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元スレ僕「小学校で」女「つかまえて」
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>>298
キーンコーン
カーンコーン
女「あ、先生きたよ」
彼女の一言で、机に集まっていたみんなは自分の席に戻っていく。
視界が開けた先には、不機嫌そうに窓の外を見つめていた隣がいた。
僕「……」
僕は彼をあまり見ないようにした。
女「一時間目は漢字の書き取り~」
彼女も彼女で、先ほどの言葉には反応してくれない。
キーンコーン
カーンコーン
女「あ、先生きたよ」
彼女の一言で、机に集まっていたみんなは自分の席に戻っていく。
視界が開けた先には、不機嫌そうに窓の外を見つめていた隣がいた。
僕「……」
僕は彼をあまり見ないようにした。
女「一時間目は漢字の書き取り~」
彼女も彼女で、先ほどの言葉には反応してくれない。
僕(川、花、口……月、日……)
授業は相変わらず退屈だった。
何も考えずに受ても問題無い。
一年生の漢字では優越感に浸る事もできなかったけど。
僕の視線は、すぐに隣の女を見ていた。
彼女は机に目を向け、熱心に鉛筆を動かしている。
僕(そんなに一生懸命やらなくても……)
小学生らしく、何かイタズラしてやろうか。
そう思った矢先だった。
女「……はい」
小さな声と一緒に、破られた一枚のノートが渡された。
女『どうして嘘だってわかるの?』
授業中のお手紙交換、というやつだろうか。
授業は相変わらず退屈だった。
何も考えずに受ても問題無い。
一年生の漢字では優越感に浸る事もできなかったけど。
僕の視線は、すぐに隣の女を見ていた。
彼女は机に目を向け、熱心に鉛筆を動かしている。
僕(そんなに一生懸命やらなくても……)
小学生らしく、何かイタズラしてやろうか。
そう思った矢先だった。
女「……はい」
小さな声と一緒に、破られた一枚のノートが渡された。
女『どうして嘘だってわかるの?』
授業中のお手紙交換、というやつだろうか。
僕「?」
彼女「……」
驚いて彼女を見つめても、視線をこっちには向けてくれない。
だから僕も手紙を書く事にした。
僕『なんとなく。嘘っぽかったから』
スッと手紙を彼女の手元に返す。
僕(元気に嘘をつくときは、無駄に明るくなるのが彼女の癖だから……)
女『みんながいたから。話したくなかった』
僕『なんとなくわかるよ~』
記憶の中から、彼女の問題になりそうな部分を掘り起こしてみる。
彼女に関して心当たりがあるのは、両親の問題だけだった。
だから多分……。
女『あのね、お父さん出ていっちゃったんだ』
彼女「……」
驚いて彼女を見つめても、視線をこっちには向けてくれない。
だから僕も手紙を書く事にした。
僕『なんとなく。嘘っぽかったから』
スッと手紙を彼女の手元に返す。
僕(元気に嘘をつくときは、無駄に明るくなるのが彼女の癖だから……)
女『みんながいたから。話したくなかった』
僕『なんとなくわかるよ~』
記憶の中から、彼女の問題になりそうな部分を掘り起こしてみる。
彼女に関して心当たりがあるのは、両親の問題だけだった。
だから多分……。
女『あのね、お父さん出ていっちゃったんだ』
僕『うん』
それだけ返すと、僕は黙って彼女からの手紙を待った。
女『もう前からお父さんとお母さんは別居してたんだけど……夏休みが終わる前に本格的に離れる事になっちゃってさ』
僕『離婚?』
女『ううん。そういう話はまだ』
僕(確か大学の時でも……離婚はしてなかったかな。問題でゴタゴタしていたのは聞いていたけれど)
女『だから最初ちょっと休んじゃって、ごめんね?』
手紙の中では、彼女はとても素直だった。
そんな性格を僕は知っていた。
嫌な記憶も、辛そうな過去の出来事も、彼女に対する記憶は僕の頭に残っている。
それだけ返すと、僕は黙って彼女からの手紙を待った。
女『もう前からお父さんとお母さんは別居してたんだけど……夏休みが終わる前に本格的に離れる事になっちゃってさ』
僕『離婚?』
女『ううん。そういう話はまだ』
僕(確か大学の時でも……離婚はしてなかったかな。問題でゴタゴタしていたのは聞いていたけれど)
女『だから最初ちょっと休んじゃって、ごめんね?』
手紙の中では、彼女はとても素直だった。
そんな性格を僕は知っていた。
嫌な記憶も、辛そうな過去の出来事も、彼女に対する記憶は僕の頭に残っている。
僕『大丈夫だよ。あ、針千本じゃなくて駄菓子を買ってくれるだけでいいから』
女『……』
女『ガムでいい?』
僕『またガムなの……』
女『あははっ。この話はまた後でね』
僕『わかった~』
手紙を返すと、小さくなるまで折り畳み、それを彼女の筆箱にしまっていた。
僕(ガム、か……)
放課後、彼女と駄菓子屋に一緒に行く。
残りの授業は、この約束で頭がいっぱいだった。
僕と彼女の間では、あれだけでちゃんとした約束になる。
彼女もきっと、そう思ってくれているはずだ。
僕(あ、でもその前に給食が……)
女『……』
女『ガムでいい?』
僕『またガムなの……』
女『あははっ。この話はまた後でね』
僕『わかった~』
手紙を返すと、小さくなるまで折り畳み、それを彼女の筆箱にしまっていた。
僕(ガム、か……)
放課後、彼女と駄菓子屋に一緒に行く。
残りの授業は、この約束で頭がいっぱいだった。
僕と彼女の間では、あれだけでちゃんとした約束になる。
彼女もきっと、そう思ってくれているはずだ。
僕(あ、でもその前に給食が……)
先生「じゃあみんな~。いただきます」
「いただきます!」
元気な声でお昼が始まる。
眼鏡「ぼ、僕ちゃん。牛乳飲んで?」
僕たちのクラスでは、近くの四人で机を向かい合わせ、一つのグループでご飯を食べる事になっている。
僕の前の席にいる眼鏡ちゃんが、給食中は隣になる。
女「コロッケおいし~」
そして隣にいた女とは正面同士になる。
眼鏡ちゃんから牛乳を受け取り、グビグビと一口に飲み干す。
女「僕ちゃんちっちゃいから牛乳たくさん飲まないとね?」
やっぱり、何をしても彼女は僕に笑いかけてくる。
「いただきます!」
元気な声でお昼が始まる。
眼鏡「ぼ、僕ちゃん。牛乳飲んで?」
僕たちのクラスでは、近くの四人で机を向かい合わせ、一つのグループでご飯を食べる事になっている。
僕の前の席にいる眼鏡ちゃんが、給食中は隣になる。
女「コロッケおいし~」
そして隣にいた女とは正面同士になる。
眼鏡ちゃんから牛乳を受け取り、グビグビと一口に飲み干す。
女「僕ちゃんちっちゃいから牛乳たくさん飲まないとね?」
やっぱり、何をしても彼女は僕に笑いかけてくる。
女「今から牛乳飲まないと将来……くすっ」
僕(二十何歳の姿を知っているくせに……)
彼女の笑顔は、絶対にそれをわかって言っている。
僕「……女ちゃんも、牛乳飲んだ方がいいよ。少しでも将来に胸がおおき……」
そこまで言うと、机の下の膝辺りにぶっきらぼうな衝撃が飛んでくる。
僕「あづっ!」
眼鏡「ど、どうしたの僕ちゃん……?」
僕「あ、足が……」
女「あら、保健室行く?」
僕(本気で蹴るなよバカ……)
女「くすっ」
僕もまた、彼女の体がそこまで大きく成長しないのを知っていた。
僕(二十何歳の姿を知っているくせに……)
彼女の笑顔は、絶対にそれをわかって言っている。
僕「……女ちゃんも、牛乳飲んだ方がいいよ。少しでも将来に胸がおおき……」
そこまで言うと、机の下の膝辺りにぶっきらぼうな衝撃が飛んでくる。
僕「あづっ!」
眼鏡「ど、どうしたの僕ちゃん……?」
僕「あ、足が……」
女「あら、保健室行く?」
僕(本気で蹴るなよバカ……)
女「くすっ」
僕もまた、彼女の体がそこまで大きく成長しないのを知っていた。
僕「まだヒリヒリするや……」
駄菓子屋に着いてからも、足の痛みは治まらず、僕一人でヒイヒイ言っていた。
女「ねえ眼鏡ちゃん。チョコだよチョコ」
眼鏡「あたしはえびせんべいのが食べたいかな~」
いつものメンバーで帰りたい、と彼女が言い出したので、眼鏡ちゃんもそのまま一緒に駄菓子屋に来る事になった。
一応隣にも声はかけたけれど、僕の顔を見たらやはり一目散に逃げて行った。
相変わらず嫌われているようだ。
駄菓子屋に着いてからも、足の痛みは治まらず、僕一人でヒイヒイ言っていた。
女「ねえ眼鏡ちゃん。チョコだよチョコ」
眼鏡「あたしはえびせんべいのが食べたいかな~」
いつものメンバーで帰りたい、と彼女が言い出したので、眼鏡ちゃんもそのまま一緒に駄菓子屋に来る事になった。
一応隣にも声はかけたけれど、僕の顔を見たらやはり一目散に逃げて行った。
相変わらず嫌われているようだ。
女「はい、僕ちゃんにはガムあげるね~」
僕「あ、ありがとう」
……
九月の帰り道。
僕と彼女の指切り針千本は、こうして簡単に果たされてしまった。
僕(ま、彼女が戻ってきたんだからいっか……)
ペリペリとガムの包みを剥がそうとする僕の手元に、今度は別のガムが渡されてくる。
僕「?」
視線を向けると、眼鏡ちゃんが俯きながらガムを僕に渡そうとしている。
彼女もまた、とても小さな手をしていた。
眼鏡「あ、あたしも……これ」
僕「あ、ありがとう」
……
九月の帰り道。
僕と彼女の指切り針千本は、こうして簡単に果たされてしまった。
僕(ま、彼女が戻ってきたんだからいっか……)
ペリペリとガムの包みを剥がそうとする僕の手元に、今度は別のガムが渡されてくる。
僕「?」
視線を向けると、眼鏡ちゃんが俯きながらガムを僕に渡そうとしている。
彼女もまた、とても小さな手をしていた。
眼鏡「あ、あたしも……これ」
ガムの包みって中身出した後、つい元通りに戻してしまっておきたくなるんだけど、俺だけ?
僕「あ、ありがとうね」
眼鏡「うんっ!」
眼鏡ちゃんは元気に、いつの間にかちょっと離れた場所にいた、彼女の元へ駆け寄っていった。
眼鏡『渡せたよ!』
女『よかったわね~』
表情からこんな会話がされてるんだ、と何となくわかってしまう。
記憶がある限り、鈍感な僕にはなれないみたいだ。
僕(……)
僕は、手に持った二つのガムをポケットにしまう。
僕(……学校帰りに買い食いや道草はダメだから)
多分そんな理由じゃないけれど。
僕は自分にそう言い聞かせながらまた歩き始めた。
眼鏡「うんっ!」
眼鏡ちゃんは元気に、いつの間にかちょっと離れた場所にいた、彼女の元へ駆け寄っていった。
眼鏡『渡せたよ!』
女『よかったわね~』
表情からこんな会話がされてるんだ、と何となくわかってしまう。
記憶がある限り、鈍感な僕にはなれないみたいだ。
僕(……)
僕は、手に持った二つのガムをポケットにしまう。
僕(……学校帰りに買い食いや道草はダメだから)
多分そんな理由じゃないけれど。
僕は自分にそう言い聞かせながらまた歩き始めた。
眼鏡「ばいば~い!」
眼鏡ちゃんと元気に別れ、僕たちはまた二人きりになった。
すぐに女の家には着いてしまうけれど、久しぶりの嬉しさがある。
女「ガム貰えてよかったね~」
僕(どっちの?)
女「大切に食べてあげてね?」
僕(ああ、眼鏡ちゃんの方ね)
二人が物をくれた意味はそれぞれ違う。
僕と彼女にはそれがわかっている。
でも眼鏡ちゃん自身は多分……彼女と同じ気持ちでガムを渡せた、そう思ったんだろう。
僕「……大切に食べるよ」
おうむ返しに生返事。
拗ねてるわけじゃない。
彼女の家に着いてしまったから、それが少し残念なだけだったんだ。
眼鏡ちゃんと元気に別れ、僕たちはまた二人きりになった。
すぐに女の家には着いてしまうけれど、久しぶりの嬉しさがある。
女「ガム貰えてよかったね~」
僕(どっちの?)
女「大切に食べてあげてね?」
僕(ああ、眼鏡ちゃんの方ね)
二人が物をくれた意味はそれぞれ違う。
僕と彼女にはそれがわかっている。
でも眼鏡ちゃん自身は多分……彼女と同じ気持ちでガムを渡せた、そう思ったんだろう。
僕「……大切に食べるよ」
おうむ返しに生返事。
拗ねてるわけじゃない。
彼女の家に着いてしまったから、それが少し残念なだけだったんだ。
僕「じゃあ、またね。ちゃんと学校来なよ?」
いつもはこんな事を言わないが、今日は何だか特別だった。
女「うん……また、ね」
僕「……」
女「……」
挨拶の後も、彼女は家に入ろうとはしない。
僕たちはお互いを見つめて固まってしまった。
女「ねえ僕ちゃん……ちょっと、お家寄ってかない?」
僕「……?」
女「お願い、ね?」
いつもはこんな事を言わないが、今日は何だか特別だった。
女「うん……また、ね」
僕「……」
女「……」
挨拶の後も、彼女は家に入ろうとはしない。
僕たちはお互いを見つめて固まってしまった。
女「ねえ僕ちゃん……ちょっと、お家寄ってかない?」
僕「……?」
女「お願い、ね?」
僕「お邪魔します」
女「あ、誰もいないから平気だよ。適当にあがっちゃって」
誰もいない?
女「あ、玄関段差あるから気をつけてね」
言われるままに通されたのは、障子と畳で綺麗に間取りされた居間だった。
僕(十年くらい前の田舎町にしては綺麗な家かも……)
確か貸家だと聞いていた。
家賃はいくらなんだろう。
この地域の相場は確か……。
一人で考え込んでいたが、アパートや家など地元では借りた事がなくて、逆にわからなかった。
女「今、お茶持ってくるからね」
彼女はそのまま台所に消えていった。
女「あ、誰もいないから平気だよ。適当にあがっちゃって」
誰もいない?
女「あ、玄関段差あるから気をつけてね」
言われるままに通されたのは、障子と畳で綺麗に間取りされた居間だった。
僕(十年くらい前の田舎町にしては綺麗な家かも……)
確か貸家だと聞いていた。
家賃はいくらなんだろう。
この地域の相場は確か……。
一人で考え込んでいたが、アパートや家など地元では借りた事がなくて、逆にわからなかった。
女「今、お茶持ってくるからね」
彼女はそのまま台所に消えていった。
僕(箪笥に、テレビに、テーブルに……)
家具は一通りが揃っている。
この居間が八畳程だろうか。
少し手狭に感じてしまうのは、三人分の衣類が入りそうな少し大きな箪笥。
それに、お皿を多目にのせられるような大きなテーブルがあったせいだろうか?
僕(……)
女「お待たせ~。ココアでいいよね」
そこに元気な彼女が一人加わる。
それだけで、部屋がまた狭くなったような気がした。
僕「お茶じゃないの?」
女「甘いの好きでしょ?」
僕「わかってるね」
女「当たり前だよ!」
家具は一通りが揃っている。
この居間が八畳程だろうか。
少し手狭に感じてしまうのは、三人分の衣類が入りそうな少し大きな箪笥。
それに、お皿を多目にのせられるような大きなテーブルがあったせいだろうか?
僕(……)
女「お待たせ~。ココアでいいよね」
そこに元気な彼女が一人加わる。
それだけで、部屋がまた狭くなったような気がした。
僕「お茶じゃないの?」
女「甘いの好きでしょ?」
僕「わかってるね」
女「当たり前だよ!」
自信満々にそう言う彼女の手元には、ココアを入れたカップが二つ。
片方のカップの臨界点からは、山盛りになった砂糖がひょっこりと顔を出している。
僕「……」
女「ごめんね、溶けきらなくって……」
嘘でもわざとでもいい。
僕はそのココアを一口飲んでみる。
僕「……あま」
女「やっぱり?」
僕「でも……美味しいや」
彼女が作ってくれた飲み物だから。
何をされても僕は多分美味しく飲める。
女「くすくす、僕ちゃん将来糖尿病になっちゃうよ? 砂糖入れすぎだもん、それ」
僕「……」
意地悪に笑われても多分……美味しいんだろう……か。
片方のカップの臨界点からは、山盛りになった砂糖がひょっこりと顔を出している。
僕「……」
女「ごめんね、溶けきらなくって……」
嘘でもわざとでもいい。
僕はそのココアを一口飲んでみる。
僕「……あま」
女「やっぱり?」
僕「でも……美味しいや」
彼女が作ってくれた飲み物だから。
何をされても僕は多分美味しく飲める。
女「くすくす、僕ちゃん将来糖尿病になっちゃうよ? 砂糖入れすぎだもん、それ」
僕「……」
意地悪に笑われても多分……美味しいんだろう……か。
彼女との談笑は続いた。
目の傷がそろそろカサブタになりそうな事、運動会の練習事。
秋に学校で行われる文化イベントのための合唱の事……。
時計はもう夕方六時を指している。
僕「あ、そろそろ帰らないと……」
最近は陽が落ちるのも早くなり始めている。
一年生が歩き回るにはどこか不安が残る。
女「……」
僕「じゃあ、また。今日はありがとう。ごちそうさま」
言葉を終え、立ち上がろうと足に力を入れた瞬間……。
女「やだ……」
彼女の言葉と指が、僕の洋服をキュッと捕まえる。
目の傷がそろそろカサブタになりそうな事、運動会の練習事。
秋に学校で行われる文化イベントのための合唱の事……。
時計はもう夕方六時を指している。
僕「あ、そろそろ帰らないと……」
最近は陽が落ちるのも早くなり始めている。
一年生が歩き回るにはどこか不安が残る。
女「……」
僕「じゃあ、また。今日はありがとう。ごちそうさま」
言葉を終え、立ち上がろうと足に力を入れた瞬間……。
女「やだ……」
彼女の言葉と指が、僕の洋服をキュッと捕まえる。
僕「な、何が……?」
確認するように、問いかける。
女「帰っちゃやだ……」
返ってきたのは僕が予想した通りの言葉だった。
女「今日はお家に誰もいないの、だから……だから……」
大学生のままの彼女がこのセリフを言えば、僕も今とは違う意味で捉え、彼女を抱きしめていたんだろう。
僕(でも……)
女「一人は嫌だよ……寂しいんだよ……」
彼女は怯えていた。
遊んで、お友達とバイバイしたくない。それだけのはずなのに。
それだけじゃないのが、やはり僕にはわかってしまう。
確認するように、問いかける。
女「帰っちゃやだ……」
返ってきたのは僕が予想した通りの言葉だった。
女「今日はお家に誰もいないの、だから……だから……」
大学生のままの彼女がこのセリフを言えば、僕も今とは違う意味で捉え、彼女を抱きしめていたんだろう。
僕(でも……)
女「一人は嫌だよ……寂しいんだよ……」
彼女は怯えていた。
遊んで、お友達とバイバイしたくない。それだけのはずなのに。
それだけじゃないのが、やはり僕にはわかってしまう。
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