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    元スレ食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」

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    301 = 1 :

    ――とある高校、屋上


    上条「ってなわけで、条件付きで入園許可は出してもらったけど」

    土御門「さすがはカミやん。聖域という幻想を見事にぶち壊してくれたにゃー」

    上条「よせよ、お前の口利きがなければどうにもならなかったさ」

    土御門「謙遜するなって。他の候補者の男どもは軒並み袖にされちまったらしいぜよ?」

    上条「たまたま運よく本人と鉢合わせただけだって。俺も無駄足になる寸前だったんだぜ?」

    土御門「……ちゅーことは何か? カミやんは第五位と面識があったのか?」

    上条「そうみたいだな。全然覚えちゃいないけど」

    土御門「……なるほど、記憶喪失以前の知り合いか。――って、オイオイ、それで許可が出たってことはまたしても」

    上条「んなことより、そっちで何か進展はあったのかよ?」

    土御門「あ、ああ。その話なんだが……どうも思っていたより尾を引きそうなんだ」

    上条「なんだよ、偉そうに任せろとか言ってたくせに」

    土御門「すまないと思ってる。まぁ、まずは経過報告から先に聞いてくれ」

    302 :

    土御門って上条さんの記憶喪失知ってるっけ?

    303 = 1 :

    土御門「先に結論から述べさせてもらうが、洗脳装置(テスタメント)は無事発見された」

    上条「……へ? 発見って、つまり回収できたってことか?」

    土御門「ああ、盗まれた台数分には足りていたようだな。……ただ、腑に落ちない点もいくつかある」

    上条「いや、でも、最悪の状況は既に脱したと言えるんじゃないか?」

    土御門「その確証を得るために、今も行方知れずの運び屋どもを捜索している最中だ」

    上条「……盗んだ連中は捕まってないと」

    土御門「ああ、一人としてな。せっかく手に入れた機械を全て放り出していったことも気にかかる」

    上条「……その浮かなそうな顔からすると、他にも何か心配事があるみたいだな」

    土御門「察しの通りだ。どういうわけか港の集積所で発見された洗脳装置は」

    土御門「被害届けに記載されていた台数より、余分にあったんだと」

    上条「…………は?」

    304 = 1 :

    上条「それって、つまり何か? 洗脳装置が盗まれた台数より増えちまってたってのか?」

    土御門「被害届に記載されていた台数は全部で5台。なのに、見つかった台数は7台だ。誰がどう考えたっておかしいだろ?」

    上条「まったくもって意味不明だな」

    土御門「さてさてカミやん、この状況から導き出される答えとは何かにゃー?」

    上条「……いや、何が何だかさっぱりなんだが」

    土御門「そいじゃ、まず盗難被害者が本当のことを話していたと仮定する。数の差違が発生するのはどんな場合だ?」

    上条「……盗難被害者――この場合は研究所側が――盗まれたことに気づいていない洗脳装置があったとか」

    土御門「そいつは考えにくいな。洗脳装置ってのは悠に家庭用マッサージ椅子くらいのサイズはあるし、重量に至ってはその倍以上ある」

    土御門「何より高額な代物だから、在庫管理は徹底されていると考えるのが自然ぜよ」

    上条「……だったら、他の研究施設で作られていたやつが盗み出されてて、偶然同じ場所に集められてたって可能性は?」

    上条「さもなけりゃ、施設の職員が把握していない、誰かの指示で秘密裏に作られていた装置が一緒に盗み出されちまったとか」

    土御門「組立には相当なスペースと高額な器材を要するし、一線級の技術者にしか扱えないような複雑極まりないプログラムを入力する必要がある」

    土御門「以上のことから、条件を満たす施設は他にないと断言できるそうだ」

    上条「うーん、両方とも外れかぁ」

    305 = 1 :

    土御門「補足しておくと侵入された研究施設は地下にあり、搬入口は一箇所だけ」

    土御門「装置の大きさや重さからして、まとまった台数を一度に運び出すには大型のトレーラーが不可欠だ」

    上条「なるほど」

    土御門「実際に、学園都市に点在する複数の監視カメラには盗難時刻の前後でそれと思われる不審車両が捉えられていた」

    土御門「その画像を元にして洗脳装置が持ち込まれた集積所を特定し、警備員が突入したら物だけが放置されてたって流れだ」

    上条「……質問。持ち込まれた現場の近くで別の大型車両は見当たらなかったのか?」

    土御門「ああ、過去二週間分のデータにグラフィック検索をかけてみたが、全く引っかからなかった」

    上条「つまり、トレーラーで持ち出されたのはまず間違いないってわけだな?」

    上条「そうすると、やっぱり被害者側が嘘をついていたとしか」

    土御門「消去法ではそうなるな。ただ、何で盗まれた台数を減じて報告する必要があったのかが謎なんだ」

    306 = 1 :

    上条「たとえば、研究所職員が結託して、外部組織に横流しする目的で予め余分に作っていたとしたら?」

    土御門「要するに密輸か」

    上条「ああ。正規の管理簿には一切登録していない、公的に存在しないはずの装置が盗まれちまった」

    上条「それを勘定に入れたら生産数を誤魔化していたことがバレちまう。だから、泣く泣く数を減らして被害届を出した」

    土御門「一応筋は通ってるな。金稼ぎか、誰かの命令かって疑問は残るが」

    土御門「けど、それにしたって発見された時点で台数に差違があることはバレちまうぞ?」

    上条「……そうだな、数を増減させる意味はほとんどない。疑念を抱かれたら結果は同じだろうし」

    土御門「何分高額な代物だ。管理簿にある数だけでも回収できなければ進退問題になっちまうから、通報するのは当然なんだが」

    上条「あまり納得してねえって顔だな」

    土御門「以前よりかは察しがよくなったみたいだな」ニヤ

    上条「それなりに長い付き合いだろ。――んで、土御門博士のご賢察を伺っても?」

    土御門「……そうだな。カミやんの話を聞いていてひとつ思いついたんだが」

    土御門「こんな考え方はどうぜよ? そもそも、盗難なんて最初からなかった」

    上条「……それは、自作自演ってことか」

    307 = 1 :

    土御門「今回、奪還依頼を受けた俺たちは特定の狭い地域に大人数を動員して捜索に当たっていた」

    上条「だからこそ、洗脳装置をあっさり見つけ出せたんだよな」

    土御門「逆に言えば、他の区域では警戒が緩くなっていた。盗難騒ぎを囮にして、別の犯罪を目論んでいたってのはどうかにゃー?」

    上条「普通にありそうだな。もっとも、そこまで考えの幅を広げちまうとキリがない気もするけど」

    土御門「日々騙し騙されてることに慣れちまってるからな。まったく、因果な商売ぜよ」

    上条「それは、お前自身の問題な気もするが」ジト

    土御門「そもそも自作自演説が正しかったとして、台数が余分に存在することへの説明が思いつかんにゃー」

    上条「…………ん」

    土御門「……どうした? カミやん?」

    上条「いや……あくまで思いつきなんだけどさ」


    上条「自作自演はあった。けど、誰かに計画に水を差されたって可能性は考えられないか?」


    土御門「……そうか、妨害した人間がいたってことなら!」

    308 = 1 :

    上条「たとえば研究所内部に、計画のあまりのヤバさに恐れをなした人間がいた」

    土御門「そいつがわざと不可解な状況を作り出し、第三者に不信を抱かせようとした、か」

    土御門「いいんじゃないか? 今の所どの説より現実味がある」

    上条「最初は盗ませた数をきっちり回収する予定だったけど、洗脳装置の数があってないとなれば」

    土御門「当然学園側や警備員は余剰分の出所を探ろうと動く。裏に何かあるんじゃないかと勘繰る者も出てくるな」

    上条「今の土御門みたいにな。――いや、でも待てよ?」

    土御門「どうした? 今の説はなかなかいい線いってると思うが」

    上条「よく考えてみると、こんな回りくどいことをする必要があるのかと思って。このご時世、内部告発なんてワンクリックで済むだろ?」

    土御門「……あぁ、そう……いや、そうとも限らんぜよ」

    上条「んん、たとえば?」

    土御門「いざ現場に行ってみて、そこで初めて自分が重犯罪の片棒を担がされていることに気づいたとしたら?」

    上条「――なるほど、気づいたのが運び屋側だったとすれば全て説明がつくな」

    309 = 1 :

    土御門「立ち聞きでも誰かが流した情報でも、きっかけは何でもいい」

    土御門「とにかく、運び屋は自分が運ばされている物のヤバさを認識した」

    上条「結果、臆病風に吹かれて受け渡し前に装置を置き去りにして逃げだした、か。辻褄は合うな」

    土御門「手前味噌だが、盗難騒ぎが囮だって方向は間違ってないと思う」

    土御門「ともすると、外に持ち出す予定の台数が、まんま余剰分の台数だったとすればどうだ?」

    上条「……集積所が引き渡し場所と回収場所を兼ねていて、そこから2台だけを持ち去る計画だったってことか」

    土御門「そーゆーこと。当初の計画では被害届に記載した台数分の装置を集積所に運び、警備員に知らせて回収させる」

    土御門「かくして盗まれた5台の装置はめでたく研究所に戻り、事件は解決する――ように見せかけることだった」

    土御門「外部の人間なら余剰分が消えていることにそうそう気づかないだろうしな」

    上条「――よしんば気づいたとしてもかなり後のことになるか。いやらしい筋書きだ」

    土御門「おそらく研究所の上の人間が何者かと密約を結び、一芝居打つことでその目的を果たそうとした」

    上条「だが、計画の要である運び屋が逃げ出しちまったことで計算に大きく狂いが生じた」

    土御門「もしこの一連の流れが正しいとするなら、何のことはない。事件は早くも解決しかかってることになるぜよ」

    上条「そうだな、行方をくらましている運び屋をとっ捕まえて、研究所の資金の流れを把握しちまえば」

    土御門「おうよ、確実に尻尾を掴めるはずだ」

    310 = 1 :

    上条「一つ懸念があるとすれば、事件当事者の証言がないと研究所の人間をしょっぴくのが厳しい点だな」

    土御門「まぁ、証拠隠滅くらいはするだろうからな」

    土御門「つっても、暗部には諜報のエキスパートが複数名いる。隠蔽された情報を掘り返すことくらい朝飯前だ」

    上条「運び屋が始末されてなきゃいいけどな。研究所側が真っ黒だとすれば、絶対に手を回してるだろうし」

    土御門「古今東西、裏切り者の末路は決まってるからな。俺も重々気をつけないといかんぜよ」

    上条「……とりあえず装置が全部回収されたんなら、精神系能力者が狙われる可能性は低くなったと見ていいのかな」

    土御門「そうだな、現状では盗難品も警備員預かりになっているはずだから、少しは安心していいんじゃないか」

    上条「……わかった。んじゃ、俺もそろそろ向かうとするか」

    土御門「あぁ、カミやん」

    上条「あん?」

    土御門「これからしばらくの間、携帯の電源は常に入れといてくれ。何か動きがあったらすぐに連絡する」

    上条「わかった、そうする」


    上条(バッテリー切れには気をつけねえとな。念には念を入れて、携帯式充電器を持ち歩くか)

    311 :

    何故sageまくる…

    312 = 1 :

    ――常盤台中学、庭園内


    食蜂「…………」トントントン

    取り巻き1「女王、今日は妙にそわそわしていらっしゃいませんか?」

    食蜂「別に、普段通りだけど?」

    取り巻き1「しかし、さきほどから人差し指が忙しなく動いていらっしゃるようですが」

    食蜂「ちょっと考え事しているだけよぉ」

    取り巻き2「おつけになられているリップ、二日前に発売されたばかりの、この秋の新色ですよね」

    食蜂「あら、目敏いわねぇ」

    取り巻き3「アイライナーも、心なしかいつもより丁寧なご様子」

    食蜂「……それはさすがに、気のせいじゃないかしら」

    取り巻き3「……女王、まさかとは思いますが、殿方との逢引きなどと――」

    食蜂「あのねぇ、あなたたちはいつから私の小姑になったのぉ?」

    食蜂(それに逢引きって……今どきの女子中学生が使う言葉じゃないわよねぇ)

    314 :

    >>311
    別にお前が読めているなら問題ないだろ

    315 = 1 :

    ――教室


    食蜂(そろそろ授業が終わる時間だけど)チラ

    食蜂(校門前には……まだ誰もいないみたいねぇ)ンー

    食蜂(やっぱり昨日顔を合わしたときに、携帯番号を交換しとくべきだったわぁ)

    食蜂(あーあ、御坂さんの邪魔さえ入らなければ、待ち合わせ場所とか段取りとか決められたのにぃ)

    食蜂(まぁ、上条さんも好き好んで目立ちたくはないはずだし)

    食蜂(私が校門の外に出るのを見計らっているのかも知れないわねぇ)


    先生「それは、今日はここまでにします。来週からは能力測定に入るので――」


    食蜂(……能力測定か。第四位までの道のりは遠そうねぇ)チラ

    食蜂(……ッ!)ガタッ


    取り巻き2「ああ、女王。もしよろしければ放課後四人でエクレアなど――」


    ――ガラガラッ! ――タッタッタッタッ……


    取り巻き2「…………」ポカーン

    取り巻き2「じ、じじ、事件ですわッ! よもやあの女王が廊下を走られるなんて!」

    316 = 1 :

    食蜂「はっ……はぁ……はぁ……」ポタポタ

    食蜂(こ、これ以上頑張りすぎると、肌着が汗まみれになっちゃうわねぇ)ハァハァ

    食蜂(ひとまず息を整えて、校門まではなるべく優雅に――)ハァハァ

    御坂「あれ、珍しい。あんた一人?」

    食蜂「はぁっ、み、御坂さぁん。あなたもお早い、のねぇ」

    御坂「ていうか、何でそんなに息乱れてるわけ? あんたんとこ、授業体育だったっけ?」

    食蜂「う、うるさいわねぇ。あなたと違って、こっちは教室が、はっ、離れてるのよぉ」

    御坂「100mも変わんないでしょうが。やっぱりアンタって相当な運――」

    食蜂「その先続けたら、今この場で、能力者同士のバトルロワイヤルを、やる羽目になるわよぉ?」ギラ

    御坂「……あぁ、はいはい。余計なお世話だろうけど、必要最低限の体力は付けといた方がいいわよ」

    食蜂「本当、大きなお世話――――っ」

    御坂「うん? …………って」


    上条「よっ、お迎えに上がりましたよ」

    317 = 311 :

    >>314 これを見つけるために450まで遡ったんだぞ

    318 = 1 :

    食蜂「…………」パクパク

    上条「って、御坂も一緒だったか。お前らってあれですか? 実は隠れ仲良しだったりすんですか?」

    御坂「天地がひっくり返ったってないわ。てかあんた、よくまぁ堂々とここまで入って来れたわね」

    上条「校門前でうろうろしている方がよっぽど不審者っぽいだろ。そっちこそ、あんまり驚かないんだな」

    御坂「まぁね。昨日寮監から説きょ――じゃなかった、事情を聞いたのよ」

    上条「へぇ、あの先生、話したんだ」

    御坂「私もこいつと同じレベル5なわけだし、あながち無関係じゃないと思ったんでしょ」

    上条「……へへ、探せばいい先生って、結構いるもんだな」

    御坂「まぁ、あの人普段は相当厳しいけどね。それはそうとアンタ、ちゃんとゲートから入ってきたんでしょうね?」

    上条「もちろん、抜かりはないぜ。この通り、ICタグつきの入園許可証も貰ってる」ピラ

    御坂「ならいいわ。ちなみにそれ紛失したら警備ロボットに追い回されることになるから気ぃつけなさいよ」

    上条「そりゃ怖いな、覚えとく。ところで食蜂、お前まだ体調が戻ってなかったのか?」

    食蜂「……あ、え?」ハァハァ

    319 = 1 :

    上条「さっきから一言も発しないし、妙に息が荒いみたいだからさ。もし辛いんなら保健室に」

    食蜂「へ、平気ですぅ。今の今まで運動していただけですから――」

    食蜂(……ッ、あそこにいるのは。……グッドタイミング!)ゴソ


    ――ピッ


    御坂「運動ってアンタ、単なる校舎の移動でへたばってちゃ――うわっ!」ダキッ

    黒子「見つけましたわっ、お姉様ぁ!」ギュウ

    御坂「ちょ、あんた、校舎内でテレポートしてんじゃないわよ! 風紀委員でしょうが!」グイ

    黒子「んもう、お姉様のいけずぅ~」ツツ

    御坂「ばっ、やぁっ! こら、変なところ撫でるなぁ! 離れ、ろ、この――っ!」グググ

    黒子「そうは参りませんの。何としても、離れるわけには――ッ!」ギュウウ

    御坂「は、はぁッ!? いくらあんたでも人前でやっていいことと悪いことの区別く――」


    ――シュンッ


    上条「うぉっ、二人とも消えたッ!?」

    食蜂「さ、上条さん。今のうちに」グィ

    上条「って、そんな引っ張らなくたってちゃんと歩くって」

    320 = 1 :

    ――学舎の園通用路


    食蜂「こ、ここまで、来れば……」ゼェゼェ

    上条「つうか、逃げる必要なんてあったのか?」チラ

    食蜂(……う、息ひとつ切れてない)ハァハァ

    食蜂「御坂さんは、正直苦手、なんです。何だか、四六時中ビリビリ、してる、から」

    上条「ああ、はは。俺もそういう経験何度かあるよ」

    食蜂「……上条さんは、彼女と、仲がよろしいんですかぁ?」

    上条「んー、出会った頃に比べれば改善してきてるんじゃないかな。以前は顔を合わせるや否や電撃飛ばしてきたし」

    食蜂「まぁ、野蛮ねぇ」

    上条「けどさ、あれであいつにも優しいところがあんだぜ? この間だって――」

    食蜂「……上条さぁん」

    上条「うん? 何だ?」

    食蜂「年の近い異性と一緒にいる時に、別の異性のお話を楽しそうにするのはどうかと思うんですけどぉ?」ムス

    上条「そ、そか。そういうもんなのか」ポリ

    食蜂「……朴念じぃん」

    上条「め、面目ねぇ」

    321 = 1 :


    食蜂「そういえば、上条さんは甘い物はお好き?」

    上条「まぁ、どっちかっていえば好きな方だけど」

    食蜂「だったらぁ、寮に戻る前にあそこの洋菓子屋さんで一服しません?」スッ

    上条「ええ? いや、でも、なるべく寄り道せずに帰らねえと」

    食蜂「そんなにお時間は取らせないですから。ほんの少しだけ、ねぇ、いいでしょ? お願いッ」パン

    上条「…………うーん」

    食蜂「…………駄目ぇ?」チラ

    上条「……わぁったわぁった、俺の負け」

    食蜂「やったぁ! あのお店、ケーキの味はもちろん、内装も異国情緒があって素敵なんですよぉ」ニコ

    上条「味にうるさそうなお前がそういうんなら、期待して良さそうだな」フッ

    322 :

    俺もケーキ食べたい

    323 = 1 :

    ――カラーン


    性店員「いらっしゃいま――っ!?」ガタッ

    上条「お邪魔しまっす」

    性店員「……だッ」

    食蜂「こんにちわ。また来ちゃいましたぁ」ヒョコ

    性店員「あ、あら、食蜂さん? ――えっと、こちらは、もしかしてお連れ様?」

    上条「どうも、初めまして」ペコ

    食蜂「一応紹介しときますね、こちら上条当麻さん、私の恩人なんです」

    性店員「は、はぁ、恩人さん……」

    上条「そこまで大袈裟なもんでもないです、ハイ」

    324 = 1 :

    性店員「あー、びっくりした。こんなことってあるのねぇ」

    食蜂「彼、事情があって、短期間だけ学舎の園にいることを認められてるんです」

    上条「一応、入園許可証ももらってますんで、これなんですけど」スッ

    性店員「やだぁ、ごめんなさいね。あんな風に取り乱しちゃって」

    性店員「まさか学舎の園で男の子と出会うなんて思ってもみなかったから」

    上条「いえ、こっちこそ脅かしてしまったようで申し訳ない」ペコ

    性店員「ふふ、お互い様ね。私も住まいは外だし、種明かしさえしてもらえれば全然平気」

    性店員「ただ――そうね。他のお店に入るときは、予め許可証を出しておいた方がいいかも」

    性店員「どうしたって不意打ちになるから、みんな身構えちゃうだろうし」

    上条「ですね、これからはアドバイス通りにします」

    325 = 1 :

    食蜂(やっぱり季節限定の濃厚モンブランが……ううん、ちょっぴりビターなキルシュトルテも捨てがたい)

    食蜂「あ、ねぇ、上条さんはどれにするかもう決まった?」クイクイ

    上条「目下悩み中。どれもこれも美味そうで、どうしたって目移りしちまうな」

    食蜂「それだったらぁ、お互い別々の物を頼んで半分コっていうのはどぉ?」

    上条「ああ、悪くないな。どうせなら二つの味を楽しめた方が」

    食蜂「決まりねぇ」

    上条「じゃあ店員さん、俺はこのモンブランを」

    性店員「はい、かしこまりました」ガラガラ

    食蜂(あら、以心伝心――って、そんなわけないか)コツン

    性店員「食蜂さんはどれにするの?」

    食蜂「あ、そ、そうね。ねぇ、上条さんは、後どれが食べたい?」

    上条「コラコラ、ちゃんと自分が食べたいやつを選びなさい」

    326 = 1 :

    性店員「先に席についてて。紅茶とセットで持っていくから」

    上条「わかりました」

    食蜂「上条さん、どこに座ります?」

    上条「天気もいいし、窓際の方がいいんじゃないか」

    性店員「なら、一番奥の席がおすすめね」

    上条「奥っていうと、あの大きな柱の裏ですか?」

    性店員「ええ、他の客席と隔てられてるから人目を気にせずに雑談できるわよ」

    上条「あぁ、すいません、わざわざお気遣いいただいて」ペコ

    性店員「いいえー、せっかくのレアイベントなんだし、ゆっくりしていってちょうだいね」

    食蜂「はい、お言葉に甘えさせていただきます」

    327 :

    上条「さっ、お先にどうぞ、食蜂サン」スッ

    食蜂「え、ええ。ありがと」

    食蜂(……レディファースト。エスコートじゃ男性が常に通路側、だったっけ)チョコン

    食蜂(学舎の園で過ごしてる時には、絶対に見られない気遣いね)クス

    食蜂(にしてもこの人、ビンボーしてるくせにマナーは一通り身についてるのね。椅子引くの自然だったし)

    食蜂(もしかして、意外と育ちは良かったりするのかしら?)

    上条「ここの店員さんって、押しつけがましくない程度に親しげな感じだな。フランクっつうか」

    食蜂「あまり畏まられても堅苦しいじゃないですか。学舎の園はお嬢様校の寄合みたいなものですし」

    上条「みんな厳格さに慣れちまってると、開放感がより好まれるのか」

    食蜂「かも知れないですね。ちなみに、このお店の感想は?」

    上条「こういうシックな雰囲気はかなり好き。お前、いい趣味してんだな」

    食蜂「良かった、気に入ってもらえたみたいで」ニコ

    328 = 1 :

    性店員「お待ちどうさま。ケーキセットになります」

    食蜂「んー、美味しそう」

    上条「あの、さっきから気になってたんですけど」

    性店員「何かしら?」

    上条「お店の中、ほのかにいい香りが漂ってますよね。これって」

    性店員「そういえば、男の子にはあまり馴染みがないかしらね。エッセンシャルオイルって聞いたことない?」

    上条「あぁ、ありますあります。通販番組なんかで耳にしますね」

    性店員「ええ、アロマテラピー何かでよく使われる物よ。ほら、あそこの金属製の燭台に蝋燭が見えるでしょ?」

    上条「一本だけ火がついてますね」

    性店員「熱で蝋が溶け出す度に、中に混ぜてある何種類かのローズオイルが香りを放つの」

    上条「へぇ、お洒落ですね。このアンティークショップっぽい内装もお姉さんの趣味なんですか?」

    性店員「ここじゃあどうしたって客層が偏るからねぇ。どのお店でも大なり小なり個性を出そうと悪戦苦闘してるわ」

    食蜂「…………」ジー

    329 = 1 :

    上条「すげえな、この蝋燭も手作りなのか。こんなの貰っちゃっていいのかな」コンコン

    食蜂「いいんじゃない、外へのお土産ができたと思えば」ムス

    上条「……あれ、何むくれてんだ?」

    食蜂「別にぃ、むくれてなんてないわよぉ」モソモソ

    上条「と、そうだ。ケーキ半分コにするんだったな。ほら、先に取っちまえよ」スッ

    食蜂「…………」

    上条「どうした? まだこっち側は手ぇつけてないから遠慮なく」

    食蜂「――違う」

    上条「……へ?」

    食蜂「イメージと違うのよ。こういう場では、お互いのフォークで食べさせ合ったりするものじゃないのぉ?」

    上条「オイオイ、お前確か昨日、公私のケジメはちゃんとつけろとかなんとか」

    食蜂「昨日は昨日、今日は今日でしょう」プク

    330 :

    モンブラン食いてぇー

    331 = 1 :

    上条「いや、にしたって、ここでやるのはさすがに……」ポリ

    食蜂「何よぉ、おかゆの時はやってくれたじゃなぁい」

    上条「そりゃあ、あんときはお前が病気してたし、家だったし」

    食蜂「元気になったから、ここが外だから冷たくしてもいいってわけ?」ジト

    上条「少し声を抑えろって。つかお前、言ってることが無茶苦茶すぎだぞ」

    食蜂「…………」ゴソゴソ

    上条「ったく、どうしたんだよ。何か嫌なことでもあったのか?」

    食蜂「……」スッ

    上条「って、何で俺にリモコン向けてんだ? 能力は通じないって――」


    ――ピッ


    上条「いや、あのさ」

    食蜂「――」ピッピッ

    上条「……だから、無理だって」

    食蜂「~~~~~~」ピピピピッピピピピ

    上条「だぁもうわかった、わかりましたよ! 少し身を乗り出してくれ、このままじゃ届かない」スッ

    食蜂「……」コクン

    上条(あ、そこは素直に聞くんだ)

    332 :

    俺はみさきちを喰いて~

    333 = 1 :

    食蜂「ご馳走様でしたぁ」ニコニコ

    上条「やばいな、ここまで美味いモンブランがあるとは思わなかった」

    食蜂「でしょう? 土台に少し塩気があって、クリームの甘さと妙に合うのよねぇ」

    上条(やっと機嫌を直してくれたか……それにしても)チラ

    上条(さっきの駄々っ子は、いったい何だったんだろう)ウーン

    上条(情緒不安定ってやつか? 自分の身が狙われてるかもって聞かされたら、誰だっていい気はしないだろうし)

    食蜂「――あ、そうだ、携帯」

    上条「……携帯? あれ、鳴ってるか?」ゴソ

    食蜂「じゃなくて、番号交換してなかったじゃない?」

    上条「あ、そういや済んでなかったっけ。じゃあ、そっちの番号教えてくれ」

    食蜂「了解。私の番号は――――」

    上条「――――おっけー。んじゃあ転送するぜ」カチカチ


    ――prrrr


    食蜂「……うん、登録完了ッ」バッ

    上条「いちいち見せんでもいいですよ」

    334 = 1 :

    性店員「ケーキセット二点でお会計2800円になりまーす」

    上条「」

    食蜂「あっ、上条さんは出さなくていいわよぉ?」

    上条「……え? いや、だけどさ」

    食蜂「こっちが無理言って付き合わせちゃったんだし、ポイントカードもあるから」

    性店員「ポイントは貯めとく? それとも使っちゃう?」

    食蜂「全部使っちゃってください」

    性店員「それじゃ、今日はお代なしね。レシートはどうする?」ピッ

    食蜂「えっとぉ、残りのポイントだけ教えてくれますか」

    性店員「了解。ええっと、253ポイントね」

    食蜂「わかりました、ご馳走様です」

    性店員「また来てねー。彼氏君も、いつでも歓迎するわよ」


    上条「え、いや、俺は――」

    食蜂「さっ、上条さぁん、行きましょ?」ムンズ

    335 = 1 :

    ――カラーン


    食蜂「それじゃあ寮までのエスコート、しっかりお願いしますね」

    上条「ちゃんと誤解を解かなくていいのか?」

    食蜂「馬鹿正直に護衛だなんて伝えたら出入り禁止になっちゃいますよ? だったら、彼氏の方がまだマシです」

    上条「……んー、まぁ、いたずらに不安を煽ることもないか」

    食蜂「心配しなくても、店員さんの記憶は今度会った時消しておくから大丈夫☆」

    上条「あぁ、それなら問題ない――って大ありだ! お前の能力はそんな気軽に使っていいもんじゃ」

    食蜂「冗談よぉ。その代わりに誤解はそのままになっちゃうケド、今の反応なら納得してもらえるってことねぇ?」ニコ

    上条「……お前がそれで構わないってんなら、いいけどさ」

    上条(にしても? 100円で5ポイント溜まるってことは)ヒーフーミー

    上条(うへ、あの店だけで6万以上使ってる計算か。住む世界が違いすぎですよ)

    食蜂「言っとくけど、全部自分一人で食べてるわけじゃないですよぉ?」

    上条「……あれ、そうなのか」

    食蜂「今日みたいに誰かに奢ることだってあるし、派閥の歓迎会何かじゃ費用は基本学校が持ってくれますから」

    上条「……これが、学園都市のカースト制度なのでせうか」

    食蜂(実はポイント三周り目なんだけど、黙っておいた方がよさそうねぇ)

    336 = 1 :

    本日は以上になります
    次回までデートは続きます、あと少しエグい場面がちらほらと
    今回は動きが少なめで小休止といったところですが次々回辺りから大きく動く予定です

    337 :



    みさきちかわいい

    339 :

    お疲れ様でした

    340 :

    乙です。
    だだっ子みさきち可愛いな、次回も楽しみにしてるぜい。

    341 :


    ところで次回日時の指定はしてくんないのかい?

    342 :

    乙乙
    駄々っ子モードかわいいww

    343 :

    >>341
    黙って待ってろ

    344 :

    携帯電池って御坂か?

    345 = 341 :

    >>343
    うっせー煽ってんじゃねーよお前が黙れ

    346 = 332 :

    乙っした!!!!

    >>341>>343>>345
    荒れるから止めてくれ給え

    347 :

    >>1
    乙!ムスッとするみさきちかわE

    348 :

    乙ー!!!
    洗脳装置をめぐる展開も気になりますが、デートいいねぇ。

    349 :

    >>345
    はいはい厨房乙

    350 :

    やっぱり上食はいいな。


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