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    元スレ雪乃「LINE?」結衣「そう!みんなでやろうよ!」

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    751 :

    きたい

    752 :

    もう来月も終わるぞ

    754 :

    >>22
    今さらだけど、フィーチャーフォンだぞ

    755 :

    期待。忙しいか,煮詰まっただけなのだと信じたい。

    756 :

    ひゃっはー!1だぜ!

    来月と言ったな、あれは嘘だ。
    忙しいし煮詰まってるし童貞卒業出来ないしで筆が進まねえよチクショウ!

    ただこんな中途半端な、しかもここから特に盛り上がるわけでもないとこで放置もあれなんでキリのいいとこまで投下します。

    757 = 177 :

    八幡「どこまでって……なにが?」

    雪乃「いえ、別にその……言いたくないのなら無理に言わなくていいわ」

    八幡「だから何がだよ」

    雪乃「誤魔化さなくてもいいと思うのだけれど。……下着を見て、そのあと眠れない夜を過ごしたのでしょう?つ、つまり……その……。女性にこんなことを言わせるなんて最低ね」

    いまいち雪ノ下の言ってることが理解できないのだが、とりあえず何かを勘違いされてることと理不尽なことを言われているのは理解できた。

    しかし……雪ノ下はなんで顔を真っ赤にしてるんだ。……あ、キレてんの?まあこんなこと聞いてもキレてないっすよとしか返ってこないよな、返ってこないな。

    758 = 177 :

    八幡「っつーかお前、俺と由比ヶ浜の関係勘違いしてない?あいつとはなんもないからな」

    雪乃「されたのでしょう?……告白」

    八幡「……なんで知ってんだよ」

    意味ありげな倒置法に、俺の声音は無意識に攻撃的になっていた。

    落ち着いてきた雪ノ下が窓の外を眺めながらゆっくりと話始める。

    雪乃「さっき、由比ヶ浜さんが誤解を解きに戻って来たとき言っていたのよ。……そのあと、悪いことをしたわけでもないのに謝ってきたわ」

    八幡「あいつにとっちゃ悪いことだったんだろ。もしかしたら今の奉仕部を壊してたかもしれないんだから」

    759 = 177 :

    雪乃「それでもよ。それが悪いこととは思えないの。自分の気持ちに向き合って……そして気持ちに素直に行動する。それはもちろん悪いことになることだってあるけれど、今回のは違うわ。もっと……凄いことだと、私は思う」

    八幡「あいつにとって、それは凄いことでもなんでもないってことだろ。……俺やお前とは違って」

    雪ノ下は少しだけ言葉に詰まっていたが、 「そうね」 とだけ返すとそれから何も話さなくなった。

    俺から話しかけるようなこともなく、静かに時間が流れていく。普通なら居心地の悪い時間だが、こいつとだとそうでもない。

    八幡「……っていうか俺たち何の話してたんだっけ」

    雪乃「あなたがゲスという話でしょう?」

    760 = 177 :

    俺と雪ノ下の勘違いは約30分以上話し合い、俺はゲスではなくクズだという結論で落ち着いた。ハチマン、ナイテナイヨ。

    八幡「で、この後どうすんの?」

    雪乃「帰るに決まっているでしょう。まさかあなたしかいないこの家に泊まっていけと?」

    八幡「言わねえよ。言わねえからカマクラ離せ」

    雪ノ下にがっちりホールドされているカマクラは手足をばたつかせながら脱出を試みていた。……過去形なのは、今はすでに脱出を諦めているからである。

    諦めるなよ!お前そのままだと雪ノ下の家に誘拐されかねないぞ!

    雪乃「……離さなきゃダメ?」

    少し甘えた声で聞いてくる雪ノ下のギャップが大きすぎて危うく許可しそうになる。カマクラの生殺与奪をそんな理由で雪ノ下に渡すわけにも行くまい。

    八幡「ダメだ。つーかそんなに遊びたいならまた来ればいいだろ」

    雪乃「驚いたわ。あなたの口からそんな言葉が出るなんて……熱でもあるの?」

    八幡「いや普通だろ。小町がいるときに来てもらえれば俺は部屋でこもってるだけでいいんだから」

    雪乃「だから、なぜあなたには自分でもてなすという発想がないのかしら」

    八幡「そりゃお前、俺にもてなされて喜ぶやつなんて材木座くらいしかいないからだ」

    反論の余地がない俺の発言に、雪ノ下は少しだけカマクラに視線を落とす。何かを迷っていたようだが、少ししてゆっくりと口を開いた。

    雪乃「あなたは自分を過小評価しているわ。自分の価値にもっと気づくべきよ」

    そう呟く雪ノ下の声音は優しく、本当に雪ノ下が言ったのかすら怪しんだほどだ。だが、当然雪ノ下以外にこの場で声を発する者などいない。

    それを意識したとたん、無性に恥ずかしくなって雪ノ下の顔を見れなくなってしまった。

    761 = 177 :

    雪乃「……何か言ってくれないかしら」

    八幡「あ、ああ……その、サンキュ?」

    雪乃「何故疑問系なのかしら……」

    雪ノ下は少し不満げだったが、こんなことを言われてスラスラと返事を返せるようなイケメン力を求めないでほしい。

    八幡「まああれだ。なら次も俺がもてなすよ。……次があればな」

    雪乃「あなたは本当に一言余計ね。あまり期待はしないでおくわ」

    雪ノ下がカマクラを名残惜しそうに離す。解放されたカマクラは解放感を味わうように全力で伸びをしたあと、これまた全力で雪ノ下から逃げ出した。

    雪乃「それじゃ、私はそろそろ帰るわ」

    八幡「あいよ。玄関まで送る」

    そういって雪ノ下の後をついていく。もちろん、この後外に出たらまた……みたいな展開はなく、雪ノ下は普通に帰っていった。

    良かった……これでまた扉の外に誰か居たら軽く泣くとこだった……。

    なにはともあれ。

    これで今家の中には一人だけ。女子二人とあんなやりとりをしたあとに一人きりの家でやることなど決まっている。

    自室に戻り布団を頭まで被る。

    そして。

    八幡「ああああああ!!恥ずかしい!死ぬ!死なせてくれええええ!!!」

    ラブコメの主人公のような一日を振り返り、恥ずかしさに身悶える。

    小町が帰って来て「え、うわあ……」と本気で引くまでこれはずっと続いたのだった。

    762 = 177 :

    8 ゆえに彼は躓きながら進んでゆく 終

    763 = 177 :

    長い間待たせたのにごめんね!次回もこれくらい待ってくれると嬉しいな!

    投下間隔を短くできるようには頑張ります。
    おやすみなさい!

    765 :

    乙乙

    766 :

    きた!
    お疲れ様です

    769 :

    お疲れ様です。一区切りついて、今後の展開がどうなるか楽しみです。

    770 :

    乙。面白い。楽しみにしてる。

    772 :

    エタったな

    773 :

    やっはろー!

    エタったと思った?残念、さやかちゃんでした!

    ということで三連休のどっかで投下するよー、

    776 :

    やっはろー!

    いっくよー!

    777 = 177 :

    比企谷八幡ラブコメ事件から二日後、久しぶりの奉仕部の活動日。

    天気予報では俺たちの下校時刻は大雨とのことだったが、ノーテンピーカンと空は晴れている。おかげですいすいと自転車で登校することができた。

    だが、部室の雰囲気は外の晴れすら陰らせるほど曇り模様だ。

    八幡「……」

    雪乃「……」

    結衣「……」

    俺が静かなのはいつものことだから問題ない。しかし雪ノ下、そして由比ヶ浜がなにも喋らないというのは異常事態だ。

    何か話せよ……空気が重いんだけど……。

    静かな部室。重い雰囲気。ここ最近こんな感じになることがやけに多い気がする。いや今までのに比べたらだいぶマシではあるだろうがそれでも……つらい。

    部活開始から2、30分ほど経ったころ。小さなノックによってようやく静寂が打ち壊された。

    雪乃「……どうぞ」

    予想していなかったノックに驚いているのか、やや控えめな声で雪ノ下が返す。

    俺と由比ヶ浜が扉に視線を集中させていると、扉は勢いよく開かれた。

    いろは「お久しぶりでーす。あ、せんぱーい、冬休みですけどちょっと手伝ってもらえませんか?」

    挨拶もほどほどに、拒否を許さない笑顔で俺に声を掛けてきたのは……生徒会長、一色いろはであった。

    778 = 177 :

    八幡「なんでお前学校いんの?」

    俺の記憶が正しければあと少しだけ冬休みのはず。こいつ一人だけでがっこうぐらししてんの?

    いろは「それが聞いてくださいよー。生徒会だからって冬休みも登校して業務やらされてるんですよー」

    八幡「へー」

    いろは「へー、じゃないですよ!可愛い後輩が遠回しに困ってるって言ったら普通助けてくれませんか?」

    八幡「自分のこと可愛い後輩とか言っちゃうやつ助けようとは思わん」

    いろは「じゃあどんな人なら助けてくれるんですか」

    八幡「小町と戸塚」

    いろは「限定的すぎますー!」

    俺にブーイングする一色を見かねたのか、額に手を添えたまま雪ノ下が会話に入ってきた。

    雪乃「それで、手伝いというのは?」

    いろは「今日だけ生徒会のメンバー都合がつかなくて、私一人なんですよー。それだと暇……人手が足りなくてー」

    八幡「暇って言ったよね今」

    最近の一色は俺たちの前だとあざとくするのを忘れることが多い気がする。建前だけでもちゃんと言えよ……。

    779 = 177 :

    いつもならここでもう少し嫌がって粘るのだが……今日はなんというかその……居心地が悪い。昨日の今日だから俺だけでなく三人ともがどんな感じでいればいいか決めあぐねているのだ。

    ならば少しばかりクールタイムを取ってもよかろう。

    ヘタレじゃない。戦略的撤退だ。

    八幡「まあ、俺もやることがあるわけけじゃないし……一日くらいなら手伝ってやらんこともない」

    いろは「……? あ、はい。ありがとうございますー」

    八幡「なんか今、間がなかったか?」

    いろは「ああ、いえ。ただいつもならもっと嫌そうにしてるなーと思いまして……あ、もしかして私に会えなくて寂しかったとかですかごめんなさい気持ちはよく分かりますけどそういうのはもっと人がいないときに言ってください」

    八幡「……うん、もうそれでいいわ」

    一色がよく分からない理由で俺をフるのにはもう慣れた。まさか告白してもないのにフラれることに慣れるとは思わなかった……。

    雪ノ下も由比ヶ浜も苦笑しながら俺を見送る。俺がいない間に二人がどんな話をするか少し気になったが、一色に急かされすぐに部室を出ることになった。

    780 = 177 :

    冷気の充満した廊下。いつもは中庭から部活動の掛け声が合唱のように聞こえ来るのだが、どうやら今日はどこもお休みのようだ。羨ましい。

    俺と一色以外の物音が何も聞こえてこないこの空間が寒さをより一層際立たせた。

    いろは「そういえばー、先輩LINEやってるって本当ですか?」

    八幡「……それ聞いてどうすんだよ」

    いろは「普通に教えてもらおうかと。っていうかそう聞くってことはやってるってことでオーケーですか?」

    急に口を開いたかと思えば、想像もしてなかった話題を出される。っていうかそれ誰から聞いたんだよ。

    いろは「結衣先輩から簡単に聞き出せました」

    八幡「由比ヶ浜からか……あれ?今お前俺の心読んだ?」

    いろは「というわけでLINE私にも教えて下さい」

    八幡「構わんが……やっぱ俺の心読んだよね?読心術使ったよね?」

    いろは「しつこい男は嫌われますよー」

    八幡「えー……」

    文句を垂れながら、ケータイを取り出す。

    友だち登録については絶対こいつの方が詳しいだろう。なら下手に俺がいじるよりこのまま渡してしまった方が楽だった。

    八幡「じゃあ操作頼ん……」

    ケータイを受け取ろうと一色が手を出したところで、俺の動きが少し止まる。

    今まではケータイに見られて困るものはなかった。履歴もちゃんと消してたし。

    だが今もそうか?答えは否だ。こいつに俺のLINEを見られようものなら泣きながら部室に戻る自信がある。むしろその部室からすら追い出されるレベル。

    いろは「先輩、どうかしました?」

    八幡「い、いやなんでもない。ちょっと待っててくれ今やるから」

    いろは「貸してもらえればやりますけど」

    八幡「まあまあ」

    いろは「……はっはーん。さては先輩、女の子に見せられないようなもの入れてるんじゃないですかー?」

    不審に思った一色にさすがに気づかれてしまう。なんとか誤魔化そうとは思ったがさすがに俺の演技力では欺ききれないだろう。

    八幡ピンチ!

    八幡「えーと、だな……」

    いろは「ふふっ、別に見せろだなんて言いませんよ。まあ先輩の性癖には少し興味ありますけど」

    八幡「そういう見せられないじゃないから」

    いろは「じゃあどういう見せられないないんですかー?」

    八幡「ちょっとだけこっぱずかしいLINEが……あっ」

    いろは「へー……LINEですか」

    一色がいやらしく口角をあげる。

    これじゃあ由比ヶ浜のこと笑えねえ……っていうか誘導尋問上手すぎでしょこいつ。そのスキルどこで手に入れたんだよ。怖い、いろはす怖い。

    いろは「まあそういうわけなのでLINE交換しましょうか」

    八幡「……はい」

    別段LINEを教えるのが嫌だったわけではないが、今はなんというか……怖い。この子どこに向かってるの?第二の陽乃さん?

    781 = 177 :

    八幡「お前、LINEの名前『ワンカラー』なのか……」

    いろは「なにか文句でも?」

    八幡「そうじゃねえよ、思ったよりシンプルで驚いただけだ」

    こいつのことだからもっと訳が分からない名前にするか、由比ヶ浜みたいに出会い系メールの名前みたいな訳が分からない名前にするかと思ってたんだが……。

    まさかここまでシンプルな名前にするとは一周回ってまったく訳が分からないよ。今ならキュゥべえの気持ちがよく分かる。まあワンサマーよりはいいか。

    八幡「『ワンカラー』……。確かに俺もゲームで『エイトマン』ってつけることあるし、人のことは言えないか」

    いろは「はあ、そうなんですか……はっ!もしかして名前に数字が入ってる共通点使って好感度上げようとしてますかごめんなさい少ししか嬉しくないので苗字同じにするくらいの共通点でもう一回出直してください」

    八幡「はいはい……つか俺とお前の数字じゃ、なんか一か八かみたいな感じでそんないいもんじゃないだろ」

    いろは「でも私たちにはぴったりだと思いません?」

    八幡「俺はともかくお前は違うだろ。お前は計算し尽くして安全な道しか歩かないってタイプに思えんだけど」

    いろは「そんなことないですよー。ついさっき一か八か賭けに出たところですから」

    八幡「ほーん、お前も大変だな」

    いろは「……ええ、ほんと大変です」

    げんなりとした表情を見せ、一色は一人で先へと進んでしまう。あいつがあんなに苦労するってことは大方葉山関係だな。ほんと罪な男だよあいつは。

    そんな思考を巡らせながら一色の後をついていく。

    廊下の温度がさらに低くなったように感じたのは、きっとただの気のせいだろう。

    782 = 177 :

    いろは「……ふう」

    生徒会のお手伝いは一時間ほどかけてなんとか終了した。

    簡単に書類の整理とだけ言われていたのでファイリングでもするのかと思いきや、書類の詰め込まれたダンボールを整理するというかなりの肉体労働だった。

    それならそうと先に言えよ……もうちょっと覚悟とか決められたのに……。

    なぜか生徒会室の冷蔵庫に置かれていたMAXコーヒーをちびちび飲みながら放心していると、独り言のように一色が小さく呟いた。

    いろは「動いたせいでちょっと暑くなっちゃいましたね」

    そういって一色がゆっくりとブレザーを脱いでいく。下にどれだけ服を着ていても女子が何かを脱ぐという行為にはどうしても視線が引き寄せられる。

    そこで終わりかと思いきや次はカーディガンのボタンに手をかけた。

    ピンクのカーディガンのボタンが一つ、また一つと外されていく。凝視なんてしたらあとでどれだけ罵倒されるかなんて分かっているのに、どうしても視線を外せない。

    全てのボタンを外し終え、やけにゆっくりとカーディガンを脱いでいく。その姿がやけに扇情的で食い入るように見つめてしまう。

    そしてカーディガンを椅子にかけると次はワイシャツに……!?

    いろは「……脱ぐわけじゃないですよ?」

    軽蔑の眼差しを送ってくる一色は、ボタンを一つだけ外してパタパタとワイシャツで扇ぎ始める。

    み、見てたのおもいっきりバレてた……!

    いろは「あそこまで露骨に私の事凝視できるだなんて逆に尊敬できますよ」

    声音がかなり冷たい。今こいつに雪ノ下が憑いてるって言われれば信じてしまいそうだ。

    っていうか俺の視線感じてたならせめて途中で何かしらアクション起こしてくれませんかね。それに今もワイシャツのボタン開けてパタパタしてるせいでブ、ブラがちらちら見えてるんですけど!

    783 = 177 :

    いろは「先輩ってまあ女慣れしてるとは思いませんでしたけど、あんな綺麗なお二人とずっと一緒にいるしもっとスマートな対応できると思ってたんですけどねぇ……」

    八幡「別に二人とはそんなんじゃないって言ってるだろ。それにお前が思ってるより男ってのは単純なんだよ」

    いろは「知ってますけど」

    八幡「ですよねー」

    知ってるからこそ俺のことをここまで手玉に取れるのだろう。分かってて乗ってあげる八幡君優しい!……あれ、これ俺が単純なだけじゃねえの。

    一色がワイシャツだけでなくスカートまでパタパタさせ始めたのでさすがに今度は頑張って視線を外す。

    まあ俺と一色は机挟んで座ってるからパンツは絶対見えないんだが。

    いろは「そういえばー、先輩ってあのお二人とまた何かあったんですかー?」

    いきなりの質問に視線がまた一色へ向いてしまう。その質問とチラッと見えた下着が俺から冷静さを奪ってしまった。

    八幡「べっ、別に何もないですよ、ええ」

    ……もっと誤魔化し方あるだろ俺!と、自分に突っ込む暇すらなく一色が追撃を仕掛けてくる。

    いろは「あ、そういえばさっきLINEがどうとか……もしかして……」

    八幡「な、何もないってホント何も……きゃあっ!」

    じ、自分ですら吐き気がするような悲鳴をあげてしまった……。なんなのこの無駄な女子力。俺は主夫力が欲しいんだけど。

    いろは「……先輩どうしたんですか?気持ち悪いですよ?」

    八幡「真顔で言うな分かってるから。今LINEの通知でケータイが震えてな」

    LINEの話で追い込まれてるときにLINE来るとか不吉すぎるからやめてほしい。ほら、一色が妖しく目を光らせてるじゃないですかー。

    いろは「結衣先輩ですか?雪ノ下先輩ですか?」

    八幡「なんで二人に限定するんだよ。えーと……?」

    画面に表示された名前を確認する。確認する。確認する……。

    いろは「せ、先輩?なんでそんな泣きそうな顔を……」

    八幡「なんでもない、なんでもないんだ……」

    画面に表示された、たったの四文字。そのアカウント名は俺の心拍数を上げるのに充分すぎた。

    は。

    る。

    の。

    ん。

    784 = 177 :

    そういや、小町が前に不吉なことを言ってたな……。あれから何もなかったからてっきり冗談で言ったものだと思ってたのに、これ八幡的にポイント低すぎるんだけど。

    to:雪ノ下陽乃

    陽乃【ひゃっはろー♪】

    陽乃【元気してる?】

    ただの挨拶すらなんらかの牽制に思えてしまうような陽乃さんからのLINE。

    どう返したものか、というか返さなきゃだめなのか既読スルーしちゃおうかなとか考えているうちにさらにLINEが送られてきた。

    陽乃【ところで雪乃ちゃんいる?】

    八幡【俺今生徒会室いるんで】

    陽乃【ほう、いろはちゃんのお手伝いかな?】

    八幡【ええ、そうですよ】

    意外にも普通な問いかけしかしてこない陽乃さんのLINEに安堵する。チラッと一色を見ると不安げに首を傾げていた。

    八幡「なあ、お前雪ノ下陽乃って人知ってる?」

    いろは「知ってますよ。雪ノ下先輩のお姉さんですよね?城廻先輩に紹介されてこの前会いました」

    八幡「会ったのか……」

    めぐり先輩を通じてお互いのことを知ってんだろうな、とは思っていたが既に出会っていたようだ。

    ろくなことになる気がしないんだけど。あ、もしかして一色を怖く感じるようになったのってその邂逅が原因じゃねえの?

    いろは「先輩もはるさん先輩とお知り合いなんですよね?はるさん先輩が楽しそうに話してましたよ?」

    八幡「楽しそうに?……ああ、なるほどな」

    それは面白い人として語っているのではなく面白い玩具として楽しく語っているのだろう。

    あの人が何を目的としているのかは分からない。分からないからあの人の掌から抜け出せない。

    いつかあの人をあっと言わせる日が来るのだろうか。

    いつ来るかも分からない未来の想像を早々に切り上げ、もう一度LINEへと意識を戻す。

    八幡【雪ノ下に用があるならそっちにLINEすればいいじゃないですか】

    陽乃【えー、つまんなーいー】

    八幡【そう言われても】

    陽乃【それに今ブロックされてるから】

    八幡【なにしたんですか】

    陽乃【なんにもしてないよー(*^^*)】

    この人の絵文字なんて見ても可愛いとは思えない。ただ恐怖を感じるだけだ。

    ……いやホントだからね?別に陽乃さんが絵文字打ってるとこ想像して若干口元が綻んでなんかないから。それを見た一色がドン引いてるとかもないから。

    785 = 177 :

    陽乃【まあ、それに】

    陽乃【比企谷くんに私からLINEが来たら】

    陽乃【雪乃ちゃんはどう思うかな?って思って】

    綻んでいた口元がすぐにひきつってしまう。いい性格してんなこの人。

    八幡【そんなこと言ってるからブロックされたんじゃないですか】

    陽乃【これくらいどこの姉妹にもある普通のことだよ】

    八幡【あなたの言う普通は信じられないですね】

    陽乃【誰の言う普通なら信じられるのかな?】

    陽乃さんの挑発的な問が、ケータイを操作する手を止める。

    この人はどうして人が考えたくないことを掘り下げてくるのか。

    いや、考えなければならないことか。

    俺は誰の言う普通なら信じられるのか。
    俺は誰の言うことなら信じられるのか。

    俺は。

    俺は誰かを本当に信じたことがあるのだろうか。

    786 = 177 :

    陽乃【既読スルーはひどいなー】

    陽乃【なにか考え事かな?】

    八幡【なんでもないです】

    八幡【結局なんの用だったんですか】

    陽乃【んー?】

    陽乃【あ、やっぱりなんでもないってことで】

    八幡【分かりました】

    陽乃【そうやって深く聞いてこないとこ、好きだよ】

    八幡【俺も大好きですよ】

    こうやって人と関わらず孤高を貫いてるところとか超大好き。自分が好きすぎて自分で自分を養いたいまである。いややっぱりなしで。

    ここで一度LINEが止まる。別にLINEの返事が遅い程度気にしない……というかむしろ休めるタイミングができて嬉しいくらいだ。鬼の居ぬ間になんとやら。俺の場合はMAXコーヒーな。

    MAXコーヒーも飲み終わり、ここでLINE終わりにしていいのかと判断に迷っていたところで、ようやく返事がきた。

    陽乃【比企谷くん比企谷くん】

    八幡【なんですか】

    陽乃【今のLINE、私への告白みたいな感じで加工していろんな人に送ったんだけど】

    陽乃【その後どう?】

    八幡【どう?じゃないんですけど】

    八幡【何してくれてんですか】

    陽乃【許してにゃん♪】

    八幡【くっ、可愛い】

    陽乃【あ、今のも送っといたよ】

    八幡【その仕事の速さは他のところで活かしてくれませんかねぇ!!】

    また何か返事が返ってきていたが既読だけつけて一旦ケータイを消す。

    誰だ、あの人誰に今のLINE送ったんだ……。

    いろは「せ、先輩」

    八幡「あん?」

    俺の挙動不審さを見かねてか、一色が声をかけてくる。正直まともに相手できるほどの余裕はないんだが……。

    いろは「先輩って……はるさん先輩と付き合ってるんですか……?」

    目の前にいたっ!LINE送られた人目の前にいたよっ!

    787 = 177 :

    八幡「あー、付き合ってるわけじゃないんだが……あれだ。その、ハメられてな」

    いろは「ハ、ハメ……!?」

    俺の言葉を聞いた瞬間、一色は顔を真っ赤にしていた。なんだ、インフルエンザにでもかかったのか。

    八幡「あの人は本当に手慣れてるっていうか……言葉巧みによくあそこまで俺をハメられるよな。っていうか俺がハメられやすいだけなのか」

    いろは「手慣れて……それ私に言われても困るんですけど!」

    八幡「それもそうか……。あ、お前あの人に近いものを感じるけど、だからって俺のことハメようとするなよ」

    いろは「私をなんだと思ってるんですか!? 」

    八幡「第2の雪ノ下陽乃候補」

    いろは「心外です!」

    八幡「そうか?お前もたまに俺のこと罠にハメようとしてるだろ」

    いろは「せ、先輩をハメるだなんてまだ早……え、罠?」

    八幡「おう、まあ正確に言えば今回は俺の自爆だけどな。でもあの人、今回以外にもしょっちゅう罠にハメようとしてくるし……っておい、机に顔伏せてどうした。インフルか?」

    いろは「……心配しなくても大丈夫です。ただの不治の病なので」

    八幡「そ、そうか……」

    先程まで俺に無駄に元気に突っかかってきた面影はどこにもなく、消え入りそうな声で俺に返事をする一色の姿がそこにはあった。

    789 = 177 :

    今日はここまで!

    せめて月1で投下できるよう頑張ります……

    おやすみなさい!

    790 :

    このペースなら次回更新が年末になっても別に驚かないわ
    話は面白いからがんばってな

    791 :

    完結が見えない

    793 :

    乙乙
    更新あってうれしい

    794 :

    ひさびさおつ

    795 :

    乙。面白い。更新楽しみにしてる。

    796 :

    いろはす来たー・
    おつです!楽しみに待ってます。

    797 :

    1、そろそろどうかな?
    1の書くのを楽しみにしているんだ。お願い。

    798 :

    800 :

    いちおつ
    がんばれ


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