「!!」
沙希「比企谷もそうだと嬉しいな…………じゃ、あたしは先に行くね」
八幡(そう言って川崎は公園を出て行った)
八幡(それを見届けて俺はベンチにへたり込む)
八幡「なんつーか……やられっぱなしだな」
八幡(でも……それが嫌だとは全然思わない)
八幡(…………)
八幡(…………)
八幡「学校、行くか……」
八幡(今までに幾度か感じた川崎の身体の柔らかさや匂いを何となく思い出しながら、俺は自転車を漕ぎ出した)
465 = 451 :
1レス分投下し忘れてたので追加投下
てか一日一沙希影響デカ過ぎだろ(笑)
まあ俺も一日一沙希のせいで時々仕事が疎かになるんですが
今度こそ今日は終わり
また明日ノシ
467 :
元々彼女なんていねーだろ
468 = 467 :
誤爆すまん
乙
469 = 459 :
誤爆とは思えない内容だったんですが
471 :
おつです
一日一沙希をはじめたお陰でニートを続けることにしました
472 :
八幡(さて、昼休みだ)
八幡(今日は教室でもベストプレイスでもなく、あの人気のない裏庭で昼食を取ることになっている)
八幡(…………くそ、なんか意識してしまうな)
八幡(授業中につい川崎の方を見ていたってのが何度かあったし)
八幡(はあ…………)
473 = 472 :
八幡「待たせたな」
沙希「ん」
八幡(先にベンチに座っていた川崎に声をかけ、弁当を受け取って買ってきた飲み物を渡す。もう定番化したいつものやり取りだ)
八幡(川崎の隣に座り、手を合わせて弁当箱の蓋を開ける)
八幡「相変わらず美味そうだな。いや実際美味いんだが」
沙希「ふふ、ありがと」
八幡「ん? 作ってもらってるのは俺なんだから川崎が礼を言うのはおかしくねえか?」
沙希「いいんだよ」
八幡「?」
八幡(よくわからないまま俺は箸をつける)
八幡(やっぱり美味い)モグモグ
八幡(そしてやはり絶品な甘くない玉子焼き。うわー絶対俺今キモい表情になってるわ)モグモグ
沙希「ねえ比企谷」
八幡「ん、何だ? 俺の顔がキモかったか? すまん」
沙希「違うよ…………むしろその、ありがとうね」
八幡「さっきもだけど俺が礼を言われる意味がわからん。何もしてねえぞ」
沙希「ううん。あたしの作った弁当を美味しそうに食べてくれてるよ」
八幡「いや、だって本当に美味いし。だったらやっぱり俺から礼を言うとこだろここは」
沙希「でもね、あたし比企谷が美味しそうに食べてる時の表情を見てるとすごく嬉しくなるんだよ」
474 = 472 :
八幡「なっ…………」
沙希「あたしの作ったものがこんなに人を喜ばせてるんだって感じられてさ」
八幡「…………」
沙希「もちろん家族も感謝はしてくれてるよ、でもそれがもう日常になっちゃってるからね。だから久々にこんな気分にさせてくれた比企谷には感謝、てね」
八幡「…………」
沙希「ごめん、何言ってんのかなあたし。気にしないでいいから」
八幡「川崎」
沙希「ん、何?」
八幡「お前、良い女だな」
沙希「んなっ!? 何言ってんのさ突然!?」
八幡「いや、だってなあ……」
沙希「もう……褒めたって弁当くらいしか出ないよ」
八幡「充分過ぎるものが出てるんですがそれは…………ごちそうさまでした、っと」
沙希「ん、お粗末様でした……って比企谷、御飯粒ついてるよ」
八幡「え、マジ? うわ恥ずい、どこだ?」
沙希「取ったげるよ、動かないで」
八幡「お、おう」
八幡(ここでまさか指でつまんで取ってそのまま食べる、なんて恥ずかしいことはやらないよな……………………やらないよね?)
475 = 472 :
沙希「ん……っと」チュ
八幡「え」
沙希「はい取れた」
八幡「お、お前、今、え?」
沙希「頬に付いてたのを口で取っただけでしょ。あたしまだ食べ終わってないから両手塞がってるし」
八幡「いやいやいやいや、色々おかしいだろ!」
沙希「ん、ごちそうさまでした」
八幡「話聞けって!」
沙希「もう過ぎたことをうるさいね。寝不足で気が立ってるんじゃない? 何度か欠伸してたし」
八幡「過ぎたことって…………いや、確かに寝不足だけどな」
沙希「そう、ならあんたが良く眠れる枕、あたし知ってるんだけどさ」
八幡(くそ……ずっと川崎のペースのままじゃねえか。何とか一矢報いたいとこだが…………よし)
八幡「へえ、ならそれ貸してくんない?」
沙希「ん、いいよ。ほら」
八幡(予想通り川崎はベンチの端に移動して自分の太ももを叩く)
八幡(だがその余裕顔もそこまでだ、喰らえ!)
476 = 472 :
このシーンはもう少し続くんだけど今日はすまんがここまで
ようやく出張に終わりが見えてきた
俺、出張が終わったらこのSSを頑張るんだ
477 :
死亡フラグは立てなくていいからはよ
おつ
479 :
>>476
乙です。無理はなされるな
480 = 472 :
ポスン
八幡(どうだ! 仰向けでなくお前の腹側に顔を向けての膝枕だ! スカートだし恥ずかしいだろ、戸惑え!)
沙希「ふふっ、ちゃんと昼休み終わる頃には起こすからね」ナデナデ
八幡(あれ?)
沙希「♪~」ナデナデ
八幡(鼻歌まで始めちゃったよオイ、こうなると俺だけが恥ずかしいんだけど。めっちゃ良い匂いするし俺から離れるわけにもいかないし)
沙希「比企谷、もう寝ちゃった?」ナデナデ
八幡(寝てません、寝れません、眠気なんかどっか行っちゃいました。でも寝たふりするしかないじゃないですかー!)
沙希「…………嬉しいな」ナデナデ
八幡(ん?)
沙希「あたしの前ではそんだけ気を許してくれてるってことだよね」ナデナデ
八幡(まあ……それはそうかもな)
沙希「そこだけは雪ノ下や由比ヶ浜たちに勝ててるよね」ナデナデ
八幡(なんであいつらの名前が出てくるんだ? てか勝ち負けがあるのか?)
沙希「ま、あたしの膝だとドキドキして寝れなかったってシチュエーションも捨てがたいけど」ナデナデ
八幡(すいません今まさにそれです)
沙希「でもこうしていられる時間があるってのは幸せなんだろうねきっと」ナデナデ
八幡(…………)
481 = 472 :
沙希「ところでさ」
八幡(…………)
沙希「バレバレなんだけど。ずっとそうしてるつもりじゃないよね?」
八幡(え? バレてる!?)
姫菜「あちゃー、バレてたか」ヒョコ
八幡(なんだ俺じゃなかったのか……この声は海老名さん?)
沙希「この前の写真の時から少し周りに注意するようになったからね。別に見られて困るようなことはないんだけどさ」
八幡(見られて恥ずかしいことはしてます、今まさに。顔が隠れてて本当に良かった)
姫菜「ごめんね、邪魔するつもりはなかったんだけど…………思った以上にサキサキがいい表情してたから見とれちゃった」
沙希「見とれるって…………まああたしいつも仏頂面かもね」
姫菜「違うよ、サキサキ限定じゃない」
沙希「うん?」
姫菜「女子が男子の前でするような表情じゃないよアレは」
沙希「ちょっとよくわかんないんだけど……」
八幡(俺も俺も)
姫菜「なんて言うかさ、『恋に恋する』とか、『ステータスとして』とか、『憧れ』とか。わたしたちくらいの年齢だと恋愛ってそういう感じが多くない?」
沙希「ん…………まあそういうのもあるかもね」
八幡(わからんでもない)
482 = 472 :
姫菜「でもサキサキのは違う。心から相手を信じてるって、信頼してるって表情に見える」
沙希「…………」
八幡(…………)
姫菜「わたしたちくらいの歳で男女間でそんな『本物』みたいな関係を築けるっていいなあって思ってさ」
沙希「…………」
八幡(…………)
姫菜「ちょっとサキサキが羨ましいな」
沙希「…………そんなんじゃないかもよ。まあどう解釈しても勝手だけどね」
八幡(…………そうだ。俺達の関係は本物じゃない。海老名さんが羨むようなものじゃないんだ)
姫菜「あ、今更確認するけどヒキタニ君寝てるんだよね? 起きてないよね?」
沙希「ん、ああ。大丈夫、ぐっすりだよ」
八幡(ばっちり起きてますすいません)
姫菜「うん、じゃあ今のうちに話しとこうかな」
沙希「何かあんの?」
姫菜「えっとね、わたしヒキタニ君に告白されたことがあるの」
沙希「…………突然なに?」
姫菜「あ、違う違う。実は奉仕部への依頼の一環でね」
沙希「知ってるよ。戸部からの告白を避けるためにやったんでしょ?」
姫菜「あ、それも知ってたんだ…………うん、それのことを言いたかったんだけど」
483 = 472 :
沙希「んん……よくわからないね」
姫菜「だからね、もしこのことをサキサキが知らなくて、どっかからヒキタニ君があたしにフられたなんて噂を耳にしたら気分良くないかなって思って」
沙希「別にそのくらい…………いや、どうかな、そうなってみないとわからないかも。気を遣ってくれてありがとね海老名」
姫菜「うん…………やっぱり少し変わったねサキサキ」
沙希「あたしが? 自分じゃそうは思わないけど」
姫菜「なんというか、雰囲気が以前より柔らかくなってるよ。ヒキタニ君のおかげなのかな?」
沙希「…………そうかもしれないね」
姫菜「なんだかんだ言ってわたしは結構ヒキタニ君のこと認めてるよ。クラスの男子で付き合うなら誰って言われたらヒキタニ君を選ぶくらいには」
沙希「…………こいつが人に認めてもらえるのはあたしも嬉しいけど、あげないよ」
姫菜「わかってるって。むしろ離しちゃ駄目だからね。ヒキタニ君とサキサキならずっとやっていけると思ってるから…………それじゃお邪魔しました」
沙希「ん、またあとでね」
484 = 472 :
時間あったので追加投下
サキサキSSがまた出来たみたいで俺歓喜
もっと増えろ~
485 :
ウヒョー。俺歓喜!
486 :
乙!
2828させてもらっているよww
487 :
今日も素晴らしい甘さだった
乙
488 :
乙です
優しいサキサキ最高です!
489 :
八幡「はあ…………結局やられっぱなしの昼休みだったな」
八幡「……………………本物、か」
八幡(海老名さんには悪いことをしたかな)
八幡(本物じゃないんだよ俺達は)
八幡(そりゃ俺だって…………)
八幡(はあ…………)
490 = 489 :
~ 週末 ~
八幡「すげえ雨になったな」
八幡(窓の外を見て俺は思わず呟いた)
八幡(大粒が窓を叩き、少し耳障りだ。仕事行ってるうちの両親は大丈夫だろうか?)
八幡(そんなふうに思った途端、家の電話が鳴る。ナンバーディスプレイを見ると親父からだ)
八幡(出ると両親とも今日は帰れそうにないとの連絡だった。この豪雨で交通機関が色々麻痺してるらしい)
八幡(小町は朝から友達の家に行っていてそのまま泊まってくるらしい。勉強会という名目だったが、カマクラを連れて行くのはどうなんだ?)
八幡(まあ最近受験勉強頑張っていたし、たまには息抜きもいいか。カマクラを相手の子の家に連れ込むのも初めてじゃないようだしな)
八幡(今夜一晩は完全に俺一人か。とりあえずやることもないしちょっと寝ますかね)
491 = 489 :
八幡「ふぁ……ちょっと寝過ぎたかな?」
八幡(時計を確認すると夕飯の時間はとっくに過ぎていた。まあ今日はそんなにエネルギーを使ってないので空腹感はあまりないのだが)
八幡(ふと傍らを見ると、俺のスマホに不在着信の通知が何件か表示されていた)
八幡「川崎?」
八幡(何分かおきにかかってきていたそれは全て川崎からによるものだった。何かあったのか?)
八幡(訝しがりながらも俺は川崎に電話をかけた)
八幡(2コールもかからず相手が出る)
八幡「おう、どうした?」
大志『お兄さんすか!? 俺です大志です!』
八幡「なんでお前が川崎の携帯に出てんだ? あと俺をお兄さんと呼ぶな」
大志『それどころじゃないっす! 姉ちゃんが家出しちゃったんすよ!』
八幡「…………あん?」
492 = 489 :
出勤前にちょっとだけ投下
今回は少し長編になるかも、ならないかも
エロ展開になるようなら名前欄に『エロ注意』と入れるんでNGお願いします
それではまた夜にでも
493 = 487 :
とりあえずパンツを脱いで待ってるか
494 :
雨ってことはホテル行っちゃうのか………?
495 :
川崎が猫アレルギーだからってカマクラにまで外出させるとは、あざといな。
「今日、うち猫いないの……」って、どんな誘惑だよ。
496 = 489 :
八幡(……家出?)
大志『この雨の中どこ行ったんだか……もし事故とかにあったら!』
八幡「落ち着け」
大志『どっかで具合悪くなって倒れてたりとか、ああ!』
八幡「大志、落ち着け!」
大志『っ…………!』
八幡「まず鼻で大きく息を吸え。んで口から大きく息を吐き出すんだ。それを二回繰り返せ」
大志『すーっ、はーっ、すーっ、はーっ』
八幡「よし、順序立てて説明しろ」
大志『は、はい。俺はちょっとした買い物があってコンビニに行ってたんす。んで帰ったら居間で親と姉ちゃんが何か言い合いをしてて。俺が様子見に行くと姉ちゃんが居間から飛び出してきて』
八幡「川崎が親と言い争い? 珍しいな」
大志『はい。でも親に聞いても原因は教えてくれなかったっす。んで部屋に閉じこもっているんだろうと思ってしばらく放っておいたんすけど……夕飯だから呼びに行ったら部屋にはいなくて、家の中を探したら姉ちゃんの靴がなくなってたんです。鍵も開いてたから外に行ったのは間違いないっす』
八幡「携帯も持たずに、か」
大志『さらに財布も置きっぱなしでした。多分俺とすれ違った時にそのまま飛び出して行ったんじゃないかと』
497 = 489 :
八幡「親御さんはどうしてる?」
大志『何もしてないっす。いや、どうしたらいいかわかんなくておろおろしてるだけで…………警察に連絡するのも何だかって感じで。お兄さんとこに行ったりはしてないんすよね?』
八幡「ああ、来てない。ちょっと確認してほしいんだが、川崎は傘を持って出たのか?」
大志『少し待ってください…………全部、あるっすね……姉ちゃん、この雨の中傘も持たずに出てったのか!?』
八幡「どこに行ったか心当たりはあるか?」
大志『情けない話ですがないっす。唯一思い浮かんだのがお兄さんとこなんで姉ちゃんの携帯借りて電話したんすが』
八幡「そうか」
八幡(焦るな、落ち着け八幡、闇雲に探したって見つからない)
八幡(川崎の思考をトレースしろ。俺なら出来る。仮初めとはいえ川崎の恋人として付き合い、ここしばらく一緒にいたんだ)
八幡(……………………)
大志『お兄さん?』
八幡「大志、ちょっと俺は川崎を探しに行ってくる。一時間後くらいにまたその携帯にかけ直すから」
大志『どこ行ったかわかるんすか!?』
八幡「どうだろうな……この天気じゃ皆で探し回るわけにもいかないからお前は家で待ってろ。ひょっこり帰ってくるかもしれんからな」
大志『で、でも』
八幡「いいから。また後でな」
八幡(俺は電話を打ち切り、出掛ける準備を始める)
498 = 489 :
八幡(川崎にとって最も大きい心の拠り所は家族だ)
八幡(だけど今回はその家族と揉めた。だったらどこに行く?)
八幡(自意識過剰かもしれないが、きっと俺を頼ろうと考えてくれはしただろう。しかし俺に迷惑をかけられないという思考も働いたはずだ)
八幡「これでよし、と」
八幡(すれ違いになった時のことを考えて、インターホンの脇に玄関で待っておくよう貼り紙をしておく)
八幡「よし、行くか」
八幡(俺は傘を差して豪雨の中を歩き出す)
八幡(川崎は行動範囲がそれほど広くない)
八幡(基本ぼっちだし、家のことがある分俺より狭いかもしれない)
八幡(まず学校や予備校はない。今日はそもそもやってないから入ることが出来ない)
八幡(だからといってスーパーや商店街など論外だ。むしろ一人になりたいと思ってる時に出てくる選択肢じゃない)
八幡(あいつが知ってて人気がない場所、俺の事を少しでも思い浮かべてくれたなら、きっとあそこにいる)
八幡(しかしこの予想は外れて欲しい。あんなところで傘も持たずにいるなんて身体をおかしくするぞ)
499 = 489 :
八幡(普段自転車で行くような距離だ。結構な時間をかけて歩き、到着した)
八幡(学校の近く、いつも川崎を迎えに行って降ろしてる公園)
八幡(申し訳程度の屋根は全く意味をなさず、ベンチはずぶ濡れになっている)
八幡(そしてそのベンチに川崎はいた)
八幡(膝を抱えるようにして顔を伏せ、女子にしては長身な身体を小さく縮こまらせて、消えてしまいそうだった)
八幡「川崎っ!」
八幡(今にも壊れるんじゃないかといった弱々しい様子に、俺は傘を投げ出して矢も盾もたまらず川崎に駆け寄り、強くその身体を抱き締めた)
八幡(冷たい、なんて冷たい。こんなに冷え切って、どれだけここで雨に打たれていたのだろう)
沙希「比企……谷……?」
八幡「何やってんだ、何やってんだよこんなとこで……」
沙希「ごめん……」
八幡「仕方ないやつだな全く……さ、送って行くから帰ろうぜ」
沙希「…………いや」
八幡「川崎?」
沙希「帰りたくない……帰りたくないよ……」
八幡「んなこと言ったってお前……」
沙希「いや…………」フラッ
八幡「! おい、川崎!? しっかりしろ!」
500 = 489 :
一旦ここまで
>>495
その誘い文句いいな(笑)
みんなの評価 : ★★
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