元スレ士郎「人の為に頑張ったヤツが絶望しなきゃいけないなんて間違ってる」ほむら「……」
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401 :
fateルート後ってことは固有結界は使えないけどアヴァロンの投影は出来るのかね?
他でエミヤがアヴァロンでソウルジェムを浄化しているのを見たが、士郎じゃ無理か
アヴァロン投影は魔翌力消費がすごすぎるんで普段の士郎じゃ無理
魔法少女全員で魔翌力補給してあげればいいじゃない♪
たっぷり魔翌力補給してもらってアヴァロン投影
魔翌力補給したせいで穢れたソウルジェム浄化
へとへとになった士郎に魔法少女達が魔翌力補(ry
以下、繰り返しすれば
402 :
長えよ
403 :
>>401
その手の話はもう終わった。好きなキャラでも叫んでろ。
404 :
ほむらちゃんがもっとおっぱいあったら大好きになれる
405 :
ちっぱい舐められて売れし恥ずかしがってるのがかわいいんだろ
406 :
さやかペロペロ
407 :
杏子ちゃんに罵られながら心配されたい
408 :
奇妙なくらいに伸びてますね
私も結構楽しんでますので、雑談や議論は別に構いません
ただし、ケンカにならない範囲に収めてください
自分の意見が絶対に正しいんだって人は、情報源の提示が出来ればみんな納得いくでしょう
>>風王結界
これは、アーサー王付きの魔術師(ほぼ100%マーリンでしょうが)の魔術が、聖剣を隠す鞘としてアルトリアの宝具となった物です
ですので、鞘という概念を得ている為、士郎が投影する事が可能、という理論です
もちろん使ったら面白いなってだけの妄想ですし、公式による発表はありません
が、仮に発表があったとしたら、Noという答えになる気はします
>>355
それはなかった事にしたいとかいう話を聞いた気がします
まあ、部品を一つ一つ投影して組み立てれば(ry
>>361
アーチャーの腕は関係ないですね
Fateルートのバーサーカー戦でも衛宮士郎では不可能な事をやってますし
>>364
私としては、実体が存在すると思います
伝説通りの、7枚の皮を貼り付けた青銅の盾、という通常の姿があるんじゃないかと
>>373
ご飯作ってあげたくなるところ
>>377>>379
殺っちゃえ、バーサーカー!
409 = 408 :
>>392
二次創作と言えど、私も原作厨みたいな所があるので、公式は蔑ろには出来ないですね
私はマミさん派です
>>398
そのネタ、2回目ですよ
>>400
クッキングバトルの人みたいな描写がしたいなーと思ったけど、そもそもあまり料理が好きじゃないのに気がつきました
それでも、そう感じてくれたのなら嬉しいような、悲しいような
>>401
全て遠き理想郷をアーチャーが投影しない理由として、投影できないという説があります
ある時点でイメージが消えたという2つの説ですね
それはセイバーとの契約が切れた時と大聖杯が解体された時です
このSSでは後者の設定を採用していますので、一応士郎は投影が出来ます
ですけど、全て遠き理想郷でソウルジェムの浄化が出来るというのがいまいちよく解りません
あれの基本効果を大雑把に言えば、所有者の傷を癒し、呪いを跳ね返す事なので
あと>>253の通り、魔女及び魔法少女の魔力とマナやオドは別物なんで互換性はありません
というか、永久機関なんて無理に決まってるじゃないか
ところで、鷹な話題を2つ
能ある鷹は爪を隠す、とは言いますが、爪を隠した結果失敗するなんてばかばかしいですよね
なめたメンバーでかかった挙句、負けてんじゃねえよ、ホークス!つーか、秋山!
先週のFate/Zeroでのアイリの針金の鷹って、マミさんも真似出来そうですよね
機会さえあれば、やらせてみましょうか
410 = 408 :
タイガ
よい子のみんな、元気ー? 第1回タイガー道場の時間だよ。
イリヤ
わたしたちの出番は本来ない予定だったんだけど、とある条件に引っかかっちゃったので、
めでたく出番がやってきたのでした!
タイガ
ふむ。それで弟子1号! そのとある条件とは何なのだ!?
イリヤ
いたって簡単よ。それは『キャラアンチ発言』。
>>377とか>>379の発言が引っかかったわ。
タイガ
うわー、女の子に酷いコト言うわねー。
現代の若者のモラルがこんな低いなんて、お姉ちゃん信じられない!
イリヤ
まったくよ。レディーに対して言う事じゃないわ。
タイガ
反省しなさい、反省!
で、このさやかちゃんっていうのは誰なのかな?
411 = 408 :
イリヤ
それについては専門家をお呼びしているわ。
ネコ二十七キャットの1匹、引きこもる猫のネコカオスさんです!
ネコアルク・カオス
ご紹介に預かった、ネコアルク・カオスにゃ。
で、さやかちゃんとは今年の春にやっていたアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の
主人公『鹿目まどか』の親友である『美樹さやか』の事にゃね。
タイガ
ふむふむ。親友ポジションという事は、柳洞君みたいな子なのかな?
ネコアルク・カオス
入院している幼馴染の少年の元へしょっちゅうお見舞いに行く一途な娘にゃね。
彼女は魔法少女となる際の願いで、彼の怪我を治す事を祈ったのよ。
タイガ
なんて、なんていい子なの! お姉ちゃん、思わず感動!
当然、さやかちゃんは幸せになれたのよね?
イリヤ
ちょっと待って、タイガ。脚本家の名前をよく読みなさい。
ネコアルク・カオス
その通り。このアニメは、かの悪名高きプラモデル屋の作品なのにゃ。
一般人として魔法少女の世界に踏み込んでしまった彼女は、悲惨な最期を遂げてしまう。
412 = 408 :
タイガ
ジーザス! 神は死んだか!?
こんないい子が幸せになれないなんて、彼奴は悪魔か!?
イリヤ
タイガ、今放送しているFate/Zeroの原作者にむかってそういうコト言うのはどうかと思うわ。
それに、我らが菌糸類の友人でもあるそうよ。
ヘタに刺激して、わたしたちのルートの制作予定を消されたら……。
ネコアルク・カオス
そんにゃの、最初からにゃい。
タイガ
やかましい!
とにかく、士郎! 絶対にさやかちゃんを救ってあげること!
そうしないとお姉ちゃん、絶対許さないんだからね!
イリヤ
そんな訳で第1回はここまで。
師しょー、おしおきはどうします?
タイガ
初犯なので、竹刀で1発ずつで許してあげます。
次やったら、こんなんじゃ許さないわよ?
じゃあ、バイバーイ。
ネコアルク・カオス
バイビー。
413 :
イリヤちゃんいなら竹刀でしごかれたいです!!
414 :
どう考えてもタイガのほうが可愛いだろ
ブルマなんてお呼びじゃない
415 :
>>414
その辺にしておけよ、藤村
416 :
タイガかわいいよタイガ
>>377と>>379のおかげでタイガきたああああああああ
よくやったぞ!
417 = 407 :
どうせなら音子さんのが・・・・・
418 :
アイリが良いよな
419 = 406 :
アイリたん、娘さんをください!
420 :
切嗣さん、嫁さんを僕に下さい!
421 :
士郎さん、養父を僕に下さい!
422 :
セイバーさん、メシ使いを僕に下さい!
423 :
セイバーからメシの使いを取り上げたらエクスカリバーぶっ放されるぞ
424 :
セイバーさんがアヴァロンに引きこもって出てこなくなった…
425 :
しかし食べ物の匂いに釣られて出て来てしまった
426 :
駄目でござる。今日は断食でござる。
427 :
何、この流れ?
というか、藤ねえ人気すぎでしょ
これってもしかして、今後もたまにタイガー道場やった方がいいみたいな話?
生き抜きも兼ねて30分ほどで書けたから、やる分には問題はないんですが
>>415
略してSSF
SFFに似てますよね
私には球速が足りなくて意味のない変化球ですが
>>416
ヴァルハラ温泉にぶち込まれたいですか?
>>417
零観さんと一緒に出れればいいですね
では、はじまりはじまりー
428 = 427 :
ワルプルギスの夜まであと11日
日はゆっくりと昇り、そしてゆっくりと傾いていく。
夕暮れ時には1日の終わりという、どこか不安を煽られるような感覚に襲われるものだ。
―――否。
魔女という怪物が跋扈するこの街においては、確かに煽られているのだろう。
そうして感情が不安定になる時間帯。
この衛宮士郎もただの居候から魔術師へとその在り方を変える。
「せあっ―――」
両手の干将・莫耶を使い魔に斬りつけた。
異界と化した空間に人のそれとは思えぬ断末魔が響き、その異界が崩壊する。
周囲の景色が現実の物へと戻っていった。
「ふぅ……」
張り詰めた意識を解すように一息つき、両手の剣を想像の世界へと還す。
戦闘態勢を解く事で、ここでの戦いが終わった事が実感させられた。
「こいつらとの戦闘も、だいぶ慣れてきたな」
魔女や使い魔は理性を持たない怪物のようだが、バーサーカーのような凄まじさはない。
攻撃も割りと単調な為、場数を踏めば対処に困る事はないだろう。
加えて、干将・莫耶の対怪異の効果のおかげか、その辺の使い魔程度なら一撃で片付けられる。
魔女の結界に乗り込む時だって、赤原礼装を身に付ければ魔女の地の利はないに等しい。
「まったく、遠坂さまさまだ。
あいつの餞別がこんな所で活きるなんてな」
今もなおロンドンに居るであろう我が師(あかいあくま)に感謝しないといけない。
尤ももう会う事も、ないのだろうけれど…………。
「っと、いかんいかん。センチメンタルなんて俺には似合わないな」
よし、と気を引き締める。
見上げれば赤かった空は茜色に染まり、まもなく闇へと変わる筈だ。
これ以上魔女も使い魔も現れないのなら、長居する必要もなし。
今日はもう帰ってメシの仕度でも―――。
429 = 427 :
「おいっ、鹿目!どうしたんだ!?」
通りの表を走る鹿目を見つけた。
人並みか、もしかするとそれ以下の体力しかなかった彼女が息を荒げているのだ。
その様子を見て胸騒ぎを感じずになんていられる訳がない。
懸命に走る少女の背中を追いかける。
「あっ、衛宮さん!
あの、さやかちゃんが、その、なんて言うか、とにかく大変なんです!!」
まともな思考が出来ないほどに、冷静さという物が蒸発した言葉。
詳しくは解らないが、何かが起こってる事だけは読み取れる。
ならば、今はそれだけで十分だ。
「解った。ほら、俺に乗れ」
軽い体を持ち上げ、無理矢理俺の背中に乗らせる。
きゃっ、という返事が聞こえたが、気にしている暇などないのだろう。
「案内頼むぞ。美樹はどこだ?」
「街外れのバイパスみたいです!」
「おっし、了解!」
一旦足を止め、先ほど降ろした撃鉄を再び起こす。
意識を脚に集中させ、筋繊維の隙間を埋めるイメージを描く。
「しっかりつかまってろよ?
―――同調、開始!」
強化がかかると同時にスタートを切った。
どうやらメシの仕度は、まだまだ出来そうにないな―――。
430 = 427 :
Interlude
住宅街の外れ。
バイパスを覆うように作られた巨大な歩道橋。
真下では行き交う車がエンジンを唸らせているが、そこ自体は静かな空間。
日が沈んでしまえば、誰も人が居ないのが当然の場所だ。
しかし今この時は、2つの人影がそこにあった。
1人は紅い長髪をひとつにまとめた軽装の少女。
もう1人は青い短髪に制服姿の少女。
偶然居合わせた赤の他人という訳ではないようだが、
2人の間に漂う雰囲気は友人同士のそれとは似ても似つかない。
いや―――むしろその雰囲気は、絶対に相容れない敵同士が発するそれだ。
他者の介入を許さない。
おまえだけは絶対に認めない。
そんな年不相応の敵意を向け合う少女たちが、橋の対岸を背にして相対した。
「ここなら遠慮はいらないよね。いっちょ派手にいこうじゃない」
そう言って紅い少女はその身を包む衣を変える。
ドレスのような紅い衣を翻し、得物である長槍を構える。
燃えるように紅い姿に反して、どこか冷めたような瞳は目の前の少女を睨んだまま動かない。
「―――!」
その様子を見て、もう1人の少女が掌に青い宝石を掲げる。
もはや話し合いの余地などない。
そもそも話し合って解り合える相手でもない。
そんな敵と対抗する為、彼女もまたその姿を変えようとする。
が、そこに―――。
「痛っ」
飛んできた何かが大きな衝撃を歩道橋に放った。
その何かの上からは更にもう1人の少女が現れ、青い少女の元へ駆け寄り叫んだ。
「待って、さやかちゃん!!」
Interlude out
431 = 427 :
Interlude
住宅街の外れ。
バイパスを覆うように作られた巨大な歩道橋。
真下では行き交う車がエンジンを唸らせているが、そこ自体は静かな空間。
日が沈んでしまえば、誰も人が居ないのが当然の場所だ。
しかし今この時は、2つの人影がそこにあった。
1人は紅い長髪をひとつにまとめた軽装の少女。
もう1人は青い短髪に制服姿の少女。
偶然居合わせた赤の他人という訳ではないようだが、
2人の間に漂う雰囲気は友人同士のそれとは似ても似つかない。
いや―――むしろその雰囲気は、絶対に相容れない敵同士が発するそれだ。
他者の介入を許さない。
おまえだけは絶対に認めない。
そんな年不相応の敵意を向け合う少女たちが、橋の対岸を背にして相対した。
「ここなら遠慮はいらないよね。いっちょ派手にいこうじゃない」
そう言って紅い少女はその身を包む衣を変える。
ドレスのような紅い衣を翻し、得物である長槍を構える。
燃えるように紅い姿に反して、どこか冷めたような瞳は目の前の少女を睨んだまま動かない。
「―――!」
その様子を見て、もう1人の少女が掌に青い宝石を掲げる。
もはや話し合いの余地などない。
そもそも話し合って解り合える相手でもない。
そんな敵と対抗する為、彼女もまたその姿を変えようとする。
が、そこに―――。
「痛っ」
飛んできた何かが大きな衝撃を歩道橋に放った。
その何かの上からは更にもう1人の少女が現れ、青い少女の元へ駆け寄り叫んだ。
「待って、さやかちゃん!!」
Interlude out
432 = 427 :
鹿目を背負い、街を駆ける。
頭のすぐ後ろから聞こえてくる少女の声。
その指示に従い、事の現場へと向かう。
事態は急を要す。
道に従って迂回する暇なんてない。
出来る限りの最速を実現する為のコースは、住宅の屋根と屋根が結ぶ、道ではない道。
「居たっ!」
「えっ?どこ!?」
住宅地を抜け視界が開けると、美樹の後ろ姿が視認出来た。
地面から4メートル、多くの車が行き交うバイパスに架かった歩道『橋』だ。
「くそ、また橋か。何事もなければいいんだけどな」
「?」
しかし、今は文句を言っている場合ではない。
早く、より速く―――。
出しうる限りのスパートをかける。
「跳ぶぞ!」
「きゃっ―――」
魔力をこめた跳躍。
2人分の体重がふわりと浮き上がり、身体が重力から解放された。
その感覚に息を飲む間もなく、目的地までの残り30mがゼロとなる。
どすん。
「痛っ」
減速の為に高く跳んだせいか、両の足だけでは支えきれずに両手も使っての着地。
それでも手足が痺れる程度の衝撃に襲われた。
433 = 427 :
「待って、さやかちゃん!!」
衝撃はなかったのか、鹿目は即座に俺から降りて、己が親友の元へと走る。
一触即発の空気ではあるが、なんとか間に合ったらしい。
「下がれ、美樹。俺が相手する」
美樹の前へ出る。
1回戦った相手だ。
引き分けに持ち込むぐらい、どうという事はない。
「おいおい、アンタとは協定を結んでる筈だろ?
一体どっちの味方をするつもりなのさ?」
「俺は善く生きようとするヤツらの味方で、そいつらを不幸にするヤツらが敵だ。
ついでにおまえと協定を結んだのはほむらだけだ」
俺には関係ない、と付け加える。
これで引いてくれればいいが、そうでなければ第2戦となる。
「師匠こそ関係ないでしょ!?これはあたしの戦いなんだから!」
「ば、馬鹿言うなっ」
「そんなっ、ケンカなんて駄目だよ!」
元々あってないような感じではあったが、今の美樹は冷静さを完全に失っている。
これでは万に一つも勝機はない。
いや、むしろ下手に攻撃を仕掛けて、最悪殺される可能性さえある。
ここは何がなんでも、戦わせる訳には―――!
434 = 427 :
「ふん。ウザいヤツにはウザい仲間が居るもんだねぇ」
「じゃあ、貴女の仲間はどうなのかしら?」
「転校生っ!」
いつの間にやら、ほむらまでもがここに居た。
正直、これはまずい。
美樹との相性を考えると、これは火に油を注いだようなものだ。
ますます美樹の頭に血が上っていく。
「話が違うわ。美樹さやかには手を出すなと言った筈よ」
「アンタのやり方は手ぬるすぎるんだよ。
どの道向こうはやる気だぜ」
「……なら、私が相手をする。手出ししないで」
そう言って、ほむらが1歩前に出た。
その後ろで、面白くなさそうな顔をした魔法少女が咥えたお菓子を指差す。
「はんっ、じゃあコイツを食い終わるまで待ってやる」
「十分よ」
「なめるんじゃないわよ!」
やばい。
これはもう本気でやばい。
キレたら何をしでかすか判ったもんじゃない。
分が悪いとか言ってる場合かっ。
「ほむら!おまえの相手はこのお―――」
「師匠は引っ込んでて!」
ああ、遅かった。
完璧にキレてた。
美樹が再びソウルジェムを掲げ、魔法少女へとその姿を変えようとする。
435 = 427 :
「―――さやかちゃん、ごめん!」
その前に鹿目がそれを強奪し、美樹から距離を取っていき、
「ええいっ」
「くっ―――」
そのまま車道へと投げ捨てた。
魔法少女にとってソウルジェムは、外付けの魔術回路のような物らしい。
これなら戦闘の回避は出来てはいるが、当然美樹が鹿目に詰め寄る。
「まどか!あんたなんて事を!」
「だって、こうしないと」
なんにせよ、今が絶好の機会だ。
美樹を止める為の時間が―――。
「え……さやかちゃん?」
突然、糸の切れた人形のように美樹が鹿目にもたれかかった。
その体は電池の切れた玩具のように、ピクリとも動かない。
「おい、どうした?」
2人に駆け寄り、美樹の顔に耳を寄せる。
…………呼吸は、ない。
首筋に手を当てる。
…………脈さえも、ない―――!
436 = 427 :
「心肺停止!すぐに救命処置をっ」
「そんなっ!?」
「どういう事だ、おい!」
手頃な布はない。
しかし、なりふり構ってる余裕もない。
「嘘でしょ、ねぇ!起きてよ、さやかちゃん!」
「ちょっと離れろっ」
美樹を地面に寝かせ、シャツを脱いで頭の下に敷く。
いざ処置を、というところで捨てていった筈の白いナマモノが歩いてきた。
「今のはまずかったよ、まどか。友達を放り投げるなんてどうかしてるよ」
そいつは語る。
淡々と、無機質に。
あらゆる感情を廃した声音で。
「君たち魔法少女が体をコントロールできるのは、せいぜい100メートル圏内が限度だからね」
「100メートル?何の事だ、どういう意味だ!?」
「普段は当然肌身離さず持ち歩いてるんだから、こういう事故は滅多にある事じゃないんだけど」
「何言ってるのよ、キュゥべえ!
助けてよ、さやかちゃんを死なせないでっ!」
「はあ……まどか、そっちはさやかじゃなくて、ただの抜け殻なんだって。
さやかはさっき、君が投げて捨てちゃったじゃないか」
「な、なんだと?」
437 = 427 :
2人も取り乱す人間が居るおかげで、案外冷静さは保っていられるものだ。
非常にまどろっこしい言い方をするが、美樹に起こった事の合点はいった。
「つまり、魔法少女にとっての本体はソウルジェムで、
そこから生み出される魔力で肉体を操っている、という事か」
「その通りだよ。
ただの人間と同じ、壊れやすい体のままで魔女と戦ってくれなんて、とてもお願い出来ないよ」
だなんて、全くその通りなのだが、そいつを前もって言わないのだから質が悪い。
しかし、生身であるが生身でない、本来肉体を持たない者たちを俺は見た事がある筈だ。
ならば、ソウルジェムの正体にも心当たりが浮かんでくる。
「にわかには信じがたい話ではあるが、ソウルジェムの正体は物質化された魂―――。
それで間違いはないよな?」
「君は察しが良くて助かるよ。その通り。
魔法少女との契約を取り結ぶ僕の役目はね、君たちの魂を抜き取って、
魔力をより効率よく運用できるソウルジェムに変える事なのさ」
ありえないと思いたかった事実が肯定された。
魂を物質(ソウルジェム)にされた少女たち。
ああ、そいつらを魔法少女と呼ばずに何と呼ぼうか―――!
「テメェは、なんて事を……。ふざけんじゃねぇ!
それじゃアタシたち、ゾンビにされたようなもんじゃないか!!」
「むしろ便利だろう?」
佐倉杏子に掴みかかられても、そいつは何一つ気にする様子もなく話を続ける。
ここまでくると、不気味を通り越して恐怖さえ感じてしまう。
「心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても、
その身体は魔力で修理すれば、すぐまた動くようになる。
ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ
弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか」
438 = 427 :
「ひどいよ……そんなのあんまりだよ……」
鹿目が動かない美樹に抱きつき、泣き始める。
泣き声だけが響く中、その悪魔は不思議そうに。
「君たちはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする。
訳が解らないよ。どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」
本当に不思議そうに、そんな事を言いやがった。
確かに死ににくい事は、戦いにおいて何よりも大切な事だ。
しかし、思春期の少女にそんな事を受け入れられる強さなんてある筈がない。
「そいつをよこせ」
白い悪魔をひったくる。
後ろから聞こえる泣き声が、このまま叩き潰したくなる衝動を引き起こす。
だが―――、今はそれをやっている場合ではない。
「つまり、どこかに行ったソウルジェムを美樹の元まで持ち帰ればいい。そうだな?」
怒りを押し殺しながら確認を取り、彼方を見る。
どの車にあるのかは判らないが、とにかくやるしかない。
そう考えていると、こちらに接近する影が現れた。
「ふんっ。逝き場に迷え、クソヤロウ!」
点から点へと、ありえない動きをするほむらを見ながら、下の道路へと悪魔を投げ下ろした。
どん、という音がしたが、気にする間もなくほむらがここに到達する。
息を切らしながら持って帰ったソウルジェムを美樹の手に渡すと、
先程の事が嘘かのように、美樹の体は再び動き出した。
上体を起こし、1人だけ状況が飲み込めてないように辺りを見回す。
それでも理解が及ばなかったのだろう。
初めに放たれた言葉は、
「……何?何なの?」
周囲の深刻さには似合わない、間の抜けた物だった。
439 = 427 :
―――結局、うやむやなまま解散する事になった。
俺は昨日と同様に、美樹と鹿目を送っている。
違いがあるとすれば、
「どうだ、体はだるかったりしないか?」
美樹は俺の背中の上に居る事だろう。
魔力で動かしているとはいえ、一時は心肺停止状態に陥っていたのだ。
今日は体を休めさせた方がいいと判断しての事だ。
「あ、はい……」
「そうか、ならいい……」
「…………」
鹿目の発する暗い雰囲気に巻き込まれたのか、この場の全員が黙りこくっている。
明かされたソウルジェムの真実。
生死に関わる事であるのだから、美樹には知っておく必要がある。
「美樹、おまえが倒れていた間に判った事を教える。
率直に言うと、ソウルジェムはおまえの魂だ」
「そ、それって、どういう……?」
「文字通りらしい。おまえの魂は肉体から抜き出され、ソウルジェムとされた」
「そんな……」
440 = 427 :
こんな話、やはりいきなり受け入れるのは無理か。
だが、問題がそれだけで済めば、まだマシだ。
前もって説明はしないし、覚悟も出来てない少女にだって契約を持ちかける。
そんな巫山戯たヤツが相手なのだ。
まだ何か隠していると見るのが賢明だろう。
「魔力を使う事でソウルジェムが濁るのだから、グリーフシードは常にストックしておけ。
精神汚染なんかしたら、碌な事にならないからな」
「解り、ました……」
そうであった時の為に、せめてもの予防策。
念を入れて損をする事もなし、杞憂に終わればそれはそれでよし。
それに精神を蝕まれるだなんて、あの泥でもううんざりだ。
「よし、着いたな」
「…………」
「今日はゆっくり休め。魔法少女としてどう生きるか、明日にでも考え直すといい」
背中から美樹が降りて、体が軽くなる。
なくなった重みは、そのまま美樹が消えてしまうような錯覚を覚えさせた。
これは、もう戦わせない方が、いいのかも、しれない、な―――。
「じゃあね、さやかちゃん……」
「おやすみ、美樹」
「うん…………」
441 = 427 :
美樹の家を後にした。
再び、俺と鹿目の2人きりだ。
相変わらずの息が詰まりそうな暗い雰囲気に、居ても立ってもいられなくなる。
「魔法少女、か……。これに懲りたなら、おまえは契約するなよ」
「でも、さやかちゃんが、みんなの為に戦ってるさやかちゃんは……」
友達想いなのは結構だ。
だが、これはもうそんな気持ちでどうにかなるような世界じゃない。
なるほど、ほむらも頭を抱える訳だ。
「確かに重要な事を隠していたのだから、悪いのはあいつだ。
だけど、戦うと解ってて契約したのは美樹本人だ」
「そんな、さやかちゃんは他の人の為に願ったんだよ!?」
「は―――?」
他人の為に願った?
願いの後には命がけの戦いが待っているんだぞ?
ならば、仮令刹那的な物であっても、その対価に相応しい幸せを望むべきだ。
それを他人の為に使うだなんて。
「それで、美樹に見返りはあったのか?」
「……解りません。
さやかちゃんはこれでいいんだって言ってたけど……」
難しい表情の鹿目。
親友の目から見ても、その願いで本当によかったとは言いがたい物があるようだ。
だとしたら、思い出されるのはセイバーや遠坂の言葉。
「もし美樹に何も見返りがないのなら、あいつはそのうち壊れてしまうかもしれない」
俺だって見返りは得ているからやってこれたんだ。
しかも、戦うのも戦わないのも俺の自由、という環境で、だ。
絶対に戦わなければならない中で何も見返りがないなんて、美樹は堪えられるのか。
「美樹は、魔法少女になんかなるべきじゃなかった……」
「さやかちゃん……」
442 = 427 :
「ほむら、少しいいか?」
食事の後、衛宮さんが声をかけてきた。
内容は、やはりソウルジェムについて、かしら。
「おまえはソウルジェムの事、知ってたんだよな?」
「そうね、知ってたわ」
さやかのソウルジェムがまどかに捨てられた直後に取りに行ってたのだ。
気づかない訳がない。
「どうかしら? もう人間ではない存在、というのは?」
思わず口にしてしまった自虐。
私たちは普通の人たちとは違う存在なのよ。
「別に人間だろ。ちゃんとそこに心があって、人間らしく生きているんだから」
「え―――?」
「そんな程度で人間じゃない、だなんて言うな。
人間でありたかったのに、人間らしく生きられなくなってしまった人なんていっぱい居るんだ」
今までいろんな人たちを見てきて、救ってきたであろう正義の味方ならではの言葉。
彼の世界はきっと、私の世界とは比べようもないぐらい広いのでしょうね。
「で、なんだってそんな大事なコト、教えなかったんだ?」
問われた質問は、予想通りの物。
443 = 427 :
“女の子がそんな物を振り回して、戦うなんて間違ってる!”
初めて会った夜の、そんな言葉がフラッシュバックした。
「仮に話した場合、貴方は私が戦う事を許したかしら?」
「別に許したさ。
俺が反対しているのは戦う事自体なんだ。
それを見逃した以上、死ぬリスクが小さくなるのはいい事だろ」
少し予想外。
これも、多くの戦場を越えてきた人ならではの言葉か。
「そう……。私は反対されると思った。
私の目的を果たすには、それでは都合が悪かったから言わなかったのよ」
「むう」
もっと文句をつけられると思ったけど、案外簡単にいったわね。
これで追究は終わり、かしら。
「じゃあ、次だ。
魔法少女にはまだ何か秘密があると思うんだが、何か知ってるか?」
「えっ―――」
まさかの追撃。
他の秘密なんて言ったら、あの事しかない。
「どうして、そう、思ったのかしら?」
出来る限り平然を装い、彼の思考を探る。
魔法少女の成れの果てを知られない方法を模索する。
「単に、あの悪魔を信じる気にはなれないのが一つ。もう一つは―――」
その意見は全くその通りだ。
だけど、この人がもったいぶった言い方をするのは珍しい気がする。
444 = 427 :
「ふむ。ちょっと難しい話になるけど、等価交換って知ってるか?」
「ええ? 同じくらいの価値を持つ物同士での交換」
経済活動の基本よね、と確認を取る。
それがどうしたのか。
どう考えても解らないけど、衛宮さんは大きく頷いていた。
「俺たち魔術師も、その等価交換が原則なんだ。
大魔術になる程、必要な準備も対価も増えていき、
俺みたいな小規模の魔術しか使わなくても、魔力を対価に発動させている」
「――――?」
いきなり専門外の講義をされても、理解なんか出来ない。
つまり、どういう事なのか。
「習性とでも言うか、俺にはそれが魔法少女にも当てはまるように思えてならない」
「はあ……?」
「最初は魔女と戦う事が願いの対価だと思ってた。
でもソウルジェムが魂ならば、グリーフシードを得る必要は当然あるのだから、これは違う」
ゆっくりと自分の推理を語る衛宮さん。
ここまで説明されれば、言わんとする事に推測はつく。
「つまり、願いに対する対価が何かしらある筈だ、という事かしら?」
「その通りだ。それについての心当たりはあるか?」
445 = 427 :
「…………ないわ。残念ながら、ね」
言えない……。
正義の味方なんて、巴さんみたいな理想を持つ人に、魔女の正体なんて言える訳がない。
そんな事を知ってしまえば、魔女と戦えなくなる。
―――いや、この人は正義の為なら人を殺せるんだ。
魔女を産まない為、いつかの巴さんのように魔法少女の皆殺しを図るかもしれない。
そうなってしまえば、私はまどかを、まどかを救え―――。
「おい! 大丈夫か!?」
どんどん深みにはまっていきそうな思考が、現実へと呼び戻された。
顔を上げれば、心配そうな表情を見せる衛宮さんが居る。
「大丈夫か? つらそうな顔してたけど」
「え、ええ。大丈夫よ」
「悪かった。おまえだって魔法少女なのに、不安を煽るような事、聞いちゃって。
今日は風呂入って、もう休んでくれ」
「……お言葉に甘えさせてもらうわ」
本気で私を心配する衛宮さんに背を向け、脱衣所へ入る。
それでも私を案じる顔や言葉が消える事はなく、彼への罪悪感がちくりと胸に刺さった。
446 = 427 :
今回はここまでです
残念ながらほむらのサービスシーンはありません
Interludeがダブってしまってますが、片方はなかったことにしてください
元々調子の悪かったマウスが、さっき遊んだイリヤ城のせいでおかしくなりましてね
なんかクリック1回がダブルクリックになったり、ドラッグしている間にクリック連打されたりと大変です
ここのスレも迂闊にクリックすると、上へ下へ高速スクロール
替え時じゃないかな、これ?
和田も川崎もメジャー挑戦
今までよくやってくれたんだから、夢を求めるなら頑張って、としか言えません……
というか、川崎はイチロー好きすぎでしょ
そんなんだからホモだとか偽装結婚だとか言われるんですよ
447 :
乙ー
チャタリングだね
MSやロジのなら保証期間内ならサポートに連絡すれば結構簡単に交換してもらえる
448 :
お疲れ様・・・・ってあれ?ほむらちゃんのサービスシーンが、ない?
449 :
乙
ソウルジェムは第三魔法扱いかー
というより第三魔法の方が魔法じゃなくなるのかね
そもそもまどマギの設定から言うと人類発祥以前から技術が確立されているわけだから
第三が魔法扱いされてたのが間違いということになるのか?
いずれにしてもアインツベルンにNDKしてえw
でもよく考えたらほむほむだって第二魔法使ってるし、解釈次第で魔法が全滅しそうだw
すりあわせ的には宇宙文明はノーカンとしとくのが無難なのかな。
450 :
劣化するんであれば、未完成の魔法じゃね?
青崎産人形に近い気がする
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