元スレ鳴上「月光館学園か」有里「八十稲羽?」
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401 = 389 :
鳴上「トップだ!」
陽介「くっそぉ!まぁ、まだだ!」
完二「見た目的にセーフティなのが後二つは残る計算っスからね!」
有里「さぁ、選んで」
鳴上「これだ」
>普通の肉じゃがだが、他の物と違い刻んだ生姜と千切ったこんにゃくが入っている。
りせ「さーて、誰のでしょーか!」
陽介「りせちーのじゃねーな」
完二「それは間違いないっスね」
鳴上「いただきます……ん?」
有里「どうかしたの?」
鳴上「いや、美味い。美味いぞ、これ」
風花「ありがとう。それ、私のね」
陽介「ぐっわあああやられた!大本命抜かれちまったよおい!」
風花「変にアレンジするのもどうかと思って、シンプルにしてみたんだけど……」
鳴上「美味しいです。よく味も入ってるし」
風花「先生役が美味しくなかったら悲しかったから、美味しく出来て良かった」
陽介「っしゃ次行くぞ次!次には抜けたい!」
完二「せーの、最初はグー!」
有里「ジャンケン……ポン」
完二「もらった!次俺ェ!」
陽介「ジャンケン弱え俺!」
完二「えーと、でも後肉じゃがらしい肉じゃがは二つか。どっちにすっかな……こっちだ!」
直斗「あっ……」
りせ「あ、こら!反応したらわかっちゃうじゃん!」
陽介「ってことは」
完二「直斗のか、コレ」
直斗「失敗はしてないはずですけど……自信は無いので、おすすめは出来ませんよ」
完二「いや、これでいい。つーかこれがいい。もらうぜ」
直斗「は、はい……どうぞ」
完二「……うん、美味ェ。なんつーんだ?シンプルな味っつーか。だからこそ美味ェっつーか」
直斗「良かった……お粗末さまでした」
陽介「俺思ったんだけどよ。今山岸さんと直斗のが消えたわけだな」
有里「となると、残りはりせと里中さんと、天城さんのになるのかな」
千枝「……」
402 = 389 :
陽介「わかった。俺も男だ。有里、先に選べよ」
有里「いいの?」
陽介「よく考えりゃ、あいつらの料理知らねんだもんな。そんなんで選べったってわかんねえだろ。だから、俺が犠牲になる」
りせ「犠牲って何よ犠牲って」
有里「陽介……ありがとう」
完二「つっても、どれ行くのが正解なんスかね……」
鳴上「事前情報を知らずに行くなら、まず見た目が普通の……」
有里「僕は、これをもらうよ」
陽介「有里!お前、それ……」
有里「良いんだ。僕の為に陽介が苦しむ事は無い。僕はこの……青い肉じゃがを食べる」
千枝「私の」
有里「え?」
千枝「それ、私のだから……嫌なら、食べなくてもいいよ。いろいろ失敗しちゃったし」
有里「そう。でも食べる」
千枝「あ、だからっ!」
有里「……これ、見た目がどうしてこうなってるのかわからないけど、ちゃんと肉じゃがの味はするね」
千枝「……っ、私も、わかんないの。何でかこんな色になっちゃって」
有里「見た目は独創的だけど、味は悪くない。美味しかったよ」
千枝「そんな、気ぃ遣ってもらっても……」
有里「いや、本当に。ほら」
完二「もごっ!何しやが……ほんとに肉じゃがじゃねえか……」
陽介「逆に不思議だな……」
千枝「……」
りせ「じゃあ花村先輩も選んじゃって!ほらほら!」
雪子「私、今回はちょっと自信あるんだ。どうぞ」
陽介「……天城を信じて!こっちだ!」
りせ「ちょっとぉ、何で私のが残るわけ?」
完二「……見た目の問題じゃねえか?」
陽介「いただきまー……うっ」
鳴上「どうした陽介!」
陽介「苦ぇ!なんでだ、すげえ苦ぇよ!科学的な苦さだよこれ!」
雪子「あれ?おかしいな……」
風花「私が見てない間に、重曹入れちゃったみたいなの……」
完二「アレほんとに肉じゃがに使ったんスか!」
りせ「むー、残った私のは全員に食べてもらうからね!ほら、ありがたく食べなさいよ!アイドルの手料理!」
有里「見た目が辛い」
鳴上「匂いも辛いぞ」
陽介「つーか辛ぇよ」
完二「どう考えても辛ェだろ」
りせ「いいから!ほら!」
403 = 389 :
>……。
【堂島宅】
鳴上「痛いな」
有里「痛いね」
堂島「どうした、二人とも。マスクなんかして」
有里「空気の流れが沁みるんですよ」
堂島「……?そうか。ああ、二人ともニュース見たか?」
鳴上「いえ、今日は」
堂島「折角の連休なんだが、明日は雨だそうだ。明後日までは続かないって話だが、夜まで降るってよ。出掛けるにしても外で遊ぶのは無理だな」
鳴上「雨、ですか」
有里「わかりました」
堂島「悠は雨男なのかねぇ。ま、気になるなら自分達でも確認しとけ」
有里「わざわざありがとうございます。後で見てみます」
>明日、雨が降るらしい。
>それも夜まで……
>明日は、忙しくなりそうだ。
404 = 389 :
前向き後ろ向き。
仲違いもあるさ、人生だもの。
そして雨が降る。
というわけで本日分は終了。
では、また後日。
406 :
リバースってなんだ
407 :
乙です!
>>406
コミュ相手との関係が拗れちゃったってこと。
更にヤバイのになるとブロークンとかもある…のかな?
408 :
心中で謝り倒してる湊見てたら・・・(´;ω;)
409 = 387 :
なんか今回はいろいろありすぎて・・・
でも乙!
410 :
岳羽さんだけは一途だと信じたい
ってこれ全員攻略が大前提だっけ?
411 :
>>408
これに同意
なんかめっちゃ来るものがある
412 :
有里だけなんでリバースしてしまうん(´;ω;`)ウッ…
413 :
遅くなりました。
一途である事は美点ですが、以前好きだった人をずっと好きで居続ける事は賢く無いし幸せでもないと思います。
忘れるのではなく、思い出にしてしまう事も生きていく上で必要な事で、そういう事が出来るって事が大人になるって事だと思います。
そうやって思い出にしたはずの人がある日帰ってきたら、どれ程迷う事でしょうか。
飲み込んだ想いが胃液のようにせり上がり、どこかに吐き出さないと破裂してしまいそうになる。
そういう悩みとか、いろいろあるんじゃないかな。
自分にはわかりませんが。
さて、本日分。
414 = 413 :
【2012/5/5(土) 雨 天城屋旅館】
陽介「降っちまったなぁ、雨」
鳴上「そうだな……」
完二「折角先輩が来てくれてんのによぉ。空気読めっつーんだよ天気もよ」
直斗「天気は仕方ないですよ……それより、問題は今晩です」
有里「だね。恐らく、またテレビにタルタロスが映るだろう」
雪子「また突入だね」
鳴上「今回はどうする。誰か体調が悪いとか……」
千枝「あー、私、無理かも」
陽介「なんだよ、元気が取り得じゃねえのかよ里中」
千枝「うっさい。アレって、色々違うけどマヨナカテレビなんだよね?」
直斗「恐らくは、ですがね。まだ誰のシャドウも出ていないからわかりませんが」
千枝「だったら、やっぱり無理だわ。ごめん、今日は外して?」
有里「……仕方ないね。じゃあ今日はどうしようか」
鳴上「俺は行く。有里はどうする」
有里「僕も行こう。と、なると後二人かな」
りせ「……ごめん、私も今日はパスさせてもらうね」
完二「あんでだよ?どっか悪いのか?」
りせ「いや、そういうんじゃないけど。ちょっと、さ」
陽介「どうしちゃったんだよ皆……」
風花「りせちゃんの役目は私がするから、心配しなくていいよ」
りせ「ごめんなさい、迷惑かけて。じゃあ、お願いしますね」
雪子「じゃあ私も今日のところは……」
直斗「……ああ、なるほど。では、僕も」
完二「どうしたっつーんだよ皆!何かあんのかよ!あるんだったら言えって!」
雪子「えっと……ごめん、今は言えない。いつか、ちゃんと話すから」
陽介「……まぁ、しゃーねーか。だったら俺行くぜ」
完二「俺も行きますよ。女共は何か妙な空気だしよ」
アイギス「私は……すみません。私も今日は……」
鳴上「アイギスさんも……?」
有里「まぁ、いいじゃないか。仕方ないよ……今日は僕達で行こう」
>何か不穏な気配だ……。
>とにかく、準備をしなければ……。
>夜、ジュネスに集まろう。
415 = 413 :
【同日深夜 ジュネス内フードコート】
陽介「っしゃ!そんじゃ行きますか!」
鳴上「準備はいいか」
完二「いつでもこいっスよぉ!」
有里「前回の感じだと、道中は余裕があると思う。だから今日は二層を攻略してしまおう」
風花「無理はしないでね」
鳴上「それじゃ、行くぞ」
>テレビの中へ入った……。
風花「……」
有里「さてと。行こうか」
クマ「うおおおおおお!センセー!」
鳴上「このパターンはっ……危ないっ!」
>着ぐるみのタックルをすんでの所でかわす。
クマ「いたたた……センセイしどいクマ……」
陽介「おお?クマじゃねーか!ほんとにこっちにいたんだな!」
クマ「おお!?よーチャンクマ!元気だったクマか!?」
陽介「こっちの台詞だっつの。まぁ元気そうで良かったぜ!」
クマ「あ!あん時のオネエタマもいるクマ!」
風花「こんばんわ、クマ君」
完二「え、いつ知り合ったんスか」
風花「前にちょっとね」
鳴上「そういえば、前回の探索じゃいなかったな。どうかしてたのか」
クマ「寝てたクマ」
陽介「そうかよ……そうだ、クマ。お前も来るか?」
クマ「どこ行くクマ?」
陽介「あそこだよ、タルタロスってヤツ」
クマ「え!い、嫌クマ!あそこすっごい怖いクマ!クマ行きたく無いクマ!」
完二「怖いって……どうしたよ、テレビん中だったらお前の庭みてーなもんだろ」
クマ「ちゃうクマ!ここ、いつもの場所じゃないクマ。特にあの高いの、とんでもない匂いするクマ」
有里「どういうこと?」
クマ「怖いモノ近付いて来てるクマ!ていうかアンタ誰クマ?」
鳴上「俺達の新しい仲間だよ。湊、こいつはクマ。テレビの中に住んでる……」
有里「話だけは聞いてたよ。そうか、君が……」
クマ「クマはクマクマ」
416 = 413 :
風花「怖いモノって、どのくらい近付いてる?」
クマ「見りゃわかるクマ!あれクマ!」
>クマの指差す先には煌々と月が輝いている。
有里「やぁ、久しぶりだね……綾時」
鳴上「綾時……?」
有里「ちょっとした知り合いさ……でも、確かに月がかなり大きく見えるね」
クマ「アレ、ちょっとずつ近付いて来てるクマ」
風花「前回見た時から比べるとかなり接近してるみたい」
クマ「クマよくわからんけどわかるクマ。アレが、あの高いののテッペンにかかった時、凄い事んなるクマ!」
有里「タイムリミットはそこか。……なら、急ごう。あの高さならまだかかりそうだし」
風花「一応、今の高さ覚えとくね。……それじゃ、サポートします。気をつけて」
陽介「今度こそ行くぜー!クマ、お前は怖えなら留守番しとけ!」
クマ「言われんでも留守番するクマ!」
完二「っしゃ!やったらァ!」
【第二層】
陽介「確かに、一階前とは雰囲気違うなぁ……これが階層の区切りってわけね」
有里「そう。っと、早速来たよ」
完二「サクっと始末しちまいましょうや!」
鳴上「ああ、行くぞ!」
>……。
完二「なんつーか、やっぱたいした事無いっスね」
鳴上「だが、まだまだ上はある。油断するなよ」
陽介「ヤル気だねぇ、あの二人……なぁ、有里」
有里「ん?」
陽介「お前さ、里中と何かあった?」
有里「……何も?」
陽介「ちっ、普段とんでも無く読み辛い顔してんのに、こういう時は顔に出てんだよ」
有里「陽介には関係無い話だよ」
陽介「そりゃお前らの間に何があろうと俺ぁ知ったこっちゃねえよ。けどよ、今日の空気。あんな風になんのはごめんだっつってんの」
有里「……」
陽介「だんまり決め込むのもいいけどよ。俺らそんなに頼りねぇか?」
有里「いや、そうじゃなくて」
陽介「そうだっつってんだよお前は!もっと俺ら信用しろよ!頼れよ!」
完二「ちょ、どうしたんスか二人とも」
鳴上「陽介」
陽介「止めんな!前から気になってたんだよ。何でもかんでも自分ひとりでやろうとしやがってよ。この事件だって、締めんのは自分だと思ってんだろ?」
有里「……」
陽介「黙ってねぇで何とか言えよ。気にいらねぇんだよ!」
417 = 413 :
有里「すまな……」
陽介「謝れっつってんじゃねぇよ!!俺は!お前が!俺らの事を物の数にも思ってねぇんじゃねえかって!それが気に入らねぇっつってんだ!」
鳴上「やめろ、陽介。湊も、黙ってないで正直に言ってくれ。お前はどう思って黙ってるんだ」
有里「……僕の問題は、僕が解決する。それだけだ」
陽介「だからっ……!?」
完二「うわ、先輩!それマズイっスよ!」
>有里の体が宙に舞った。
有里「っ……酷いな。シャドウにやられるよりよっぽど痛かったよ」
鳴上「良くわかった。陽介の言いたい事も俺の言いたい事も何も伝わってないのがな」
陽介「相棒……」
鳴上「湊。聞いてくれ。お前のその判断は、お前なりの気遣いなんだろう」
有里「……そうとも言うね。君達に迷惑をかけたくない」
鳴上「それが間違ってるんだ。……陽介」
陽介「何だよ、いいとこ持って行ってよ。あのな、有里。お前がそう思ってんのは薄々気付いてたよ。けどな、それが俺らをちゃんと見てねえっつってんだわ」
有里「どういうこと?」
陽介「だぁから。そのくらいの事で迷惑だなんて思うわけねえだろ。お前や相棒ほど、他人の荷物抱えてはやれねえけどよ。仲間の重たいモンくらい一緒に持ってやれるっつーの」
有里「でも……」
陽介「でももクソも無ぇって。つーかさ、仲間の為に何かすんのは迷惑って言わねぇと思うんだよな。お前はその辺履き違えてると思うんだわ」
鳴上「それが、仲間だし信頼ってものじゃないのか。湊が今までどうやって生きてきたかはわからない。けど、俺達はそう思うんだ」
完二「ったくよぉ。アンタら、そんな野蛮なやり方しか知らねェのかよ」
有里「……ごめん」
陽介「わ、わかりゃいいんだよ。それより、大丈夫か?漫画みてーな吹っ飛び方してたぜ」
有里「痛かったよ、凄く」
鳴上「悪かった。つい、な」
有里「いや、これは自戒として受け入れよう。みんな、悪かった……確かに、僕と里中さんの間に少しあったのは事実だ」
陽介「まぁそりゃわかってんよ。で、どうしたんだよ」
有里「でも、これは僕と里中さんの問題だと思う。皆の手を煩わせるとか、そういう事じゃなくて。僕が、解決したい。いいかな?」
陽介「最初っからそう言や良かったんだよ……」
完二「なんつーか、殴られ損っスね」
鳴上「……すまん」
有里「いいから。さ、先へ進もう」
418 = 413 :
風花『……大丈夫?』
陽介「うわっ、そうだ山岸さん聞いてたんだった!」
鳴上「聞かれてるとわかったらちょっと恥ずかしくなるな」
風花『ご、ごめんね。いつ声かけようかと思って……』
完二「さっさと行きましょうや。有里サンもわかってくれたみてえだし」
鳴上「そうだな、先は長そうだ。行こう」
>……。
【39F】
陽介「流石に……疲れてきたぜ……」
完二「まだっスかぁ、三層はぁ」
有里「お疲れ様。この上に……恐らく、番人の大型シャドウがいる」
風花『うん、上階に大型シャドウの反応感知。間違いないみたい』
鳴上「よし……深呼吸三回。いくぞ」
陽介「っしゃあ、終わらせてやんぜ!」
完二「やっちまいやしょうぜ!」
有里「ふぅっ。さ、行こうか」
【40F】
鳴上「ここも、やっぱり大部屋だな」
有里「迷路を回るよりは随分楽だと思うけどね」
陽介「有難えもんだよな」
完二「あ?ありゃなんだ……?」
>マネキンだろうか……。
陽介「人形が、三つ?」
完二「真ん中が女で、横の二つが男って感じっスね」
鳴上「攻撃か?」
有里「風花、シャドウは?」
風花『その辺りにいるはずなんだけど……』
陽介「っと、こいつか!」
>空中に浮かぶ巨大な手首が三つ現れる。
鳴上「なんだ……?」
>手首はそれぞれ人形を掴むと、何やら動かし始めた。
陽介「……こっちに手振ってんぜ」
有里「これ、まるでアレみたいだね」
完二「ああ、人形劇みたい……っスね」
>男の人形がそれぞれ別の方向を向いて立っている。
>女の人形は両者の間をうろうろと歩き始めた……。
419 = 413 :
完二「これ、もしかして三角関係ってヤツっすかね」
陽介「そうか?それだったら男同士にも何か動きあるんじゃね?」
鳴上「確かに、これは女の方がうろうろしてるだけだな」
>女の人形はどっちつかずうろうろし続けている……。
完二「はっきりしねェなぁ。どっちかに決めりゃいいのに」
陽介「って、何入れ込んでんだよお前」
>女の人形が片方の男に抱きついた!
陽介「お!そっちにすんのか!」
完二「アンタも見入ってんじゃねェか」
鳴上「……見ろ!」
>抱きつかれ無かった方の男の人形が、関節毎にバラバラになり崩れていく……。
陽介「うわぁ」
完二「ひっでェ話だわ……」
風花『……はっ、う……』
有里「風花?」
>人形を持っていた手がそれぞれの人形を放した。
>全ての人形が同じように崩れ、その残骸を手は叩き潰した!
鳴上「来るぞ!」
有里「風花、解析お願い」
風花『あ、えっ!』
陽介「三体とか聞いてねぇって!」
>手の一つから炎が巻き起こる。
>他の一つからは冷気が吹き荒ぶ。
>残りの一つからは電撃が迸る。
>三体はそれぞれ別の属性を使うようだ。
鳴上「右の火のヤツは湊!頼んだ!」
有里「電撃のヤツは陽介、お願い」
完二「俺と先輩は冷たいヤツっスね!」
陽介「オッケー、真ん中のだな!いや、待った!今右と入れ替わったぞ!」
完二「あぁ!?じゃあ俺はどっちやりゃいいんだよ!」
鳴上「落ち着け!」
有里「風花、リアルタイムで属性ごとに指示を……」
風花『あ、はい、今解析を……』
420 = 413 :
鳴上「詳しい解析は後回しでいいです!属性だけ伝えてください!」
風花『えっ、あの、わ、私……』
陽介「どわっ!こいつ火のヤツじゃねえか!」
完二「先輩!何やってんスか!」
有里「風花!」
鳴上「山岸さん!」
風花『あ、アナライズが……まだ……』
有里「……悠」
鳴上「ああ。山岸さんの様子がおかしい。俺達に出来る事は……」
有里「弱点とか関係無しに、目の前の敵を倒す事」
鳴上「陽介!完二と協力して戦え!」
有里「二人がかりで一体を仕留めて」
陽介「おお?おうよ!行くぞ完二ィ!」
完二「うっしゃ喰らいやがれェ!バスタアタァック!!」
鳴上「さて、俺達は」
有里「一対一だね」
鳴上「信用するぞ」
有里「同文。行こうか」
鳴上「ああ!」
【タルタロス エントランス】
風花「私……私は、そんな……」
【40F】
陽介「そろそろ落ちろっつーの!でぇりゃあ!」
完二「うるぁあ!」
>手が崩れて消えていく……。
陽介「っし片付いた!相棒は!?」
鳴上「ジオダイン!」
>電撃に包まれて、もう一つの手も消滅した。
完二「流石先輩だぜ!」
鳴上「そっちも片付いたか……ぐっ」
陽介「どうした!?どっかやったか!?」
鳴上「かすり傷だ。それより湊は……」
タナトス「グォオオオオオオオオ」
完二「終わってやがる……」
陽介「すげ……服も乱れてねぇよ」
鳴上「流石に湊は頭一つ抜けてるな……」
421 = 413 :
有里「悠、陽介、完二。無事で良かった」
鳴上「そっちもな。……さて、どうしたものか」
陽介「階段は上がれるようになってんぜ。帰ってもいいんじゃねえか?」
有里「皆疲れてる。帰る事にしようか」
鳴上「そうだな。山岸さん、大丈夫ですか」
風花『あ、その、私……ごめんなさい。大丈夫、です』
有里「帰り道のナビは出来るかな?」
風花『そのくらいなら。役に立たなくてごめんなさい……』
陽介「ま、調子悪い時くらいあるっしょ!そんな気にする事ないっすよ!」
完二「出来たらこういうデカイのとやる時ゃ勘弁してもらいたいっスけどね」
風花『ご、ごめんなさい……』
完二「じ、冗談っスよぉ!」
有里「それじゃ帰ろう。今日はここまでだ。お疲れ様」
【タルタロス前】
クマ「みんな!無事だったクマか!?」
陽介「この野郎ほんとに最後まで留守番してやがったな」
クマ「クマ行かんって言ったクマ。ていうか行けんクマ」
完二「行けんってどういうことだよ」
クマ「あん中にいると、クマおかしくなりそうクマ……だから入れんクマ」
鳴上「特別な何かがあるんだろうな……クマ、無理に入るんじゃないぞ」
クマ「やっぱりセンセイはわかってるクマ!」
陽介「俺はわかってねーって言いたいのかよ!まぁいいや、クマ、帰んぞ!」
クマ「……それも出来んクマ」
陽介「何でだよ、んなに危ねーなら出てくりゃいいじゃねーか」
クマ「何でかわからんけど、あの高いのから離れられないクマ……ほんとはクマも外に出たいクマ……けど、離れたらいかん気がするクマ……」
422 = 413 :
有里「そう感じるのなら、理由があるんだろう。陽介、仕方ないよ」
陽介「……じゃあ、無茶すんなよ。また雨降ったら来るからよ」
クマ「わかったクマ!クマ待ってるクマ!」
鳴上「じゃあ、山岸さん。お願いします」
風花「……」
鳴上「山岸さん?」
風花「あっ、は、はい。出口作ります」
有里「……?」
【ジュネス内フードコート】
陽介「ふぃー何とか終わったー。腰打ったぜくそ……」
完二「しっかしまだまだ上があるって、あの塔どんだけ高いんだよ……ウンザリするぜ」
有里「まぁそう言わず。攻略しないと色々困る事になるんだよ」
鳴上「やるしかないな」
千枝「……お帰り」
陽介「あれ、里中じゃん。お前今日来ないっつってたのにどうしたんだよ」
423 = 413 :
千枝「うん。ちょっとね。有里君、今話いいかな」
風花「……千枝ちゃん。大丈夫なの?」
千枝「はい。心配しないでください」
風花「ならいいけど……」
千枝「じゃあ、有里君借りるね。皆はもう帰って」
陽介「そりゃ帰るけどよ。お前本当に大丈夫かよ?」
千枝「だーいじょぶだって。花村も言ってたじゃん。元気が取り得だーって」
陽介「……ま、そりゃそうか。じゃあ帰るぜ。有里はちゃんと送っとくように」
完二「普通それって男が女にするとこなんじゃねースか?」
千枝「あはは……ほら、鳴上君も疲れたっしょ?帰って寝た寝た!」
鳴上「ん、ああ……。山岸さん、送ります」
風花「あ、いい。私、一人で帰れるから。ありがとうね」
鳴上「そうですか?それじゃ……里中、あんまり無理すんなよ」
千枝「大丈夫だってのに、皆心配性なんだから。じゃ、おやすみ!」
有里「……で、話って?」
千枝「うん。有里君、また私の事里中さんって呼んでたよね。どうして?」
有里「呼び捨ては馴れ馴れしいかなと思ってね」
千枝「そっか……今日ね、皆でテレビ見てたんだ」
有里「皆で?」
千枝「そ。今日参加しなかった皆で。有里君たちが戦ってるのも見てたよ」
有里「今日のは映ってたのか……」
千枝「人形劇、どう思った?」
有里「人形劇?……ああ、あれは……別に、何とも」
千枝「そっか。あのさ、昨日した話、覚えてる?」
424 = 413 :
有里「覚えてるよ」
千枝「あの話さ。もしかしたら違うのかもって思って。もっかい聞いても同じ答えなのかなって思って」
有里「……どうして?」
千枝「あの人形劇見て思ったの。選ばれなかった男の人形が崩れちゃったでしょ。あ、現実にもこういう事あるんじゃないかなって」
有里「現実の人間は崩れたりしないよ」
千枝「肉体的にっていう意味じゃなくて、精神的に?っていうのかな。仲間とか友達との関係もいろいろ変わるだろうし。その辺を心配して、あんな事言ったのかなって」
有里「……」
>千枝に手を握られた。
千枝「冷たい手してるね」
有里「体温が低くてね」
千枝「知ってた?手が冷たい人は心があったかいんだって」
有里「へぇ」
>千枝は泣きそうな顔をしている。
>そんなに見ないでくれ。
>……お願いだから、そんな目で見ないでくれ。
>氷も溶かしそうな視線で僕を見るな。
>決心が氷解する。矜持が揺らぐ。
>僕は……
千枝「こうして、手を握ってるだけですごくドキドキして、だけど落ち着く人なんだよ。それでも、やっぱり勘違いなのかなぁ」
>やめてくれ。
>これほど言葉を出すのが辛いとは思わなかった。
>喉は他人の物のように震えようとしない。
>舌はからからに渇いて上顎にくっついて離れない。
>それでも、言わなければならない。
有里「勘、違い……だよ。きっと、その男は君が思っているような、そんな奴じゃない。勘違い、気の迷いだ」
千枝「そっか……」
>言った途端、足から力が抜けそうになって危なかった。
>虚無感が全身を包み、目の前が暗く落ち込んだ。
>ユルシテクレ。
>頭の中で一度だけ謝って、また平静を取り繕う事にした。
千枝「……先に謝っとく。ごめん」
>ぱぁん。
>音が強烈に響いて、その後左頬が熱くなった。
千枝「私が好き勝手言って、私の勝手で叩いた。本当に、ごめん。もうしない。話はそれだけだから……おやすみ」
>千枝は踵を返すと走り去った。
有里「……今日は殴られてばかりだな」
>口から出たのは、千枝を呼び止める為の言葉でも、謝罪の言葉でもなく、ぼんやりとしたからっぽの言葉だった。
>その声は、空気に混ざってその場で消えた。
>千枝との軋轢が決定的な物になった。
>『No.11 剛毅 里中千枝』のコミュニティがブロークンになってしまった。
425 = 413 :
マヨナカテレビ。
人の見たくない部分を映すテレビ。
最悪の想像を映すテレビ。
そこは、そういう場所。忘れてたけど。
女性陣のボイコットは、別に女の子の日とかじゃありませんでした。
というわけで短くなったけど本日分は終わり。
では、また後日。
426 :
とうとうブロークンか…
乙だぜ
427 :
最初は番長側NTRとか言ってたけど、湊が完全に恨まれ役過ぎて複雑になった。
>>1乙。
428 :
何故だろう 有里はこらえているのに鳴上にはガンガンP3勢を落としていってほしいこの感じは
429 :
まあキタローにはベスがいるし
430 :
綾時もいるしな
431 :
こうなっちまったのも皆が皆優しすぎるが故だな
432 :
>>428
ようこそNTRの世界へ
433 :
ブロークンかぁ…
434 :
まあ一夜過ごしちゃったのはベスだけだしな…
436 :
NTRやめてよ!心が痛くなるでしょ!
というわけで本日分。
437 = 436 :
【2012/5/6(日) 曇り 堂島宅】
>GWも今日で終わりだ……。
堂島「あっという間だったな」
鳴上「ええ、本当に」
菜々子「お兄ちゃん帰っちゃうんだよね……」
鳴上「ごめんな。一学期が終わったらまた来るから」
菜々子「大丈夫だよ、待ってるから。がんばってお勉強してきてね」
堂島「何時に出るんだ?」
鳴上「なるべく遅くに出ようと思ったんですが、明日の準備もあるし昼には出ないと……」
堂島「……そうか。道中、気をつけろよ」
鳴上「はい。それから……」
有里「僕も悠について行こうと思うんです」
堂島「湊もか。どうしたんだ」
有里「向こうに、僕の知人がいるようなので……」
菜々子「湊お兄ちゃんも行っちゃうの?」
有里「うん。ただ、向こうの知人に会った後も、また帰ってきてもいいでしょうか。……堂島さんには、迷惑をかけますが……」
堂島「何度も言わせるな。お前はもう身内だ。お前がいないと菜々子も寂しがるし……洗濯も掃除も誰がやるんだ」
有里「……ありがとうございます。菜々子、僕はすぐに帰ってくるから。その間だけ堂島さんをお願いするよ」
菜々子「お父さんの事なら心配しないで、菜々子ちゃんとするから」
堂島「おいおい、子供みたいな扱いはやめてくれ。二人とも、気をつけてな」
鳴上「はい。じゃあ、これから友達に会ってきます」
堂島「ああ。また駅まで見送りに行くよ」
菜々子「菜々子も行くよ!」
有里「ありがとうございます。じゃ、行こうか、悠」
438 = 436 :
【ジュネス内フードコート】
陽介「おう、集まってんな」
有里「あ、天城さんまで来てくれたんだ。忙しいって言ってたのに」
雪子「今日で連休も最終日だし、ちょっと時間できたから。気にしないで」
完二「はぁーもう帰っちまうんスねぇ……もっと時間ありゃ良かったのに」
直斗「こればかりは仕方ありませんね。最後まで僕達といてくれる事に感謝しましょう」
りせ「あーあー、次は夏だっけ?それまで待てないー」
鳴上「そういえば、里中はどうしたんだ」
雪子「千枝は……その……」
りせ「今日はちょっと来辛いのカモ……」
有里「……」
鳴上「何かあったのか?」
有里「実は」
風花「遅くなってごめんね……あれ、どうかしたの?」
アイギス「何やら空気が重い気がします」
千枝「どしたのよ、遅刻したから怒ってんの?」
雪子「千枝!来たんだ!」
千枝「な、何よ。鳴上君が帰っちゃうんだからそりゃ来るでしょ」
鳴上「あ」
有里「そういえば」
風花「え?」
有里「言ってなかったんだっけ、皆には」
鳴上「そういえばそうだったな。……ていうか、桐条さんにも言ってないぞ」
有里「電話、早く」
鳴上「あ、ああ。すぐに連絡しよう」
陽介「何だよ二人で。何かあんの?」
有里「詳しい話は後でする。命がかかってるんだ」
完二「命が!?」
鳴上「あ、もしもし。鳴上です」
美鶴『桐条だ。何かあったのか?』
鳴上「ええと、連絡が遅くなったんですが……」
有里「代わって」
鳴上「ん?ああ……すみません、とにかく一度電話代わります。詳しい話はそっちから」
美鶴『何だかわからないが、手短に頼む』
439 = 436 :
有里「手短でいいの?」
美鶴『みな……!ど、どうかしたのか?』
有里「うん。僕も帰ることにしたから」
美鶴『な!?そ、そうか。それは良かった。なら部屋を用意しないと』
有里「いや、それはいい。帰るといっても数日だけでいいんだ。その間はよろしく」
美鶴『何?ではまたそっちに戻るのか?』
有里「そのつもり。悠……鳴上がそっちにいなきゃいけないわけだから、僕はこっちから事件に挑もうと思って」
美鶴『…………』
有里「美鶴?」
美鶴『いや、なら仕方ないな。では、数日こちらに滞在する事になるのか?』
有里「そうするよ。その間に、皆に顔を見せて……こっちで知った事と今の現状を話す」
美鶴『そうだな。そうしよう。……時間に余裕があれば、私にも付き合ってくれ』
有里「今の僕は特に何の身分も無いから時間はたっぷりある……付き合うよ、いくらでも」
美鶴『そうか!……ええと。こちらに来るという事は、皆に伝えても構わないな?』
有里「うん。もう隠しても仕方ないし」
美鶴『……君は今、八十稲羽にいるんだったな?』
有里「そうだけど、どうかした?」
美鶴『聞き覚えのある名前だと思って。そちらの仲間達というのは高校生か?』
有里「そうだね」
美鶴『ということは、八十神高校の生徒か』
有里「良く知ってるね」
美鶴『去年、月光館に研修旅行で訪れたのが八十神高校の生徒だったんだ。その時、伏見に演説文を考えるのを手伝ってくれと……いや、今はそれはいいか』
有里「去年の何年生?」
美鶴『一、二年生だったと思うが』
有里「じゃあ多分、皆入ってるね」
美鶴『ふむ……よし、ではこうしよう。八十神高校には、研修と交流という名目を通達しておく。一応授業は受けてもらうが、そちらの仲間達から何人かこちらに連れてきてくれ』
有里「いいの?」
美鶴『お互いを知る事が交流の第一歩だろう。まぁ、来たがらないようなら構わない。飽くまで立候補者だけだが』
有里「世話をかけるね。じゃあ、話しておくよ」
美鶴『人員が決まったら学年と名前を教えてくれ。その時点から手続きに入る……もっと早くに言ってくれていれば、余裕もあったのだがな』
有里「こっちでもいろいろあってね。それは本当に申し訳ない。お詫びに何かしようか?」
美鶴『気にするな。このぐらい何の手間でもない。では、今日帰ってくるんだな?』
有里「うん、夜にはそっちに着くと思う」
美鶴『では、鳴上達と一緒に気をつけて帰ってきてくれ……待ってる、から』
有里「了解。じゃあ悠に電話戻すね」
鳴上「ん、というわけです。連絡遅くなってすみません」
美鶴『いや、いいさ。良くやってくれたな。君に任せて正解だった……君も、気をつけて帰ってくるように』
鳴上「はい。それじゃ、失礼します」
440 = 436 :
陽介「聞こえてんぞ」
雪子「有里君も一緒に行くんだ」
鳴上「ああ。向こうには知り合いも多いし……顔を見せておくべきだと思って俺が言った」
有里「というわけだから僕も数日留守にするよ。その間、雨が降ってもテレビには入らないようにね」
風花「私も初耳なんだけど……」
アイギス「私もです」
鳴上「すみません、実は初日からそういう事に決めてはいたんですが」
有里「忘れてたね、言うの。……それから、君達は皆八十神高校の生徒で良かったよね?」
完二「そうっスけど、それがどうかしたんスか」
有里「去年、港区に修学旅行で行ったんだって?」
鳴上「ああ。二学年合同でな」
有里「もう一回行きたい人ー」
陽介「は?」
雪子「ええ?」
有里「桐条財閥のご令嬢で、勿論月光館にもかなりの影響力がある人がさっきの電話の相手でね。君達が望むなら、研修旅行って名目で連れて来ても良いって言われてる」
陽介「うおーマジかよ!都会!都会!」
直斗「急な話ですね……僕は遠慮させてもらいます」
完二「あー、俺もちっとそういうのは……」
陽介「何だよノリわりーな!都会だぜ!?」
完二「アンタと違って真面目に家の手伝いとかやってんだよ俺は」
直斗「流石に急過ぎて予定が……」
陽介「じゃあ、天城!お前どうするよ!」
雪子「私も、急な話だし……完二君と同じで家の事とかあるから」
りせ「同文……私も行きたいんだけどね……あ!」
千枝「な、何?何でこっち見てるの?」
りせ「いや、チャンスじゃないかなって思って」
千枝「チャンスったってさ……」
りせ「ああもう、女子集合!こっちでちょっと話そ!」
鳴上「……何ですか、あれ」
風花「ちょっと、ね」
アイギス「女の子には色々とあるのです」
陽介「なー寂しい事言わずに行こうぜー」
完二「無理なモンは無理!」
有里「もうちょっと早くに言っておくべきだったね」
陽介「全くだぜ……」
441 = 436 :
雪子「……だから、ね、がんばって?」
陽介「お、会議終わった」
りせ「里中先輩がついて行きたいそうでーす」
直斗「……まぁ、半ば無理やりですが」
千枝「……ごめん、よろしく」
有里「行きたく無いなら無理に行かなくても」
千枝「いや、行く。ってことで、お世話になります!」
風花「はい、またしばらくよろしくね」
アイギス「ファイトですよ!」
鳴上「何だかわからないが、陽介と里中か。有里、連絡頼む」
有里「うん。二人とも三年だよね」
陽介「おう!で、いつ帰るんだっけ?」
鳴上「これから」
千枝「だよねー」
陽介「こうしちゃいらんねえ!俺帰って準備してくるわ!」
千枝「私も、色々準備してくるね。また後で!」
りせ「有里さん、ちょっと」
有里「ん?僕?」
雪子「お話があるの」
直斗「……僕は知りませんよ」
有里「……話って?」
りせ「里中先輩の事。昨日、いろいろあったみたいですね」
有里「まぁ、ね」
雪子「ねぇ、正直に言って。有里君は千枝の事嫌いなの?」
有里「……」
雪子「絶対、本人にも他の人にも言わないから」
りせ「私たちにだけ、正直な気持ち教えてよ」
有里「好きだよ」
りせ「……聞いといて何だけど、複雑な気分かも」
雪子「その好きって、友達としての好き?」
有里「そうだね」
雪子「それが……その、恋人にしたいって好きに変わる事って、有り得ない?」
有里「有り得ないって話じゃない……と、思う」
りせ「……まぁ、後は本人に任せるしかないんじゃない?」
雪子「そうだね。私達が出来る事はもうない、か」
442 = 436 :
有里「やっぱり、気を遣わせちゃってるみたいだね」
雪子「当たり前です。あんなに元気無い千枝見たことないよ」
りせ「まぁね、色々あるのはわかるけど……多分、はっきり決着付けば、ね」
雪子「うん。吹っ切れると思う。千枝はそういう子だから」
りせ「だから、後はお任せします、有里さん!」
雪子「どんな形でも、ちゃんと答えてあげて?ああ見えて、すごく臆病なトコロあるから……」
有里「……努力は、しよう」
りせ「話はそれだけです!」
雪子「……ごめんね、変な事言って」
有里「いや……」
>彼女達に求められている事は、自分が今もっとも避けたい事だ。
>しかし……。
【八十稲羽駅前】
堂島「随分大所帯になったな」
鳴上「いろいろとありまして」
陽介「間に合ってよかったぜ……」
千枝「いやほんとに。危なかったよ」
風花「陽介君、荷物が多いんだよ」
アイギス「……笑えないですが」
有里「じゃあ、行って来ます」
鳴上「また来ます……菜々子も、またな」
完二「花村先輩、向こうで先輩達に迷惑かけちゃ駄目っスよ」
直斗「いくら先輩でも、流石にそこまで心配する事は無いでしょう……」
陽介「やめろよ、辛くなるだろ……」
雪子「千枝、しっかりね」
りせ「里中先輩、がんばってー」
千枝「ちょ、やめてって。ほんとに」
菜々子「電車来ちゃったよ!」
鳴上「ああ、ほんとだ。それじゃ、お世話になりました!」
堂島「またな」
有里「すぐ帰ってきますから、あんまり菜々子困らせちゃいけませんよ」
堂島「はは。努力はするよ」
443 = 436 :
【電車内】
陽介「ああ、そういやコレ」
有里「僕に?」
陽介「おう。忘れてたけどよ、前にタルタロス登った時に言ったろ。俺のお古だけど」
有里「mp3プレイヤー……ヘッドホンもいいの?」
陽介「なんだ、イヤホンの方が好みなタイプ?」
有里「いや、ヘッドホン派。ありがとう」
陽介「とりあえず、俺セレクションで適当に曲入れてあっから。気に入らなかったら入れなおしてくれよ」
有里「うん。聞かせてもらうよ」
>……。
>風花はどこか気まずそうにしている。
>千枝はずっと景色を見ている。
>有里は音楽を聴いている。
陽介「遠いよな、やっぱりさ!来る時どのくらいかかりました?」
アイギス「あっという間でしたよ。ワクワクしてたら着いてしまいました」
陽介「アイギスさんって結構こういうの楽しむタイプっすか?」
アイギス「自覚は無かったのですが、どうやらそのようです」
>……陽介が無理に盛り上げようとしているが、ノっているのはアイギスだけだ。
>どうしてこうなった……。
>……寝よう。
444 = 436 :
【巌戸台駅前】
陽介「いんやぁ流石に距離あるなぁ。体パキパキだぜ」
鳴上「ええと、誰か来て……いたな」
美鶴「鳴上、有里、山岸、アイギス。お帰り。それから……君は以前会ったな。花村君だったか。それから、こちらが里中さんかな?ようこそ」
花村「お久しぶりっす!お世話になります!」
千枝「あ、は、初めまして。里中千枝って言います。よろしくお願いします」
美鶴「うん。長旅ご苦労、疲れただろう。車を用意してある。乗ってくれ」
>……。
陽介「……って、リムジンかよ」
千枝「運転手付きだったよ……」
鳴上「ちょっと慣れてる自分が嫌だ」
有里「心配しなくても、その内この世に驚く事は無いって思えるようになるよ」
風花「いや、それはそれでどうかと思う……」
アイギス「美鶴さん、今日は皆さんいらっしゃるんですか?」
美鶴「寮にはいるぞ。それから、花村に里中。君達の部屋だが……ホテルを用意してもいいが、どうする?」
陽介「ホテル……どのランクなんだろな、この場合」
千枝「あの、寮内に空き部屋とかってありませんか?無ければいいんですけど……」
美鶴「ああ、確かに寮に住めれば色々と都合がいいんだが……生憎と空き部屋は無くてな。相部屋でよければいくらか都合できるが」
有里「僕の部屋は今どうなってる?」
鳴上「俺が使わせてもらってるぞ」
有里「じゃあ、また一緒に寝るとしようか」
美鶴「狭くないか?」
鳴上「いや、俺は気になりませんし」
有里「同じく」
美鶴「なら、君達は二人であの部屋を使ってくれ。……とにかく、今日は寮の皆に花村と里中を紹介しよう。それから考えるか」
有里「相部屋になりたい人がいるかも知れないしね」
鳴上「気が合いそうな人もいるしな……なんとなく」
美鶴「そういうわけだ。まずは寮に来てもらおう」
陽介「ういーす!」
千枝「わかりましたー」
445 = 436 :
>……。
陽介「おー……なんつーか、アレだな」
千枝「お、趣がある?感じだよね」
美鶴「寮の建物がかなり古い物だからな……内装は普通だ、心配しなくていい」
有里「外観はこうだけど、中には凄い部屋もあるんだ。何故か一部屋だけ間取りの広い部屋が」
美鶴「よ、よせ。私だって好きであんな部屋にいたわけでは……」
天田「あ、帰ってきたんですね!お帰りなさ……」
有里「や、久しぶり」
天田「本当に、帰ってきてたんですね。有里さん」
有里「皆変わったなぁと思ってたけど、君が断トツだね」
天田「成長期ですから。お帰りなさい。今皆呼んで来ますね……?あの、そちらのお二人は?」
風花「以前鳴上君と一緒に戦ってた仲間なんだって。勿論、ペルソナ使い」
天田「ああ、例の……よろしくお願いします!」
陽介「元気いいな!よろしく!」
千枝「よろしくね」
美鶴「さて、それじゃ入ろう。天田、ラウンジに皆を集めてくれ」
天田「わかりました、ちょっと待っててくださいね」
>……。
岳羽「風花、お帰りー。どうだった?」
風花「うん。楽しかったよ、色々。お土産も買ってきたんだー」
コロマル「ワンッ」
アイギス「コロマルさん、ただいま帰りました」
真田「こいつらが例の……中々、頼もしそうな顔じゃないか」
446 = 436 :
美鶴「それでは正式に紹介する。彼等は以前鳴上と共に戦ったペルソナ使いだ。彼が花村陽介。彼女が里中千枝」
陽介「よろしく頼んます!」
千枝「えと、よろしくお願いします」
美鶴「そして……」
有里「僕だよ」
真田「……この目で見てもまるで信用できんな。本当に有里なのか?」
有里「僕もよくわかってないですけど、そうみたいですね」
真田「その人を食った態度も変わらずか。よく戻ってきたな」
岳羽「あの、さ。……まぁいいや。お帰り」
有里「ただいま、ゆかり」
美鶴「それぞれ自己紹介してやってくれ。もしかしたらこの中の誰かと相部屋になるかもしれない。数日間だけだがな」
順平「ういーっす、たっだいまー」
有里「あ、お帰り」
順平「おう、有里。今日は早えな」
順平「……ってうわぁ!なんでこいつがいんだよ!え、そんで誰君ら!?」
美鶴「……言っておいたはずだが」
順平「え、何がっすか?」
>……。
順平「最初はな、俺もテンション上がったよ。けどな、気がついたら女性陣みーんな有里の事目で追ってんの。やってらんねえって」
陽介「わかるっ!その気持ちわかります!」
真田「なるほど、カンフーをな」
千枝「ほとんど自己流なんで自慢できるような物じゃないですけど」
鳴上「皆、馴染むの早いな」
有里「似た者同士ってことじゃない?」
美鶴「さて、それではそろそろ二人の宿泊先を決めなければいけないんだが……どうする?」
陽介「俺!俺順平さんと相部屋がいいです!」
順平「おう!泊まれ泊まれ!がんがん泊まってけ!」
美鶴「両者良いようだな。里中はどうする?」
有里「美鶴の部屋だったら余裕あるんじゃない」
美鶴「まぁ、確かにそうだが。里中、それでいいか?」
千枝「あ、全然構わないです。よろしくお願いします」
美鶴「なら、荷物を運び込もう。GWも今日で終わりだ。皆それぞれ明日からの準備をして早めに寝るように。では、解散しよう」
岳羽「有里君、ちょっと話あるんだけどいい?」
有里「ん、構わないよ」
美鶴「あ、湊。私も話が……」
有里「どうかしました?」
美鶴「いや、また今度聞こう。私だけが君を独占する訳にもいくまい」
有里「そう?じゃあゆかり、話なら聞くよ」
岳羽「あ、うん。部屋、来てもらえる?」
有里「いいよ、行こうか」
447 = 436 :
【ゆかりの部屋】
岳羽「……聞いた時は、びっくりしたよ。帰って来たって、何で?って思って」
有里「僕のも良くわからないんだよね」
岳羽「そうなんだ。……ねぇ、有里君は、何で連絡くれなかったの?」
有里「ん?」
岳羽「一ヶ月くらい前から戻ってきてたって聞いた。なら何でかなって」
有里「……君達に、思い出させたくなかったからね」
岳羽「はぁ?何それ、どういう意味なわけ?」
有里「僕は消えた、終わったものとして、先を見て欲しかったから」
岳羽「相変わらずよくわかんないね、君は……。その自己満足で終わらせるとこも変わってない」
有里「そうかな?」
岳羽「そうだよ。私なんかあの後酷い目にあったんだからね。ていうか、酷い事しちゃったんだけど」
有里「……ごめん」
岳羽「謝れって話じゃないんだってば。相手の事考えすぎるのもどうなのかなっていうか。そういう事」
有里「ゆかりは難しい事を言うね」
岳羽「君がいない間に大人になったんだよ。三年もほったらかしてるから」
有里「そうだね、惜しい事をしたかな」
岳羽「大人になったんだよ。なっちゃったんだよ。君が帰ってこないから、私だけ」
有里「……」
岳羽「今更帰ってきてどういうつもりなの?忘れて、これからは前を向こうって思ったのに、今更」
有里「だから、何も言わなかったんだ」
岳羽「……なんて、ね。冗談」
有里「ゆかり、僕は……」
岳羽「あー、言わないで。真面目な話苦手だからさ。とにかくお帰り。それが言いたかったの」
有里「……ただいま。これからまたよろしく頼むよ」
岳羽「うん、よろしく。ごめんね、時間取らせちゃって。何日くらいいるの?」
有里「用事が無くなったら帰るけど……何か、色々あるみたいだから。一日や二日では帰らないかな」
岳羽「そうなんだ。その内私にも付き合ってよ、久しぶりにさ」
有里「うん、いつでも。それじゃ、おやすみ……また明日」
岳羽「……ばか。今更だよ、ほんとに」
448 = 436 :
【鳴上の部屋】
鳴上「よく考えたらベッド一つしかないぞ」
有里「布団……って、土足だよね、床はまずいか」
鳴上「……」
有里「……」
鳴上「いや、流石にそれは」
有里「僕は平気だけど」
鳴上「狭いぞ」
有里「くっつけば平気じゃない?」
鳴上「暑くないか?」
有里「僕、体温低いよ」
鳴上「……」
有里「……」
鳴上「どうする」
有里「美鶴の部屋にでも……いや、里中さんがいたっけ。流石にまずいな」
鳴上「いや、桐条さんだけでもまずいだろう。どうしたもんか」
有里「陽介と順平のとこはどうしてるんだろう」
鳴上「見に行ってみるか」
>……。
449 = 436 :
有里「僕だけど、ちょっといいかな……?」
陽介「流石に狭いっすよ!これ狭いっすよ!」
順平「いける!俺達ならやれる!」
陽介「ちょ、どこ触って、アッー!」
鳴上「……そっとしておこう」
有里「どうでもいい」
鳴上「でも、ここは一つのベッドで寝ようと奮闘してるみたいだな」
有里「僕はそんなに体大きい方じゃないから平気だと思うけど」
鳴上「気分的に微妙だ」
有里「じゃあ椅子で寝ようか?僕、寝るの得意だよ」
鳴上「なんだその特技」
有里「膝枕さえあればどこででも寝れる」
鳴上「そうか……」
有里「どうする?」
鳴上「湊がベッド使えよ。俺は……ラウンジででも寝ようか。この時期だし風邪はひかないだろ」
有里「今は君の部屋だから、君が使うと良い。なら僕がラウンジに行くよ」
鳴上「いや、俺が」
有里「いや、僕が」
鳴上「……一緒に寝るか」
有里「ごめんね?」
鳴上「いいさ。明日桐条さんに言って何か考えてもらおう」
有里「そうしようか。じゃあ、どうぞ」
鳴上「こっちを向くなこっちを。お前の胸で寝る気はない」
有里「冗談だってば。おやすみ」
鳴上「ん、おやすみ」
450 = 436 :
【2012/5/7(月) 晴れ 巌戸台分寮】
風花「おはよう、もう時間だよ?起きてる?」
鳴上「あ……おはようございます」
風花「有里君も起きてる?」
鳴上「おい、湊……駄目だ、まだ寝てます」
風花「しょうがないな……開けても大丈夫?」
鳴上「あ、はい。どうぞ」
風花「おじゃましま……」
鳴上「ほら、起きろって。山岸さん起こしてくれてるぞ」
有里「風花……?」
風花「な、え、ご、ごめんなさい!何も見てないから!」
>風花は慌てて部屋を出て行った。
有里「おはよう、風花……ってあれ。いないけど」
鳴上「なんだかわからんが逃げられた」
有里「ああ、そう……おはよう、悠」
鳴上「おはよう。俺は学校に行かなきゃならないから……」
有里「僕は……そうだな。美鶴にでも話を聞いてみよう。そういえば、陽介と里中さんも授業受けろって言ってたっけ」
鳴上「連れて行った方がいいのかな」
有里「それも美鶴に聞くしかないね」
鳴上「とにかく着替えよう。さ、早く起きろ」
有里「うん……ふわぁ、あ」
>……。
岳羽「二人ともおはよう……あのさ、私ってそういうのに差別的な感情無いからね」
鳴上「何がですか?」
有里「何が?」
岳羽「いや、だって……有里君、趣味変わった?」
有里「そう言われればそうかもしれないね」
岳羽「あ、そー……ま、そんなことで付き合い方変えたりしないから安心して!じゃ、またね!」
>ゆかりはそそくさと逃げていった。
鳴上「何だ?」
有里「さぁ」
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