元スレアムロ「アレックスは伊達じゃない!」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
901 = 1 :
以上ここまで!
途中で寝落ちしちゃいました。
>>877
実際投下するつもりだったのに1週間以上もかかってしまった
申し訳ないです……(土下座)
904 :
乙
圧倒的ララ感もここまでか……
906 :
>>904
ララァを活かすにはシャアが追い詰められない必要があったんですけど、シャアが追い詰められない絵が浮かばなくって……
今晩投下予定ですage
『アレックス、大地に立つ』を29話目と考えると、『光と人の渦』は55話目
SS1話区切りだとアニメを文章に起こすより短くなるとはいえ、大筋は変わってないのに原作より長く……ムムム
908 :
どうせ糞みたいなやつらだし予定通りじゃなくてもいいだろ
投下しない報告もいらねえかwwww
909 :
申し訳ない
いつもは3000文字~4000文字で収めるようにしているのですが、どうしても今回6000字を超えそうなので校正を行っていたら寝落ちの繰り返しで……。
ちゃんとご報告すべきでしたね。
今晩には間違いなく投下します。
910 :
おつ
911 = 1 :
──宇宙世紀0079年12月26日、標準時6時22分
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「ううん……」
ミライ「どうしたの、ブライト?」
ブライト「本隊との合流時間に遅れそうだ。後ろのサラミスが付いてこれるかな?」
ミライ「確かに、このままだと今日中に合流ポイントへの到着は厳しそうね」
ブライト「作戦指令には同行しろとあるが、間に合わんか」
ミライ「でもこのままじゃ作戦への合流に支障が出るわ」
ブライト「うーむ。作戦指示通りにいきたいところだが、仕方ないか」
ミライ「無理ね。先行しましょう」
ブライト「しかし、大丈夫だろうか?」
ミライ「大丈夫よ、ジオンの勢力圏からは脱したわ。パトロール艦隊程度なら彼らでも片付けられるでしょうし」
ブライト「まぁ、敵の大艦隊は既にグラナダとア・バオア・クーに集まってる頃合いか」
ミライ「そういうこと。それにアムロに対抗できるニュータイプもいなくなったから」
ブライト「よしわかった、スルガに通信繋いでくれ」
バンマス「了解です。応答アリ、回線開きます」
ヘンケン『やあ、少佐。どういった用かな?』
912 = 1 :
『光と人の渦』
913 = 1 :
──同刻
──宇宙コロニー群・サイド3・1バンチコロニー『ズム・シティ』
ギレン「我がジオン本国にとって、月のグラナダとア・バオア・クー要塞は最終防衛線であります。連邦は三つのコースからの進攻が予想されましょう」
デギン「うむ」
手に持ったタブレット端末に映した情報をデギンに提示する。
そこには、地球圏の宇宙図に書き込まれた連邦軍の進攻ルートが記されていた。
ギレン「ここを突破されてしまえばサイド3は裸同然──。その前にソーラ・レイ・システムによって侵攻する連邦主力艦隊を掃討します」
デギン「ソーラ・レイ、か……」
ギレン「既に技術開発並びに『マハル』の住民疎開は完了しております」
デギン「うむ。しかしなギレン……千万の一般国民を疎開させるということ、これは軍人の無能を示すことぞ」
ギレン「私を前にしてそれを仰るか」
デギン「儂とて公王政を敷いた男。貴公の軍政こそ支持しておれ、全てを評価するわけではない」
ギレン「ふっ、それも良いでしょう。続いてこちらをご覧ください」
デギン「軍政は貴公にやらせると言った。細かいことはもういい」
914 = 1 :
ギレン「では、サインを頂戴したく。ああ、資金の心配はございません。コロニーを再利用する為、非常に安価に仕上がりますからな」
デギンがタッチペンでサインする。
もはや実権はギレンが握っており、デギンのサインに大きな意味はない。
デギン「──こうまでして、勝ってどうしようというのだ、ギレン」
ギレン「わかりきったことを」
デギン「…………」
ギレン「父上あってのジオン公国ですから、まずは本土の防衛に必死なだけです」
デギン「それで、その後のことを聞いている」
ギレン「どうするか、と? せっかく減った人口です、これ以上増やすことなくコントロールに努めます。我々優良種による優良種の為の優良種の恒久的平和を築く為、ザビ家独裁による世界平和です」
デギン「なるほどな、貴公はアドルフ・ヒトラーを知っておるか」
ギレン「んん、藪から棒に何を? ヒトラー? 中世期の人物ですか」
デギン「うむ、そのヒトラーで間違いない」
ギレン「確か世界大戦期の独裁者でしたな。そのヒトラーがどうか」
デギン「ああ。世界を読みきれなかった男だ。貴公はそのヒトラーの尻尾だな」
ギレン「私が?」
デギン「儂は同志ジオンが病死してから、急ぎ国を纏める為に公王制を敷いた。いずれジオンの理想を実現する為に必要なことだったと自認しておる」
ギレン「それをヒトラーの尻尾たる私が独裁制に持ち込んだ、と?」
デギン「貴公の妹も一緒にな」
ギレン「ふん、父上の娘でしょうに。絶対民主制は連邦のような軟弱な組織を生み、人類種全体の衰退を招きます。次第に食い合いになって──そう、此度の戦争のようにね」
デギン「そうだ、此度の大戦でどれだけの命が喪われたか。それでも続けるというのか」
ギレン「今更やめられますまい? ま、勝ってみせます。ヒトラーの尻尾の戦いぶり、とくとご覧あれ」
デギン「ヒトラーは、敗北し自害したのだぞ……!」
ギレン「解っておりますとも。ヒトラーの尻尾が本体を越えようと言っている。では、私はア・バオア・クーにて指揮を執りますのでこれにて」
デギン「できるものかよ……なぁ、ガルマ……」
915 = 1 :
──同日、8時25分
──グワジン級大型戦艦『グワジン』、総帥執務室
セシリア「閣下、デギン公王陛下のグレート・デギンが発進したと」
ギレン「うん、泳がせておけ」
セシリア「よろしいのですか?」
ギレン「構わん。今更何ができる」
セシリア「かしこまりました」
ギレン「老いたな、父上も。既に遅いというのだが」
ギレン(しかし、アドルフ・ヒトラーは娘ほどの年頃の女と恋仲にあったというが──)
ギレン「……ふむ、私も似たようなものか」
セシリア「──あの、閣下? どうかなさいましたか?」
ギレン「フフ、いや何でもない」
セシリア「?」
ギレン「セシリア、君は確かこの間誕生日を迎えていたと思うが……幾つになったのだったか」
セシリア「えぇ? 20歳になりました」
ギレン「そうか、20歳……若くして優秀、その上眉目秀麗とは、改めて君のような秘書官を得たことを幸せに思うよ」
セシリア「そ、そんな。閣下こそ、45歳とお若くして……」
ギレン「本当にいい……いい女だな、君は」
セシリア「い、いけませんわ、閣下……そ、そこはっ、はあっ……」
ギレン「たまにはいいものだろう、こんな部屋で、朝から……ん」
セシリア「ん、あぁっ……ギレン閣下ぁぁっ……」
916 = 1 :
──同日、17時12分
──ホワイトベース、船室
アムロ「はっ……寝てたのか?」
アムロ(ララァが死んで、それからずっと寝ていたのか)
ピキィィン!!
アムロ「な、なんだ? 敵意が渦巻いている?」
917 = 1 :
──同日、19時08分
──宇宙要塞ア・バオア・クー周辺宙域
──グワジン、総帥執務室
セシリア「……か、閣下」
ギレン「ん、なんだ」
セシリア「ぎ、技術部のアサクラ大佐からです」
ギレン「よし、繋げ」
アサクラ『報告します。ソーラ・レイ・システムは稼働体制に入りました』
ギレン「うむ」
アサクラ『ご命令あらば、二時間後には射撃用意が整います。……ただ──』
ギレン「なんだ、続けたまえ」
アサクラ『は、臨界透過膜と偏光ミラーが実用テスト用の1セットのみですので、ソーラ・レイ・システムの使用は一度しかできません』
ギレン「何? 能力は予定通り出るのか」
アサクラ『はい。3秒間の連続照射と、その間の12度の角度変更が可能です』
ギレン「よくわかった。準備は万全に頼むぞ」
アサクラ『は!』
918 = 1 :
──超グワジン級『グレート・デギン』、玉座
側近「陛下、ソーラ・レイ・システムの準備はあと2時間ほどで整うとか。同志から秘匿回線で連絡がありました」
デギン「早いな……最高速で急がせよ。ギレンは儂を消そうとするはずだ」
側近「ですが、たといギレン閣下といえど、実父である陛下を……」
デギン「グレイム・トトよ。ギレンはそういう男だ」
グレイム「……畏まりました。妨害工作も行うよう指示しておきます」
デギン「うむ、頼んだ」
919 = 1 :
──同日、20時19分
──ホワイトベース、ブリッジ
オスカー「このまま巡航速度でいけば、明日の早朝には主力艦隊と合流できそうです」
ブライト「そうか。ミライが戻ったらフムラウはジョブ・ジョンと交代、人が足りなくて悪いが、もう少しの辛抱だ」
フムラウ「了解です」
マーカー「あれ? こちらに接近する艦影。結構遠いですけど……大きいな」
オスカー「識別は?」
マーカー「敵味方識別信号、なし。こちらに通信を求めています」
ブライト「……民間船舶か?」
マーカー「艦籍番号照合……とれました。BB-37 超グワジン級大型戦艦『グレート・デギン』です……!」
ブライト「デ、デギン・ザビ……だと?」
バンマス「通信回線……どうしますか」
ブライト「……て、敵意があれば……こちらと話をしようとは思わんだろ……通信、開け」
バンマス「り、了解」
920 = 1 :
グレイム『おお、通じた! 私はデギン・ソド・ザビ公王陛下の従者、グレイム・トトでございます』
ブライト「……自分は、ホワイトベース艦長ブライト・ノア少佐であります」
グレイム『実は、公王陛下たってのお願いがあって、貴艦を探していたのです』
ブライト「そういう話は、通信回線を使ってするもんじゃないと理解していたのですが」
グレイム『おお、これはご無礼を……。こちらから出向かせていただきますので、着艦許可を頂きたい所存』
ブライト「武装解除してなけりゃ、撃ち落としますからね」
921 = 1 :
──ホワイトベース、甲板
オムル「オーライ、オーライ!」
カイ「っひゃー。あれが公王サマのお使いっていう?」
タカアキ「ああ、らしいぜ。どうなるんだろうなあ、俺達」
カイ「どうって?」
タカアキ「だって、敵軍の王サマと繋がっちまったんだぜ」
カイ「……俺達がやるこたぁ、変わんないんじゃないの」
タカアキ「……案外、そういうもんかね」
グレイム「武装の封印の確認をして頂きたく。こちらが資料、MS-17 ガルバルディであります」
オムル「了解しました。お前ら、客人を待たせちゃならねえぞ!」
ハワド「了解!」
カル「あいよ! 動け動け~!」
マクシミリアン「スラスターも封印しないといけないの、これぇ?」
オムル「当たり前だろ、マックス動け!」
マクシミリアン「へ、へぇ~い!」
922 = 1 :
オムル「チェック完了。後は中尉に引き継ぎます」
クリス「了解。……お待たせしました。私はクルーのクリスチーナ・マッケンジー中尉です」
ジョブ・ジョン「同じく、ジョブ・ジョン少尉であります」
グレイム「おお、なんと可憐な……。わたくしはデギン・ソド・ザビ公王親衛隊長官、グレイム・トト中佐であります。ご案内頂けますか」
クリス「ええ。一応、再三ですがボディチェックだけ」
グレアム「どうぞ」
ジョブ・ジョン「じゃあ、失礼しますよ、と……」
923 = 1 :
──艦長室
クリス「マッケンジー中尉、入ります」
ブライト「入って、どうぞ」
プシュ
クリス「どうぞ、こちらへ。では自分は外で待機します」
グレイム「えぇ、どうも」
ブライト「ご苦労様、中尉」
グレイム「先程はご無礼を。デギン・ザビ親衛隊長官、グレイム・トト中佐であります。以後、お見知りおきを」
ブライト「艦長のブライト・ノア少佐です。こちらこそ、どうぞよろしく」
グレイム「この艦は若い方が多いのですな。少佐もずいぶんとお若くていらっしゃる」
ブライト「ええ、まぁ……正規の士官はごく少数です。あれよあれよと自分も気が付けば」
グレイム「聞きしに勝るご活躍だと」
ブライト「そりゃあどうも。それで、お話とは?」
グレイム「はい、デギン陛下は憂いておられるのです。長子・ギレン様の暴走を」
ブライト「はあ、そりゃあ……はい……」
924 = 1 :
グレイム「今、新開発された大口径長距離レーザー砲が連邦軍の主力艦隊が結集する時を待っています」
ブライト「……そ、それは真ですか」
パサッ
グレイム「こちらの資料をご覧ください」
ブライト「コロニー・マハル……?」
グレイム「ええ。サイド3の3バンチ・コロニー『マハル』です。技術部は、これを巨大な砲身としてそのまま利用する『コロニー・レーザー』を発明したのです」
グレイム・トトが見せた資料には、アサクラ大佐がまとめたソーラ・レイ・システムの概要が記されていた。
グレイム「その名も『ソーラ・レイ・システム』。資料ではおよそ3秒間の連続照射と、その間の12度の角度変更が可能となっています。これで艦隊を薙ぎ払うつもりなのです」
ブライト「そ、それが本当なら大変だ……!」
グレイム「グレート・デギンはこれより月に向かいます。デギン公王にもしものことがあれば大変ですので」
ブライト「グレイム中佐は?」
グレアム「そこです。私をレビル将軍に引き合わせ願いたいのです」
ブライト「……努力、しましょう。それで、発射までどれほどの時間があるのですか」
グレアム「おそらく、1時間少々。同志が工作活動を行っていますが、それも多少の妨害にしかならないでしょう」
ブライト「間に合うのか……?」
ピピッ
ブライト「ブリッジ、聞こえるか」
オスカー『聞こえてます』
ブライト「レビル将軍と連絡を取りたい。長距離通信使えるか」
オスカー『うーん、ノイズ入りそうですけど、音声通信できそうです』
ブライト「よし、わかった。まずはグレート・デギンと通信開いてくれ。あと、ミライに最大戦速でレビル艦隊を目指せ、と」
オスカー『了解。通信、そっちに回します。ミライさぁん!──』
925 = 1 :
親衛隊『こちらグレート・デギン。如何なさいましたか、ブライト少佐』
ブライト「こちらで話は付きました。我々はこれよりレビル将軍の下へ急行します」
グレイム「グレート・デギンは予定通り月へ。なるべく戦闘にはならんよう厳重警戒で行けよ」
親衛隊『了解しました。……御無事で』
グレイム「ありがとう。公王陛下にもよろしく伝えて──」
デギン『ここにおる。……ブライト・ノア少佐でしたかな』
ブライト「!? は、はい」
デギン『どうか、どうか愚息の蛮行が果たされないよう、祈っております。レビル将軍に、よろしく』
ブライト「……ホワイトベースに、お任せください。きっとこの任務、果たして見せます」
デギン『心強い……ガルマも報われよう。では、グレイム・トトよ、そちらは任せた』
グレイム「はっ!」
ピポッ
ブライト「……ま、まさかデギン・ザビ本人が出てくるとは」
グレイム「お体を悪くしておられて、あまりブリッジには上がらないのですが……」
ブライト「だが……ああ言われたからにゃ、やり遂げないと。ブリッジに上がります、同行願います」
926 = 1 :
──同日20時36分
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「こちらはホワイトベース。急ぎの用件で、レビル将軍にお話が」
スチュアート『ブライト少佐? 長距離通信とはまた……まずは私が聞こうか』
ブライト「……敵の新兵器についてです」
スチュアート『何? 例の、敵のエスパー部隊か?』
ブライト「いえ、もっと恐ろしい……」
スチュアート『何だ、要領を得ないな。レビル将軍は現在お休みになられている、話は私が伝える』
ブライト「……わかりました。ギレン・ザビはサイド3の3バンチ・コロニー『マハル』を改造した大口径長距離レーザー砲『ソーラ・レイ・システム』を開発したとのことです」
スチュアート『それは真か? そんな話はこちらには入っていないが』
ブライト「信頼できる情報筋からです。……将軍に直接お伝えしたい程の」
スチュアート『……ふむ。貴官が嘘をつくとは思わんが……レビル将軍の補佐である私には話せんか』
ブライト「信じて頂けますか」
スチュアート『話による』
ブライト「…………デギン・ザビ……です……」
スチュアート『…………は?』
927 = 1 :
──同日、21時18分
──グワジン級大型戦艦『グワジン』、総帥執務室
セシリア「閣下、アサクラ大佐から通信です」
ギレン「うん、繋げ」
アサクラ『閣下、現在何者かによる妨害活動が行われており……こちら側の技術者に何名か負傷者が』
ギレン「準備に遅れは?」
アサクラ『最終シークエンスが強制中断されましたので、1時間程頂きたく』
ギレン「ふむ……なるべく早く片付けろ。戦力は足りるか」
アサクラ『ええ、海兵隊がうまくやっております』
ギレン「海兵隊? シーマ少佐だったか」
アサクラ『は。準備が整い次第、またご連絡いたします』
ギレン「うむ、急げよ」
928 = 1 :
──先刻
──バーミンガム級戦艦一番艦『バーミンガム』、通常ブリッジ
スチュアート「今、何と」
ブライト『デギン・ソド・ザビ公王本人からの、直接の情報提供がありました』
ザワッ……
スチュアート「な、何……!?」
ブリッジ勤務の士官らがざわつく。
それもそうだろう、今目の前の大型ディスプレイに映し出されている若い少佐が語った突飛な話を、そう易々と信じるわけにもいくまい。
スチュアート「しょ、証拠は」
グレイム『ここに』
スチュアート「き、貴殿は」
ブライト『こちらはデギン・ザビ親衛隊長官、グレイム・トト中佐です』
グレイム『スチュアート・ローリンス中佐殿。急ぎ、ヨハン・エイブラムス・レビル将軍に取り次ぎ願いたいのです』
画面に映ったジオン軍服の壮年の男は厳しい顔で語る。
グレイム『ソーラ・レイ・システムによって貴殿ら地球連邦軍主力艦隊が狙われている。集結次第、狙撃されることでしょう』
スチュアート「…………!! お、おい! レビル将軍を起こしてこい!」
士官「え、ええ!?」
スチュアート「今ここで聞いた話は部外秘、口外を禁ずる! 第一作戦室にレビル将軍をお呼びしろ! 少佐、通信は切るなよ!」
ブライト『はっ』
スチュアート「通信回線を第一作戦室に回せ! こっちで盗聴しようもんなら宇宙に放り出すからな!」
士官「は、はっ!」
929 = 1 :
──同日、21時40分
──月軌道上
──チベ級ティベ型重巡洋艦『グラーフ・ツェッペリン』、ブリッジ
ヘルシング「ア・バオア・クーへはどれほどで着きそうか」
副官「まだ暫く、としか。1日はかかりそうです」
ヘルシング「艦は無傷とはいえ、部隊も傷んでいるからな……連邦を避けてとなるとそうもなる」
マリガン「ええ、モビルスーツも大佐のゲルググ以外はほぼ無事とは言え」
ヘルシング「うむ……奴にも困ったもんだ、あれほどまでにあの小娘に入れ込んでいたとは」
士官「大佐!」
ヘルシング「ん?」
士官「ア・バオア・クーのギレン総帥より特命であります!」
ヘルシング「何だ!」
士官「連邦軍主力艦隊はア・バオア・クーへ侵攻しつつあり、ソーラ・レイのルート上のシオン艦隊はすべて退避、作戦タイム2205」
ヘルシング「ソーラ・レイ? 何だい、そりゃ」
副官「それに急過ぎますなぁ」
士官「ま、まったく詳細は……ですが、ルートは提示されています。ゲル・ドルバ照準」
副官「照準ってことは、長距離砲撃ですかねえ? ──って、ゲル・ドルバ!?」
マリガン「ゲル・ドルバだって!? ……まずいですよ、ヘルシング大佐……!」
副官「ゲル・ドルバって……まっすぐこっちでしょ!」
ヘルシング「へ、へへへ……このままじゃあ、俺達ゃ宇宙の藻屑かね」
副官「面ォ舵ィー! 一杯でこの宙域を離脱、ソーラ・レイの射線から離脱しろ!」
930 = 1 :
──同日、21時59分
──ポイント『ゲル・ドルバ』
レビル将軍が指揮する地球連邦軍艦隊はア・バオア・クーへと向かう第三戦闘ライン上に集結しつつあった。ここに至って、レビル将軍は全軍に指令を発する。
レビル「全艦に通達する。攻撃目標、敵宇宙要塞ア・バオア・クー!」
そして付け加えて──
レビル「全艦、取り舵第一戦速! ア・バオア・クーに正対し、ア・バオア・クーへ侵攻する! 星一号作戦、開始!」
──ホワイトベース、ブリッジ
ブライト「取り舵ィ! やれることはやった、あとはなるようになれだ!」
ミライ「取り舵!」
931 = 1 :
──同刻、ア・バオア・クー司令室
ギレン「ア・バオア・クーのギレンである」
ギレン「ソーラ・レイ・システムの最終目標を伝える」
ギレン「敵のレビル艦隊の主力は三分されているものの、事前観測情報によれば、ソーラ・レイをゲル・ドルバ照準に合わせれば敵艦隊のおよそ3割を仕留められるはずである」
ギレン・ザビが左手を振り翳す。
ギレン「ソーラ・レイ・システム、スタンバイ!」
932 = 1 :
──ソーラ・レイ・システム、コントロール艦ブリッジ
アサクラ「ソーラ・レイ・システム、スタンバイ!」
技術士官A「発電システム異常なし!」
技術士官B「マイクロウェーブ送電良好!」
技術士官A「出力8500ギルガワット・パー・アワー!」
アサクラ「照射角調整! ダウン012、ライト0032」
技術士官A「基本ターゲット、ゲル・ドルバ」
アサクラ「825発電システムのムサイ、後退しろ! 影を落とすと出力が落ちる!」
技術士官A「照射用意、完了!」
アサクラ「総帥、用意が整いました」
ギレン『うむ。……ソーラ・レイ・システム、照射』
アサクラ「照射!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
かつての3バンチ・コロニー『マハル』が黄金の光線を吐き出し、虚空を明るく照らす。
太陽光をレーザーと転化した殺戮兵器が咆哮した。
933 = 1 :
──ホワイトベース、ブリッジ
フラウ「きゃああっ!!」
クリス「な、何なの、あれ!」
アムロ「ああっ、感じる! 光と人の渦が、と……溶けていく! あ、あれは、宇宙に散った人々の無念を呑んだ、憎しみの光だ……!」
セイラ「に、憎しみの光!?」
ビーッビーッ!
ブライト「ぐうう……! 被害状況知らせ!」
オスカー「ホワイトベースに大きな異常は出ていません! ただ電磁波により通信障害が出ている模様!」
マーカー「ミノフスキー粒子の立体構造に異常がある模様。レーザー通信もミノフスキー通信も届いてません!」
ブライト「何!? 機関部は大丈夫なのか、アダムス機関長!」
アダムス『おう、こちら機関部、異常ナァシ! どうやら中の粒子には影響していないようだ!』
ブライト「よ、よおし、航行やめるな!」
マーカー「主力艦隊に大きな被害は出ていませんが──」
オスカー「遅れていた203・204哨戒中隊を始めとして、いくつかの小艦隊が呑まれた模様! 安否確認できず!」
ブライト「くそ! ヘンケン少佐……!」
グレイム「レビル将軍は、無事なのですか!」
ブライト「まだ確認は、取れませんが……!」
レビル『バーミンガムから全艦! 今の攻撃は、ジオン軍の新兵器によるものだ! 戦いの火蓋は切って落とされた。ア・バオア・クーに侵攻せよ!!』
グレイム「お、おぉ……っ!」
ブライト「聞いての通りだ! 第一戦闘配置! モビルスーツパイロット、スタンバっておけ!」
クリス「り、了解! 行くわよ!」
ララァ『フフ……歴史が、変わったわ』
934 = 1 :
【次回予告】
ギレンの野望が宇宙を照らすが、神の悪戯か失敗する。
生き残った地球連邦軍はレビル将軍の下、最後の攻勢に打って出る。
シャアは再起し、アムロもまた、ララァを追って。
機動戦士ガンダム、次回、『宇宙要塞ア・バオア・クー(前編)』
君は、生き延びることができるか?
935 :
いつもの2.5倍ほどの量でお送りしました。
お待たせして申し訳ない。
もはや『アムロ「アレックスは伊達じゃない!」』というよりは
『ララァ「アムロを利用して歴史を変えたい」』みたいな感じになってきてますね……。
ブレてるなぁ、相変わらず。
グレイム・トト中佐は完全にオリキャラです。
名前でお気付きとはおもいますが、グレミー・トトの養父にあたります。
Glemy Toto→Gleym Toto
というほんのちょっとしたアナグラムみたいにしてみました。
また、スチュアート中佐はポケットの中の戦争と戦記0081に出てくる、グレイファントム、サラブレッドの艦長です。
ローレンスは適当に名付けました。
ではまた次回。
937 :
乙
デギンが健在でキシリア次第では、ジオンは大きく割れそうだなぁ
938 :
乙です。
そう言えば、サンダーボルトのアニメ化が決定しましたね。
939 :
乙乙
デギン公王とレビル将軍生存で楔と云うかザビ家存続(安泰?)の重要な鍵を握るガルマは既に没してるから、
これは相当歴史変わるなあ (公王と将軍がア・バオア・クー戦とかで落命しない限りではあるが…)
>>937
ヒトラーとスターリンが仲良く分割統治するなり、
一方が下に就いて施政を支える事が出来るかって言ったら絶対無理だもんなあ
940 :
乙
なんという歴史の転換点
黒幕がララァだとはこのリハクの目をもってしても気付けなかった……
943 :
もう2週間経ってしまった……いつもながら亀進行で申し訳ないです
ギレン閣下の演説の熱を自分なりに表現してます、今しばらくお待ちください
参考はヒトラー総統の演説
アレックスTSUEEEから趣旨が離れないよう(もう離れまくってるけど…)工夫しますので、どうぞもう暫くお付き合いください
>>938
サンボル楽しみですね!
あのMSデザインはフロントミッション的(作者の前作だけに)かっこよさでオツなものですなぁ
>>940
あくまでララァは歴史を愉しむ傍観者……
でも何かちょっとしたイタズラはしてるかもしれません
ララァの亡霊がこれほどとは!
944 :
まってる
945 :
じゃすてぃす
947 :
一気に読みふけってしまった、続きが気になるぜ…待ってる
949 :
あと10日か…
950 :
やばい
みんなの評価 : ☆
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