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    元スレ僕「小学校で」女「つかまえて」

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    みんなの評価 : ★★★×5
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    751 : 以下、名無しにか - 2010/08/06(金) 22:43:37.21 ID:ZIrGDsK0O (+35,+30,-62)
    二週間後。

    久しぶりの外の空気は、なんだか冷たい。

    僕は学校に行くため一人で道を歩いていた。

    「……さぶっ」

    僕の歩く通学路は、彼女の家の前を通っていない。

    学校への道のりはいつも一人。

    たまに他の友人とも登校はするけれど……今日は通学路なのに誰とも会わない。

    (登校する日を間違えたかな?)

    途端に不安になってしまう。

    僕はこのまま、急いで学校に向かう事にした。
    752 : 以下、名無しにか - 2010/08/06(金) 22:56:49.80 ID:ZIrGDsK0O (+35,+30,-146)
    「おはよう」

    「お、おはよう」

    学校に着くと、久しぶりのクラスメートが僕に挨拶をしてくれる。

    (よかった、学校は普通にあるみたいだ)

    ほっと一安心。

    その気持ちのまま、僕は自分の机に向かう。

    「あ、おはよう僕ちゃん」

    「おはよ」

    ああ、やっぱり笑顔の彼女がいる。

    「久しぶりだね」

    ランドセルを片し、机の上をまっさらな状態にする。

    僕はそのまま机に突っ伏して彼女の左頬を見つめる。

    (マークは残って……ないよね)

    三週間はさすがに残ってくれないみたいだ。

    僕はまた、ただボーッと彼女を見つめている。
    753 : 以下、名無しにか - 2010/08/06(金) 23:00:52.74 ID:uFRZI+WG0 (+1,+13,-12)
    しえん
    754 : 以下、名無しにか - 2010/08/06(金) 23:01:55.64 ID:cWF6PvvG0 (-22,-10,-1)
    支援
    755 : 以下、名無しにか - 2010/08/06(金) 23:07:26.01 ID:HkM3bGgT0 (-4,+10,-13)
    シエンタ
    756 : 以下、名無しにか - 2010/08/06(金) 23:27:45.19 ID:EfC5UqUp0 (-22,-10,-1)
    支援
    757 : 以下、名無しにか - 2010/08/06(金) 23:51:22.44 ID:EfC5UqUp0 (+8,+20,-2)
    寝落ち...?
    758 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 00:21:38.92 ID:ZlFizR4X0 (+17,+29,+0)
    一応ほっすん
    759 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 00:31:14.53 ID:kDxtq1B00 (-18,-6,+0)
    h
    761 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 01:22:26.43 ID:xKLif1tc0 (-18,-6,+0)
    h
    762 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 01:54:19.07 ID:7ffTpvAo0 (+0,+11,-1)
    763 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 01:57:48.62 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-117)
    ごめん食事にお付き合いしていたよ。



    (今日から三学期かあ)

    眼鏡「あ、僕ちゃんおはよ」

    「おはよう、眼鏡ちゃん」

    眼鏡「年賀状届いた?」

    「あ、うん」

    眼鏡「僕ちゃんお返事くれないからさ。心配しちゃったよ?」

    僕は誰にも年賀状の返事を書いていない。

    「筆不精なんだよ僕は」

    眼鏡「ふ……ふで、なに?」

    「怠け者って意味だよー」

    横から女が口を出す。

    (ちゃんと交換日記の返事は書いているじゃないか……)
    764 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 01:59:38.55 ID:U750JC+S0 (+1,+13,-12)
    しえん
    765 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:03:05.58 ID:ZlFizR4X0 (-18,-6,+0)
    ktkr支援
    766 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:11:29.56 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-113)
    「じゃあ日記も怠け者になっちゃおっかなー。お返事書けないね?」

    ほんの冗談のつもりで、彼女に笑ってみる。

    「ん……」

    いつもなら笑顔で言い返してくるはずの彼女が、いない。

    「……いいよ、別に」

    「?」

    「眼鏡ちゃん、おトイレ付き合って」

    眼鏡「え、あ……」

    (……怒ったのかな?)

    冗談は全部返してくれると思っていた僕は、彼女の態度に少し戸惑ってしまう。

    (後で謝ればいっか。日記にもちゃんと書いてさ……うん)

    ……。

    しかし、その戸惑いも放課後には忘れてしまう。

    彼女の口からお別れを告げられたせいで、僕は今の感情を全部忘れてしまったんだ。
    767 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:18:22.18 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-166)
    帰り道。

    一緒に歩いているはずなのに、僕と彼女の距離は遠い。

    眼鏡「そっか、転校しちゃうんだね」

    「うん。お母さんのお仕事の都合でさ。多分三月にはもう……」

    眼鏡「お引っ越ししてもずっと友達……だよ!」

    「うん!」

    眼鏡ちゃんは、目の前で話している彼女の言葉がわかっていないのか。

    (彼女がここからいなくなるんだぞ……)

    元気でいてね、と笑いながら挨拶をする事なんて僕には出来ない。

    (日記はどうするの? お祭りの約束だって。夏の花火、まだ一緒に見ていないのに)

    (来年のクリスマス、お正月。年賀状ちゃんと書くからさ……だから……)

    言いたい事はたくさんあった。

    でも僕は、何も言えない。
    768 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:19:05.23 ID:Iv4n7WGm0 (+15,+27,-12)
    うああああああ
    769 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:25:34.48 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-164)
    眼鏡「じゃあまたね」

    眼鏡ちゃんが別れ、僕たち二人だけの時間が訪れる。

    僕はさっき思った事を彼女にぶつける事はできないんだ。

    引っ越しは彼女の意志じゃない。

    彼女に約束の事を話しても、笑顔になってくれないんだろう。

    (女だって帰りたくないはずなんだ……)

    「……」

    「ね、ねえ。三月までこっちにいるの?」

    彼女の家までそんなに距離はない。

    僕は思いきって話しかけてみる。

    「……二月には、向こうに行っちゃうかも。学校行く理由も無くなっちゃうからさ」

    校舎の中では笑顔を作っていた彼女も、今はもう。

    冬が終わってもまた冬が来る。

    そんな顔をしながら僕と歩いている。
    770 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:32:32.57 ID:WWxk7Cuh0 (+27,+29,-15)
    寝るので支援
    応援してますがんばってください
    771 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:36:54.01 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-97)
    「じゃあ……あと二週間くらいで?」

    「うん」

    そっけ無い彼女の返事。

    「来週には先生から話してくれると思うよ。早かったらその時から……」

    「日記は?」

    「……」

    「私が全部貰っていい?」

    冷たい返事をしても、彼女は彼女だった。

    僕の事が嫌いで離れていくんじゃない……だから余計に寂しかった。

    「ま、知っている街に帰るんだから寂しさはそこまで無いけどね?」

    精一杯、無理な笑顔でいる彼女を見て、胸が締め付けられる。
    772 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:38:16.12 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-140)
    彼女が帰る場所を、僕は知っている。

    大学がある街の、昔彼女が住んでいた場所。

    記憶の場所とぴったり重なる。

    「また、同じお家になっちゃった」

    彼女はそこからもう一度人生をスタートさせる。

    そして僕はこの場所に残る。

    変な形だが……記憶の中の未来に繋がるような配置になったのだろうか?

    僕にはこれからの未来なんて何一つわからないけれど。

    大好きな人が遠くへ行ってしまう。

    これだけは確実な未来のようだ。

    僕は、この記憶を思い出す。
    773 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:43:51.16 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-130)
    四年生になった時の事。

    僕には好きな子がいた。

    今思えばそれが……初恋だった。

    両思いだったとか、付き合ったとか特別な話はないけれども。

    僕は彼女の事が大好きだった。

    しかし、その彼女も次の学年に上がる頃には転校してしまった。

    僕の初恋は、そんなだった。

    告白する事も特別に話しかける事も無く、ただ彼女との別れを寂しがっていた。

    目の前にいる女とは状況が違うかもしれないけれど……。

    僕にはそんな記憶もあったんだ。

    (彼女が遠くなってしまう)
    774 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:46:51.61 ID:Iv4n7WGm0 (+22,+29,-1)
    あ、落ち読めちまった
    775 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:50:50.15 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-157)
    「……ね。日記の事なんだけどさ」

    家に着く前に、彼女が思い出したように話しかけてくる。

    いや、ずっと話そうとしていたのかもしれない。

    「明日僕が取っておいてあるノートを持ってくるよ」

    「ううん、そうじゃなくて……」

    「?」

    「向こうに行っても、私にお返事書いてくれる?」

    「日記の?」

    「違うよ。ほら……お手紙。文通しようよ?」

    (文通……)

    「日記とはペースも変わるけどさ。電話より手紙の方がいいかなって思うし……」

    彼女は、色んな方法で僕と繋がっていく方法を考えてくれたに違いない。

    その答えが文通という事なんだろう。

    僕は数ヶ月後から、郵便局にせっせと通う事になる。

    これも新しい記憶だった。
    776 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 02:59:01.38 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-150)
    先生「じゃあ……最後に女ちゃんから挨拶して」

    「はい。今日は私のためにお別れ会までしてくれてありがとう。みんなの事は忘れません」

    空いた午後の時間を使って、教室では彼女のお別れ会が開かれていた。

    「みんなから貰ったこの寄せ書きも大切にします」

    「ありがとう、みんなも元気に頑張って下さい。私も頑張ります」

    パチパチパチ。

    一週間後に彼女は引っ越してしまう事に決まった。

    まだ暖かい風も吹きそうにない、二月の真ん中辺りだった。

    出発はちょうど日曜日だったので、僕は一人彼女を見送る事にした。

    悪いけど、今回だけは眼鏡ちゃんには内緒。

    一人、朝の町を駆け抜けた。
    777 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 03:16:54.14 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-127)
    「あ……」

    いた。

    彼女は家の前に立っていた。

    少しうつ向いていて……手を上品に前の方で交わせながら、僕を待ってくれていた。

    「よかった、間に合った」

    「うん。まだお父さん来ないみたいだから」

    「ん……あ、リボン。ちゃんとしてくれてるんだ」

    彼女の頭には、僕がプレゼントであげたリボンが結ばれている。

    しっかりとポニーテールに結んでくれているのは、僕のためだろうか。

    「えへへっ、大事にするからね」

    「うん……もう見られないのかな、女のポニーテールも」

    そう考えると、また新しい寂しさが生まれてくる物だ。

    まじまじと彼女の髪を見つめている僕がいる。
    778 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 03:23:57.44 ID:ZlFizR4X0 (+25,+29,-18)
    他県に引っ越した幼馴染どうしてるかなって思った
    定期支援
    779 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 03:26:06.83 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-104)
    「髪型、変じゃない?」

    「う、うん。綺麗だよ、すごく似合ってる」

    「ふふっ、ありがとね」

    ……。

    これで彼女が遠くに行ってしまうというのに、僕たちの話し声はとても淡々と。

    日曜日の午後、まるでこれから一緒に遊ぶ約束をしているかのような……。

    そんないつもの二人。

    (いつもじゃないのに……)

    「最初のお手紙は私から書くからね」

    「う、うん。あのさ……誕生日には……!」

    「誕生日? 僕ちゃんの?」

    「ううん、女の……誕生日」
    780 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 03:31:05.92 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-124)
    「うん。誕生日にはちゃんとバースデーカードを送るよ!」

    「……それってサプライズのつもり?」

    「あ……」

    言ったらサプライズにはなりはしない。

    「ふっ……あはははっ。そんなに楽しませてくれなくっていいんだよ僕ちゃんは!」

    「は、ははっ。やっぱり最後は笑顔でいないといけないからさ」

    彼女は泣いていない。

    (どうして彼女はこんなに笑顔でいられるんだろう……)

    彼女が車で走り去ってしまった後でも、僕が二年生になってからも……。

    彼女が笑っていた理由はわからなかった。
    781 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 03:50:09.56 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-127)
    三月の終わり……春休み。

    約束通り、僕は彼女へのお手紙とバースデーカードを一枚。

    それを握りしめて、嬉しそうに郵便局に向かっていた。

    今日手紙を出せば四月の誕生日には彼女の手元に届く。


    (彼女もそれが楽しみだと言ってくれていた……それだけで僕も頑張れるから)

    淡いピンク色の封筒を握りしめて、僕は走り出す。

    この手紙が君に届きますように。

    遠い場所で僕を感じて……またいつもの笑顔になってくれますように。
    782 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 03:58:54.34 ID:jZQoS0P60 (-27,-15,+0)
    783 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:06:57.66 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-95)
    先生「みなさん、さよなら。気をつけて帰ってね」

    眼鏡「ねえ僕ちゃん、一緒に帰ろうよ

    二年生になった日、そう声をかけてきたのは彼女だった。

    「ん、そうだね。女ちゃん……」

    眼鏡「?」

    「ううん、なんでもないや」

    このクラスにいない人間の名前を呼んでも虚しいだけ。

    眼鏡「じゃあいこう僕ちゃん~」

    彼女と帰る理由は特になかったけれど、僕は彼女と一緒に歩き出したんだ。

    彼女のいない放課後。

    僕は、やけに広く感じる田舎道を歩いている。
    784 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:18:08.82 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-65)
    眼鏡「駄菓子屋寄ってく?」

    「……今日はいいや」

    眼鏡「そう……」

    二人だけで歩く時間に、なんだか慣れない。

    彼女がいないだけでこんなにも時間が長く感じる。

    眼鏡「あ、あたしここだから。バイバイ」

    「うん、またね」

    思えば彼女と話していた記憶はあまり無い。

    一年間、女とばかり話していた気がするよ。
    785 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:18:48.70 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-64)
    「……」

    しばらく歩くと、見慣れた彼女の家が見えてくる。

    中に人がいる様子は無い。当たり前だ。

    (呼び鈴を押したら彼女が家に)

    (……いるはずもないか)

    僕は明日から、遠回りのこの道を通る事は無くなった。

    誰もいない彼女の脱け殻を見るのは、やっぱり寂しかったから。

    僕は今日一緒に帰った彼女の気持ちに気付く事もなく……小学校を卒業した。
    786 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:27:43.37 ID:oFkU172T0 (+5,+7,-4)
    1行で5年間すっとばした!
    787 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:27:45.90 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-76)
    中学生になった僕たちは、新しい制服という格好に身を包んでいた。

    久しぶりの学生服の感じが、僕の体と心を締め付ける。

    「なんだかんだで……中学生ね」

    僕が記憶を持ったまま一年生になってから、六年が過ぎた。

    女がいなくなった地元から、僕は逃げ出す事もできず。

    大学生として過ごしていた昔に戻る事もできないでいた。

    (このまま僕は……)
    788 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:30:19.59 ID:fOEwqNEFO (+30,+29,-32)
    >>786
    全部書いたら二年生の途中でスレ終わるw

    あと一時間で出勤なんでそれまで。
    789 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:32:39.04 ID:ZlFizR4X0 (+26,+29,-15)
    寝ないで大丈夫なのかっていう支援
    790 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:40:34.95 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-117)
    あれから、僕は時間や記憶に関する本を読み漁った。

    と言っても漫画や小説がメインだけれども。

    (未来から来た子、過去に時間が戻った物語……記憶を残している主人公)

    そんな主人公たちの気持ちが、今の僕にはなんとなくわかる。

    (多分彼女も……)

    今ごろは制服を着て、彼女も新しい学校生活を始めているんだろう。

    その姿を見る事ができないのがちょっとだけ残念だった。

    (制服にあのリボンは……ちょっと子供すぎるかな?)

    彼女とリボンがせめて一緒にいてくれれば、それでいい。

    僕は学校が変わっても、ずっと彼女の事を想っている。
    791 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:46:00.86 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-73)
    「……小学校、僕です。みんなよろしくお願いします」

    新しいクラスの挨拶。

    この中学校のクラスだって八割は名前も知っている。

    ここまでの記憶はまだあるようだ。

    (高校のクラスなんて、九割名前を忘れている自信があるけれど)

    ……全員の自己紹介が終わる。

    記憶通り、眼鏡ちゃんは別のクラスになっている。

    (記憶がそのまま確かなら……)

    僕は二週間後、彼女から話を持ちかけられる事になるはずだ。

    僕の記憶……。
    792 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 04:57:19.30 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-181)
    「……あ、君が僕君?」

    「う、うん」

    「へえ……君が眼鏡ちゃんの言ってた、ね?」

    (確か、彼女は隣のクラスの……)

    (……今は、忘れた)

    「言ってたよ、恋する乙女はつらいって……ねえ?」

    「で、何か用? 活発ちゃん」
    活発「あれ? 自己紹介したっけ?」

    「……知ってるから」

    活発「ふうん、まあいいや。今日辺り、眼鏡ちゃんが電話で、くふふ」

    (悪いけど、知ってるんだ)

    活発「もてる男もつらいよね。じゃあ、伝えたから。頑張ってねー」

    ……。

    足取り軽く、彼女は行ってしまう。

    (ああ、確かこんな事を言われた気がする)

    (確か今夜電話があって……)
    793 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 05:05:40.39 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-152)
    ……。

    ジリリリリ。

    ジリリリリ。

    ガチャッ。

    「もしもし?」

    眼鏡「あ、も、もしもし……私だけど……」

    「う、うん」

    眼鏡「ごめんね、急に電話しちゃって……」

    内容がわかっているとは言え、やはり緊張はする。

    眼鏡「あのね、私ずっと、ずっとね……僕ちゃんの事が……」

    眼鏡「好き、だったの……」

    眼鏡ちゃんからの、二度目の告白。

    僕はこの返事を二度断る。

    理由は違うけれど……僕が彼女の気持ちを受け入れた事は、小学校から中学卒業の九年間、一度も無い。

    「……ごめん。僕には好きな人がいるんだ」
    794 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 05:20:15.23 ID:XzcGxUY20 (+24,+29,-3)
    じゃあ眼鏡ちゃんは、貰って行きますね。
    795 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 05:22:22.25 ID:fOEwqNEFO (+35,+30,-158)
    眼鏡「……そう、なんだ」

    「うん、本当にごめん」

    受話器の向こうから感じる十分なくらいの重圧。

    今はそれに耐える事ができている。

    眼鏡「ねえ僕ちゃんの好きな人って……誰? 新しいクラスの人?」

    「……ううん。クラスにはいないよ」

    眼鏡「じゃあ、仲良くしていたあの先輩?」

    「先輩でもないよ。同級生の……女」

    眼鏡「え、え……引っ越しした女ちゃん?」

    「うん」

    僕の気持ちはずっと彼女に向いている。

    遠い場所、文字でしか会話の出来ない僕たちだけど。

    電話とは違った嬉しさ、手紙が持っている暖かみが……僕たちの支えであり、繋ぎだった。
    797 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 05:31:33.41 ID:fOEwqNEFO (+41,+30,-150)
    「じゃあ、また明日学校で……ね」

    僕は無機質に電話を終える。

    会えない、見られる事は無いから、と言って浮気のような真似はできない。

    僕には彼女の事しか見えていなかったんだ。

    「……さて、返事を書かないと」

    テーブルに広げられた手紙を読み返し、僕は返事を書いている。

    もうすぐ今日が終わる頃、僕はそれに封をして切手を貼り付ける。

    これをポストに入れて、また一週間もすれば彼女からの手紙がまた返って来る。

    唯一彼女を感じる事ができる。

    遠くても……僕の心は彼女から貰えるたった一枚の紙に支えられている。
    798 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 05:37:29.81 ID:fOEwqNEFO (+39,+30,-50)
    いってきます。

    >>789
    書いていると楽しい。
    眠気で文が変になるのは困るけど、あまり時間がないから、背に腹。

    >>605
    亀だけどハルヒSSで、朝倉「ただ月が……」を。


    これで中学校終わり。
    短縮してるんで活発ちゃんは、もう出ないです。
    799 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 05:45:17.41 ID:cHyi++/n0 (-3,+11,-1)
    800 : 以下、名無しにか - 2010/08/07(土) 06:30:03.85 ID:xFaHrnTu0 (-18,-6,+0)
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