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    元スレ雪乃「LINE?」結衣「そう!みんなでやろうよ!」

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    701 :

    やっはろー

    最近ケータイの調子がおかしくていつデータがトぶか不安でならないので、明日今書いてある奴まで投下しますー

    仕事がよほど遅くなったりケータイが明日までにぶっ壊れたりしない限りちゃんとやるんでよろしくお願いします

    ノシ

    703 :

    明日投下する量を減らしたいのでやっぱり今日のうちに少し投下しますー

    ちょっとだけですがよろしく

    704 = 177 :

    深い眠りの中にいる俺を目覚めさせたのは、インターホンの連打される音だった。

    うるせえ……。自分で言っといてなんだが本当にここまで連打すんなよ。っていうか雪ノ下がインターホン連打する姿とか想像できないんだが。

    八幡「ふあああ……ああああ……」

    欠伸ともうめき声とも取れる声をあげながら階段を下りる。本当は顔を洗いたかったが……こんなにうるさいとのんきに顔すら洗えない。昨日あんなこと言うんじゃなかった。

    八幡「はいはい今出ますよっと」

    ドアノブを掴み寝起きには重い扉を開けていく。そこには黒髪ロングの美少女が……いなかった。

    結衣「や、やっは……え!?ヒッキー!?」

    八幡「…………は?」

    705 = 177 :

    八幡「昨日急に小町に呼ばれて」

    結衣「うん」

    八幡「俺も両親も居ないからちょっとだけ遊ぼうという話に」

    結衣「うん」

    八幡「実際に来てみたら居ないはずの俺が居て……っていうか俺しか居なかった、と」

    結衣「……うん」

    由比ヶ浜にとりあえずリビングへ来てもらい、事情聴取をした結果以上の結果が得られた。

    こんな事実を知って俺ができる反応などただ一つしかない。

    八幡「はあああああ……」

    706 = 177 :

    ため息。圧倒的ため息。もうこれしか出来ない。俺の深いため息を見て由比ヶ浜も苦笑いを浮かべていた。

    結衣「あ、あたし帰った方がいいよね」

    八幡「あ、いや……」

    そそくさと立ち去ろうとする由比ヶ浜を思わず止めてしまった。その先を何も考えていないので当然続く言葉は出てこない。

    そうすれば止められた由比ヶ浜もどうすればいいか分からないわけで……ああもう!なんで自分の家なのにこんなに息苦しいんだよ!

    八幡「と、とりあえずアレだ、せっかく来たんだしMAXコーヒーでも飲んでけよ」

    結衣「え、あ、うん……?」

    かなりテンパってはいるがなんとか由比ヶ浜を留まらせることはできた。あとは何の話をするかだ。

    ……いや話すこととかないだろ。MAXコーヒーを冷蔵庫から二本取り出して俺はそう結論付けた。

    結衣「あ、ありがと」

    MAXコーヒーを渡して座る。よく考えると客人にMAXコーヒーって失礼なんじゃないか……?客人とか滅多に来ないし、来ても小町が対応してたから全然分からねえ。

    八幡「……」

    結衣「……」

    二人ともMAXコーヒーに口を付けながらも無言だった。なんとか沈黙を破ろうと珍しく俺から切り出す。

    八幡「あー、あれだな……小町にも困ったもんだよな」

    結衣「あはは……そだね」

    表面だけの会話すら続くことはない。普段なら会話力の高い由比ヶ浜が話を振ってきてくれるが、今の由比ヶ浜は俺をチラチラ見て何かを言いたそうにするだけだ。

    何分待てば由比ヶ浜はその何かを言葉にしてくれるのか。そんな考えが頭をよぎるが、それは重荷を彼女に押しつけているだけだ。

    ……そうだな、小町から釣り竿をもらったのは俺だもんな。

    これで何がどうなるかなんて分からない。そもそも何をどうすりゃいいかも分からない。

    けどまあ……小町が大丈夫と言ったなら大丈夫なんだろう。

    根拠のない大丈夫だったとしても、信じてやれなきゃお兄ちゃん失格だ。

    707 = 177 :

    続きは明日

    おやすみなさい

    709 :

    やっはろー!とうかー!

    710 = 177 :

    八幡「……なあ由比ヶ浜」

    結衣「ん?」

    心臓の鼓動が痛い。これから言う言葉が彼女を絶対に傷つけると分かっているからだ。

    それでも進まなければならない時がある。

    八幡「あの日……」

    そう言っただけで由比ヶ浜は俯いてしまった。だが、それを気にしないようにして俺は続けた。

    八幡「あの日、なんで俺に告白したんだ?」

    なんで、という言葉は様々な意味を含んでいる。

    なんであのタイミングで告白したのか。なんで俺に告白しようと思ったのか。なんで……なんで俺なんかを好きになったのか。

    俺が言い終えた時、由比ヶ浜の肩は小さく震えていた。

    八幡「あ、わ、悪い……別に責めてるとか嫌だったとかそういうんじゃないんだ……」

    そこで会話はとぎれてしまう。そのせいで空気はどんどん重くなっていく。

    711 = 177 :

    これではまずいと持ち前のスキルで察したのか、由比ヶ浜はぽつりぽつりと話し始めた。

    結衣「ホントはさ……自分から言うつもりなかったんだ」

    八幡「……え?」

    結衣「だって、ヒッキーに告白したって絶対フられるなーってなんとなく分かってたから。待たずにこっちから行くなんて言ったけど……そんな勇気、あたしにはなかったんだよね……あはは」

    視線を逸らしながら笑う由比ヶ浜を直視できず、俺も違う方を向いてしまう。

    明後日の方向を向きながら、俺はなんとか会話を続けようと努力する。

    八幡「フられるって分かってんならなんで……」

    結衣「だって……分かってても、言わなきゃダメだって思ったから……言わなきゃ手に入らないって思ったから」

    静かな部屋に、深呼吸する音が小さく響く。

    由比ヶ浜へ視線を戻した俺を、彼女の瞳は強く見つめていた。

    少し涙を浮かべながらも今までのようなか弱さはもうそこにはなく、まるであの日のような強さを秘め……そしてこう言った。

    結衣「あたしも欲しいから……本物が」

    712 = 177 :

    握っていたマッ缶から嫌な音がする。見れば知らないうちによほど手に力を入れていたのか缶が少し歪んでいた。

    由比ヶ浜はそれを見て驚いてる。当然だ、俺だって驚いてる。ほとんど飲んでたから零れてこそないが、自分が気づかない間に缶をへこませるくらい力込めちゃうとか相当アレだな。

    八幡「ははっ……そっか、俺のせいか」

    思わず自嘲的にそう呟いていた。

    俺がずっと欲しかったもの。それを言葉にしたせいで、こうして数少ない関係性すら壊してしまう。

    もしかしたら、俺なんかが欲するべきものではなかったのかもしれない。

    太陽に憧れたイカロスのことをかつて蛮勇だと笑ったが、俺はあいつと同じ──

    結衣「違うよ!ヒッキーのせいなんかじゃない!!」

    俺の沈んでいく思考すら吹き飛ばすような由比ヶ浜の声が俺の家に響いた。

    713 = 177 :

    口を開けたまま何も言えないでいる俺の代わりに、由比ヶ浜は涙を流しながらさらに言葉を続ける。

    結衣「確かにきっかけはヒッキーの言葉だけど……でも、ヒッキーが悪いとかじゃないの……」

    自分の気持ちを整理できないまま伝える姿はまるで子供のようだ。けれど、それはどんなに理路整然とした言葉よりも強く心を揺さぶった。

    結衣「あたしはヒッキーのおかげで想いを伝えられたの!そのせいでヒッキーにもゆきのんにも迷惑かけちゃってるけど……それでもあたしはあの告白を悪いことみたいに言って欲しくない!結果が間違ってるからって行動まで否定して欲しくない!」

    真っ直ぐに思いの丈を叫ぶ由比ヶ浜を見て、俺はようやく気づくことができた。

    今のこいつはあの時の俺と同じなのだ。

    何が正しいのかも分からないまま、本物が欲しいと心のままを伝えることで現状を変えたかった俺と同じなんだ。

    あの時、俺は一度諦めた。けれど……繋いでくれた女の子がいる。今目の前で涙を流している彼女に……俺は救われたんだ。

    だから……次は俺の番だ。

    714 = 177 :

    八幡「……由比ヶ浜。俺はやっぱりお前とは付き合えない」

    あの日言った拒絶の言葉をもう一度伝える。けれど、あの日は伝えられなかった続きを今ここで伝えたい。

    八幡「だからって終わりにしたいわけじゃないんだ。すごい自分勝手な希望だが……俺はお前の気持ちに応えられないまま、俺とお前と雪ノ下で今までの奉仕部を続けたい。お前が自分の告白と俺の願いを間違ってないっていうなら、これからもそれを探したいんだ……一緒に」

    次は俺が由比ヶ浜の瞳を見つめる。涙を拭うことすら忘れている彼女から言われる言葉が出てくるのを待つ。

    どれだけの時間が過ぎたかは分からない。とても長く感じた時間に終わりを告げたのは……由比ヶ浜の笑い声だった。

    結衣「あはは……。最低なこと言うね」

    八幡「自覚はしてる」

    結衣「でもあたしも割とひどいこと言ってたから……さっきのとか超自分勝手だし」

    八幡「いや……まあ、うん」

    否定しきれず思わず認めてしまった。由比ヶ浜は「だよねー」と言いながらちょっと落ち込んでいた。

    だがそれも数秒のこと。開き直ったようにいつもの笑顔に戻っていた。

    結衣「あたしもヒッキーとゆきのんと一緒に奉仕部続けたい。だから、えっと」

    どう言えばいいのか迷ったらしい由比ヶ浜は手をあわあわさせながら考えた挙げ句……俺に手を差し伸べながらこう言った。

    結衣「お、お友達からお願いします!」

    八幡「……いやそれは違うだろ」

    一応訂正はしておきながら握手に応じる。

    俺が手を握った瞬間、彼女はまた俺に笑顔を見せてくれた。

    俺には眩しすぎるけれど……いつか相応しいと思われるようになりたいと、柄にもなくそんなことを考えてしまった。

    715 = 177 :

    結衣「……伝えられて良かった」

    八幡「何をだ?」

    にぎにぎとされている手の感覚を無視するように会話へ意識を向ける。

    伝えられたことが今回多すぎて、彼女が一体何に対して良かったと思っているのかよく分からなかった。

    結衣「全部……かな。今日言ったことも告白したことも合わせてぜーんぶ」

    八幡「ま、あんだけ言えばすっきりしたろ」

    結衣「それもあるけど……ヒッキーにこうして近づけたから」

    そういって由比ヶ浜はいまだに握手をしたままの手に視線を落とす。

    いやちょっと急にそういうこと言うのやめてくれませんかね。意識しすぎて手汗が心配なんですけど。

    結衣「言わなくても分かり合えるって、いいなーって思うけど……。伝わると伝えるじゃ全然違うと思うから……そういうの含めて良かったなって」

    八幡「……そうだな」

    由比ヶ浜の行為に気づいた時と、実際に気持ちを伝えられた時とでは全く違っていた。

    言葉にしなくても分かるのが本物だとしても、それでもやはり伝えるべきものはある……という事かもしれない。

    結衣「あ、あのさ……もう一個だけ聞いていい?」

    八幡「別にもうこの際だし、一個と言わずなんでも聞いていいぞ」

    俺としてはかなり質問のハードルが下がるように配慮したつもりだったが、それでも彼女は少し言いづらそうに視線を泳がせていた。

    結衣「こ、こういうのって……その、迷惑かな?」

    由比ヶ浜が握手している手に空いていた左手も添えてきた。優しく俺の手を撫でる手は少しくすぐったくて……あとめちゃくちゃ恥ずかしい。

    八幡「こういうのって……え、何?」

    結衣「だ、だからその……近くに行ったり、手触ったり……あとはその……だ、抱きしめたり?フった人からそんなことされるの嫌かなーっていうかそもそもあたしからされるの嫌じゃないかな……って」

    八幡「大丈夫じゃねえの?そもそもお前みたいな可愛い女子に迫られて嫌とか迷惑とか思う奴そうそういないだろ」

    結衣「か、可愛い……って」

    八幡「あ、ああ……すまん」

    さっきまで、相手の為に気持ちを隠さないことを意識してたせいでつい変なことを口走ってしまう。

    何これ口説いてんの俺。フった女子を二人きりの家で口説くとかゲスの極みすぎんだろ。確かに私以外私じゃないけども。

    716 :

    結衣「そっか……迷惑じゃないんだ」

    八幡「それ確認してどうすんだよ……」

    結衣「ど、どうするって……まだあんまり決めてないけど、とりあえずあんまり人が居ない所じゃガンガン行こうかなって」

    八幡「なんだよその大雑把な作戦。ドラクエでももう少しはっきりしてるぞ。つーかあんま人が居ない所ってお前、今ここ人少ないどころか二人っきりじゃねえか」

    結衣「へ?」

    変な声を出しながらポケーっとあたりを見回す由比ヶ浜。両親も小町も外出しているのだから当然ここには俺と由比ヶ浜しかいない。

    ……そんな当たり前のことを由比ヶ浜は俺の言葉でようやくはっきり認識したらしく、顔を真っ赤にしていた。

    結衣「え、や、あっ……さ、流石にまだ早いっていうか心の準備がまだっていうか……」

    八幡「落ち着け。別に二人っきりだからって何かするわけでもないんだから」

    少なくとも俺からは、と心の中で付け加える。

    動揺を誤魔化すように彼女はMAXコーヒーを一気に飲み干す。

    結衣「甘っ!」

    八幡「さっきは普通に飲んでたじゃねえか……」

    俺もMAXコーヒーの残りを一気に煽る。ちょっと缶がへこんではいるが中身に違いなどない……はずなのに。

    俺もこの一口は甘ったるく感じた。

    717 :

    結衣「ご、ごめんね。なんか最近ずっと焦っちゃってて」

    八幡「焦る?なんか焦るようなことあったか?」

    結衣「焦ることって……今まさに話してることだよ!このままじゃあたし絶対負けちゃうし……」

    八幡「負けるつったって、誰と戦ってんだよ……」

    結衣「誰ってそれは……」

    首を傾げている俺を見て、由比ヶ浜もまた首を傾げていた。

    え、なに、その苦笑い。俺何もしてないだろ……してないよな?

    結衣「あれ、も、もしかしてヒッキー……気付いてないの?」

    八幡「気付くも何も意味が分からないんだけど……」

    そう言うと由比ヶ浜は口元をひくつかせていた。明らかに引いてんだけど……俺は一体何をしでかしてるっていうんだよ。

    彼女は髪の毛を弄りながらチラチラとこちらをみて言い始めた。

    結衣「ヒッキーさ、あたしのことフった時『お前とは付き合えない』って言ったじゃん?」

    八幡「お、おう……」

    結衣「お前とは、ってことは……ヒッキーの中で『この人となら付き合いたい』って人がいるってこと……だよね」

    自分ですら気づかなかったことを、由比ヶ浜は、俺の言い回しだけで推測してみせた。

    あの由比ヶ浜がこんな頭の良いことをしたことに驚いている……!

    口にしたら怒られるから言わないが。

    ただ、推測は推測だ。事実とは全く違うものである。

    八幡「それはただの言葉のあやだろ。さすがにそれだけで俺にその……す、好きな人がいるとか推測されてもな」

    結衣「それだけじゃないよ」

    強く言い切った割に、彼女は悲しげな表情を浮かべて視線を下に落とした。

    結衣「なんとなく分かっちゃうんだよ、好きな人が自分を見てないってこと……あと誰を見てるのかってこと」

    由比ヶ浜だから分かること。俺を好きになったから分かってしまうこと。きっと色々あるのだろう。

    ただ彼女の言葉はすんなりと心に入ってきて、自分のことを他人が語っているのにも関わらずなんとなく信じてみようと思えた。

    718 = 177 :

    八幡「まあその……そういうのがいるとして、俺が聞くのも変な話だけどそれは誰なんだよ」

    結衣「さ、さすがにそれをあたしが言うのはちょっと……」

    八幡「……それもそうか」

    そんな風に言われてしまえば俺に追求などできない。

    でも誰かを言わないならそもそもこの話しないで欲しかったなー。これ絶対今夜寝れないんですけど。

    結衣「あー……あ、あたしそろそろ帰るね!」

    八幡「このタイミングで話切るのかよ……」

    結衣「うぐっ。だ、だってこのまま話してたらぽろっと言っちゃいそうなんだもん……」

    八幡「確かにお前からならかなり簡単に聞き出せそうだ……ってかお前、荷物でかくね」

    彼女のもってきた荷物は遊びに行くというにはいささか大きく感じる。

    来たときは由比ヶ浜が来たこと自体に驚いていたので荷物になど意識が行かなかったが、気付いてしまうと妙に気になって聞いてしまった。

    どこぞの右京さん並みに悪い癖だな、治さないと。

    結衣「小町ちゃんとお泊まり会する予定だったから……」

    八幡「ほう……受験生と……」

    結衣「べ、勉強会もする予定だったから!」

    由比ヶ浜は視線を逸らしながら口笛を吹いている。誤魔化し方が雑すぎんだろ……。

    そして突然「そ、そういえば……」と話をずらしてきた。

    結衣「もとからヒッキーと二人きりにさせるのが目的だったなら、なんでお泊まり会しようなんて言ってきてんだろうね」

    八幡「あわよくば俺と二人きりで泊まらせて……まあそういうことだろ」

    結衣「そういうこと?…………!?」

    由比ヶ浜はまた顔を赤くする。さっきから何回も赤面してて体に悪そうだ。

    結衣「だ、ダメ!そういうのはまだダメだよ!」

    八幡「だから何もしねえよ……」

    今日の由比ヶ浜は暴走気味でちょっと疲れる。もう一本MAXコーヒー持ってこようかな……。

    719 = 177 :

    八幡「とりあえず小町からは俺から言っとくから、今日のところはお帰り願います。疲れるので」

    結衣「う、うん。帰るけどその言い方ちょっとムカつく……」

    唇を尖らせて不満そうにしてはいるが、どうやら本当にもう帰るようだ。

    さすがにここで勝手に帰れなどと言うわけにもいかず、最低限の礼儀として玄関まで送っていく。

    ドアノブに手をかけようとしたところで由比ヶ浜は一旦止まってこちらへ振り向いた。

    結衣「ありがとね」

    八幡「礼言われるようなことなんてしてねえよ」

    結衣「そんなことないよ」

    その優しい笑顔を見るのが辛くて、そして由比ヶ浜にだけ本音を言わせているのが申し訳なく感じて、気付いたら口から言葉が漏れていた。

    八幡「こっちこそ、ありがとな。……好きになってくれて」

    結衣「……うん」

    今度はこっちの顔が赤くなってしまう。うわー恥ずかしい俺。なんていうか……軽く死にたい。

    結衣「それじゃあ……また、部活でね」

    八幡「ん、またな」

    由比ヶ浜がドアノブに手をかけ扉を開く。お互いに顔は赤いままだが、こういうのもたまには悪くない。

    由比ヶ浜の後ろ姿を見送りながら俺は久々にすっきりとした気持ちで自分の部屋に──

    雪乃「……え?」

    結衣「え?」

    ──戻ることは、難しそうだった。

    720 = 177 :

    7ふたたび彼のラブコメは動き出す 終

    今日はここまで
    ケータイが壊れないように皆も祈っててね!

    おやすみ!

    722 :

    やべえ所で切りやがる…

    723 :

    修羅場やな

    724 :

    なんてとこで切りやがる…続きはよ

    725 :

    こういうの見るたびその気もないのにシーデートに誘って
    相手が何も言わないからって約束自体なかったことにする八幡ってほんとクズだなって思う

    726 :

    725
    別に無かった事にはしてないだろ

    728 :

    気体

    730 :

    やる気ないなら依頼出しとけよ

    731 :

    やっはろー!

    ケータイがやばいので書き溜めたとこだけ今夜投下します。
    すごい中途半端なとこになっちゃうから申し訳ないけど許してね!

    732 :

    待ってた

    733 :

    このSSが始まった14年8月って一色SS量産される前だっけ?

    735 :

    やっはろー!

    投下するよー

    736 = 177 :

    オーケー、現状を整理しよう。

    まずは由比ヶ浜だ。

    『罠にハメられてあたしのことをフった男子と二人きりにさせられて色々話して帰ろうとしたら同じ部活の女の子がその男の子の家に遊びに来てたよ!これからどうなっちゃうのー☆』

    うん、ヤバいな。相当ヤバい。何がヤバいって由比ヶ浜の視点から見た俺がクズすぎる。

    あと由比ヶ浜の物真似が致命的に下手なのもヤバい。由比ヶ浜厨にぶっ殺されるレベル。由比ヶ浜厨なんているのか知らんが。

    次は雪ノ下だ。

    『猫を見せてもらおうと男の子の家に遊びに行ったら顔が赤い上に涙目の同じ部活の女の子がお泊まり出来るくらいの荷物を持って出てきたのだけれど。これからどうなるのかしら』

    うん、ヤバいな。相当ヤバい。何がヤバいって雪ノ下の視点から見た俺がクズすぎる。

    あと雪ノ下の物真似が致命的に上手なのもヤバい。雪ノ下厨に褒め称えられるレベル。雪ノ下厨なんているのか知らんが。

    オーケーオーケー。何もオーケーじゃないことは分かった。

    こ、こういうときは論理的な思考でロジカルシンキングに行こう。うん。

    737 = 177 :

    八幡「ち、違うんだ二人とも。こ、これはその、あれだ……違うんだ!」

    なにも悪いことなんてしていないのになぜか俺はかなり焦っており、言いたいことをまとめられないまま口にしてしまう。

    これ二股かけた男の言い訳じゃねえーか。なんで一股すらかけたことのない俺がこんなことになってんの。

    結衣「ひ、ヒッキー……?」

    由比ヶ浜が怯えた声で俺に質問をしてくる。だがインターホンの前にいる雪ノ下は意外と落ち着いていた。

    八幡「だ、だから違うんだ由比ヶ浜。雪ノ下はカマクラを見にきただけでお前が考えてるようなことは何もない」

    結衣「あ、そうなの?」

    雪乃「ええ。あと、小町さんさえよかったら勉強を教えようと思って」

    小町のことも考えててくれたのか。運悪く今日小町は外出してしまっているが、そういう優しさは小町にとって勉強を頑張るいい理由になりそうだ。

    まあ小町の勉強を見てもらうのはまた今度お願いしよう。こいつが見てくれるなら百人力だ。

    小町のことばかり考えていたからか、由比ヶ浜がポカンとしていることに気付くのが少し遅れた。

    結衣「え、今日小町ちゃんいないよ?」

    雪乃「え?」

    由比ヶ浜に続き雪ノ下までポカンとした顔になる。

    由比ヶ浜がこちらにギギギと首を動かす。ハイライトが少ないように思われる瞳との相乗効果でわりと怖い。

    結衣「小町ちゃんがいないこと隠してゆきのん呼んだの……?」

    八幡「いや隠してはねえよ」

    結衣「で、でもゆきのん連れ込む気だったんでしょ!?」

    八幡「その言い方やめろ」

    さっきまで割とシリアスだったのに、なんでこの子はここまで発想が飛躍しちゃうのかね……ああ、さっきまでシリアスだったから反動で飛躍しちゃってるのか。

    どっちにしろめんどくさい。

    738 = 177 :

    ふと雪ノ下を見てみると、なぜかあの雪ノ下が先ほどの由比ヶ浜のような怯えた瞳で俺と由比ヶ浜を交互に見ていた。

    雪乃「きょ、今日……小町さんはいないのよね?」

    八幡「ああ、友達と勉強会だそうだ」

    雪乃「ちなみに由比ヶ浜さん。その荷物の中は……」

    結衣「あ、これ?お泊まりグッズだよ」

    雪乃「……邪魔したわね」

    スタスタと歩き去っていく雪ノ下。おっとー、これは面倒だ。

    結衣「ゆきのん急にどうしたんだろ?」

    八幡「……数秒遅れてようやく勘違いしたんだろ」

    由比ヶ浜に比べ雪ノ下が冷静だったのは、おそらく小町がいると思いこんでいたからだ。

    しかしその勘違いが解けた今、彼女は彼女なりに推測し、結果また勘違いしてしまったのだ。

    あいつもだいぶ発想が飛躍しちゃってる。

    八幡「由比ヶ浜、帰るついでにあいつ追っかけて勘違い解いてこい」

    結衣「勘違い?」

    八幡「あいつに聞けばお前も察するはずだ。とりあえず……GO!!」

    結衣「命令するなしっ!」

    そう言いながら由比ヶ浜はとてとてっと雪ノ下の去っていった方向へ走っていく。

    慌ただしい……俺の静かな冬休みはいずこ。

    まあ……たまには悪くないかもしれないが。

    740 = 177 :

    雪ノ下と由比ヶ浜が一体何を話してどんな経緯を経てどう結果を出したのかは俺には分からないことだが、とりあえず雪ノ下の勘違いは解けたらしい。

    なぜそんなことが分かるかと言われれば、勘違いの当事者である雪ノ下が今俺の目の前でカマクラを愛でているからなのであった。

    八幡「あの後なのによく平然としてられるよな……」

    俺の呟きに回答は返ってこない。無視されたのかと思ったがどうやらそうでもないらしい。

    雪乃「あっ、ごめんなさい何か言ったかしら」

    猫が可愛すぎて声が届かないんですね。流石ですわ雪乃様。

    八幡「いやなんでもない。じゃあ俺部屋で寝てるから。なんかあったら部屋の前で小町か戸塚のこと叫んでくれ」

    雪乃「それで起こす方の身にもなってほしいのだけれど……」

    八幡「俺の部屋入って体揺さぶって起こしてくれ、なんて言ってもお前嫌がるだろ」

    雪乃「当然よ。何をされるか分からないもの……はあ、分かったわ」

    しぶしぶ了承してくれたのを聞いて「じゃな」と呟いて階段へ向かう。その途中で雪ノ下に呼び止められた。

    雪乃「ひ、比企谷君」

    八幡「あん?」

    雪乃「その……由比ヶ浜さんとは……」

    八幡「だから何もねえよ。んな心配すんなって」

    雪乃「別に心配などしていないわ。あなたが誰と何をしようと私には関係ないことだもの」

    八幡「由比ヶ浜の心配、って意味だったんだけど……」

    雪乃「…………」

    そう訂正すると雪ノ下はカマクラと向き合ってしまい、そのままずっと何も話さなくなってしまった。

    余計なこと言うべきじゃなかったかしら。

    これ以上リアクションを期待しても意味がないと悟り、再び歩き始める。

    リビングのドアを開け、廊下に出る直前で雪ノ下の小さな声が聞こえてきた。

    雪乃「……おやすみなさい」

    八幡「……ああ、おやすみ」

    741 = 177 :

    結局、俺は雪ノ下の声でもなく何か他の物音などでもなく、自然に目が覚めるというかたちで起きた。

    時刻は四時頃。雪ノ下が来たのが昼過ぎだから、だいたい三時間くらいか。

    ……三時間経ったのにあいつまだ戯れてんの?

    どんだけカマクラ好きなんだよ……流石にカマクラが辛くなってるだろ救助に行くか……。

    部屋を出るときも階段を降りる時も物音一つしない。それを疑問に思いながらリビングに出ると、簡単に謎は解けた。

    そこにあったのは……ソファに寝転がった雪ノ下の姿だった。

    八幡「まじか……」

    あの雪ノ下が他人の家で寝ている。しかも男一人の家でだ。

    こいつ、俺のこと男だと思ってないんじゃねえの。

    カマクラ「ふんすっ」

    随分と不機嫌な鳴き声が聞こえる。声はコタツの中からしていた。

    まあ雪ノ下に少なからず一時間くらいは弄ばれたんだろうし、今くらいは構わないでやろう。

    さて……、雪ノ下どうするかなぁ……。

    風邪ひくから起こさなきゃいけないってのは決定事項なんだが……変に起こすとボロクソに言われそうだし、かといって普通に起こしてもボロクソに言われそうだしなにこれチェックメイトじゃん。

    どちらでもダメなのであればむしろ逆に吹っ切れる。適当に起こしてやろうとソファに近づき……俺の動きはそこでピタッと止まってしまう。

    今日の雪ノ下はスカートだ。ここまで言えば察しのいいやつなら気づくと思うが……その、スカートがめくれて……パンツが……ねえ?

    不幸中の幸いといえば、雪ノ下が厚めのパンストを履いていたことだ。そのおかげでうっすらとネコ柄があしらわれている紫のパンツだということしか分からない。いや近くにいるせいでほとんど見えてるじゃねえか。

    ……どうしようどうしよう、起こしたら殺される気しかしない。これはあれだ、一旦この場から離れて何かで大きな音をたてよう。それで勝手に起きてもらうのが一番平和だ。誰も傷つかない。

    雪乃「……寒気を感じたのは、冬だからというだけではないようね」

    742 = 177 :

    離れようとした瞬間、殺気を感じる。

    声の主の顔を見るのが怖くて体を動かせない。そのせいでパンツを凝視しているみたいになってるんだけど……。

    八幡「……起きてらしたんですね、雪ノ下さん」

    雪乃「ちょうど今起きたのよ。近年まれに見る最悪の目覚めをありがとう、ゲス谷君」

    鋭く氷のように冷たい声音。まるで氷の槍で貫かれたような気分だ。

    かといってこのままの姿勢でいるわけにもいかない。そろそろパンツから視線を逸らさないと通報されかねない。

    恐る恐る、なんて表現では足りないほど恐怖心を抱えながら、視線を雪ノ下の顔へと移す。

    ……顔真っ赤じゃん。

    八幡「ええと……なんていうかその、申し訳ない」

    思わず謝ってしまう。事故とはいえパンツ見ちゃったし……あとそんなになるまで恥ずかしい思いさせちゃったし。

    由比ヶ浜のときもそうだったが、事故やアクシデントで女子の下着を見るとすっごく罪悪感があるな。罪悪感強すぎて性欲とかわいてこないレベル。……ごめん言い過ぎた、ちゃんとわいてる。

    雪乃「そんな苦笑いされながら謝られても、まるで誠意を感じられないのだけれど」

    罪悪感をこめまくった俺の謝罪は、残念ながら雪ノ下の心には響かなかったらしい。

    ほらー、だから言葉にしたら伝わるだなんて幻想だって言ったじゃないですかー。……はあ。

    いかにして俺が心の底から申し訳ないと思っているかを伝えようと頭をフル回転させている間に、雪ノ下はソファから降りて俺から離れる。

    手早くスカートを直したと思いきや、なぜか俺に言い訳でもするかのように早口でまくしたて始めた。

    雪乃「いつもは違うのよ」

    八幡「は?」

    雪乃「今日は猫の絵柄が入っている少し子供っぽく見えてしまわないこともない下着だけれどいつもは違うの。あなたに私の身につけている下着の柄を詳しく説明する気はないけれどいつもはもう少し女子高生然というか女性然とした私くらいの年齢の女子ならば持っていてもおかしくはない普通のもの身につけているわ。今日は猫と戯れる予定があったから少しでも猫に警戒心を抱かせないようにするために偶然たまたま何の因果か持っていた猫柄のこの下着を履いていただけで普段はレースの──」

    八幡「待て待て待て待て」

    雪ノ下の謎の弁明がついにパンツの柄説明に入りかけたところで俺は制止をかける。

    八幡「お前……最初に詳しく言うつもりはないとか言ってなかった?」

    雪乃「……そうね」

    首肯する雪ノ下の顔は相変わらず赤く、近くの椅子に座り直してからもずっとスカートの裾を押さえていた。

    ……気まずい。沈黙は苦でないが、こういうのは辛い。

    743 = 177 :

    なんとか空気を持ち直そうと会話を試みるものの、雪ノ下からは空返事ばかりだ。おまけに俺ももともと会話スキルがあるわけでもないのですぐに会話は終わってしまう。くそっ、スキルポイントをもっと会話に振り分けるべきだった。

    仕方ない……こうなったら由比ヶ浜に一肌脱いでもらうしかないな。

    八幡「ま、まああれだ。男の俺が言うのもなんだが、下着を見られるアクシデントなんてよくあること……だと思うぞ。由比ヶ浜もこの前ちょっとした過ちで俺に下着見せてきたからな。しかも上下」

    雪乃「!?」

    雪ノ下がようやくリアクションらしいリアクションをとった。この調子なら何とかなるかもしれない。

    由比ヶ浜には心の底から悪いと思ったが、雪ノ下のためにももう少しこの話題を続けることにした。

    八幡「お互いあんなことになるなんて夢にも思ってなかったから驚いたわ。色々あって眠れない夜を過ごしたし」

    あのときの事を思い出す。罪悪感でその夜丸々眠れなくて本当に辛かった……。そしてその時のことをこうやって人に話してるあたり俺のクズ加減がいよいよ手の付けようがなくなってきてて死にたい。

    思い出と自殺願望に俺が戦って負けそうになってる間、雪ノ下は俺に何かを言いかけてわやめ、言いかけてわやめを繰り返していた。

    不思議に思いながらもその言いかけた言葉がはっせられるのを待つ。しばらくして、ようやく雪ノ下は声を出した。

    雪乃「あなた、由比ヶ浜さんと……ど、どこまでしたの……?」

    744 = 177 :

    今日はここまでー。

    更新頻度が遅すぎてホントごめんなさい。

    来月ケータイ変えるので、そしたらもう少しペース上けたいと思います。(予定)

    それではまた来月あたりに!おやすみなさい!

    745 :

    来月…3日後だな!待ってるぞ!

    746 :

    なんでコテハン変わってんだよ

    747 :

    明後日かー
    楽しみだなー

    749 :

    酉のことコテハンっていうのやめようね?

    750 :

    >>749
    ほんとそれ


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