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    元スレ食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」

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    601 :

    なにここくっさ
    外野で全部台無しだよ

    602 :

    黙って>>1を待とうぜ

    603 = 1 :

    お待たせしました、少し早いですが始めます

    604 = 1 :

    ――常盤台学生寮食堂


    舞夏「そうかそうか、元のさやに納まったかー」ウンウン

    食蜂「ええ、謝ったらちゃんと許してくれたわよぉ」パクパク

    食蜂(昨日喉を通らなかった晩御飯が、今日は妙に美味しく感じるわぁ)ンフフ

    舞夏「ちなみに、上条の誘いは受けたのかー?」

    食蜂「それが、間の悪いことに明後日は先約があって」カチャン

    食蜂(って、呼び捨て?)

    食蜂「土御門さん、もしかして上条さんのこと知ってるのぉ?」ゴクゴク

    舞夏「知ってるも何も、よんどころのない仲だぞー」

    食蜂「」ブハッ

    舞夏「なんて思わせぶりな前振りはお約束ー。ちょっと動揺しちゃったかー?」

    食蜂「つ、土御門さぁんッ!」

    605 = 1 :

    舞夏「あいつは、そうだな、予備の兄貴って感じかー」

    食蜂「……予備ぃ?」

    舞夏「何を隠そう、上条は私の兄貴の悪友にしてお隣さんなのだー」

    食蜂「あら、土御門さんのお兄さんって上条さんの学生寮に住んでいるの?」

    舞夏「うーい。兄貴は何というか、昔から色々忙しい人でなー」

    舞夏「数日くらい家を空けたっきりになることも少なくなくてー」

    舞夏「私が寮生になるまでの間、ちょくちょく面倒を見てもらったり見てやったりしてたのだー」

    食蜂「へぇ、意外と世間って狭いのねぇ」

    舞夏「だからって身びいきするつもりもないが、あいつはあれでいいやつだぞー」

    食蜂「うん、まぁ、知ってるケド」

    舞夏「おぉ、知っちゃってるかー」

    食蜂「ふ、深い意味はないわよぉ?」

    606 = 1 :

    舞夏「それはそれとして、断れない約束だったのかー?」

    食蜂「一度は考えたけど、一か月近く前から予定されていたし」

    食蜂「何より、私の派閥内でのお茶会だし、企画してくれたの子の面子を潰すワケにもいかないじゃない?」

    舞夏「なるほどなー」

    食蜂(能力を使えばなんてことないけど、あんなことがあったばかりだし)

    食蜂(先延ばしにすればするほど面倒に感じちゃうのよねぇ)

    舞夏「上条にはその辺の事情をちゃんと話したのか?」

    食蜂「ええ、あっさり承服してもらえたわぁ。なら、日を改めてって話になって」

    舞夏「おぉー、やるなー。あのやぼ天の見本が臆せずデートに誘うとは」

    食蜂「ち、違うわよぉ。ただ、一緒にお出かけするだけ」

    食蜂(……といいつつも、あの人がそういうつもりなら、それはそれでぇ)フニャ

    607 = 1 :

    舞夏「ところで、行き先はもう決まってるのかー?」

    食蜂「動物園か美術館を考えてるらしいんだけど、明日までにメールで知らせてくれるって」

    食蜂(二人でのんびり落ち着けるところなら、どこでもいいんだけど)フフ

    舞夏「食蜂、さっきから顔緩みっぱなしだぞー」

    食蜂「そ、そんなことないわよぉ?」ハシ

    舞夏「んー、まだ表情にいつもの余裕がないなー」

    食蜂「わ、わかりにくいニュアンスで言わないでよぉ。どこを直せばいいのかわからないじゃない」

    舞夏「何か意外な感じだなー。もっとしたたかなやつだと思ってたのにー」

    食蜂「だって、その、本気での交際なんて経験ないし。マージンたっぷり取っとかないと不安なのよぉ」

    舞夏「意外と大胆なやつ。それだと、本気でお付き合いしたいって言ってるふうに聞こえるぞー?」

    食蜂「そ、そういうことまでは考えてないってばぁッ!」ワタワタ

    608 = 1 :

    舞夏「ともあれ、動物園か美術館か」

    舞夏「ふむ、場所的には今のお前にぴったりだ」

    食蜂「え? でも、動物園と美術館って共通点があんまり」

    舞夏「あるぞー、アミューズメント施設はあれで結構警備が厳しいだろー」

    食蜂「……あ」

    舞夏「動物園は子供連れが多いから不審なやつが近寄りにくいし、猛獣の扱いもあるから監視体制は厳しめだろ?」

    舞夏「美術館も展示されてある物が高額だから言わずもがなだぞー」

    舞夏「さらに言えば来客の思考も一極化する。どちらも美しさや物珍しさに感銘を受ける娯楽だからなー」

    舞夏「安全面に配慮しつつ周囲の感情を気にする必要もない。グッドチョイスだと思うぞー」

    食蜂「そ、そこまで気を配ってくれたのかしら」

    舞夏「あいつは灯台下暗しを地で行くやつだからなー。自分以外のことには案外細やかだぞー」

    食蜂(あぁ、付き合いのある土御門さんから見ても、そういう評価なのねぇ)

    舞夏「そういえば、私に頼み事をしたいって話だったな」

    食蜂「……ええ。土御門さんにしかお願いできそうな人がいなくて」

    舞夏「お前、悩みを打ち明けられそうな友達いなそうだもんなー」ケラケラ

    食蜂「……さらっと胸にクること言わないでほしいんだケド」

    609 = 1 :

    ――港湾倉庫街


    ――バチバチバチッ!


    警備ロボット「――◆〇※И」ガコン

    エツァリ「これで全部ですかね」キラッ

    土御門「さすがはアステカの魔術師。大した手際だ」

    研究者A「ば、馬鹿な! ……石をかざしただけで無力化されるなんて、有り得ない」

    土御門「まっ、こん世の中にはお前らの及びもつかん世界があるってことぜよ」ザッ

    研究者B「ひっ、来るな!」

    エツァリ「危害を加えようとした人間に対する寛大さは、持ち合わせていませんよ」ザッ

    土御門「痛い目に遭いたくなかったら知ってることを洗いざらい吐け。こっちも時間が惜しいんでな」

    研究員A「い、いったい何の話だ」

    エツァリ「とぼけても無駄ですよ。あなた方が装置の取引をしようと……いえ、もしかしたらもう終えているんでしょうか?」

    研究員B「……ッ」

    610 = 1 :

    研究員A「ま、待て! 私は本当に何も知ら――」

    エツァリ「ああ、すっかり言い忘れていましたが」

    エツァリ「こちら、あなたたちの預金通帳です」ピラ

    研究員B「……なッ! なんで貴様らがそんなものを!」

    エツァリ「紛失届を出した上で再発行させていただきました。ご心配なさらずとも、管理官には許可を頂いてますよ」ニコ

    土御門「つまり、お前らが今持ってるカードじゃ口座からの引き落としはできないってことだにゃー」

    研究員A「そ、そんなッ! 犯罪じゃないか!」

    土御門「ズルをしたのはお互い様だにゃー。騙された方が悪いってのが、お前ら悪党どもの思考パターンだろ?」

    研究員B「……く、くそっ。これじゃあなんのために」

    エツァリ「理事会に後足で砂をかけて、タダで済むと思う方がおかしいんですよ」

    土御門「くく、お前もすっかり忠犬キャラが板についてきたな」

    エツァリ「お褒めの言葉恐縮です。上の方々もそう勘違いしてくれれば何よりなんですけどね」

    611 = 1 :

    土御門「さて、数時間前に記帳してみたところ、三か月くらい前から口座に不透明な振込みが6回」

    土御門「複数のペーパーカンパニーを使っての取引とは、ずいぶんと慎重だな?」

    エツァリ「むしろここまでやったのなら、二人に振り込まれる金額と回数もバラバラにしておくべきでしたね」ニコ

    研究員A「……く」

    土御門「悪いが、こっちも友人を騒動に巻き込んじまってる。あまり優しくはできねえんだ」カチャ

    研究員B「ちょっ――ま、待てッ!」


    ――ダァンッ!


    研究員A&B「ひいぃっ!」ビクッ

    エツァリ(土御門さん、銃の使用許可はまだ――)チラ

    土御門(んなことは、こいつらの預かり知らぬ話だぜい?)ニヤ

    612 = 1 :

    研究員A「わ、悪かった。つい、間が差してしまっただけなんだ」

    研究員B「絶対能力進化(レベル6シフト)が凍結してからというもの、洗脳装置(テスタメント)開発の関連予算がぐっと減らされてしまって」

    研究員A「こ、こんな大事になるとは思わなかったんだ。本当だ!」

    エツァリ「……最新の振込日は、盗難騒動の翌日のようですが」

    土御門「相手に何も渡してないのに、金だけが振り込まれるってことはあり得ねえよな?」ギンッ

    研究員B「そ、それは」ギク

    エツァリ「隠すとためになりませんよ? 温厚な僕ならともかく」

    エツァリ「隣にいる彼はどんな手ひどい方法を使ってでも聞き出すつもりのようですし」チラ

    土御門「オイオイ、こんないい男を捕まえて鬼か悪魔のように言うんじゃねえよ」

    エツァリ「ご冗談を、鬼や悪魔に失礼でしょう」

    土御門「……ったく、口が減らないやつだ」

    613 = 1 :

    研究員A「――こ、これで話せることは全部だ」

    土御門「――やはり、取引は存在したか」

    エツァリ(――しかし、弱りましたね。これ、アレイスターには絶対に聞かせたくない内容です)

    土御門(……同感だ。秘密裏に回収、いや、破壊するしかないぜよ)

    エツァリ(しかし、下手に僕たちが動けばほぼ確実に気取られるのでは)

    土御門(ああ、どうにかして外部に応援を要請するしかなさそうだな)

    エツァリ「……再度確認しますが、譲渡したものと同じ装置を作り出すことは不可能だった。この証言に偽りはありませんね?」

    研究員B「あ、ああ、間違いない。あの新型のプログラムは複数のバグを直した際に奇跡的に完成したものだ」

    土御門「しかし、そんな逸品をよく手放す気になったな?」

    研究員A「既に一度頓挫した計画だし、どちらにしても高位の精神系能力者には及ばないだろう」

    研究員B「近々研究からの撤退命令が下されるのは目に見えていた。だから、彼らの申し出は渡りに船で――」


    ――prrrrr


    土御門「……」チラ

    エツァリ「ああ失礼、僕のようです」カチャ

    614 = 1 :

    エツァリ「海原です。……はい、そちらも終わったんですね」

    一方『正直、あンまり気分はよろしくねェけどな』

    エツァリ「……何か、トラブルですか?」

    一方『話は後だ。あァ、ところでよォ、そこにクソッタレ研究者どもはいンのか?』

    エツァリ「クソッタレかどうかはわかりかねますが、二名ほど」

    一方「ンなら、合流する前に一つ聞き出しとけ」

    エツァリ「何をでしょうか?」


    一方「むき出しの脳ミソが試験管内でプカプカ浮いてンのは、いったいぜんたいどういうワケですかってなァ』


    エツァリ「――脳ミソ? まさか、人間の?」ヒヤ

    土御門「……なんだって?」

    研究員A「――ひっ」ビク

    615 = 1 :

    エツァリ「地下の研究施設に保管されている脳について、詳細はご存じですか?」ピッ

    研究員A「い、いや、それは……」

    土御門「隠すとためにならねえってのは、重々承知してるよな」

    研究員B「……ぬ、布束っていう研究者のものだって、聞いてる」

    研究員A「お、おい! それは機密事項じゃ――」

    研究員B「遅かれ早かれバレることだ! だったら今話したところで変わらないだろう」

    土御門「手前らで勝手に言い争ってんじゃねえよ。今話してんのはこっちだぜい」

    研究員B「……わ、わかった。何が訊きたいんだ」

    土御門「その布束さんとやらは、何で脳ミソだけの姿になっちまったんだ?」

    研究員B「……絶対能力進化(レベル6シフト)の実験を妨害した罪で拘束されたって。く、詳しい経緯までは知らん」

    616 = 1 :

    土御門(おい、海原。絶対能力進化って、一方通行(アクセラレータ)が携わっていた実験のことだよな)

    エツァリ(多分、その認識で間違いないですね)

    土御門「……その研究者は、どういった素性の人物だ? 面識はあるのか?」

    研究員B「かなり以前から洗脳装置の開発の根幹に携わっていたそうだ。私たちと直接的な面識はない」

    研究員B「所内の噂では、捕えた後も更新のための情報を聞き出そうと尋問を繰り返していたとか」

    土御門「拷問の間違いだろ。それで、全部訊き出した後は用済みってか」

    研究員A「学生の身空ながら優秀な研究者で、そのまま処理するのはもったいないって話が内々であって」

    研究員A「別のプロジェクトチームがそいつの脳を演算装置代わりにして、より効率の良い装置ができないか試みていたとか――」


    ――ズダンッ!


    研究員A「ひぃッッ!!?」

    土御門「……あー、おんしらさすがに調子に乗りすぎだわ。人の命を弄ぶのも大概にしとけよコラ」グググ

    研究員A「や、やめっ! ぐる……じ、俺は、何も関、係な――げほっ!」ジタバタ

    617 = 1 :

    土御門「まだ一人残ってるんだし――いっそこのままやっちまうか?」ミシミシ

    研究員A「が……あ……ぶふっ」ブクブク

    研究員B「や、止めてくれ! それ以上やったら本当に――」

    エツァリ「土御門さん、越権ですよ。自重してください」トン

    土御門「俺はむしろ、お前の落ち着きぶりがムカつくくらいなんだがな」チラ

    エツァリ「僕は、これでも合理主義者ですから」

    エツァリ「地上を睥睨している奴らに冷や水浴びせる機会をみすみす逃すつもりはありません」

    土御門「……小賢しいやつだ。そういう説得の仕方か」バッ

    研究員A「――ぐはっ」ドサッ

    エツァリ「命拾いしましたね。恩に着てくれてもいいですよ」ニコ

    土御門「テメエで言ってりゃあ世話ねえな」

    エツァリ「何はともあれ、彼らの身柄は抑えたんです。一度アジトに帰還しましょう」

    土御門「……そうするかにゃー。まだ色々訊き出したいこともあるし、二人の到着を待ってから――」


    ――ズドンッ!


    研究者B「…………がっ!?」グラ

    エツァリ「――狙撃ッ!?」バッ

    618 = 1 :

    土御門「ちぃッ!」

    研究員B「――――ゴブッ」ドサッ

    研究員A「Bッ!? ……うわッ!」グイッ


    ――チュインッ!


    土御門「くそっ、どっから撃ってやがるッ!」

    研究員B「――――ぁ」ピクピク

    研究員A「お、おいッ、待ってくれ! あいつまだ生きて――」ズルズル

    土御門「もう何をやったところで助からねえよ! いいからとっとと走りやがれッ!」ダッ

    研究員A「こ、こんな、嘘だ。……なんで私たちが――――うわッ!」ドサッ

    土御門「口封じに決まってんだろうが。ったく、血の巡りの悪いやつだ」

    エツァリ「……協力関係にあった研究者を、平然と生きた道具にするような輩ですよ?」

    エツァリ「下っ端の安全を順守してくれるなどと、本気で思ってたんですか?」

    研究員A「……あ……あぁ」ガク

    619 = 1 :

    土御門「海原、お前、狙撃場所は確認できたか?」

    エツァリ「死角からの攻撃だったんですよ? 無茶言わないでください」

    エツァリ「ただまぁ、第二射までの間隔が早すぎた気もしますね」

    土御門「……ふん、少なくとも敵さんは二人以上か」

    エツァリ「発砲音は聞こえましたか?」

    土御門「いいや。消音機(サイレンサー)付きだったとして、数百メートルは離れていると見るべきだな」

    エツァリ「……どうやら、僕たちだけでの鹵獲は無理そうですね。敵が狙撃手だけとも限りませんし、生き証人も」チラ

    研究員A「……こ、こんなことになるなんて」カタカタ

    土御門「死にたくなかったらこっから一歩も動くな。つうか逃げたら俺が殺す」

    研究員A「――わ、わかった」コクコク

    土御門(……さて、死体は、あそこか)スクッ

    620 = 1 :

    研究員B「――――」

    土御門(斜めからだとちょっと見辛い、が)ノビ

    土御門(左肩甲骨から侵入して――血溜まりの中心は臍の下辺り)

    土御門(二発目の弾痕は……あれだな。地面に残ってる擦過傷から推察すると)

    土御門「……斜角からして一匹は四時方向の建築現場にいる。もう一匹は、やや低い位置からの一撃。おそらく南西方向からだろう」チラ

    エツァリ「南西って、奥のビルですか。ちょっと遠すぎますね」

    エツァリ「こんな展開になるなら、あの二人にこちら側へ来てもらった方がよかったかな」フゥ

    土御門「泣き言は後にしろ。俺が先に通りに出る。二十秒以内に狙撃地点の目星をつけろ」

    エツァリ「了解。砲火を視認次第、『黒曜石のナイフ(トラウィスカルパンテクートリ)』で狙ってみます」


    土御門「んじゃ――――行くぜいッ!」ダッ

    621 = 1 :

    ――上条宅


    配達員「では、こちらにハンコをお願いします」

    上条「はい、お世話様っす」

    配達員「毎度どうも、またよろしくお願いします!」ペコ


    ――バタンッ


    インデックス「ねえねえとうま。お届け物?」

    上条「…………にひっ」

    インデックス「と、とうま? その笑顔はちょっといただけないんだよ?」

    上条「見ろよインデックス。この大量の手延べ素麺を!」

    インデックス「……おおぉッ!」

    上条「損保(そんぽ)の糸ほど知名度はなくたって、手延べは外れなしに美味い。今日の晩飯は、鶏素麺だ!」

    インデックス「とうま、今日のとうまは後光が差して見えるんだよ!」キラキラ

    622 = 1 :

    上条「いいか、これは簡単にしておいしい料理だからお前もちゃんと覚えとけよな」

    インデックス「わ、わかったんだよ」コックリ

    上条「市販の麺汁の元を薄めて使ってもいいんだが、ここはさっき言ったように鶏肉でダシを取る」

    上条「まずは小さな鍋と大きな鍋、それぞれでお湯を沸騰させる」

    インデックス「うんうん」

    上条「その間に包丁で鶏肉を細かく刻んどく。量はそうだな、二人分なら100gもあれば十分だ」

    上条「小さいお鍋が沸騰したら、市販の麺汁をオタマ2、調理酒大さじ1、それから細切れにした鶏モモ肉をささっと投入」

    インデックス「おお、簡単なんだよ!」

    上条「大きいお鍋は素麺をゆでるためのものだ。こちらも沸騰したら素麺を手早く、扇を開くように投入」

    上条「この際、なるべく多めの湯で茹でないと麺同士がくっついて舌触りが悪くなるから注意するんだぞ」

    インデックス「任せてとうま! 絶対記憶能力の前に不可能なレシピはないんだよ!」エヘン

    623 = 1 :

    上条「どうだ、インデックス?」

    インデックス「要領が呑み込めてきたんだよ。解れるように菜箸で混ぜればいいんだね」マゼマゼ

    上条「その通り。大体二分弱ってところだな」


    ――ブクブク


    上条「っと、麺汁の方も頃合いかな」カパ

    インデックス「わぁ、いい匂い! ピンク色だったお肉もすっかり白くなってるんだよ」

    上条「細切れにすれば火も早く通るから、三分くらい沸騰させれば十分だ」

    上条「ちなみにダシを取った鶏肉もそのままお椀に入れて食べられるぞ」

    上条「それじゃあ、インデックスは麺汁をよそってくれ。俺は素麺をざるに上げて水にさらす」

    インデックス「了解なんだよ」

    624 = 1 :

    上条「今日の晩御飯は鶏素麺と!」

    インデックス「茹でもやし、キュウリ、細切りダイコンのシャキシャキサラダ!」

    スフィンクス「ナーオ!」

    上条「素麺の薬味にはミョウガとショウガ、それからシソの葉を用意した。お好みで加えてくれ」

    インデックス「至れり尽くせりなんだよ」

    上条「それじゃ、のびない内に――」

    上条&インデックス「いっただきまーすッ!」パンッ


    ――ズルッ、チュルルルッ、ズゥッ!


    インデックス「…………」ムグムグ

    上条「…………」ゴックン

    インデックス「」スッ

    上条「」チャプチャプッ


    ――ズルッ、チュルルルッ、ズズズズッ!


    インデックス「サラダも」パクッ

    上条「シソをもうちょい」ヒョイ


    ――ズルッ、チュルルルッ、チュルルルルンッ!


    インデックス「とうま。お汁、少し薄くなってきたかも」スッ

    上条「あいよ」パシッ

    625 = 1 :

    インデックス「はぁー、お腹いっぱーい」ポム

    上条「食った食った。つーか久し振りに聞いたな、その台詞」

    インデックス「それはそうだよ。そもそも最近はほとんど一緒にご飯食べてくれてないし」ブスゥ

    上条「わ、悪かったよ。しばらくは比較的のんびり過ごせそうだから、夕飯くらいは一緒に食おうな」

    インデックス「ほ、本当?」

    上条「ああ、たまにこうやって一緒に料理を作るのもいいかもな」

    インデックス「うん、そうだね。にしても、鶏肉と素麺がこんなに相性ばっちしとは思わなかったんだよ」

    上条「結構美味かったろ」

    インデックス「文句なしなんだよ」

    上条「以前、一緒に鴨南蛮食いに行ったことあんだろ? あれも肉の旨味が汁に染み出してこそのおいしさだからな」

    インデックス「とうまって研究熱心なんだね」

    上条(創意工夫を凝らさないと、食卓の侘しさは埋められないんですよ)

    626 = 1 :

    インデックス「すぅ……すぅ……」

    上条「……ぐっすりだな」フッ

    上条「おやすみ、インデックス」スッ


    ――パサッ


    上条「もう少しで冬だしな。いい加減布団、買うかぁ」

    スフィンクス「にゃおーん」

    上条「てぇ、オイオイ。別にお前のためじゃないんだが」ナデナデ

    スフィンクス「なうー」ゴロゴロ

    上条「……さてと、とっとと洗い物片して――」


    ――prrrr


    上条「っと、いけね。……ベランダでいいか」キュラキュラ

    上条(……土御門か。いい知らせかな?)

    上条「はい、もしもーし」


    ???『――こちら、上条当麻さんの携帯でよろしいですね?』


    上条「……その声、土御門じゃねえな。誰だ?」

    627 = 1 :

    エツァリ『以前、あなたの前で海原と名乗ったことがあります。覚えておいででしょうか』

    上条(……海原――海原)

    上条「ああ、思い出したぞ。御坂のストーカーやってた奴!」

    エツァリ『……その認識には断固訂正を入れさせていただきたいところですが』

    エツァリ『生憎、今はそれどころではない。同僚の土御門さんから言伝です』

    上条「言伝? あいつはどうした? 席を外してるのか?」

    エツァリ『先にこちらの要件を済まさせてください。まず一つ目、洗脳装置はやはり持ち出されていました』

    上条「……なんだって!? 余分にあった装置は回収したはずじゃ」

    エツァリ『置き去りにされた二つの装置もフェイクだったということです。装置は、実は八個存在したようですね』

    上条「って、まじかよ。たった一つの装置を取引するために、他を犠牲にしたってのか?」

    エツァリ『彼らには彼らなりの、よんどころのない事情があったようです。そして二つ目ですが』

    エツァリ『持ち出された新型の洗脳装置は、着脱の必要がありません。言い換えれば――』


    エツァリ『無線で相手を操れます』


    上条「――――ッ」ゾッ

    628 = 1 :

    エツァリ『彼の話によると装置の有効射程は少なくとも5m前後はあるのではとのこと」

    エツァリ「それから、車のフレーム程度の遮蔽物であれば問題なく干渉波が通過するのでは、ということなので――』

    上条「ちょ、ちょっと待てよ。まさか、土御門が電話に出ない理由って……」

    エツァリ『…………』

    上条「お、おい、何とか言えって!」

    エツァリ『……土御門さんは、敵勢力との交戦時に干渉を受け、操られかけました』

    エツァリ『ですが、自身の体を傷つけることで辛うじて精神干渉から逃れたようです。経験豊富な彼ならではの判断ですね』

    上条「……傷つけるって」

    エツァリ『具体的には、三階ほどの高さから下に飛び降りました。今は病院に搬送されています』

    上条「転落したのか!?」

    エツァリ『ご心配なく、命に別状はありません。彼の能力のことを考慮すれば、任務への復帰は一週間ほどで可能でしょう』

    上条「……な、なんだ、驚かすなよ」ホッ

    エツァリ『ですが、敵も手の内を明かした以上は形振り構わずに来る可能性があります。ご理解いただけましたか』

    上条「……出来る限り警戒レベルを引き上げろってことだな」

    629 = 1 :

    エツァリ『話が早くて助かります。その上でもう一つだけ、あなたに留意していただきたいことがあります』

    上条「……まだ何かあんのか。もう腹一杯なんだが」

    エツァリ『そうおっしゃらずに。ある意味、これまででもっとも重要な忠告ですから』

    上条「……なんだ」

    エツァリ『あなたもご存知の通り、今までは精神系能力者が攫われるのを防ぐための善後策が講じられてきました』

    エツァリ『しかしながら、相手の装置が無線で行える代物だとすれば話は大きく変わってきます』

    上条「……、」

    上条「……機械での洗脳は、俺の幻想殺しでも打ち消せねえ。つまり、そういうことだな」

    エツァリ『そう、すなわちあなた自身が操られてしまう可能性がぐんと高まってしまったということです』

    エツァリ『実際にそうなれば、あなたの精神干渉はたとえ心理掌握であろうと解くことができません。他ならぬあなたの右手が打ち消してしまう』

    上条「…………」

    630 :

    触法さんきゃわわ

    631 = 1 :

    上条「だけど、土御門は、痛みで自分の意志を取り戻したんだろ?」

    エツァリ『そうですが……ショック療法はあまりアテになさらない方がいい』

    上条「何か問題があるのか?」

    エツァリ『干渉を受けたのがたまたま短時間だったのかも知れませんし、遮蔽物で波が減衰していた可能性だって大いにあります』

    エツァリ『要するに、一発勝負で試すには不確定要素が強すぎるんです。それに、周りの人の目に毒ですしね』

    上条「……そっか。あくまで最後の手段ってことだな」

    エツァリ『よろしいですか。あなたが洗脳されてしまうという事態は』

    エツァリ『あなたを頼った土御門さんにとって最悪のシナリオ以上に最悪です』

    上条「……お前が身を犠牲にして持ち帰ってくれた情報を無駄にする気はねえ」

    上条「それだけ、あいつに伝えといてくれっか」

    エツァリ『……承りました。くれぐれもご用心ください』プツ

    632 = 1 :

    上条(……なんか、出かけるどころじゃなくなっちまったな)

    上条「……不幸だ」

    上条(……とりあえず、断りの電話だけでも入れとかないと)ピッピ


    ――Trrrrrr


    食蜂『あ、上条さぁん? 早速かけてきてくれたのねぇ』

    上条「夜分遅くにごめんな? 実は今後のことで相談があって」

    食蜂『相談なんて。私は上条さんの決めてくれたプランならぁ、どこだってオッケーよぉ?』

    上条「……い、いや、それがだな。ちょっときな臭いことに」

    食蜂『動物園も美術館も、女の子同士じゃあまり行かない場所だもの。今からすごく楽しみだわぁ』

    上条「そ、そうか。いや、喜んでくれているのは嬉しいんだけどさ」

    食蜂『早く、当日にならないかしらぁ。って、あはは、私浮かれすぎよねぇ』

    上条「……い、いや、そんなことはねえだろ」

    上条(や、やばい。話し出すきっかけを見失っちまったぞ)

    食蜂『……ねぇ。この一件が終わったら、小旅行って約束、まだ有効?』

    上条「あ、ああ、もちろん。忘れてねえよ」

    食蜂『良かったぁ! これで今夜はぐっすり眠れそう☆』

    633 = 1 :

    食蜂「――ええ――はぁい、おやすみなさぁい☆」ペコ


    ――ピッ


    食蜂「…………」バフッ

    食蜂(……えへぇ)フニャ

    ルームメイト「あ、あの、食蜂さん?」

    食蜂「…………ふぁい?」ギュウウ

    ルームメイト「そんなに枕に顔を押し付けたら、窒息しちゃうんじゃ」

    食蜂「……ふぁいふぉふでふぅ」ムギュウ

    ルームメイト「……そ、それならいいのだけど」

    食蜂「…………」


    上条『俺もすごく楽しみにしてるよ。じゃあ、四日後に』


    食蜂「~~~~ッ」コシコシコシコシ

    ルームメイト(よ、よっぽどいいことがあったに相違ないわね)ヒク

    634 = 1 :

    先日寝落ち分は以上になります
    次回は土曜日の22:00、投下量は未定です

    635 :

    乙です!

    ところで布束さんみさきちに電話してなかったっけ?

    636 :

    乙、面白かった
    量が少なかろうとそうやって投下予定日書いてくれるのはありがたいよ。
    舞ってます。

    637 :



    布束さんェ…

    638 :


    電話がアレだったのか、電話の後にアレされたのか、アレが電話したのか

    639 :

    乙です。
    >>635つまり脳だけにされたのがこの2・3日ぐらいの事か、或いはあの電話自体がって所か。
    しかしみさきちの喜びようが半端ない。

    640 :

    乙っした!!
    土曜日が待ち遠しいッス!!

    >>598の言う通りだな。
    雑談控えようや。

    641 :

    >>635
    電話した後にやられたって事だろ
    大切なギョロ目成分が……

    642 :



    無線で洗脳か。
    実際この前のガリレオで初めてそんなようなものがあるって知ったけれど
    http://ja.wikipedia.org/wiki/マイクロ波聴覚効果
    http://wired.jp/2008/07/08/マイクロ波で脳内に音を発生させる兵器『medusa』:/
    http://t-taro.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-d2e2.html
    学園都市製はもっと恐ろしいんだろうなあ・・・

    643 :

    乙!
    次も楽しみにしてる!

    644 :

    土曜日…だと!?
    そんなに待っていたら…ていとくんが冷蔵庫になってしまう!

    645 :

    乙ぬ脳束さんになっちまったのか…

    646 :

    >食蜂「~~~~ッ」シコシコシコシ

    647 :

    みさきち干渉波なら検出できそう

    648 :

    そんなにwwwwwwwwコシコシしちゃwwwwwwwwwwwwwwだめよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

    649 :

    電磁波系ってことは御坂さんの活躍か

    650 :

    損保(そんぽ)の糸が気になる


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