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    元スレ食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」

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    151 = 147 :

    ビリビリきたか

    152 = 1 :

    御坂「……今校舎に走ってった子。あんた、あの子に何かしなかった?」チラ

    食蜂「さぁ、どうだったかしらぁ」

    御坂「……はぐらかすんなら肯定と受け取るわよ?」

    食蜂「ご自由に。っていうかぁ、私とあなたの仲じゃ教えてあげるほどの理由力はないと思わない?」

    御坂「……ったく、そんなおっかない能力をよくも平然と使えるわよね」

    食蜂「おっかない――ねぇ」クス

    御坂「……何がおかしいの?」

    食蜂「だって、あなたの代名詞である超電磁砲(レールガン)にしたって、人を簡単に壊せるでしょう?」

    御坂「少なくとも、私はあんたみたいに能力の濫用はしてない」

    食蜂「その心がけはご立派ですけどぉ、個人の価値観を他人に押し付けるのはどうかしら?」

    御坂「個人の価値観、ですって? 学園都市の能力者みんなが持つべき当然の心構えよ」

    食蜂「……さっすが、優等生の言うことは違うわねえ」クスクス

    153 = 147 :

    御坂「少なくとも、私はあんたみたいに能力の濫用はしてない」

    上条「えっ?(レールガンを右手で打ち消しながら)」

    154 :

    >御坂「少なくとも、私はあんたみたいに能力の濫用はしてない」


    え?とある高校生に電撃を撃っている人が何を言っているんすか?
    記憶障害に陥ったのか?

    155 = 1 :

    御坂「いやに挑発的じゃない。言いたいことがあるならはっきり言ったらどう?」

    食蜂「それじゃあ遠慮なく。学園内では上手く猫被ってるみたいだけどぉ」

    食蜂「外では結構派手にやってるみたいじゃない?」

    御坂「……っ」

    食蜂「ふふふっ、私の情報力、甘く見るとそのうち火傷しちゃうわよぉ?」

    御坂「他人の動向勝手に探るとかっ、あんたの辞書に慎みって文字はないわけ?」

    食蜂「あらぁ、御坂さんなら、無知でいることの恐ろしさを十二分に理解っているはずでしょ?」

    御坂「――っ! あんた、まさかっ!」

    食蜂「って、ど、どうしたのぉ? 怖い顔しちゃって」キョトン

    御坂「…………」

    食蜂「…………」


    御坂「……な、何でもないわよ」プイ

    食蜂「あら、そぉ? それじゃ、私はこれで」クル

    156 :

    御坂「少なくとも、私はあんたみたいに能力の濫用はしてない」

    街のチンピラ「えっ?」

    157 = 147 :

    自動販売機「蹴られるだけならまだしも電撃は…」

    158 :

    お前らあんまり美琴をいじめるなよ

    159 = 1 :

    ――とある高校


    小萌「――というわけで、人間の体には常に電流が流れているわけですね」カッカッ

    小萌「この電流のことを生体電流と呼びます。100~200マイクロアンペアという、感知することができないくらいの微弱な流量です」

    上条「あの、先生」ガタ

    小萌「はい、上条ちゃん。質問ですか?」

    上条「いや、精神系能力者も人間に対して様々な命令が出来るんですよね。それって」

    小萌「これは、大変いい質問ですね。特別ポイントを5点、差し上げますです」

    上条「おっしゃっ!」グッ

    青ピ「ずるいなぁカミヤン。ごくたまーに見せるちゃんと授業聞いてますアピール、あざといわぁ」

    上条「黙れ青髪、普段だってちゃんと聞いてるっつうの!」

    上条(入院に継ぐ入院で出席日数ボロボロだしな、稼げるところで稼いでおかないと)

    160 = 1 :

    小萌「はいはい二人とも、まだ授業中ですよー」

    上条「あ、す、すんません」

    小萌「ではでは、ざっくりと説明しちゃいましょうか」

    小萌「系統別の専攻をしている人以外にはあまり知られていないことなのですが」

    小萌「精神系能力者は、系統的には発電系能力者の内に含まれるです」

    土御門「ええ? いや、しっかし、電撃と洗脳とじゃ大分かけ離れているような気がするにゃー」

    小萌「確かに用途は全く異なります。ですけど、電流を用いて対象に干渉する点は一致してるですよ」

    吹寄「それって要するに、精神系の能力を使用する際にも電流を放出しているってことですか?」

    小萌「その通りです。ただし、その強さは極々微弱なものになりますけど」

    吹寄「ああ、なるほど。先ほど体内にも微弱な電流が流れていると」

    上条「つまり、精神系能力者は疑似的な生体電流を作り出して相手の脳を騙す、そんな感じすか?」

    小萌「おおっ、上条ちゃん、今日は妙に冴えてるですね」

    青ピ「なんやあ、明日は雪でも降るんとちゃうん?」

    161 = 1 :

    小萌「さて、お次は発電系と精神系能力が分かれている理由について説明しましょう」

    小萌「まず、発電系能力は基本的にどれだけ強力な電撃を操れるかでレベルが決まります」

    小萌「AIM拡散力場を展開して電流を組成し、大気に電位の高低差を作り出したり」

    小萌「それに伴い発生する磁気を利用して質量に加減速をもたらすことが可能です」

    上条(なるほどな。その二つを並列利用したのが御坂の超電磁砲か)

    小萌「一方で、精神系能力は電気をどれだけ精緻に制御できるかに重きが置かれます」

    小萌「言い換えれば、電力を極々微弱になるまで減衰させ、広範に拡散することが出来る人ほどレベルが上と見なされます」

    上条「そっか。共通しているのは電流を使うことだけで、目指す方向は真逆なんすね」

    青ピ「それやと、発電系能力者に精神系能力を使うことは」

    小萌「ええ、まず無理です。レベル3以上の発電系能力者は微弱な電磁障壁を体に纏っていますから」

    土御門「精神系能力で使う電流くらいじゃ、届く前に阻害されちまうってわけか」

    小萌「どちらも高度な演算能力が必要であることに変わりはないんですけど、相性は最悪といって――」


    ――キーンコーンカーンコーン


    小萌「っと。それじゃあ、今日の授業はここまでにしますね」

    162 = 1 :

    ――廊下


    上条「小萌先生」タッタッ

    小萌「はいはーい、何ですかぁ――って」クル

    上条「ども」

    小萌「上条ちゃん。授業後にも押しかけて来るだなんて今日は一段と熱心ですね。先生はとても嬉しいのです」

    上条「ああいえ、これから聞きたいことは授業とあまり関係ない、とも言い切れないかもですけど」

    小萌「あら、いったい何なのです?」

    上条「小萌先生って、心理学を専門に学んでいましたよね?」

    小萌「はい、そうですよ。専攻しているのは社会心理学・環境心理学・行動心理学・交通心理学などですねー」

    上条「それじゃあ、さっき言ってたような能力の研究機関にも顔を出したりしてるんですか?」

    小萌「さっきって……あぁ、精神系能力ですか? 一応、何人かの子と面識はありますけど」

    上条「じゃ、じゃあ――」


    上条「その中に食蜂操祈って女の子、いたか覚えてます?」


    小萌「……え」

    上条「……先生?」

    小萌「――あの、上条ちゃん」


    小萌「覚えて、いないんです?」

    163 = 147 :

    お? 記憶喪失前での記憶か…

    164 = 1 :

    上条「……え? 覚えてないって」

    小萌「というか、その質問以前に、上条ちゃんは特別補習をご所望です?」

    上条「って、何でいきなりそんな話に!?」

    小萌「何でも何も、食蜂ちゃんは学園都市第5位の超能力者です。どちらにしても名前を知らないのは問題アリアリです」

    上条「げっ!? 第五位って、あの子レベル5だったんですか!?」

    小萌「え、ええ。今現在の彼女は『心理掌握(メンタルアウト)』と呼ばれる、精神系最強の能力者なのです」

    上条「心理掌握……」

    上条(……単なる箱入りお嬢様じゃなかったのか。道理で、妙にふてぶてしいと思ったんだよ)

    上条「ん、今現在?」

    小萌「……本当に、記憶にないのです? 確かに当時は今よりレベルも低かったですけど」

    上条(……そうか。やっぱり記憶を失う以前に面識が)

    165 = 1 :

    上条「いや、すんません。最近どうも忘れっぽくて」

    小萌「……まだ若いのに何を言ってるですかぁ」

    上条「ホント、面目ないっす」

    小萌「謝ることはないです。上条ちゃんは常々忙しそうですし、そういうこともあるかもですね」フゥ

    上条「……先生は、彼女とは親しいんですか?」

    小萌「ええ、それなりには。ここのところ『発火能力(パイロキネシス)』の研究でご無沙汰ですけど、研究施設では顔馴染みでしたよ」

    上条「そ、そうなんすか。それで、その、どんな子でした? 性格とか」

    小萌「……あのぅ、上条ちゃんならわかってくれると思いますけど」

    上条「……?」

    小萌「教師が生徒に対し、特定の個人の印象を植え付けるような発言は出来ないのです」キッパリ

    上条「ああ、そっか。そりゃそうだ」ポリ

    小萌「それで、何で食蜂ちゃんのことを? 改めてお友達になったんです?」

    上条「い、いえ、友達っていうか、まだ顔見知りってレベルなんすけど」

    166 = 1 :

    小萌「どんな子か気になるというのであれば、実際に会って話すのが早いと思いますけど」

    上条「それは、そうなんですけど」

    小萌「多分ですけど、上条ちゃんが会いたいと言えば会ってくれますよ」

    上条「……え、マジですか?」

    小萌「はい、何でしたら連絡をつけてあげましょうか?」

    上条「……い、いやぁ、そいつはさすがに、問題があるといいますか」

    上条(つか、相手はお嬢様校の女の子だぞ? 仮にも教師が積極的に会うことを勧めるのは)タラ

    小萌「そうですか。まぁ、あんまり教え子ばかり贔屓するのもいただけないかもですね」

    上条「いえ、すんませんした。変なことで呼び止めてしまって」ペコ

    小萌「いえいえー。それじゃあ、また帰りのHRでです」ヒラヒラ

    167 = 1 :

    ――バス停前


    取り巻き2「――では、やはり高位の能力者なのでしょうか」

    取り巻き3「そうに決まってますわ。何といいましても超能力者たる女王と親交があるんですもの」

    食蜂「あら、あなたたち、何の話をしているのぉ?」

    取り巻き1「ああ、女王。これからお帰りですか?」

    食蜂「ううん、まだよぉ? 今日は検診日だから、研究所に顔を出してから帰るわ」

    取り巻き1「そうでしたか。相変わらずお忙しいんですね」

    食蜂「もう慣れたけどね。それで?」

    取り巻き3「いえ、外に住んでいるという女王のご友人への興味が尽きませんで」

    食蜂「友人って……あぁ」

    取り巻き2「はい、その正体をあれこれと推測していたところなのでございます」

    食蜂「正体って、大袈裟ねぇ。何てことない普通の人よぉ?」

    取り巻き1「普通、ですか? 能力者では……」

    食蜂「ぶーぶー。れっきとした無能力者(レベル0)」

    取り巻き2「え……」

    168 = 1 :

    食蜂「あら、どうかしたの?」

    取り巻き2「あぁ、いえ、その……少し意外だったものですから」

    食蜂「そぉ? 私、能力至上主義者ってつもりは欠片もないけれど」

    取り巻き2「も、もちろんです。不快に思われたのならお詫びを」

    食蜂「別に、気にしてないケド」

    食蜂(厳密にはあの人、無能力者とも言い難いものねぇ)

    食蜂(ああいう特異な能力じゃ、学園都市の能力判定ではどうやったって検出されないでしょうし)

    食蜂(あの人のよさを物差しで測ろうとするなんて、おこがましいわよね)クス

    取り巻き3「あ、あの、差し出がましいことをお聞き致しますが、その方とはいったいどのような経緯で」

    食蜂「知り合ったかって? たまたま街で出会っただけの関係だけど」

    取り巻き3「ああ、やはりそうでしたか」ホッ


    食蜂(――――やはりぃ?)ピク

    169 = 1 :

    取り巻き3「学園都市第五位の女王が、無能力者と親密な関係を持つはずがありませんものね」

    食蜂「……」イラ

    取り巻き2「そうですわね。こう言っては何ですけど、バランス的にミスマッチと申しますか」

    食蜂「……」ゴソゴソ


    ――ピッ


    取り巻き1&2&3「」ビクン

    食蜂「……そういえば二人とも、最近やたらと体重気にしているみたいねぇ」ンー

    食蜂「たまにはバスに乗らず走って帰りなさい――全速力で」ニッコリ

    取り巻き2&3「――ハイ、カシコマリマシタ」ダッ


    ――ピッ


    取り巻き1「あ、あら? に、2さん? 3さんも、いったいどちらへ!?」アワアワ

    食蜂「さぁ? 帰りのバスが待ちきれなかったんじゃなぁい?」

    170 = 1 :

    取り巻き1「それでは女王、これで失礼いたします」ペコ

    食蜂「ええ、また明日ね」フリフリ


    ――ブロロォォォ


    食蜂(あの二人、まだ大分後ろを走ってたわねぇ。寮に到着するまであと30分ってとこかしら)

    食蜂(まったくぅ、会ったこともない人を好き勝手に貶すなんてダメダメなんだゾ☆)

    食蜂(……まぁ、確かにあの人はがさつで依怙地で忘れっぽくて、欠点を挙げればキリがないけど)

    食蜂(あれで結構頼りがいはあるし、人並み以上に気遣いもできるし)

    食蜂「……」ハァ

    食蜂(体調不良だったとはいえ、昨日はらしくなくテンパっちゃったわぁ)

    食蜂(いずれ距離を縮めたいとは思っていたけど、あんな形で果たされるのは心外なのよねぇ)

    食蜂(記憶が消せないのなら、せめて幻滅されてないか知りたいところだけど)

    食蜂(……んー、幻想殺しなんてものがあるんじゃ頭の中を覗くのも無理だしぃ)

    食蜂(何よりまた忘れられちゃったら……うぅ、あんにゅいー)グテー

    171 = 1 :

    ――研究所


    研究員A「ふむ、概ね許容範囲内の数値ですが、脳波に若干の乱れが見られますね」カタカタ

    食蜂「昨日熱出してぶっ倒れちゃったから、そのせいじゃない?」

    研究員A「そうですか。とすると、大脳辺縁系が活性化されているのもその影響かな」チラ

    食蜂「私の頭の中を覗き見ながら話すならぁ、あなたもそのヘルメットを取ったらどう? フェアじゃないしぃ」

    研究員A「いやいや、誰だって考えていることを盗み見られるのは嫌なものでしょう」

    食蜂「……それはつまりぃ、私みたいな存在自体が誤りってことかしらぁ?」

    研究員A「まさか、とんでもない。あなたは非常に希少価値の高いデータサンプルとして――」

    食蜂「ハイハイ。じゃ、今日はこれでオシマイね」カパ

    研究員A「――ッ! 電源を落とす前に外すのはやめてくださいと何度も」

    食蜂「ああ、ノイズ拾っちゃうんだっけ。ごめんなさぁい、すぐ忘れちゃうのよねぇ」ペロ

    研究員A「……集中力が散漫になりがちなのでしたら、精神安定剤を処方しますが?」

    食蜂「結構ですぅ。私だってたまには思うがままに感情を発散したいの」

    172 :

    >>159
    心電図とか脳波出す時とかBioelectric current使ってるわけだけど

    というよりもμAの測定自体、コストは様々だけど、いくらでもやりようがある。

    173 = 1 :

    ――コツコツ


    研究員B『ね、ねぇ、あの子ってレベル5の』

    研究員C『……へぇ、あれが噂の』

    研究員D『ちょっと、あまり近づくと思考を読み取られ――』


    食蜂(まさしく珍獣扱いねぇ)ンー

    食蜂(まぁでも、遠ざけたい人を遠ざけておくには有効な方法だしぃ)

    食蜂(こっちにしてみれば、学園都市の研究者の方がよっぽど化け物なんだけどねぇ)ガチャ

    食蜂(……さて、と。とっとと着替えて帰らなくちゃ、病み上がりは無理できないし)キィ

    食蜂(あっ、いっけない。予備のブレザー借りっぱなしだった――)


    食蜂「――――」ドクン


    食蜂「…………」トクントクン

    食蜂「……はぁー……ふぅー」

    食蜂「……早いとこ、忘れなきゃね」コツン

    174 = 1 :

    ――バス亭前


    食蜂「……あら、バスの時間過ぎちゃってる。次は――40分後ぉ?」

    食蜂(まだ目に見える位置にいるならバックして戻ってきてもらうのにぃ)

    食蜂「となれば、即席タクシーね」ピッ


    ――キキィーッ!


    配送業者「…………」ボー

    食蜂「ごめんなさぁい、ちょっと助手席お借りするわねぇ」バタン

    配送業者「……ハイ」コクン

    食蜂「常盤台学生寮前まで。そろそろ混雑してくる時間帯だし、くれぐれも安全運転でお願いね☆」

    配送業者「ウケタマワリマシタ」

    食蜂「……さてと、到着するまで読みかけの本でも――」ヴヴヴ

    食蜂(あら? 何か鳴って――)ゴソゴソ

    食蜂(ああ、携帯マナーにしておいたんだっけ)

    175 = 1 :

    食蜂「……んー、見たことのない番号ねぇ」

    食蜂「でも、私の番号知ってる人なんて限られてるしぃ」ピッ

    食蜂「はい、どちら様ですか?」

    ???『…………』

    食蜂「……もしもしぃ? 切っちゃっていいのかしらぁ?」

    ???『……操祈ね?』

    食蜂「……あら、私を下の名前で呼ぶってことはぁ」


    ???『anyway、まずはお礼から述べさせてもらうわ』


    食蜂(……ふぅん、向こうからかけてくるとはねぇ)クス

    食蜂「――ご無事で何よりです。体調の方は、いかがですか?」

    176 = 1 :

    ???『お陰様で、こうして話をできるくらいには回復したわ』

    食蜂「それなら何よりです。くれぐれもご自愛くださいね」

    ???『先だっては、随分と手間を取らせてしまったみたいね』

    食蜂「気にしないでください。私と先輩の仲じゃないですか」

    ???『……率直に言って、意外だったわ』

    食蜂「何がです?」

    ???『……私は、あなたには絶対好かれてないものだと疑ってなかったから』

    食蜂「はっきり物を言う人って、基本的に嫌いじゃないですケド?」

    ???『but、……オリジナルの場合は』

    食蜂『だからぁ、基本的に、って言ってるじゃないですかぁ』プン

    ???『indeed、……何事にも例外はあるものなのね』

    177 = 1 :

    ???『それはそうと、込み入った話をしても問題ない?』

    食蜂「私としては、そちらの方が心配なんですけどぉ?」

    ???『盗聴妨害機を使っているわ。あなた、今どこにいるの?』

    食蜂「通りすがりの車の中ですケドぉ?」

    ???『走行中ってことね。悟られないように、顔の向きはそのままで』

    食蜂「――何ですって?」


    ???『併走している車、及び後続車の確認をお願い』


    食蜂「……っ」チラ

    食蜂(……いない、わよねぇ。サイドミラーにも……うん、映ってない)ジィ

    ???『……尾行はなさそう?』

    食蜂「何も見えませんけどぉ? これって新手の冗談ですか?」

    ???『……だと、良かったのだけどね』

    178 = 1 :

    ――通学路


    ――ピピッ


    上条(メールの着信か)ゴソ

    上条「って、小萌先生?」


    ――from 小萌 16:24

    『もし気が変わったらこちらにどうぞ。食蜂さんが所属する研究所の所在地です』


    上条「……んー。ご丁寧に地図と電話番号まで」

    上条(気軽に紹介してもらえるくらいには、親しかったってことなのかなぁ)

    上条(不幸でならしている上条さんにあんな可愛らしい子と接点があったなんて、到底信じがたいんですが)


    『それと先ほど聞き忘れたんですけど、シスターちゃんは今日お返ししてよろしいのです?』


    上条「……そういや、昨日はひっさびさによく眠れたよなぁ」

    上条「安い布団でいいから来客時のために一枚くらい買っとくかな。いい加減、ユニットバスで寝るのもきつい」

    179 = 1 :

    上条「考えてみると、廊下で寝るのも風呂で寝るのも、距離的にはほとんど変わらねえんだよなぁ」

    上条(だったら、廊下と部屋にカーテンで仕切り作って、床にマットを敷いちまえば)

    上条(昨日なんか女の子が隣で寝てても全然問題なかったし、インデックスさえ了承してくれるなら、試しても)

    上条(……そういや食蜂のやつ、大丈夫かな。朝には元気になってたみたいだけど)

    上条(でも、変に気遣うと返って襲われたこと意識しちまうかもしれないし)ウーン

    上条(……あいつ、何となく御坂に似てんだよなぁ。ちょっと陰がある感じとか)

    上条(小萌先生の話じゃ能力的にも被るところがあるみたいだし)

    上条(……心理掌握、か。良くも悪くも使い方次第って感じはするけど)

    上条(洗脳とか、ここの研究者なら真っ先に目をつけそうな能力だもんな。御坂みたく、クソみたいな実験に巻き込まれてなきゃいいけど>

    上条(そうだな、前例もあることだし、それとなく何やってるか聞いてみるくらいは……ん)


    土御門「いやぁー、待っちくたびれたぜよ、カミやん」


    上条「……土御門? 待ちくたびれたってお前、何でわざわざ下で待ってんだ? 隣同士なんだから」

    土御門「――寮だと少々都合が悪い、ちょっと付き合ってくれ」ポン

    180 = 1 :

    ――河川敷


    土御門「……ここなら、誰もいないな」キョロ

    上条「ったく、なんなんだよ。んなところまで連れてきて」

    土御門「壁に耳あり障子に目ありって言うだろ。警戒するに越したことはないんだ――よっと」ドサッ

    上条「……まぁた厄介事ですか。つか、その無駄にでけえスーツケース、何が入ってんだ?」

    土御門「後で教える。被害を最小限に食い止めるためにも、手を貸してほしい」

    上条「……被害、ねぇ? んで、今度はどちらの魔術師サンがいらっしゃるんですか?」

    土御門「子供みたいな拗ね方すんなって。先に言っておくと、今回狙われるのはお前さんじゃない」

    上条「……狙われる? 何で未来形なんだ?」

    土御門「実のところ、事態がどう転がるかはまだわからない。が、最悪の事態に備えて保険はかけて置きたい」

    上条「……悪い、話が全然見えねえんだけど」

    181 = 1 :

    土御門「カミヤンの見込み通り厄介事だ。もしもの時は協力を仰ぎたいんだが、相手が納得してくれるかはまだ何とも言えん」

    上条「……ああ、うん、なんつうか、あれだ」

    土御門「うん?」

    上条「お調子モンのお前が珍しくシリアスやってるって時点で、事態が拗れに拗れそうな予感しかしねぇ」ガックリ

    土御門「おいおい、不穏なフラグを立てないでくれ。こちとら出来るだけ穏便に済ませたいと思ってるんだぜい?」

    上条「当たり前だ。てか、上条さんにだって安息の日々は必要なんですよ?」ブツブツ

    土御門「と、ゴネるだろうと思って、繚乱家政女学校監修リゾートの宿泊券(マッサージ付)を用意した」ピラ

    上条「他ならぬ親友の頼みとあっちゃあ、協力しないわけにはいかねえな」キリ

    土御門「……絵に描いたような手のひら返しだにゃー」

    上条「メイドさんの手料理にマッサージ……男の夢だろ?」ビッ

    土御門「さすがカイミヤン、話がわかるぜい。ちなみに、ガーターベルトとフリルバンドは外せないにゃー」ビッ

    上条「まぁ、ご褒美とメイド談義はさておいて――だ」


    上条「あらましを手短に説明してくれるか」

    土御門「……すまん、この借りはメイド見習いたちが必ず」

    182 = 1 :

    >>181 一箇所訂正

    土御門「さすがカイミヤン、話がわかるぜい。ちなみに、ガーターベルトとフリルバンドは外せないにゃー」ビッ

    カイミヤン→カミヤン

    183 = 1 :

    土御門「つい先日のことだが、学園都市内の研究施設からある装置が盗み出された」

    上条「って、強盗窃盗は警備員の領分だろ? 俺一人じゃどうしようも――」

    土御門「話は最後まで聞け。その持ち出された装置ってのが、試作品の洗脳装置(テスタメント)なんだにゃー」

    上条「洗脳装置、って、どこかで……」


    『我々は洗脳装置を用いてこれら基本情報を――』


    上条(――そうだ! 妹達(シスターズ)のっ!)ハッ

    土御門「俺も詳しいことはわからんが、要するに精神系能力者と同じことを機械で行うらしい」

    上条「……脳内情報の強制インストール」

    土御門「ああ、悪用しようと思えばいくらだって出来そうな代物だ。野心家なら喉から手が出るほど欲しがるだろうよ」

    上条(――試作品、だ? あの実験のせいで御坂や妹達がどんだけ――)ギリ

    土御門「お、おい、……カミヤン?」

    上条「……何でもねえよ、続けてくれ」

    184 = 154 :

    上やんだった気がするけどな。原作では

    185 :

    テスタメントって学習装置じゃなかったっけ?

    186 = 1 :

    土御門「で、下っ端の俺らは速やかにその洗脳装置を回収、それが出来ない場合は破壊する」

    上条「……学園都市も何のためにあんなもん作ってんだかな。こういうトラブル招くのが目に見えてんじゃねえか」

    土御門「あー、いずれ完成した暁には、俺たちに使うつもりなのかにゃー?」

    上条「全然笑えねえ冗談だな」ムスッ

    土御門「ま、まぁまぁ、そんなカリカリしなさんなって」

    土御門(……大方、壮大かつ無駄なカモフラージュってとこか。尻拭いさせられてる身としては不愉快極まりない話だな)

    上条「ところで、盗み出したやつの見当はついてるのか?」

    土御門「実行犯は外の人間っぽいんだがな。んまぁ、そっちの方は俺たち実働部隊が処理するから問題ない」

    上条「……へ?」

    土御門「機械を使っての洗脳じゃあ、カミヤンの幻想殺しだって通じないだろ?」

    上条「じゃ、じゃあ、俺は何をどうすりゃいいんだよ?」

    土御門「カミヤンには、最悪のケースに備えて護衛してほしいやつがいるんぜよ」

    上条「……護衛?」

    187 = 140 :

    >>184
    「カミやん」だよ。

    188 = 1 :

    土御門「つまりだな、洗脳装置は確かに厄介な代物だが、一つわかりやすい弱点があるんだ」

    上条「なんだ?」

    土御門「上書きが出来ちまうってこと。幻想殺しが通じなくても、強力な精神系能力者ならいとも容易く洗脳を解ける」

    上条「……裏を返せば能力者が狙われる可能性もあるってことか? だけど、学園都市にいる以上は安全だろ?」

    土御門「確かに、三基の衛星に多重セキュリティ、屈強な警備員や風紀委員、半端な奴じゃ返り討ちに遭うだろうな」

    上条「そんだったら」

    土御門「だが、それも相手が外部犯だけだったらの話だ」

    上条「って、まさか、学園都市に首謀者がいるってのか?」

    土御門「獅子身中の虫がいないと決めつけるのは早計だ。理事会の網を掻い潜って悪辣な計画を立てている勢力がいたら?」

    上条「……いや、だけど、学園都市に被害が出そうなら、『0930事件』の時みたく上が動くんじゃ」

    土御門「……アレイスターは、あらゆる意味で信用しない方がいい。やつは自分の目的以外にはてんで関心を持たんぜよ」

    上条「……ったく、どいつもこいつも」ボリボリ

    土御門「よしんば動いたとして、先の侵入者騒動以上の被害が出ないとも限らない。そうなれば今度こそ――」

    上条「住人に多くの犠牲者が出る、か」

    189 = 1 :

    土御門「とりあえず要点はこんなとこだ。現時点ではまだ確定情報が少ないんでね」

    上条「護衛対象者と協力者の詳細は? 魔術サイドは当然不参加なんだろ?」

    土御門「まぁな、ステイルは禁書目録が絡まないと動いてくれねぇし、神裂ねーちんの耳に入ったらそれこそ血の雨が降るぜよ」

    上条「……だろうな」ハァ

    上条(正義感の塊みたいなあいつのことだ。こんな機械を研究開発していること自体許せねえだろうな)

    土御門「具体的には、大能力者以上の精神系能力者が護衛対象。身元の確かな警備員と風紀委員、裏からは暗部も協力する手はずになっている」

    上条「……外来VIP並の扱いじゃねえか。ぶっちゃけ、俺って必要あんの?」

    土御門「だから、最初に保険だって前置いただろ?」

    上条「ま、その分気楽に構えていいってことか。……んで、俺が担当するやつの名前は?」

    土御門「話の流れから察しはつくだろ? 一番強力な精神能力者さ」

    上条「つまりは、最もさらわれたらまずい能力者か」

    上条(……ん、ということは)

    土御門「結構な有名人だぜい。学舎の園、常盤台中学二年、学園都市第五位の超能力者」


    上条「――食蜂操祈、か」

    190 = 1 :

    土御門「当然、カミヤン以外にも護衛は手配されているはずだ。護衛対象自身が強力な能力者だし、戦力面に不安はない」

    上条「怖いのは搦め手か。不測の、そのまた不測の事態のための緊急要員ってわけだ」

    土御門「正直、カミヤンの出番がないに越したことはないんだが」

    上条「……あんまり考えたくないんだけど、守りきれなかった場合はどうなっちまうんだ?」

    土御門「一番ヤバイのは、食蜂が拉致られて盗み出された洗脳装置で洗脳されるってパターン」

    上条「……あー、操られた食蜂が向かってきた能力者をことごとく洗脳、か。世にもおぞましいコンボだな」

    土御門「広範囲で洗脳させられるような羽目になったら事態収拾は不可能に近い。最悪、第五位の殺害許可が下りることだってあり得る」

    上条「……っざっけんな! んなことにさせてたまっかよ」

    土御門「さっすがカミヤン、頼もしい啖呵だにゃー」

    上条「……ただ、実際どうやって護衛すんだ? 学舎の園は男子禁制だし、接点が少なすぎるだろ」

    土御門「そこで物は相談なんだが――カミやん」


    土御門「女装とかやってみたくないか?」

    上条「死んでも断る!」

    191 = 1 :

    土御門「やっぱりダメか」

    上条「正体がバレたら三回は余裕で殺される自信があるんですが!?」

    土御門「と、ちょっぴり空気が和んだところで、このスーツケースの登場だぜい」


    ――パカッ


    上条「……うん? これ、タキシードってやつか」

    土御門「燕尾服ともいうぜよ」

    上条「……まさか、これを俺に着ろっていうのか?」

    土御門「渋る舞香の機嫌を取って、苦労して手に入れた一品なんだぜい? 執事とメイドの禁断の恋プレイとか、くぅぅっ、堪らんぜよ!」

    上条「……別に禁断でも何でもないだろそれ。単なる職場恋愛じゃねえか」

    土御門「わかってないなあカミヤン。それを兄妹でやることに意義があるんだろ?」

    上条「……いい加減、シスコン軍曹から曹長に格上げしとくか」

    土御門「軍曹の方が響きがいいな。それと、ぬか喜びさせるのもあれだから言っとくけど」

    上条「……はぁ、今度はなんだ?」

    土御門「食蜂や常盤台中学が護衛の申し出を却下することは充分にあり得る話だ」

    上条「……あ、ああ。そりゃそうだな」

    上条(小萌先生はあー言ってたけど……、普通に考えたらそっちの方が可能性高いよなぁ)

    192 = 1 :

    土御門「実の所、常盤台学生寮に関しては大統領邸宅並のセキュリティだから問題ない」

    上条「残るは移動中と学舎の園か」

    土御門「そうだ。もし学舎の園に入れたら、カミやんは歴史の証人になれるかも知れんぜよ」

    上条「んな資格は願い下げだ。外の男どもに呪い殺されかねん」

    土御門「無数の呪詛がはたして幻想殺しに通じるかどうか、見物だな」

    上条「笑いごとじゃねえっつうの」

    土御門「冗談はさておき、本来なら警備員からバスの運転手からショップの店員まで女性で統一されている」

    上条「……けど、今回は状況が状況なわけだ」

    土御門「ああ、相手側が同行を認めた場合に限り、監視付きで通学路と共用施設のみ、特例的に立ち入れることになった」

    上条「是非は神のみぞ知るってわけだ。肩透かしで終わってくれるならいいんだけどな」


    上条(……にしても、よりによって食蜂かぁ。タイムリーっていうか、不幸だ)

    193 :

    学園の園に土御門のせいで潜入した最新刊
    タイムリーなネタだな

    支援

    194 :

    これは楽しすぎる

    195 :

    本日は以上になります
    言い訳させていただくと、本当は二日前に投下する予定でしたが速報が落ちてたので無理でした

    次回は二日後予定、ある程度展開が予想ついちゃうかも知れません
    両手花と書いてゴエツドウシュウと読むみたいな
    ところでテスタメント、原作3巻だと洗脳装置ってなってるんですが、学習装置とどちらがが正しいんでしょう?

    196 :


    テスタメントについては、洗脳装置と学習装置とどちらも使われてるぞ
    誰が誰に言ったかで違ったはず
    詳細は忘れたが

    197 :

    洗脳装置の一環として知識を書き込むのが学習装置と考えれば、一貫して洗脳装置だな。

    198 :

    最新刊って表紙食蜂だったけど出るの?

    フラグ立つの?

    199 :

    旧約1巻前から立ってた

    200 :

    食蜂さんもいろんな学校にコネクション持ってるから危ないことには
    本来自分自身は出ないんだろうけど


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