元スレ食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」
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851 = 1 :
御坂「嫉妬に狂うんじゃないかって?」クス
黒子「……まぁその、歯に衣着せなければそういう言い方にもなりましょうが」
御坂「そうね、確かに自省すべき点は発見したけど」
御坂「無用の心配はしないことに決めてるから」
黒子「無用、ですの?」
御坂「これはあくまで、今まで散々あいつを追い回してきた私の推測なんだけど」
黒子「……あの、ご自分で言ってて恥ずかしくありませんの?」
御坂「う、うっさいわね! いいから最後まで話を聞きなさい!」
黒子「は、はぁ」
御坂「アイツはあー見えて、妙なこだわりを持っているっていうか、縛られてるみたいなのよ」
黒子「縛られている、とは」
852 = 1 :
御坂「人助けしようと必死になっている時のあいつは、誰かに特別な感情を持てないみたいなの」
御坂「直列思考だから、自分の感情を優先することができないんでしょうね」
御坂「そのくせそういう自覚がないんだからタチが悪いわ。鈍感というより、呪いに近いかも」
黒子「……なるほど、彼の周囲で誰かが不幸に見舞われている間は」
御坂「ええ、おそらく誰がどんなアプローチを仕掛けたってかわされちゃうわ」
御坂(じゃなかったら、とっくに誰かと付き合ってるはずだもの)
黒子「…………」
黒子(……そのことを認識された上で、お姉様はどうするおつもりなんでしょうね)
御坂「……にしたって、いくらなんでも少しべたべたしすぎね」イライラ
黒子(って、考えるまでもないことですわね。とことん一途なお方ですし)
黒子(彼の周りで不幸が起きなくなるまで、大立ち回りを続けるのでしょうね)クスッ
853 = 1 :
黒子「戻りましたわ、お姉様」
御坂「――ねぇ、黒子」
黒子「なんですの?」
御坂「あそこの木、何だと思う?」
黒子「木? ……あら、何でしょうね。白い物が大量に付着しているような」
御坂「遠目からだとちょっとわからないわね。近くに行きたいんだけど」
黒子「了解ですの、お手を拝借」シュン
――スタッ!
御坂「っと、これは、全部紙片……カードかしら」
御坂(……木の幹に万遍なく貼ってある。防虫対策ってわけでもなさそうだし――)
黒子「……お、お姉様。それ、この街路樹だけではないようですわ」
御坂「え……って」
石壁&鉄柵&標識「」ビッシリ
御坂「な、何なのこれ! 気持ち悪!」
855 = 1 :
黒子「……いたずら、でしょうか?」
御坂「にしては、手が込んでるというか、どんだけ手間かかんのよ」
黒子「まぁ、普通はやろうとすら思いませんわね。能力者の仕業と見るのが妥当でしょうけど」
御坂(……んー、全部トランプの格子模様みたいだけど)スッ
黒子「――って、お姉様!?」
御坂「あれ、意外と簡単に剥がせるわね」ペリペリ
黒子「ちょっとお姉様! そんな得体の知れないものを素手で――」
御坂「一枚くらい平気よ。裏がどうなってるか知りたくて」
御坂「って、何か書いてある。何語だろ、これ」
御坂(ロシア語に似てるけど、微妙に違う、それを崩したような)
――ドンッ!
御坂「……った!」
男「…………」ノッシノッシ
856 = 836 :
まさかロシアがこの件に絡んでるのか?
857 = 1 :
黒子「お、お姉様、大丈夫ですの!?」タタッ
御坂「ちょっ、こら! アンタどこ目ぇつけてんのよ!」ウガァ
黒子「しばしお待ちを、相手の格好をよくご覧あそばせ」
御坂「え……あれ、アンチスキル?」
警備員「…………」ノッシノッシ
黒子「防弾チョッキを着ていますし、おそらく間違いないですわ。どうかここは穏便に」
御坂「だとしてもぶつかってきたのは明らかに向こうからよ? 詫びの一言くらいあっても――」
警備員「」スッ
御坂「って、完全無視していきやがった。あんにゃろ」
黒子「うーん……なんだか目も虚ろでしたわねぇ」
御坂「あんな状態で警備なんてできるわけないじゃない。真面目にやれっつぅの」ポイッ
黒子「ちょっとお姉様ぁ。風紀委員の前でポイ捨てとかやめてください」
858 = 1 :
御坂「……今度会ったらヤキいれてやるわ」
黒子「物騒なことを仰らないで。連日の混雑でお疲れなのかも知れませんし」
御坂「それも含めて仕事でしょ。言い訳にならないわよ、そんなの」
黒子「はぁ、手厳しいですわねぇ」
黒子(どうも、お姉様って警備員にあまり良い印象をお持ちでないような。前々からでしたっけ)
御坂「あー、腹立つ。投書欄に文句の一つでも送ってやろうかしら」
黒子「……まぁ、それはそれとして、もうここにいても仕方がないのでは?」
御坂「仕方ないって、まだあの二人を――」
――キンッ!
御坂「――でも、そうね。少し汗もかいてきたし、化粧室行こうかしら」
黒子「お供しますわ、お姉様ッ!」キラキラ
御坂「今日一番の笑顔でそういうこと言われると、うん、普通に引く」
859 = 1 :
食蜂「へぇ、じゃあ上条さんも、土御門さんのお兄さんのこと親友だと思ってるのねぇ」
上条「ああ、身を挺して俺の家族を庇ってくれてさ。信頼してる」
上条(……土御門さんのお兄さんって言われると、一瞬こんがらがるな)
食蜂「あなたっていかにもお友達多そうねぇ」
上条「普通だよ。そういうお前こそ、常盤台で最大派閥のトップやってんだろ?」
食蜂「一口に派閥といっても、心を許せる人がそれほど多いわけじゃないし」
上条「まぁ、そういう能力を持ってれば、自然以上に警戒しちまうかもな」
食蜂「……上条さんだって、そんな特異的な能力を持っていたんだから、今までトラブルとかあったでしょう?」
上条「そうだな。いいこともヤなこともな」
上条「でも、納得はしているよ。この能力がなければ絶対助けられなかったやつだっているし」
食蜂「それは、御坂さんみたいに?」
上条「……あぁ。妹たちの一件、知ってるんだったな」
860 = 1 :
食蜂「……ええ。私の事情にも関わっていることですから」
上条「……少し考えれば、お前と御坂を結びつけるのは簡単だった」
上条「お前がこの前言ってた、大量殺人の手伝いをしたって文言」
上条「お前の能力と洗脳装置(テスタメント)の類似性」
上条「お前は、洗脳装置の開発に携わっていたんだ」
上条「それが絶対進化能力の実験で、御坂の妹たちを死地に駆り立てるために利用された」
上条「だから大量殺人。そういうことなんだろ?」
食蜂「……およそのことは存じているみたいですね」
上条「だったら、お前は御坂と同じ境遇じゃねえか。何も気に病むことはねぇ、利用されていただけだろ」
食蜂「……その肝心の御坂さんは、どういう風に見えました?」
上条「……それは」
食蜂「相当に罪の意識を感じていたはず――――いえ、今もそうなんじゃないですか?」
861 = 1 :
上条「お前は、御坂に負い目を感じてるのか?」
食蜂「今はありませんよ。トントンですから」
上条「トントン?」
食蜂「彼女がDNAマップを渡したために、私たちは迂遠ながら殺人に関わることになった」
食蜂「並行して、私たちが洗脳装置を開発したために、絶対進化能力の実験が可能になった」
上条(……私、たち)
食蜂「ヨーイドンでスタートしたわけじゃないでしょうけど、御坂さんもひっくるめて私たちは共犯者、そう思ってます」
上条「…………」
食蜂「それから、あなたは私を不安がらせまいと口を閉ざしてたみたいですけど」
食蜂「私、この騒動の概要は当初から把握してますから」
上条「……まぁ、薄々そうなんじゃないかとは思ってたよ」
862 :
おっし来てた。
>>858
ってあらら、御坂さん操られた?
863 :
人払いの魔術かなんかじゃね
864 = 1 :
食蜂「あなたは、この仕事が一筋縄ではいかないものだと知っていたんですよね?」
上条「まぁ、一応」
食蜂「御坂さんの件にしたって、よっぽどのことをしでかしたはずです」
食蜂「そうじゃなければ、あの手の連中が諦めるはずないんです」
上条「……」
食蜂「どうして、なんですか?」
上条「どうして?」
食蜂「どうしてあなたは自らの危険を顧みず、私を、困っている人を助けようとするんですか?」
上条「……まぁた、その質問ですか?」
食蜂「この一週間、あなたの傍にいて、あなたが見返りを気にするような人じゃないのはわかりました」
食蜂「でも、人が行動を起こすときには、そこに何らかの理由があるはずでしょう?」
上条「……多分、聞いたら『何だ』とがっかりすると思うぜ?」
食蜂「それは、教えてくれるってことですね?」
865 = 1 :
――アンタークティカエリア
警備員A「ったく、こんな場所で襲撃も何もないよなぁ」
警備員B「ぼやくな、これも仕事のうちだ――っと、本部からか」
警備員C『こちら本部。アマゾンのチェックは済ませたか?』
警備員B「既に通過しました。今はアンタークティカを回っているところです」
警備員C『予定通りだな。あとはオセアニアエリアの定時報告だけか』
警備員B「あれ、4班と連絡取れないんですか?」
警備員C『エリア内でGPSは動いているから、近辺にいるのは間違いない。受信に気づかないんだろう』
警備員C『まぁ、今日は来場者もいつも以上に多いから、そうそう滅多なことはあるまい』
警備員B「了解です。引き続き任務を続行します」
866 = 1 :
エツァリ(……ふむ、特に異常はないようですね)ジィ
エツァリ(警備員もこのペースで巡回していますし、そう簡単に手は出せないはず)
エツァリ(戦闘を織り込んでの監視は、自分より一方通行(アクセラレータ)の方が適しているんですけどね)
エツァリ(無敵の反射も時間制限つき。隙を突かれて洗脳されたらたまったものではありませんし)
エツァリ(にしても、彼も気楽なものです。こんな状況でデートとは)
エツァリ(まぁ、第五位とくっついてくれるなら御坂さんはフリーになるわけだし)
エツァリ(自分としては願ってもない展開ですが――うん?)
エツァリ(……おかしい、何故だ?)キョロ
エツァリ(オセアニアエリアの方だけ人が妙に少なく。……っと、あれは)
――ヒラッ
エツァリ「よっ、と――――これは」パシッ
エツァリ(――人払いのルーン! 魔術側の人間が加わっているのか!)バッ
エツァリ(まずい、これではほとんどの戦力が意味をなさなく――)ピッピッピッ
867 = 1 :
一方通行「はァい、もしもしィ――――あン、動いただァ?」
一方通行「――ヘイヘイ、時間制限ね。わァったわァった、ンじゃな」パチン
一方通行「つうワケでここでお開きだ。悪ィなクソガキ」チラ
打ち止め「やっぱりお仕事入っちゃったの、ってミサカはミサカは全身から滲み出るガッカリ感をアピールしてみたり!」ガッカリ
一方通行「今日はもう充分回れただろォ。んじゃあ結標、そいつの面倒ヨロシクゥ」
結標「待ちなさい」
一方通行「あン?」
結標「海原があれだけ取り乱すってことはヤバイ事態でしょ? 時間短縮のために私も一緒にいった方が――」
一方通行「お断りしまァす」
結標「な、なんでよ!」
一方通行「お前が洗脳されちまったら警備も意味をなさねェ。合図があるまで大人しくしとけ」
――ギュンッ!
結標「あっ、ちょっと! って、あぁもう!」ダンッ
打ち止め「あ、あの、あの人のことあまり怒らないであげてほしいな、ってミサカはミサカは目を潤ませて懇願してみる」ウルウル
結標「あー、ごめんね打ち止めちゃん。別に本気であいつに腹立ててるわけじゃないから」
結標(はぁ、敵が目と鼻の先にいるってのに手出しできないのって、思った以上にストレス溜まるわねぇ)イライラ
868 = 862 :
相手は科学と魔術が手を組んでるのかー?
グレムリン?
869 = 862 :
晩御飯か?風呂か?寝落ちか?
870 = 1 :
すみません、電話中です、たぶんその後晩御飯です
絶対今日中に切れ目まではいきますので
871 :
乙
待ってる
873 :
まってるん
874 = 1 :
中座失礼しました、再開します
877 = 1 :
――オセアニアエリア
上条「そう、だな。さっきお前、餌をあげる象を選んでただろ?」
食蜂「え、ええ、それが?」
上条「それはつまり、お前があの象に共感したからだ」
上条「一人だけ餌を食べれないことの辛さを知っていたか想像するかして」
上条「辛さを癒すために、和らげてやるために、今できる精一杯のことを選択した」
上条「以上、説明終了☆」ピッ
食蜂「……それで納得すると思ってるぅ?」イラ
上条「あー、やっぱ無理?」テヘ
食蜂「私、からかわれるのって決して好きじゃないんですケド」
食蜂「だいたい、あなたの場合はそういうレベルを明らかに逸脱――」
上条「ま、ま、焦るなって。今のは理由その一ってとこだ」
878 = 1 :
上条「実は俺さ、昔から運が悪いんだよ」
食蜂「また、関係なさそうな話ねぇ」
上条「言っとくけど、星回りが悪いってレベルじゃねえぞ? 泣きっ面に蜂が殺到するとか、そんな感じ?」
食蜂「そ、それはそれでおぞましいわねぇ」
上条「とどのつまり、病的に不幸なわけだな。そのエピソードだけで自伝が何冊も書けそうなくらいには」
食蜂「…………」
上条「で、とある女の子によると」
食蜂「女の子?」ピクリ
上条「い、いちいち単語に反応するなって。とにかく、そいつによるとだな」
食蜂「その子、可愛いの?」ジト
上条「ま、まぁまぁ? って、話が進まないだろ?」
食蜂「ああ、ごめんなさい。――そう、可愛いんだぁ」
上条「お願いだから続けさせてください!」
食蜂「……ちなみに私は?」
上条「可愛い! 続けさせてください!」
食蜂「ええ、どうぞぉ」ニコ
881 = 1 :
上条「ん゛ん゛っ――で、どうやら俺の不幸の元凶は、俺の右手であるということなんだ」
食蜂「……幻想殺しに?」ピク
上条「そう、この能力が、本来降りかかる神の加護だの土地の祝福だのを打ち消しちまってる」
上条「よって上条当麻は他人に比べて不幸体質というに相応しい、とまぁこういうわけ」
食蜂「それはまた、理不尽力極まりないお話ねぇ」タラー
上条「まぁ、でも、長年不幸体質に煮え湯を飲まされ続けてきた上条さんとしては」
上条「トラブルに巻き込まれる元凶がわかっただけでも、ひとまずはホッとしたんじゃないかな、とそう思うわけですよ」
食蜂「ふんふん」
上条「それに、トラブルに巻き込まれるということは、ある意味で願ったり叶ったりでもあるからな」
食蜂「上条さんって、実はマゾなの?」ヒク
上条「違う! 断じて違う!」ブンブン
882 = 1 :
食蜂「あらそう。じゃあどういうことなのかしらぁ?」
上条「お前も知っての通り、幻想殺しは使い方次第では結構役に立つだろ?」
食蜂「それはまぁ、あらゆる異能を打ち消す能力だものね」
上条「あぁ。右手があることで厄介事に巻き込まれ、そこで他人の不幸を昇華できる機会に恵まれる」
上条「俺だって人間だからな。どうしたって不幸のままで居続けることはストレスになる」
上条「どこかでそれを解消しなきゃ、健全な精神は保てそうにねぇ」
上条「かといって、自分の不幸をどうこうしようとするのはもう諦めざるを得ない」
上条「だったら、他人の不幸を解消することで気を晴らせばいい」
食蜂「……それって、要するに」
上条「あぁ。心理学の用語じゃ、転移っていうんだっけか」
883 = 1 :
上条「お前が人の心を覗かずにはいられないのと同様」
上条「俺は、自分の力で解消できそうな不幸が存在することが、我慢ならないんだろうな」
食蜂「……ふぅん、なるほどねぇ」
食蜂(理由としては少し弱い気もするけどぉ、うん、上条さんらしいといえば、らしいかなぁ)
上条「――ってのが、表向きの理由だ」
食蜂(……え、今までの、単なる前振り?)
食蜂「だ、だったら、本当の理由は?」
上条「……そうだな、ホントのところは」
上条「誰より臆病だからこそ、助けずにはいられないんじゃないか、そう思ってる」
食蜂「臆病……って」
食蜂(か、上条さんが?)
884 = 1 :
上条「…………」クシャ
上条「……以前に一度、大事故に遭ったことがあるんだ」
食蜂「……大事故?」
上条「そう、命に関わるくらいの。まぁ、ご覧の通りこうして生きてるわけだけど」
食蜂「ちょ、ちょっと待って」
上条「ん?」
食蜂「その、死にかけたりしたらむしろトラウマになって、危険にも敏感になるんじゃ?」
上条「もちろん、それはあくまで取っ掛かりに過ぎねぇよ」
上条「ただ、その時から、妙な考えが根付いちまったんだ」
上条「実は助かった俺って、もう以前の俺とは存在からして違うんじゃないかって」
上条「上条当麻という存在が曖昧っつうか、過去と未来があやふやな、不確かなものに思えちまう」
食蜂「……それは、その、自暴自棄になってるってこと?」
上条「まぁ、そういう面も少しはあるかもしれないけど、本質的な問題はその先なんだ」
885 = 871 :
記憶喪失の事か?
887 = 1 :
上条「俺は今まで、自分が不幸であるがゆえに、他人の不幸を解消できる機会に巡り合えている」
上条「そう思ってた。いや、今もその考えは捨てちゃいない」
上条「でも、命に関わるような大事故を経て、考えちゃいけないことを考えちまったんだな」
上条「もしも、その順番が逆だったらって」
食蜂「……逆?」
上条「……もし仮に、俺のこの右手が」
上条「俺の幸福を消しているだけじゃなかったとしたら?」
食蜂「――――」
上条「…………」
食蜂「そ、それこそまさかよぉ! いくらなんでも考えすぎぃ!」
上条「だな。取るに足らない考えだってことくらい、自覚してる」
上条「でも、立証する方法がない以上、断定はできない」
上条「実際問題、一度疑い出しちまったら際限がねえんだ」
888 = 1 :
食蜂(疑い出したら……それは、私も同じだけど……で、でも、だからって)
上条「もし俺の出会った不幸が、周囲から引き寄せられたものではなく」
上条「やはり俺の右手に因るものだったとしたら」
上条「周囲で起こる悲劇さえも、自らの不幸が」
上条「俺の、自分だけの現実(パーソナルリアリティ)が招いていたとしたら」
食蜂(…………)
上条「そんな過酷な現実が存在するんだとしたら、折り合いをつけることさえできなくなっちまう」
上条「自分の目と鼻の先で、俺の知る誰かが不幸にも殺されたり、不幸によって壊れたりしたら」
上条「上条当麻は、確実に今の上条当麻じゃいられなくなる。それが、怖い」
上条「今の俺が消えるのが、どうしようもなく、怖い」ギュッ
上条「だから、必死にもなる。自分の存在が元で生まれたかも知れない不幸を、放置してはおけない」
889 = 1 :
食蜂(そんなの、転移なんて生易しいものじゃない)
食蜂(ただの、狂った脅迫観念じゃない)
食蜂(……だけど、この人の献身ぶりは、むしろそれくらいの理由じゃないと説明がつかない気もする)
『ばぁか、お前が救われたんなら、それだけで俺の帳尻は合ってんだよ』
食蜂(……心のどこかで、引っかかってた)
食蜂(帳尻が合ってるなんておかしな言い回しに)
食蜂(初めて助けてくれた時に口にしたあの言葉こそ)
食蜂(この人が無意識に、自責の念に駆られていた証明なのかも知れない)
食蜂(気休めから来るものでも、ましてや格好つけでも何でもない)
食蜂(自分から派生したかもしれない不幸を、払しょくできた安堵、心情の吐露だったとしたら)
上条「あー、悪い。なんかシンミリしちゃったな。せっかくの楽しいイベントだってのに」
食蜂「……上条さん」
890 = 1 :
上条「まぁ、あんなこと打ち明けられたら普通は失望するよな」ハハ
食蜂「……そんなこと、ないです」
上条「頼むからここだけの話にしといてくれな? あんま格好いい話じゃないからさ」ポリポリ
食蜂「……なんで、笑っていられるんですか?」
上条「……うん?」
食蜂「全部自分のせい。そう疑っているのがどれだけ辛いことか、私にはわかる」
食蜂「なのに、どうしてそんな顔が出来るんですか?」
上条「昔のエラい人は言いました。下手の考え休みに似たりってな」
上条「俺が、俺の右手が存在したことで、関わり、助けられた人がいるのも確かなんだ」
上条「困っている人の重荷を軽くしてやれて、晴れやかな顔を見れた瞬間」
上条「俺、すっごく幸せだなって実感するんだ」ニッ
上条「そう思えているうちは大丈夫。不幸な日だって、きっと笑って過ごせるさ」
上条「だから、もちろんお前にも不幸にならないでほしいっつーか、まぁ、そんな感じなわけだ」
食蜂「…………」グッ
891 = 1 :
食蜂(……やっぱ駄目、駄目ねぇ)ハァ
食蜂(他の男性と付き合うイメージなんて、どうしたって思い浮かばない)
食蜂(能力への執着、頼れる人への依存、そして不信)
食蜂(お付き合いする前から、破局が目に見えてそうなものなのに)
食蜂(それでも、上条さんとの距離がもっと縮まれば)
食蜂(そういう運命力だったらと、願わずにはいられない)
上条「さてさて、十分食休みもしたことだし、腹ごなしに少し歩こうぜ」スクッ
食蜂「……ええ、そうね、そうしましょう――と」コツン
――コロコロ
上条「うん? 野球ボールか?」
食蜂「みたいね、どこから転がってきたのかしらぁ?」ハシ
女の子『お姉さぁん、ごめんなさぁい』ブンブン
上条「あぁ、あの子みたいだな」
食蜂(投げ返し――は、無理ね。ノーコンがバレちゃうしぃ)
892 = 1 :
上条(――ん、何だ?)
上条(ついさっきまで混んでたのに、妙に閑散と――)
女の子「はぁ、はっ、はっ」タッタッタ
食蜂「あらあら、何もあそこまで懸命に走らなくてもいいのにぃ」
上条「……、」バッ
女の子「はっ、はっ――――すぅ」
食蜂「こーらぁ、こんなところでボール遊びなんてダメなんだゾ☆ 動物さんの檻に――」
上条「――食蜂ッ!」ドンッ
食蜂「キャアッ!?」ズザッ
――ドズッッ!!
上条「――ぐッッ!!」グラッ
食蜂「…………え」
893 :
えっ
894 = 1 :
本日は以上になります。
多くの乙とレスありがとうございました
次回は、気持ち的には日曜日と言いたいところですが、火曜日22:00にしときます
895 :
うおおおおっ、続きが気になる終わり方しやがった!
乙!
896 = 873 :
くそーマジで気になりやがるー
火曜日までかー長いぜー
乙!
897 = 832 :
乙っしたァァああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
898 :
コラーー!
なんてとこで切るのさ!
乙だけど。乙だけどさ!
899 :
こ、こんなとこできるなんて
乙なんて言ってあげないんだからね
900 :
乙ぅうううううううううううううううう!!!!!!
早くきてくれ一方通行ー!!!
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