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    元スレ食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」

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    751 :

    あと一時間ほどかぁ……

    752 :

    あと30分

    753 = 752 :

    あと30分

    754 :

    ageんな!落ち着いて待てねーのか!

    755 = 752 :

    あと30分

    756 = 752 :

    あと30分

    757 = 752 :

    書き込みできてないんだけど?

    758 = 752 :

    すみません。書き込みできてないと思いかなり連投してしまいました

    759 = 754 :

    >>757
    いい加減にしろ!
    書き込めてるから!
    埋めるな!
    荒らしか!?

    761 :

    いちいち変なのに反抗してるんじゃないよ

    762 :

    お待たせしました、五分後より投下を始めさせていただきます

    763 :

    出来てるから黙ってろはげ

    765 = 1 :

    ――シャワー室


    ――ジャアアアァァ


    食蜂「ふんふん、ふふふ~ん♪」

    食蜂(お弁当の準備、早めに済ませといて正解だったわねぇ)キュッキュ

    食蜂(なんてったって、念願の上条さんからのお誘いだもの)チャプン

    田八(頭のてっぺんから爪先まで、しっかり身綺麗にしとかなきゃ)バシャッ

    食蜂(シャワーだけで済ませてもいいけど……待ち合わせの時間まではまだ余裕あるはずだしぃ)

    食蜂(うん、少しだけ温まっておこうかな)

    767 = 1 :


    ――大浴場


    ――チャポン


    食蜂「はぁぁー……、ふぅ……」トローン

    食蜂(一仕事終えた後のお風呂って、芯まで蕩けそうになるわねぇ)クター

    食蜂(……あー、そろそろ下着のサイズ変えなきゃダメかしらぁ)

    食蜂(最近どうも胸回りがきついのよねぇ)ギュッギュ

    食蜂(でもまぁ、昔から大は小を兼ねるって言うしぃ)

    食蜂(大きいと色々できるみたいなこと、土御門さんも言ってたものね。よくわかんないケド)ムニ


    ???「……これ見よがしに揉んでんじゃないわよ」


    食蜂「って、あらぁ、誰かと思えば」

    769 = 1 :

    御坂「ったく、まさか朝っぱらからアンタと鉢合わせんなんてついてないわね」

    御坂(……てか、この差はなんなのよ! むしろコイツが年齢詐称してる可能性に縋りたくなるわ)ジー

    食蜂「御坂さぁん、ごきげんよう」ニコ

    御坂「…………へ?」

    食蜂「あ、もしかして御坂さんもお出かけかしらぁ?」

    御坂「……ま、まぁ、そうだけど」

    御坂(……な、何、この違和感)

    食蜂「ふふ、外に出るには絶好の日和みたいねぇ。頬を撫でる涼やかな風、抜けるような秋の空」

    御坂「な、何言っちゃってんのアンタ? 変な物でも拾い食いしたとか?」

    食蜂「んもぅ、相変わらずな物言いなんだから」

    食蜂「朝っぱらからそんなギスギスしてるとぉ、寄りつく虫も寄りつかないんだゾ☆」ツン

    御坂「ちょッ――!?」ゾワワワ

    770 = 1 :

    ――ガラガラ


    食蜂「ふぅ、ちょっと長湯しちゃったかしら」ポタポタ

    食蜂(時間は――)

    食蜂「うん、まだ全然大丈夫ねぇ」フキフキ

    食蜂(ふふーん、見てなさぁい? 今までは年下扱いされっぱなしだったけどぉ)パサッ

    食蜂(今日の操祈ちゃんは、一味も二味も違うわよぉ?)ドヤァ

    食蜂「――ひくしゅっ!」

    食蜂「ううー、さすがにバスタオル一枚でうろうろしてたら風邪ひくわねぇ」シャッ

    食蜂(……下着は……さすがに赤や黒を穿く勇気は///)

    食蜂(確か、路地裏で助けられた時は、白穿いてたのよねぇ)

    食蜂(同じ色しか持ってないと思われるのも癪だしぃ、ピンクが無難かしら)

    食蜂(……み、見せる予定なんてないケド)

    772 = 1 :


    食蜂「……んっ。流行ものではないけど、まぁまぁ、悪くはないわね」クルッ

    食蜂「普段は制服の着用厳守だし、正直私服を選り好みする機会がないのよねぇ」

    食蜂「私としたことが失敗だったわぁ。事前に上条さんの好みのタイプとか調べておけばよかったのにぃ」

    食蜂「まっ、今日は時間もたっぷりあることだし」

    食蜂「上条さんのこと、いっぱいいっぱ-い教えてもらわなくっちゃ」

    食蜂「リップはいつものでいいとして……ヘアバンドとかつけていくのも――」

    食蜂「っと、いけない、肝心なモノを持っていかないとねぇ」ゴソゴソ

    食蜂「念のため、バック以外にも入れておこうかしら。いざというときのために」

    食蜂(……いい加減仕掛けて来てもおかしくないし)

    食蜂(完膚なきまでに叩き伏せるためにも、万全を期さないとね)

    773 = 1 :

    ――玄関前


    御坂「何なの、そのお嬢みたいな格好は」

    食蜂「あら、先に上がったからとっくに出かけたかと思ってたわぁ」

    御坂「つーかアンタ、その格好で外に出る気?」

    食蜂「ン? 似合ってないかしらぁ?」

    御坂「似合う似合わない以前の問題。常盤台は私服での外出禁止でしょ、ルールくらい守ったら?」

    食蜂「大丈夫よぉ。少なくともあなたは誰かに告げ口するような人じゃないし」

    御坂「今がどういう状況かわかってないとは言わせないわよ。寮監に知れたら――」

    食蜂「事件云々の話だったら、上条さんがエスコートしてくれるから心配ご無用よぉ?」

    御坂「……ハ、ハァッ!?」

    食蜂「そ、そんなに驚かなくてもいいと思うんだケドぉ」

    御坂「エ、エスコートって、アンタ、まさか、アイツと一緒に出かけるわけ?」

    御坂(え、でも、今日って振替休日じゃ……え? ってことは)


    食蜂「そうよぉ。上条さんからお誘いを受けてぇ、今から動物園に行ってくるのぉ♪」キャルンッ


    御坂「」

    774 = 751 :

    あっ、これはこっそり付いてくる流れだな。

    775 = 1 :

    御坂「ど、どういうことよ! アンタ、アイツと仲違いしてたんじゃ」

    食蜂「やだ、恥ずかしいわぁ。そこまで知ってたのねぇ」

    食蜂「でも大丈夫。あの人度量が大きいから、ちゃんと謝ったら許してくれたわよぉ?」

    御坂「あ、そ、そう。……そうなんだ」

    食蜂「それよりこの格好。ちょっと露出が少なすぎかしら?」

    御坂「え、えと、べ、別に、悪くないんじゃない」

    御坂(……確かに、容姿だけなら普通に清楚系よね、容姿だけなら)

    御坂(つーか、能力と性格に問題がなかったら完全無欠よね)

    御坂(その二つが致命的っていうか、致命傷なんだけど)

    御坂(いったい何なのかしらこの状況? そもそもコイツが私に意見を求めてくること自体、不自然な話じゃ――)


    ――pipi


    食蜂「……ッ!」シュバッ

    御坂(は、反応早ッ! 運痴のくせに!)

    食蜂「あっ、もう到着したんだぁ」フニャ

    御坂(……こ、このしまりのない表情――お得意の澄まし顔はどこいったワケ!?)

    776 = 1 :

    御坂(この耳でしかと聞いたのに、まだ信じられない。自己中を地で行くあの女が)

             、、、、、、、、、、
    食蜂『それじゃあ、遅れると彼に悪いから、またねぇ』フリフリ


    御坂(ひ、人を待たせることを気にしたなんて)

    御坂(……我ながらひどい字面っていうか、レベルの低い話っていうか)ヒク

    御坂(それにしても、アイツが誰かに気を許すなんてこと、最初はあり得ないと思ってたけど)

    御坂(いや、今も自覚はないのかもしれない。けど、あの表情は――)


    御坂「もしかして本当に気があるんじゃ……」ボソ


    黒子「お待たせしました、お姉様!」

    御坂「っと、来たわね、黒子」

    黒子「さぁ、いつでも、どこでも、黒子の準備は万端ですわよ!」

    御坂「……そう、ねぇ、一つ頼みがあるんだけど」

    黒子「はい、なんですの?」

    御坂「……今日の予定、少し変えてもいいかしら?」

    777 = 1 :

    上条(はぁ、土御門が負傷入院してるってときに、いいのかなぁ。こんなことしてて)

    上条(とはいえ、電話越しでもわかるほどウキウキされちゃあ、断れってのが無理な話か)

    上条(約束破ってまた仲が拗れたら、それこそ収拾つかないし)

    上条(護衛をきっちりやり遂げるためにも、少しは食蜂との関係を良好にしておかないと)

    上条(って、言い訳じみたこと考えてる時点で、後ろめたさを自覚してる証拠だなぁ)


    食蜂「上条さぁん、お待たせー!」タッタッタ


    上条「あぁ、来たか――」

    上条(………………)ポカーン

    食蜂「って、どうしたのぉ? 固まっちゃって」キョトン

    上条(………食蜂――――だよな?)ゴシゴシ

    778 = 1 :

    食蜂「上条さぁん、ねぇったらぁ」グイグイ

    上条「あ、あぁ、ご、ごご、ごめん」バッ

    食蜂「大丈夫? もしかして体調悪いとか――」

    上条「い、いや、そうじゃない。いつもと印象が違うから、びっくりしちまって」

    食蜂「それっていい意味で? 悪い意味で?」

    上条「そりゃまぁ……どちらかといえば、いい意味かな」

    食蜂「そう、なら良かったっ」

    上条「……良かった?」

    食蜂「だって私なりに気合入れてきたつもりだしぃ、反応薄かったらがっかりだもの」

    上条「……そ、そうか」

    食蜂「そっかそっかぁ。上条さん、私に見惚れちゃったんだぁ」クスクス

    上条「ま、まぁ、その、ほんのちょっとな」テレ

    食蜂(あ、え、あれ? そう返してくるのぉ?///)カァ

    779 = 1 :

    上条「それよりいいのか? 常盤台の制服じゃないけど」

    食蜂「んもぅ、上条さんまで御坂さんみたいなこと言ってぇ」

    上条「いやでも、一応校則で決められてるんだろ?」

    食蜂「見つかったところで、私以外の誰にも迷惑はかけないわよぉ」

    上条「ったく、お前は言い出したら聞かないからなぁ」

    食蜂「……上条さんがどうしてもやめろっていうなら、着替えて来るけど」

    上条「……え」

    食蜂「あーっ、その反応、本気でそう思ってたってことぉ?」

    上条「い、いやぁ、何つうか、はは……」ポリポリ

    上条(あ、あれー、おっかしいなぁ。こいつこんな素直なやつだったっけ)

    上条「ま、まぁ今日くらいは大目にみるか。ほら、荷物持つから、寄越せよ」バッ

    食蜂「……なんか釈然としないんですけどぉ」スッ

    780 = 1 :

    上条「ところでこのバスケット、何が入ってるんだ?」

    食蜂「秘密よぉ。私がいいって言うまで開けちゃダメ」

    上条「んー、中からほのかにいい匂いがするような」ヒクヒク

    食蜂「もう、勘ぐらないの」プゥ

    上条「はは、悪ぃわりぃ」

    上条(……こいつのキャラじゃなさそうだから、正直そんなに期待はしてなかったんだけど)

    上条(もうこれはやっぱり、アレに決まりですか? 決めちゃっていいですか?)

    上条(手作りだったら、ちょっと、いや、かなり嬉しいっつーか、中身なんだろーな?)ウキウキ

    食蜂「ほーらぁ、何やってるのぉ? 時間は待ってくれないわよぉ?」

    上条「お、おぅ、んじゃあ……」

    上条(――って、いつの間にタクシーを)

    食蜂「せっかくの休日まで混雑したバスに揺られたくないもの。たまには、ね?」パチ

    上条「」ドキッ

    上条(……こ、こいつのウインク、破壊力あるなぁ)

    781 = 1 :

    食蜂「第十一学区の動物園正面ゲートまでお願いします」

    運転手「あいよ!」

    上条「第十一とかあまり行ったことないんだよな。ここからだとどういうルートなんだろ」

    運転手「二十二学区、十八学区を経由して向かうのが最短だな。あの辺までならしょっちゅう乗せるよ」

    上条(はぁ、タクシーで遠乗りとか、料金メーター見るだけで胃に穴が空きそうですよ)

    食蜂「上条さん、心配しなくても私、タクシー券持ってるから」

    上条「タクシー券?」

    食蜂「んー、小切手みたいなものかしらぁ。金額、乗車区間、使用者名を記入して運転手さんに渡すだけでおっけー☆」

    上条「そ、そんなブルジョワチックな物を持ってんのか!」

    食蜂「私だって少なからず能力開発で学園都市に貢献してるわけだしぃ、少しくらいのキャッシュバックはあるわよぉ」

    運転手「いや、タクシー券使う学生さんなんてのはそういないよ? それ、どっちかっていうと深夜勤務用だしね」

    上条「……はは、ですよねぇ」

    782 = 1 :

    運転手「こんな美人でデキる彼女がいて、兄ちゃん幸せもんだなぁ」

    上条「はは、いやぁ、本当にそうだったらよかったんですけどね」

    食蜂(……あら? 今の台詞って、喜ぶべきとこなのかしらぁ?)チラッチラッ

    上条「あぁ、そういや、タクシー運転手さんに前々から尋ねたいことがあったんですけど」

    上条(俺がタクシー乗る機会なんて、金銭的にほとんどないからな)

    運転手「なんだい?」

    上条「遠乗りのことです。断ったり断らなかったりとか千差万別みたいですけど」

    運転手「あぁ、何か基準や線引きがあるのかって?」

    上条「ええ、どこまでなら乗せてどこまではNGとか」

    食蜂(うん。言われてみれば、ちょっと気になるかも)

    783 = 1 :

    運転手「んー、そうだね。一概には言えないんだけど」

    運転手「たとえば俺みたいな個人タクシーだと、過度の遠乗りはまず断るかな」

    食蜂「個人タクシーと普通のタクシーって、どこか違うのぉ?」

    運転手「まったく違うよ。まず個人タクシーは、10年間無事故無違反って厳しい制約があって」

    食蜂「」ギクッ

    上条「……ん? どうかしたのか、食蜂?」

    食蜂「い、いえ、別に、何でも」タラタラ

    上条「……すごい量の汗が現在進行形で流れているように見えるんですが」

    食蜂「き、気のせいよぉ」タラタラ

    食蜂(あ、あの時の運転手さん、個人、じゃなかったわよね、確か。……うー、思い出せない)

    運転手「……えーと、話の続き、いいかな?」

    上条「あ、すんません。どうぞ」

    784 = 1 :

    運転手「さっき言った条件の他にも、営業所付近の地理や観光案内は完璧にこなせなきゃ駄目だね」

    運転手「学園都市なんて場所だと尚更だね。全二十三学区それぞれ特色が全く違うし」

    上条「学区の位置と番号も一致しないですからね」

    運転手「そう、そうなんだよ。こっちに来てからしばらくはカーナビと睨めっこだったのを昨日のことのように覚えてる」

    食蜂「ふぅん、個人タクシーをあまり見かけないのって取得条件が厳しいからなのねぇ」

    運転手「それも大きな理由の一つだし、登録台数が地域ごとに限られてるって事情もある」

    上条「定数が決まってるんですか」

    運転手「そうだよ。ただ、定数が埋まっていることは滅多にないかな。取得の試験も難しめだし」

    食蜂「試験もあるんですかぁ」

    運転手「道交法と地理の試験がある。内容的には、学園都市の学生さんからすると釈迦に説法みたいなものだろうけど」

    上条「ちなみに料金は……」

    運転手「料金はあまり変わらないかな。ただ、無事故無違反じゃなきゃいけない分、人一倍安全運転には気を遣うね」

    食蜂「じゃあ、刑事ドラマなんかでよく見る、前の車追ってください! とかは」

    運転手「一度そういう経験してみたいのはやまやまなんだけどねぇ。追突したら生活がひっくり返るから、厳しいなぁ」

    785 = 1 :

    上条「それじゃあ、個人タクシーのメリットってどんな感じですかね?」

    運転手「これは知ってる人も多いかもしれないけど、車種が自由に選べる」

    上条「あぁ、確かに特徴的な車が多いですね」

    食蜂「この車にしたって電動カーだものね」

    運転手「加えて、給与制じゃないからあくせくしないで済むのが俺的にはでかい」

    上条「登録料は普通に払うんですよね?」

    運転手「まぁね。だけど仕事仲間の話をまとめると、やっぱり法人より個人の方が実入りはいいみたいだね」

    食蜂「確かに今の話聞いちゃうと、二台止まってたら迷わず個人を選ぶわねぇ」

    上条「10年無事故無違反の安心感は大きいからな」

    運転手「だろう? とはいえ、学園都市はバスの運賃が高いし、大企業の人もそれなりにいるから」

    上条「法人でも稼げる環境は整ってるってわけですね」

    食蜂(……知らなかったわぁ。これからはぶっ飛ばさせるの控えないと)ウゥ

    786 = 1 :

    上条「今までの話を総合すると、長距離運転はできるだけ控えたい感じですか」

    運転手「まぁ、そうだ。いくら乗車料金がたくさん貰えるとは言っても」

    運転手「帰りのガソリン代と高速料金まで支払ってくれる人はそういないからね」

    食蜂「それに、疲れれば疲れるほど事故の危険も高まるものねぇ」

    運転手「そうそう。でも、一番の理由は長距離の乗り逃げが怖いってことだね」

    上条「そんなのあるんすか!?」

    運転手「話だけならしょっちゅう耳にするよ。東京から大阪まで乗せて、家からお金取ってくるって言ったきり戻って来ないとか」

    食蜂「……それはちょっと、笑えないわねぇ」ヒク

    上条「色々苦労があるもんだなぁ」

    運転手「まぁ、そういうわけで、俺としても長距離運転は――――んっ!?」

    上条「ど、どうかしました?」

    運転手「……いや、一瞬、ミラーに人が映ったような」

    食蜂「人くらい、どこにでもいると思いますけどぉ?」

    運転手「ああ、うん、言葉が足りなかった。宙に浮いていたように見えたんだ」

    788 :

    みっさき~ん

    789 = 1 :

    運転手「毎度ありがとう! またご利用よろしく!」プップー


    ――ブロロロォォォ


    上条「なんかフランクな人だったな」

    食蜂「お喋りな人だったわねぇ」

    上条「……で、さっきの発言だけど、どう思う?」

    食蜂「尾行されてる可能性は、ないとは言いきれないわね」

    上条「すぐ振り返って確認したけど、影も形もなかったしな」

    上条(今ごろ不安になってきたな。やっぱ出かけたのは失敗だったか?)

    食蜂「仮に運転手さんの見たのが本当に敵だったとして」

    食蜂「尾行を悟らせるくらいにはお間抜けな相手ってことでしょ。心配することもないんじゃない?」

    790 = 1 :

    御坂「――ひっくしゅ!」

    黒子「あら、お姉様、風邪ですの?」

    御坂「ち、違うけど、この時期の瞬間移動って普通に冷えるわね」ブル

    黒子「こっちはそうでもありませんの。二人乗りでの長距離は正直くたびれました」フゥ

    御坂「あぁそっか。私だけ移動中もじっとしていたようなもんか」

    黒子「しかし、呆れたものですわね。いくら休日とはいえ、護衛が護衛対象を外に連れ出すなんて」

    御坂「ホントよね。これで本当に何かあったらどうすんのよ」

    黒子(……上条さんのことが気になってるのも事実でしょうけど)

    黒子(本音の方は、今言った方かも知れませんわね。今日何事かあったら、一番傷つくのは彼でしょうし)

    御坂「とりあえず、あんたはそこで休んでて。何か飲み物買ってくるからさ」

    黒子「黒子は、今日はスポーツ飲料でお願いしますの」

    御坂「了解」

    791 = 754 :

    一気に投稿されてるな。
    お疲れ様です。

    792 = 1 :

    『あら、あの子どこの企業のモデルかしら?』

    『くぅー、野郎つきじゃなかったら絶対声かけるのに』

    『つーか見せつけるようにくっついてんじゃねえよ、じゃりガキがぁ』


    上条(さっきっから周囲からの視線がちくちくと)

    上条(てっきり子供ばかりだと思ってたけど、大人もかなりいるみたいだな)

    食蜂「んー、ネットでHPの流し見はしたんだけど、こうして案内図見てみるとやっぱ広いのねぇ」

    上条(こいつはこいつで、意にも介してなさそうだし)

    上条(なんてったって第五位だからな。注目浴びるのには慣れっこか)

    上条(にしても、常盤台の制服着てるときはいかにも世慣れした女子学生って感じだけど)

    上条(こういうお嬢様然とした服を着てると、清楚さと大人っぽさの兼ね合いがなんとも……)

    上条(って、いかんいかん。こいつは年下、あの御坂と同い年で――)ブンブン

    食蜂「――ねぇ」

    上条「うぉっ!?」ビクッ

    793 = 1 :

    食蜂「聞いてるの? 上条さん。どこから回ればいいのかしらぁ?」

    上条「あ、あぁ、そうだな。とりあえず、一番近場のアフリカエリアでいいんじゃないか?」

    食蜂「アフリカかぁ。うん、じゃあそうしましょう」

    上条(ふぅ、超焦った)バックンバックン

    上条「そこから北に回ってアジア、アメリカ、アンター……?」

    食蜂「アンタークティカ、南極のことよぉ」

    上条「そ、そうだったか」

    食蜂「上条さんって、もしかして英語苦手な人ぉ?」

    上条「面目ねぇ、横文字見るだけでもう駄目でさ」

    食蜂「ふふ、一つ弱みを発見しちゃったゾ☆」

    上条(嘘は言ってねえ、けど)

    上条(さすがに、なぁ。後輩の、しかも女の子の前で全教科苦手です宣言は)

    794 = 1 :

    食蜂「ちなみに、上条さんの得意教科って何かしらぁ?」

    上条「…………えーっと、だな」

    上条(体育と、あれば家庭科……。駄目だ、英検準二級レベルで駄目だ)

    上条「あっ、み、見ろよ。あそこの高台で象やキリンに餌あげられるみたいだぞ」

    食蜂「へぇー、面白そうねぇ。せっかくだからやっていきましょうかぁ」ニコ

    上条「そ、そうだな」ホッ

    上条(よかった、何とか話題を逸らせたか)

    食蜂(――なーんて思ってそうな顔だけどぉ、そうは問屋が)ウズウズ


    舞夏『いい女の条件の一つとして、男の立て方がうまいってのもあるな』


    食蜂(って、そうでしたー。あんまり急所を突くのも意地が悪いものねぇ)ペロ

    795 = 1 :

    上条(有料かぁ。まぁわかってはいたけど……)

    上条(これっぽっちで500円……牛丼大盛りに味噌汁がつくなぁ)

    食蜂「てっきり錠剤(ペレット)みたいな餌かと思ってたけど、果物の盛り合わせなんて贅沢力極まれりねぇ」

    上条「量は少ないけどな」

    食蜂「あまりたくさんあげたらみんなおでぶさんになっちゃうもの。そこは仕方ないわよぉ」

    上条(……インデックスさんには絶対に見せられない光景だ)


    飼育員「はーい、餌をもらった方はこちらの列に並んでくださーい」

    飼育員「器具を渡しますので、餌を挟み込んでから台に上がり、象の鼻の前に差し出してくださいね」


    上条「あの形、高枝切りバサミみたいだな」

    食蜂「手渡しじゃないのかぁ、ちょっと残念かも」

    上条「安全面、衛生面からみて問題あるんだろ。動物刺激することにもなりかねないし」

    食蜂「あぁ、それもそうねぇ。ちゃんと私のところまで来てくれるかなー」

    796 = 1 :

    食蜂「お待たせ、上条さん。時間かけちゃって――」

    上条「…………」

    食蜂「な、なぁに? ジロジロ見て……」

    上条「お前、意外と優しいとこあんだな」

    食蜂「……え」

    上条「あまり餌食べれてなかったやつ、ピンポイントで狙ってただろ」

    食蜂「あ、あらぁ。バレてたのぉ?」

    上条「あげるチャンスが何度かあったのにスルーしてたから、あれって思ってさ」

    上条「お前の視線の先追ったら案の定、小さめの象がいたから」

    食蜂(……ていうかぁ、よくそんな細かいところまで見てるわねぇ)

    上条「いやぁ、さっきの食蜂を目にできただけでも、ここに来た甲斐があったなぁ」

    食蜂「た、ただの気まぐれだってばぁ! もう、早く次に行くわよぉ!」プイ

    797 = 1 :

    上条「一つ訊いていいか?」

    食蜂「なにかしらぁ?」

    上条「お前の能力って、動物には使えねえのか?」

    食蜂「無理ね。ほとんどの動物は人と脳の構造が違うし、言語力という概念も薄いもの」

    上条「脳の構造……言語。――あぁ、なるほど」

    食蜂「今の端折った説明で納得できるってことは、上条さんって構築力はあるのよねぇ」

    上条「理系の知識だけは、担任の病的な補習のおかげで辛うじて人並みになったからな」

    食蜂「病的はないでしょう。せめて献身的って言ったらぁ?」

    上条「ごもっとも」

    食蜂「……月詠先生、かぁ。いつかあの人にも改めてお礼しなくちゃねぇ」

    上条「…………」

    上条(今度、小萌先生にそれとなく聞いておかなきゃなぁ。いつボロが出ないとも限らねえし)

    上条(一口に忘れるっていっても……事情を知らないやつにとっては相当失礼なことだからな)

    798 = 1 :

    上条「今の話の続きだけど、いいか?」

    食蜂「どうぞぉ?」チラ

    上条「人の言葉は動物には理解させられないってことなのか?」

    食蜂「そうねぇ。まず、私たちは日常的に言語力に縛られてるでしょ?」

    上条「縛られてる?」

    食蜂「たとえば、単純な命令をする場合、何かの動詞が入るわよね」

    食蜂「止まれ、進め、開けろ、閉じろ、もっとシンプルに、聞け、従えって具合に」

    上条「そうだな」

    食蜂「人の脳は右脳と左脳に分かれたことで、直感と理性を混ぜこぜにして行動してるわけ」

    上条「つまり、他の動物からすりゃ、人の使う言葉は不可解極まりない?」

    食蜂「多分そう。ニュアンス的には、プレーヤーが違うのよ。BDのディスクデータをCDプレーヤーで再生はできないでしょ?」

    上条「あー、そういうレベルの問題かぁ」

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    食蜂「あとは当然、脳に働きかけるわけだから、脳の構造や役割が違うとお手上げよね」

    上条「でも、ちょっと待てよ? 犬なんかは『お手』とか『待て』とか、単純な命令ならわかるよな」

    上条「それに、歌を覚えるオウムだって世の中にはいるわけだし」

    食蜂「それは、視覚情報と聴覚情報から飼い主に褒められる行動を記憶してるだけよぉ。オウムにしたって歌詞の内容まで理解しているわけじゃない」

    食蜂「だから、経験による刷り込みと命令とでは意味合いがまったく変わってくるわぁ」

    食蜂「私たちは言葉を発するとき、何らかの意味を無意識に乗せてしまっているし」

    食蜂「受け取る方も、それを明確なイメージとして認識する。それが言葉のすごいところで、やっかいなところよね」

    食蜂「精神能力者も例外じゃないわぁ。究極的には、本人に出来ること、本人が知ってることしかやらせられないの」

    上条「イメージ通りに動かす能力じゃない以上、疑似的な生体電気では人以外に通用しないってことか」

    食蜂「その認識で間違ってないわ。少なくとも現状ではね」


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