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    元スレ士郎「人の為に頑張ったヤツが絶望しなきゃいけないなんて間違ってる」ほむら「……」

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    タグ : - Fate + - クロスオーバー + - 衛宮士郎 + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    201 = 190 :

    「じゃ、じゃあ、試しに何か作ってくださいよ。
    あたし、剣が武器だから、かっこいい剣が見てみたいなー!」

    「そ、そうだな。百聞は一見にしかず、だ」

    見ていられなくなったのか、空気に耐えられなくなったのか。
    俺と鹿目の間に居た美樹からフォローが入った。
    この機会を逃す訳にはいかない。
    女の子でも喜びそうな剣だ。
    俺の記憶の中でも、とびきり綺麗な剣を―――。

    「―――投影、開始」

    「わぁーっ」
    「おおーっ」

    右手に握るは岩より抜かれし王の証。
    ブリテンに伝わる選定の剣、カリバーン。
    2人の反応からすると、どうやら満足してもらえたらしい。

    「きれいだなあ」

    「あたしもこんな剣だったら良かったなー」

    「そうはいくか。これは国の為に一生を捧げた王様の剣だ。
    本来なら俺には見る事さえ適わないような逸品だからな」

    へー、と感嘆の声が上がる。
    さて、見せびらかすのも程々にして、そろそろ本題に入らないとな。

    202 = 190 :

    「ところで、今日来た理由だけど、率直に言えば、俺、美樹に戦ってほしくない」

    「そんな訳にはいきませんって。
    あたしはマミさんみたいな正義の味方になるんですからっ」

    “喜べ少年。君の願いはようやく叶う”

    かつて言われた、最高に気に食わないヤツの言葉が頭に響いた。
    くそっ、黙ってろ。
    あんたの言葉はこの子には要らない―――!

    「だと思った。でも、誰も救えないまま死ぬのは嫌だろ?」

    「まあ、そうですけど……」

    「だからさ、死なない為の戦い方を知ってほしい。
    それくらいだったら、俺でも教えられるから」

    これが俺にとっての最大限の譲歩。
    かつてセイバーにつけてもらった稽古と方針は違うが、コンセプトは同じだ。
    まずは知ってほしい。
    死なない戦いさえ覚えてくれれば、後は経験が成長させてくれるはずだ。

    「うーん」

    美樹が腕を組み、首を傾げる。
    鹿目に視線を向け、何かを相談するかのような様子。
    それは10秒にも満たない僅かな時間。
    美樹はよしと頷き、再び口を開く。

    203 = 190 :

    「じゃあ、いっちょお願いしちゃいましょうかねー、師匠!」

    「さやかちゃんをお願いします、師匠!」

    ったく、調子が狂うな。
    警戒されたり、興味持たれたり、慕われたり。
    それでも、悪い気はしないけど。
    むしろ、2人の笑顔は見てて嬉しい。
    これを守る為にも、俺もいっちょやってやりますか。

    「では、始めるその前にっと、その肩の白いの、なんだ?」

    死角となっている美樹の右肩。
    そこで見え隠れしている謎の白い物体を指差す。

    「キュゥべえが見えるんですか!?」

    「在る物が見えないなんて訳ないだろ」

    妙な事を言うなあ。
    冗談を言うような子には見えないんだけどな、鹿目は。

    「こんばんわ、僕はキュゥベえ。
    本当なら僕の姿は才能のある第二次性徴期の少女にしか見えない筈なんだけど、
    君は一体何者だい?」

    ……ほむらの言ってたアレか。
    こいつについては少しずつ調べていくとするか。

    204 = 190 :

    その後、美樹に手短に講義をした。
    相手の動きをしっかり見る事。
    攻撃は刀身で受け、外側へ流すように避ける事。
    相手の作った隙を見逃さない事。
    しかし決して深追いしない事。
    言葉にすれば簡単だが、生き残るには重要な基本事項。
    いつか見た赤い背中を真似た、俺の戦闘スタイルの根底だ。

    「しばらくは俺も同行させてもらうから、慎重になり過ぎても大丈夫だ。
    だから、無茶だけは絶対するなよ?」

    「サー!イエス、サー!」

    師匠じゃなかったのか?

    「あははは……」

    話をしているうちに、目的地へと辿り着いた。
    あの独特の苦い感覚。
    それがこの先の路地裏から感じる。

    「この結界は、多分魔女じゃなくて使い魔の物だね」

    白いのが説明する。
    なるほど、使い魔と言うだけあって、単独で行動する事もあるのか。
    それに魔女が居なくとも、不完全ながら結界を展開出来ると。
    何はともあれいい機会だ。

    「美樹、さっき言った事を実践してみろ。
    俺は弓でカバーするから」

    「まっかせてください!」

    205 = 190 :

    青く輝くソウルジェムをかざし、美樹の姿が変わる。
    基調が青の服装に白いマントを翻し、両手で握る軍刀は上段で構えられた。

    「さあって、行っくぞぉ!」

    ルーズリーフを貼り付けただけのような結界の中に2体の使い魔。
    その姿は子供の落書きのような乗り物だ。
    ぶーん、とその創造主が遊んでいるかのような声を出し、結界内を飛び回る。

    「でえーい!」

    無警戒の1体に不意打ちの一撃を決める。
    防御を気にせずに叩き込まれた一振りは、使い魔1体を倒すには十分だった。

    「よーし、次ぃー!」

    2体目は同じようにはいかない。
    既に敵を察知していた為、先制は向こうだ。
    姿の通りの、スピードの乗った突進攻撃。

    「よっ、とっと」

    両手で剣を握ってたせいか、うまく受け流せずにバランスを崩したようだ。
    尤も、そのおかげで使い魔にもダメージが入り、突然の追撃は免れた訳だが。

    「次が来るぞ!脚を使っていけ!」

    ターンしてからの二度目の突進が迫る。
    それを回り込むように―――。

    206 = 190 :

    「おいさーっ」

    「よし、いいぞ!」

    「今だよ、さやか」

    隙だらけの使い魔へと美樹が駆ける。
    その両手に握った剣を大きく頭上へ振り被り、

    「くらえーっ」

    間合いに入ると同時に叩きつけた。

    「!?」

    キン、と甲高い金属音が響いた。
    使い魔は未だ健在。
    攻撃を放った筈の美樹はまたも体勢を崩している。
    そして、彼女に足元には紅い槍の穂先が突き刺さっていた。

    「ちょっとちょっと。何やってんのさ、アンタたち」

    こつこつとヒールを地に叩きながら、少女が現れる。
    長い髪を一つに束ね、紅いドレスのような衣装に身を包み、片手にたい焼きを持っている。
    その姿を見れば解る。
    コイツは魔法少女だ。
    恐らく―――、

    「見てわかんないの?ありゃ魔女じゃなくて使い魔だよ。
    グリーフシードを持ってるわけないじゃん」

    昨日ほむらが言っていた類の。

    207 = 190 :

    「あっ、逃げちゃう!」

    鹿目が叫んだ。
    多勢に無勢、それに手負いという状況。
    知能があるとは思えないが、生存本能が撤退を判断したのだろう。

    「俺が行く!」

    美樹は魔法少女に槍を突きつけられて動けない。
    もとより、取り逃がしの処理は俺の役割だ。
    彼女の前に美樹を取り残すのは不安だが、俺は俺の仕事を果たす―――!

    「逃がすかっ」

    脚力を強化。
    使い魔が逃げた結界の果てまで走る。
    いや、果ては来ない。
    この結界は主と共に移動し続ける物らしい。

    「―――投影、開始」

    弓矢を手に執る。
    狙う必要なんてない。
    構えた時点で、的は疾うに射抜いているのだから。

    「次だっ!」

    結界が消失する。
    使い魔を仕留めたなら、次の問題はあの魔法少女だ。
    即座に振り返り、美樹の元へ急ぐ。

    208 = 190 :

    「まさかとは思うけど。やれ人助けだの正義だの、その手のおチャラケた冗談かます為に、
    アイツと契約したわけじゃないよね、アンタ?」

    ――――!
    少女の背後から紅い檻、恐らくこれも結界なのだろう。
    それが美樹を囲むように構築されようとしている。
    完成されたら、中にはきっと入れない―――。

    「く、そっ」

    弓を投げつけ境界にぶつけた。
    それは結界と地面の間に挟まり、檻が閉じられるのを免れた。
    半ば投げ槍ではあったものの、結界を押し留める為のつっかえ棒にはなってくれたらしい。

    「ん?」

    「だったら、なんだって言うのよ!」

    いや、安心するには早すぎた。
    美樹のヤツ、完全に挑発に乗ってしまってる。

    「待っ―――」

    ガキンッ。
    再び響いた金属音。
    制止も間に合わず美樹が振り下ろした一撃は、少女の槍に弾かれていた。
    ……当然だ。
    昨日初めて剣を持ったヤツが槍使いに勝てる筈がない。

    209 = 190 :

    「ちょっとさ……」

    「―――させるか!」

    「やめてくれない?」

    美樹に向けられた槍の円運動。
    そいつを―――、

    「―――っぐ」

    美樹を突き飛ばすように庇った。

    「師匠っ!」
    「衛宮さん!?」

    どうやら左腕を裂かれたらしい。
    部位は前腕、骨や腱は無事だが、肉を軽く持ってかれた。
    すぐに治るとはいえ、弓は使えそうにない。
    それでも―――腹を裂かれ、何もしないまま気を失ったあの時よりは上出来だ。

    210 = 190 :

    「ああ?一般人が何してくれちゃってんの?」

    「師匠、その腕……」

    「大、丈夫だ。気に、すんな」

    少女が槍を肩に担ぎ、苛立ちながらこちらを見ている。
    傷口を触れてみた。
    …………問題ない。
    いつもと同じように塞がってる。

    「借りるぞ」

    思わず落としてしまったのか、美樹の剣を拾う。
    立ち上がり、睨みつけるは紅き魔法少女―――!

    「おい、てめえ。コイツの理想を嗤うってのか?」

    「当ったり前じゃん。人助けとか正義の味方なんてばかばかしい」

    どこか、平然すぎるくらいに少女は言った。
    ならば目の前にいるソイツは、この俺にとっても敵だ。

    「解った。なら、美樹に手は出させない。
    おまえの相手は……、この俺だ!」

    「はんっ、つけあがんなよっ!」

    211 = 190 :

    俺のダッシュに合わせ、槍が振るわれる。
    紅い軌跡は大きな弧を描いて、頭部に襲い掛かる。

    「効くかっ」

    その初撃を弾く。
    問題はない、十分視えている。
    サーベルと言えど、剣は剣だ。
    これなら負ける事だけはない。

    「ちっ」

    剣戟が響き始める。
    高い金属音が歌うように、奏でるように。
    叩き合うつどに十三度。
    路地裏にその余韻を残しつつ、少女が間合いを開ける。

    「へぇ、やるじゃん。一般人かと思って加減してたけど、そこのトーシロより全然上だ。
    ここからは本気で往かせてもらうけど、死んでも―――」

    少女が再び槍を構える。
    本番が始まるのは、これからか。

    「文句言うなよなっ」

    最初と同じように槍が振るわれる。
    大きく弧を描く攻撃なら、捌く事など簡単―――、

    「がっ―――!?」

    な筈だった。
    少女の槍は柄がいくつもに分かれ、軌跡が変わる。
    捌いた筈の攻撃は、俺の握る剣を中心に回り込み、背後から襲い掛かってきた。

    「くっ」

    負ける訳にはいかない。
    正義を信じるヤツが居る。
    そいつの理想を守る為にも、この程度で負けてられない―――!

    212 = 190 :

    「効かねえよ、間抜けぇ!」

    変則的な軌道の槍を見極める。
    経験によって会得した心眼の前に、こんな攻撃取るに足らない。
    一撃につき二度、その槍に剣をぶつけていけていけばいい。

    「どこまで保つかなぁ、ほらぁ?」

    攻撃が加速する。
    右から、左から、上から、そして背後から。
    埒が明かない剣戟。

    「どうして?ねえ、どうして?
    魔女じゃないのに、どうして味方同士で戦わなきゃならないの?」

    外野が何か言ってる。
    それが耳に入る事は今はない。
    考えるべきは、この少女を止める為の作戦のみ。

    「ああ!」

    悲鳴のような声が聞こえた。
    右手にあった筈の剣は弾き飛ばされている。

    「終わりだよ!」

    少女が跳び上がり、とどめの一撃を狙う。
    それは上空からまっすぐに俺を貫く、必殺の一撃なのだろう。
    だけど、計算通りだ。

    213 = 190 :

    「たわけ、終わるのはおまえだ」

    カリバーン、黒鍵、カラドボルグ、物干し竿、美樹の軍刀。
    5本の刀剣を想い描く。
    それらが隊列を為すように実体化する。

    「―――投影、完了(トレース、オフ)。一斉掃射(バレットオープン)!」

    号令と共に剣を放つ。

    「わたし……!」

    中る事はない。
    当てはしない。
    剣は槍を弾き、少女を拘束するだけだ。

    「それには及ばないわ」

    カチリ。
    歯車が回るような音を感じた。
    次の瞬間、剣は虚空を貫き、壁に刺さった。
    対して少女は、誰も居ない場所に着地していた。
    一直線上に居た筈の俺たちが、一瞬で軸をずらされてしまった。
    そんな事出来るヤツ、1人しか居ない。

    「またおまえかよ。何しに来たぁっ!」

    美樹が新たに剣を取り出す。
    それをほむらに向けて、振りかざした。

    「やめろ、美樹ィ!」

    今度鳴り響いたのは鈍い金属音。
    振り下ろされた剣は俺の左腕に納まっている。

    「し、師匠……?」

    「おまえがなんでほむらを嫌ってるのかは知らない。
    だけど、むやみに剣を人に向けちゃいけない」

    214 = 190 :

    美樹が心配するように剣を下ろした。
    ほむらも突然庇った俺に驚きの表情を見せていたが、
    大丈夫と声をかけたら紅い魔法少女へ向かっていった。
    うん、何も問題はない。
    さっき受けた槍のおかげで、俺の傷は剣で塞がっていたのだから。

    「佐倉杏子、今日のところは引いてくれないかしら?」

    ほむらが言った。
    やたら色々知ってるとは思ってたけど、あの少女の名前も知っているらしい。

    「アンタが噂のイレギュラーってヤツか……。
    訳の分からなねえ男も居るし、顔を拝んだだけでもよしとするか」

    じゃあな、と言い残して紅い少女は去っていった。
    それを見届けると、ほむらも歩き出す。
    ああ、その前にひとつだけ、伝えておかなければ―――。

    「ちょっと待て、ほむら」

    「……何かしら?」

    「晩飯は冷蔵庫の中の豆腐ハンバーグだ。スープとサラダも用意してある。
    ハンバーグは火を通せば完成だから、先に食べていてくれ」

    「…………」
    「…………」
    「…………」

    場違いな発言すぎたのか、周囲がなんとも言いがたい沈黙に包まれた。
    俺にとっては永遠にも感じられた静寂の後、何事もなかったかのようにほむらは再び歩き出した。
    ……必要な連絡をしただけなのに、なんだってこんな恥をかかなくちゃならないのさ?

    215 = 190 :

    ―――女の子には優しくしろ。
    それは親父が俺によく教えてくれた事だ。
    もしかしたら、魔術の事以上に。
    尤もその教えがなくとも、夜に女の子を1人で帰らせる訳にはいかない。
    まあ、そうだな。
    ほむらは別だ。
    出鱈目な能力を有し、無茶苦茶な量の武器を持ち歩くヤツだ。
    暴漢程度、どうという事はないだろう。
    何よりも、あいつは人と居る事を好まないように感じてしまう。
    俺との会話も妙に事務的な感じがするし。
    そういう訳なので、俺は今、美樹と鹿目の2人を送っていた。

    「どうして、同じ魔女と戦う人同士でケンカしなきゃならないんだろう……」

    鹿目がぽつりと呟いた。
    聞き逃してしまいそうなその声は、要するに俺への抗議だ。

    「まどかにはアレがケンカに見えたっての!?
    武器と武器での殺し合いだよ、アレ!?」

    「別にケンカも殺し合いもしてない。
    向こうがどうだったかは知らないけど、俺は攻撃を受けないようにしていただけだぞ?」

    一応の弁解。
    納得してもらえるとは思わないが、俺の考えだけは伝えておきたい。

    216 = 190 :

    「正義の味方になりたい。そう思うヤツが襲われたんだ。
    だから俺はあの場をやり過ごす事を考えた。
    ……俺もまた、同じ志を持つばかの1人だからな」

    「さっすが師匠!カッコいい事、言うっすね!」

    そういうつもりではなかったのだが、まあよしとしよう。
    あと、美樹。
    少しは声を落とせ。
    近所の迷惑になるし、何よりこの状況だ。
    最悪、通報される。

    「おっと、すみませんすみません」

    こつん、と自分の頭を叩くお調子者。
    空気をぶち壊すと言うか、ムードメーカーと言うか。
    ほむらの側に置いておきたいタイプだ。

    「美樹に後輩になってほしいなんて思わない。この道の険しさはよく知ってるからさ。
    でも、同じ道を歩むヤツが居るってんなら、俺はそいつが死なないようには教える」

    それが俺の意思だ。
    ほむらを手伝い、美樹をサポートする。
    誰も死なせたくないし、誰も悲しませたくない。
    俺にはそれ以外の道なんてないのだから。

    217 = 190 :

    「よし、美樹はここだな」

    美樹に色々経験やらなにやら訊かれるうちに、彼女のマンションに着いた。

    「最後に宿題だ。正義の味方は最大のエゴイスト。
    その意味をよく考えてから、この道を進むか決めるんだ」

    じゃあな、と口にし、鹿目と歩き始める。
    美樹が居なくなったからか、会話もなく静かな帰路だ。
    気まずさこそないのだが、少しむず痒くなる空気。
    それがしばらく続き、鹿目のうちの前に着く。

    「あの、わたしは臆病だから戦えないけど、代わりにさやかちゃんの事、よろしくお願いします!」

    突然そう言って、鹿目は自宅の中へと駆けていった。
    それを見届けると、俺は独り街に取り残される。

    「ああ……、任せろ」

    誰も居ない街に、誰へともなく呟いた。
    応える人間も居ない。
    虚空へと消えていったそれはきっと、自分への覚悟だったのだろう。

    218 = 190 :

    夜風が気持ちよかったせいか、のんびり歩きすぎてしまった。
    時計は既に8時を回っている。

    「悪い、ほむら。遅くなった」

    うちに入りながら、家主に声をかけた。
    ……が、返事はない。

    「――――――む?」

    何か香ばしすぎる匂い。
    部屋の隅には丸く膨らんだ布団。
    テーブルの上には、歳相応の可愛らしい文字でごめんなさいと書かれたメモがある。
    大体合点はついてはいた。
    テーブルの向こう側にあったのは、ラップがされた焦げたハンバーグだった。

    「……ったく、全部終わったら、特訓させてやろうか、コンチクショウ」

    その為にも、ワルプルギスの夜とやらを倒さないとな。


    ステータス・武器情報が更新されました

    219 = 190 :

    Status

    衛宮士郎
    属性:中立・善
    スキル
    魔術:魔術を習得している。が、使えるのは投影、強化と一部の儀式魔術のみ。
    弓術:弓を用いた戦闘技術。人間として身に付け得る極限の実力。
    剣術:剣を用いた戦闘技術。非常に高い実力で、特に双剣に関しては極限の実力。
    槍術:槍を用いた戦闘技術。人並み以上には扱うが、専門家には遠く及ばない。
    心眼(真):経験に裏打ちされた戦闘論理。僅かでもあるならば、その勝機を見出す事が出来る。
    千里眼:鷹の目。高い動体視力を持ち、遠距離の標的も捕捉可能。
    調理:家庭料理から菓子作り、はては宮廷料理まで。サバイバル料理にも対応。
    執事:家事全般の手際のよさと緻密さ。ランクで言えばA+相当。

    美樹さやか
    属性:秩序・中庸
    スキル
    剣術:剣を用いた戦闘技術。師を得て指導を受けた為、防御に関しては上達している。
    足場作成:魔力を用いて空中に足場を作る事が出来る。これにより三次元的な動きが可能。
    勇猛:怖いもの知らず。精神干渉への耐性を持つが、空回りする事も。

    佐倉杏子
    属性:混沌・中庸
    スキル
    槍術:槍を用いた戦闘技術。獲物の特性と相まって、実力は常人の域を大きく逸脱している。
    結界構築:外と内を隔離する檻を作成する。物理的な衝撃をある程度防ぐ事が出来る。

    220 = 190 :

    Weapon

    カリバーン
    イングランドの騎士王、アーサー王の象徴たる聖剣。
    魔術師マーリンの導きにより、選定の岩から引き抜かれた王の象徴である。
    アーサー王が騎士道に反する戦いをした時に折れたという、失われた宝具。
    王としての権力を示す為に美しい装飾が施されているが、
    その代償として、武器としての精度はエクスカリバーには及ばない。

    多節槍
    魔法少女・佐倉杏子が使用する長槍。
    槍頭が大きすぎる為突きや投擲に向かないが、
    斬る、薙ぐ、掃う、と近接武器としては十分な性能を持つ。
    柄は多数の節で分かれており、それぞれが鎖で繋がれて多節棍のようになっている。
    また、使用者の意思により長さを変えられる為、伸縮自在で変幻自在を実現している。
    その分扱いには非常に高度な技術を要するが、使いこなせれば向かう所敵なし。

    物干し竿
    第五次聖杯戦争におけるアサシン、佐々木小次郎が使用した長刀。
    物干し竿はあくまで名称にすぎず、刀の正式な銘は不明。
    五尺余に及ぶ刃渡りは槍に近い間合いを得られるが、刀としては合戦で使いにくいので論外である。
    この刀は宝具ではないが、剣豪・佐々木小次郎の剣技が滲みついている。
    ただし、魔法の域に達してしまった“秘剣”だけは、衛宮士郎に理解は出来ない為再現は不可能。

    221 :


    料理失敗したほむらがかわいい

    222 :

    恥じ入るほむら可愛すぎワロリエンヌ
    設定厨としてはステータスやスキルに痛いルビやランクが欲しい気もする

    223 = 189 :

    逆に型月キャラは魔女図鑑方式の紹介で

    224 :

    きっと油も引かずに焼いて引っ付いたせいで
    崩れるハンバーグにわたわたしながら焦がしたんだろうな

    225 :

    士郎ならば杏子の懐柔は容易い
    Aランク級の料理でイチコロさ

    226 :

    乙。雰囲気出てるねー。
    ただカリバーンやカラドボルグはやりすぎじゃない? と思った。剣弾なら無名の剣でも十分だろうし。

    227 :

    ゼルレッチで平行世界のまどかたちも救いに行こうぜ

    228 :

    乙です。
    自分だけかもしれないけど、士郎に若干の違和感が・・・
    この士郎は二十代半ばでいろいろ経験してるんだし、もうちょっと落ち着きがあってもいいような気がする。

    229 :

    >>228
    でも士郎だぜ?

    230 :

    アーチャーだって死後の経験でああなったみたいだしきっと士郎は死ぬまで落ち着きないと思うよ

    231 :

    >>1さん乙。
    面白いです。

    クロス作品で完結したのって、ホント少ないので頑張って下さい。

    232 :

    松中の満塁ホームランのせいで興奮して眠れそうもありません
    その後クロスSS紹介スレを覗いたら、わたくしめのスレがあげられててさらに興奮してしまいました
    前回終了時に挨拶が出来ませんでしたので、この機会に返事だけさせていただきます

    >>222
    1.草案ではランクも考えていたのですが、英霊たちと比べるとオールEになりかねませんし、調子に乗ってインフレする恐れもありましたので断念しました
    その代わり、文面で強弱関係は判るようにはしてあるので、それで勘弁してください
    2.原作には宝具以外に妙な読み方がなかったので、そのままにする事にしました
    3.ぶっちゃけちゃんと中二病に罹ってなかったので、その辺りのセンスが皆無なのです

    >>223
    何故か士郎が魔女化したときの設定は考えてありましたので、ホークスの日本シリーズ進出が決まる頃には要望に応えられるかと

    >>226
    作戦は服を打ち抜いて壁に拘束するつもりでしたので全く以てその通りなんですが、投影の性質上想像する必要があります
    その際、無銘(名)の剣は想像しにくいでしょうので、このラインナップとなりました
    あと、武器リストの説明考えるのもそれなりに時間かかってますので、ちょっと手抜きしました
    ごめんなさい

    >>227
    第二魔法を使えるのゼルレッチしか居ないのですが、あの爺さんがそんな殊勝な真似をするとも思えませんので……

    >>228
    一応本編より物分りはよくなってるつもりですけどね

    >>229>>230
    ひでえ
    でも、あえて弁護する気もしません

    >>231
    そもそも、こんなエンドで納得いくかコンチクショウ!こうなったらこの手で終わりを捻じ曲げてやる!親父の敵とるついでに頑張れ士郎!
    って感じで、完全に自己満足の為にやっておりますので、死なない限りは完結させます
    脳内に花畑があるくらいのハッピーエンド大好き人間なので、まどかの犠牲とほむらの努力が無駄になったのは堪え難かったんです

    233 = 232 :

    松中の満塁ホームランのせいで興奮して眠れそうもありません
    その後クロスSS紹介スレを覗いたら、わたくしめのスレがあげられててさらに興奮してしまいました
    前回終了時に挨拶が出来ませんでしたので、この機会に返事だけさせていただきます

    >>222
    1.草案ではランクも考えていたのですが、英霊たちと比べるとオールEになりかねませんし、調子に乗ってインフレする恐れもありましたので断念しました
    その代わり、文面で強弱関係は判るようにはしてあるので、それで勘弁してください
    2.原作には宝具以外に妙な読み方がなかったので、そのままにする事にしました
    3.ぶっちゃけちゃんと中二病に罹ってなかったので、その辺りのセンスが皆無なのです

    >>223
    何故か士郎が魔女化したときの設定は考えてありましたので、ホークスの日本シリーズ進出が決まる頃には要望に応えられるかと

    >>226
    作戦は服を打ち抜いて壁に拘束するつもりでしたので全く以てその通りなんですが、投影の性質上想像する必要があります
    その際、無銘(名)の剣は想像しにくいでしょうので、このラインナップとなりました
    あと、武器リストの説明考えるのもそれなりに時間かかってますので、ちょっと手抜きしました
    ごめんなさい

    >>227
    第二魔法を使えるのゼルレッチしか居ないのですが、あの爺さんがそんな殊勝な真似をするとも思えませんので……

    >>228
    一応本編より物分りはよくなってるつもりですけどね

    >>229>>230
    ひでえ
    でも、あえて弁護する気もしません

    >>231
    そもそも、こんなエンドで納得いくかコンチクショウ!こうなったらこの手で終わりを捻じ曲げてやる!親父の敵とるついでに頑張れ士郎!
    って感じで、完全に自己満足の為にやっておりますので、死なない限りは完結させます
    脳内に花畑があるくらいのハッピーエンド大好き人間なので、まどかの犠牲とほむらの努力が無駄になったのは堪え難かったんです

    234 = 232 :

    何故か二重投稿……

    クロスSS紹介スレにあった先達、
    魔法少女 えみやマギカ
    Fate stay Magica
    の中身が知りたいのですが、今読んでしまうと影響を受けてしまいそうなので、どなたか時間ができた方、もしくは既読の方にあらすじとか感想とか教えていただければ嬉しいです

    ここが良い、ここが悪いなどの指摘も待ってます
    まだまだ発展途上の文章ですが、皆さん今後ともこのSSにお付き合いしていただければ幸いです

    235 :

    >そもそも、こんなエンドで納得いくかコンチクショウ!こうなったらこの手で終わりを捻じ曲げてやる!

    むむむ、
    決して強かったり賢かったりとは言い難い普通の少女たちが必死に這いずり回って、
    互いの欲する未来を泥臭く求める的な本編の要素が好きだったので
    もしかするとこのクロスでの結末は俺が求めるのとは違うのかもしれませんね・・・

    でもむしろ、求めるのと違うENDのほうが個人的に傑作と感じやすいという謎の法則があるので凄い期待してます!
    あせらずじっくり頑張ってくださいね

    236 :

    >>233
    士郎魔女化・・・
    求める理想の大きさとその後の絶望の大きさを考えたら相当エグい魔女になりそうだ

    237 :

    >>234
    1つだけ言えば
    どちらかのキャラがどちらかの世界に召喚、転生される系の話はよくあるが
    世界観融合系の話は今のところここだけ見たいです。

    238 :

    求める理想の大きさとその後の絶望の大きさの結果が赤い弓兵だろ
    確かに遅れた厨二病のエグイ奴になったな

    239 :

    士郎が魔女化したら当然結界デザインはUBWだよな

    特性は口づけで操った人間を悪人にして魔女士郎が正義の味方として[ピーーー]とか

    240 :

    士郎は誰かを救わなければならないって思ってるだけだからそれは違くね?
    口づけで操った人間に悪人を始末させるとかそんな感じだと思うんだけど

    241 :

    >>240
    そだね、クリームヒルトに近しい性質かなって思いますね
    >>234
    魔法少女 えみやマギカ
    アーチャー(エミヤ)っぽい思考・思想・洞察力で人間lvで武術に長けた少女(オリキャラ)がまどか・さやか側に居る話
    Fate stay Magica
    第五次聖杯戦争で遠坂凛がエミヤでなくまどかを召還した話、他のサーバントとかそのまま、割とstay nightの流れ遵守

    243 :

    松中信彦「三冠王とはッ――誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せる姿を指す言葉!
        すべての野球少年の羨望を束ね、その道標として立つ者こそが、三冠王。故に――!
        三冠王は孤高にあらず。偉志は、すべてのチームメイトの志の総算たるが故に!

    『然り! 然り! 然り!』


    ホークスの8年ぶりの日本シリーズです
    ファンとしては死ぬほど嬉しいです
    嬉しさのあまりイラストを描いていたのですが、ペンも色鉛筆もなく、ペイントで色を塗ろうとしてもなかなか捗らなかったり
    でも折角だからupしてみたくなったり
    ※完全自己満足の上にモノクロです
    プリンタ用紙に描いたのにやたら大きいです
    そもそも本編と一切合財関係ありません


    >>235
    本編自体は好きですし、這いずり回るのは好きです
    ただ、その結果がハッピーエンドならなー、という気持ちですね
    とりあえず、士郎にも這いずり回ったり、血塗れになったり、死にかけたりしてもらいます

    >>237
    なるほど、ではどこのパクリとも思われずに済みそうでよかったです

    >>238
    ひでえ

    >>241
    ありがとうございます
    できれば、主観で構いませんので感想も聞かせていただければ

    >>242
    わけがわからないよ

    244 = 243 :

    Sierra
    錬鉄の魔女。その性質は正義。
    人々を襲う、あらゆる罪人を断罪する魔女。
    歪んだ理想に生き続けた者の成れの果て。
    実体を持たず、いわば無限の剣を内包した結界そのものが本体である。
    もし世界から全ての罪が消え去れば、この魔女は己の存在を罪として、自身を断罪し消滅するだろう。


    Cielo
    錬鉄の魔女の手下。その役割は担い手。
    結界内に存在する無数の武器の使用する正義の断罪者。
    同時に一体しか存在できないが、それを孤独と感じず、孤独と気付く事もない。


    見た目は魔女の方は剣の丘、使い魔はhollowのアヴェンジャーみたいなイメージですね
    士郎モードでもビーストモードでもなく、のっぺらモードの方で

    >>239>>240
    魔女化について思うのが、元の性質を残しながら、どこかが反転しているのではないか、です
    士郎の元々の目的は自分の力で人を助ける事なので、あくまでも行動するのは自分自身
    でも、人を助けるの方が反転して、人に害を為す者を皆殺しにする感じかな、と
    そして落ちに、自分がやった人殺しを罪とみなして消滅する、という風に考えました

    尤も士郎は男なので、この妄想は誰かに使われる可能性はあっても、自分で使う可能性だけはないのであしからず
    あと、コラ製作の技能は持ってないので、これ以上は期待されても何も出ません

    245 :

    他にもこんなが話あるけど
    サギタリウス・マギカ
    第5次アーチャーがマギカ世界に召喚される話
    http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=25912&n=0&count=1

    246 :

    >>243
    >>241です、文章を読める人にネタバレもどうかと思いますので、あんま詳しくは書きたくないですが
    魔法少女 えみやマギカ
    は、まだ途中ですしどう転ぶか解んないですね、干将莫耶を使う辺りを考慮するとオリキャラって断言したのは尚早だったかもですね
    Fate stay Magica
    後半でまどかチートって思う方も居るかもしれませんが、バランス的には崩壊してないlvかなと、宝具はあんま好きじゃないかな、魔法少女を出したっかったんだろけど
    >>245
    ありますね、悪くないと思います

    247 :

    昨日投下しようとしましたが、料理で疲れてしまい寝落ち
    マミさんとかヒロさんとか士郎みたいな人が居たらいいのになあ

    >>245
    ありがとうございます
    いつか読みます
    いつかは今ではありませんけどね

    >>246
    なるほど、面白そうですね
    いつか(ry

    ところで、まどかの該当クラスはアーチャーよりセイヴァーだと思うんですよ
    チートキャラにしても叩かれなさそうなクラスですしね
    それで面白いかは置いとくとして

    では、始めていきます

    248 = 247 :

    ワルプルギスの夜まであと13日


    日曜日―――。
    どれは世間一般では休日とされる日である。
    根無し草のような生活の長い俺には関係がないものの、
    学生にとっては貴重な安息日となっている。
    ほむらにとってもそれは例外ではなかったらしく、今日の予定はお出かけだそうだ。
    しかしどこへ行くのかは知らないけど、レーションを昼飯にするなんて認める訳にはいかない。
    時間も材料もあまりなかったが、そんな訳でサンドイッチを持って行かせる事にしたのだ。

    そうしてほむらを見送り、掃除洗濯と一通りこなした頃には日も最高地点にまで昇っていた。
    昼飯に冷蔵庫の中の片づけをして、本日の行動開始。

    「帰りに買い物、ああ折角だから何か甘い物も買っておくか。
    ほむらも女の子なんだから、そういうの好きだろうし」

    そう自分に記憶させてから家を出る。
    今日の目的は昨日の使い魔の親玉探しと、会えれば美樹の稽古というところか。

    「美樹にも学生らしい日曜日を過ごしてくれれば、それが1番なんだけどな」

    こればかりは当人次第なので、俺ではどうしようもないのだが。
    まあ、考えても仕方のない事を考える必要もあるまい。
    俺がやるべき事をやっていくだけだ。
    とりあえず手がかりもない事だし、使い魔の居た所から出発するとしよう。

    249 = 247 :

    今回の世界でのイレギュラー、衛宮士郎。
    自らを魔術師と名乗る彼の能力は、かつて見た武器を生み出す事だった。
    聞いた話によると、投影と呼ばれる魔術だそうね。
    この力があれば、もう武器の調達なんてしなくていいものだと思ったわ。
    しかし、それはぬか喜びだった。
    彼が言うには、

    “俺の魔術は基本的に剣とかの近接武器にしか対応してないんだ。
     他の物は出来ない事はないけど、機械で作られた量産品なんかは苦手でさ。
     中身のないガラクタを作るか、部品を1個ずつ投影して組み立てるかになっちまう”

    だとか。
    しかも弾丸は別に用意しないといけないらしい。

    結局、武器を調達してくるはめになったこの休日。
    今はその帰りで、ゲームセンターに向かっているところだ。
    目的はひとつ。
    昨日見滝原に現れた佐倉杏子との交渉。
    ワルプルギスの夜の為の戦力は多いに越した事はないのだから。


    「……あいかわらずうるさいわね、ここは」

    自動ドアが開くと、独特の喧騒に身を包まれた。
    あんまり長く居ると倒れてしまいそうだし、すぐに杏子を捜しましょう。
    彼女はダンスゲームを好み、統計的にもダンスゲームをやっている事が多かったわね。
    協力を求める度に来ていたのだから、ここの構造は把握しきっている。
    一直線にダンスゲームの筐体の所へ行くと、やはり彼女はそこに居た。

    250 = 247 :

    「…………」

    普段の粗雑な態度とは全く異なる、華麗なステップと舞い踊る紅いポニーテール。
    元々体が弱かった私にとっては、その躍動感溢れる姿は羨ましくも思ってしまう。

    「よう、今度は何さ」

    ゲームをやりながら話しかけてきた。
    いつも思うけど、器用さだけは誰にも負けないわね、この子。

    「この街を、貴女に預けたい」

    「ここは確かマミの縄張りだったと思うけど?」

    「巴マミの許可は得ているわ。彼女が復帰しない限り、ここは私のテリトリーね」

    病院でのやり取り。
    街を護るという条件付きだけど、彼女は確かに言った。

    「ふーん。どういう風の吹き回しよ?」

    「魔法少女には、貴女みたいな子が相応しいわ。美樹さやかでは務まらない」

    「ふん、元よりそのつもりだけどさ。そのさやかって奴、どうする?
    ほっときゃまた突っかかってくるよ」

    「なるべく穏便に済ませたい。貴女は手を出さないで。私が対処する」

    私が、と言うより、衛宮さんが、だけどね。
    昨日見た感じでは、割と良好な関係になれてるようだったし。


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