元スレ雪乃「LINE?」結衣「そう!みんなでやろうよ!」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
601 = 177 :
先ほどのイルミネーションは光の迷路、と言うらしい。
六角形の迷路になっており、外側の入り口から入って真ん中にあるツリーがゴールだ。逆に帰りはツリーがスタート地点で外側の入り口がゴールに変わる。
八幡「迷路って言う割にはすぐ抜けられたな……」
結衣「そうだね……」
迷路自体は簡単なものだ。だからこの迷路の実際の魅力はやはりイルミネーションにあるのだろう。
壁にくくりつけられたいくつもの豆電球が作りだす『光の迷路』も当然綺麗だが、俺が一番心を奪われたのは……。
結衣「すごい!このツリーすごいよヒッキー!」
出口に設置された5メートルを超える巨大なツリー。それに心を奪われたのは俺だけではなく由比ヶ浜もだった。
ツリー近くに置かれたボタンを押すと、数種類用意された光り方がランダムで選ばれツリーを眩く彩る。それが楽しくて二人して何度もボタンを押していた。
運良く周りに人がいないのでこの景色を独り占めできている。あ、由比ヶ浜もいるから二人占めか。
八幡「人気ありそうな場所なのに俺たちしかいないな」
結衣「ほ、ほんとだ……あ、あ、あた、あたし達だけだねっ!」
八幡「大丈夫かお前、寒すぎて滑舌かなり酷くなってるぞ」
結衣「だ、だいじょびゅ」
八幡「全然大丈夫にみえないんだが……」
さっきも様子がおかしかったが、ここに来てさらにおかしくなったよう
に思う。今かなり寒いし、無理してるのだろうか。
602 = 177 :
幡「そろそろ帰るか?寒いだろ」
結衣「えっと……」
八幡「なんだ写真でも撮りたいのか?」
結衣「そ、そうじゃなくてさ……あの……」
由比ヶ浜は手を目一杯握り締めて言葉を紡ごうとしている。言い出すまで待とうと思い俺は口を閉じた。
だが、なんだろうこの既視感は。かつてこんな風にしている人間を見たことがある。
いや、挙動に見覚えがあるんじゃない。この動きか醸し出す独特な雰囲気、それを感じたことがあるんだ。
そう、それは二人きりの教室で勇気を出して死地へ飛び込んで行った、昔の俺のようで──
結衣「ヒッキーと会ってから……もう結構経つよね」
八幡「おう、そうだな」
気付いてしまう。闇が広がる夜に、光に包まれたこんな場所へ顔を赤くしながら連れてきた理由を。
由比ヶ浜の言葉を止めなければ……そんな選択肢が出てくるが、俺はそれを選べない。止めるということは、由比ヶ浜が俺へどんな想いを抱いているのか、気づいたことになってしまう。
結衣「ヒッキーのおかげで、あたし変われたんだ。あ、もちろんゆきのんのおかげでもあるけど」
八幡「おう、そうだな」
結衣「だから……伝えたいって思った、あたしの気持ち。じゃないと、ずっと逃げちゃいそうだったんだ」
由比ヶ浜の気持ちを聞いた上で否定する事はできる。立場やこれからの人生を考えた上で最も傷の少ない回答を答えることだって簡単だ。
だが……それで本物は手に入るのか?いや、俺や彼女たちが欲した本物はそんな逃げ腰で掴めるものではないだろう。
八幡「……伝えたくなっちゃったか」
結衣「うん。なっちゃった」
軽口を叩く彼女の体は震えている。手はスカートを強く掴んでおり、顔は耳まで真っ赤だ。
そんな彼女の瞳が俺を捉えた。その瞳にはもう迷いはない。
結衣「好きです。あたしと……付き合って下さい!」
603 = 177 :
俺は鈍感系主人公じゃない。敏感を超えて過敏ですらある。
だから由比ヶ浜の気持ちには気づいてた。これが嘘ではないことも知っている。
ああ……やばい、泣きそうだ。人から好意を伝えられるのがこれほどまでに幸せなことだとは思わなかった。
……彼女に対して俺はどう返せばいいのだろうか。
カーストの差を考えれば断らなくてはならない。それにこいつが俺に好意を持ってくれたのは、きっと入学式の日のアレが原因だろう。
なら、そんな勘違いで幸せを手放してはいけない。たとえ彼女が今傷つくことになっても、俺はその先の未来のために正しい返事をするべきだ。
だというのに……彼女の瞳はそれを許してはくれなかった。
八幡「……由比ヶ浜」
慎重に言葉を選ぶ。
でもそれじゃダメなんだ。心に任せて気持ちを伝えるべきだ。そうしなければ……俺は由比ヶ浜の前に立つ資格をなくしてしまう。
きっと怖かっただろう。辛かっただろう。それを乗り越えて彼女は伝えてくれた。
今にも逃げ出したいはずなのに俺の答えを聞くため俺から視線を外さない。
なら……せめて伝えよう。俺の気持ちをそのままに。
八幡「俺は……」
言うことなんてまとまらない。何を言いたいのかすら分からない。ただ思うままに伝える。
カーストとか未来とかそんなものは後回しだ。由比ヶ浜の勇気に応えるために、俺は大きく息を吸う。
そして……短い言葉に乗せて、気持ちを吐き出した。
八幡「悪い、お前とは……付き合えない」
604 = 177 :
今日はここまで。
次の投下がいつになるか分からないけど、気長に待ってね。今年中には終わらせる予定なので。
おやすみなさい。
605 = 598 :
乙
ユイユイは選ばれないんだね
607 :
今年はまだ始まったばかりなんですが…
608 :
おつ
ゆいゆい…
609 :
ゆきのんへのプレゼントをダシにして告白するガハマさんはさすがです
611 :
>>605-610
雪乃厨[ピーーー][ピーーー][ピーーー]
612 :
>>611
うん[ピーーー]
613 :
>>610
良スレあげじゃねぇよssスレは人が増えると荒れるからsage進行が基本だろ馬鹿か こういう頭の弱い奴が居るせいで俺ガイルssは未完で終わるんだよ
614 :
>>613
コテパクんな雑魚がwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
615 :
結ばれるルートもやってくれ……
616 :
>>615
くっせぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
んなレスする暇あるなら就活しなさい
622 :
気長に待つ
625 :
気体
627 :
>>625
あのぉ酉も真似できないなら死んだ方がいいのでは?
629 = 628 :
みす
630 :
[ピーーー]
631 :
こうか?
633 :
釣られすぎ
635 :
もしもしってアホしかいないのか
636 :
新しくできた動物園とはここのことですかな?
637 :
今日から読み始めたが面白い!
今年中にお願いします
641 :
やっはろー!1です
2ヶ月も経ってるとか年の流れが早くて怖いです。
ってことで今週中には投下します。相変わらず少ないけどご愛嬌ということで。
それでは、ノシ
642 :
頑張ってくれ
644 :
おうあくしろよ
645 :
やっはろー!1です
投下しますー
646 = 177 :
あれから家にどう帰ったのかよく覚えていない。ただうっすらと、小町が優しい顔をしていたこと……そして由比ヶ浜の泣き顔だけは覚えている。
きっと小町は今日何があるか知っていたのだろう。だから朝俺に対してあそこまで怒り、そしてそんな俺に優しく接してくれた。
本当に誇りたくなるような妹だ。
それに引き換え俺は……。
八幡「あー……はあ」
もう寝よう。寝ればこの沈んでいく思考も少しはマシになるだろ。
そう思い布団にくるまろうとした時、さっき充電を始めたスマホが目に入った。
……そういえば、雪ノ下とのLINEになんて返したか確認してなかった。布団から出るのは億劫だがそれだけ確認して寝ておこう。というかなんでもいいから他のことに頭を使いたい。
かなり俊敏な動きでケータイを充電器から取り外し、また布団に潜り込む。
電源が入ったことを確認してそのままLINEを開いた。
雪乃【私に話しかけてくる男の人は、私のことを好きだったり特別視していたから】
雪乃【普通に接してくれるあなたとの会話は新鮮で楽しく感じるのよ】
雪乃【眠気で変なことを言ってしまったわ】
雪乃【今のは忘れてもらえるかしら】
雪乃【おやすみなさい】
そうそう、こんな会話をしてる時にちょうど俺の眠気が来たんだった。
さて俺はなんと返したのだろう。
647 = 177 :
八幡【俺だってお前のこと好きだけど】
八幡【おやさめ】
八幡「…………」
ははははは、おやさめってなんだよおやさめって。眠すぎてかなりひどい誤字してるんじゃねえかよはっはっは。もう全く俺ってやつはほんと……。
八幡「おやさめえええええ!!」
ケータイをなんの加減もせずに布団に叩きつける!なにしてんだ!なにしてんだよ俺!
俺が文字通り頭を抱えていると、遠慮がちにドアが開かれる。そこからひょこっと小町が顔を出していた。
小町「お兄ちゃん大丈夫?コ、コーヒー入れようか……?」
八幡「大丈夫だ……大丈夫大丈夫……大丈夫だから」
小町「大丈夫そうに見えないんだけど」
珍しく小町が不安そうな顔をしている。今日の由比ヶ浜のことで頭をおかしくしたとでも思っているのだろうか。半分正解だ。
八幡「……なあ小町、由比ヶ浜と雪ノ下の今の様子分かるか」
小町「え……二人は朝から連絡とれてないから分からないけど……」
八幡「連絡とれてないって、由比ヶ浜はまあ……ともかく雪ノ下も?」
小町「うん、朝のお兄ちゃんとの会話を伝えたら返事返ってこなくなった」
いつもなら俺が返した雪ノ下へのLINEについて尋問が始まるところだが、さすがの小町も今ばかりは自粛してくれた。
つーか朝?小町と何話したかな……。
八幡「……ちなみに聞くが、なんて送った?」
小町「だから、朝に話してたことそのまんまだって。『お兄ちゃんは寝ぼけて思った通りのことを送ったらしいです』って」
八幡「そうか……それで返事が返ってこなっちゃったか……」
小町「うん。……っていうかお兄ちゃん、この状況で結衣さんより雪乃さんを気にかけるって小町的にポイントかなり低いよ?」
八幡「雪ノ下のことを気にしてるわけじゃねえよ。ただちょっとそこの窓から飛び降りたいだけだ」
俺の言葉に小町を少しだけ顔をひきつらせた。俺があまり言わない冗談を言ったもんだから反応に困っているんだろう。
まあ全部冗談ってわけでもないけどな。
八幡「とりあえず俺はもう寝る。お前もあんま俺のことばっか心配してないで勉強に集中した方がいいぞ」
小町「え?別にお兄ちゃんのことなんて心配してないよ?」
可愛く首を傾げる小町を見て本当に窓から飛び降りてやろうかとも思うが、さすがに本当にやるわけにもいかない。痛そうだし。
痛いのは心だけで充分だ。
小町「明日はなにもないんだから、ゆっくり寝てね」
八幡「ん、おやすみ」
小町「おやすみー」
小町がドアをきちんと閉めたのを見て、ベッドに再び横になる。
今日は疲れた。これ以上起きていると自分のことを嫌いになりそうで怖い。
どうか夢くらいは幸せでありますように。
648 :
ぶっはwwwwww
649 :
夢を見た。
とても大切な人達が俺のせいで離れ離れになっていく。
そして最後はひとりぼっち。
俺の周りには誰もいない。見渡しても何も見つからない。声を出しても返事は来ない。手を伸ばしても何も触れない。
俺だけがいるひとりぼっち。俺だけしかいないひとりぼっち。
今までと同じはずなのに全く違う。
本当のひとりぼっち。
650 = 177 :
あれから数日。夜寝る時も昼寝をする時も二度寝でさえ悪夢ばかりだ。
俺が悪いのだから文句を言うつもりはないが、今日くらいは良い夢を見させて欲しい。
なんたって今日は。
小町「あけましておめでとー!うぇーい!」
八幡「……今年もよろしく」
ついに新年。テンションの高すぎる小町にテキトーな挨拶を返しながら窓の外を見やる。
カタカタと窓を揺らす風は明らかに冷たそうで、とても家から出たくない。ってかコタツから出たくない。
小町「それじゃあ初詣にレッツゴー!」
八幡「狙ってんのかお前は……」
こんなドンピシャのタイミングで出発発言されると凄い悪意を感じるんですけど。
いや行きますけどね、小町の合格祈願もしたいし。
みんなの評価 : ★★
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