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    元スレ士郎「人の為に頑張ったヤツが絶望しなきゃいけないなんて間違ってる」ほむら「……」

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    タグ : - Fate + - クロスオーバー + - 衛宮士郎 + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    遠い昔の思い出だ。
    運命を変えてしまうような出会い。
    どれほど磨耗しようとも、どれほど色褪せようとも、
    存在し続ける特別で大切な記憶。
    心の奥底にしまい込まれた人達の姿を思い描く。

    2 = 1 :

    それは俺を救ってくれたヒーローの思い出だ。

    「率直に言うと、僕は魔法使いなんだ」

    何もかもを焼き尽くした灼熱の地獄。
    そこで虫の息の俺を見つけ、目に涙をためながら喜んだ、
    誰よりも正義の味方に憧れた灰色の暗殺者がいた。
    子供の理想と大人の現実に苦悩し続けた彼は、
    俺に魔術という武器を与え、唯一つの想いを告げた。
    俺はそいつの意思を継ぐと決め、生涯変わらぬ目標を手にした。

    「ああ――――安心した」

    3 = 1 :

    それは俺が唯一愛した頑固者の思い出だ。

    「――――問おう。貴方が、私のマスターか」

    真冬の肌寒さのある薄暗い土蔵の中。
    朱き呪いを打ち払いながら現れ、奇蹟を手にする為に戦った
    澄んだ瞳を持った金色の少女騎士。
    誰よりも気高き理想を持ち、その犠牲となり続けた彼女と共に戦い、
    戦場で生き残る為の術を学んだ。
    その戦いは消える事のない絆として、俺の支柱となった。

    「シロウ……貴方を、愛している」

    4 = 1 :

    少し長くなるが、もう1人の思い出を語ろうか。

    ―――月明かりと僅かな灯りが照らす橋での出来事だ。
    煤と火薬の匂いが漂う、人気のない橋上で俺達は出会った。
    風に舞う黒い長髪。
    俺を見つめていた悲哀に満ちた瞳。
    永遠に報われる事のない、誰よりも残酷な運命に翻弄される少女。
    俺はそいつを過酷な戦いから守りたかった。
    壊れそうな心を救いたかった。
    光溢れる世界へと導きたかった。

    5 = 1 :

    故に、誓った。

    彼女の敵を討つ剣となる事を。
    彼女の身を守護する盾となる事を。
    彼女の尊い意志を受け入れる鞘となる事を。
    そして、彼女の希望を実現させる杯となる事を。

    そこから始まった、俺と魔法少女との物語。
    今からその始まりの物語を紐解いていこう……

    6 :

    >>1おつおつ
    これは期待

    7 = 1 :

    ~~はじめに~~

    これはFate/stay nightの主人公・衛宮士郎が魔法少女まどか☆マギカの世界で戦うクロスssです
    Fate本編のネタばれが大量にありますので、気にする人はブラウザを閉じてください
    また、作品中の固有名詞も大量にありますので、希望がありましたら解説をしていきます

    奈須きのこリスペクトの結果、地の文が膨大な量になっています
    眠くなる可能性がありますので、程々に読み飛ばしてください

    ちなみにこれが初ssとなります
    未熟な部分があるので、褒めたり叩いたりして伸ばしていただければ幸いです

    遅筆に加えてタイピングが遅いので、投下速度はやや遅めになるかと思われます
    気が向いた時に開く程度で、気長に待っていてください

    誤字や変換ミスが多くなるかもしれません
    気がついた場合は訂正しますが、稀に仕様と言い張る事もあります
    何せ、手本が手本なので

    9 :

    セイバールート後の士郎かな?
    期待

    10 = 1 :

    >>6
    期待に応えられるよう頑張ります

    馴れ合い大好き人間なので、雑談は大歓迎です
    また、アニメ放送中のFate/Zeroのネタばれは多分ありません

    書き溜めはあまり多くありません
    Zeroが始まってしまった上に、まどかの誕生日だーって事で、見切り発車しました

    さて、ゆっくりと本編を始めていきます
    OPにでもThis Illusionを聴いてみてください

    11 = 1 :

    ――――――体は剣で出来ている。

    血潮は鉄で、心は硝子。

    幾たびの戦場を越えて不敗。

    ただの一度も敗走はなく、

    ただの一度も理解されない。

    彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。

    故に、生涯に意味はなく。

    その体は、きっと剣で出来ていた。

    12 = 1 :

    ひゅうという風の音が耳についた。
    ここは見滝原市。
    頭一つ抜けた、高層ビルの屋上に俺は居る。

    「―――投影、開始(トレース、オン)」

    言い慣れた呪文を唱え、虚空に弓と矢を生み出す。
    目標は2km前方のビル。
    視線の先には恰幅のいい中年男性。
    人の僅かな幸せさえも奪い取り私腹を肥やす、
    力なき庶民の敵となる男。
    法で裁く事の出来ない、しかしながら断罪されるべき悪人。

    13 = 1 :

    弓矢を構える。
    2kmという離れた点と点を結ぶ為、矢に魔力を注ぎ込む。
    狙う必要はない。
    あとはただ、イメージすればいいだけだ。
    あの標的の眉間を貫く様子を。

    「――――っ」

    馬手が離れる。
    想い描いたイメージ通りに矢は中り、その男は絶命した。
    ビルの1室が赤い鮮血で染まり、始終を見ていた者達が慌てふためく。
    しかし、そんな事は俺には関係はない。
    俺の目的は、これで完了だ。
    後は何事もなかったかのようにその場を去るだけだ……。

    14 = 1 :

    ―――それまでの足跡を振り返る。

    聖杯戦争が終結してからの物語だ。
    色々な物や人が欠けてしまった寂しさがあったものの、穂群原学園を無事卒業。
    そして魔術の鍛錬の為に、遠坂凛の弟子としてロンドンへ渡った。
    執事のバイトを体験したり、遠坂を怒らせてしまって真冬のテムズ川に突き落とされたり。
    なんだかんだで、新たな環境を楽しく過ごしていた。
    しかし、それも1年程しか続かなかった。
    きっかけは不幸な事故だったのだ。
    それが原因で俺の魔術特性がばれてしまい、魔術協会から封印指定を受けてしまった。
    遠坂の協力と餞別を得て、俺はロンドンを脱出した。
    それからは正義の味方となるべく、理不尽な迫害を受ける人々の味方として戦うようになった。

    15 = 1 :

    ただ、現実は甘くなかった。

    初めこそ定められた法に触れ、秩序を乱すような者を相手にしていた。
    疑わしきは罰せず。
    だが、これでは救われない人たちが居た。

    法の隙間を掻い潜り、いつまでも裁かれない奴らが居た。
    悪い人間が笑い、正しい人間が悲しむのを見てきた。

    俺には我慢が出来なかった。

    気がつけば、俺は全ての悪人を抹殺するようになった。
    この身は正義の味方なのか、それとも悪の断罪者なのか。
    今となっては、もう俺には判らない……。

    16 = 1 :

    今回はこの辺で終了
    質問感想は随時受け付けてます

    >>9
    セイバールート後、何年かたった頃が舞台です
    凛ルートの方が好きですが、話の都合上こっちで行きました

    17 :

    うわああああ!
    エミヤになりそうじゃないすかー!
    やだ楽しみー!

    18 :



    俺得すぎる

    19 :

    最後まで頑張ってねッ!

    20 :

    アニメと映画しか見てないけどついて行けるかな?

    21 :

    ありそうでなかったから超期待。時間がかかってもいいから完結させてほしいな。

    ≫20
    アニメ見てればとりあえずは問題ないと思う。そんな俺はアニメを見ていないが。

    22 :

    セイバーend後で「魔術特性」って事はまだ固有結界まで行けてないのか

    23 :

    士郎「氏ね!ルールブレイカー!」

    QB「ぎゃあ」

    糸冬

    24 :

    >>23
    ルールブレイカーはあらゆる魔術効果の無効化はできるけど、QBは魔術以外の何かだと思う

    25 :

    ルールブレイカーで魔女を解除出来るのか?

    26 :

    魔女化は世界と契約して英霊化するのと同じようなものだろ

    27 :

    魔女化→ソウルジェムに詰め込んだ魂の変質。
    QB一族の胡散臭い謎科学を使用。なんかエネルギーが発生するらしい。

    英霊化→世界と契約して死後の魂がいいように使われる。便利屋。(最初からの英雄は除く)
    現界する時に魔術的な要素が絡む場合あり。

    28 :

    ルールブレイカーでソウルジェム突いたらどうなるの?

    29 :

    魔術じゃなくて科学の産物だから、何も怒らないんじゃない? あくまで契約破棄だし。

    30 :

    士郎つかもうエミヤっぽいwww
    これは期待だな

    31 :

    どうも皆さんこんにちは
    やはり知名度のある作品名だけに期待も大きいようで、モチベーションは上がります
    一方で、ペースが遅い事にかなりの罪悪感も感じます

    >>17
    英霊エミヤとなる可能性の1番高いのがFateルートと個人的に考えている為、
    こんな出だしになりました

    >>20
    解説しまくってでも引っ張っていきますので、それで行けると思うなら応えてください
    ――――ついて来れるか

    >>21
    虚淵がZeroを執筆したせいか、共通点は多くあると言うのに不思議なものですね
    型月板の士郎スレやニコニコ大百科の固有結界の記事等でも話題になっていたのに
    なんであれこのSSでは、その共通点を鍵としていく方針です

    >>22
    よく気づきますね
    最初からシエルさえも倒せちゃいそうな士郎だと話が面白くなりませんので、
    今はまだ無限の剣製は展開できません

    32 = 31 :

    >>いっぱい
    破戒すべき全ての符が大人気ですね
    今のところは効果があるかもしれませんし、ないかもしれません、としか答えられません
    ただ、殺傷能力が包丁程度だって事は忘れないでください。
    エクスカリパーに龍種族即死効果が付いても、
    龍種族かどうか判らない相手に使う訳には行きませんよね?

    じゃあ、始めます

    33 = 31 :

    「ふぅ。もうこの町でやることはないな」

    ビル街から離れたところで、自身に確認するように呟いた。
    間違いなく、俺の仕事は終わった筈だ。
    空を仰げば、既に夜も更けていた。

    「少し、疲れたな」

    今晩はもう宿に泊まって休息をとりたい。
    町を抜け、川を渡る為に鉄橋へ向かう。

    34 = 31 :

    「……なんだ?」

    ふと違和感を感じた。
    結界の中のような、魔術の基盤がそこに在るかのような。
    そんな違和感だ。
    言いようのない苦々しさを感じる、その原因の場所を目指す。

    徐々に、徐々に増していく緊張感。
    背中に嫌な汗が流れる。
    そして、目的地へと辿り着いた。

    35 = 31 :

    「なっ―――!?」

    突如として世界が塗り替えられた。
    今まで居た現実とは全く異なる空間が展開される。

    「これは……固有結界?」

    認め難い状況を、無理矢理認めさせる為に声に出した。
    それは喩えるならば、ピカソのような、ゴッホのような。
    見覚えがあるが、決して見た事のない、不気味な空間。
    そこに居る大量の線画の人影。

    36 = 31 :

    「―――っ」

    訳の分からないそいつらが襲い掛かってくる。
    逃げ場なんかどこにもない。
    ならば、対処の方法は一つしかない―――!

    「―――投影、開始」

    両手に使い慣れた剣を生み出す。
    黒と白の鉈のような双剣。
    銘は夫婦剣干将・莫耶。
    この場を切り抜ける為の武器として、それを振るう。

    37 = 31 :

    「ぜっ―――」

    一体目を斬る。
    見た目通りと言うべきか、薄っぺらい手応えだ。
    視界全体に犇くような数と殺り合うには、そちらの方が都合がいい。

    「―――はっ」

    返す刃で二体目を掃う。
    敵はまだまだ続く。
    三体目、四体目、五体目、六体、七体、八体、九、十、十一、十二―――!
    それでも、まだ沢山。

    38 = 31 :

    「くそっ」

    埒が明かない。

    遥か奥を睨む。
    この空間がどこまで続いているのかは判らない。
    だが、この使い魔を操る術者を叩かなければ、無限にでも湧いてきそうだ。
    ジリ貧で敗北し殺されるなんて、まっぴらごめんだ。

    「邪魔だっ。どけぇっ!」

    突破を試みる。
    正面に立ち塞がる人影だけを斬り倒し、中心部を目指す。

    39 = 31 :

    「はぁ、はぁ……は」

    どれだけの敵を薙ぎ掃ったかも、どれだけの距離を駆け抜けたかも、憶えてはいない。
    ただ我武者羅に走るうちに、空間が開けた。

    辺りを見回す。
    後方にこそ有象無象が犇いているが、人らしき姿はない。
    そこに在るのは魔術師ではなく、これもまた見た事のあるような建造物(オブジェ)。

    「凱旋門?出身はフランスかイタリアかってとこか?」

    40 = 31 :

    どちらにせよ、恐らく敵は格上。
    高位の魔術師か、最悪の場合死徒。

    ―――油断は出来ない。
    そんな事、している余裕なんてない。

    「は―――。どこから、来る?」

    凱旋門を背にし、周囲を警戒する。
    これならば、背後を取られる事はない。
    何も出来ないうちに殺られる事もない。
    そう、考えていた。

    41 = 31 :

    しかし、それこそが油断だった。

    「―――――■■■■■!!!」

    「は……!?」

    背中を任せていた筈の凱旋門が敵そのものだった。
    気づいた時には、もう手遅れ。
    唸り声と共に、そこにあしらわれた人々が武器を放った。
    逃げるには……、間に合わない!
    回避は諦め、迎撃に転じる。
    大した効果があるとは、とても思えない。

    42 = 31 :

    「■■■■■―――――!!!!!!」
    「ぐあっ―――!?」

    急に目の前が光に包まれた。
    ばーんとも、どかーんとも言える爆発音と、凱旋門の苦痛の声。
    至近距離からの爆風に煽られ、俺も背後へ吹き飛ばされる。

    「一体、何が」

    起こったのか。
    ちかちかする眼に視力が戻った時、凱旋門は既にそこにはなく、
    かつてそうであった者の破片が燃えているだけだった。
    状況が掴めない。

    43 = 31 :

    そこにゆっくりと舞い降りてきた。
    奇妙な衣装を身に纏った、紫色をイメージさせる少女。

    ―――小さな口が開かれる。
    彼女の発した最初の言葉は、

    「大丈夫かしら?」

    俺の身を案じる、年相応の優しい言葉だった。

    44 = 31 :

    ―――結界が崩れ落ちる。
    何処かで見たような絵画の世界は消え去り、
    元通りの人気のない橋へと還ってきていた。
    目の前には、何故だか哀しい瞳をした少女が長い黒髪を靡かせている。

    ひゅうと風が吹いた。
    額に滲んでいた汗が冷え、夢うつつな意識が引き戻された。

    「―――おまえ、何者なんだ?」

    45 = 31 :

    ばか、もっと先に言う事があるだろうが。
    整理の追いつかない頭の中から、助けられたという事実を掘り出す。
    それに相応しい台詞をちゃんと考えて……

    「貴方が知る必要はないわ」

    あ、カチンときた。
    浮かびかかっていた言葉は遠い彼方。
    替わりについ、出てしまったのは、向けるべきではない乱暴な言葉だ。

    46 :

    もうちょっと1レスにまとめて投下してくれない?
    ぶっちゃけ読みにくいだけです

    47 = 31 :

    「必要がないってなんでさ。
    助けてくれたのには感謝はするけど、その言い方はないだろ」

    大人気ない。
    あまりにも大人気ないが、この際仕方はない。
    こんな女の子が化け物と戦うなんて事、絶対に在ってはならない。

    「今の化け物はなんだったのか。おまえは魔術師なのかどうか。
    そしてなんだってあんなのと戦っていたのか。」

    「魔術師……?」

    少女の眉間にしわが寄った。
    薄々感じてはいたが、どうやら魔術とは無縁らしい。

    48 = 31 :

    それも当然だ。
    魔術とは秘匿される物なのだ。
    街中で行使するヤツは、それこそ俺みたいなイレギュラーぐらい。

    そして何より、魔術師は普通、こんな日曜朝8時半を彷彿させるような格好はしない。
    俺だってそんなのを見たのは、高校生時代の悪夢のような事故の時だけだ。
    あの奇妙なステッキが原因の……!

    「魔法、少女―――?」

    49 = 31 :

    ばかばかしい。
    そんな考えに至る事自体が、全く以てばかばかしい。

    だと、言うのに―――。
    この子の顔に警戒が表れているのは何故なんだ。

    「まさか、本当に魔法少女なのか?」

    ありえない。
    魔法なんて奇蹟が、そこらで大安売りされているなんて事が。

    50 = 31 :

    「貴方こそ、何者なのかしら?」

    かちりと、撃鉄が起こされる音。
    そう言って、目の前に居た筈の少女が俺に、俺の後頭部に拳銃を突き付けた。

    「な―――、に」

    人よりずっと視力の優れた俺が、鍛錬により培った心眼を以てしても視えない動き。
    仮令英雄であろうと、そんな一瞬で移動する事は不可能だ。
    つまり、この少女は俺の後ろに転位したのだ。


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