元スレ勇者「ハーレム言うなって言ってるじゃないですか」盗賊「……3、だよ……」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
601 = 1 :
カンダタ「むかつくなぁっ、テメェ、テメェが!!!!」
バキッ!!!バキッ!!!バキッ!!!!
勇者「がっ!!?ぎぃっ!!ぎゃっ」
カンダタ「なぁっ!!?お前がっ!!!!お前がっ!!!!」
バキッ!!!!!バキッ!!!!グチャッ!!!!
勇者「ぶぁ!!!あぎゅっ!!!!!がひっ!!!!」
カンダタ「あぁっ!!!?おらっ!!!!!こらぁっ!!!!!」
ガゴッ!!!!!ガギャッ!!!!ギョチュッ!!!!!
勇者「っっ!!!!!っっ!!!!!っっ!!!!!」
カンダタ「糞がぁっ!!!!!お前が!!!!お前だけがよぉ!!!!!」
カンダタ「なんでだよ!!!!おらっ!!!!なんでか!!!!言って!!!!みろ!!!!!!」
ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!ガッ!!!
勇者「っ、っ」
カンダタ「ふっ!!ふっ!!!!ふっ!!!!ふっ!!!!」
ガッ!!!ガッ!!!ガッ……ガ……
カンダタ「ふっ……!!……」
ピタ……
カンダタ「……」
勇者「あ、っ、っぎ」
カンダタ「…………てめぇはよ……本当に最高に理想的で……」
パッ
勇者「っ」ヨロッ
カンダタ「……最高にイライラすんぜ……!!!!」
602 = 1 :
ドサッ
勇者「~~っ、~~~っっ……!!!」ビチャビチャ
カンダタ子分A「……」
カンダタ子分B(……あんな戦い方する親分……初めて見る)
カンダタ子分C「うわ…………すげぇ鼻血の量だ……」
カンダタ「はぁっ……はぁっ……!!」
カンダタ「……ははっ!ははははは!!!!くそ、くそが!!いい加減大人しく寝てやがれ!!!!」
勇者「っ、っ、っぁ」
勇者(しまった、血が、止まらない、まずい、まずい)
戦士「……」
勇者「っ……!」
戦士「……」
戦士「……」
戦士「……ぁ」
戦士「ッッああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
カンダタ「!!!?」
カンダタ子分達「「「っっ!!?」」」ビクッ
603 = 1 :
戦士「カンダタァァ!!!!ふざけんなっ、ふざけんなてめぇ!!!!!」
戦士「勇者に何してんだお前!!!!何したお前!!!!!!!お前!!!!!!!」
カンダタ子分C「おい!ちょっ……!おとなしくしろ!!」
戦士「勇者に触るな!!!!!!殺す!!!!殺してやるっ!!!!!」
ギリギリギリギリ!!!
戦士「……っ!!!これっ!!解け!!!!!アタシともう一回勝負しろ!!!!!勇者に近寄るな!!!!解け!!!!!」
戦士「そんなにリンチがしたいんなら、アタシに!!!アタシにしろ!!!!!」
ギリギリギリギリギリ!!!!
戦士「……――勇者に!!!!勇者に触んなぁぁぁ!!!!!!」
カンダタ子分D「こいつっ!!」
勇者「戦、っ……士……!」
カンダタ「…………うるせぇな……」
戦士「聞いてんのか!!!!早くっ!!!!これ、外して、こっち!!来いッ!!!!」ギリギリ
カンダタ「……っち……水差しやがって」
カンダタ「おい!てめぇら!そいつの口少し塞いどけ!!」
カンダタ子分「うすっ!!」
カンダタ子分B「おい、ちょっとこっち向け」
グイッ
戦士「っ――!!!!!」
カンダタ子分B「えっ?」
ガブッ!!
カンダタ子分B「があぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!?」
カンダタ子分「子分B!!こいつっ!!離せ!!」
戦士「ぎぎぃっ……!!!!」
カンダタ子分B「手、手がぁぁッ!!!」
604 = 1 :
カンダタ「何やってんだてめぇら!」
勇者(戦士……!!)
戦士「……――っ!!」グググ
なにやってんだろう
あんなに勇者はボロボロなのに、なにやってんだろう、アタシ
カンダタ子分B「千切れる!!千切れちまうッ!!!!」
今までだってそうだ。今までも、何をやってたんだ?
勇者の師匠だとか
一番最初の幼馴染だとか
一番の親友だ、とか、言って
カンダタ子分「このアマッ……!!!」ヒュンッ
戦士「!!」
傷ついた勇者に、何もできなかった
いつも、いつも
今だって――……
バキィィッ!!
戦士「あぐ……っ……!!!!」
……――あの時だって
605 = 1 :
ダッ!!
カンダタ「!!?」
戦士「ぐっ……!!」
カンダタ子分「ったく……!骨折らせやがって……」
タッタッタ!!
カンダタ子分「ん?……」クルッ
カンダタ子分「……――ひぃぃっ!!!?」
ズバァッ!!!!!
カンダタ子分「ぐあああああッッ!!!!!」
ドシャァッ!!
カンダタ子分B「て、てめぇっ!!?」
ズザッ
戦士「ゆ、勇者っ……」
勇者「はあっ!!はぁっ!!」
勇者「戦士、大丈夫か?怪我っ、ない、か?」
戦士「馬鹿!馬鹿!大馬鹿野郎!!アンタの方が凄い怪我じゃんかぁっ!!」
カンダタ子分「っ、の野郎ォっ……!!!!」
カンダタ「へへっ……!あんなにボコされてまだ立つか」
カンダタ「よっぽど……その女の事が大事みてぇだな?」
606 = 1 :
クルッ
勇者「お前ら……ふざける、なよ」
勇者「戦士に手、あげてんじゃねぇよ……!!」
戦士「……」
戦士「馬鹿……」
本当に馬鹿だ、コイツって
カンダタ「ぎゃははは!!!!血まみれのままほざく言葉じゃねぇぞ!!!!」
勇者「うるさいッッ!!!」
ジャキンッッ!!!!
カンダタ「……」
勇者「今ので、僕がもう終わりなんて、思うなよ……!!!」
戦士「やめろ、お願い……もう、やめてくれよ……っ」
いつだって、本当、昔からだ
勇者「前にも同じような事を言ったっけ……?…………カンダタァ!!!!」
勇者「僕はまだ、立てるぞ!!!!剣を持てるぞ!!!!」
勇者「お前らの敵は、こいつじゃない!!僕だ!!!」
勇者「殺してみろよ!!!!来い!!!!!」
戦士「勇者の、馬鹿ぁ……っ……!!!!」
昔から、こんな奴だったんだ。――――コイツは
607 = 1 :
今日はおしまいです
投下するする詐欺、わろえない
608 :
いつも楽しみに待ってます
609 :
おつおつ
痛そう過ぎて見てらんないww
610 :
おつ
612 :
てめえで言ってちゃ世話無いね
乙
613 :
――――――――――――
―およそ十数年前、アリアハン―
―オルテガ邸―
タッタッタ
ザッ
武器屋『はぁっ、はぁっ!』
ドンドン
武器屋『こんにちわー!奥さーん!おじさーん!』
ガチャッ
勇者祖父『なんだ騒々しい!……あぁ、武器屋のせがれか』
武器屋『おじさん!すまないね煩くして!』
勇者祖父『構わん構わん。いつもの事だからな』
武器屋『それよりも!オルテガさん帰って来てるって本当かい!?』
勇者祖父『おぉ、本当だ。帰ってそのまま王様の所へ行ったがな』
武器屋『そうか……へへっ!今日は宴だ!!街の若い衆に声をかけてくるよ!』
勇者祖父『まぁ待て。長旅で疲れとるようだから今日はそっとしておいてやれ』
武器屋『あー、それもそうだなぁ』
勇者祖父『それに……それどころではない状況の様だからな』
武器屋『えっ?それってどういう……』
勇者祖父『あーもう、お前さんがオルテガに直接会うて確かめればよかろう!』
グイッ
武器屋『うわっ、ちょっとおじさん』
勇者祖父『わしは空き部屋の整頓で忙しいのだ!お前さんも嬢ちゃんが生まれたばかりだろう!』ベシッ
武器屋『あいたーっ!!叩く事ないでしょうがよ!!』
勇者祖父『やかましい!奥さんのためにもちゃんと働けこの童が!』
武器屋『わかりましたよ!宴にはおじさん呼んであげませんよ!』
勇者祖父『呼べよ!!』
614 = 1 :
―大通り―
スタスタ
武器屋『あいたた……あのじいさんは相変わらず本当に力強いな』
武器屋『……』
武器屋(しっかし、空き部屋の整頓って何するつもりだろうな……オルテガさんの部屋はまだちゃんと残ってるし)
武器屋(居候でも住ますつもりかね……)
町人『あっ!!オルテガ様!!』
武器屋『えっ!?』パッ
町人2『オルテガ様だ!!お帰りなさい!!』
町人3『お疲れ様です!!噂はアリアハンまで届いてますよ!!』
町人4『きゃーっ!オルテガ様!こっち向いてー!』
オルテガ『はははは!皆元気そうで何よりだ!』
勇者母『みなさん、ちょっとごめんなさいね。一回家に帰らなきゃ』
武器屋『オ、オルテガさん!!!!』ダッ
オルテガ『ん?おぉっ!!武器屋!』
ザッ
武器屋『へへっ!おかえりオルテガさん!!無事でなによりだぜ!』
オルテガ『お前も元気そうじゃないか、安心したぞ』
武器屋『俺はいつだって元気さ!奥さんもこんにちは!』
勇者母『ふふ、こんにちは』
武器屋『………………あれ?』
615 = 1 :
オルテガ『それで、どうだ?お前の所の奥さんの調子は……以前から病弱だったが』
武器屋『ん?あぁ、もう今は全然平気でさ。あっ!!そうだよ!!俺先月、娘が生まれたんだ!!』
オルテガ『なにぃっ!!?そりゃめでたいじゃねーか!!!ははっ!!会わしてくれよ!!奥さんの顔も見たいしな!』
武器屋『えへへっ!!これが本当にあいつ似で可愛くて――……って、あの、オルテガさん?奥さん?』
オルテガ『ん?』
勇者母『どうしたの?』
武器屋『いや、あの、さっきから気になってなんだけど……』
?『……ふぇ……』
オルテガ『お?あっ、ぐずりだした』
?『ふやあぁぁ……!ふやぁぁ……!』
勇者母『あらいけない、お腹すいちゃったのかしら』
武器屋『……奥さんが抱いてるその子…………誰の子だ?』
オルテガ『俺の子』
武器屋『……えっ』
オルテガ『俺の子だ。うん』
奥さん『あはは……そういう事らしいの』
武器屋『…………』
武器屋『……っ!』ハッ
武器屋『まさか浮k――……!!!!』
ベシィッ!!!
武器屋『うぎゃお!!』
オルテガ『人聞き悪い事言うな!!俺はこいつ一筋だっつうの!!』
武器屋『親子揃って突っ込みがきっついな……』
616 = 1 :
スタスタ
武器屋『拾った!?旅先で!?』
オルテガ『あぁ』
武器屋『それはなんとまぁ……その子にとっちゃ気の毒だな』
オルテガ『……本当にな』
武器屋『でも何処で拾ったんだよ?魔災孤児かなにかか?』
オルテガ『…………ロマリアの東の方の大陸だ』
武器屋『へ?そんな遠くでか?』
オルテガ『あぁ……まぁ、そんなところだ』
武器屋『ほぉ……でも、またオルテガさん旅に出ちゃうんだろ?大丈夫なのか?』
勇者母『それは任せてちょうだい。私が責任持ってこの子を守るわ。……でちゅよねー?』
?『きゃっきゃっ』
勇者母『んふふ……かーわーいーいー!』
オルテガ『な?大丈夫そうだろ?』
武器屋『だな……まぁおじさんも居るからな。安心か』
ヒョイッ
武器屋『どれどれ……おぉ、可愛い顔してるじゃねぇか』
オルテガ『はは、あんまり覗き込んでやるなよ。お前強面なんだから』
武器屋『あんたもだろーが!!……そういや名前は何にするんだ?』
オルテガ『…………名前はもうあるんだ』
武器屋『そうなのか?気が早いな』
オルテガ『あぁ、その子の――……いや、うん。俺が気が早いのは知ってるだろ?はは』
武器屋『そういやそうか!で、名前はなんていうんだ?』
オルテガ『……』
?『あー、あー』
オルテガ『…………勇者』
オルテガ『この子の名前は……勇者だ』
勇者『う?』
617 = 1 :
武器屋『へぇ、勇者ちゃんか』
勇者母『この子男の子よ?』
武器屋『えっ!?まじで!?』
オルテガ『……』
オルテガ『まぁ、その……武器屋』
武器屋『ん?どうした?』
オルテガ『俺がいない間……極力、こいつらによくしてやってくれ』
武器屋『……?』
オルテガ『俺もいつ旅の途中で――……』
武器屋『っ!!おっと!!それ以上は言うなよ!』
オルテガ『!』
武器屋『俺が兄貴分のアンタの家族に良くするのは当たり前だし……』
武器屋『……今のセリフは妻と子供の前で言う言葉じゃないぜ』
勇者母『…………』
オルテガ『……武器屋……』
オルテガ『…………へへ、そうだな。よろしく頼むぜ!武器屋!』
武器屋『おう!』ニカッ
武器屋『しかし……男の子ならうちの娘と将来結婚させちまってもいいかもな!なーんて』
オルテガ『あ、もうここに来る前にサイモンの娘とそういう事になる話になっちゃって』
武器屋・勇者母『『なにやってんだアンタ!!!!』』
オルテガ『お酒の力って怖いナァー』
武器屋『ナァーじゃねぇよ!』
勇者『きゃっきゃっ!』
…………
……
…
・
618 = 1 :
――――――――――――
―アリアハン・武器商店―
『ごちそーさまー!いってきまーす!』
武器屋『あっ、おい!戦士!ちゃんとルビス様と天国の母ちゃんにお祈りしたかー!?』
戦士(小)『うんっ!ゆうしゃとあそびにいってくるー!』
武器屋『夕飯までには戻れよー!』
戦士『わかってらー!』
タッタッタ
武器屋『……はぁ、おてんばになりやがって』
武器屋(しかし、母ちゃんが死んでからもう四年も経つのか……早いもんだな)
武器屋(…………母ちゃん、あいつはなんとか元気に育ってるよ)
武器屋(……)
武器屋(ちょっとだけ……いや、だいぶ…………男らしく)
…………
―アリアハン・広場―
タッタッタ
戦士『ゆうしゃー!!』
勇者『あ!戦士!』
ザッ
戦士『またせたなー!』
勇者『ううん!ぼくもいまきたところだから!』
619 = 1 :
?『あらら、お二人さん。おでかけ?』
勇者『え?あ!』
戦士『るいーださんだ!』
ルイーダ(若)『ふふ、二人は本当に仲がいいわね』
勇者『うん!』
戦士『きょうはねー!なわばりをパトロールしにいくんだよ!』
ルイーダ『あら、縄張りもちゃんとしてんのね?』
勇者『そう!なわばりのへいわは、ぼくたちがまもるんだ!』
ルイーダ『ふふふ、そうなの。頼もしいわ』
戦士『さいきんはぶっそうなやからがおおいからね!ぶちのめすよ!』
ルイーダ『ほ、本当に頼もしいわね』
戦士『うん!』
ルイーダ『それじゃ、私は店に戻らなくちゃ。じゃあねー』
勇者『またねー!』
戦士『ばいばーい!』
……
ドシャァッ!!
勇者『あぐっ!』
戦士『ゆーしゃぁっ!』
悪ガキ『オルテガ様ん家の偽子供がいきがってんなよ!!』
悪ガキ2『なにがここはお前らの縄張りだよ!ふざけやがって!』
バキッ!
勇者『あうっ!』
ドサッ
勇者『うあっ、う、うぇぇぇぇえぇっ……!』
悪ガキ3『こいつ泣いちまったぜ?』
悪ガキ『なんだよ!勇者様の子供のくせして泣き虫だな!』
620 = 1 :
戦士『う、うぅっ』
ダッ
戦士『ゆーしゃをいじめるな――っ!!』
悪ガキ『え?』
ドゴォッ!!
悪ガキ『はうぅんッ!!!!』
ドシャァッ
悪ガキ3『悪ガキ!!大丈夫か!?』
悪ガキ『玉、玉に、頭突きが、玉に』フルフル
悪ガキ2『っのくそ女!!』
悪ガキ3『もう女だからって関係ねーよ!こいつもやっちまおうぜ!』
ジリッ
戦士『ひっ……!』
悪ガキ2『おらぁっ!!』
ブンッ!!
戦士『きゃっ――……!!』
勇者『戦士っ!!』
ガバッ
戦士『!』
ドゴッ
勇者『あぐっ――……!!』
戦士『ゆーしゃ!!』
621 = 1 :
ドサッ!!
悪ガキ2『なにこいつ!!王子様気取りだ!!』
悪ガキ3『かっこつけやがって!!バーカバーカ!!』
ドカッ!ドカッ!
勇者『あぐっ!!うっ!!うぐっ!!』
戦士『ゆーしゃ!もういいよ!いいからどいてっ!』
ドカッドカッ!!
悪ガキ『いつつ……おい!もういいよ!今日はもうそいつら無視しとこうぜ』
ピタッ
悪ガキ2『おい、金玉大丈夫か?』
悪ガキ3『女になってんじゃねーの?ギャハハ!』
悪ガキ『るせぇっ!……おい偽息子!もうここらへんうろつくなよ!』
ギャハハハ……
スタスタ
……
勇者『……』
戦士『……ゆーしゃ……?』
勇者『……』
戦士『もう、あいつら、いったよ……?もう、あたしをまもらなくても』
勇者『……っく』
戦士『!』
勇者『っぐ……!ぐすっ……!ひぐっ……!』ポロポロ
戦士『ゆ、……ぅ、しゃ』
………
……
…
・
622 = 1 :
スタスタ……
戦士『……』
勇者『……』
戦士『……ゆうs』
勇者『……戦士』
戦士『え?』
勇者『ごめんね、ぼくのせいで』
戦士『……!?』
勇者『あいつら、ぼくをいじめたかったのに……』
勇者『戦士までいじめられて……ごめんね』
ポロポロ
勇者『ほんどに、ごべんっ、ごべんね』ポロポロ
戦士『…………』
…………
……
…
・
・
・・・
……
…………
―アリアハン・郊外―
戦士『……!』
武道家『うりゃ――っ!!!!』
ドシャァッ!!
悪ガキ『うぐっ!?』
悪ガキ2『あいつガキのくせに強ぇぞ!?』
悪ガキ3『子供Aとか子供Bが言ってた女ってあいつだよきっと!』
悪ガキ『っち!くそが!』ダッ
悪ガキ2『あ!おい!まてよ!』
タッタッタ……
武道家『はぁっ、ふぅ……!勇者をいじめたらわたしがしょうちしないからねっ!!』
623 = 1 :
勇者『武道家……』
武道家『ほらっ、勇者。たてる?』
勇者『うん……ごめんね。またたすけてもらっちゃった』
武道家『だいじょーぶだって!わたし、つよくなるためのとっくんしてるからね!』
勇者『……あり、がとう』
戦士『……』
武道家『ほら、戦士ちゃんもだいじょーぶ?』
戦士『…………うん』
武道家『そっか、えへへ!これからはわたしがいるからもうだいじょうぶよ!』
武道家『よろしくねっ!』
戦士『……』
武道家『……戦士ちゃん?』
戦士『…………うん』
戦士『……うん……よろしく』
…………
……
…
・
―勇者の家―
オルテガ『っぷはぁっ!』
ゴトン
オルテガ『ふぅぅぅ……今回の旅も疲れたよ』
勇者祖父『そうだろう、まぁ折角帰って来たのだ。ゆっくりするといい』
オルテガ『あぁ、今回は少し長く居れそうなんだ。こっちでやる事もあるしな。まぁ言われずともゆっくりするさ』
勇者母『あなた、女勇者も久々にお父さんに会えて嬉しいみたいよ。ホラ』
女勇者『おとーさんっ、おとーさん』ヨチヨチ
オルテガ『っっっ~~~……可愛いなお前はあぁぁぁぁぁ!!』ギュゥゥゥ
女勇者『おひげいやー』ムゥ
オルテガ『はぁぁ……よーし!かわいい勇者も抱擁を……って、あれ?勇者は?』
勇者母『ふふ、武道家ちゃんの家に行ってるわ』
624 = 1 :
オルテガ『武道家ちゃん?』
勇者母『最近できた勇者のお友達よ。あの子ったら女の子のお友達が多くて』
オルテガ『ほっほーう?流石は俺の息子だな!昔の俺を見ているよう――』
勇者母『……なんだって?』
オルテガ『いえその、なんでもないんですが。えぇ。はい。何でもないですよ』
勇者祖父『全く……このアホは……』
ガチャッ
勇者祖父『ん?』
オルテガ『お?』
戦士『…………こんにちわ』
オルテガ『……ん?お嬢ちゃん、まさか』
勇者母『あら戦士ちゃん!こんにちわ』
オルテガ『おぉぉ!やっぱり武器屋んとこの戦士ちゃんか!いやぁ大きくなったなぁ!!』
勇者母『ごめんね戦士ちゃん。今勇者いなくて。戦士ちゃんも一緒だと思ってたんだけど――……』
戦士『あ、ちがうんだ!勇者はいま武道家のとこいってるから』
勇者母『あら、知ってたんだ?じゃあ――……』
戦士『……あの!オルテガのおじさん!』
オルテガ『ん?俺か?』
戦士『あの、その』
オルテガ『どうした?お嬢ちゃん』
戦士『…………っ!』ギュッ
戦士『弟子にして!!』
勇者祖父『……』
勇者母『……』
オルテガ『…………はぇ?』
625 = 1 :
――――――――――
―ルイーダの酒場―
武器屋『がはははは!!そんな事言ったのかあいつ!!』
オルテガ『もうびっくりだぞ……今までも何回か弟子入り志願されたがあの子が最年少だ』
ルイーダ『で?なんて答えたの?』
オルテガ『まぁ、傷つけないようにやんわりとな』
武器屋『ははは、断ったんだな』
ルイーダ『ちょっとかわいそうね……』
オルテガ『ルイーダ、そりゃないよ……だってあの子、まだ四歳か五歳そこらだぞ?』
ルイーダ『まぁ、それもそうだけどねー』
武器屋『あははは……』
武器屋『……』
武器屋『……』
ルイーダ『……?武器屋さん?』
オルテガ『どうかしたか?いきなり静まりやがって』
武器屋『……オルテガさん』
オルテガ『ん?』
武器屋『…………俺からも、それ、頼んじゃ駄目かな』
オルテガ『……はぁ!?』
626 = 1 :
武器屋『厚かましいお願いだとは思うんだけどな』
オルテガ『いやいや、俺は別に――……でも、お前』
武器屋『あいつさ、多分、寂しいんだ』
オルテガ『え?』
ルイーダ『寂しい……?』
武器屋『あぁ……。アイツが……母ちゃんが死んでから、俺もアイツを一人で育ててきたけどよ』
武器屋『やっぱり、男手一つじゃ……ましてや不器用な俺の手なんかじゃ、アイツをおざなりにしちまう事が多くてさ』
オルテガ『……』
ルイーダ『……』
武器屋『でもさ、勇者がいたんだよ』
武器屋『勇者があいつのその寂しさを、全部取っ払ってくれてたんだ』
武器屋『もうアイツが物心つく前から、一緒にいたからさ。ずっと寂しくなかったんだ』
ルイーダ『……何をするにも、ずっとずーっと一緒にいたものね』フフ
武器屋『あぁ……でも、最近ふたりに新しい友達が出来ちまって』
ルイーダ『新しい友達?それって――……』
オルテガ『武道家ちゃん、って子の事か?』
武器屋『あぁ、そうそう。もう知ってんだな』
武器屋『……その子がな、悪ガキにちょっかい出されてる勇者を力尽くで助けたらしくてな』
ルイーダ『あの子、すごい強いのよね』
オルテガ『……なるほどな。それで、戦士は武道家ちゃんに自分の居場所を奪われそうだと焦っちまったんだな』
武器屋『ん……』
ルイーダ『そっか……』
627 = 1 :
武器屋『なぁ、オルテガさん』
武器屋『無理に、とは言わねーよ。ただ、少しでいいんだ』
武器屋『あいつに……少しだけ自信つけてやってくんねぇかな』
オルテガ『……』
…………
……
…
・
―アリアハン・郊外―
オルテガ『っと、言うワケで!』
オルテガ『今日から君の師匠になるオルテガだ!よろしく!』
戦士『ほ、ほんとに!?』
オルテガ『あぁ、ま、また俺が旅に出るまで、二、三ヶ月少しの間だがな』
戦士『やった――!!』
オルテガ『よし!今日から俺の事は師匠と呼ぶ事!いいな!』
戦士『はい!おししょー!』
オルテガ『あらやだかわいい』
戦士『えへへ!』
戦士(やった!これでつよくなれるんだ!これで――……!)
オルテガ『さて、まずは今日の特訓だが――』
戦士『!!なになに!?』
戦士(なにをするんだろう!けんじゅつ!?)
オルテガ『“武道家ちゃんと仲良くなる”だ!!!』
戦士『えっ』
628 = 1 :
オルテガ『それが今日の特訓だ!』
戦士『え、で、でもっ、とっくんって、つよくなるためじゃ』
オルテガ『オルテガ教訓その一ィ!!!!!!』
戦士『!?』
オルテガ『強さとは!!力のみにあらず!!』
戦士『……』
戦士『……?』
オルテガ『………………強い、っていうのはな。力だけじゃない』
オルテガ『友達とか、家族とか……そういう人たちを思う力も、強さになるんだ』
オルテガ『だから手始めに、武道家と……な?』
戦士『……っで、でも………………でもあたし』
オルテガ『……勇者をとられたみたいで嫌か?』
戦士『!』ビクッ
オルテガ『…………』
戦士『……』
オルテガ『……戦士』
オルテガ『勇者は、武道家ちゃんと仲良くなってから、お前をいじめたり、しらんぷりしたか?』
戦士『…………ううん……』
オルテガ『武道家ちゃんは、戦士の事をお邪魔虫扱いしたか?』
戦士『……ううん……』
オルテガ『……戦士は』
オルテガ『戦士は、武道家ちゃんの事……嫌いか?』
戦士『……』
戦士『…………ん』
戦士『……ううん…………ほんとは……なかよく、なりたい』
戦士『でも、武道家がいたら……ゆーしゃは、あたしのこと……いらなくなっちゃう……』
オルテガ『……』
ニコッ
オルテガ『それなら、大丈夫だ!安心しろ!』
629 = 1 :
オルテガ『人は誰かの代わりになんてなれないんだぞ!』
戦士『……ほんとう?』
オルテガ『あぁ。そうだな……例えばだ』
オルテガ『例えば、勇者が遠いどこかの国に行っちゃったとしt』
戦士『やだぁっ!!!!!!!!!』
オルテガ『うほぉぉうびっくりした、君今反応速度が尋常じゃなかったね、まぁ落ち着きなさいよ』
オルテガ『例えばの話だ。もし行っちゃったとして……代わりに俺が友達にすり替わってたらどうする?』
戦士『やだぁっ!!!!!!!!!!!』
オルテガ『なんかちょっと心にくるが、まぁそういう事だ』
戦士『え?』
オルテガ『今お前が思ったように、勇者もお前の事を大事にしてるって事だよ』
戦士『……そう、かな』
オルテガ『あぁ。だから、友達は気にせず一杯作るといい』
オルテガ『例え何人友達ができたって……お前と勇者は、いつだって幼馴染で、友達だよ』
戦士『……』
戦士『…………!!』
クルッ ダッ!!
オルテガ『お?』
戦士『おししょー!あたし、武道家のとこいってくる!』
オルテガ『おう!後で結果を教えろよ!!』
戦士『うん!!』
タッタッタ……
オルテガ『……はは』
オルテガ『まぁ、これで大丈夫そうだな』
クルッ スタスタ
オルテガ(さて……戦士が報告しに来るまでに、ナジミ様に会いに行くかね)
オルテガ(“あの話”……そろそろ本腰を入れねぇとな)
…………
……
…
・
630 = 1 :
今日はおしまいです
632 :
2日続けてとは…
乙
633 :
おつ
2回目のやだのほうが!多いww
635 :
―――――――――
―アリアハン・町外れ―
ガキィィッ!!
ズザッ!!
オルテガ『よし!一旦休憩だ!!』
戦士『ふぅ……ありがとーございました!』
オルテガ『うんうん、戦士は本当に筋がいいな。びっくりだよ』
戦士『ほんと!?おししょー!』
オルテガ『あぁ、前に俺が帰って来た時……お前が俺に弟子入りした時か』
オルテガ『あの時結局三日足らずで急用が出来て、お前にはろくな稽古もつけられずに発つ事になったが……』
戦士『へへっ!あのときおししょーがいってたこと、まいにちちゃんとぜんぶやってたからなっ!』
オルテガ『へ?俺が言ったトレーニングメニュー……“毎日全部”やってたのか?』
戦士『うんっ!』
オルテガ『……そ、そっか。あはは』
オルテガ(あのメニュー……一週間分って言ったはずなんだけどな)
戦士『よーし!つよくなるぞー!』ブンブン
オルテガ(…………こいつは、とんでもない娘さんを引き受けちまったもんだ)
オルテガ『よし!じゃあ今日は本格的に剣術を教えていこう!』
戦士『やったー!!』
オルテガ『それじゃあまず……』
『とうさん!』
オルテガ・戦士『『!!』』
タッタッタ
ズザッ
勇者『はぁ、はぁっ……!』
戦士『ゆうしゃ!』
636 = 1 :
オルテガ『……どうした?勇者』
勇者『とうさん……』
ギュッ
勇者『おねがい!ぼくにもたたかいかたおしえて!』
オルテガ『!』
戦士『え!?ゆうしゃも!?』
オルテガ『…………』
勇者『ぼくも……つよくなりたい、勇者になりたいの!』
勇者『とうさん!おねがいします!』
オルテガ『……』
戦士『あはは!それじゃゆうしゃはあたしのおとうとでしってことに――……』
オルテガ『駄目だ』
戦士『……え?』
勇者『っ……!』
オルテガ『すまないがお前には教えられない……』
オルテガ『お前は家に帰っていなさい。父さんもあとで帰るから』
勇者『……!!』
戦士『おししょー……?』
勇者『とうさん!なんで――』
オルテガ『二度は言わんぞ勇者』
勇者『っ』ビクッ
オルテガ『すまないが……お前には教えられないんだ』
オルテガ『わけはいずれ話す……だが今は駄目だ』
オルテガ『…………帰って母さんの手伝いをしていなさい』
637 = 1 :
戦士『おししょー……』
勇者『……』
勇者『…………なんで』
ダッ
戦士『あっ』
勇者『っ……!!』タッタッタ
タッタッタ……
…
戦士『……ゆうしゃ……』
オルテガ『……』
戦士『おししょー、どうしてゆうしゃには』
オルテガ『いずれ、話す時がくるさ』
戦士『……?』
オルテガ『さ、練習に戻るぞ。まずは剣術だが――』
戦士『はいっ!』
戦士『……』
――――――――――
―アリアハン・郊外―
スタスタ
戦士『ゆーしゃー!ゆーしゃー!』
戦士『…………どこいったんだよ……あいつ』
ザッ
戦士『……あ』
勇者『……』
戦士『……こんな、いわのかげにいたのかよ』
勇者『え?……あぁ、戦士』
戦士『…………おししょーとサイモンさん、またたびにでちゃったな』
勇者『……うん』
戦士『…………』
638 = 1 :
勇者『ねぇ、戦士』
戦士『ん?どうした?』
勇者『……なんでとうさんは、ぼくにたたかいかたをおしえてくれなかったのかな』
戦士『それは……』
勇者『……』
戦士『……』
勇者『……は、はは、ごめんね』
勇者『こんなこと戦士にいってもこまるだけだよね……ごめんなさい』
戦士『…………』
勇者『……ぼく、かえるね』
スタスタ
戦士『……っ』
戦士『ゆうしゃ!!』
勇者『え?』ピタッ
戦士『……いいことおもいついたぞ!』
勇者『いい、こと?』
戦士『ああ!』
戦士『あたしはおししょーのけいこうけてたから、“りゅうは”はおししょーとおんなじだ!』
戦士『だからさ――……あたしがゆうしゃのししょうになればいいんだ!』
勇者『……』
戦士『……』
勇者『……ハっ』
戦士『おまえいまはなでわらっただろ!!!!』
639 = 1 :
勇者『だって、おんなのこの戦士にでしいりなんて!』
戦士『おんなとかかんけーねーだろーが!』
スッ!
勇者『えっ、なんで木刀かまえてるの?』
戦士『じゃあどっちがつよいかやってみようぜ!』
戦士『まけたほうがかったほうにでしいりだからな!!』
勇者『そ、そんなのできないよ!!』
戦士『やかましい!ほら!木刀もってるだろ!かまえないとけがするぞ!』
勇者『っ、ちょっと!戦士』
戦士『うらああ――――っ!!!!』ダッ!!
勇者『ぐっ!?この、おてんばむすめ!!』ザッ!!
ガキィンッ!!
ズザッ
戦士『よっしゃー!いくぞ!』
勇者『やかましー!』
――――――――――――
ドシャッ
勇者『はぁっ、はぁっ!』ゼェゼェ
戦士『ふぅっ……へへ!あたしのかちだな!』
勇者『くぅ……くやしいぃ……!!』グヌヌ
戦士『へへへっ、ゆうしゃ!』
勇者『な、なに、さ……』ゼェゼェ
戦士『……これから、あたしはおまえのししょうだからなっ』
ニパッ
戦士『よろしくなっ!』
勇者『……』
勇者『……はは』
勇者『…………うん、よろしく、たのむよ……ししょう』
戦士『!!……えへへー』
…………
……
…
・
640 = 1 :
――――――――――
―アリアハン・町外れ―
勇者『……』
スタスタ……
ザッ
戦士『…………勇者、ここにいたのか』
勇者『ん……戦士』
戦士『……みんな、心配してたぞー』
勇者『はは、すぐもどるよ』
戦士『……』
ストッ
勇者『ん?』
戦士『よっと……隣、座るぞ』
勇者『うん』
サァァァ……
戦士『…………』
勇者『……』
戦士『…………』
勇者『……』
戦士『……まだ……よく、わかんないんだ』
勇者『……』
戦士『お師匠の事……さ』
勇者『……うん』
641 = 1 :
戦士『…………でもさ!きっとさ!』
勇者『ん?』
戦士『きっとさ!だいじょうぶだよな!!』
戦士『きっと、すげぇ魔法とかでババーンってさ!たすかって!』
勇者『うん』
戦士『いや、魔法とかじゃねーかもしんないけど、もしかしたら力だけかもな!』
戦士『力でその場をババーッってきりぬけて!!みんながわからないうちに魔王のいえにしのびこんで!!』
勇者『うん』
戦士『そういうけいかくとか、しててさ!だから、多分さ、これは嘘で、アタシたちをだますための、さ!!』
戦士『ホラ!!よく言うじゃんかよ!!てきをだますにはまず味方から~とか!!』
勇者『うん』
戦士『だから、これは多分全部うそでさ!でなきゃあのお師匠が!!』
戦士『全部っ、全部全部、うそじゃなきゃ……』
ギュッ
勇者『……戦士』ギュゥゥ
戦士『全部っ、ぜんぶ、うそなんだっ、でなきゃ、あのおししょうが、そんなっ』ポロ
勇者『…………ありがとう』
戦士『うそだよっ……きっと、うそだっ、こんなのっ……!!ぜんぶぜんぶ……!!』ポロポロ
勇者『……励まそうとしてくれて、ありがとう。戦士』ナデナデ
戦士『うっ、うぅっ……!!うあっ……!!うあぁぁぁっ……!!』ポロポロ
勇者『戦士の言う通りだよ……大丈夫だから』
勇者『きっときっと……父さんは。大丈夫だよ』
勇者『……父さんがしんだなんて、ぜったいうそだ』
戦士『ゆうしゃっ、ごべんっ、あたしっ、あたしっ……!!!!うあぁぁっ!!うあぁぁぁん!!!!』ポロポロ
勇者『……………………ありがとう……』ギュゥゥ
…………
……
…
・
642 = 1 :
――――――――――
―アリアハン城―
剣士見習い『班長!お疲れ様でーす!』
戦士『あぁ!ちゃんと帰っても基礎練習忘れるなよー!』
剣士見習い『はーい!』
スタスタ……
戦士『はぁ……アタシも帰るかな……』
スタスタ
戦士『……』
戦士(勇者、まだ城の中にいんのかな……)
『戦士さん』
戦士『ん?』クルッ
兵『今、訓練終わりですか?』
戦士『…………あぁ、兵か』
兵『はい。こんばんは、お疲れ様です』
戦士『お疲れ。なんだ?アンタも騎士訓練受けてたのか?』
兵『いえいえ、君ほどの腕っぷしは僕にはありませんからね』
戦士『腕っぷしは無いがキレる頭はあるってとこだろ?』
兵『はは、そうは言ってませんよ』
戦士『冗談だよ。なんだよ?勇者は一緒に帰ってないのか?』
兵『……彼はまだあの方の部屋にいますよ』
戦士『…………そっか』
兵『……本当に使えない』
戦士『……』
兵『なんで王はあんな愚図にあんな仕事を与えてるのか……』
兵『君もオルテガ様のお弟子なら不服じゃないんですかね?』
兵『彼が、“オルテガの息子”というだけであんなポジションにいる事が』
643 = 1 :
ヒュンッ!!
ガキィッ!!!!
戦士『……』ギリィッ
兵『……あぁ、びっくりした』グググ
戦士『あんまりうるせぇ事言ってんなよ……お前』グググ
戦士『……あいつは“オルテガの息子”なだけじゃない』ギリギリ
兵『……ふうん?』ギリギリ
戦士『“アタシの大事な幼馴染”でもあるんだ……二度とあいつの事をそんな風に言うな』
兵『はは、冗談、冗談ですよ……本気にしないで下さい』
スッ
戦士『……まだあいつの部屋にいるんだよな?そこ寄って帰るよ。じゃあな』
スタスタ
兵『……あんまり彼に幼馴染というだけで構うのはやめた方がいいのでは?』
ピタッ
戦士『…………』
兵『君も去年の火贈りの儀式の時の彼を見たでしょう……あの一連の出来事を知ってる者はあまり居ませんが』
兵『本来10つの齢を重ねた際に得られるルビス様の力を……彼は貰えなかった』
兵『彼は、戦士にも、武道家にも、遊び人すら……普通の一般民にもなれなかった』
戦士『……』
644 = 1 :
兵『…………これが、何を意味するかもうお分かりでしょう?』
兵『これが、他に知れ渡ったら……どういう事になるのかも』
戦士『……』
戦士『それが?』
兵『はい?』
戦士『それが……どうしてアタシが勇者に関わっちゃいけない理由になるんだ?』
兵『……』
戦士『……お前さ』
戦士『勇者に麗しの君のお相手のお仕事を取られたからって……嫉妬してんじゃねーよ』
兵『……っ!』
戦士『ん……?図星か?』
クルッ
兵『……嫉妬などではありません』
兵『本来なら、あの場所は僕の場所だったのですから』
兵『僕はただ不当に憤っているだけですよ……それでは』
スタスタ……
…
戦士『…………案外よえーのな』
戦士『……』
スタスタ
戦士『……』
戦士(…………あんな事、言ったけど)
スタスタ
訓練生『ねえ、勇者君の噂知ってる?』
訓練生2『えっ?なになに?』
戦士『!!』ピタッ
645 = 1 :
訓練生『実はさ、あの方に恋してるらしいよ』
訓練生2『えぇー!?嘘ぉ』
訓練生『あくまで噂だけどねー』
戦士『……』
訓練生2『でも身分が違いすぎるって!』
訓練生『はは、だよねぇ。結局騎士訓練からも追い出されて今の仕事についてるわけだし……』
訓練生2『あ、けどステキじゃない?お世話係の勇者君が抱く身分の違いに悶える恋――なんて』
訓練生『うんうん、ちょっといいかも!まぁ本当に叶いそうにないけどそこがまた――……』
戦士『……っ』
戦士『……ん、ん……うぉッほん!!ごほっ』
訓練生『え?……――あ』
訓練生2『せ、戦士ちゃん!』
戦士『よっす先輩方!なんの話してたんだ?』
訓練生『え!?ううん!なんでもないよっ!!!?』
訓練生2『はは、それじゃアタシ達これから帰るから!!戦士ちゃんは!?』
戦士『アタシはもうちょっと用事あるから……終わったら帰るよ』
訓練生『そっか!そ、それじゃね!』
スタスタ
訓練生2『うわー……聞かれてたかな今の』ヒソヒソ
訓練生『大丈夫じゃないかな?戦士ちゃんちょっと鈍いところあるし』ヒソヒソ
スタスタ……
戦士『…………』
戦士『……』
戦士『嫉妬……か』
スタスタ……
戦士『……アタシも、他人の事…………言えないな……』
…………
……
…
・
646 = 1 :
・
…
……
…………
―アリアハン・商店街―
ガヤガヤ
戦士『おーい!商人!』
商人『あ!戦士ちゃん!』
戦士『すげーなー客の量。ルビス祭前だからかな?』
商人『そうですねー。うちもてんやわんやですよ』
戦士『何か手伝おうか?』
商人『いやいや、いいです。戦士ちゃんが手伝うと凄い余計めんどくさい事になりそうです』
戦士『このやろう……』
商人『あはは、冗談ですって』
タッタッタ
僧侶『あ!戦士ちゃん!商人ちゃん!』
戦士『お!僧侶も来てたのか!』
商人『こんにちわ僧侶ちゃん』
僧侶『こんにちわ!戦士ちゃんはお手伝いですか?』
戦士『いや、あたしは暇だからぶらぶらしてた』
商人『冷やかしですか!!!!』
647 = 1 :
戦士『だって今勇者とか任務でいないんだもんよー』
僧侶『あぁ、そうですね』
商人『僧侶ちゃんは?何の御用で?』
僧侶『はい!ルビス祭にむけてお料理をいっぱい作らないといけないので、そのお買い物ですっ』
商人『いらっしゃいませお客様』
僧侶『いらっしゃいました♪』
戦士『しっかり接客すんのな』
商人『そりゃあお客様ですからね!誰かさんと違って!!』
戦士『金の亡者め!』
商人『ふん!なんとでも言うがいいです!』
僧侶『け、喧嘩は駄目ですよ?』
商人『……せっかく』
戦士『え?』
商人『せっかく、勇くんのおかげでなんとかここに居れるんです』
商人『金の亡者にだってなんだってなってみせますよ』
戦士『……商人』
僧侶『……商人ちゃん』
商人『………………はっ!?』
商人『いやいやいやいや!!今のはちがくてっ、口が滑ったといいますかっ!!///』
戦士『愛いやつめ』ギュウゥ
僧侶『ういやつめー』ギュウゥ
商人『あーもー!!!!抱きつくんじゃねーですよ!!はよ買い物しなさいや!!!!』
648 = 1 :
スタスタ
僧侶『ふふ、いろいろおまけ貰っちゃいました』
戦士『アタシもリンゴ貰っちまったよ。今度なんかで返さないとな』ムシャムシャ
僧侶『そうですね!』
ガヤガヤ
戦士『……しかし凄い人だなー』
僧侶『見た事無い人たちも多いですね』
戦士『いろんな国から来てるらしいからなー……店もいろんな屋台が開いてるなぁ』
僧侶『ルビス祭にはこれの10倍くらい開いてますよね……今から楽しみですっ!』
戦士『だなー。あ、僧侶今からなんかあるの?』
僧侶『いえ、お夕飯までに教会に戻らないといけないですけど、それ以外は特に何もないですよ』
戦士『そっか!じゃあ一緒に屋台見てまわろうぜ!』
僧侶『そうですね!いきましょう!』
戦士『うん!』
……
スタスタ
戦士『はぁ……もう食えない』
僧侶『いっぱい食べてましたね……大丈夫?』
戦士『うん……多分夕飯までには胃袋が頑張ってくれるだろ……』
僧侶『ふふ…………あ』
戦士『ん?どした?』
僧侶『ちょっと、いいですか?』
戦士『ん?うん……』
タッタッタ
僧侶『……わぁぁ……』
戦士『…………?』
649 = 1 :
戦士『僧侶、どうした?何の店に――――……装飾品屋?』
店主『あら、お嬢さんお気に召した物があった?』
僧侶『はいー……わぁ、どれもかわいい……!』
店主『あれだったら試着してみなよ。鏡もあるから』
僧侶『え!?いいんですか!?』
ワイワイ
戦士『…………』
戦士(……飾りか)
戦士(もう、最近そんなもの考えた事もなかったな)
戦士(ずっとトレーニングの毎日だったしな……)
戦士(……)
僧侶『戦士ちゃん!』
戦士『ん?』
僧侶『この花の髪飾り、どうですかっ?』キラキラキラ
戦士『ぎゃあああ!!まぶしいっ!乙女オ-ラがすごい目にしみるっ!!!』
僧侶『戦士ちゃん?』キョトン
戦士『あ、あぁ。凄い可愛いんじゃないかな』
僧侶『ほんと?えへへ』
戦士(ぐむむ、同じ生き物とは思えねーな……)
僧侶(勇者くん、こういうの……好きかなぁ)
650 = 1 :
僧侶『戦士ちゃんもどうですか?』
戦士『はぁっ!?』
店主『そうよ、お嬢さんも可愛いんだから、試してみなよ』
戦士『あ、アタシは……』
戦士『……』
戦士『はは、アタシはいいや』
僧侶『……戦士ちゃん?』
店主『そう?残念ね……』
戦士『ガラじゃねーよー。それより、僧侶それ買うの?』
僧侶『あっ、そうでした!これください!』
店主『まいどありー!お嬢さん可愛いからまけておくね!』
僧侶『そ、そんなっ、だめです、申し訳ないですっ』
ワーワー
戦士『…………』
戦士(……今更)
戦士(今更、着飾ったって……)
戦士(こんな風にガサツに……どっちつかずに……育っちまったんだ)
戦士(もう……どうにもなんねーよ)
戦士(……)
戦士(もし、もし最初から……アタシがもっと女っぽかったら)
戦士(別の形で……勇者と一緒に居れたのかな)
戦士(……今のアタシは)
戦士(…………いろんなものが中途半端で)
ギュッ
戦士(……アイツのそばに……なんだか居場所が……ないみたいに感じるよ)
…………
……
…
・
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