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元スレ八幡「お前の21歳の誕生日、祝ってやるよ」雪乃「……ありがとう」
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①終わりー
下手すればこのスレだけじゃ完結しないから、次スレまで延びるかも……
土曜日辺りに更新できるかな?
下手すればこのスレだけじゃ完結しないから、次スレまで延びるかも……
土曜日辺りに更新できるかな?
乙 そんなに長編になるのか。
あと700レス、雑談に半分ちょい入れるとしても300レス、読み応えがありそうですな。
あと700レス、雑談に半分ちょい入れるとしても300レス、読み応えがありそうですな。
>>304
作者の考えがあるんだろうから、書き込んで詮索するのはやめとき
作者の考えがあるんだろうから、書き込んで詮索するのはやめとき
>>312
セーガー
セーガー
今夜更新しますよー
1時間くらい待っててくださいな
文章が読みにくかったらごめんなさい
引き続きお付き合いください
1時間くらい待っててくださいな
文章が読みにくかったらごめんなさい
引き続きお付き合いください
②煌めく降雪に雪ノ下雪乃は内でハシャぐ。
―――――――――
大学の帰り道。
俺は電車内の手すりに寄りかかり、無意識で窓から景色を覗いていた。
日暮れが刻々と早くなっていくのを感じる。
先週のこの時間は、沈みゆく夕陽がまだ半分くらい見えていたはずなのに。
いまや陽はとっぷり沈み、どこまでも続く地平線は淡い紅色をした夕焼けに染まっていた。
たまに見る分には、いつまで観賞していても飽きないもんだな。
そんな思いに耽つつ、昨日今日の出来事を観照してみる。
まず、俺はいまどこへ向かっているのか。
雪ノ下の部屋である。
彼女をそっと抱き寄せ「今夜も寄って良いか?」と問うとお許しをくだすったのでね。
普段、自宅から大学までの通学には総武線一本乗るだけで済むのよ。
しかし今日に関しては、西船橋駅で京葉線に乗り換える手間をかけている。
彼女は高校時代から変わらず、海浜幕張にある高層マンションの一室に住まいを設けているからだ。
ぶっちゃけ家賃っていくらくらいなんだ……?
もしかして賃貸じゃなくてあれか、買ったのか?
あいつの家柄、有り得なくもないよな……おそろしや。
実は、俺も二十歳を迎えた昨年夏に一人暮らしを始めたのだ。
おい誰だいま『独り暮らしの間違いだろ』って唱えたの! 怒らないから正直に挙手しなさい!
まぁ実家からはそう離れてないんだがな、小さなアパートを借りて暮らしている。
借り暮らしのハチエッティてか!
全然上手くないな、寒いわな、むしろ。
なぜそうなったか。
両親に「アンタも子供じゃなくなったんだから大学卒業するまでは家事全般を一人でこなしな」と言われ、半ば強制的に追い出されたわけなんだな。
てか、普段からも俺と小町だけで家事をこなしてたんですがそれは……
ただ、何だかんだで小町は週2ペースで遊びに来るし、俺もちょくちょく実家に帰っては飯をご馳走になるので劇的に生活が変わったわけではない。
てか、小町さん遊びに来すぎじゃない?
家からほど近いからって、週2で訪れるもんかね?
どんだけ俺のことが恋しいんだよああもう世界一可愛い妹だわ抱いたろか。
「間もなくゥーー、海浜幕張ィー、海浜幕張ィー」
んな不埒なこと考えてたら、雪ノ部屋の最寄り駅に到着するとかなんとか。
そうですよね、雪ノ下さんがいながらそんなこと考える必要ないものね。
視界に駅のホームが映ると同時に、気づけば空は藍色に広がっていた。
電車に乗る前よりも更に冷え込んでいることだろう。
なにか温かい飲み物を買っていこうか。
もちろん、2人分を。
・・・・・・・・・
そういや、駅からどうやって歩けばいいんだっけ……?
ホットコーヒー2本と八幡's セレクションのコンビニおでんが入った袋を抱えながら、一抹の不安も同時に抱え込む。もう持てへん……
とりあえず、あの永沢くんの頭みたいにピョロッと飛び出たマンション目掛けて進めばいいかな。
海浜幕張駅界隈で最も高層なタワーだからよく目に付く。
改めて思うとすごいな、あんなマンションに高校生の頃から住んでるなんて……。
今さら思ったが、高級マンションなのだから空調設備はしっかりしているんじゃないか?
わざわざ温かいものを買わんでも、既に部屋は暖かろうよ……。
まぁせっかく買ったのだし、仲良くおでんを突っつき合いますかね。
そうすれば俺の心まで温くなることだろう。
悲しいかな、仲良く食えると決まってはいないんだがな。
「迷わずに来れた……」
駅から歩くこと数分。
アイツは何から食うだろうか? シンプルに大根か?
可愛らしく白滝? 意表を突いてちくわぶ?
こんなことを考えて、結論の出る前にたどり着いてしまった。
そもそも白滝から食うって可愛らしいのか?
やはりでかいマンションタワーなだけあって、目印になったわ。
寒さから逃げるため、小走りでエントランスに駆け込む。
そして押し心地のよい呼び出しボタンで部屋番号を入力し、彼女からの応答を待つ。
プツッ、というノイズが聞こえたと思ったら
『どちらさま?』
こいつ……。
「……俺だよ、俺俺」
『あら、一昔前に流行った手法の詐欺?』
「はぁ~……」
まさかインターホンに向かってこんなやり取りするハメになるとは……
『ふふ、からかってごめんなさい。入って』
すると幾多もの部屋へと通ずるエントランスの自動ドアが開かれた。
……まぁ、普通に開けてもらうよりかは楽しかったけどよ。
変にフワフワとした気持ちを抱きつつ、奥へ進むことに。
そのとき、声も音もしないのに左手側から気配を感じた。
焦って振り向いてみると、視線の先に鎮座している赤々としたものが見える。
……ソファだ。
文化祭実行委員を務めたとき、雪ノ下が倒れてしまって見舞いに訪れた際に、ここに座って待ってたっけ。
――――由比ヶ浜と、一緒に。
『……あたし、さ。』
『その……ヒッキーの、こと……』
『えと、えっと……』
『……あー! 回りくどいことはなし! 正直に伝える!』
『すすっ、好きですっ』
『……ヒッキーのことが、あたし、好き……なの。』
『好きっていうか、大好き……といいますか』
『……返事、聞きたいな。』
「……懐かしいな、このソファ」
隣同士に座ったのだが、特に会話をしたわけでもない。
俺はボーッとして、由比ヶ浜はスマホをクパクパ動かして。
……今ごろどうしてるんかな、アイツ。
ウィーーーン
「んぁっ!?」
ぎゃーす!
今度はソファ見てボーッとしてたら、時間切れでドア閉まりやがったクソウ!
ま、まじすか……、また呼び出さな……。
部屋番号を再度入力して、彼女を呼び出す。
大体、雪ノ下の部屋に来て、他の女を想うこと自体が間違っているんだよな。
由比ヶ浜結衣には恋愛感情を抱いていない。
俺は雪ノ下雪乃を愛しているんだ。
だったら、意中にない人物のことを考えてはならない。ご法度だ。
そうケジメを付けたところで、プツッ音が。
『どちらさま?』
あ、さっきよりも冷たい声音ですね。
八幡分かります! ここ進研ゼミで解いてないけど。
・・・・・・・・・・
「どうして解錠したのに、もう一度開けさせたのかしら?」
彼女が住む部屋のドア前に立たされ、詰問を喰らう。
由比ヶ浜のこと考えてました……
なんて言えるはずもなく、ただただ口からのおまかせの出任せで誤魔化せする。
「エ、エントランスを眺めてたんだ。艶と光沢があって綺麗だなぁ、と釘付けに」
「変態ね……」
変態は死ぬべしといった表情で俺を睨み付けた。
だいたい、二回呼び出しただけなのに説教受けるってどゆこと?
あー寒い……。
せめて中で叱られた方が、身だけでも温かく…………あ。
「まぁあれだ、せっかくあったかいおでんとか買ってきたから、冷める前に食べようぜ?」
だから部屋に入れてください……、そう目で問いかけると
「はぁ……。ほら、上がりなさい」
「サンキュ」
おでん買っといてよかった……。
昨夜とは違い、部屋中の照明が灯されている。
この光景もまた新鮮だ。
玄関からリビングまでは、暖かみのある電球色の蛍光灯が使われている。
その効果なのか、雪ノ下が放つオーラがいつもと違った雰囲気に感じ取れる。
まるで、冷気を帯びた傲慢さがセーブされたように思えた。
言い換えると、温もりを抱えた柔らかな意地っ張り、みたいな。
俺の勝手な解釈かもしれないが、照明の色でこんなにも彼女への印象が変わるんだな。
見えたものすべてがオレンジっぽく照らされることで、落ち着きに浸れる。
この空間で彼女を窺うと心が安らぐ。
どうしてジッと見つめないか、そんなの単純。
「……視線を感じて、どうも気持ち悪いのだけれど」
彼女の後ろに付き、リビングへ進みながら視線を向けているとそう咎められた。
な? 背後を見つめてただけでこれだぜ?
ゴルゴかなんかかお前は。
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