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    元スレ鳴上「月光館学園か」有里「八十稲羽?」

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    451 = 436 :

    >甲高くヒールの音が響く。

    鳴上「あ、桐条さん」

    有里「おはよう、美鶴」

    美鶴「……話がある、座れ」

    鳴上「どうかしたんですか?」

    美鶴「どうもこうもない!君達、今朝の話は本当か?」

    有里「今朝?」

    美鶴「山岸が伝えてくれた。……その、だ、抱き合って……寝ていたそうだな」

    鳴上「……あ」

    有里「確かに」

    美鶴「どういう事だ。話によっては処刑も辞さないぞ私は」

    鳴上「いや、その。俺達相部屋でとは言ったものの、寝るスペースを考えて無かったんですよ」

    有里「土足で歩く場所に布団は敷けないしね」

    美鶴「それと何の関係が……」

    鳴上「だから、同じベッドで寝ようかと。それだけです」

    有里「二人で寝るには狭かったしね」

    美鶴「ああ、なんだ、そういうことなのか……私のベッドだと余裕があったから気がつかなかった。山岸も勘違いしていたんだな。すまない、つい……」

    有里「つい、何だと思ったの?」

    美鶴「な、何でもない!何でもないったら……」

    鳴上「山岸さん、寮中に言いふらしてますね」

    美鶴「後で弁解しておけ。さて、話はそれだけじゃない。むしろこっちが重要だ」

    有里「僕らの話?」

    美鶴「有里には後でいろいろ話がある。鳴上は急を要するぞ」

    鳴上「何でしょう?」

    美鶴「うん。まだ準備をしているが、里中と花村を学校まで連れて行ってやってくれ。彼らは君のクラスで授業を受ける」

    鳴上「わかりました……で、何でそれが急を要するんですか?」

    美鶴「時計を見ればわかる」

    有里「そろそろ遅刻ぎりぎりだね」

    陽介「やめてくださいって!マジで!そのノリはやばいですって!」

    順平「いや、夕べのお前……可愛かったぜ?」

    陽介「気持ち悪っ!」

    順平「なーんだよノリ悪いなー。わぁったよもうやめるっつの」

    鳴上「順平さん、陽介。おはようございます。それで陽介。お前も授業だそうだ」

    陽介「何、どゆこと?」

    452 = 436 :

    美鶴「君達は交流を兼ねた研修という形で来てもらっているから、月光館の授業を受けてもらう事になっているんだ。そして、登校時刻はそろそろだ」

    陽介「勉強するんすか!うわー聞いてねぇし!」

    美鶴「受験生だろう?しっかりやっておけ。卒業生の私が言うのも何だが、月光館は中々ハイレベルだぞ」

    陽介「まぁ、ただ都会で遊ぶだけってわけにもいかねえか。準備してきまーす!」

    美鶴「制服と教科書などは用意してある。荷物と一緒に運んだはずだ」

    陽介「ああ、アレっすね。急いで取ってきます!」

    順平「よう、二人ともおはよーさん」

    有里「おはよう」

    千枝「すみません桐条さん、遅くなっちゃって……まだ時間大丈夫ですか?」

    美鶴「ギリギリだがな」

    鳴上「こっちの制服も似合ってるな」

    千枝「え?そ、そう?」

    順平「おーいいねぇ!千枝ちゃんだっけ?中々いいモン持ってるよ君!」

    千枝「あはは……」

    陽介「おまたせー!って、里中……なんか、顔いつもと違わね?いじった?」

    千枝「アンタはほんとに……」

    鳴上「それは後にしろ。時間無いし、急いで学校だ」

    有里「いってらっしゃい」

    順平「授業は真面目に出ろよ!」

    美鶴「気をつけてな」


    【ラウンジ】


    美鶴「さて、湊。君には聞きたい事がある」

    有里「わかってる事ならなんでも答えるよ」

    美鶴「いや、そうじゃない。君、最後は……高校二年だったな」

    有里「そうだね、あの年を終わらせて……」

    美鶴「で、だ。君は今こうして戻ってきたが、今の所戸籍も何も無いわけだな?」

    有里「そうだね。死んだ事になってる……んだよね?」

    美鶴「ああ、そうだ。……話というのはそこなんだ。もし君にその気があるのなら、正式に戸籍を取ってもいいと思う」

    453 = 436 :

    有里「美鶴が身元を保証してくれるってこと?」

    美鶴「私が、というより桐条が、だな。そして、もっと言うなら。君を学校に通わせる事も出来る」

    有里「学校に?」

    美鶴「ああ。君が八十稲羽にいたいと言うのなら八十神学園になる。試験は受けてもらうが……私の知る君の学力なら余裕を持って編入できるはずだ」

    有里「……」

    美鶴「煩わしい事か?それとも、またどうでもいい、とでも言うのか?」

    有里「いや、非常に魅力的な申し出で戸惑ってる」

    美鶴「珍しいな。君がそこまで乗り気になるとは……まぁ、これから事件を解決し、その後の生活も考えねばならない。そうなったら、今の状態では厳しいだろうと思って」

    有里「美鶴……」

    美鶴「ど、どうした?」

    有里「ありがとう……」

    美鶴「べ、別にそんなに感謝されるような事は……私が君にもらった物に比べれば、これくらいの事……」

    有里「本当に感謝してるから言ったんだ」

    美鶴「その、少し照れる……そ、それから、君の生活面だが。一応生活費を工面する事も出来るが、どうする?」

    有里「……今、世話になっている家を出るつもりは無いから、そこに入れる事になるかな」

    美鶴「そうか。では、そちらも手配しておく」

    有里「こんな、こんなに甘えてもいいのかな?」

    美鶴「構わない。君が私に甘えているんじゃなく……私が君にもらった物を返しているだけなんだ。君にしてもらったことの恩返しをしているだけだ」

    有里「……」

    美鶴「君の性格上、素直に受け取ってくれると思っていなかったが……わた、私が湊にしてあげたいから……してるんだ」

    有里「ありがとう……」

    美鶴「もうわかったから、頭なんて下げないで。じゃあ、早速色々と準備するから……う、わっ」

    有里「本当に、感謝してる……上手く言葉が出ないくらいに」

    美鶴「わ、わかった。わかったから……離してくれ。そんな風に、密着されると……」

    有里「あ、ごめん……」

    美鶴「……ふぅ。後は任せてくれ。こちらで如何様にもするから。君は、今日一日好きにしてくれていい」

    有里「うん。……美鶴がいて良かったよ」

    >どうやら陽介達と学校に通えるようだ。

    >まさかそんな事が出来るとは思ってもいなかった……。

    >ありがたく、世話になろう。

    454 = 436 :

    まさかの逆パターンで分寮へ
    美鶴の部屋はとにかくスケールが違う。

    そして、SSの内容とは一切関係なくあと30分ほどで記念すべき日です。
    そう、桐条美鶴の誕生日。おめでとう美鶴。愛してる。

    というわけで本日分は終了。
    では、また後日。

    456 :

    うぉぉぉぉぉぉ乙!

    457 = 436 :

    (今更気付いたけど2012年5月時点で風花まだ19歳ではないだろうか。お酒駄目じゃん)

    458 = 431 :

    こまけぇこたぁいいんだよ

    ゆかりっちかわいいなぁ

    459 :

    美鶴様カワイイ

    460 :

    どうでもいいけど美鶴さんのペンテシレアの引き寄せ攻撃凶悪すぎる
    氷付けにされるだけでも結構辛いんだが

    461 :

    サトナカアリーナとミツルアリーナはもう嫌だお……

    462 :

    陽介と順平なら誤解されすらしないが

    ダブル主人公♂はアリだな!

    463 :

    ダブル主人公はありだなww

    まあ何が言いたいかというと

    ふうかちゃんはばんちょうとくっつけばいいとおもうよ

    464 :

    ダブル主人公♂とかやるじゃん

    天田の反応が思ってたより薄いな
    いきなり抱きつくぐらいするかと思ったら流石に中学生か

    465 :

    未だに大人ぶってる天田かわいい

    466 :

    美鶴戦は間合いを詰める事が重要です。
    D攻撃は先端しか判定が無いのでQEや空ダで透かせれば隙だらけの美味しい技です。
    ガードしてしまうと引き寄せから美鶴の距離なので、出来る限り避けたい所。
    といってもDの間合いはBドロアの間合いでもあるので読み合いにはなりますが・・・。

    あとP4Uの美鶴はペルソナ覚醒後なんでアルテミシアです。

    というわけで本日分。

    467 = 466 :



    【月光館学園】


    鳥海「えーと、何か連休最終日に急に呼び出されたと思ったら数日間研修生を受け入れてくれって言われたんで紹介しまーす……」

    「先生、相当キてんな……」

    鳴上「悪いことしたな……」

    「まぁた鳴上関連かよ。お前どんな生活してんだよ」

    鳴上「大体はお前と同じだよ」

    「嘘をつけ嘘を」

    鳥海「えーと、男の方が花村陽介君でー、女の方が里中千枝さんでーす。みなさんしばらくの間ですが仲良くするよーに。はいホームルーム終わり!」

    陽介「ご紹介に預かりました花村陽介でぃっす!短い間だけどよろしくなっ!」

    千枝「あ、里中千枝です。以前一度来た事があるんですけど、やっぱり綺麗な学校でびっくりしてます。短い間ですが、一緒に勉強させてもらいます。よろしく」

    「……なあ」

    鳴上「どうした」

    「お前の周り、女子比率高くね?」

    鳴上「半々くらいだと思うが」

    「ちょっと正確に計算してみ」

    鳴上「……ろ、6:4?」

    「まぁ比率はそんなもんだとしよう。ただお前の周りの女子みんな可愛いんだよ。それずるくねえか?」

    鳴上「可愛く無い女子なんていないだろ?」

    「お前何言っちゃってんのこわい」

    鳴上「?」

    「いいよわかったよ、お前と俺は住む世界が違いすぎるってことがな!」

    鳴上「……?」

    「心底不思議そうな顔しやがって!今に見てろよ!お前より先に彼女作ってやるからな!」

    陽介「ういーす悠。そこの彼は何者?」

    鳴上「俺より先に彼女を作るクラスメイトだ」

    陽介「あー、アンタ、良く知らないけどやめといた方がいいぜ。この天然スケコマシにゃ勝てねーって。経験済みよ」

    「花村君だっけ、何か君とは仲良くやれそうな気がするよ……一緒に可愛い女子ランキング作ろうぜ……」

    陽介「興味深いデータだな。是非参加させてくれ」

    鳴上「授業は真面目に受けろよ」

    >……。

    468 = 466 :



    【昼 巌戸台分寮】


    順平「お、いたいた。有里、ちょっとツラ貸せよ」

    有里「ん?順平、学校は?」

    順平「ばーか、俺ぁ無敵の大学生様だぜ?毎日フルに出なくてもいんだよ」

    有里「ああ、そっか。大学生になったんだもんね」

    順平「おおよ。これでも真面目に通ってんだぜ。だから単位も余裕あんだよ」

    有里「それで、何か用?」

    順平「久々に会ったダチが話しよーぜっつってるだけじゃねーか。まぁここでいいか」

    有里「友達……ね」

    順平「いや、そりゃよ。悪かったよ……いろいろ。でも俺も大分大人になったからさ」

    有里「冗談だよ。僕も順平の事は友達だと……なんなら親友だと思ってる」

    順平「そこまで言われると照れんな……そうだ、俺さ、今何の大学通ってると思う?」

    有里「さぁ……順平って文系だっけ?」

    順平「そうだったんだけどな。まぁ、あんな事あって……ラスト一年、もう鬼のように勉強勉強でよ。なんと!医学部!」

    有里「すごいじゃないか」

    順平「……には落ちたから薬学部なんだけどな。ほら、さ。助けたかった奴もいたし……俺にも何かできねーかなって思ってよ」

    有里「あの順平が真面目に人生を考えてたなんて、そこが驚きだよ」

    順平「お前そんなキャラだっけ?三年ぶりだからわかんなくなってんのかね」

    有里「ごめん、ちょっと浮かれてて」

    順平「そうか。……なぁ」

    有里「ん?」

    順平「お前さ、後悔とかしたか?」

    有里「何の話かな」

    順平「とぼけんなって。お前はそんな察し悪い奴じゃねえだろ。あの時だよ」

    有里「……まぁ、あの時は後悔なんてなかったけどね。今帰ってきて、ようやく後悔が募ってる感じ」

    順平「なんでよ。やりたいようにやったんじゃねえの?」

    有里「皆、悲しんだだろ?」

    順平「ああ、そりゃ凄かったぜ。特にアイギスとゆかりッチがな……で、後悔した有里君はどうすんだ、これから」

    有里「今回の事件もきっちり終わらせるつもりだよ」

    順平「今回の事件こそ、だろ?後悔無い様に。……あん時はさ、足引っ張ってばっかだったけど、今ならちっとは力になれっから」

    有里「前も助かったよ。あてにしてる」

    順平「おう、この順平様に任せとけって!……もう、黙っていなくなんなよ。見たくねえし、あんなの」

    有里「……悪かった」

    順平「わかりゃいい。じゃ、また後でな!ガッコは無くても忙しいんだ俺ぁ」

    有里「またね」

    469 = 466 :



    【放課後】


    陽介「完璧だ……」

    鳴上「珍しいな、そんなに授業が良くわかったのか?」

    「間違いない、完璧だな。加点方式で微に入り細に穿ち作り上げた可愛い女子ランキング……このクラスは完全に出来あがったと言っていいだろう」

    鳴上「なんだ、そんな事か」

    陽介「何だとは何だ!そりゃお前みたいに自然と可愛い子がいる環境に入り込む能力がありゃ俺だってこんな事してねえよ!」

    「そうだそうだ!一人くらい紹介しろ!」

    鳴上「いや、俺の一存でそういう事は……」

    「へーんいいもんねー俺は陽介とこのランキング見て悦に入るもんねー。どうよ、この辺り」

    陽介「んーそうだな、一つ疑問があるとすれば、里中の位置上過ぎじゃね?」

    「は?」

    陽介「え?」

    「お前……お前まさか……」

    陽介「い、いや、だってアイツあれだぜ?人の事さんざ文字通りの踏んだり蹴ったりの男女だぜ?」

    「っはぁー陽介。陽介よぉ。お前だけは俺の味方だと思ってたのによぉ」

    陽介「いやいやいや!お前アイツの事知らないからそんな事言えんだよ!なぁ相棒!」

    鳴上「いや、里中は可愛いだろ」

    陽介「……まぁな、見た目だけだったら全然アリだよ。ただ俺にだけやたら辛辣なんだよな……」

    「愛情の裏返しって奴じゃねえの?」

    陽介「マリア様より深い愛でも裏返さねぇとああはなんねーぞ」

    鳴上「そういえば、里中今日雰囲気違うな」

    陽介「あ、それ俺も思った。制服違うからかね」

    「女子に囲まれてて良く見えん……くそ、どけランクB-共!」

    鳴上「あ、そういえば俺有里連れて行く所あったんだ」

    陽介「お、出掛けんの?」

    鳴上「ちょっと人に会わせにな。そろそろ帰ろうと思うんだが」

    陽介「んじゃ帰っか。今日は有意義な一日だったぜ!」

    「明日からは別クラスだ!陽介が帰る前に完成させようぜ!」

    鳴上「里中ー、帰るぞー」

    「えー?里中さんって鳴上君の知り合いなの?」

    千枝「ああ、うん。鳴上君の転校前の学校で一緒だったんだ。っと、じゃごめんね!また明日!」

    「ばいばーい……いいなー……」

    470 = 466 :



    【夕方 巌戸台分寮】


    鳴上「ただいま……湊いるか?」

    有里「ん、どうしたの?」

    鳴上「ちょっと会わせたい人がいるんだ。付き合ってくれないか」

    有里「……何か、嫌な予感がするんだけど」

    鳴上「そう言うな」

    有里「わかった、行こう。ところで、陽介は何してるの?」

    陽介「なー言ってみ?ほれ恥ずかしがらずによー」

    千枝「うっさい。何なの朝からずっと……」

    鳴上「ああ、里中の印象がいつもと違うのは何でかって言ってて。俺もなんとなく違う気がするんだがどこが違うのか……」

    有里「ああ、なんだ。そのことか。里中さん、ちょっと」

    千枝「……何?」

    有里「うん、やっぱりそうだ。里中さん、今日化粧してるよね」

    陽介「ん何ぃ!?里中が化粧!!」

    鳴上「それでちょっと感じが違ったのか」

    有里「朝見た時から思ってたんだ」

    千枝「そんな、ちょっと見たらわかるくらい変?」

    有里「いいや。化粧って言っても薄くファンデーション塗ってるくらいだよね?あとグロス?かなり自然に出来てると思う。ナチュラルメイクってヤツ」

    陽介「はー気付かんもんだな。こりゃ騙されるわ」

    鳴上「というか詳しいな、湊」

    有里「そうでもないよ……でも、せっかく肌も唇も綺麗なのに。ちょっともったいないかも」

    千枝「べっ、別にいーでしょ何でも。初日だからちょっと気合い入れただけだって。ウケ悪かったみたいだから明日から普通に……」

    鳴上「そんな事無いと思うけどな」

    有里「そうだね、ただファンデーションをもう一つ明るい色にした方が里中さんらしいかも」

    千枝「いいって。下手だし時間もかかっちゃうし、明日から普通にする」

    陽介「そーそー、あんまり慣れない事してると大怪我するぜ?」

    千枝「……っ、花村死ねっ!」

    陽介「あいたぁ!……いつものノリでからかっただけなんだけどな……」

    有里「走って部屋行ったみたいだね」

    鳴上「里中はすっぴんで十分可愛いのにな」

    有里「化粧品はあくまで足りない部分を補う物だからね。里中さんくらい元が良いとしなくてもいいと思うんだけどね」

    陽介「後で謝っとこ……」

    鳴上「そうしろ。じゃあ、行くぞ湊」

    有里「嫌だけどね……」

    471 = 466 :



    【ポロニアンモール】


    鳴上「ここで待ってろ」

    有里「い、嫌だ!」

    鳴上「どうした、そんなに嫌がらなくてもいいじゃないか」

    有里「この予感は美鶴の比じゃない!命に関わるヤツだ!僕は帰る!」

    鳴上「お前がそんな風になるって一体……」

    エリザベス「誰から逃げようとしているのでしょうか?」

    鳴上「うわっ!ああ、エリザベス。約束通り連れてきたぞ」

    有里「……や、やぁ」

    エリザベス「お久しぶりでございます」

    有里「そうだね……」

    エリザベス「……今まで、何をなさっていたので?」

    有里「いろいろとね」

    エリザベス「何故、私に何もおっしゃらなかったので?」

    有里「……いろいろと、ね」

    エリザベス「メギ」

    鳴上「待った!それはまずい!」

    エリザベス「冗談でございます。あなたの事ですから、何か余計な気回しをしていたのでしょう……容易に想像できます」

    有里「仲間にも散々言われた。悪かったよ」

    エリザベス「わかれば良いのです。……よく、戻ってきてくれましたね」

    有里「……僕は何もやってないよ。君が尽力してくれたんじゃないかと思ってるんだけど」

    エリザベス「私の力では遠く及びませんでした。何か慮外な事態があったのだと思います。とにかく、今は貴方が帰ってきてくれた事が嬉しい……」

    有里「ん、ただいま」

    >エリザベスの顔と湊の顔が近付いて行く……。

    鳴上「そっとしておこう」

    >エリザベスがこちらに手を振っている。

    鳴上「ん?……ア・リ・ガ・ト・ウ?」

    >手を振り返しておいた。

    >……二人をそっとしておいて、寮に帰ろう。

    『No.09 隠者 エリザベス』のランクが3になった。

    472 = 466 :



    【夜 巌戸台分寮】


    陽介「だからぁ、この線が重要だと思うんすよ!」

    順平「あえて崩すって事の意味がわかんねーのかお前は!」

    陽介「崩したら意味無いじゃないっすか!」

    「そうだな、もっと引き締めるべきじゃないか?」

    天田「真田さんのソレは筋肉の話ですよね」

    岳羽「……あれ、何の論争なワケ?」

    鳴上「女性の体で一番美しい曲線はどこかだそうです」

    岳羽「なんでそんな話してんの?」

    鳴上「陽介が授業中に作ったクラスの女子ランキングを見た途端、順平さんが語り始めて……」

    岳羽「変わってないねー、あいつも……鳴上君はそういうの興味ないんだ?」

    鳴上「無くは無いですけど。基本的に女性に上下ってつけるべきじゃないと思うんで」

    岳羽「へぇー紳士的。じゃあさ、あえて言うなら女の人の体でどこが好きとかないの?」

    鳴上「全部」

    岳羽「ん?」

    鳴上「全部……ですかね」

    岳羽「あ……そーなんだー……へぇー……」

    風花「あ、鳴上君。今朝はごめんね、勘違いしちゃって……」

    鳴上「いや、いいんですけど。……やっぱり良くは無いです。勘弁してください」

    風花「ご、ごめん……あれ、そういえば有里君は?」

    鳴上「あいつは……今日は帰ってこないかもしれないですね」

    岳羽「え、何かあったの?」

    鳴上「いや、心配するような事ではないんですが。まぁ、その、いろいろと……」

    岳羽「ふーん。ま、いいけど」

    風花「そういえばゆかりさん、コンビニで見かけたから新作のお菓子買ってきたんだけど一緒にどう?」

    アイギス「是非ご一緒させていただきたいです」

    岳羽「うわ、アイギスあんたどっから出てきたのよ」

    アイギス「お菓子……」

    鳴上「ははは……」

    『日常』を感じる。

    >久しぶりに寮の皆と過ごした。

    『No.00 愚者 特別課外活動部』のランクが4になった。

    473 = 466 :



    【深夜 鳴上の部屋】


    有里「……ただいま」

    鳴上「遅かったな」

    有里「ちょっと色々。あれ、これどうしたの」

    鳴上「最初は別に寝場所用意してくれる予定だったんだが」

    有里「悠、もしかして言った?」

    鳴上「……」

    有里「僕が女の人と会ってるとか言ったね?」

    鳴上「……うん」

    有里「しかも美鶴に」

    鳴上「すまん」

    有里「そしてアイギスも同意してゆかりも不機嫌になって、危うくもっとおかしな所に寝かされる所を風花がなだめてくれてここに落ち着いたね?」

    鳴上「良くわかるな」

    有里「まぁね。しかし、屋内で寝袋か……」

    鳴上「俺のせいだし俺が使おうか?」

    有里「いや、言ってみたものの別に寝場所に拘りはないんだ。汚れなければとりあえずおっけー」

    鳴上「そうか。……なぁ、湊」

    有里「ん?」

    鳴上「里中とのこと、ちゃんと解決するんだよな」

    有里「……うん」

    鳴上「今日もやっぱりちょっと様子おかしかったから。ゆっくりでいいけど、頼んだぞ」

    有里「わかってるよ。それより、悠の方こそ風花はどうするの?」

    鳴上「山岸さん?何がだ?」

    有里「あれ、気のせいかな……まぁ、いいか。君は僕みたいにならないように、なるべく何も見落とさずに進むんだよ」

    鳴上「よくわからんが覚えとく。さて、今日はもう寝るか」

    有里「そうだね。おやすみ……」


    美奈子『助けて!』


    鳴上「!?」

    有里「今の、聞こえた?」

    鳴上「ああ。……そういや、聞きたかったんだが。美奈子さんって何者なんだ?」

    有里「さぁ……実の所僕にも良くわかってないんだ。とにかく……」

    鳴上「近いうち、雨が降りそうだな」

    有里「そんな気がするね」

    鳴上「……寝るか」

    有里「……そうだね」

    474 = 466 :



    【2012/5/8(火) 雨 巌戸台分寮】


    鳴上「翌日か……」

    有里「随分と気が早い事だね」

    鳴上「どうする?昨日の事は……」

    有里「そもそも僕らにしか見えないし聞こえない以上、説明しようが無いんじゃない?」

    鳴上「まぁそうか……今夜、どうする?」

    有里「とにかく学校でしょ?帰ってきてから相談しよう。皆でね」

    鳴上「そうだな……有里は今日どうするんだ?」

    有里「今日か……うーん、予定自体は無いんだよね。どうしようか」

    鳴上「暇そうな人がいたら良いんだが……皆一応学生だしな」

    有里「とりあえず留守番しておくよ。君達が帰ってくるのを待ってる事にする」

    鳴上「わかった、それじゃ行ってくる。何かいる物とかあったら買ってくるぞ?」

    有里「特に無し」

    鳴上「了解。じゃあ夕方にな」

    有里「ん、また」

    >雨が降ってきた……。

    >天気予報はチェックしていたのだが、どうやら外れてしまったようだ。

    >……。


    【月光館学園】


    鳴上「陽介、里中。今日は早く帰るぞ」

    陽介「ああ、まっさかこっちにいる間に雨降っちまうとはなー」

    千枝「どうするんだろう、やっぱ入るのかな……やだな」

    鳴上「どうするかは帰ってから相談しよう。とにかく待機だ」

    陽介「まだ俺こっち来て全然遊んでねーのにさー。続いたら嫌だな、この雨」

    鳴上「そうだな……」

    >授業を受けよう。

    475 = 466 :



    【昼 巌戸台分寮】


    アイギス「あ、湊さん」

    有里「ああ、アイギスはいたのか。雨だね」

    アイギス「ええ。天気予報では昨日まで晴れだったんですがね。今夜も映るでしょうか」

    有里「映るだろうね」

    アイギス「……」

    有里「……?」

    アイギス「あの、おかしな事を言いますが……湊さんは里中さんの事が好きなのですか?」

    有里「……うん」

    アイギス「……私の事は、どうですか?」

    有里「好きだよ」

    アイギス「男性の好きというのは、いくつもあるものなのでしょうか」

    有里「ん?どういうこと?」

    アイギス「湊さんは、四股をしているという噂を昔耳にしました」

    有里「誤解だ」

    アイギス「わかっています。あなたは誰とも特別な関係に無かった……ですよね」

    有里「……」

    アイギス「最後の一線を越える事を躊躇っていたんですね。今となってはそれもわかります」

    有里「そうだね。あの頃の僕は……」

    アイギス「ですが、皆さんの事を好きだったのですよね?」

    有里「……ああ。それは間違いないよ」

    アイギス「難しいですね。好きだから選べなかったのか、好きだから選ばなかったのか……私には、まだわかりません」

    有里「アイギスは随分と人間に近付いたんだね」

    アイギス「自分でも驚くほどにです。私は、きっと貴方を好きだった。今ならはっきりわかる」

    有里「今はどうなの?」

    アイギス「よく、わかりません。里中さんを応援したい気持ちもあるし、それを見て少し気分が悪い自分もいる……なんでしょうね、これは」

    有里「……里中さんとの事、聞いたんだ」

    アイギス「ええ、あの日……マヨナカテレビが映った日、私達は里中さんのお話を聞きました」

    有里「そっか」

    476 = 466 :

    アイギス「私は……どうしたらいいのか、迷っています」

    有里「僕もさ」

    アイギス「湊さんを……自分の物にしたいという感情があります。しかし、里中さんも大事な友人として失いたくないと思っています」

    アイギス「どちらを選べばいいのか……私には、わかりません」

    有里「ごめん、アイギス。それは僕にもわからない。僕の悩みも君と同じだ」

    アイギス「このカイショーナシ」

    有里「どこで覚えたの、それ」

    アイギス「順平さんが言ってました。湊さんはユージューフダンのカイショーナシだそうです」

    有里「否定は出来ない」

    アイギス「ですが、私は違うと信じています……あなたの道は、あなたが決めて」

    有里「……ありがとう、ちょっとだけ頭の中の霧が晴れた」

    アイギス「私のためでもあり、里中さんのためでもありますから」

    有里「はは、そうか。さて、今日は突入だろうから、アイギスも準備しておいて」

    アイギス「任せてください」

    >今更こんな事で悩むとは思わなかった。

    >……自分が一番子供なんじゃないか?

    >今夜の準備をしよう。


    【放課後】


    鳴上「よし、じゃあ帰ろう」

    陽介「……」

    千枝「……」

    鳴上「どうした、二人とも」

    陽介「昨日は真面目に受けてなかったからわかんなかったんだけどよぉ」

    千枝「私も、昨日は皆に構ってもらっててあんまり意識しなかったけど……」

    陽介「ここの授業難しくねえか?」

    鳴上「そうか?」

    千枝「そりゃ、鳴上君は私らとは違うからさ……」

    鳴上「……受験、大丈夫か?」

    陽介「自信無くすわ……」

    千枝「私は元から無かったけどね……」

    鳴上「今日の所は忘れろ。まだ一学期だし、勉強すればいい。それより今夜の話だ」

    陽介「おう、そうだな……」

    千枝「とりあえず帰ろっか……」

    鳴上「……今度は勉強会だな」

    >今夜の準備をしなければ……。

    477 = 466 :

    家出した肉親の探索に出ていて本日分かなり短くなっております。
    自分の連続稼働時間が40時間を越えているので頭も回りません!

    さて、そんな事とは関係なく、劇中にカンフル剤が投下されようとしています。
    助けて、の意味とは?

    なんとかでっち上げたのでとりあえずここまで。
    では、また後日。

    478 :

    忙しいなら無理して更新しなくてもいいんだぜ?
    ただ、生存報告とオチだけは忘れないでくれよ。

    乙。

    479 :

    お疲れ様です

    480 :

    まさか>>1がタルタロスに探索にry

    生存報告とエタるならエタるで報告があると嬉しいかも

    一番うれしいのはエタらないで最後まで走り抜けて欲しい事だけど。

    481 :

    >>家出した肉親
    !?

    何が・・・
    まあいいや。
    話も動くからいいとして、陽介たちのランキングの内容を教えてください。

    482 :

    ちょっと早めにこんばんわ。
    脱走した野郎はとっ捕まえましたので本日から通常営業です。

    エタったりしないよ!やるよ俺は!

    というわけで本日分。

    483 = 482 :



    【夜 巌戸台分寮】


    美鶴「そろっているな。では、あり……っと、今は鳴上だったな。すまない。リーダー、今日の作戦を」

    鳴上「はい。この雨は明日まで降り続くそうです。明日の夜まで降っているかはわかりませんが……なので、やはりマヨナカテレビに突入を」

    有里「メンバーは、まず僕と悠。それから風花には入ってもらう」

    風花「あの、でも私……」

    鳴上「どうかしましたか?都合が悪いなら今日は見送りでも……」

    風花「あ、いや。大丈夫です。ごめんなさい」

    有里「……?ええと。それから二名選んでの四人パーティーでの探索にしたいと思います」

    鳴上「で、そのメンバーなんですが。まず陽介と里中は除外したいと思います」

    陽介「あれ?なんでよ」

    千枝「……私は、ちょっとありがたいかも。あんまり調子よくなくてさ」

    鳴上「単純に、慣れない環境だし。もし明日以降に疲れが残ってもよくないかと思って」

    有里「それに、君達以外にも頼れる仲間はたくさんいる。安心して待っていてくれ」

    「よし、じゃあ今回は俺が行こう」

    鳴上「そうですね、真田さんと……」

    アイギス「私も行きます。今回はまだ戦っていないので」

    有里「やる気だね。じゃあ真田先輩とアイギス、それに僕と悠で……あ」

    美鶴「どうかしたのか?」

    有里「ええと、この中で誰か、誰かがテレビに入ってる間、マヨナカテレビを見ていた人はいない?」

    千枝「あ、前回は私達が……」

    有里「そう。僕達の探索の様子が映っていたんだってね」

    千枝「探索じゃなくて、大きいのと戦う時が映ってたよ。あの大部屋の階に入った時から」

    鳴上「ああ、そうだったのか?他に見た人は?」

    >……全員、それぞれに顔を見合わせている。

    484 = 482 :

    順平「メンバーに選ばれなかった時はテレビはつけちゃいたけど、適当に過ごしてたからな……」

    有里「前回だけだったのかもしれない。けど、今日はテレビを注視しておいて欲しい。何かが映るかもしれないから」

    美鶴「そうだな。では残ったメンバーで見てみる事としよう」

    鳴上「それじゃ、一旦解散して、また後で再集合とします。疲れがある人や、明日に重要な予定がある人はそのまま休んでくれてかまいません」

    陽介「俺、ちっと勉強しようかな……」

    順平「お、勉強か?先輩に任せとけって。教えてやっから」

    千枝「私はちょっと疲れたから……今日はパスして寝させてもらうね」

    岳羽「あ、私も今日はパスしていいかな。ちょっと……体調が、ね」

    天田「僕は元気なので、テレビの確認しときます」

    美鶴「私もそうしよう」

    「腕が鳴るな、やっと俺の出番か」

    アイギス「風花さん、調整を手伝ってもらってもいいでしょうか?」

    風花「ん、わかった。じゃあ部屋でね」

    鳴上「湊、ちょっと」

    有里「わかってる」

    >……。

    鳴上「で、どう思う?」

    有里「助けて、ね。彼女は……彼のような物だと思っていたんだけれど」

    鳴上「彼?」

    有里「以前の事件の時、僕の内側にいた人格。本質的に僕と同じだから、言ってみれば僕のペルソナのような存在」

    鳴上「だけど、それなら俺の所に来れた理由は何だ?」

    有里「彼女本人が言っていたのは、僕と接触……物理的にも精神的にも、だと思うんだけど。接触した時に、僕の因子の一部を君が受け入れたからだと」

    鳴上「因子……ああ、もしかしてあの怪我した時に」

    有里「そう。タナトスの一部が君の中に残ったからだと思ったんだけど。どうやら、それで済まないようだね」

    鳴上「確かにあの人からはお前に似た何かを感じたが……湊はどう思うんだ」

    有里「そうだね、彼女と僕は似ている……けれど、どこか決定的に違うようにも思う」

    鳴上「そして、助けて……か」

    有里「今日は三層だったよね」

    鳴上「ああ。出来たら四層まで行きたいが」

    有里「うん。そこの番人が……もしかするといつもと違うのかもしれない。とにかく進んでみるしかないね」

    鳴上「……なぁ、もしあの人がその番人だったらどうしたらいいんだ?」

    有里「怖い事を言うね……まず無いと思いたいけど……敵である以上」

    鳴上「そうだよな……とにかく、見に行ってみるしかない。か」

    有里「さ、準備だ。何なら少し寝る?起こすよ」

    鳴上「そうするか。頼んだ」

    有里「それじゃ、また後で」

    485 = 482 :



    【深夜】


    「よし、行くぞ」

    アイギス「作戦開始であります」

    鳴上「じゃあ、テレビの方お願いします」

    天田「わかってます、しっかり見ておきますね」

    美鶴「気をつけてな」

    コロマル「ワン!」

    風花「それじゃ、行ってくるねコロちゃん」

    >……。


    【テレビ内】


    クマ「ムムム!来たクマね!」

    鳴上「今日は走って来なかったな」

    クマ「たまたま近くにいたクマ。およ、そこなお兄さんは何者だクマ?」

    「おい、何だこいつは」

    有里「クマだそうです」

    「俺の知っているクマとは違うな……」

    クマ「失礼な!クマはクマクマ!」

    アイギス「可愛いですね」

    クマ「クマ!?クマもてもてクマか!?」

    鳴上「クマ。悪いが、今日は急ぐんだ。確実に先に進みたいからな……お前はどうする?」

    クマ「うーん、やっぱり入れんクマ。あん中に行くと、前にクマの影が出た時みたいになりそーで……」

    有里「シャドウ、か。まぁ留守番しておいてもらおうか」

    クマ「クマ応援してるクマ!がんばってクマ!」


    【タルタロス 第三層】


    風花『準備できてます、いつでもどうぞ』

    「雑魚はどうする」

    鳴上「回避できる物は回避して進みましょう。何があるかわからないので」

    有里「そうだね、体力は温存しよう。今日は三層をクリアしたい」

    アイギス「極力戦闘を避けて進むのですね、了解であります」

    >……。

    486 = 482 :

    鳴上「これで何階だ?」

    有里「63。ここまでに戦闘は7回だね」

    「戦闘回避とは、作戦上仕方ないとは言え……少し、物足りんな」

    風花『……』

    有里「僕の記憶が確かなら、次で三層は最後だ。準備はいい?」

    アイギス「いつでもいけます!」

    「ボスとは戦うんだろ?ようやく本領発揮という所か」

    鳴上「よし、それじゃ確認お願いします」

    風花『えっ、あの、何でしょう?』

    「上階の敵影だ。聞いていなかったのか?」

    風花『ご、ごめんなさい……今感知します』

    鳴上「山岸さん、やっぱりちょっと変だな」

    有里「前回の終わりからだね。どうかしたのかな」

    アイギス「少し、心配ですね」

    風花『上階、反応ありません。大型シャドウはいないみたいです』

    「何?いないのか?」

    鳴上「いない、か」

    有里「どういうことなんだろう」

    アイギス「とにかく、行ってみませんか?」

    「そうだな、行ってみるか。見ればわかるだろう」

    鳴上「64階……やっぱり大部屋だ」

    有里「風花、本当にシャドウはいないの?」

    風花『そのはずで……』

    「待て!あれを!」

    >タルタロスの天井に張り付くように、巨大な繭のような物がある。

    鳴上「なんだ、あれは……」

    有里「風花、わかる?」

    風花『……多分、シャドウとは別の物です。シャドウ反応、変わらずありませ……』

    風花『っいや!ごめんなさい!今すぐその下を離れて!それ、シャドウです!!』

    有里「アイギス!」

    アイギス「は、はい!」

    「デカいな。倒し甲斐がありそうだ!」

    鳴上「山岸さん、どうしてわからなかったんですか?」

    風花『ご、ごめんなさい』

    鳴上「いや、責めてるわけじゃ……」

    有里「喋ってる間に、繭が孵りそうだよ。構えて」

    鳴上「全員戦闘準備!」

    487 = 482 :

    >繭が何かの重みでゆっくりと撓んでいく……。

    >それは地響きを立て、タルタロスに着床した。

    アイギス「これは……」

    鳴上「赤ん坊、か?」

    有里「というより、胎児って感じだね」

    「これが、戦うのか?」

    シャドウ「オギャアアアアアアアアアアアアアアア」

    >耳を劈く高音で、シャドウが産声を上げる!

    「戦うしか無さそうだな!」

    アイギス「余り気分が良くありませんが……」

    鳴上「仕方ない……か。ペルソナ!!」

    有里「風花、解析を」

    風花『は、はい!すぐに!』

    >シャドウがゆっくりと立ち上がる。

    シャドウ「ギャアアアアアアアアア」

    >泣き叫びながら、その手で薙ぎ払った。

    「ぐぁ、カエサル!!」

    >真田がペルソナの力を借りてなんとか踏みとどまる。

    鳴上「真田さん!」

    「問題ない。が、この敵は……」

    有里「赤ん坊でも、これだけサイズがあれば強敵か」

    アイギス「赤ちゃん……ごめんなさいっ!アテナ!」

    >アテナの突進が胎児に突き刺さる。

    シャドウ「ウェエエエアアアアアア」

    アイギス「あああっ!」

    鳴上「なんて泣き声だ……!」

    有里「頭が割れそうだ……風花、早く……!」

    風花『はい、その、ご、ごめんなさい。反応が上手くつかめなくて……こんな事、今まで……』

    488 = 482 :

    有里「仕方ない、無理にでも終わらせるしか……タナトス!!」

    タナトス「ルォオオオオオオオ!」

    「出たなタナトス」

    鳴上「やれ!湊!」

    タナトス「ガォオオオオオオオオオ!!」

    >一閃。

    >今までのシャドウなら、それだけで沈んで来たが……。

    有里「駄目、か……!?」

    鳴上「湊!?どうした!」

    「見ろ、鳴上!」

    アイギス「有里さんのペルソナが……!」

    風花『……タナトスの反応消滅!どうなってるの!?』

    鳴上「無事か、湊!」

    有里「大丈夫だ……けど、どうやら持っていかれたらしい」

    鳴上「持って行かれたって……」

    「おい、冗談だろう?」

    >胎児の手にはいつの間にか剣が握られている。

    アイギス「あの剣は……」

    有里「僕の、タナトスだ」

    シャドウ「ウェエエエエエエエエエ」

    >剣を力任せに薙ぎ払う。

    >それだけだが、十分な破壊力を誇っている。

    「そう何度も、耐えられる物じゃないぞ!」

    アイギス「オルギアを……でも、それで仕留められなかったら……」

    有里「一つ、思いついた事がある。悠、アレを落とす自信は?」

    鳴上「無い、が、他にやる事も無いしな」

    有里「アイギス、オルギアを。僕と一緒にアレを撹乱するよ」

    アイギス「は、はい。しかし……」

    有里「いいから。僕を、悠を信じて」

    489 = 482 :

    アイギス「……はい!リミッター、フルブレイク!」

    有里「オルフェウス!」

    >アイギスが機銃を掃射しながら辺りを動き回る。

    >オルフェウスは火炎でそれを追う動きを阻止する。

    有里「こうやって邪魔していれば……」

    シャドウ「ウァアアアアアアアアアア」

    有里「そう、僕を狙う。チェンジ。ハヌマーン!」

    >ペルソナを切り替える事で何とか一撃耐え切った。

    >が、既に次の一撃に移ろうとしている。

    有里「アイギス!」

    アイギス「はい!アテナ!!」

    >アイギスのペルソナが上空へ突進する。

    >その盾の上には、鳴上が乗っている。

    鳴上「何度か死ぬかと思ったが……ここで、決める!イザナギ!!」

    >赤ん坊の真上から、鳴上の声に驚き上を向いたその顔の中心に向かいイザナギが突進する。

    シャドウ「ウギャアアアアアアアアアアアア」

    鳴上「通……らない……!」

    >赤ん坊に間違いなく突き刺さったイザナギの剣。

    >しかし一定以上刃が進む事は無かった。

    鳴上「これじゃ駄目だ。このまま行ってもこいつを倒す事は……」

    「なるほど、俺はここにいればいいわけだ」

    >赤ん坊の背中側、鳴上を見上げているその死角に真田が立っている。

    「決めろ鳴上!手伝ってやる!カエサール!!」

    >カエサルの持つ地球儀に、吸い寄せられるような力を感じる。

    >落下する鳴上が、そこに引き寄せられてさらに加速する。

    鳴上「喰ら……えぇ!!」

    >イザナギと鳴上、両者による串刺し二閃。

    >赤ん坊の体が罅割れ、崩れていく……。

    490 = 482 :

    鳴上「ぐっ、がはっ!」

    「着地失敗か。大丈夫か」

    鳴上「いたたた……まぁ、なんとか。それより、アイツは……」

    アイギス「心配ありません。もう……」

    有里「お疲れ。よくがんばったね」

    >赤ん坊の全身に亀裂が入り、最早動くことは無くなった。

    鳴上「……?なんだ、アレ」

    有里「え?」

    >赤ん坊の体の内側、亀裂から淡い光が放たれている。

    アイギス「……もしかして」

    「おい、冗談だろう」

    風花『シャドウから強力な反応が出ています!危険です!』

    鳴上「まさか、自爆!?」

    有里「やれやれ、どこに逃げようか」

    >光が強まっていく……。

    アイギス「私が止め……くっ」

    有里「オルギアの反動か。困ったな」

    鳴上「落ち着いてないで何か考えろ!」

    「俺達のペルソナでどうにかできるのか?」

    鳴上「くそっ!」

    >赤ん坊からの光が一際大きくなり、辺りが目も眩むような光に包まれる……

    有里「駄目、か」

    >……。

    鳴上「……あれ?」

    >光が収まって後、そこはさっきまでと同じような静寂に包まれていた。

    有里「何とも無かった、のかな?」

    「少なくとも体に被害は無いな」

    風花『反応消失……いや、まだ小さい反応が……?』

    有里「あ、あれじゃない?」

    鳴上「あれ?」

    >さっきまで赤ん坊の体があった場所に、一人の人間が倒れている。

    491 = 482 :

    「人か?」

    鳴上「何でここに……」

    有里「……悠、あれ、見覚えない?」

    鳴上「なんで見覚えが……あ」

    「う、ぅん……ここ……」

    有里「立てる?」

    美奈子「……湊に、悠。良かった、また会えたね」

    「……は?」

    アイギス「……え?」


    【2012/5/9(水) 曇り 巌戸台分寮】


    美鶴「起きろ、鳴上、湊。あの子が目を覚ました」

    鳴上「あ、おはようございます……起きましたか」

    美鶴「ああ。これから少し聴取をする。君達にも立ち会ってもらいたい」

    有里「ん……おはよう。寝起きに美鶴の顔はよく目が覚めるね」

    美鶴「な、なんだそれは」

    有里「ん?いや美人だなと思って」

    美鶴「今はそういう冗談を聞いている暇は無い。鳴上、少し遅刻するかもしれないがいいか?」

    鳴上「大丈夫です。行きましょう」

    有里「さて、何が出るかな」

    492 = 482 :



    【辰巳記念病院】


    美鶴「さて、まずは君の名前を聞かせてもらおうか」

    美奈子「有里美奈子、歳は……17?かな。享年でいうとそうなります」

    美鶴「享年で言うな。まず死んだ人間は私と会話できない。あまり悪ふざけを聞きたい状態じゃないんだ」

    美奈子「でも、湊だって死んだのに今そこにいるでしょ?」

    有里「まぁね」

    美鶴「湊の事を知っているのか?」

    美奈子「笑顔から寝顔まで」

    美鶴「なっ……どういう関係だ!」

    有里「美鶴。今はそうじゃない」

    鳴上「あなたは時々俺の夢に出てきた人と同一人物ですか?」

    美奈子「ああ、敬語いいって。知らない仲じゃなし。質問の答えはイエスだよ」

    鳴上「だそうだ。湊、どう見る?」

    有里「まず間違いないね。僕の中から何かが抜け出た感覚は昨日味わった。ペルソナを抜かれたのかと思っていたけど……」

    美奈子「ごめんね。でも、体を作るのに必要だったから……」

    有里「体を?どうやって?」

    美奈子「シャドウの中には精神体を食べる物がいるのは知ってるよね?」

    有里「食われた人間は無気力症に陥る。そうだったね」

    美奈子「うん。けど、特殊なパターンとして……精神のエネルギーをそのまま自分の構成に使うシャドウもいるの」

    鳴上「つまり、どういうことだ?さっぱりなんだが」

    美奈子「つまり、あの赤ちゃんは私のエネルギーで体を作ってたって事。その意識が無くなった時、赤ちゃんを構成していたエネルギーが指向性を失う」

    鳴上「あの光がそうか」

    美奈子「そう。普通は赤ちゃんの内部で、基となった精神はぐちゃぐちゃに攪拌されて意識なんて残らないんだけど」

    有里「あの赤ん坊は文字通り赤ん坊だったわけか。君一人のみを使って体を組み立てていた」

    美奈子「だから、私の意識はあった。そして無指向のエネルギーを一つの座標に収束させるのは意思の力。私ははっきりとした自意識を持って、この体を結び上げた」

    鳴上「なんか、壮大な話だな。だけどこうしてここにいる事は事実だし」

    美奈子「経過はそういうわけで、結果は見ての通り。助けてって言った時は実はまだ君達の所にいたんだけどね。騙すみたいになっちゃってごめんね」

    493 = 482 :

    有里「いや、君はわかってたんだろう?昨日のシャドウが生まれるのが。君の意識は僕達よりシャドウに近い所にあった。そこから見ていたんだね?」

    美奈子「流石に経験者は違うね。そして、何とか肉体が欲しかった私は二人に声をかけた……」

    鳴上「そもそもあんたは何者なんだ?どうして湊の中にいた?」

    美奈子「私は、湊のもう一つの可能性。別の世界から来たって言えばいいのかな。平行世界ってわかる?」

    有里「パラレルワールドってヤツだね」

    美奈子「うん。私は湊とよく似てて、だけど違う存在。位置で言えば隣の世界から来た事になる」

    鳴上「そんな事が可能なのか?」

    美奈子「悠は知らないかもしれないけど、それが可能な場所があるの。全ての世界の根底にあるもの。人の生まれ、帰る先……集合的無意識」

    有里「あの場所において、意識は形になる。そうか、全ての可能性の出発点なら……しかし、どうやってそこに?」

    美奈子「湊と同じ。私も、自分の生命力を代償に、アレを封印しようとした。ところが、ついた先では既にがっちり封印されてる。さて何故でしょう?」

    鳴上「待て待て待て。集合的無意識とかって話がなんで今出てくるんだ。今はそういう哲学的な話じゃ……」

    有里「悠、心理学に造詣は?」

    鳴上「少しな」

    有里「じゃあ考えてみようか。ペルソナ……シャドウ……その全ては人の心の生み出したものだ」

    美奈子「私達人間の深層心理に存在する力。その源とも言える場所はどこだと思う?」

    鳴上「……そう、なのか」

    有里「実際行って見てくるのが早いんだけどね。難しいから却下で」

    美奈子「とにかく、私がそこに行った時には既にNyxは封印された後だった。というより、ほとんど時を同じくして湊が封印しちゃってたわけね」

    有里「その後、君はどうなった?」

    美奈子「私のエネルギーは湊、君の補填に使われるようになった。結構ボロボロになったりしてたからね。その内、湊と私は……」

    鳴上「一つになった、と」

    美奈子「それからは、二人も知ってるよね。湊の体と精神に住んで、時々アドバイスしたりしてたんだよ」

    有里「いろいろどうも。で、今肉体が必要になった目的は……」

    美鶴「待て、待ってくれ。私を置いて話を進めるな。つまり、この子と君達は知り合いだったのか?」

    美奈子「向こうじゃ私と美鶴先輩もね」

    美鶴「なに、私もいるのか」

    美奈子「私が湊の代わりにいる以外、ほとんど同じだと思う。というわけで、こっちでもよろしくね」

    美鶴「ああ、よろしく……じゃなくて。だから、ええと……」

    鳴上「俺達に対して害意とかは無いんだろ?」

    美奈子「ん、そうだね。元々守りたかった物だし……私の目的っていうのも、そんなに難しい話じゃないよ」

    有里「是非聞きたいな。それ次第で美鶴の態度も変わるだろうし」

    美鶴「そうだな。昨夜からの検査で君に影時間の適正、そしてペルソナ能力がある事はわかっている。本当に敵意が無いのなら是非戦力として欲しい所だ」

    美奈子「美鶴先輩はどこでも変わらないねぇ。うん、じゃあ私の目的を発表します。えー私は……」


    美奈子「色んな物を、終わらせに来たの」

    494 = 482 :

    2012/5/9 現在の状況

    鳴上
    『No.00 愚者 特別課外活動部』ランク4
    『No.01 魔術師 伊織順平』ランク2
    『No.02 女教皇 山岸風花』ランク5
    『No.03 女帝 桐条美鶴』ランク4
    『No.04 皇帝 真田明彦』ランク3
    『No.05 法王 天田乾』ランク3
    『No.06 恋愛 岳羽ゆかり』ランク3
    『No.07 戦車 アイギス』ランク3
    『No.08 正義 コロマル』ランク3
    『No.09 隠者 エリザベス』ランク3
    『No.13 死神 有里湊』ランク3

    有里
    『No.10 運命 鳴上悠』ランク3
    『No.11 剛毅 里中千枝』ランク4(ブロークン)
    『No.12 刑死者 堂島遼太郎』ランク3
    『No.14 節制 巽完二』ランク3
    『No.15 悪魔 マーガレット』ランク2
    『No.16 塔 白鐘直斗』ランク2
    『No.17 星 久慈川りせ』ランク3
    『No.18 月 天城雪子』ランク3
    『No.19 太陽 花村陽介』ランク4
    『No.20 審判 自称特別捜査隊』ランク3

    千枝、風花不調
    有里美奈子実体化

    終わりまで あとXX日

    495 = 482 :

    産まれたのは知った顔。
    敵かな?味方かな?

    どちらにせよ、終わりはどんどん近付いて来ている。

    えー、次回から色々変わるかもしれません。
    書き方とかいろいろ。

    今日は展開の都合上短めだけどここで終わり。
    では、また後日。

    498 :

    ハム子さん参戦 アラガキイィサーン…と叫びたくなるな。

    499 :

    この真田さんは常時裸マントなの?

    500 :

    普段は服着てるけど戦闘になると脱ぐ
    そんな裸マント先輩が私は好きです。

    というわけで本日分。


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