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    元スレ雪乃「LINE?」結衣「そう!みんなでやろうよ!」

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    801 :

    更新されてて驚きましたW何時もながら面白かったっす 首長くして待っときますわ

    803 :

    やっはろー

    モンハン発売されましたね、ってことで察して下さい。

    今年中に完結は無理でも、もう一回くらい更新したいとは考えてます。

    とりあえず短編一個投下
    今日はこれだけです。
    おやすみなさい!

    804 = 177 :

    「中の人」

    ~おーねがい、シーンデレラ~♪

    小町「お兄ちゃんまた新しい音ゲー?この前までラブラなんちゃらってのやってなかったっけ」

    八幡「ラブライブな。そこまで言ったなら全部言えよ」

    小町「このセンター?っていうポジションにいる人がお兄ちゃんの好きな人?」

    八幡「ああ」

    小町「高垣楓……雪乃さんに声が似てるような……」

    八幡「偶然だろ」

    小町「そういえばラブライブがアニメでやってたときのお兄ちゃんの推しキャラ、高坂雪なんとかさんって人……」

    八幡「高坂雪穂な、お前わざとだろ」

    小町「あの人の声、結衣さんに似てなかった?」

    八幡「……ぐ、偶然だろ」

    小町「ふーん、ところでお兄ちゃん。深く考えずに答えてほしいんだけど」

    八幡「なんだ?」

    小町「高垣楓さんと高坂雪穂さん、どっちが好き?」

    八幡「……え」

    小町「大丈夫大丈夫、別にどっちの方が好きだからって何かあるわけじゃないから。結衣さんと雪乃さんに報告とかしないから……ウェヒヒ」

    八幡「えっと、……高……や、やっぱあれだ、両方とも好きってことで」

    小町「ふーん……まあ今回はそれでいいよ」

    小町(ほうほう、高……ね。っていうことはつまり……ふふ)

    小町「お兄ちゃん、頑張ってね!」

    八幡「うるせ」

    805 :

    ルビふりたいね

    807 :

    そこはわかるわさんと比べるんじゃないのか

    809 :

    今日の夜年内最後(多分)の投下します
    完結してないから緩い感じで待っててね!

    810 :

    期待してる

    811 :

    待ってる

    812 = 177 :

    やっはろー!1です

    投下します!
    ただ今日睡眠時間足りなくてやばいので多分今日と明日の2回に分けます。

    813 = 177 :

    雪乃「お帰りなさい。仕事は楽しかったかしら?」

    部室の扉を開けると雪ノ下に優しく迎え入れられた。

    その声音はとても優しく、笑顔も優しいものだった。隣にいる由比ヶ浜の笑顔も相まって部室全体に優しい空気が流れているようだった。

    そんな空気の中だからこそ、目が笑っていないという事実が余計恐怖を与えてくる。

    結衣「ヒッキーどうしたの?なんでこんな寒いのに汗かいてるの?」

    由比ヶ浜の目が「なにしてきた?言うてみ?」と問いかけてくる。別段悪いことなどしていないし、むしろ学校のために粉骨砕身頑張ってきたところなのになぜこんな修羅場を経験しなければならないのか。

    八幡「いや、ちょっとな。生徒会の仕事が肉体労働だったから……あとあれだ、もしかして陽乃さんからなんか来たか?」

    やましくないのなら自分から言うのが得策。つか、この二人あの人の性格知ってんだから俺が罠にハメられたってことくらい分かってくれよ、どんだけ冷静さ失ってんだよ。

    雪乃「ええ、由比ヶ浜さんの方に来ていたわ。随分と仲がいいのね」

    相変わらず雪ノ下の目は笑っていない。

    くっ、どうやったらこいつに笑顔を取り戻せるんだ……!あ、今の主人公っぽい。全部保身のためだけど。

    815 = 177 :

    結衣「よく見れば陽乃さんが画面少し弄ってるのは分かるけどさ……でもヒッキーがこんな感じでLINE送ったのは本当なんでしょ?」

    雪乃「姉さんのことを可愛いと言ったり……だ、大好き……と言ったりのも」

    もにょもにょと「大好き」と言う雪ノ下に数秒目を奪われる。

    ああもう顔を赤らめるなチラチラ見るな意味ありげに咳き込むななんかちょっと緊張しちゃうだろうが。

    八幡「た、確かに可愛いとは言ったがあれはふざけ半分……いやふざけ全部だし……大好きってのについては、陽乃さんじゃなくて俺のことが大好きって意味だからな」

    雪結「は?」

    二人がタイミングをぴったり合わせて口を開く。呆れ半分……いや呆れ全部といった感じの二人の視線は俺のことを見下しきっている。

    八幡「いやだから陽乃さんが俺のことを好きって言ったから、俺も俺のことが大好きですって意味でそう返してだな……」

    二人の視線がどんどん冷たくなっていく。ただでさえ寒いのにさらに追い討ちかけるとかなにこれ修行?俺にお坊さんにでもなってほしいの?タケル殿ォォォ!!って叫ぶくらいしかできないぞ。

    雪乃「……こんなときなんと言えばいいのかしら……言葉が見つからないわ」

    結衣「まあ……ヒッキーだからね……」

    八幡「いやその理論はおかしくない?つか俺が俺を好きとか前から知ってただろ?……話聞けよ」

    俺のことを無視して会話を始めた二人にため息をつきながらいつもの位置に座る。空は少し曇ってきたが、部室は朝より晴れもように思える。

    無言で差し出された紅茶を味わいながら、俺はいつものように本を読み始めた。

    とりあえず。

    可愛いと言った件について言及されなくて本当に良かった……。

    816 = 177 :

    俺が戻ってきてからも特になにがあるでもなく、ゆっくりと時間が過ぎていくだけだった。

    このまま今日は終わるかと思っていたところで、急に扉が開かれた。

    ノックなしで無遠慮に扉を開ける人間など一人しか知らないので見なくても誰なのか分かってしまう。確信を持ちながら視線を本から入り口へ移せば、そこにはやはり想像通りの人物が呆れた表情で立っていた。

    いや呆れたいのはこっちなんですけど。そろそろノック覚えましょうよ。

    平塚「まだ残っていたのかね君たちは」

    雪乃「ええ、まだ下校時刻には余裕があるので……それがどうかしましたか?」

    平塚「どうかもなにも……カーテンを閉めているのか。開けて外を見てみたまえ」

    外を見ると、大雨になっていた。さっきまで青が垣間見えていた空は、今や一面に雲に覆われてしまっている。雲もかなり暗い色をしていてますますひどい天気になることを予想させる。

    結衣「うわあ……全然気づかなかった……」

    雪乃「午後から天気が崩れるとは言っていたけれど、ここまでとは……」

    平塚「これから雷雨になるそうだ。私も仕事が一段落着き次第帰る。君たちも急いで帰る準備をしたまえ」

    そういうと、平塚先生は頭をかきながら静かに扉を閉めた。

    ああ……あの表情からするとまだまだ仕事が残ってるんだろうな……。雨が酷くなる前に帰れるように祈っとこう。南無三。

    雪乃「帰れなくなっても困るから、先生の言うとおりに今日は終わりにしましょうか」

    結衣「だねー」

    お、良かった終わるのか。このまま泊まっていきましょうとか言われたらどうしようかと思った……。

    合宿でもないのに泊まってまで部活していくとか完全に社畜育成のためのサナトリウムだよな。ちなみに専業主夫のためのサナトリウムはないのでしょうか。

    結衣「……明日は晴れるかな」

    八幡「んなもん明日にならないと分からないだろ」

    結衣「そうだけど……」

    八幡「……予報じゃ朝までには止むっつってたし、まあ大丈夫じゃねえの」

    結衣「うん……うん。そうだね、晴れるよね!」

    急に笑顔になった由比ヶ浜にどう声をかければいいのか分からず、つい雪ノ下の方を向いてしまう。雪ノ下は由比ヶ浜に何をいうでもなく、優しく微笑んでいた。だが俺の視線に気付くと、小さく咳払いをしてから鞄を持って立ち上がった。

    雪乃「それでは私は鍵を返しに行くから……」

    結衣「じゃあいつもの場所で待ってるね!」

    雪乃「……いえ、こんな天気なのだから今日は帰れるうちに帰りましょう」

    結衣「えー……」

    遠回しに「先に帰っていて」と言っている雪ノ下に由比ヶ浜は不満げに口を尖らせたが、外を見てその意見に納得したらしい。

    致し方なし、といった感じで立ち上がった。いや、由比ヶ浜に致し方なしはどうあっても似合わねえな。

    817 = 177 :

    雪乃「それじゃ、行きましょうか」

    結衣「うん……」

    八幡「うぃー……」

    元気のない返事とやる気のない返事が重なる。とぼとぼと廊下へ向かう由比ヶ浜に雪ノ下は小さく言った。

    雪乃「……明日は晴れるのだから、ね?」

    結衣「! うん!」

    まるで仲のいい姉妹みたいだなと心の中で呟いて俺も廊下に出る。

    部室の鍵をしめ、てくてくと廊下を歩いていく。せめて途中まではとたくさん話しかける由比ヶ浜とそれに静かに答える雪ノ下。そして存在を忘れられている俺。

    俺の存在感がいつもより薄い気がするが、それを除けばまあいつもどおりに戻ったと言っていいだろう。もしかしたら存在感もいつもこんな感じだったかもしれない。

    結衣「じゃあまた明日ね!」

    雪乃「ええ、また明日」

    八幡「ん、また明日」

    昇降口と出口の別れ道。由比ヶ浜はもっとこの場に留まろうとするかと思ったが、思っていたよりあっさりと解散した。まあこの雨だしな。

    雪ノ下と別れたことで今は由比ヶ浜と二人きり。

    ……気まずい。誰だよいつもどおりに戻ったとか言ったやつ。女子と二人きりだとどぎまぎして話せなくなるとか中学時代の俺かよ。そこまで戻る必要ないから。

    結衣「あ、えっと……ヒッキーはこのあとどうするの?」

    八幡「え、そりゃ帰るに決まってるけど」

    結衣「そ、そうじゃなくて!どうやって帰るの?」

    八幡「まあちょっと危ないが自転車だな。この天気のなか学校に置き去りにしていくのもアレだし」

    結衣「そ、そっか」

    くしくしと、頭のお団子をいじりながら由比ヶ浜は下を向く。いやまあ正直言えば何が言いたいかは分かりますよ?でもほら、ね?

    昇降口で靴を履き替える。由比ヶ浜は傘を持って先に行っているが、片手をあげて逃げるように歩きはじめる。

    八幡「ま、そういうわけだから……」

    結衣「あ、明日!」

    八幡「は?明日?」

    結衣「そう!明日は晴れるから!だ、だから……その、三人で……」

    八幡「……ま、晴れたらな」

    結衣「約束だからね!」

    八幡「はいはい。ほら、早く行かないと風邪引くぞ」

    結衣「うん!じゃまた明日ねー!」

    ぶんぶんと手を振りながら、由比ヶ浜は少し早足で帰っていった。俺もそれを見送りながら駐輪場へ向かう。

    818 = 177 :

    屋根の下に置かれた自転車があまり濡れていないのを確認してから、俺は今来た道を戻っていく。

    当たり前だがすでに由比ヶ浜の姿はない。それだけを確認してから、ぼそっと、ちょっとだけ気合いをいれるために呟く。

    八幡「はあ……じゃあ行くか」

    走るために軽く準備運動をするも、それでも心の中の後悔は消えない。

    傘持ってくるんだった……。

    今朝、快晴だからという理由だけで天気予報を無視した報いがこんなところでくるとは思わなかった。

    由比ヶ浜には自転車で帰るといったが、今日は走って帰る。自転車で帰ってまたぞろ事故にでも遭ったらたまったもんじゃない。

    ……はあ。

    雪乃「いくら両生類に憧れているとはいえ、わざわざ濡れにいくのは少し違うんじゃないかしら?」

    八幡「……ヒキガエルに憧れなんて抱いてねえよ。今も昔も人間希望だ」

    気合いを入れていよいよ走りだそうと右足に力を込めた瞬間、後ろから雨よりも冷たい声が飛んできた。振り向けば、雪ノ下が傘を片手に立っていた。

    人のスタートダッシュ邪魔するなよ。悲しみに閉ざされて泣くだけの俺になっちゃうだろ。

    八幡「……ずいぶんと早かったな」

    雪乃「鍵を返すだけなのだから、そんなに時間は取らないわ。それにいつも由比ヶ浜さんを待たせてしまっているから……」

    八幡「クセで早く終わらせるようになったのか」

    ほんとこいつ由比ヶ浜のこと好きだな。見てて微笑ましい。

    八幡「由比ヶ浜ならさっきちゃんと帰ったから安心しとけ。んじゃな」

    とりあえず由比ヶ浜のことだけ伝えてもう一度自転車を取りに行くフリをする。

    怪しまれないよう軽ーい感じでその場を離れようとしたつもりだったが、雪ノ下には通用しなかったようだ。

    雪乃「さっき雨の中へ走り出そうとしたのは誰だったかしら」

    八幡「いや、あー、あれは」

    雪乃「……よくそれで由比ヶ浜さんを誤魔化せたわね」

    八幡「あいつが場の流れに流されてくれたっていったほうが正解だな」

    由比ヶ浜のときは雰囲気で突破できたのだ。『そういう流れ』ができていなければ、あの由比ヶ浜とはいえ俺が傘を忘れたことくらい簡単に見抜いただろう。

    雪乃「……一応聞くけれど、傘は?」

    八幡「家でスタンバってる」

    雪乃「素直に忘れたと言いなさい……はあ」

    ため息一つを間に挟み、雪ノ下が俺に傘を差し出してきた。え、やだなにこのイケメン。嫌いじゃないわ!

    八幡「……それは違うだろ。お前が持ってきたんだからお前が使うべきだ」

    雪乃「そうしたいのは山々だけれど、かといってあなたを見捨てるわけにもいかないでしょう」

    八幡「見捨ててもらって構わないんだけど……」

    雪ノ下の所有物なのだからもちろん雪ノ下が使うべきだと俺は考えるが、雪ノ下には雪ノ下なりの意地があるらしく無言で俺に傘を突きだしている。その勢いで突かれそうで怖い。

    こんな調子で数分押し問答が続く。その間にも雨はどんどん勢いを増していた。

    雪乃「なら、間をとって二人で使いましょう」

    八幡「……」

    雪乃「不満そうな顔ね、あなたのその顔……嫌いだわ」

    いつかの日のような口調で俺の顔面を否定した雪ノ下は、しかしその不満すら無視して傘を開く。

    雪乃「せめて、持つのは任せてもいいかしら?」

    819 = 177 :

    傘を持ちながら歩くこと数十分。長い帰り道の終点。雨風を防いでくれる家に感謝しながら冷えた体をシャワーで温めてから浴槽に浸かる。

    見慣れない天井、見慣れない浴槽。

    雪乃「比企谷君。着替え、ここに置いていくわよ」

    八幡「はい」

    そして、雪ノ下の声。

    何を隠そう、俺が今いるのは雪ノ下の家なのである。

    ……どうしてこうなった。

    遡ること少し前。

    結局雪ノ下の言うとおり傘を二人で使い……まあその、一般的に相合い傘というのをしながら俺たちは帰った。

    さすがに俺の家まで送ってもらうのは気が引けたので、雪ノ下を家まで送って俺が傘を借りるということになったのだが。

    雪乃「……ありがとう」

    八幡「礼を言うのはこっちだろ。これから傘借りるんだし……でも本当にこの傘使っていいのか?」

    雪乃「使わない傘をもらえれば、ということだったけれど、家には使わない傘なんてそもそも置いていないもの。だからそんな心配をする前にあなたのような眼をした人間が女性物の傘を使って職務質問されないかを心配しなさい」

    八幡「そっちもマジで心配しなきゃな……」

    そう言いながら手元の傘を見る。俺や小町が使ってるのに比べて明らかに高そうで、すでに握り心地からして違っている。

    途中で傘しまおう。こんな高い傘さして強風の中を帰るとか心臓に悪い。

    そう考えるとここまでの道のりでそれを意識せずにすんだのはラッキーだった。いやその分いつもより近い位置にいる雪ノ下に緊張しっぱなしだったのだが。

    820 = 177 :

    八幡「じゃ、傘ありがたく使わせてもらうわ。明日も部活あるよな?」

    雪乃「ええ。ちなみに明後日が冬休み最後の部活よ」

    八幡「あいよ。傘は明日返すわ」

    雪乃「……一応送ってもらったのだし、お茶でも出すわよ?」

    八幡「あんまり遅くなると小町にいろいろ聞かれそうだから、今日はもう帰っとく」

    それだけいって、雨の降る空の下へ傘をさしながら一歩踏み出そうとしたときだった。

    ゴウッ!!と目の前をなにかが凄い勢いで通りすぎていった。その方向を見れば、どこかのボロ看板が風に飛ばされいろんなものにぶつかっている。

    ……一瞬、「死」という言葉が脳をよぎる。

    こ、これ雪ノ下が俺に一声かけてなかったらマジで逝っちゃってたんじゃないですかね。アウト判定ですよね。

    後ろを向くと、雪ノ下がポカンとした表情で看板の飛んでいった先を見ていた。

    震える体に鞭を打ち、雪ノ下に向けて普段の俺なら考えられないような台詞を口にする。

    八幡「……雨宿りさせて下さい」

    そして今に至る。

    八幡「なにしてんだ俺……」

    家にあげてもらい、風邪をひかないよう風呂にまで入れてもらえた。ちなみに雪ノ下は服を着替えて暖房の効いた部屋にいるらしい。「だから気にせずゆっくり温まってきなさい」と言われ、その通りに温めさせてもらっている。

    さっきまでは体の震えていたが、体の芯まで温めたおかげかそれもだいぶ収まってきた。震えの理由が寒さだけとは思えないが、収まったというなら何も問題はない。

    気にするなとは言われたが、雪ノ下も体を冷やしていることに違いはない。ならば少しでも早く風呂からあがろう。

    というか早くあがりたい。毎日ここで雪ノ下が裸でいるのだと思うとあらぬ想像をしてしまいそうだ。……ぶっちゃけすでに少ししてしまったのだが。

    浴槽から出て、脱衣所に出る。風呂に入る前に「着替えを置く以外、こっちには絶対来ない」という話をしていたし、ラブコメ的ハプニングは心配しなくていいだろう。

    そんな風に油断していたのが仇となった。

    バスタオルを取ろうと手を伸ばした瞬間、廊下に続く扉がバーンッ!と勢いよく開けられる。

    陽乃「ひゃっはろー雪乃ちゃん、遊びに……」

    フリーズしてしまった体は大事な部分を隠すことする忘れ、手を伸ばした体勢のまま動くことができない。

    二秒、三秒と経ったあたりで、雪ノ下の家に悲鳴が響き渡る!

    陽乃「きゃぁぁぁあああああ!?」

    八幡「きゃぁぁぁあああああ!?」

    821 = 177 :

    今日はここまで
    残りは明日投下します

    おやすみー

    822 = 814 :

    おっつおっつ

    824 :

    Q:なぜ暴風雨の中妹の家に遊びに来たのですか?
    A:はるのんですから

    825 :


    まぁはるのん自体が暴風雨みたいなもんだしね

    826 :

    早くしないとまたライダー変わっちゃうぞ
    3シーズン跨いでる高校二年生とか不憫だろ

    827 :

    雪ノ下家リビング。ひんやりとした床の冷たさをひしひしと感じながら眼前で仁王立ちしている雪ノ下を見る。

    雪乃「あなたたちは人の家で一体何をしているのかしら」

    声音は冷たく、聞いただけで凍死しそうだ。そんな雪ノ下のお言葉を俺と陽乃さんは正座しながら聞いている。

    陽乃「いやー、たまたま近くを通りかかったから遊びに来ただけなんだけどねー」

    八幡「俺にいたっては被害者なんだけど。っていうかその前になんで着替えがバスローブなんだよ」

    雪乃「私の家に男物の服があるわけないでしょう。そのバスローブは姉さんからのプレゼントよ。いらないからあげるわ」

    八幡「俺もいらねえよ」

    無駄にいい生地を使ったバスローブは悔しいことに着心地は最高だ。が、ここで俺がもらうとなんというか……変態みたいじゃないですかね。

    依然俺たちを見下ろしていた雪ノ下だったが、疲れたのか額に手を当ててため息をついた。

    そのタイミングで正座していた陽乃さんが悪びれた様子もなく立ち上がる。

    陽乃「ま、ホントに特に用事があったわけじゃないから。そろそろ帰るね」

    雪乃「そうしてちょうだい。……外、雨は弱まったのかしら?」

    陽乃「まだまだ降ってるよ。なに、心配してくれたの?雪乃ちゃんやっさしー。でも大丈夫だよ、今日は車で来たから」

    雪乃「そんなわけないでしょう。この男が雨が止むまでうちにいたいと言っていたから……」

    陽乃「おお?じゃあ今日はお泊まりコースだね。明け方まで弱まりすらしないらしいよ」

    え……まじかー。さっきの看板が割とトラウマになってるから風弱まるまで外出たくないんだけどな。

    窓から見える雨模様の空を見つめながらこの後の計画をたてる。ふむ、どんな計画をたてても諦めるという終着点に到着してしまう。まずい。

    828 = 177 :

    ふと気づくと陽乃さんが俺のことを見ていた。疑問に思い首をかしげると、まあ今までの経験通りろくでもないことを言い始める。

    陽乃「お姉さんとドライブデートでもする?」

    一瞬、仮面ライダーの映画を一緒に見に行こうという意味かと思ったが、この人がバイクに乗らない仮面ライダーのことを知っているとも思えないしおおかた車で送ってくれる的な意味合いだろう。

    いつもなら即断る。この人と二人で車……まあ運転手さんがいるとしても並んで座って車に乗るだなんてごめんだ。それに『あの車』だろうし。

    八幡「……いいですよ、しましょう。家まで送ってくれるんなら」

    雪乃「なっ……」

    二人とも俺の返事に驚いたようだったが、普通に考えれば当たり前だろう。

    確かに陽乃さんとドライブデートはしたくないが、それ以上に雪ノ下の家でバスローブ姿でいたくない。

    つか、さっきからバスローブ姿で正座している俺が惨めすぎるんだけど。惨めオブザイヤーとかあれば受賞できそうだ。

    陽乃「ほほう、比企谷君もようやくお姉さんに心を開いてきたのかな?」

    八幡「そんなわけないじゃないですか。ただ単にバスローブを脱ぎたいだけです」

    陽乃「比企谷君も大胆なこと言うねー。美少女二人を前にして全裸になりたいだなんて」

    八幡「言ってないです。そんなことしてまた悲鳴なんてあげられたら……」

    陽乃「比企谷君?比企谷君は悲鳴なんて聞いてないよね?今までもこれからも悲鳴なんて聞いたことないよね?」

    八幡「あっ、はい」

    威嚇しているようにしか見えない笑顔から思わず目をそらしてしまう。怖い怖い怖い。

    それにもまして、怖いのが雪ノ下だ。俺でも陽乃さんでもなく、何もないところを睨みつけている。何か見えてんの?

    雪乃「あなたがいいのなら、それで構わないけれど……」

    八幡「けれど?」

    雪乃「なんでもないわ。制服、乾いてないけれどいいのかしら?」

    八幡「さすがにこんなにすぐには乾かないか……」

    ちらっと陽乃さんを見る。俺の視線に気づき一度不思議そうな顔をしたものの、すぐにその意図を理解して笑顔で口を開いた。

    陽乃「別に多少濡れてても大丈夫だよ。濡れてるとはいっても水浸しってレベルじゃないんでしょ?」

    八幡「ええ、まあ……」

    陽乃「なら問題ないね。ほらほら比企谷君、パパッと着替えてきちゃいなさい」

    家主でもない陽乃さんに急かされながら脱衣所に置いたままの制服に着替える。よくよく考えたら雪ノ下にパンツ見られたんだよな……。なんだか恥ずかしい。

    八幡「き、着替え終わりました……」

    濡れた服が肌に張り付いて予想以上に気持ち悪い上に、ガリガリと体温を奪っていく。くそっ、バスローブにちょっと戻りたいと思ってしまってる自分が情けない。

    陽乃「よーし、じゃあ行こっか」

    陽乃さんがさらっと腕を組んでくる。柔らかい物体が俺の冷えた左腕に押し付けられ悪い意味で体温が上がっていく。あ、ちょっと前屈みにならないと。

    雪乃「……姉さん?」

    陽乃「そんなに睨まないでよ雪乃ちゃん。比企谷君が寒そうだから暖めてるだけだよ。あ、そういえば右腕が空いてるねー」

    雪乃「なぜそこでチラチラと私を見るのかしら」

    陽乃「特に深い意味はないよー。……でもこのままじゃ比企谷君風邪ひいちゃうかも?」

    雪乃「なら私の家で……」

    雪ノ下が何かを言おうとする前に陽乃さんが俺に顔を近づけた。俺の耳元に唇を寄せ、蠱惑的な声で呟く。

    陽乃「じゃあ、お姉さんが暖めてあ・げ・る♪」

    その声で俺の中の何かが壊れそうになる。性欲か、あるいは恐怖なのかは分からないが、心の中で渦巻く感情が何かを壊そうとしてくる。

    雪乃「姉さんっ!!」

    雪ノ下がヒステリック気味に叫ぶ。あまりにらしくない行動に、俺は驚きのあまり口を開けたまま動くことができない。

    陽乃「……どうかしたの?」

    低く重く、心を押さえつけるような声は雪ノ下の次の言葉を詰まらせるのには充分だった。

    829 = 177 :

    視線をそらし、手を握りしめる雪ノ下。ようやく陽乃さんと視線を合わせた彼女は、いつも通りの調子で話す。

    雪乃「悪ふざけがすぎるから注意しただけよ。比企谷君も困っているのだから、早く離しなさい」

    陽乃「本当の理由を隠すのだって、れっきとした嘘だよ?雪乃ちゃんはそんな欺瞞を許せるの?」

    雪ノ下は押し黙る。いや、押し黙らされたといった方がきっと正確だ。陽乃さんの言葉は疑問系でありながら返答を許さない程絶対的なのだから。

    陽乃「ま、いいや。じゃあ比企谷君は貰ってくねー」

    陽乃さんは何事もなかったように俺を部屋から連れ出す。途中、何度か雪ノ下が口を開いたが、何かを話すことはなかった。

    見送りも待たないまま雪ノ下の家を出た俺はなすがままにエレベーターに乗せられる。

    八幡「あの」

    エレベーターの中で俺はようやく口を開いた。

    陽乃「ん?」

    八幡「何がしたかったんですか?雪ノ下のこと、煽るだけ煽ってそのまま帰るって……」

    陽乃「私が煽ったのは雪乃ちゃんだけじゃないよ?」

    俺を見る陽乃さんの表情からは、何も読み取ることは出来ない。それがただただ怖い。

    陽乃「これからバレンタインがあってホワイトデーがあって、その後はすぐに三年生。三年生にもなれば大学のこと、もっと真面目に考えなきゃいけなくなるよね」

    八幡「それがどうかしたんですか」

    陽乃「絶好の逃げ道だよね」

    その一言は雪ノ下ではなく俺に向けた言葉だった。

    どこに逃げるのか。何から逃げるのか。そこにまた向き合わされる。

    陽乃「そんな怖い顔しないでよ。誰も比企谷君のことだなんて言ってないよ?」

    八幡「言ってるようなもんじゃないですか……」

    これだからこの人は嫌なんだ。

    今更ながら、この人との帰宅を選んだことを後悔している。バスローブ着てた方がましだったかもしれない。

    気づけばエレベーターはすでに一階に到着していた。エントランスを抜けてマンション前に停めてある車に乗り込んだ。濡れた服に冷風はきついな……。

    陽乃「家に戻る前に、比企谷君の家まで」

    都築「かしこまりました」

    かしこまるなよ!なんで俺の家知ってんだよ!と問いただしたかったが、答えられたら答えられたで怖そうなので黙っておく。ま、まあ家まで送ってもらえるならいいよね。

    陽乃「比企谷君って好きな人とかいるの?」

    八幡「前にも言いましたけど、親に好き嫌い言うなって育てられたんで」

    陽乃「でも優劣を付けるなとは言われてないよね」

    陽乃さんが少しだけ距離を詰めてくる。ほんの少しではあったが、俺の心拍数を上げるには充分すぎた。

    830 = 177 :

    陽乃「もしかして、誰も選ばなきゃ誰も不幸にならないとかそういうこと考えるタイプ?」

    八幡「……そうですね。選ばれない辛さはよく知ってるんで」

    知ってる、思い知っている。選ばれないまま生きてきた結果が今の俺だ。

    まあ結果が俺だとするならそれはそれで辛くはあっても悪いものではないのかもしれない。

    陽乃「誰も不幸にはならないかもしれないけど、誰も幸せになれないよ。それでいいなら何も言わないけど」

    八幡「…………」

    返事をしない。できないのだ、俺は。何も覚悟しないままでいたから。

    こんな自分だから、選ばれる側になることはあっても選ぶ側になんてならないだろう。そんな風に考えていた。なのに俺は……。

    俺の家に着くまでそれから会話はなかった。雨音だけが聞こえる車内は居心地が悪いことこの上ない。

    雨のカーテンの向こうにようやく我が家が見えてくる。安堵から小さく息を漏らす。

    ほどなくして車は止まり、俺の席側のドアが開く。

    陽乃「傘使う?玄関まで濡れちゃうでしょ?」

    八幡「大丈夫です。……ありがとうごさいます」

    陽乃「あっはっは。気にしない気にしない。またドライブデートしたくなったらいつでも言ってね」

    八幡「ええ、来ないと思いますけど」

    陽乃「一言多いなぁ、君は」

    楽しそうに笑う陽乃さんに軽く頭を下げてから車を降りる。陽乃さんは明るい声で「またね」と言ってきた。

    扉が閉まり車が発進する。やはり改めて見るととても高そうだ。シートとか濡らしちゃったけど大丈夫なんだろうか。うわ、今更だけど超不安。

    八幡「くしゅん!……家入ろ」

    何はともあれ体を暖めねば。マジ風邪ひく。

    小走りで家に駆け込む。また冷えてしまった体を暖めるべく着替えを適当に集めて風呂へ向かう。

    この後、小町の着替えに遭遇してしまったりもしたが……まあ語るほどのことでもないだろう。

    831 = 177 :

    今日はここまでです。多分これが今年最後です。

    なーに、来年までには終わりますって、ガハハ!

    それではよいお年とメリークリスマス!

    832 :

    おい小町の着替えもっと

    833 :

    来年ていつなんですかね…?

    835 :

    早く終わらせろや

    836 :

    もう先が長くないおばあちゃんが楽しみにしてるんです!早く続きを!

    837 :

    乙。面白いありがと。あ、ぼくも身体が弱くて今年中に悪くなったところを身体から取っちゃうの。1さんぼくが動けなくなる前に続きお願い!

    839 :

    明けましてやっはろーでございます
    今年中に終わらせる気なので今年もよろしくお願いします

    というわけで新年一発目!新年も何も関係ない小ネタ投下します。

    >>69さん待たせてごめんね!いろはの短編です!

    840 = 177 :

    「ツールの違いを理解せよ!」

    to:一色いろは

    いろは【せんぱーい】

    八幡【なんだよ】

    いろは【せっかくLINE交換したのにどうして何も送ってくれないんですか!待ってたんですよ!】

    八幡【むしろなんで俺がすると思ってんの?】

    いろは【だって先輩ですし】

    八幡【お前俺のことどう思ってんだよ】

    いろは【頼りになる先輩だと思ってます♪】

    八幡【それ道具としてってことだろ】

    八幡【お前の道具になるつもりはないぞ】

    いろは【別に道具とは言ってないですよ】

    いろは【あっもしかして道具じゃなくてちゃんと男として見てほしいってことですか最近結構ときめいちゃいますけどまだまだ足りないので乙女心が分かるようになってから出直してきてくださいごめんなさい】

    八幡【なんていうかアレだな】

    いろは【??】

    八幡【そのお断りテンプレ、いつも早口でまくしたてられてたから内容聞き流してたけど】

    八幡【文字にして改めて見るとお前ってすごいこと言ってたんだな】

    いろは【え】

    いろは【違いますよ違いますから今のは言葉の綾というかLINEの綾というかそんな感じのです毎度毎度あんなこと言ってるわけないじゃないですかなに言ってるんですか】

    いろは【なんで既読スルーしてるんですかホントは見てますよね絶対見てますよね私の純情弄んでるんですよね】

    いろは【今の純情も別に深い意味はないですただの純情であってそれ以上でも以下でもないですっていうかいつになったら返事くれるんですか先輩】

    いろは【不在着信】

    いろは【不在着信】

    いろは【明日覚えておいてくださいよ】

    841 = 177 :

    今日はこれだけー

    このSS書き終わったら感想もらうためにpixivあたりにもっかい投稿しようと思ってます。

    渋でこんなの見たら思い出してくれると1的にポイント高いです。

    それじゃ!また今年中に!

    843 :

    来た
    乙です

    844 :

    まだ年越してないとかどこの旧暦だよ

    846 :

    乙!気長に待ってるぞ
    その間にスレが落ちたり埋まらなければいいがな

    847 :

    >>846
    通報した

    848 :

    八幡が既読スルーを見事に使いこなしててワロタ

    849 :

    やっはろー!1です

    明日投下できると思います。
    あと、自分が遅筆なせいでかなーりダラダラ続きましたが、もうちょいで終わりそうだよ。
    1000以内で完結させる予定なのでどうぞよしなに。


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