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    元スレ上条「俺達は!」上条・一方「「負けない!!」」

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    951 :








    目標を見つけた上条達は、その数歩前で立ち止まる。

    静かに波が音を立てる以外には何の音もなかった世界に、彼らはいた。

    その内の一人、父親は突然の人物達に驚いているらしく、口を開けて突っ立っている。

    その後ろにいるのは――

    「……テメェか、今回の犯人は」

    父親以外のとある人間を見据えて、上条は唸るような声を出す。

    その先にいた男――『魔術師』は、

    「おぉ、怖い目で睨まないでくださいな」

    上条の威嚇を流すように笑顔を見せた。

    その行為は上条を小馬鹿にしているように感じた。

    何やら訳の分からない黒い文字を所々に刻んだ白いコートをたなびかせて、
    短く刈り立てた金髪の西洋人の姿は、初めて見た映像と何ら変わりなかった。


    952 :

    と、そこで状況をようやく把握したのか、初めて刀夜が口を動かす。

    慌てたように、拙い調子で。

    「と、当麻、それに一方通行君。こんな所で何を――」

    「それはこっちのセリフだろうがっ!!」

    刀夜の言葉を遮るように、上条は力強く叫ぶ。

    気付いたら、自然と荒い口調になってしまった。

    それに気圧されたのか、刀夜は最後まで言い切れずに黙った。

    上条は続ける。

    知りたい事がたくさんあったから。

    信じたくない現実を、確認したかったから。

    「何……してんだよ、アンタは。母さんにも黙って、そんな、怪しい魔術師なんかと」

    改めて、問い質す。

    何をしているんだ。

    こんなろくでもない世界に何故踏み入った。

    それだけを、知りたかった。


    953 :

    「それは……」

    一言だけ呟いて、刀夜は答えない。

    いたずらが見つかって叱られている子供のように、沈黙を決め込んだ。

    「ずいぶんな口ぶりですねぇ。私は別に君や君の父上に何かした訳ではないのに」

    刀夜の後ろ、奥から魔術師が代わりに口を出す。

    テメェは黙ってろ、と上条は余計な男に叫び返そうとした。

    しかし、

    「確かに、上条当麻や刀夜氏どころの被害ではないですね」

    「何せ世界中だもんにゃー?」

    その前に、自分の背後でずっとこの場を静観していた魔術師二人が前に出た。

    男は彼らに気付くと、歓迎するように人当たりの良さそうな笑みを浮かべる。

    「やぁ、どうも。わざわざそちらの方から来ていただいてすみませんねぇ」

    男は、遠くから来た友人を労うように言葉を出す。

    自らの立場を忘れているように。

    そんな魔術師の態度に、土御門は気軽な調子で返す。

    「はっはっは。口上は結構ですたい。それより――」

    「――十数えます。それまでにこの術を解きなさい。さもなくば――」

    「さもなくば?」

    冷たく響く、神裂の声に魔術師は震え一つ起こさない。

    それどころか、やはり小馬鹿にしたようにオウム返しする。


    954 :

    そんな男に、彼女は呆れたように告げる。

    「あなたを倒すのみ、です」

    じり……と神裂はいつでも刀を抜けるような身構えをする。

    それだけで、上条は何か強力な重圧が自らに掛かっているような錯覚をした。

    その正体は、おそらくは言うなれば、『闘気』というモノだろう。

    自分に向けられていないというのに、この感触。

    上条は目の前の男を確認した。

    これを向けられたら、さすがに余裕を失っているはずだ。

    そう、思っていたのだが。

    「ふふふ、そうですか」

    魔術師は笑っただけだった。

    自らの安全を確信しているかのように、曇らない笑顔を見せている。

    「いやぁ、困りましたねぇ」

    言葉とは裏腹に、男は微塵もそんな雰囲気を感じさせない。

    笑みを浮かべたまま、彼はすぐ前にいる男の背中を見た。

    「どうします、上条さん? もし彼らが言う通りに『おまじない』を解いたら、全ては無に帰しますよ」

    その一言に、刀夜の体が僅かに跳ねた。

    その言葉が、まるで刀夜の全てであるかのように。

    そうして、彼は。

    「……お願いだ、このまま見逃してください」

    深々と、頭を下げた。

    魔術師を庇うように、神裂の前に立ち塞がって。

    思わぬ行動に、上条は目を見開く。


    955 :

    「何、言ってンですか、おじさン」

    動揺したように、一方通行が言う。

    上条も、困惑を振り払うように叫ぶ。

    まだ、刀夜が脅しでもされている、と彼は心のどこかで願っていたのかもしれない。

    「ふざけんなよ! 自分が何してんのかアンタ分かってないだろ!」

    「――――分かっているッ!!」

    ビリビリと身体の芯まで伝わってくるようなそれに、上条達の動きが止まる。

    それほどに大きな声だった訳ではない。

    ただ、それには強い意思と多くの感情が、重しのように詰まっている気がした。

    叫んだ勢いのせいか、刀夜は呼吸を整えている。

    「……何だか知らないが、とんでもない事になっているらしいのは、分かっている」

    それから、吐き捨てるように刀夜は呟く。

    その顔は、実年齢よりも、普段よりもっと老けて見えた。

    「だが、少しで良いから時間をくれ」

    刀夜が弱々しい表情で、上条を見つめた。

    慈しむように、安堵させるように。

    そして、





    「――当麻、お前を治すためにも」





    956 :

    上条の呼吸が瞬間的に止まる。

    それは、彼にとって意外すぎて。

    何よりも、訳の分からない言葉だった。

    「何、言ってんだよ」

    ようやく口に出来たのは、それだけだった。

    理解出来なかった。

    自分を『治す』という事の意味が。

    いや、一つだけ心当たりならあった。

    だが、それは。

    (……まさ、か)

    上条の視界が動揺に揺れる。

    知られてしまったのか、『記憶喪失』が。

    知られてしまったのか、自分が赤の他人だという事を。

    知られて、しまったのか?

    必死にその恐怖を表には出さないようにする。

    どちらかと言うと、あまりにも驚いて出せなかっただけだが。

    しかし、刀夜の言いたい事は違ったという事を、すぐに上条は知る。

    疲れ切った様子で、刀夜が続けたからだ。


    957 = 954 :

    「……お前は昔から『不幸』だと呼ばれていたな。近所の人からも、同じ幼稚園の子供からも」

    予想とは違う言葉に、上条は一瞬安心した。

    が、次にはまた違う感情を抱いた。

    刀夜の言った事を、先程の映像を思い出していた。

    誰だか覚えていない人達に、不快に扱われていた昔の『上条当麻』の姿を。

    「皆してお前を忌み嫌い、そして差別した。
    ……覚えているか? いつかはテレビまでやって来るようにまでなったんだぞ?」

    刀夜は笑った。

    ただし、それには正の感情は一つもない。

    負の感情のみに溢れた、悲しい笑顔だった。

    「それで結局、私はお前を学園都市に送った。あの科学の街なら、平穏に暮らせると、そう信じていた」

    静かな声を響かせ、刀夜は俯いた。

    その行動は、自らの後悔を懺悔でもしているように上条は感じた。


    958 :

    「ところがどうだ? 結局お前は『不幸』に苦しめられている。どこへ行っても、何をしても」

    上条は、自然と拳を握る自分に気付いた。

    刀夜の言っているのは、一ヶ月前の『事故』の事だろうか。

    それとも、もしかしたら『上条当麻』がそういった経験を報告していたのかもしれない。

    どちらにせよ、刀夜は息子の事を、ずっと。

    「だから、待っていろ。私が、お前を……お前を……」

    震える声で、刀夜は続きを言うのを止めた。

    それから、また笑った。

    さっき見せたモノとは違う。

    今度は、上条を安心させようとしているように思えるぐらい、柔和な笑顔だった。

    でも、それは。

    「もういい、黙ってくれ」

    息子は父親を真っ直ぐに視界に捉える。

    これ以上聞いていられない、と言うように。

    それから、右手の人差し指をそっと立てた。

    「まず一つ。色々と訂正したい事が山ほどあるから、聞け」

    そう言ってから、上条は深く息を吸う。

    覚悟を決めるように、刀夜の想いに答えるために。

    一言、告げた。


    959 = 958 :






    「『不幸』って、何だよ」





    960 :

    言うと同時、刀夜の笑顔が固まる。

    深いショックを受けたように、目を見開いていた。

    「……何、だって?」

    そんな刀夜に上条は一瞬躊躇ったが、続ける。

    「誰が、いつ、どこで、アンタに助けてくれって言ったんだよ!」

    「な」

    面食らったように刀夜は体を震わせた。

    上条はそのままさらに続ける。

    これ以上刀夜が苦痛を味わうような事がないように。

    「良いか! 確かに俺はとんでもない目に会ってきたさ。でもな、それは全部俺がそうなりたかったからだ!」

    そうだ、と上条は思う。

    人生が始まってからこれまで、たったの一ヶ月の夏休みの間、確かに上条は『不幸』にも事件に巻き込まれた。

    しかし、それは彼の意思によるモノだ。

    彼はそれらのきっかけに『不幸』にも出くわしただけで、回避しようとすれば、避けられたはずなのだから。

    だが、上条はそうしない。

    出来るはずもなかった。


    961 :

    「俺が少しでも、誰かの『不幸』を引き受けたかったからだ! 力になりたかったからだ!」

    そう、上条が巻き込まれようとしたから。

    ある少女は、自らの能力に向き合う事を決意した。

    勝手に生み出されたある少女達は、自らの生を肯定し始めた。

    その少女達と瓜二つのある少女は、過去への罪悪感から救われた。

    ――大事な友達を助けることが出来た。

    そして、そして。

    『上条当麻』は、自分の意思である少女を助ける代わりに全てを失った。

    いや、そうじゃない。

    そうやって、今度は自分に意志を託してくれた。

    だから、上条は。

    「……心配かけたのは謝るよ。ホントにごめん。でも、これだけは言わせてくれ」

    頭を下げて、謝る。

    心配してくれる人間の想いを考えていなかったことを。

    そして、伝える。

    その想いに応えるために。

    一番その人が聞きたかったであろう、その言葉を。

    「俺は『幸せ』だ。この場所にいられて、この時を生きてて」

    一度区切り、はっきりと聞こえるように心から叫んだ。


    962 :






    「――アンタの息子で良かったってくらい、全力で『幸せ』に生きてるんだ!」





    963 :

    「……!」

    その言葉に、刀夜は息を呑んだようだ。

    それを見逃さず、上条は自らの願いを声にする。

    「俺から『不幸』を取らないでくれ。これがあるから、俺は俺でいられるんだ」

    これまでもこれからも、上条はこの『不幸』と共に生きていく決意をとうにしていた。

    だから、頼む。

    だから、願う。

    アンタまでこんな事に首を突っ込まないでくれ、と。

    母親といちゃつきっぱなしの、どこか頼りない『いつも』の父親であってくれ、と。

    ツ、と上条の頬を何か熱いモノが伝っていることに、ふと、気付いた。

    それを流したのは、誰だったのだろう。

    『彼』の心の残滓が、上条にそうさせたのかもしれない。

    そこまで考えてから、彼はさっとそれを拭い去った。

    「……当麻。一つ、教えてくれるか」

    数秒ほど黙って、刀夜は真っ直ぐに上条をその目で捉える。

    その瞳は揺れていて、不安定だった。

    「お前は、本当に……『幸せ』、なのか……?」

    確かめるような言葉に対して、上条は最良の行動で答えた。

    つまり、自信に満ちた表情で頷き返してやることを。

    「当たり前だ。俺には、最高の友達がいる。そして――」

    一瞬、親友に目配せした。

    彼は僅かに笑って、上条に応えてくれた。

    それから上条は前へと視線を向かせる。

    その先にいる、『上条当麻』の支えに。

    「――俺を心配してくれた両親がいる」

    目の前の心配性を安堵させるように、笑って言ってやった。

    そこには、偽証も打算もない。

    心の底から出てきた想いだけを伝えた。


    964 :

    そして、刀夜は。

    「……はは」

    乾いた笑みを浮かべた。

    馬鹿みたいだ、と自嘲するように。

    そうして、今度は実にすっきりとした笑顔で、彼は上条を見た。

    「……そうか、なら良いんだ」

    それだけ言うと、刀夜は魔術師に振り向く。

    「すみませんが、私は降りますよ」

    後ろを向いているので、上条には刀夜の表情は分からない。

    だが、その言葉はどこか吹っ切れたようだった。

    父親を、止められた。

    間違いを侵しかけている、大切な存在を。

    この手で、止められたのだ。

    そんな事実に、上条は沸々と喜びが湧いてくるのを感じた。

    「そうですか。まぁ、そうなるとは思っていましたよ」

    あっさりと、魔術師は諦めたように言う。

    こうなってはどうにもならないと自覚しているのかもしれない。

    「申し訳ないです」

    こんな状況だというのに、礼儀正しく刀夜は頭を下げた。

    こんな時まで社会人モードかよ、と上条は苦笑いする。

    魔術師は、そんな彼の行為におかしそうに笑う。

    そして、





    「――いえいえ、こっちも最初からこうするつもりでしたから」





    965 :

    ドスッ! と何かが勢いよく刺さるような音がした。

    それは、そう、弓で的を射たような鋭いモノで。

    上条の前から、聞こえた。

    「……え」

    深々と、刀夜の身体を何かが貫通している。

    それは翼の形をしており、傍から見ると刀夜の背中に羽が生えたように思えるだろう。

    「父、さん?」

    あまりにも突飛な光景に、上条は呆然としてしまった。

    そして、刀夜から翼が抜けた瞬間。

    全てを理解した。

    「父さんッ!!」

    悲痛な叫びを上げ、上条は走る。

    駆け寄る間に、刀夜を中心に広がろうとする赤い水が、砂に吸われていく。

    狭い範囲とはいえ、赤く染まる砂浜は、恐ろしく気味が悪かった。

    上条が刀夜の元にたどり着く前に、親友が一足先に刀夜の身体を起こす。

    途端に血の流れが止まる。

    彼が能力で出血を抑えているのだ。

    一方通行は刀夜を肩に担いで、次の瞬間には上条の元に戻っていた。

    間近で見ると、痛みのショックで気絶したらしく、刀夜は目を閉じている。

    汗がマグマのように吹き出すのを、上条は感じていた。


    966 :

    「……大丈夫だ、内臓とか骨に異常は無ェ。ただ、傷口と出血が多すぎるだけだ」

    能力で調べるだけ調べたのか、それだけ告げると、一方通行は片手を離さないようにしてから、上条に刀夜を預ける。

    右手で刀夜の身体に触れないように、上条は注意深く彼を支える。

    それから、一方通行は刀夜のシャツを破いて傷口をさらけ出させた。

    胸から腹まで、無数の刺し傷が確認出来た。

    「こいつを使え! 止血くらいは出来る」

    どこから取り出したのか、土御門が包帯を一方通行に手渡す。

    それを受け取って、彼は能力で布を綺麗に必要な長さに切り取り、刀夜の身体に巻いていく。

    「……チッ、止血が出来ても血が出過ぎてる。すぐに病院に連れてかねェとダメだ」

    そう言うと、一方通行は強い視線を上条の後ろに送る。

    それにつられて、上条もそちらを見る。

    そこには、表情の変わらない魔術師ともう一つの影があった。

    「……クロイツェフ」

    『それ』を視認した、神裂の声が聞こえる。

    そこにいたのは、ロシアから来たというただの魔術師の少女だった。

    彼女は無言でこちらを向いている。

    すぐ近くにいる、『犯人』を見ずに。

    「まさか、貴方が……ッ!」

    神裂の言葉に答えるように、ロシアの魔術師から水晶のような透明な翼が広がる。

    それが、全てだった。

    彼女――いや、あれこそが。

    今回の話の中心、『天使』なのだと。


    967 = 949 :








    「水の属性――なるほど、『神の力(ガブリエル)』か」

    旧約においては火の矢を用いて都市一つを焼き払い、新約においては聖母に神の子の受胎を告知した者。

    そんな超常的な存在が、目の前にいる。

    土御門は落ち着いて状況を完全に把握する。

    『仕事』をする時、彼の精神は完璧なバランスを保っている。

    目の前の天使の存在も、簡単に受け入れてしまった。

    「最初から刀夜は殺す気だったのか」

    土御門は冷静に魔術師を見据える。

    それに応えるように彼は微笑む。

    「ふふ、まぁ、彼には半分主導権がありましたから」

    「……主導権?」

    「ええ、そうです」

    土御門の疑問に魔術師は頷き返すと、両手を開いて前に掲げた。

    生き生きとしたように、嬉しそうに、彼は語る。

    「私の一族は天使全般の事を研究していました。天使の力(テレズマ)の扱い方や関連の霊装。それに――」

    区切りを入れて、魔術師は言葉に間を持たせる。

    長く、長く、溜めて。

    そこに彼のこだわりがあるように、ようやく続きを口にした。


    968 = 949 :

    「――大天使そのものを呼ぶ魔術などをね」

    男は、そこで初めて表情を変えた。

    何物も包むような笑顔から、一抹の虚しさを感じさせるような、無表情に。

    が、それもまた僅かな間の事。

    すぐにまた、彼は顔を元に戻していた。

    「まぁ、そんな事は出来るはずもなく、私の代までそれは放っておかれていましたよ」

    当然だ、と土御門は思った。

    魔術世界において、大天使の片鱗――つまり、『天使の力』を扱うのは、そう珍しくはない。

    だが、実際にそれそのものを呼び出すなど、少なくとも一介の魔術師に出来るはずもない。

    相手はあくまで、神のモノなのだから。

    「ところが最近になって、彼を知りました」

    魔術師が、上条達に担がれた上条刀夜を一瞥した。

    実に羨むような目で。

    「刀夜さんは実に素晴らしい才能をお持ちらしい。
    彼は一つは一つはくだらないおみやげレベルのオカルトグッズを積みに積み、とうとう自宅に神殿を作っていた」

    神殿――それは儀式魔術を行う上で、最も大事な要素となる。

    風水術、と呼ばれるその手の魔術を得意とする土御門にも、
    先程の映像の端々で刀夜がそれに近いモノを作りかけていたのは分かっていた。

    そして、土御門よりもその事を一足先に知ったのが、

    「……なるほど、それが」

    「そう。今回の魔術です」

    ニコリ、と魔術師は笑う。

    この答え合わせを、心底楽しんでいるらしい。


    969 :

    「私はすぐに彼と交渉しましたよ。彼の望みを叶える代わりに、術の再構築を手伝うようにね」

    男の台詞に、土御門はさらに解答を得る。

    それがさっきの魔術で覗いた最後の映像の正体、という訳か。

    「自動で起きるのではなく、遠隔操作で起こせる魔術にした訳です」

    一度手本を見ていれば、それを再現するのも、改造するのも、魔術師には出来て当然の事だ。

    それを承知の上で、土御門は僅かながらの賞賛を目の前の敵に心中で贈った。

    何せ、術の規模が規模だ。

    それだけの事をただ一人でこなすのは、それなりの努力が必要になる。

    「まぁ、堕ちた天使を今の今まで見つけられなかったんですがね」

    言いながら、男は大儀そうに天使の方に振り返る。

    「……」

    天使は、何も返さない。

    感情を持たぬ本分(道具)に自らを戻しているらしい。

    そんな天使に、男はつまらなそうに視線を戻し、話を続けた。

    「あの火野とかいう男は実に役立ちました。見抜く時間をくれましたからね」

    (……火野だと?)

    突然の名前に、土御門は眉をひそめる。

    やはり、奴も今回の件に関係があるというのか。

    「……どォいう意味だ」

    同じように考えたらしい一方通行が聞く。

    「ふふ、何、そんなに深い事じゃありませんよ」

    一方通行の言葉の意味を理解しているのか、魔術師はくだらなそうに一笑する。


    970 :

    「あの男、二重人格でしてね。彼の姿が変わっていないのは、もう一人の人格と入れ替わっただけの事なんですよ」

    「……何だと」

    思いもしなかった解答に、土御門は一瞬理解が追い付かなかった。

    確かに、火野がそういう病である事は今日のニュースで見た覚えはあった。

    しかし、もう一人の人格と入れ替わるなど、そう簡単に起きるはずがない。

    そう考える土御門の様子を見て、魔術師は実に同情するような笑みを返す。

    「まぁ、そういう反応をするでしょうね。いやぁ、私も知った時は驚きましたよ」

    魔術師は何度も頷く。

    一切の緊張感を遮断するような動きだった。

    「案外、刀夜さんが幸運にもそうさせたのかもしれませんね。火野が彼の家の方へ向かったのも運が良い」

    始末しやすいですから――そう言って、魔術師は笑った。

    「……下手人はオマエか」

    凄みのある低い声で、一方通行が唸るように聞く。

    魔術師はそんな彼を視界にも入れずに答えた。

    「ええ、用済みでしたからね」

    あっさりと、実に冷めた声色で彼は言う。

    そこに、魔術師の本性がある気がした。


    971 = 948 :

    「火野を犯人と勘違いした貴方達のおかげで、私は当たりを付ける時間が取れましたよ」

    なるほど、と土御門は理解する。

    こいつは遠くから、堕とされた天使が上条の近くにやってくるのを監視していたのだ。

    上条の近くに来る人間が、ただ入れ替えの被害を受けた魔術師か、本命かを見極めようとしていたのだろう。

    ただし、上条刀夜の事に上条が気付くまでには時間はそう掛からない、という懸念もあったはずだ。

    そこに、火野という時間稼ぎが現れた訳だ。

    火野の一件はあくまでも偶然の産物。

    逆に利用して、手中に納める相手が来ているかを調べていたということか。

    そして、天使は狙い通り見つかったという訳だ。


    972 :

    「馬鹿な事を」

    ずっと黙っていた神裂が、男を否定するような言葉を吐き捨てた。

    「天使を人間が操れるはずがありません。彼らはあくまでも神の下僕(道具)。人間など、簡単に捩伏せるでしょう」

    「何、利害の一致ってヤツですよ。それに、貴方の言うように天使はあくまでも力ですから」

    神裂の言葉に、男は余裕めいた調子で反論する。

    それから、土御門は魔術師の言うことを理解した。

    神裂の言う通り、天使は上位の存在だ。

    人間ごときに、足で使われるはずもない。

    もっと言えば、天界に帰るために魔術師の首をはねていてもおかしくない。

    なのに、天使はそうしようとはしない。

    それはつまり、男は天使を力として利用するための材料を持っている、という事だろう。

    それこそ、一族で積んできた研究の成果として。

    理解は進み、事態も進む。

    一つ一つ、事件は解決(ゴール)への通過点を通っていた。


    973 :








    犯人の説明を、上条は何も言わずに聞いていた。

    どういう事を言っているのかは分からない。

    土御門や神裂は納得したようだが、魔術師が何を言っているのかなど素人に分かるはずもない。

    ただ、一つだけ分かった事がある。

    「おっと、一応私の名誉にかけて言いますがね、ちゃんと約束は叶えて差し上げるつもりでしたよ」

    説明をし終えてから、慌てたように魔術師は両手を振る。

    まぁ、と付け足した。

    「――といっても、刀夜さんの命の保証はしませんが」

    男は笑った。

    その顔は先程と何一つ変わらない。

    ただの『魔術師』として、笑っていた。


    974 = 965 :

    「て、メェ…………ッ!!」

    ギリギリと歯ぎしりを起こしながら、上条は魔術師を凝視する。

    頭に血が凄まじい速度で昇るのを、感じていた。

    許せなかった。

    『上条当麻』を想い、一人で悩んできた刀夜を利用するだけして利用して、切り捨てるこの男が。

    刀夜の愛した『上条当麻』はもういない。

    だからこそ、彼は許せなかった。

    刀夜の全てを否定されたような気がして。

    「おやおや、怖い怖い」

    上条の鋭い眼光に、魔術師はおどけたように言う。

    「これでも感謝してるんですよ? 何せ、彼の『犠牲』のおかげで悲願が達成出来たのですから」

    「――ふざけるなぁっ!」

    「落ち着け、馬鹿」

    挑発するような言葉に激昂している上条の肩を、土御門が右手で押さえ付ける。

    万力のように固定され、上条は動けなくなった。


    975 :

    完全に上条の動きを封じつつ、土御門は魔術師を注意深く見る。

    「そんなモンで何をする? まさか本気で世界転覆なんかするのか?」

    厳格な声色で話す土御門の声に、上条はふと思い出した。

    そういえばまだ、魔術師の目的を聞いていなかった。

    刀夜を巻き込んでまでしたかった事を。

    男にここまでの事をさせた、その理由(原動力)を。

    上条は暴れるのを止めて、土御門と同じように魔術師に集中する。

    「いえいえ、世界転覆だなんて。私がするのはですね」

    土御門の質問に、魔術師は滅相もないとでも言うように首を横に振った。

    ニコリ、と今ではもう怪しさしかない笑みで、彼は言った。





    「――宗教革命、ってところですかね」





    976 :

    あまりのくだらなさに、上条は言葉を失う。

    そんな彼の考えなど知らずに、魔術師は演説でもするかのように堂々とした調子で語る。

    「現在の世界は実に情けない。手段に過ぎない『科学』にパワーバランスを取られて、揚げ句には折り合っている」

    魔術師の言葉に、上条は初めて土御門の正体を知った時に、彼が言っていた事を思い出した。

    世界は現在、魔術サイドと対になる科学サイドに支配されている、と。

    そして、最近になって急に台頭してきた『科学』を気に入らない奴らもいる、とも言っていた。

    この男も、その類の人間だというのか。

    男は気軽な声で続けた。

    「何が原因か、色々と考えましてね。まぁ一番手っ取り早いのは『科学』に遅れを取るような連中を消すことかな、と」

    「……そこで天使のご登場って話か」

    つまり、男の狙いは一つだけ。

    現在の魔術サイドを掌握する、三大宗派。

    それら全てを消し去ることだった。

    「はは、ご理解が早くて助かります」

    素直に土御門を賞賛すると、魔術師は付け加えた。

    「もちろん、表の意味では消し去りませんよ。大混乱が起きますから」

    突然全ての宗派が消えるような事があれば、きっと何も知らない一般の信者は混乱するだけだ。

    だから、男は。

    「一つ、私が裏で天下を頂こうかな、という訳です」

    男は笑顔で言った。

    言葉とは裏腹に純粋だったそれは、ある種の狂気を感じさせた。

    全てを手に入れるために。

    たった、それだけのために。

    魔術師は行動していたのだ。


    977 = 976 :

    「……させませんよ」

    砂を踏み、神裂が前に一歩出る。

    先程以上の『闘気』を漲らせて、彼女は立っていた。

    「でしょうね」

    しかし、それを向けられてなお、魔術師はまったく態度を変えない。

    むしろ、さらに楽しんでいるように見えた。

    「どうぞ来て下さい。何、加減ぐらいはしてもらいますから」

    そう言った直後、魔術師の後ろの、天使の翼が増える。

    戦闘準備は向こうも出来ているらしい。

    「……」

    神裂は天使に視線を送る。

    相手は何の感情も顔に浮かべていない。

    ただ命令をこなすだけの、操り人形だ。

    彼女は躊躇いがちに刀の柄を握り、天使を視野から取り除いた。


    978 :

    彼女の倒すべき敵は、ただ一人だ。

    それは、不運にも堕とされた天使(被害者)ではない。

    「……土御門、彼らを頼みます」

    ここから先は、まさしく自分の出番だ。

    目の前の悪を捕まえ、事件を解決させる。

    そんな時代劇の捕物のような、神裂向けの状況。

    上条刀夜の怪我の治療のためにも、戦いに巻き込まないためにも、土御門に避難を任せることにした。

    それを短く伝え、神裂は前へと進もうと――

    「……いや、神裂。そうもいかないらしい」

    足を止め、振り返る。

    そこにいる同僚の、意味の分からない言葉を尋ねるために。

    「何を――っ!?」

    そこで、気付いた。

    背後には、仕方ないな、と笑う土御門と、そんな彼がしっかりと抱えている上条刀夜しかいないことに。

    自分よりも先を進んでいた、素人二人の存在に。


    979 :








    「な、二人とも、下がって……」

    神裂の制止する声を背に、一方通行と上条は一歩ずつ魔術師に向かって進む。

    そんな彼らを、男は心底愉しそうに眺めていた。

    少年達は互いに言葉を交わさない。

    何も語る必要がなかったからだ。

    そんな彼らの様子を理解して、ニコリ、と挑発するように魔術師は笑って告げた。

    「――どちらから平伏しますかね?」

    対して、少年達の答えは単純。

    「「――お前(オマエ)だッ!」」

    叫びと共に、二人は同時に砂を巻き上げ、突進する。

    足の裏に加わる力のベクトルを反対にして、とんでもない速度を生み出すと、一方通行は一気に男に肉薄する。

    それでも余裕でいる魔術師を睨みながら、一方通行は手を振り上げ、ベクトルを集中させる。

    そうして魔術師に全力の拳をたたき付けようと、

    「……っ!」

    身体全体を刺すような危険な予感に、一方通行は一連の動作を止めて飛び上がる。

    次の瞬間、背中に竜巻を数本接続して飛ぶ彼のいた場所に、何本もの巨大な水の槍が突き刺さる。

    その槍の元にいたのは、背中に翼を持つ天使だ。

    自らを守った存在を確認して、魔術師はやはり優越感に浸るような笑みを向けた。


    980 :

    「……チッ」

    厄介な存在に、一方通行は舌打ちする。

    本来完全な防御をする彼の能力も、魔術というイレギュラーの前では話が別だ。

    たいしたレベルではないモノぐらいなら防御も出来るかもしれない。

    が、相手は大天使とかいう神裂よりも遥かに格上の存在だ。

    初めて受けた神裂の魔術でかなりのダメージを負った事を考えると、大天使のそれは食らえば即アウトの可能性がある。

    迂闊に攻めて、リタイアする訳にはいかない。

    空に逃げた一方通行の元に、蛇のように動き回る槍が何十本と隙間を消すように迫り来る。

    それに対し、槍の動く勢いで変わる風の流れから、彼は槍の微妙な隙間を読み切る。

    そして、自らの身体に掛かる力のベクトルを変更して、隙間を完全に縫っていく。

    迫る槍はコンマ数秒以下の速度だったが、一方通行の能力の対応速度はそれを僅差ながらも上回っている。

    槍と槍がぶつかり合い、互いを消し去る。

    それから、一方通行は魔術師に向かって走る上条を確認する。

    まともに戦えない以上、今一方通行に出来る最良の行動は、上条のアシストだ。


    981 :

    風を掴む。

    そこから大量の計算をこなし、風の凶器を生み出す。

    ビュオオオッ……! と大気が唸りを上げた。

    そうして生み出されるのは、風速120メートル、並のハリケーンなど越えた暴風の槍。

    「……援護する、行け!」

    声と共に、それを上条を狙う水の槍の横っ腹に次々とぶつける。

    当然、風で上条が飛ばないように先端からは離れた部分を狙ってだが。

    一発一発、正確に当たるたびに大砲を撃ったような轟音が静かな海岸に響く。

    狙いの逸れた槍は上条の横ギリギリを突き刺さっていく。

    障害を必死に避け、上条は突き進む。

    そして、

    「お、らぁあああっ!」

    掛け声を出しながら、一気に魔術師との距離を詰めた。

    射程範囲に敵を捉え、気合いを入れた上条が拳を振りかぶる。

    変わらず無防備な魔術師を倒すそれは、勢いよく――

    「……ッ、ぐぁっ!?」

    たたき付けられる直前、上条の足元、砂の下から水の槍が現れる。

    無数の槍の中から一本だけ、砂の下に隠していたのだ。

    とっさに右手で防御したが、槍は打ち消されずに上条を十五メートルほど上空へ吹き飛ばす。


    982 :

    「上条!」

    まずい、と一方通行は空を飛び、そのまま落下しようとしている親友の元へ急ぐ。

    下は砂浜だが、あの高さから落ちたら大怪我どころか死の可能性が大いにある。

    しかし、それがいけなかった。

    回避を忘れた一方通行へ、一気に四方八方から水の槍が迫る。

    逃げ場が消えてしまった。

    (……ッ!)

    しまった、と認識した瞬間にはもう遅い。

    鋭い槍が学園都市最強を無惨な死体に変える。

    ――はずだった。

    「――Salvere000!」

    凜と澄んだ声がするやいなや、一方通行を囲む槍が切り裂かれて勢いを失う。

    裂かれたそれは瞬時にただの水に戻り、地面に落ちた。

    後に残った一方通行の視線の先には。

    「……これは」

    月光を受けて光る、ニメートルほどの刀だった。

    そして、その刃の元に。

    上条を抱えて地面に降り立ちながら、それを鞘に納める神裂火織が立っていた。


    983 = 982 :








    神裂に抱えられて、上条は地面にもう一度無事に足を付けた。

    その近くに一方通行も着陸する。

    彼は上条が無傷であると分かると、安心したような顔をした。

    上条も一方通行が無事であることを確認して、神裂の方を向く。

    彼女は無言で上条を見つめていた。

    その目を何となく直視出来なくて、上条は目を逸らす。

    それから、助けてもらった礼を言おうと口を開く。

    「……神裂」

    助かった、と上条が言う前に。

    パン、と張り詰めた音が鳴り、神裂の平手打ちが彼の頬を当たっていた。

    頭の芯まで響くような衝撃に、上条は体をふらつかせた。

    「あ――」

    思わず頬に手を寄せた上条を、神裂はきっ、と睨み据える。

    そして、

    「――貴方達は馬鹿ですか!」

    大声で叱り付けられた。


    984 = 956 :

    「相手をよく見なさい! 真っ向勝負なんて考えて! 刀夜氏の想いを無駄にする気ですか!」

    彼女は怒っていた。

    勝手な行動をする彼らを、その行動原理を知っているからこそ、余計に怒っていた。

    それは当然の怒りだろう、と上条はすぐに神裂を肯定した。

    彼女はよく知っている、と一方通行に聞いていた。

    失う苦しみを、見過ごしてしまう苦しみを。

    「だけど……ッ」

    引き下がれない、と言わんばかりに上条が顔を上げる。

    その目は、彼がどれほど必死になっているかを伝えている。

    それを知った上で、神裂は続ける。

    「分が悪いとか、そういった言葉で括れる相手じゃありません」

    だから無理をしないでください、と諭すように告げる。

    慈愛の目で、彼女は父親のために逸る少年を納得させようとした。

    上条にはそんな目を、そんな感情を押し退けられない。

    「………………悪、かった」

    俯いて、一言搾り出した。

    自らを恥じる気持ちと共に。


    985 = 960 :

    神裂はそれに対して何も言わない。

    代わりに、上条の望む結果を生むための考えを述べた。

    「……おそらくは大天使を操作するだけの材料を彼自体が所持しています。ですから――」

    「直接野郎をぶっ叩く」

    後を次ぐ一方通行に、神裂は頷き返す。

    「上条当麻。貴方ならすぐに術を解除出来るはずです」

    そう言って、神裂は視線を少年の右手にやる。

    どんな原理で作られていようと、あらゆる奇跡を瞬時に破壊するその能力に。

    「……分かった、やってみる」

    一瞬右手に顔を向けて、彼はすぐに前を見た。

    迷いなどその目にはなかった。

    ふ、と神裂は珍しく満足げに微笑んだ。

    彼女はすぐにそれを引っ込め、真剣な色を瞳に宿した。

    ザッ、と一方通行と神裂が一歩前に行こうとする上条の前に立つ。

    その先には、魔術師を守るように立つ『大天使』がいる。

    「――アイツは俺達で引き付けてやる」

    「……もちろん。ただし、無茶はいけません」

    さらに一歩、二人は進む。

    それに応えるように、天使は翼を拡散させる。

    規格外の人間の力と人外の力が、まさに今、ぶつかり合おうとしていた。


    986 = 1 :

    一旦区切っておきます。
    次スレ立ててきますのでお待ちあれ。

    987 :

    おつ
    次スレも楽しみにしてる

    988 :

    立ちました。
    こちらへどうぞ。
    http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/1349487402/

    989 :

    スレタイも書いといた方がいいな

    上条「二学期になっても不幸だ……」一方「いつものことだろ」
    http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1349487402/

    991 :

    乙です!
    面白い!2学期はどうなるか、姫神の出番はありますか?

    993 :

    乙ー!
    展開熱いな!!たまに読み返してるし次スレうれしい


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