元スレ士郎「人の為に頑張ったヤツが絶望しなきゃいけないなんて間違ってる」ほむら「……」
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101 = 91 :
「やる事もないし、晩飯の支度でもするか」
時間も十分にある事だし、折角だから手の込んだ物を作ろうとキッチンに立っていた。
その為の下ごしらえも終わり、一旦冷蔵庫に仕舞った頃、電話が鳴った。
「―――ああ、了解」
電話の用件は暁美からの呼び出しだった。
曰く、魔女が現れそうだから来てくれ、と。
その電話を切ると同時に、玄関から飛び出した。
―――走る。
目指す場所はこの街の総合病院。
頭の中に叩き込んだ地図を展開する。
夕焼けに染まる街を誰よりも速く駆け抜ける。
やがて、目に入ってきた。
大きな建物の多いこの街の中でさえよく目立つ、一回り大きな施設。
……本来汚れ一つない純白であろうそれが血のように赤く見えるのは、
後に控える戦いを意識しているせいなのか。
102 = 91 :
「どこだ、結界は!?」
魔力の感知など出来やしないのだから、自分の感覚に頼るしかない。
世界の異変に対して人一倍敏感と師匠に言わしめた、自分の直感を信じる。
昨日感じた違和感に近い物を探知し、……感知した。
そこは駐輪場。
その中から、吐き気を催すほどの苦々しさを放つ点を捜し、飛び込んだ―――!
―――世界が変わった。
そこに在るのは大量のお菓子と縛られた……、
「暁美!」
思わず叫んだ。
近くへ寄ってみたが、どうやら無事のようだ。
「待ってろ、今助けてやる」
「私はいいからっ、早く行って!急がないと、急がないとっ……!」
落ち着き払った昨日とは一転、本当に同じヤツかと疑わしくなるくらい取り乱している。
こんな状態のまま放置するのは気に入らないが、
この必死な表情に応えない方が気に食わない。
「解った。後で助けてやるから、ちょっと待ってろ」
暁美を置いて、先を急ぐ。
この先には倒すべき敵が居る。
そして、あんなに取り乱すくらい暁美にとって大切な誰かが居る―――!
103 = 91 :
Interlude
お菓子に満ち溢れた空間。
奥へ奥へと目指す少女が2人居た。
魔法少女である巴マミと普通の中学生である鹿目まどか。
「オッケー、解ったわ。今日という今日は、速攻で片付けるわよ」
マミが道中の使い魔を蹴散らしていく。
彼女は戦いが好きな訳ではない。
また、魔女との戦いに興奮を覚える訳でもない。
だというのに、彼女の表情が活き活きとしているのは何故か。
答えは簡単だ。
彼女の後ろをついていくまどかが、魔法少女となる事を決めたからだ。
マミは孤独に苦しんでいた。
彼女を癒す家族は居らず、彼女が魔法少女である事を打ち明けられる存在も居ない。
たった1人の後輩を失って以来、彼女は常に独りだった。
故に、共に戦う仲間を得られる喜びが、彼女には隠しきれないのだ。
「あっ」
「あっ」
2人が同時に声を出した。
彼女たちが最後の扉を潜ると、見知った者たちが視界に入ったからだ。
「お待たせ」
「はあ、間に合ったぁ」
マミは先行していた美樹さやかと、謎の白い小動物の元へと駆け寄った。
魔法少女ではないさやかなのだから、尊敬する先輩の登場に安堵するのは当然か。
104 = 91 :
「気をつけて。出てくるよ」
小動物の声によって、3人の意識が1箇所に集まる。
視線の先、部屋の中央付近にある脚の長いテーブルの少し上。
その中空から、ぬいぐるみのような容姿の魔女が生まれ、椅子に着地した。
「折角のところ悪いけど―――」
マミが椅子の脚を払う。
当然、その上に居た魔女は重力に惹かれるままに地面に向かって落下する。
「一気に決めさせて―――」
手にしていたマスケットを振り抜く。
美しい装飾の施されたグリップが魔女を捉え、部屋の壁に叩きつけた。
「もらうわよ!」
追撃として放たれた銃撃。
弾丸から発生したリボンによる拘束で、魔女は再び中空へ舞い戻る。
しかし、結界の主として鎮座していた先程とは打って変わって、
現在は身動きの取れないただの的だ。
「ティロ―――」
マミが巨大な大砲を現出させた。
強大な威力を誇る、彼女の切り札が射出体勢に入った。
銃身全体に魔力が迸り、いざ放たれんとする最強の一撃。
「―――フィナーレ!」
Interlude out
105 = 91 :
使い魔の居ない静かな結界。
持ちうる限りの全力で走り抜け、ひたすらに奥を目指した。
「邪魔だ―――!」
勢いを殺さず扉を蹴破ると、視界が拓け、広い部屋へと出た。
遠く、部屋の向こうの方で黄色い魔法少女が戦っていた。
「―――フィナーレ!」
「くっ―――!?」
物理的ではない、しかし確かに部屋中に響いた力の奔流。
少女の叫びによって、膨大な魔力が放たれた。
その魔弾は小さな魔女に着弾すると同時に―――、
―――魔女の口から信じられないほど巨大な物体が飛び出した。
106 = 91 :
「I am the bone of my sword.(我が骨子は歪み穿つ)」
少女に迫る、恵方巻きのような姿の化け物。
そいつが彼女を捉えるより速く飛ぶ、投擲宝具を投影する。
「突き穿つ(ゲイ)―――」
化け物の口が大きく開かれる。
俺に出来る事は、右手の槍を信じ、投げ抜く事だけ。
「―――死翔の槍(ボルク)!」
真名の開放により、マッハ2の速度の朱い稲妻が翔る。
それは今にも少女に食らいつこうかという化け物に突き刺さり、その巨体を弾き飛ばした。
「マミさん!」
「マミさん!」
何処かに隠れていたのか、2人の少女が魔法少女へと駆け寄る。
魔女の方へ向かう途中、その光景を横目で見た。
少なからず出血が見えたものの、どうやら生きているようだ。
―――ならば、今はまだ安心だ。
俺は俺の戦うべき相手に専念すれば―――!?
107 = 91 :
「嘘だろ?ゲイ・ボルクを食らって平気って……!?」
魔女と対峙する。
傍らには、大穴の開いた蛇のような抜け殻。
何事もなかったかのような状態の魔女は、今度は俺を飯に定めたらしい。
「ふぅ―――。いいぜ、相手になってやる」
それが合図となったのか、魔女が食らいつこうと迫る。
俺だって、ただで食われてやる気はない。
巨体に対抗する為の武器―――、そうだ、あの凶戦士の斧剣を描こう。
「―――投影、開始!」
魔術回路に魔力が駆け巡り、構えた両手に武器が出現した。
片手ではとても扱いきれない岩の塊。
それを、魔女へのカウンターとして振り回す。
「食、らえっ、この間抜けぇ!」
ガツン、と重い手ごたえ。
打ち返したコミカルな表情が歪み、口の中から元通りの魔女が出てくる。
「…………」
出鱈目すぎるだろ、アレ。
最悪の展開を想定すれば、十二の試練(ゴッド・ハンド)より性質が悪い。
108 = 91 :
「くそっ!」
単調な攻撃に合わせ再び殴りつけた。
再生する。
殴る。
……再生する。
まるできりがない。
「いい加減に、しやがれぇっ!」
武器に滲み込んだ記憶を読み取る。
殴る殴る。
再生する。
殴る殴る殴る殴る。
再生する。
斬撃を加速させていく。
殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る―――!
再生の隙など、与えてたまるものか。
「うおおおおお■■■■■■■■――――――!!!」
一息で放つ、百もの連撃。
理性を失ったギリシャ最強の英雄に為しうる、最高の剣技をここに再現した。
バラバラに切り刻まれた魔女だった者の残骸がすぅっと消える。
その場にはぽつんと、禍々しい何かが残されていた。
109 = 91 :
リボンの拘束が解かれる。
「まさか……!」
これは巴マミによる魔法だ。
それが効力を失ったというのだから、得られる答えは……。
思えば、最初から無理だと判っていたのかもしれない。
ただ、ほんの僅かでも希望があるならば。
その想いだけで、イレギュラーを投入した。
だけど、結局無駄に終わった。
後はせめて、まどかの契約阻止だけでもしに行かないと―――。
破れた扉の中へ入る。
「彼では危険だ。今すぐ僕と契約を!」
「その必要はないわ」
白い悪魔の言葉を遮り、2人の無事を確認する。
「――――!」
2人じゃない、3人居る!
巴さんが怯えるように蹲っている。
まどかとさやかが心配そうに声をかけている。
110 = 91 :
そして、衛宮さんは―――。
「うおおおおお■■■■■■■■――――――!!!」
とても人とは思えないような声を上げ、お菓子の魔女を八つ裂きにしてしまった。
今朝思い描いていた神秘とはかなり違う物だったけど、それでもあの魔女を倒したのだ。
「今度こそ、もしかしたら……」
誰にも聞こえないような声で呟いていると、甘いお菓子の世界が消えてなくなった。
衛宮さんは持っていた岩の塊を消し、こちらの方に振り返り、
「その子を早く医者に見せろっ」
と強い口調で言った。
本来、魔法少女にとって肉体の傷はたいした問題にはならない。
しかしそれは当人たちの事情であり、他人にはそうもいかないのでしょう。
傍目から見れば、巴マミは少なからずの出血をしているのだから。
「目に焼き付けておきなさい。魔法少女になるって、こういうことよ」
自分の目的の為に、鹿目まどかと美樹さやかに脅しをかける。
美樹さやかには睨まれたが、何も言わずに2人は負傷者を連れて病院の正面へ向かっていった。
その場は私と、難しい表情をした衛宮さんだけとなる。
111 = 91 :
「……感謝するわ。貴方が居なかったら、3人のうちの誰かは死んでいたでしょうから」
「別に礼を言われるような事はしてないぞ。アレと戦うって決めたのは俺なんだからさ。
だから魔女の居場所を教えてもらった俺こそ礼を言わないと」
彼は本当に私たちが戦わせたくないらしい。
誰かが傷つくくらいなら自分がやる、と。
まるでそれ以外の感情がないのかと思う程に、その信念を貫いているようだ。
ここまで酷いお人好しは見た事がない。
「で、あの黄色い子は大丈夫なのか?」
「ええ。魔法少女には生きているか死んでるかしかないのよ。
私たちはこのソウルジェムさえ無事なら、体はいくらでも回復する事が出来る」
元の制服へと衣装を戻し、自分の本体を衛宮さんに見せつけた。
実力的にも性格的にも、彼は信用するには値する。
多少の情報なら、明かしても構わないでしょうね。
「む。なんか気に入らないけど、とりあえずは無事、という事か」
難しい表情が、さらに歪む。
どれだけ怪我をしても構わない、というニュアンスに聞こえたのかしら。
112 = 91 :
「ところで、そのソウルジェムってのは何なんだ?
さっき拾ったこれと全く違うのに、どこか同じような感じがするんだけど」
握っていたグリーフシードを見せながら言った。
妙なところで鋭い人だ。
同じと言えばそれは同じで間違いではないけど、今はまだ秘密にしておきましょう。
「ソウルジェムは魔法を使う為の力の源よ。魔法少女にとって最も大切な物。
グリーフシードは魔女の卵なのだけど、消費した魔力の回復にも使えるわ。
貴女の感じた物の答えとしては……、そうね。
どちらも魔法少女と魔女の本体のような物だからかしら」
訊かれた事に、最小限の情報を与えた。
なら暁美が持っとけ、と彼は私にグリーフシードを渡してくる。
ふむ……。
「ほむらでいいわ」
一応の信用の証。
共に戦う仲間として、名前で呼んでもらう。
「そうか。じゃあ、改めてよろしくな、ほむら」
113 = 91 :
Interlude
時計が午後9時を指した。
診察の受付は疾うに終了している。
病院内には職員と入院患者以外はもはや誰も居ない。
―――否、2人だけ居た。
不安そうな表情をした少女たち、鹿目まどかと美樹さやか。
彼女たちは血塗れの急患を連れてきたという事と、
すぐに連絡の取れる身寄りが居ないという事の2つの理由で、
待合室替わりにされた外科の診察室に押し込まれていたのだ。
「お待たせしました」
2人きりの室内に医師が入り、椅子に腰をかけた。
「まずは怪我の方ですが、君たちのお友達の怪我は、
出血が多かったもののたいした傷ではありませんでした。
傷跡が残る事はほとんどないでしょう」
「よかった……」
少女たちの曇った表情が、少しだけ晴れる。
急患、彼女たちの先輩である巴マミが運び込まれてから3時間以上。
それだけの間、緊張を維持し続けていたのだから当然の話だ。
しかし傷という物は、体にのみ負う物ではないのだ。
114 = 91 :
「問題は心の方ですね。
巴さんは急性ストレス障害、所謂トラウマを負っています。
今後、心的外傷後ストレス障害への発展も考えられる為、しばらくの入院をしてもらいます」
「そん、な……」
少女たちが言葉を失う。
彼女たちにとっての憧れの存在が、憧れの存在であった為に酷い傷を負ってしまったのだ。
それがどれだけ危険の付き纏う存在なのかは知っていた。
それでも予め言われて出来る覚悟は、実際に危険に遭った時の衝撃には遠く及ばない。
「巴さんは口が開く事に対して、強い恐怖を感じています。
何か心当たりはありますか?」
「い、いえ……。あたしたちは、マミさんを慌てて連れてきただけなので……」
さやかの答えは嘘だ。
だが本当の事、魔女との戦いでやられたなんて事を信じる人間なんて居る筈がない。
故に、彼女に真実を話す事は許されなかった。
「そうですか……。
話は変わりますが、巴さんが君たちに会って話がしたい、との事なんだけどね?」
医師はそう言って、2人を部屋から連れ出した。
―――必要最小限の灯りしか点けられていない薄暗い廊下。
その先の目的地、まだ主の名が掲げられていない病室に辿り着くと、
医師は少女たちにマスクを渡した。
トラウマを刺激しないよう、口を覆い隠す為の物だ。
115 = 91 :
「では、私は外で待ってますので。少しでも気分を楽にさせてあげてください」
医師が少し離れた所のソファに腰掛けるのを見ると、
2人は病室の主に声をかけ、その中へと入っていった。
「こんばんわ、美樹さん、鹿目さん」
今にも泣き出しそうな瞳と頭に巻かれた包帯。
ベッドの上のマミは、折角の美貌が台無しなつらい表情をしている。
尤も、死にかけた人間に笑顔を見せろなど、無茶もいいところではあるが。
「ごめんなさい。貴女たちを守らないといけなかったのに、怖い目に遭わせてしまって」
「マミさん……」
「もし助けがなかったら、みんな、みんな死んでて……」
戦地へと連れていき、守るという役割を果たせなかった事を嘆いているのか。
今このときだけはその感情がトラウマを上回り、ただ謝罪の念だけでマミは涙を流した。
「こんな、頼りない先輩で、ほんと、ほんと……、ごめんね……」
まどかとさやかには何も言う事が出来ない。
今日の出来事はそれほどの事だった。
一度は魔法少女となる事を決意したまどかも、もはやその決意は霧散してしまい、
彼女の心の中には恐怖と罪悪感だけが残った。
「マミさん……、ごめんなさい……」
Interlude out
116 = 91 :
「ごちそうさま」
「お粗末さまっと」
あの後私たちは帰宅し、夕食を摂った。
衛宮さんには悪いけど、正直、食欲はあまりなかった。
「悪いな。あんな事になるとは思わなかったから、おまえの食欲を考えずに料理しちまった。
明日から晩は軽めを心がけるから、無理してまで食うのはやめてくれ」
少し心苦しい、なんて。
この人はお人好しだ。
その人の好さに毒されたのか、私はこれからとんでもない無茶を頼むのでしょう。
「貴方は私に戦うなと言うけれど、それを聞く訳にはいかない」
話を始める。
きっとこの話は、衛宮さんの人生を決めてしまうサイコロ。
私だって人間なのだから、心が痛まない筈はない。
でも、まどかを救う為なら手段は選ばないし、犠牲も厭わない。
そう決めたのだ。
決めたのよ……。
117 = 91 :
「私には2つの目的を果たす為に、魔法少女になった」
衛宮さんが洗い物を終わらせ、私の前に座る。
その表情は真剣そのものだ。
「1つはさっきの結界に居たうちの背の低い方、鹿目まどかを魔法少女にさせない事。
欲を言えば、もう片方の美樹さやかもだけど」
魔法少女の増加は魔女の増加というリスクを孕んでいる。
ならば、魔女化した前例のある人物は、契約させないに越した事はないでしょう。
「2つ目は、およそ半月後に現れる大型魔女、ワルプルギスの夜の撃破、もしくは撃退」
この2つが同時に達成されなければ、私の戦いはいつまでも終わらない。
真向かいの衛宮さんは真剣を通り越し、もはやしかめっ面と言った方がいいような顔だ。
「えっと、まず質問その1。ほむらにとってその鹿目って子はどういう相手なんだ?」
「誰にも代えられない、大切な人よ」
そうか、という何か羨むような返事。
この人にはそういう人が居たのだろうか。
「じゃあ、その2だ。ワラキアの夜……だったか、そいつはどんな魔女なんだ?」
「……ワルプルギス、よ。
街1つを軽く壊滅させるような出鱈目なヤツよ。
これまでに何度も出現し、何人もの魔法少女が犠牲になったか分からないくらい」
「街1つ、か。そんなのがこの街に現れるのか」
ええ、と答える。
その滅びの光景は何度も見てきたわ。
それこそ、見飽きるくらいには。
118 = 91 :
「これで最後だ。魔法少女にはどんな事が出来るのか」
「基本的には願いに沿った固有の魔法行使と、願いのイメージに沿った武器の召喚ね。
経験を積んだり誰かに教えてもらったりすれば、身体能力の強化や治癒も出来るようにはなるけど。
参考までに言えば、私の武器は盾で魔法は時間停止よ」
「時間停止!?」
転移じゃなかったのかとか、いやそれ以前に魔法じゃないのかそれとか、ぶつぶつぶつぶつ。
どうやら魔術という物の世界でも稀有な能力らしい。
「ところで、結界の中で白くて耳の長い、なんか訳の解らない小動物を見たかしら?」
「?あぁ、そういえば―――、視界の端にそんなの居たような?」
「――――!」
魔法少女の素質がある者にしか見えないのだから期待はしていなかったけど、
衛宮さんにアレが見えるというなら、これは僥倖だ。
「そいつが魔法少女を生み出す元凶、インキュベーター。通称キュゥベえよ」
諸悪の根源を示せた。
これで今後、作戦が立て易くなるかしらね。
「私は明日の放課後、貴方が助けた魔法少女、巴マミの容態を見てくる。
その間、鹿目まどかの監視、及び警護をお願いするわ」
「魔女から守れ、契約はさせるなって事だな」
了解、と衛宮さんが頷く。
彼がついていれば、一先ずは安心でしょう。
ステータス・武器情報が更新されました
119 = 91 :
Status
衛宮士郎
属性:中立・善
スキル
弓術:弓を用いた戦闘技術。人間として身に付け得る極限の実力。
剣術:剣を用いた戦闘技術。非常に高い実力で、特に双剣に関しては極限の実力。
槍術:槍を用いた戦闘技術。人並み以上には扱うが、専門家には遠く及ばない。
調理:家庭料理から菓子作り、はては宮廷料理まで。サバイバル料理にも対応。
執事:家事全般の手際のよさと緻密さ。ランクで言えばA+相当。
暁美ほむら
属性:混沌・善
スキル
兵器運用:近代兵器を運用する技術。ほぼ全ての兵器を高い精度で使いこなす事が可能。
破壊工作:爆発物やトラップを扱う技術。熟練の工作員に迫る。
妄執:鹿目まどかに対する異常なまでの執着。
時間停止:時間を一時的に停止させる能力を持つ。
巴マミ
属性:秩序・善
スキル
拘束:リボンを用いた束縛術。刃物があれば脱出は可能。
トラウマ:事故に遭った経験による自家用車と死に対する恐怖。
再び死を体験した事により、一時的に恐怖心が増大している。
120 = 91 :
Weapon
?????
魔法少女・巴マミが使用した口径1メートルはあろうかという大砲。
魔弾を放つ武器のようだが、何故か解析不能。
ゲイ・ボルク
第五次聖杯戦争におけるランサー、クー・フーリンが使用した槍。
真名開放により、2種類の宝具として使い分けることが可能。
1つは「突き穿つ死翔の槍」。
クー・フーリンが師匠スカサハから授かった魔槍ゲイ・ボルクの本来の使用法で、
渾身の魔力と力を以て投擲される対軍宝具。
因果を歪ませる呪いにより必中し、その破壊力により一撃で一軍を壊滅させる。
もう1つは「刺し穿つ死棘の槍」。
クー・フーリンが独自に編み出した刺突による対人宝具。
因果を歪ませる呪いを最大限に利用し、真名開放と同時に
「槍が心臓に命中した」という結果を作ってから、「槍を放つ」という原因を作る文字通りの必殺技。
無銘・斧剣
第五次聖杯戦争におけるバーサーカー、ヘラクレスが使用した岩の剣。
宝具でも何でもないのだが、その圧倒的な大きさと重さ、硬さで敵を粉砕する。
それ以外の特性は存在しないが、ギリシャ神話最強の英雄の経験が滲みついている武器である。
121 :
きてたーおつおつ
122 = 91 :
今日はここまで
1週間どころか8日ですね、本当にすみませんでした
少しでもペースを上げる為に、今後は質問に気づき次第、答えが出次第、回答させてもらいます
正直、頭の中に答えがあるままだと、考えるのに邪魔になるので。
ところで、IZABELに触れてあげてくれません?
折角使い魔以外の攻撃方法考えたのに、これじゃあかわいそうだよ!
ちなみに>>73の心配はないかと
ほむらの頭の中はまどかでいっぱいなので、憧れこそすれ、惚れることはないでしょう
また、士郎は士郎で好きなヤツという名の席はセイバーで固定されたままでしょうし
先ほど触れましたが、フルンディングについて解説
フルンディングとは、勇者ベオウルフが巨人退治の為に借り受けた名剣です
曰く、その刀身は血を吸う度に堅固となり、それを使って失敗する事はなかったと
彼はその剣を持って巨人と戦いましたが、歯が立たなかったというか、刃が立たなかったというか
戦闘の途中、ベオウルフは洞窟内で見つけたヨートゥンの剣で巨人の首を切り落とした
すると、血に触れた剣は解けてしまい、最後には柄だけとなってしまった
端折っているので微妙には違いますが、大体こんな感じ
本当に強いのかなあ、フルンディング?
123 :
乙!次回を楽しみに待ってる
124 :
おちゅ!
125 :
いいねいいね!
126 :
乙
アーチャーが魔翌力込めて射出して橋ふっ飛ばすくらい?の威力だから
ワルプル相手は無理じゃないかな。威力よりは追尾力が怖い武器だと思う。
127 = 126 :
うわsage忘れた…申し訳ない…
128 :
乙
橋ぶっ飛ばしたのは防がれた余波でだから本体はもっと強いんじゃね?
でもやっぱり相手を何度でも追跡するっていう方が怖いな
129 :
乙!
これはいい雰囲気なSS
130 :
・・・・・・アーチャーが使用した宝具については、
彼によるカスタマイズの可能性も考慮に入れた方が宜しいかと。
性能の付与や変更・形状の変化もできるみたいですし。
131 :
最新話来てたー!
マミさん戦列離脱かよ……
士郎はさっさと彼女を攻略してくるべき
次回も楽しみにしているぜ
132 :
マミさんは死の恐怖もあるが、
目の前で知らない男が自分の体より大きい剣を怪物みたいにブンブン振り回してたら
更なるトラウマになるだろ、絶対
133 :
バカでかい大砲ぶっぱなしてるマミさんも大概だろ
134 :
士郎は相当魔翌力使うはずの宝具投影から真名開放をやってるけど原作からどの位時間が経ってるんだろ
そして魔法少女としてのほむらは型月世界の第二魔法と第三魔法に類する技術使ってる事になるのかな
135 :
>フルンディング
それなんだけど、テュルフング(ティルヴィング)と混同してるんじゃないかって気がする。
ちなににテュルフングは、スウァフルラーメという王がドワーフに作らせた剣で
こっちは狙った物は外さない、しかし3度の悪の願いと引き換えに身の破滅をもたらすって呪いの剣
たぶんこっちのことだと思う。すごく語呂似てるから間違われやすいとは思う。
136 :
面白い
137 :
ベオウルフって確か飛竜か何かを退治した時にも、ネイリングっていう秘蔵の名剣を潰してるんですよね。
剣がたいしたことないんじゃなくて、べオウルフに名剣をダメにする属性があるんじゃないでしょうか?
138 :
まあ、なんだ、型月厨は少し黙れ
139 :
設定云々は>>1が考える事、俺らがとやかく言う事じゃない(>>1が必要だって言うなら良いが
考察は分かったからそろそろ黙れ
無駄にスレを消費するなks
140 :
だとしても書き方は考えるべきだね。
罵倒は、罵倒を呼び込む。
正しいことを言ってるつもりでも煽ったら意味が無い。
売り言葉に買い言葉は気をつけないと。
141 :
面白い、期待
142 :
あげたかったのは未来で・・・
143 :
喧嘩したり歯医者行ったりで、気がつけば週が変わってますね
お待たせしてすみません
>>127
一度や二度は気にしない気にしない
>>134
剣の丘から引っ張り出すだけなので、投影自体は本編のときからやれば出来ます
また真名開放は宝具の魔力に殆ど頼る形なので、100%の威力は出せてないかと
年齢は20台半ばかなー、と考えております
>>135
一応フルンディングにも、それを使って失敗することはない、という性質がありますので、間違いとも言い切れないかと
>>137
そうだったら嫌な英雄ですね
我様のイライラが凄いことに
>>142
ないてるーよるだいたままーなげきをさけんでー
144 = 143 :
ワルプルギスの夜まであと15日
太陽が昇りきり、今日の授業も半分が終わった。
後ろを振り返り、教室を見渡してみる。
昨日の戦いが原因か、まどかにもさやかにも、活気が見られない。
「…………」
声がかけられない。
これは自分で決めた事だ。
まどかを守る為なら、どんな手だって使う。
仮令その結果で、まどかに嫌われようとも……。
そう―――、誓った筈。
ええ、覚悟は出来ている。
「なんか……、違う国に来ちゃったみたいだね」
2人の後をつけて屋上に上がると、、深刻な雰囲気で話していた。
大方、魔法少女に関する事でしょうけど、今の2人の考えは把握しておきたい。
校内で使うのも気が引けるけど、時間を止めてる間に死角に入っておきましょう。
「魔女の事、マミさんの事、あたしたちは知ってて、他のみんなは何も知らない。
それってもう、違う世界で違う物を見て暮らしているようなもんじゃない」
その通り。
貴女たちと他の人との違いは、知っているかどうか。
今はまだ、ね。
145 = 143 :
「まどかはさ、今でもまだ、魔法少女になりたいって思ってる?」
そう、違いはたったそれだけ。
今ならまだ、見てきた事を忘れれば。
「ずるいって解ってるの。今更虫が良すぎだよね。
でも……、無理……」
知らないふりをしてしまえば、元の世界(日常)へと還れる。
「マミさんの怪我、本当に死ぬ直前まで行っちゃった事。
今思い出しただけで息が出来なくなっちゃうの。
怖いよ……嫌だよぅ……」
それでいい。
それでいいのよ。
まどかは何も悪くない。
戦いの中で死を見て、それでも魔法少女になろうなんて人は、何処か壊れてる。
私も……そうだけど……。
「お別れだね。僕はまた、僕との契約を必要としている子を探しに行かないと」
その様子を眺めていたインキュベーターが別れを告げる。
けど、まだ油断は出来ない。
まどかに危機が迫れば、アレはいくらでも現れる。
でも、私にだって契約を防ぐ為の切り札(カード)はある。
今度こそ。
今度こそ―――!
146 = 143 :
「解った。今から向かう」
昇った太陽がだいぶ傾いてきた頃、授業が終わった、とほむらから電話が入った。
晩飯の仕込みは万全。
仕事用の一張羅には身を包んだ。
その他装備も完璧。
後はほむらとの約束通り、鹿目まどかの護衛を果たすだけ。
そのスタート地点となる場所へ向かった……のだが。
「――――――なんだって中学校がこんなにでかいんだ?」
馬鹿に大きな校舎を誇る見滝原中学校から数百m。
下校する生徒たちを一望できるビルの屋上。
そこから俺の護るべき少女を捜す。
「―――同調、開始(トレース、オン)」
視力を強化し、視界に映る人々の特徴の1つ1つを分類わけする。
その中から、目的の少女に該当する特徴をピックアップしていく。
桃色の髪。
短めのツインテール。
低めの身長。
赤いリボン。
「―――見つけた!」
青い髪の少女に手を振り、鹿目まどかが校門を出て行く。
昨日の出来事が原因なのか、可愛らしい顔に元気があるようには見えない。
147 = 143 :
「よし、行くか―――」
鹿目を追跡する。
とはい言っても、まだ人の多い時刻なので、誰にも見つからないルートを通る必要がある。
その為に選んだ道は、
「くぉ―――」
だん、と重い着地音。
どうという事はない。
人の居ない所以上に人に見つからない場所なんてない。
脚に強化をかけ、ビルとビルの間を跳び移っていく。
「あれ?」
西日が眩しくなってきた頃、目当ての少女は高層マンションへと入っていった。
「おかしいな?」
ほむらから聞いていた話と違う。
鹿目まどかの家は一軒家の筈だ。
そもそも位置が全く違う。
寄り道でもしなければ、彼女がこんな所に来る筈はない。
「こうなったら駄目元だ」
マンションの裏側へ回り、窓を見て回る。
中に入った以上は何処かの部屋に行くのが当然だ。
「ああ、あそこか」
遠くから覗き見るのだから、カーテンが閉まっていたらどうしようもない。
が、その心配は杞憂に終わった。
開けっ放しのカーテンの間から、鹿目を発見した。
148 = 143 :
「――――」
彼女はただ震えていた。
静かに涙を流していた。
例えるなら、その様子は懺悔をする罪人。
その年齢に相応しくない行動に1つの推測が生まれる。
「もしかして―――、あの部屋は」
巴マミの部屋なのか。
あの年頃の少女の事だ、魔法少女という存在に憧れたのだろう。
「―――かつて、俺が切嗣に憧れたみたいに」
ほむらの話によれば、巴マミは長年独りで魔女退治をしていたらしい。
その姿を見て、支えたいと思い、自分も共に戦うと決めていたのかもしれない。
「戦うのが怖くなった、か」
仕方ないだろう。
最初に死を受け入れた魔術師(俺)でさえ、無意味に死ぬのは嫌なんだ。
ましてや、今まで普通に生きてきた少女にどうしてそれが出来ようか。
彼女に罪はない。
もしあると言うならば、つい先日まで知らなかった俺にだって罪がある。
それでも己を責めるように涙し続ける。
要するに、彼女は―――。
「優しすぎるのか。
人の悲しみに共感して助けたいと思い、それが出来ない事に責められる」
俺が言えた事じゃないかもしれないけど、全く損な性格だ。
だからこそ、ほむらがあんなに気にしているのかもしれないが。
149 = 143 :
「―――おっと」
思案に耽っていたら、鹿目が部屋を出ていった。
人の通りも少なくなってきたし、これからは直接歩いた方がよさそうだな。
散々跳び移ってきた屋上も、今日はこれでさよならだ。
「―――くっ、ふぅ……、はぁ」
階段を駆け降り、ビルの外へ出る。
荒れた呼吸を整え、マンションの入り口の方を見る。
「ん―――あいつは」
鹿目と話している見慣れてきた黒い髪。
……居たのか、ほむら。
俺に見張らせた張本人なんだから、鹿目まどかを監視する意味がない事は1番よく判ってる筈だ。
それでもここに来たという事は、やはり警告の為か。
まあなんにせよ、俺は俺の役割の為に、2人の後を追うしかない。
「――――」
「――――」
当然と言うか、何と言うか、深刻な雰囲気だ。
ほむらも友達の前でくらい、明るく振る舞えってんだ。
ただでさえ弱ってんだろうし、元気付けるとかあるだろう。
「…………」
鹿目の足が止まった。
野暮だとは思うけど、聞こえる所まで寄ってみるか。
150 = 143 :
「……わたしは覚えてる」
聞こえてきたのは悲痛で、しかしながら強い意志に満ちた声。
「これから何があってもマミさんが戦ってる事、忘れない。絶対に!」
「そう……。そう言ってもらえるだけ、巴マミは幸せよ。
……羨ましい程だわ」
命を賭して、戦い続けるような世界。
女の子に限った話じゃない。
そんな世界に身を置かなければならないヤツは、少ないに越した事はない。
「ほむらちゃんだって、ほむらちゃんの事だって、わたしは忘れないもん!
昨日助けに来てくれた事、絶対に忘れたりしないもん!」
強い意志に満ちた言葉は先程の懺悔の反動か。
何にせよ、あいつの想いは届いてる事は届いてるようだ。
……よかったな、ほむら。
「……ほむらちゃん?」
「貴女は優しすぎる」
なっ―――。
「忘れないで。その優しさが、もっと大きな悲しみを呼び寄せる事もあるのよ」
ほむらが去る。
昨日言った通り、病院に向かうのだろう。
しかし……。
「あぁ……」
なんだってそんな言い方するんだ。
あの馬鹿―――!
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