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元スレ八幡「お前の21歳の誕生日、祝ってやるよ」雪乃「……ありがとう」
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ここまで気持ちを晒してしまうと、この際どうでも良くなるもんだな。
彼女も依然として心奥からの拒否反応を見せない。
ということは…………なのか?
きゅっ
「ひゃっ」
突然のことに驚いてしまったようで、全身をビクつかせた。
彼女の遊ばせていた左手を、そっと握ったからだ。
しかし彼女は手を引き抜こうとせず、ジッと10本の指が重なっているのを見つめていた。
「……どう、したの?」
数秒間、沈黙が流れた後に彼女は訊いてくる。
「…………いや、別にどうもしてないが」
白くすらりとした彼女の少し冷たい腕は微動だにせず、ただただ俺の黄色い腕にそっと覆われている。
この光景をずっと眺めていたい、そうさえ思えた。
「何よ、どうもしていないって……」
微苦笑する雪ノ下を横目に、俺もそっと破顔一笑する。
なんだろう、こんな優しい気持ちで微笑むのってずいぶんと久々な気がするなぁ。
……俺にとっての特別な人が、隣に寄り添うだけでこうも変わるのか。
「ところで比企谷くん」
「んぁ?」
感慨に耽ってたもんだから間抜けな声が出た。さっきも無かったか?
「そろそろ、服を着てもいいかしら?」
そうか、雪ノ下はいまこの時も…………全裸、か。
そう考えただけでムラッとくる俺はまるで童貞のようだな。数時間前にその汚名はめでたく破棄したけど。
本音を言えば、もう少しこのままの姿で密接していたいが、この部屋少し寒いもんな。
そんな理由で彼女に風邪を引いてもらいたくない。
…………彼女だから。
「そうだな、着るか」
あれ、でもどこで脱いだんだっけな。ティッシュならすぐに見つかったが。
「何を鳩のようにあちらこちら見てるの」
「いや、俺の服がどこに行ったのか分かんなくてよ」
脱いだ服の存在を忘れるほど本気でセックスしたのだろうか。がっつきすぎだろうよ八幡!
「……もしかして、さっきから感じる布擦れって」
雪ノ下が訝しい顔で身体を少しくねらす。
すると長座体前屈のように膝元へ腕を伸ばし、ベッドの中を探り出した。
そしてそこから出てくる見知った洋服ども。
……はい、俺の脱いだ服でした。
それを俺の元に放り出す。
「……ずっとこれのせいで、お尻の辺りに異物感を覚えていたのだけれど」
え、えぇ~~、ぼくのせいですか?
触ってみると、確かに…………ぬくい。
これが今しがたまで、雪ノ尻の下敷きになってたのか…………ぅあ、いかん生唾溢れてきただから童貞か俺は!!
「……温度を楽しまないでもらえるかしら」
弓矢のごとく鋭い眼光が飛んできましたけど、勘違いされては困るな。別に楽しんでいるわけではない。
単に両手で味わってるだけなんだが?(白目)
本当はクンカクンカスーハーしたいけど雪ノ下さんが隣にいて出来るはずもないので残念した。間違えた、断念した。
本格的に視線が恐いのでそろそろ着ますか。ついでに胴体で温もりを味わえますしねハッハッハ。早く着ましょう。
「あれ、てかお前の服はどうしたよ」
すでにあったか~いヒートテックを着ようとした時に、ふと疑問。
「……あそこに」
あごでクイッと指した方向を見やると、斜向かいの木製チェアーに丁寧にたたまれて置いてあった。
よく性交前にああ綺麗にまとめられるな……。エッチな気分になってなかったのん?
「取りに行くから、私の裸は見ないでちょうだいね、下卑谷くん」
まだ、見るって言ってないのに下卑扱いされた……。
まあもちろん、見るつもりでしか無いんだけどさ。なんなら今夜のおかずのために瞬間記憶してやろうかと意気込むまである下卑っぷりね。
「……言っておくけれど、女は視線で分かるのよ」
一瞬で目、伏せるよね。
だって! だって声に一切の冗談ぽさが混じってなかったから! だから!
まぁいいや、これから見ようと思えばいつでも…………うわぁ見れそうにないわ。
普段の夜はガード堅いだろうな……。
え、じゃあやっぱりいま見といたほうがええやん!!
夜は暗くて雪ノ下の裸なんて見えなかったですしねぇ?
ギイッ ペタペタ
そう考えていた刹那に聞こえてきたのは、ベッドのきしむ音と微かな足音。
今ならココから見ても気づかれまい。
大体、視線で分かるだなんてそんなのただの脅しだろうよ。
求めてもいない女のあれこれ情報を勝手にお伝えする小町からさえも、そんな話は聞いたことがない。
さてさて、すっと視線を上げまして……!
ん?
>>262
さげろください
さげろください
視界の中心では、下着に手をかけている雪ノ下の後ろ姿が映っていた。
彼女のシンボルである艶やかな長髪は少し乱れ、覆い隠されながらも隙間から白くちらついて見える背中が女性ならではの魅力をいっそう感じさせた。
そこからスタイルの良い細くすらっとしたくびれ、腰まわり、ヒップと素晴らしく完成されている背面体を俺は瞬時に眺めまわす。
何度でも何度でも何度でも勃ち上がり呼ぶよ、九幡が。少し黙ってろ……
しかし、彼女が下着を履こうと軽くしゃがみ、片足を浮かせたときだった。
左腕が内側に曲げられ、肘部分がこちらを向いている。
その肘が遠目で見ても分かるほど、白々とした身体に異彩を放っていた。
皮膚が少しばかり茶色く変色され、それはまるで擦り傷跡のようだ。
俺の覚えてる限り、高校時代にそのような違和感を抱いたことはない。卒業後に怪我でも負ったのだろうか。
階段からすっ転んだとか? 雪ノ下がそんなおドジなことしますかねぇ?
もしそうならば、とんでもなくギャップ萌えですよコレ。あぁ~^めちゃシコ。
「…………ねえ?」
「んぁ? …………んあっ!?」
な、なんだ!? まさか覗き見ていたことを本当に気づいてらっしゃった!?
突然の問いかけにまたしても間抜けな声を出す俺。雪ノ下さんにビビりまくってます……
「……どうした、んですか?」
なにを通告されるのか、いやどんな制裁を受けるのかと内心ビクビクしながら、至って自然な口調を装い聞き返す。
すると、
「……あなた、きょう大学は?」
「………………あっ」
目覚めてから一度も気にしたことのないその事項。
あれ、ちょっと待って。今日何曜日? いま何時何分何十秒? 地球が何回まわったとき!?
さっき見たかもしれない時計を凝視する。10時34分……前見たときより数分経過してる。
しかし肝心なのは曜日ですよ!
昨日は水曜だったはずだ。なぜならキュアでハピネスなハートキャッチしてから3日経った気がしたもんでして!
スマホの待ち受けを確認せねば!
2014/11/19(水) 10:34
トゥデイが水曜じゃねぇかボケェェェェェェェ!!!!!
「やっべ、きょう2限から! てかもうあと数分で始まっちまうし!」
しかも英語じゃんか!
サボりまくりんぐだったから、次の授業からは毎回出席しようと思ってたのに!
このままじゃ単位落としてしまう……自業自得なんて正当化してる場合じゃねぇっ!
「はぁ、気づくのが遅いでしょう……。そういうことは起きて真っ先に考え…………比企谷くん?」
「あ、あっ?」
下半期イチで焦っている俺に振り返る彼女。ありゃま? なぜ顔赤いのですか?
俺が焦燥感と疑問符を浮かべていると、内は恥ずかしそうに、外は汚いものを見るかのように睨み付けてきた。えっ?
「……あなた、着替えているときは私を見ないでと、言ったわよね?」
あら、懐かしの鬼気迫るかのようなオーラが見えるわ……。背後にキングデビルが憑いてるわね。去れぇぇっ!
こんなときに美輪さんマネてる場合じゃねぇよ! 黙れ小僧!
「いやっ、ちげっ! そのー……そう! 時計確認しようと思って部屋中眺めていただけであってだな、決してお前の芸術的なヌードなんか目も暮れてねぇっつの!」
完璧な言い訳だ。
すんなりとそれっぽい理由も出てきたし、無罪放免確定コースだろ。
ほっと安堵していると束の間、彼女の立つ場所から届く眼光が次第に弱まっていくのを感じた。
え?どこいった? まさか、俺の背後? 殺されんの嘘やろ!?
そう思いすぐさま顔を上げる。
すると見えたのは、元からいる位置から一歩たりとも動いておらず、胸元と下腹部を両手で隠している雪ノ下の姿だった。
だが代わりに数秒前見たときとはちがい、彼女はそっと俯いているような姿勢で佇んでいた。
表情を覗こうにも、彼女の黒髪の影に隠されて確認ができない。
なにか傷つけるような発言をしてしまったのだろうか。まぁ高校時代はコイツの言動にほぼ毎日傷つけられたんですがね……
少し不安になり、訊いてみることに。
「……なあ、なに急に押し黙ってんだよ。その格好で」
目のやり場に困るんですよね……フルヌードと違って、手ブラしているのを見ると余計セクシーに思えてしまう。
ずっと肘ついて頬杖してるような生活してんやろ
ボッチじゃないよ。孤高なだけ
ボッチじゃないよ。孤高なだけ
まあここはあれこれ予測しないで作者の考えたとおりに書いてもらおうや
あらかじめドロドロシリアス展開になると警告してくれているんだし
不安ならここで見ないのも一つの手ではないのかと
あらかじめドロドロシリアス展開になると警告してくれているんだし
不安ならここで見ないのも一つの手ではないのかと
「……おい、雪ノ下?」
問いかけても返事がない。まるで屍のようだ、直立してるけど。
「……そんなに、魅力を感じないかしら」
細々と出された声。ギリギリで聞き取ることができた。
魅力を感じないって言ったか? 一体なにを指しているのか?
「…………私の裸は、つまらない?」
……え゙っ?
「は、はだか?」
いやそりゃ聞き返しますよね! 突拍子もなくそんな質問されても……。
依然として立ち尽くす彼女。依然として勃ち尽くす九幡。
俺はいったいどうしたらいいのか、困ったことに考え付かない。至極当たり前なのだが……。
とりあえず……、目の前のことから解決させる方が良さそうだよな。
彼女が問いかけてきたのならば、俺はそれに答えを返さねばならない。
お互いを認め合い、求め合う関係であるからには、そんなことくらい当然だよな。
返事は決まっている。
「いや、魅力的っつうか、俺のよく知る雪ノ下はこういう姿でなければ、ちがうと思うけどな」
あ、あれ?
思ってたよりも、素直な気持ち伝えれてない?
俺にとって最大級の褒め言葉……、いや。
むしろ、最上級の愛情表現…………のつもりだ。
一応、伝わった……のか?
偽りの無い、俺の気持ちは。
「……悦んで、いいのよね?」
ふっと顔を上げ、俺に視線を向ける。
「雪ノ下雪乃はそういう身体だろ。誇りを持てよ」
ふっと微笑み、彼女に視線を向ける。
……しかし、やはり恥ずかしさが生まれてしまった。
気持ちは確かなものだ。飾りを使わず、本当に思っていたことを口に出した。
ただ、素直に正直に、最も伝えるべき純度100%の想いは言えなかった。
肯定するだけで、彼女がきっと悦んでくれたであろうものを俺は、どうしてこうも廻りくどい言い方になるのだろう……。
『愛しているから、魅力的に想える』
これで良かったんじゃないのか……?
そう考えるものの、微笑みは崩さない。
内にはじわじわと後悔の気が表れはじめているのに、顔には顕せず止めている。
ほら、本来ならば生じなかったのに、こうして自分の気持ちに嘘をついてしまった。
そんなミスを犯してしまったというのに、彼女をちゃんと愛することができるのだろうか。
気づけば、今度は俺の顔が俯かれた状態になってしまっている。
九幡なんか他人のフリをするかのごとく、いつの間に萎縮していた。情けねぇ……
「……ふふ」
ん? 笑い声? 雪ノ下……しかいないよな。
起きてから何度目だか分からない、彼女の顔に視線を向ける。
そこには、高校時代に数回見覚えのある表情。
まるで、ちびっ子が楽しげに遊んでいる様を眺めるときに浮かべるような、柔らかな笑顔。
必然的に、俺たちは見つめ合っていた。
俺はベッドの上に腰掛け、顔の角度をやや上げた状態で彼女を見やる。
片や彼女は佇みながら、顔の角度をやや下げた状態で俺を見やる。
控えめに主張した胸を片腕で覆い隠しているもんだから、まるで腕を組みながら仁王立ちしているようにも見えた。
しかしそれがまた、彼女だからこそ嵌まるのだ。
そこからはまるで傀儡にされたかのように、俺はすっとベッドから起き上がり、雪ノ下の元へ歩み寄る。
いまは11月の朝。フルチンの俺にとっちゃ寒さに震えるところだ。
しかし、心は温かった。
「ひゃっ」
そうして直後、全身が温かさに包み込まれる。
彼女を目一杯に抱きしめたことにより、胸の鼓動が一定間隔で届く。
あばらの辺りだろうか、柔らかな双丘が弱気に反発してくる。当の彼女は強気な心をお持ちだけど。
なんか……昨日までの俺だったら、こんな風にいきなり抱きしめる行動を起こすなんてあり得なかったよな。
でもあんな可愛らしい顔で見られたら、本能が勝るわ。
こんなことが出来るのなら、どうして素直な想いを伝えることに躊躇してしまうのか……。
しかし、ここで今さらそれを言おうにもタイミングが悪い。いや、ムードは最高なんだけどさ。
でもそれ以上に、確かめたいことがあったもんで。
「……なあ、雪ノ下」
「………………?」
「……今夜も、ここに寄ってもいいか?」
彼女は胸の中で、小さくゆっくりと頷いた。
その日から、俺は雪ノ下の部屋を訪れるようになった。―――――
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