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    元スレ食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」

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    201 = 1 :

    >>172

    表現不足失礼しました、『人が』という意味合いのつもりでした

    >>187 >>196 >>197

    ありがとうございます、今後何度も出てくる単語なので以後は洗脳装置で統一します

    202 :

    乙です。
    前作楽しく読ませていただきました、食蜂だからいいかと読まずにいた昨日までの自分を殴り飛ばしたいです。

    203 :

    乙っした!!新約7巻を読んだ直後の俺が求めていたSSが此処にあった!!

    >>198>>199
    上条さんは食蜂さんにフラグを「立てた」のではなく「既に立ててた」っぽいね。
    記憶喪失前の上条さんが関わってると見て間違いないだろう。

    204 :


    そもそも一般人は超電磁砲(美琴)くらいしかレベル5を知らないはずなのに…

    上条さんは1巻で食蜂の能力を知ってるのにも違和感感じてたんだよな~

    やっぱり記憶喪失前の上条さんと何らかの関わりがあると見ていいと思う。

    205 :

    乙ー!!!
    つまり上条さんは一時的に食蜂の執事をするってのかー?

    ビリビリ「」ガタッ
    パンダ「お姉さま落ち着いてください」

    206 :

    読み直して展開が読めた気がする

    208 :

    >>204
    学校に行ってない一位や暗部の二位四位は兎も角
    普通に学生やってる三位五位七位は同級生の口コミで存在知れ渡ってると思う

    209 :

    土御門「次回から常盤台の食蜂操祈に仕える事になった不幸執事が活躍する「トウマのごとく」が始まるにゃー」
    上条「おいまてこら」

    210 = 203 :

    >>209
    ハヤテwwwwwwwwwwwwww

    >>1よ…大体どのくらいのペースで更新するん?
    早くしてくれないと俺ァ風邪引いちゃうよ

    211 :

    >>208
    御坂とソギーは兎も角(本人も派手にやってるし)食蜂はどうだ?お嬢様学校ならあまり他の学校、特に男子生徒との接点はほぼないだろうし。
    しかも派閥のトップなら能力関係は、余り周りに口外しないだろ多分だけど、まあレベル5って事自体は知れ渡ってそうだけど。

    212 :

    判らない事が多いってのはそれだけ創造と想像が出来るって事で良いじゃない☆

    213 :

    食蜂さんかわいいけど上条さんのお仕置き、もとい説教が必要な感じだな

    214 :

    >>213
    美琴にだってあんまり説教してないし別にいいんでね?

    215 :

    まだカナ

    217 :

    久々に良スレが来た!支援!

    218 :

    本日22:00頃より投下します
    終わりまでの道筋は見えてるんですけど、前作より長くなりそうな悪寒が……

    219 :

    待ってるよ

    220 :

    待ってるぜ

    221 :

    >>218
    いいじゃないか、その分楽しめるぜ(ゲス顔)
    みさきちっておいしそうだよね

    222 :

    >>218
    22時か……畜生、明日楽しみにしてます。

    長くなってもいいじゃまいか。

    223 = 1 :

    多くの支援感謝です
    やや短めですが、これより投下開始します

    224 = 1 :

    ――常盤台学生寮前


    携帯『――着信履歴、12件』

    配送業者「うわわわッ! こんなところで何やってんだ俺わぁッ!」バタン


    ――キキキキッ、ブォンッ! ブォンッ!


    食蜂「あらあらぁ、他人様の荷物をいっぱい積んでいるのに」

    食蜂「あんな乱暴力極まりない運転してて大丈夫なのかしら?」ンー

    食蜂「……さて、と」クル

    食蜂(先ほどの忠告、どう判断したものかしらねぇ)

    食蜂(一連の計画が一掃されてやっと一安心と思っていたのに)

    食蜂(今度は最新型の洗脳装置か、ホント蠅みたいに際限ない連中よねぇ)ハァ

    食蜂(……ほとぼりが冷めるまで身を隠すのも一つの手ではあるけど)

    食蜂(また他人の思惑に振り回されるのもうんざりだし……って)


    寮監「――ええ、たった今戻ってきました。――はい、よろしくお伝えください」ピッ

    225 = 1 :

    食蜂(りょっ、寮監!?)

    寮監「……」ツカツカ

    食蜂(何てタイミングの悪い……車から降りるところ見られちゃったかしら)ソォ

    寮監「一応忠告しておくが」チラ

    食蜂「」ビクン

    寮監「能力を使用する素振りを見せたら即座に制圧する」

    食蜂「……え、ええっとぉ」タラー

    寮監「よもや、模範生のお前が寮敷地内での能力使用などナンセンスだとは思っているが、な」チラ

    食蜂「も、もちろん、釘を刺されるまでもないですよぉ?」オドオド

    寮監「そうあってほしいものだ。ただでさえ本年は寮則破りの常習犯が多くて頭を痛めている」

    食蜂「……あ、あのぉ、もしかしてですけど、私を待っていたんですか?」

    寮監「話は寮の中でする。ついてこい」ザッ

    食蜂「りょ、了解です」ソソクサ

    食蜂(なぜだか、この人だけには、干渉しようとしても本能力が全力で拒否るのよねぇ)ビクビク

    226 = 1 :

    ――ガチャ


    寮監「さ、入れ」キィィ

    食蜂「し、失礼しまぁす」

    食蜂(……以前に入室した時もつくづく思ったことだけど)

    食蜂(外来の応接室だけあって調度品が凝りに凝ってるわねぇ)キョロ

    食蜂(白磁の花瓶、ペルシャ絨毯にシャンデリア。下手するとこの部屋の家財だけで一軒家建てられそう)

    寮監「どうした? 遠慮なく掛けてくれて構わないぞ」

    食蜂「あ、はい、では失礼して」チョコン

    寮監「さて、――最近どうだ? 学校生活や能力開発の方は」

    食蜂「そ、そうですね。可もなく不可もなくといった感じですけど」

    寮監「そうか。まぁ生活態度諸々も含めれば、お前は御坂以上の模範生だしな」チラ

    食蜂「こ、光栄です」カチコチ

    寮監「そう緊張しなくていい。それと今回に限っての話だが、さっきのは見なかったことにしてやる」

    食蜂(あら……やっぱりお見通しだったのねぇ)ペロ

    227 = 1 :

    寮監「もたもたしていると夕飯が片付けられてしまうな、早速本題に入らせてもらうとしよう」

    食蜂「……」コクン

    寮監「実は、学園都市の研究施設で一悶着あったらしくてな。各学区内で警戒レベルが引き上げられている」

    食蜂「……それはつまり、具体的に何かトラブルが起きたということですか?」

    寮監「学区内に過激派が潜伏していたとのことだ。索敵が済むまで各自指示に沿った対応を、とのお達しが来ている」

    食蜂「過激派、ですか」

    食蜂(……十中八九アレ絡みか。正体不明(アンノウン)というよりは、情報が意図的に伏せられてるようねぇ)

    寮監「しかしまぁ、先の『0930事件』からまだ冷めやらぬというのにこのような騒動が持ち上がるとはな」フゥ

    食蜂「でも、学園都市のセキュリティを考えれば、そこまで心配することも」

    寮監「普通に考えればそうなんだろうが、慎重を期して何人かの生徒に対して護衛をつけるとのことだ」

    食蜂「え……護衛って、まさか」

    寮監「不本意だとは思うが、食蜂操祈。お前も護衛対象の一人に含まれている」

    228 :

    御坂と食蜂は寮が違うってのは不粋な突っ込みかな。

    229 = 1 :

    食蜂「ど、どういうことですかッ!? 本人の許可もなくそんなこと――」

    寮監「もう少し声を抑えろ。第三者に漏らしていい内容ではない」

    食蜂「……あ、ありえません。学舎の園がこんな暴挙を認めるはずは」

    寮監「私もそう思って確認してみたんだが、上には話が通っているようだった。担当者も不可解そうだったがな」

    食蜂「……そ、そんな」ワナワナ

    寮監「既に学園の各組織からは護衛に適した能力者がピックアップされている」

    寮監「警備員や風紀委員が大半だが、外部協力者(ボランティア)も少数いるとのことだ」

    食蜂「……まさか、学舎の園での同行を認めるんですか?」

    寮監「ごく短期間という話だ。もし異性が護衛についたとして、通学路と一部の施設以外は立ち入り禁止になるだろう」

    食蜂「で、ですけど!」

    寮監「明日、護衛候補者が外来に来る手はずになっている。とにかく話を聞くだけ聞いて――」

    食蜂「冗談じゃありません。見知らぬ人が私に張り付くなんて、気持ち悪すぎます」

    寮監「おい、食蜂」

    食蜂「嫌です、聞きたくありません」プイ

    230 = 1 :

    寮監「よく考えてから発言しろ。本当にそれでいいのか?」

    食蜂「いいも悪いもありません。話し合う以前の問題です」

    寮監「このまま要求を突っ撥ねたら、行動範囲を著しく狭められるかも知れんぞ?」

    食蜂「……それでも、です」

    寮監「……気持ちはわかるが」

    食蜂「いくらなんでも非常識が過ぎます。私に対するイメージだって傷つきかねません」

    寮監「それも重々承知している。しかしな、このような例外が認められたことは過去にもほとんどない」

    食蜂「だったらどうだというんですか」

    寮監「それだけ楽観できない状況にあるかも知れんということだ。それこそ、先の『0930事件』のような大騒動に発展しないとも限らん」

    食蜂「……だとしても、私は第五位の超能力者ですよ? 自分の身くらい自分で守れます」

    寮監「あまり能力を過信するな。隙のできない人間などどこにもいやしないんだぞ」

    食蜂「過信なんてしてるつもりは……自分の弱点は弁えてるつもりです」

    寮監「ならわかるだろう。精神系能力は利便性こそ他能力の追随を許さないが、相性の悪い相手にはとことん向かない」

    食蜂「それはっ、……そうです、けど」

    231 = 1 :

    寮監「食蜂操祈の名誉のために言っておく。お前の才能と努力の積み重ねは誰もが認めるところだ」

    食蜂「……う」

    寮監「だがな、いかに能力が強力であってもそれを制御するのは大人未満の少女」

    寮監「単独で隙を突かれた場合、悲惨な末路を辿る可能性だって大いにあり得る。それくらいわかるだろう?」

    食蜂「……ひ、悲惨な末路って」

    寮監「それを、私の口から言わせる気か?」ジロ

    食蜂「…………ぅ」シュン

    寮監「無論、護衛とやらが信用に値するものでなければ先方の申し出は断るつもりだ。そこは安心しろ」

    食蜂「……で、でしたらせめて、私にも品定めをさせていただきたいのですが」

    寮監「元より、お前がその気なら同席はしてもらうつもりだった。断るにしても本人が直接訴えた方が効果的だからな」

    食蜂「……わかりました。それで手を打ちます」

    232 = 1 :

    ――食堂


    舞夏「なるほどなー、それは多分に同情するぞー」

    食蜂「ホント、あんまり悪目立ちはしたくないのだけどねぇ。あ、この竜田揚げすごく美味しいわぁ」モグ

    舞夏「お褒めに預かり光栄なのだー。新鮮な鯵が手に入ったので作ってみたー」

    食蜂「このさっぱりした後味、何かコツでもあるのかしらぁ?」

    舞夏「邪魔しない程度に柚子胡椒を混ぜてあるー。食蜂は、自分で料理したりするのかー?」

    食蜂「ほとんどしないわねぇ。あえて自分で作る必要力を感じないもの」

    舞夏「でも、将来のために少しはやっておいた方がいいと思うぞー?」

    食蜂「んー、そうかしら?」

    舞夏「食わせる得意料理のひとつもあれば、男に頼み事をしやすいからなー」

    食蜂「……それって結構爆弾発言のような気もするけれどぉ?」

    233 = 1 :

    舞夏「お前ほどじゃあないが、私もこれで様々な秘密を抱えている身なのだー」エヘン

    食蜂「ふぅん、少し興味を引かれるわねぇ」

    舞夏「いやぁ、知ったら別の意味でひかれると思うぞー」ケラケラ


    食蜂(もう知ってる。っていうかぁ、あなた人畜無害な顔してドロドロすぎぃ)


    舞夏「あぁ、これは私の勘なのだがなー」

    食蜂「ああ、うん、なぁに?」

    舞夏「食蜂の場合、彼氏が出来たらかなりド嵌りしそうな気がするー」

    食蜂「ええぇ? そ、そんなことないわよぉ?」

    舞夏「自分でそういうやつほど危ないと思うぞー」

    食蜂(って言われても、私には縁遠い話だしねぇ。心を許せる人なんてどこを探したって存在しないもの)パク

    234 = 1 :

    ???「お話中失礼、相席よろしいですの?」

    食蜂「あ、えぇ、どうぞぉ? ……って、あなた」

    舞夏「おお、白井じゃないかー」

    黒子「どうも、土御門さん。本日の夕食も堪能させていただきましたわ」ペコ

    食蜂「確か御坂さんの取り巻……お友達の」

    黒子「お顔を憶えて頂けてるとは光栄ですの。風紀委員(ジャッジメント)の白井黒子と申します」

    食蜂「ご丁寧に、食蜂操祈よぉ。あぁ、どうぞ遠慮なく座ってぇ」

    黒子「では、お言葉に甘えまして」チョコン

    舞夏「食蜂と白井かー。何だか珍しい取り合わせなのだぞー。あ、これお前の分のお茶なー」トン

    黒子「あら、わざわざありがとうございます」ニコ

    食蜂(……寮内で風紀委員の肩書きを出すってことは)

    食蜂「……土御門さん、申し訳ないけど少し席を――――って、あら?」

    舞夏「先に他の洗い物片付けてくるー、私は空気の読めるメイドだからなー」ヒラヒラ

    食蜂(言われる前に退散、か。……さすがというか何というか)クス

    235 = 1 :

    黒子「すみません、ご歓談のお邪魔をしてしまったようですわね」

    食蜂「気にしなくていいわよぉ。彼女とはいくらでも話す機会があるから」

    食蜂(……さぁて、いったいどういう風の吹き回しかしらぁ?)

    食蜂(そうね、先に頭を覗いておいた方が)

    黒子「寮監様からある程度お話は伺っていると思いますが」

    食蜂「あ、え、ええっと?」

    黒子「此度、学園の治安を司る者として、任務に支障のない範囲であなたの登校に同行することになりました」

    食蜂「……え? ……白井さんが?」

    黒子「私は瞬間移動能力者(テレポーター)ですので。護衛兼送迎には打ってつけと判断されたようですわね」

    食蜂「そ、そうなの」

    食蜂(……確かに、逃走という点において彼女に勝る能力者はいない、けど)

    食蜂「……ねぇ、御坂さんはそのことを知っているのかしらぁ?」

    236 = 1 :

    黒子「お姉様、ですか? いえ、風紀委員の業務内容を漏らすわけには参りませんもの」

    食蜂「ふぅん、真面目なのねぇ。でも、そんな軽々に引き受けちゃっていいのぉ?」

    黒子「それは、どういう意味ですの?」

    食蜂「彼女の傍にいるあなたなら薄々気づいてるかも知れないけどぉ」

    食蜂「私と御坂さんって馬が合わない――ううん、険悪力を存分に発揮しちゃっているっていうかぁ」

    黒子「…………」

    食蜂「だから、ほら、ね? 私と近しくしてると色々勘違いされちゃったりとか」

    黒子「そのようなことでしたらご心配なく」ゴク

    食蜂「……そのようなって、そんな楽観視してて平気なのかしらぁ?」

    黒子「お姉様は、私の風紀委員の仕事への取り組みに対して口を挟まれたことはありません。ただの一度も」

    黒子「些末な柵をいちいち気にしてたら逆にお姉様に怒られてしまいますわ」

    食蜂(……なるほど、大した信頼力ねぇ)

    237 = 1 :

    食蜂「でもぉ、私があなたを洗脳してるんじゃないかって、彼女が疑わないとも限らないんじゃなぁい?」

    黒子「お姉様がもし私の立場だったら、たとえ本当にあなたを嫌っていたとして護衛につくでしょう」

    食蜂「洗脳される可能性については、否定しないのねぇ」クス

    黒子「ないとは言い切れませんわね。第一に、私はあなたの人柄をよく存じませんし」

    黒子「けれど、あなたがレベル5に至るまでにいかほどの努力を要し、どれほどの苦しみを以って壁を乗り越えてきたのか」

    黒子「未だレベル4止まりである自分だからこそ、誰より理解しているつもりですの」

    食蜂「そこまでして得た能力なんだからしょうもないことには使わないだろうって? あなた、性善説を信じちゃってる人?」

    黒子「……だとしたら、何か不都合でも?」

    食蜂「温い考えは改めた方がいいんじゃなぁい? 現に私は、結構際限なしに能力を使うわよ?」

    黒子「……一応、そうしたことも熟慮した上でここにいますので」パク

    食蜂「んもう、からかい甲斐のない後輩ねぇ」パク

    食蜂(……表層心理も一致、かぁ。感心するくらいに裏表がないわねぇ)

    食蜂(これだけ真っ直ぐだと友達作るのも大変そう。ま、私も人のことは言えないんだケド)

    238 = 1 :

    黒子「ところで、前々からお尋ねしたいと思っていたことがあるんですけども」

    食蜂「あら、何かしらぁ?」

    黒子「どうしてあなたとお姉様って、仲がよろしくないんですの?」

    食蜂「んー、一概には言えないわねぇ。たとえば価値観の違い、異なる派閥、競争相手、色々あるじゃない?」ゴク

    黒子「それはそうですけれど……」

    食蜂「でも、そうねぇ。おそらく一番の理由は、お互いがお互いを脅威に感じているから」カタン

    黒子「……脅威、ですの? でしたら好敵手といったような関係にも」


    ――ザクッ!


    黒子「……ッ」ギョ

    食蜂「残念ながら成りえないわねぇ。彼女と私では本質が違いすぎるもの」パク

    239 = 1 :

    黒子「本質、ですか」

    食蜂「彼女が戦場を駆ける猛将だとすれば、私は奇策を弄する軍師」

    食蜂「性格と能力は共に対極。彼女は過程を重視する故に正攻法を好むけど、私は結果を重視するからいくらでも小細工を使うわ」

    食蜂「どちらが求心力を集めやすいかといえば、当然前者。自ら現場に赴いて物事を解決できるんだから単純明快」

    食蜂「まぁでも、それを嘆いても仕方ないわよね? 持って生まれた適性の差違だもの」フゥ

    黒子「……あなたは、お姉様の力は認められているんですのね」

    食蜂「遺憾なことにね。こと行動力や戦闘力において、私は彼女に勝る術を何ら持ち合わせていないわ」

    食蜂「だから私は私の強みである改竄力や発想力に磨きをかけてきた。己に与えられたものを最大限活用した上でね」

    食蜂「なのに、私が苦心して獲得した自分だけの現実を、ゲスいだの姑息だのって扱き下ろされてごらんなさい?」

    食蜂「同じ穴のムジナのくせして自分本位の正義感や美意識を押し付けてくる。これじゃあ不快力マシマシよぉ」

    黒子「……なるほど」

    食蜂「彼女と私を比較するのは、文系と理系の優劣を決めようとするようなもの。そんなの比べること自体がナンセンスでしょ?」

    黒子(……正直、意外でしたわね。やや主観に依った意見であることは否めませんが)

    黒子(この方はお姉様と対極の位置にありながら、常盤台の信望者よりお姉様の本質を――でも)


    黒子(本質が違うと言っておきながら、同じ穴のムジナとは……いったい?)

    240 = 1 :

    ――翌日


    ――ヒュン


    黒子「さ、到着しましたわよ」

    食蜂「…………うぅ」フラフラ

    黒子「……食蜂先輩? どうかされましたの?」

    食蜂「瞬間移動が、あんなに怖いものだなんて思わなかったわぁ」ブル

    黒子「あら、慣れればそれほどでもありませんわよ? まぁ、適性がない方も多いようですけど」

    食蜂「……空間跳躍する度に階段を踏み外しているような、形容しがたい感覚が」

    黒子「仰りたいことは何となくわかりますが、今回は私の能力がどういったものか知っていただくための」

    食蜂「……ええ、わかってる、あくまで予行演習よね」

    黒子「緊急時と判断されない限りは、普通にバス登校ですのでご安心を。では私は、風紀委員の支部に参りますので」

    食蜂「ええ、送ってくれてありがと」フリフリ


    ――ヒュン


    食蜂「……うぅ、気持ちわる゛ぅぃ」ヨロ

    241 = 1 :

    ――常盤台学生寮


    食蜂「はぁ……水飲んだらやっと落ち着いたわぁ――って、あら?」

    寮監「というわけで他にも何人か来て頂いたんだが、やはり同性の方が――」

    ???「あぁいえ、先生の仰ることは納得できますんで、気にしないでください」

    寮監「すまない。思春期の生徒にとっては如何せんデリケートな問題でな」

    食蜂(いけない、午前中から始まっていたのわねぇ。でも、白井さんがいるなら特には――)ガチャ

    食蜂「すみません、ただ今戻りました」キィ

    食蜂(――――っ)ピタ


    上条「……よ、よぅッ」シュタ


    寮監「おや、随分と早かったな」

    食蜂「……ぁえ、えええ? か、上条、さん?」ポカーン

    食蜂(……な、何で、こんなところにいるのぉ!?)

    242 = 1 :

    食蜂「あ、あなた、こんなところで何をやってるのぉ? ……それにその格好」

    上条「いや、話せば長くなるんだが」

    食蜂(……ええっと、待って? 落ち着いてこの状況を整理して)

    寮監「何だ? もしかして二人は知り合いなのか?」

    上条「ええ、まぁ、せいぜい顔見知りってレベルですけど――」


    食蜂「――――」ピーン


    食蜂「はい、つい先日、町で不良に絡まれているところを彼に助けていただいたんです」

    上条「……って、おい!?」

    食蜂「別に隠すことないじゃないですか、胸を張っていいことだと思いますよ?」ニコ

    上条「い、いや、そういう意味じゃなくてだな」

    寮監「ほぅ、そういう前例があるのは好ましいな」

    食蜂「彼が不良たちを追っ払ってくれたお陰で徒に能力を使わずに済みました。本当、感謝してます」

    上条「てか、お前、あの時能力使えな――――てぇ!」ギュッ

    243 = 1 :

    寮監「……なんだ? 能力がどうしたって?」

    上条「い、いえ、なんでも……」ヒリヒリ

    上条(い、いきなり何すんだよっ!)ヒソヒソ

    食蜂(こっちの台詞ですぅッ! 一時的にでも不能に陥っていたことがバレたら侮られちゃうじゃないですかぁ!)ヒソヒソ

    上条(あ、あー……そういう?)

    食蜂(お願いですからこの場で軽率な言動は慎んでください。私、これでも派閥のリーダーやってるんです)ヒソヒソ

    上条(ハバツ? ……ハバツ、ああ、派閥)

    食蜂(まったく、苦労して手に入れた居場所を台無しにされるところだったんですよ?)ジロ

    上条(わ、わかったから。言う通りにすっから、そんな睨むなって)

    食蜂(……もういいです。ひとまず、この場は私に話を合わせてください)フゥ

    上条(いや、いきなりそんなこと言われても、どうすりゃいいんだ?)

    食蜂(適当に頷いているだけで構いません。私に対する相槌は全て肯定してください、いいですね)ギンッ

    上条(りょ、了解)

    244 = 1 :

    寮監「……まあいい。上条君、だったか。繰り返しになるが、現時点では本人の承諾を得ていないんだ」

    上条「あ、ああ、そうだったんですか」ホッ

    食蜂「…………」ム

    寮監「理事会から許可を得ての志願という話だし、本来なら相応の理由がないと断れないんだが」

    寮監「学生寮の管理者としては、生徒の安全と自主性を同時に尊重する義務がある。だから、もし彼女の気が進まないのであれば」

    上条「も、もちろんです。こっちもなるだけ無理強いはしたくないっつうか」

    食蜂「――あの、寮監様」

    寮監「うん、なんだ?」

    食蜂「いえ、そのぉ……」モジモジ

    食蜂「昨日はああ言いましたけど、もしかしたら、少し考え足らずだったかも知れないな、と」

    上条「…………え?」

    245 = 1 :

    寮監「それはつまり、考え直すということか?」

    食蜂「だって、彼って学生なんですよね? ねぇ、あなたもどちらかの学校に通われているんでしょう?」チラ

    上条「あ、ああ。まぁ、一応」コクン

    食蜂「そうですよね。学業だって日々の生活だってあるのに、こうして有志で名乗り出てくださったんですよね」キラキラ

    上条「そ、そういうことに、なるのかなぁ」コクン

    上条(……目の異様な輝きが怖すぎるんですが?)

    食蜂「なのに、仮採用すらなしにすげなく追い返してしまうなんて、いくらなんでも失礼な気がして」ショボン

    寮監「……ふむ、一理あるな」

    上条「そんな、あの、俺のことは別に――」

    食蜂「ゴホンッ!」ジロ

    上条「――いや、なんでもないです」ビクビク

    246 = 1 :

    食蜂「……それに私、いつぞやのお礼がしたいんです」キラキラ

    寮監「うん? あぁ、助けてもらったという――」

    食蜂「はい。確かに能力を使えば難なくあの場を切り抜けられたでしょう、けれど」

    食蜂「それでも、野次馬の中から一人颯爽と進み出て、庇ってもらえたことが、その」キュッ

    食蜂「その、すごく、嬉しかったかなぁ……なんて」モジ

    上条「……い、いや、そんなに大したことじゃ……はは」ポリポリ

    上条(な、何だ、何ですか、何だってこんな流れに!?)

    食蜂「って、や、やだ……、私ったら、何口走って///」チラ

    上条(~~~っ、だあぁーーもぅッ! 演技にしたってその流し目はずるいだろッ!///)

    247 = 1 :

    寮監「とどのつまり、考えを改めたということでいいんだな?」

    食蜂「は、はい。名門常盤台に所属する者として、恩知らずのイメージが定着してしまうのは心苦しいですし」

    食蜂「それに、冷静に考えてみると――生徒がこんなことを気にするのもおこがましいかも知れませんが」

    食蜂「絶大な影響力を持つ理事会の要請を全く受け入れないとあれば、常盤台の心証力が低下してしまうのではと」

    寮監「……む」

    食蜂「何より、寮監様のお立場が悪くなってしまいますし」

    寮監「……そこでこちらのことなど気にするな、と言ってやれないのが私の限界か」フゥ

    食蜂「いえ、とても感謝してます。白井さんを寄越してくださったのは、寮監様の独断でしょう?」

    寮監「……やれやれ、やはり私に隠し事は向かんな」

    食蜂「その、これがきっかけで寮監様が転属などということになったら私もみんなに合わせる顔がありません」

    食蜂「ですから、ある程度の妥協力は必要かな、と」

    248 = 1 :

    寮監「お前が折れて、いや、納得してくれるなら確かに話は早い、が」

    寮監「肝心の上条君はどう思っているんだ? 先ほどからこちらの都合ばかり話してしまっているが」

    上条「え、あの、俺ですか?」

    寮監「君も知っているだろうが、何しろ学舎の園はああいう場所だ」

    寮監「中にいるのは全員女性、当然施設だって完全に女性仕様だ。お手洗いも含めてな」

    上条「あぁ……なるほど」

    寮監「そうした場所に護衛として同行すれば、彼女以上に君が好奇の視線に晒されることにもなる」

    寮監「当然、並々ならぬ不便や気苦労をかけることになるはずだ。生半な覚悟では務まるまい」

    食蜂「そ、そうですよね。行く先々で物見高い目で見られでもしたら、彼に申し訳が……」シュン

    上条「いや、そんなことは大事の前の小事だろ。お前さえ無事ならぶっちゃけどうでもいいっつうか」

    食蜂「――――っ」トクン

    249 = 1 :

    食蜂「……で、でも、もしあなたの評判に傷でもついたら……私」オズ

    上条「んなくだらないこと気にしてるんだったら、わざわざこんなとこに顔出さねえって」

    食蜂「……あ、ご、ごめんなさい。気を悪くさせてしまったのなら」

    上条「謝らなくていい。俺は、自分なりに覚悟を決めてここにいるんだしさ」

    食蜂「……ほ、本当に、ご迷惑じゃ、ないんですか?」オズ

    上条「当ったり前だろ? んまぁ、どれだけ役に立てるかは怪しいけど」

    食蜂「……あ、ありがとうございます!」ペコッ

    上条「気にすんなって」フッ

    上条(……っん、あ、あれ?)

    寮監「よろしい、双方合意ということであれば申し分ないな」

    食蜂「はいっ、不束者ですがよろしくお願いします。――上条先輩」ニマ

    上条(……俺、知らぬ間に操られちゃってたり、してねぇよな?)

    250 = 1 :

    寮監「いいか、お前は模範生の一人だ。くれぐれも節度を弁えて――」

    食蜂「それは心外なお言葉です。ちょっと親切にされたからといって恋心を抱くほど子供じゃありません」プン

    寮監「……そうか。いや、すまない、失言だったな」

    食蜂「いいえ。それと、上条先輩も勘違いしないでくださいね?」

    上条「か、勘違い?」

    食蜂「あくまで学舎の園でのあなたは私の護衛にすぎません。公私のケジメはちゃんとつけていただかないと」

    上条「あ、ああ、わかってるって」コクン

    食蜂「では、試用期間はひとまず、三日間くらいでどうでしょうか? そうすればアラも見えてくると思いますし」

    寮監「……お前、彼を信用しているのかいないのか、どっちなんだ?」

    食蜂「だ、だってぇ、やっぱり不安じゃないですか。殿方って時に狼になるって聞きますし」

    寮監「うん? ……う、うむ、まぁ、な」ゴホン

    上条(ちょっ、当人の前でそういう話されんのって超気まずいんですけど!?)


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