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    元スレ雪乃「LINE?」結衣「そう!みんなでやろうよ!」

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    551 :

    >>550
    禿同

    554 :

    >>552は末尾的に偽物だな
    ひまだな

    555 :

    お前等無駄レスすんじゃねぇ
    取り敢えず黙れ俺も黙る
    うるさい目障り消えろくたばれ
    乳臭いガキはルールきけや
    そして社会のルール知っといて一生従え
    こっちくんなこっちみんな邪魔すんな
    その他の奴等荒らしは絶対無視
    いいな無視しろ関わるな
    バ韓国と同じだ無視しろ
    後盛り上げてくれよ
    俺ガイルすれいつも荒らしで潰れんよ
    楽しみに来てんだこちとら

    以上一生ここに書き込まない
    これにレスつけんなゴミ氏ね
    消える


    556 :

    どこが縦読みなのか探してた

    557 :


     り
      さ
       い










    558 :

    >>556
    IDがジョジョ

    559 :

    >>555

    どこ縦読み?

    562 :

    週末投下します

    全然書けなかったですが、本編進めます!

    563 :

    >>562
    参ってる

    564 :

    全裸待機

    565 :

    やったぜ

    566 :

    きさまらsageもできないばかばかっなのか!!!!!!!!!
    本当無能だなWWWWWバーカクーズWWWWWWニート!!!!!
    ざこは宿題やっておねんねしてなちゃーい

    567 = 566 :

    1がんばれ!!まだまだだけどまあまあおもしろうよ!!!

    569 :

    やっはろー!1です

    トッキュウジャーが終わってテンション低いですがキリのいいとこまで書けたんで投下しますー

    570 :

    釣りですか?

    571 :

    結衣「……席取ろっか」

    さすがはコミュニケーション力の高い由比ヶ浜といったところか。自然に会話の種を見つけて話題を逸らしてくれる。

    当然俺は拒否する気などなく、二人で席を確保しに行く。

    俺はこういう場所では端っこの席が落ち着くのだが、由比ヶ浜は真ん中の方が楽しくていいらしい。ただの席取りに時間を喰うのも嫌だったので今回は由比ヶ浜の意見を尊重した。

    実際は今朝の遅刻未遂とさっきの色々があったせいで強く出られないからだったが、ここは譲ったと言った方が格好良いはずだ。

    情けないとか言うな。

    八幡「…………」

    結衣「…………」

    さて、どうするか。

    まあフードコートで席についたら先に女子に食べ物を選びに行かせてやるのが紳士だろう。レディーファーストは大事なことだ。

    八幡「お前先に──」
    結衣「ヒッキー、一緒に──」

    重なる言葉。重ならない意見。

    数秒の沈黙の末に折れたのは結局俺だった。

    572 = 177 :

    八幡「はあ……。貴重品は持っとけよ」

    結衣「ふふ……なんだか先生みたい」

    八幡「お前みたいな問題児相手じゃだれでもこうなるんだよ」

    結衣「ひどっ!」

    そうそう、この感じ。今日は朝から調子が狂っていたが、ギアが噛み合ってきた。

    俺の脳細胞がニュートラルだぜ!……ただの凡人だな。

    結衣「ヒッキーは何食べるの?」

    由比ヶ浜はしきりに周りを見回している。無理もない、このフードコートはかなり大きく店の種類も豊富だ。

    ラーメン、カレー、ハンバーガー、刺身etc……といった具合に悩むには充分すぎる品揃えとなっている。

    八幡「俺はラーメンだな。お前は?ハンバーガーならそこにあるぞ」

    くいっと顎で店の方を示す。だが由比ヶ浜は腕を組んで未だ悩み中だ。

    結衣「どうせここまで来たんだし、もっと見てから決めようよ」

    八幡「まあ見るだけなら」

    席の位置を忘れないようにしっかりと覚えてから、由比ヶ浜の隣に立つ。ここかなり広いから、多分由比ヶ浜の記憶力じゃ席に戻ってこれないだろうし……。

    なんか俺、先生っつうか保護者みたいになってんだけど。アホの子を持つと親は苦労するんだな。ぼっちの子を持った親はもっと苦労するんだろうが。

    子供を持つことになったら、由比ヶ浜みたいなそこそこ明るい子に育てよう。

    頭の良さ的には俺くらいがいい。さすがに雪ノ下レベルを求めるのは高望みしすぎってもんだ。

    573 :

    え?おわり?

    574 :

    すいません昼寝してました

    再開

    575 = 177 :

    席を離れて一軒一軒店を見て回る。珍しいメニューを見つける度に由比ヶ浜は子供のようにはしゃいでいた。

    俺はそれに対し完璧な相槌をうつ。

    結衣「ヒッキー!凄いよお刺身だよ!」

    八幡「おう、そうだな」

    結衣「あ、ハンバーガーすごい豪華!うーんやっぱりハンバーガーにしようかな……」

    八幡「おう、そうだな」

    結衣「でもお肉か……最近ちょっと食べ過ぎたかも……」

    八幡「おう、そうだ──」

    結衣「ヒッキー適当すぎ!!!」

    約束通り食べ物を見て回り返事までしているというのに、由比ヶ浜はひどく不機嫌だった。なぜだ、ここまで完璧な返答をしているというのに。

    結衣「さっきから『おう、そうだな』しか言ってないじゃん!返事が適当にも程があるよ!」

    八幡「いやいや、『おう、そうだな』もちゃんと抑揚変えたりしてバリエーション豊かにしてただろ。俺が関係ないこと考えてるのバレないように」

    結衣「違うこと考えてるんじゃん!」

    あっ、口が滑った。

    ぼっちはリア充よりも一人での思考に費やせる時間が多い。そのせいで何かを考え始めると人との会話よりも考えることに夢中になってしまい、結果さらにぼっちを加速させる。

    こんなところでもぼっちの癖が出てしまうのだから自分のぼっちの才能が怖い。……ホント怖い、色んな意味で。

    576 = 177 :

    八幡「安心しろ。別にお前の話がつまらないわけでもないし、語彙が貧困すぎて伝えたいことが伝わってこないわけでもない。ましてや早くラーメンが食べたい訳でもないから」

    結衣「絶対退屈してたよね!?」

    八幡「退屈していたわけじゃない、ただラーメンが食べたいだけだ」

    理想的なジト目で俺を見てくる由比ヶ浜から思わず視線を逸らしてしまう。

    八幡「……ぼっちの習性なんだよ。人と話してる時に違うこと考えて会話に集中できなくなるのは。今も真面目に将来のこととか考えてたし」

    結衣「ふーん……例えば?」

    俺の言葉を訝しむ由比ヶ浜が具体例を聞いてくる。一応本当に将来のことは考えていたんだけどな。

    同じくらい戸塚のことも考えてたが。

    八幡「例えば……そうだな、子供は俺とお前の良いところを持った感じに育てていきたいとか」

    結衣「………………ふぇ?」

    目を点にして、さらに口をだらしなく空けたまま首を傾げられた。つうか『ふぇ?』とかあざとすぎんだろ、一色の真似かよ。

    八幡「なに、どうした?お前に一色の真似は似合わないぞ」

    結衣「う、うんそうだね……」

    なにか一つくらい反論かツッコミかをしてくると思ったが……なにもしてこない。

    え?本当に一色の真似だったの?

    577 = 177 :

    結衣「そ、その……ヒッキーはさ、専業主夫って夢が叶ったらこ、こづ……子作り、したいとか思うの……?」

    八幡「……………………ふぇ?」

    驚きのあまり変な声出た。一色の真似をしたみたいで恥ずかしい。そしてこいつは何言ってんだ。

    八幡「どうした由比ヶ浜、熱でもあんのか?お前今とんでもないこと言ってんぞ」

    結衣「言いだしたのはヒッキーじゃん……」

    八幡「は?俺が?」

    そんな記憶はない。だが由比ヶ浜には心当たりがありまくるらしく、視線を逸らし唇を少し尖らせながら呟いた。

    結衣「あ、あたしとの子供が……みたいな」

    一瞬脳内が真っ白になる。が、やはり俺にそんな記憶はない。この黒歴史マスターたる俺が女子と子供を産んだ時の話なんぞする訳もないだろうに。

    ……子供を産んだ時?あれ、なんか直接ではないにしろそんな感じのことは確かに言った。子供は俺と由比ヶ浜の良いところを持った子にしたいとかそんなのを……!?

    八幡「ばっ!……おま、ちげえよ!そ、そういうい、意味で言ったんじゃなくて……ただ普通に子供にはそんな風に育ってほしいってだけで……」

    結衣「……じゃあお嫁さんは誰でもいいの?」

    八幡「そういうわけじゃないが……ああもう!この話はやめだ、やめ!」

    話の流れを無理矢理変えるために他の店へと歩き出す。後ろからは由比ヶ浜の足音と……微かな溜め息が聞こえてきたような気がした。

    578 = 177 :

    八幡「ハンバーガーはやめたんだな」

    気まずい空気を嫌というほど味わい、俺たちはようやく昼飯にありつけた。

    俺は当初の予定と変わらずラーメンだったが、由比ヶ浜はハンバーガーからカレーへと予定変更したようだ。

    結衣「すっごくいい匂いだったんだもん」

    八幡「まあな」

    その気持ちはよく分かる。俺も心が揺らいだし。

    由比ヶ浜は熱いカレーにふーふーと息を吹きかけながら美味しそうに食べている。

    結衣「えっと……欲しいの?」

    八幡「え、あ、いや……」

    カレーへの視線に気づいたらしい由比ヶ浜が気を使って聞いてきた。もちろん丁重にお断りはするが本当は食べたい。

    誰だよラーメン食おうとか言ったやつ。まあラーメンはラーメンで美味しいけども。

    八幡「別に大丈──」

    断りの言葉を言おうとする俺の前にカレーの乗ったスプーンが差し出された。それを持っている由比ヶ浜とスプーンを思わず交互に見てしまう。

    え、なにこれ?こいつは俺に何をさせようとしてるの?

    結衣「はい、あーん」

    八幡「……いやいやいや」

    579 = 177 :

    驚きのあまり変なリアクションをとってしまった。この言葉だけで今の感情が伝えられるとも思わなかったのでついでにアイコンタクトもしておこう。

    「こいつなにしてんの?」みたいな目をされたが、数秒もすると自分が何をしでかしたか理解できたらしい。彼女は顔を赤くしてあたふたとした結果、だらしなく開けていた俺の口にスプーンを突っ込んできた。

    ……いやいやいや!!

    八幡「あっふ!あっふ!」

    結衣「わわわっ!ごめん!」

    由比ヶ浜は大慌てでコップを俺に提供してくれる。水を一息で飲み干してから、荒い息のまま未だ顔の赤い彼女を睨みつけた。

    八幡「お、お前……俺に何か恨みでもあんのか……」

    結衣「な、ないない!ちょっと気がどう……ど、どーてい?してただけ!」

    八幡「とんでもない言い間違えすんな。正しくは動転な」

    大きくため息をついてから、とりあえずラーメンをすする。口の中に広がる麺とスープの旨味が少しだけ落ち着きを取り戻させてくれた。

    由比ヶ浜は再びカレーを食べている。彼女も少しは落ち着いたようだ。

    あれ、そのスプーン……いや、言わないでおこう。それ俺の口の中に突っ込んだスプーンじゃね?とか言ったところで誰も救われないんだし。

    結衣「ふー、辛いー」

    顔をパタパタしながら由比ヶ浜は自分のコップに口を付ける。しかしどれだけコップを傾けたところで口へ水が流れることはない。

    当然だ。なぜならそのコップの中身は、先ほど由比ヶ浜が俺に飲ませたのだから。

    それに気づいたからだろうか、由比ヶ浜の肩がびくっと動いた。コップのふち、さっき使ったスプーン、そして俺の顔をゆっくり見る。そして顔を真っ赤にして俯いてしまった。

    八幡「自爆しすぎだろ……」

    自分だけでなく周りの人も巻き込むから自爆は本当にやっかいだ。

    頼むから大爆発は覚えないでくれよ。

    580 = 177 :

    夜再開します

    581 :

    ひさしえん

    583 :

    夜だお

    584 :

    夜だね!

    ゆっくり再開

    585 = 177 :

    ラーメンを食べ終えラブコメっぽい空気を飲み下し、さあいざプレゼントを買いにゆかんとしたところで俺は早くも躓いていた。

    何を買えばいいか全く分からない。

    女子に誕生日のプレゼントを贈るなんて経験、小町以外にしたことがない。あ、由比ヶ浜にも送ったか。

    ……まあ中学時代にも贈ったことはあるが、あれはカウントしたくない。物を受け取った女子の第一声が『え……なんで誕生日知ってるの……?』だもん。

    違うよストーカーじゃないよ。クラスで話してるのを盗み聞きしただけだよ。

    こんな感じで女子への贈り物の経験が俺にはない。あるのはストーカーの才能くらいだ。

    こんなことなら雪ノ下のことをもっとストーキングしとけばよかった。いやいやそうじゃない。

    八幡「お前は何買うか決めてあるのか?」

    由比ヶ浜からなんとか候補だけでも聞き出そうとする。だが……。

    結衣「う、うん……まあ一応……多分?」

    彼女は俺から視線を逸らして返答を誤魔化すだけだった。いや誤魔化せてねえよ。絶対決めてないだろ。

    586 = 177 :

    八幡「色々見て回るしかないか……」

    結衣「そ、そだね」

    どうもさっきの昼食から由比ヶ浜の様子がおかしい。顔は赤いし挙動不審。おかしいというか変だ。

    理由は……分かっているつもりではある。だがそれを明確にする気はない。それに明確にしたところでラブコメ経験値0の俺には解決策など微塵も分からない。

    ならやることは一つ。

    さっきの出来事を、言葉の中に混ぜ空気に溶かし過去の中へと散らしていく。そうやって無かったことにする。これが得策だろう。

    幸いにも『雪ノ下のプレゼント探し』という名目があるのだから、そちらに意識を向けてしまえばなんの問題もない。

    ……二人そろってプレゼント候補すら決まっていないからピンチなのではあるが。

    587 = 177 :

    とりあえずは行動を起こそうということで適当に近くの店に入る。

    ぼっちというのは意外と行動力に溢れていたりする。リア充どもがあっち行こうこっち行こうとダラダラ話している間も、俺たちぼっちはパパッと移動を開始しているのだ。

    だから店主が強面そうなラーメン屋にもお洒落なカフェにも俺は踏み込む事ができる。踏み込めないのは人間関係くらいだ。いや他にもいっぱいあるけど。

    結衣「あ、ヒッキー!このヘアピン可愛い!」

    八幡「お、おう……」

    なんで女子ってこのくらいのことでテンション上げられるの?お兄ちゃんちょっと怖いよ。

    まあ色んな雑貨を手に取っては「わー」だの「きゃー」だの「あれ?優美子?」だの言っているということはさっきのゴタゴタは無事になかったことになったのだろう。単純で良かった。

    ……待て、優美子?

    確かその名は炎の女王ミウラの真名……材木座みたいだな、やめよう。

    とにかく三浦いんの?最悪じゃん。まああいつなら以前の花火大会での相模みたいな反応はしないと思うが……。

    そう思いながら由比ヶ浜の見ている方向へ視線を移す。そこには金髪ドリルの女王と……爽やかオーラをまき散らしてる葉山の姿があった。

    八幡「……お前も居たのか」

    葉山「やあ、奇遇だね」

    奇遇だホント奇遇。奇遇すぎて神様呪うレベル。

    俺が心の中で神様へ罵詈雑言を浴びせているとも知らず、楽しそうに由比ヶ浜と会話を始める葉山と三浦。

    超居づらいんですけど……。

    こうやってトップカースト同士が話していると、俺と由比ヶ浜が一緒に買い物をしているということが滑稽にすら思えてくる。

    住む世界が違うというなら、やはり住み分けは完璧にしていなければならない。平和に過ごすためにはそれが最良のはずだ。

    588 = 177 :

    三浦「こんなとこで何してたん?……あ、デート?」

    三浦はニヤニヤとした笑顔を浮かべて由比ヶ浜に近づいていく。それは、例えるなら獲物を見つけたヘビのようだった。

    こんな獰猛な笑みを見ればかつての相模が見せた冷笑など可愛く思える。さがみん超かわいー。

    結衣「デートとかそんなんじゃ!……そ、そんなんじゃなくて、二人でゆきのんの誕生日プレゼントを……ね?」

    八幡「あ、え、おう」

    急に俺を会話に混ぜるなよ。驚いてかなりどもっちゃったじゃねえか。

    由比ヶ浜の口から雪ノ下の名前が出たからか、はたまた俺が会話に参加したからかは分からないが三浦と葉山の動きが少し止まる。

    八幡「じゃあ、俺はあっち見てるから」

    会話にできた僅かな隙を狙って俺は口を開く。俺の言葉は狙い通りすんなりと通り、その場を離れることに成功した。

    完璧だ。パーフェクトだ。

    出来るだけ自然に、かつ迅速に。俺と由比ヶ浜との距離を開けていく。まさかあそこで葉山と三浦の二人から由比ヶ浜を離すわけにもいかない。

    あいつが一緒にいるべきなのは、俺じゃないはずだ。

    3人の話し声が少しずつ遠くなっていく。あと数歩離れればもう声が聞こえなくなるというところで、最後に俺の元へ届いた声は。

    結衣「あたしもそろそろ行くねー。また今度あそぼー」

    八幡「……は?」

    思わず振り返ってしまった。そうすれば当然こちらに向かう由比ヶ浜と目が合ってしまう。すると何故か由比ヶ浜は嬉しそうに小走りで駆け寄ってきた。

    結衣「よし、じゃあ行こー!」

    八幡「おう……ま、待て待て。お前こっちに来て良かったのか?」

    完璧なタイミングを狙って自然に抜け出た俺に対し、由比ヶ浜は会話をぶった切ってこちらへ来たような気がする。

    あの三浦に対してそんなことをして大丈夫か、と不安に思う俺を由比ヶ浜は不思議そうに見つめていた。

    結衣「大丈夫って、何が?」

    八幡「せっかくトップカースト連中と会ったってのに、俺の方に来て大丈夫なのかってことだ。三浦とかお前と一緒に買い物したそうだったと思うんだが」

    結衣「優美子は隼人君と二人きりの方が嬉しいと思うけど」

    そう言われれば確かにそうだ。三浦は葉山の事が好きなんだから、二人きりを邪魔されたくはないか。

    さすがは由比ヶ浜。場の空気を読み切ってるぜ。

    結衣「それにあたしはヒッキーとの方がいいし」

    八幡「……そうですか」

    それわざわざ言う必要あったんですかね……。これから数分はお前の方に顔向けられなくなっちゃったんですけど。

    590 = 589 :

    591 = 177 :

    気を取り直しプレゼント選び再開。

    八幡「きっと漠然と物を選ぼうとするから何も決まらないんだ。あいつが欲しいと思いそうなものをまず選ぼう」

    結衣「ヒ、ヒッキーがプレゼント選び慣れてるみたいに見える……」

    八幡「……慣れてねえよ」

    そう、俺が中学時代に一人でウキウキしながら渡したあれもそれもプレゼントじゃない。あんなのは誰も喜ばない自己満足でしかないのだ。だから俺はプレゼントを選ぶことは、慣れてない。

    そんな事情があったせいで由比ヶ浜へプレゼントを渡す時、実は心臓バックバクだった。本人には絶対言わないけどな。

    結衣「んー、ゆきのんが欲しいと思いそうなもの……本とか?」

    八幡「んなの自分で買うだろ」

    結衣「そうだね……でもそうしたら、他のも全部そうなっちゃうんじゃない?ゆきのんって本当に欲しいと思ったものは絶対手に入れるって性格だし」

    八幡「まあ、そうだな」

    いともたやすく前途多難。全然候補が見つからない。

    結衣「あ、あたしの時はさ……どうやって選んだの?」

    俺から若干視線を外しながら由比ヶ浜が聞いてくる。半年近く前のことなので記憶が曖昧になっている箇所も多々あるが、なんとか思い出すことができた。

    八幡「俺は最初から大体こんなの買おうって決めてたな。雪ノ下は……弱点をつこうとしてた」

    結衣「弱点つかれてたんだ……」

    半年越しに知った事実に由比ヶ浜は軽くショックを受けていた。

    いや別にそんな悪い意味での弱点って意味じゃないと思うがな……。

    八幡「今回もそれで探してみるか。ヒントくらいは見つかるかもしれない」

    結衣「ゆきのんの弱点……あ!ゆきのんってね、背中をつーってされるの弱いんだよ!」

    八幡「それ俺に言ってどうすんだよ」

    やれっていうの?無理無理死ぬ死ぬ。あらゆる意味で殺される。

    結衣「う、うーん、あとは……眠気に少し弱い……かも?」

    八幡「眠気、ねえ……」

    だとしたらコーヒーだろうか。いや紅茶の方がカフェイン豊富と聞くし……。

    ここはやっぱり、無難にMAXコーヒーか?

    592 = 177 :

    結衣「そうだ!」

    八幡「おわっ、なんだよ急に大声出すなよ……」

    結衣「ふふん、発想の逆転だよヒッキー。眠気に弱いなら……寝る!」

    八幡「…………」

    結衣「その目やめろし!」

    俺の視線を体いっぱいに浴びた由比ヶ浜は、わたわたと慌てた様子で説明を付け足してきた。

    結衣「睡眠は質と量って言うでしょ?だから眠気に弱いなら眠気が来ないように……例えば今よりもっとぐっすり寝れるように出来れば良いなーって」

    八幡「お前にしちゃ良い考えだな」

    由比ヶ浜はどうやら今の閃きをとても気に入ったらしく、いつもなら怒るような俺のセリフもドヤ顔で流していた。

    八幡「……じゃあ睡眠グッズ系統でも買うのか?」

    結衣「うん、プレゼントは枕にする」

    ようやく物が決まった由比ヶ浜は、まるで憑き物が落ちたように笑ってさっそく地図を見に行っていた。

    ここに枕が売ってるかは知らんが、まあプレゼントさえ決まったのなら後はどうとでもなるだろう。

    結衣「ヒッキー、上の階行くよー」

    エスカレーターの前で俺に手を振っている彼女の元へ、少し足早に歩いていく。

    ……で。俺は何を買えばいいの?

    593 :

    八幡「良かったな、すぐにいいのが見つかって」

    結衣「うん!」

    丁寧に梱包され、袋へ入れられた枕を由比ヶ浜は大事そうに抱きかかえている。

    雪ノ下が『私いつも使ってる枕じゃないと寝れないのー』とか言い出すタイプの輩だったらどうしようという不安はあった。

    だが修学旅行でそんな話が出なかったあたり、そこらへんは大丈夫なんだろう。多分。

    結衣「ヒッキーは買うもの決まった?選ぶの手伝ってもらったし、あたしもプレゼント選び手伝うよ?」

    八幡「一応買う物は決めた。ただ自分のセンスに自信がないから、そこらへんは……頼む」

    結衣「まっかせて!」

    由比ヶ浜の言葉を信じ、俺は本屋へと足を向ける。目当てはブックカバーだ。

    枕に比べると安さが目立つが、まあ何種類か買う予定だから大丈夫だろ。

    594 :

    由比ヶ浜のアドバイスのおかげでブックカバー選びは意外と早く終わらせることができた。

    しかしまさか、パンさんのブックカバーに出会えるとは……驚きのあまり二人して大声を出してしまったぜ。店員さんごめんなさい。

    結衣「よーし、ヒッキーも買えたね。これで目的達成!」

    八幡「んじゃ、帰るか」

    結衣「えー、遊ぼうよー」

    俺の言葉を予想していたかのように、由比ヶ浜は被せ気味に不満を口に出した。

    だが甘い。俺もその不満を言われることをすでに読んでいた。由比ヶ浜が言葉を言い始めるころにはもうすっげえ嫌そうな顔をしてある。

    結衣「よ、夜まで!外がもっと暗くなるまで遊ぼ!」

    その顔を真正面から見たというのに由比ヶ浜はなかなか引き下がろうとはしない。自分で言うのもなんだが結構気持ち悪い顔だと思うんだがな。

    てか、夜になんかあるのかよ。

    まあいい。もう心のシャッターは下ろしてある。例え由比ヶ浜が雪ノ下のような理論武装をしてきたとしても、俺はそれを否定して家に帰る。家が俺を呼んでるんだ。

    それにほら、女子とあんまり長い時間一緒にいるってアレじゃないですか。だから帰る。

    597 = 177 :

    こんな俺に対し、由比ヶ浜の起こしたアクションはひどくシンプルだった。

    結衣「ヒッキー……」

    艶めかしい声で俺を呼び。

    俺の服の裾を掴み。

    潤んだ瞳で上目遣いに見つめながら。

    ただ小さくぼそっと呟いた。

    結衣「…………だめ?」

    八幡「す、少しだけ……なら」

    どうやら俺の心のシャッターは、発泡スチロール並みに脆いようだ。

    もう少しは頑張れよ、俺。

    598 :

    さすがヒッキーちょろい

    599 = 177 :

    イオンモール幕張新都心には4つのモールがある。それぞれが家族向けだったり、犬や猫などのペットを飼っている人向けだったりしている。

    もちろんそれ以外の人が楽しめないわけではなく、4つのモール全てが誰でも楽しめるようになっていて……まあつまり俺なんかでも時間を忘れて遊んでしまうわけだ。

    結衣「いやー、遊んだね!」

    イオンモール前のバス停。駅へ向かうバスを待ちながら、真っ暗な空を背景に由比ヶ浜は俺へ笑顔を向けてきた。その顔は一日中遊んで興奮したからなのか、心なしか赤く見える。

    八幡「そうだな、さすが千葉だ」

    結衣「誉めるとこそこなんだ……」

    当たり前だ。千葉の素晴らしさはもっと口に出していかないと伝わらない。

    いつか俺の努力が功を成して千葉が日本の首都になることを今も夢見てる。

    結衣「……えーと、あー、その」

    八幡「なんだよ。まだ買ってないものでもあるのか?」

    イオンの出口あたりから由比ヶ浜の動きに落ち着きがなくなっている。そわそわと周りを見たり、何かを言いかけてやめたりとまさしく挙動不審だ。

    結衣「あのさっ!……あ、えと……アレ……見たいな、って」

    由比ヶ浜が小さく指差した先にあったのは光の集まり。いわゆるイルミネーションだ。

    八幡「イルミネーションか……」

    そう答えた俺はさぞや渋い顔をしていたことだろう。

    だってほら、イルミネーション見てわーきゃー騒いでるやつら見ると電球ぶつけたくなるじゃん?それがカップルだとなおさら憎悪は濃くなる。

    600 = 177 :

    結衣「い、嫌ならいいんだけど」

    八幡「別に嫌ってわけじゃないが……珍しいな、お前が最初からこんなに弱腰で俺を誘うなんて」

    結衣「め、珍しい?」

    八幡「いつもならまず、行こう行こう騒いで俺のこと誘うだろ?それで俺が嫌だって断っても粘りに粘って、その最後の最後に今のセリフが出てくると思ったんだが」

    結衣「あたしそんなに押し強くないよ!?」

    八幡「いやかなり強いぞ。押しの強さだけなら横綱にも引けを取らない」

    本当に強い。強すぎてあの雪ノ下が調教されるくらいだ。引けを取らないよりもむしろどん引くレベル。

    結衣「と、とにかくっ!嫌じゃないんだよね?」

    八幡「あ、ああ」

    結衣「じゃあ行こっ!」

    八幡「え、ちょっ」

    さっきまで弱腰だったと思いきや急に俺の手を引っ張って歩き出す由比ヶ浜。やっぱり押し強すぎるんですけど。


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