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    元スレ紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★
    タグ : - いいストーリー + - ミステリー + - 神スレ + - 紳士 + - 萌あるちめっと! + - 謎解き + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    451 = 317 :

    今起きたが寝ずに書いているのか

    452 = 318 :

    「……おい」

    紳士「なんでしょう」

    「玄関が、開かない」

    紳士「さあ」

    さっきまでの穏やかな空気が、ぴしりと張り詰めた

    「何が起こっている」

    紳士「……さあ」

    「……閉じ込められたのか」

    紳士「いいえ」

    「……」

    紳士「……」

    紳士を名乗る男は薄く、微笑を浮かべていたのだった……

    453 :

    ほう……そういえば変身以来、男の姿での外出はしていないかったのか

    454 :

    !?

    456 = 318 :

    「……」

    一体、どういうことだ……

    やつが嘘をつかないというの信じるのならば
    今俺は、閉じ込められたわけではない

    だが現に、出られない
    俺はこの部屋から、出られない

    (女)「……まさか」

    体を女に変える

    そっと、ドアノブに触れた

    (女)「――ッ!?」

    玄関はあっけなく、開いたのだった

    (女)「これは……、どう、いうこと、だ……」

    俺は目を見開いたまま、振りかえる
    紳士は先と変わらず、ただ椅子座って、背中を見せていた……

    457 = 318 :

    (女)「お、おい、こ、これはどういう……!」

    紳士「さあ、どういうことでしょう」

    (女)「俺は、どうなっている……!」

    紳士「貴方は、貴方ですよ……?」

    (女)「なぜ本来の姿のまま、外にでられない」

    紳士「さあ、なんででしょう」

    (女)「おいッ!!」

    俺は掴みかかった

    紳士「くっ……くくく」

    焦った
    心の底から、俺は焦った

    たとえこの部屋で男になれたところで、外に出られないのならばそれは

    “俺”という存在が居なくなってしまった事と、変わらない……!

    459 = 318 :

    俺は安心していた
    いつでも男の姿に戻れるからと、安心していた

    だから今まで女の姿で生活してきた
    別人になったからといって、危機感を感じる事はなかった

    だがその余裕はいま、瞬く間に恐怖へと転じる……

    「お、おいッ! 説明を……、説明をしろォッ!!」

    紳士「説明もなにも。男の姿では出られない。女の姿では出られる」

    紳士「それでけではありませんか」

    (女)「何故でられないかと聞いているンだッ!!!」

    紳士「何故? くっくく……、自分で見つけたら、どうですか?」

    「お、お前……ッ!」

    男と女、双方の体でぶれる
    きっとはたからみたら“それはどちらだかわからない”


    “俺”という存在は――どこへいった……ッ!?

    461 :

    奇遇だな 俺も205号室だ

    支援

    462 = 409 :

    学校行く前に支援
    帰ってくるまで残ってたらいいな…

    463 = 318 :

    問題が、最初から間違っていた

    “本来の私”という存在はどこへいった?

    これはあまりに、足元をみない問題提起

    探すべきはもとより“本来の私”ではなく――

    「自分、自身……、だと……」

    ――自分自身

    自分がどこにいるのか、分からない

    最初から
    そうそれは最初からだった

    俺の中に二人存在する?――違う

    自分でいっていたじゃないか
    同時に存在できない、と

    なぜなら俺は一人だから
    俺という意識は一人だから、どちらかにしか、なれない

    二人だと分かっているのは俺だけで、傍から見たとき、結局俺はどちらかでしか、なかったのだ
    自分しかしらないそれを「二人存在している」なんて言えるわけが無い
    結局そうだ

    “俺”が“私”であるとき――“俺”は、存在していなかった……!

    465 = 318 :

    紳士「ね……?」

    紳士「これもまた、最初から分かっていた事、でしょう」

    紳士「今男の姿で外に出れなかった事は、いい機会でしたね」

    紳士「その危機感が、貴方の間違いをしっかりと教えてくれたではありませんか」

    「き、っさま……ッ」

    紳士「説明しろ説明しろと貴方は言っておりますが」

    紳士「大体のことは、私から聞かなくても分かるんですよ」

    紳士「最初は確かに必要事項をいくつかお伝えしましたが、それも最初だけです」

    紳士「そうでしょう?」

    紳士「だって私はそれ以外で結局――」


    紳士「――ただの答え合わせをしているだけじゃないですか」

    466 :

    答え会わせ?

    467 :

    今になってスレの前の方読み返すとなるほどと思うな……

    468 = 318 :

    恐ろしいと、思った

    一体奴はどこまで答えを隠しているのか
    底の見えなさが、とてつもなく恐ろしい

    「それでも……」

    紳士「……?」

    「それでもお前は……、敵じゃないと……、言うのか……ッ」

    紳士「……はい」

    「お前は全てしっているんだろうッ!」

    紳士「しっていないと、○も×もつけれませんからね」

    「……お前が……、お前がきたから、全てがおかしくなった!!」

    「お前が敵でなくてなんだというのかッッ!!!!!」

    「俺は、俺はどこへいった……ん、だよ……!」

    469 :

    いえあ

    472 = 318 :

    紳士「……損な役回りです」

    「え……?」

    紳士「私は敵ではない。なのに憎まれ役」

    紳士「何度も言っているように――貴方と仲良くなりたいのですよ、私も」

    「……」

    紳士「ですがそれも、仕方がない」

    紳士「私はさながら、貴方が向かう問題集と対になる回答集」

    紳士「その回答集をすべて私の裁量で開かれては、確かに不平も漏らしたくなるもの」

    紳士「ですがきっと最後には」

    紳士「貴方と仲良くなれることを、祈っております」

    473 = 317 :

    紳士たんぺろぺろ

    474 = 318 :

    翌日

    (女)(……結局、この姿のまま学校へきてしまった)

    いや――選択肢が、なかった

    俺は男の姿のままで出る事ができない
    外に出るためには、この姿しかない

    眼鏡「先生……?」

    昼休みには、いつもの面々が保健室を訪れていた

    (女)「ん……」

    眼鏡「顔色、悪いですよ……?」

    (女)「そう、かな……」

    黒髪「そうね、先生、少し休んだ方がいいかもしれない」

    (女)「大丈夫、大丈夫だよ」

    475 = 318 :

    栗毛「例の、悩みの件でしょうか」

    金髪「かもしれませんわね」

    黒髪「あ、貴方達も聞いたのね」

    金髪「ええ」

    ツインテ「何の話ですかお姉さまっ」

    眼鏡「私も、聞いて無いかも……?」

    黒髪「えっとね……」



    ツインテ「……はあ、それはまた漠然とした悩みですね」

    黒髪「そうね……」

    眼鏡「どうにも曖昧で、なんといえばいいのか……」

    476 = 392 :

    昨日の夜から読んでるよ
    がんばれ

    477 = 318 :

    ツインテ「わざとボカしてるんじゃないですか?」

    眼鏡「え?」

    ツインテ「話を聞く分には、もっとはっきりとした事態があるような気がするんですけど!」

    眼鏡「……そうなんですか? 先生」

    (女)「あ、いや……。どう伝えていいものか」

    黒髪「私の時もこんな事いってた」

    (女)「はは……」

    ツインテ「いえですから……、起こってることをそのまま伝えればいいんじゃないんですか?」

    ツインテ「わざとボカして伝えようとするから、伝え方わからなくなるだけのような……?」

    (女)「え、っと……」

    たしかに、それはその通りであった
    しかし、これはそのまま伝えるわけにはいかない

    俺は実は男で、女に変身することができて、紳士を名乗る男がいて――なんて、言えるわけが無かった

    478 :

    しんすけに見えた

    479 = 318 :

    金髪「私達が、信用に足りませんか」

    (女)「あ、いや……、そういうわけじゃないんだが……」

    (女)「ただ悩みを、どうにも伝え難いんだ」

    眼鏡「……それは、言い難い事、という意味ですか?」

    (女)「……いや、そうでは、ないんだ……」

    眼鏡「なら、何故……?」

    (女)「……あまりに、突飛すぎるんだ。問題が」

    (女)「例えばここで話したとして、きっと誰も、その問題を信じられない」

    黒髪「でも現に先生は、悩んでいるじゃないですか」

    (女)「そう……、そうなの、だが……」

    言えるわけが、ない

    480 = 466 :

    いったら眼鏡が…それもいいな

    481 :

    ほう

    482 = 318 :

    眼鏡「……先生。きっと、どんな悩みでも私達は、聞きますよ」

    栗毛「うん。もし相談してくたら、真剣に考える」

    金髪「そうですわね。伝え難いことなら、仕方ありません」

    金髪「でもとにかく言ってみてくださればきっと、私達は先生のために協力いたしますわ」

    (女)「む……」

    ツインテ「まー、お姉様がいれば、問題なんてすぐ解決ですよ!」

    (女)「……そうか」

    黒髪「それはどうかわからないけど……」

    黒髪「無理に、とは言いませんけど。でも、相談したくなったら、いつでもどうぞ」

    皆がそういってくれることが、たまらなく嬉しかった

    (女)(だが俺は、裏切っている……)

    “俺”は“私”じゃない
    それがとてつもなく、心に響いた

    (女)「……分かった。一人で抱えきれなくなったら、たのむよ」

    483 = 318 :

    日曜日、休日

    彼女達に相談できるかもしれない
    それが心の余裕になったのか、俺はここ数日で、一つだけ思いついたことがあった

    紳士「でかけられるのですか」

    (女)「……ああ」

    それは休日にしかできない

    紳士「どちらへ?」

    (女)「……“俺”はどこへ行ったのか。それを、確かめてくる」

    紳士「……ほう」

    (女)「まだ詰めってわけじゃないが……」

    (女)「一歩でもコマを進めてくるよ」

    紳士「それはそれは……」

    がちゃりと、玄関から俺はでる

    (女)「行ってくる」

    紳士「行ってらっしゃいませ」

    486 = 318 :

    電話でも、良かったかもしれない
    だけど俺は、この目で確認がしたかった

    電車を乗り継ぎ、乗り継ぎ
    目的の場所へ、向かう

    そこへは行って帰るだけで、一日が潰れる
    だから、休日でなければならない

    (女)(どうなっているかな……)

    いつぶりだろうか
    俺は窓の外で移ろう景色に、思いをはせる

    (女)(この姿で、大丈夫かな……)

    不安はあった

    でもこの一手は、いままでのどんな一手よりも、意味がある

    (女)(もうすぐ、か)

    488 = 318 :

    俺は電車を降りた

    駅の周りはそこそこに栄えているが、一時間も歩けば山の中
    そんな、田舎の町

    道は覚えていた
    問題はない

    一歩一歩を踏みしめて、そうして俺は目的地へ到着した

    (女)(実家へ戻るのは、いつ振りかな)

    戻る、というのはおかしいか
    今は女の姿なのだから

    俺は深呼吸をした

    (女)(よし……)

    そして、呼び鈴を鳴らした

    489 = 466 :

    幼馴染みか旧友か実家か、天使か悪魔か

    490 = 318 :

    『はい……』

    家をでてからもう何年も聞いていない母の声だった

    (女)「あの……」

    俺は、“俺”の古い友達だと名乗った

    (女)「彼は今、どちらにおられますか……?」

    返事まで、少しの間があった

    『住所のメモを、あげるよ』

    (女)「は、はいっ」

    すぐにがらりと扉がひらいて、久しぶりの母の顔を見た
    やせほそっていた

    (女)「これ、ですか」

    「……あの子にも、友達がいたんだね」

    (女)「あはは、一応は」

    「そうかい……。……いってあげておくれ」

    (女)「……はい」

    491 = 318 :

    その場所は、実家から少し離れていた

    といっても、駅からバスがでていたので、それに乗れば二十分程度だったか

    (女)「……」

    バスをおりる
    そこは山の中だった

    (女)「…………」

    もう、なんとなく、きづいていた

    (女)「こっち、か……」

    俺は歩く
    ゆっくりと、歩く

    ああ、なんでこんなにも涙がでるのか

    (女)「ちくしょう……」

    492 :

    今日忙しいのに、続きが気になって仕事が手につかんよ

    493 :

    まれにみる神SS
    保守

    494 :

    SSなのにそこらのラノベより凝ってる

    495 = 318 :

    そうして、その前へと俺はたった

    空は、青かった

    寒々しい場所だ
    人は誰も、見当たらない

    ひゅう、と風が通り抜ける

    (女)「俺……、何、やってんだよ……」

    そこは、墓地

    (女)「ふ、ふざ、ふざけ……」

    (女)「ふざんなァァ……ッ!」

    目の前の石――墓石に刻まれた文字は、紛れも無く

    (女)「ちく、しょぉ……、ちくしょォおォオオオおおおおおおおおッッッッ!!!!!」

    ――俺の、名前


    (女)「うわァああァアあアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!!!!!!!」


    流れる声とともに、ボロボロと
    涙があふれていた

    496 :

    ボビーオロゴン「こんなのアリエネーシ」

    498 = 349 :

    やはり死んでるか……

    これは面白い。自分の中にある予想をどれだけ裏切ってくれるだろう

    499 = 321 :

    おうふ

    500 = 318 :

    だん、と墓石に頭をぶつける

    硬い

    (女)「おい……、お前……、何やってんだよ……」

    俺は、死んでいた

    母から住所を貰った時点で分かっていた
    そこにはこの場所の、墓地の名前が書いてあったからだ

    (女)「なんで、骨に、なってんだよぉ……」

    まるで忘れ去れたかのような墓地
    その中で、この石だけは少し、綺麗だった
    最近おかれたからか、それとも掃除をよくされているからか
    それはわからないけれど

    (女)「なあ、おい……、俺は――」

    どこへ行ったのか

    その問いの答えは、つまり

    (女)「ちくしょぉお、ちくしょぉおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオおッッッ!!!」

    叫ばずに入られなかった


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