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元スレ僕「小学校で」女「つかまえて」
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>>213
お疲れさんです
お疲れさんです
>>214
おまえもよくがんばったな
おまえもよくがんばったな
>>190の続き
よく晴れた日。
体育館での終業式を終えた僕たち。
教室で受け取った初めての成績表、初めての夏休みの宿題。
もちろん、僕と彼女を除いては。
女「ねね、成績どうだった?」
嫌に楽しそうに話してくる彼女。今日初めての会話だった。
僕「どうって……別に。昔よく見てたから」
特に何も感じない。
女「ええ~、僕ちゃんの成績表見せてよ? ね?」
僕「み、見ても何もないよ。よくある普通の成績表だからさ」
女「ね? ね?」
よく晴れた日。
体育館での終業式を終えた僕たち。
教室で受け取った初めての成績表、初めての夏休みの宿題。
もちろん、僕と彼女を除いては。
女「ねね、成績どうだった?」
嫌に楽しそうに話してくる彼女。今日初めての会話だった。
僕「どうって……別に。昔よく見てたから」
特に何も感じない。
女「ええ~、僕ちゃんの成績表見せてよ? ね?」
僕「み、見ても何もないよ。よくある普通の成績表だからさ」
女「ね? ね?」
保守ありがとう。
僕「何でそんなに見たいのさ?」
女「ふふっ。せっかくの小学生なんだからさ? こういう事したいな、って」
なるほど。
興味本意だけではなく今を楽しむような……そんな感じで彼女は言ってるんだろう。
僕(四月のお祭りの時も、そんな感じだったな)
女「ね、だからお願い?」
僕「……うん。わかったよ、はいこれ」
女「ありがとう!」
シュッ、と素早く手が伸びてくる。
彼女の目線は、食い入るように僕の成績表を見つめている。
女「……っ、くくっ」
僕「?」
女「この頃から字が下手だったんだねえ……」
僕「何でそんなに見たいのさ?」
女「ふふっ。せっかくの小学生なんだからさ? こういう事したいな、って」
なるほど。
興味本意だけではなく今を楽しむような……そんな感じで彼女は言ってるんだろう。
僕(四月のお祭りの時も、そんな感じだったな)
女「ね、だからお願い?」
僕「……うん。わかったよ、はいこれ」
女「ありがとう!」
シュッ、と素早く手が伸びてくる。
彼女の目線は、食い入るように僕の成績表を見つめている。
女「……っ、くくっ」
僕「?」
女「この頃から字が下手だったんだねえ……」
女「きっと一年生から大学まで……ずっと成績表に、丁寧に字を書きましょう、って……くすっ」
他人の成績表を見て大笑いしているのは、全国の小学生の中でも彼女くらいだろう。
僕「ほ、他は全部良くできてるんだからいいだろ!」
女「あはは~、そこをチェックしたかっただけだから、何言っても知らないもん」
僕(さっきの、今を楽しみたいとか言っていた自分が恥ずかしいよ……)
彼女はまだ僕の成績表を手放してはくれない。
早く帰りたいのに。
早く、僕の夏休みを始めたいのに。
他人の成績表を見て大笑いしているのは、全国の小学生の中でも彼女くらいだろう。
僕「ほ、他は全部良くできてるんだからいいだろ!」
女「あはは~、そこをチェックしたかっただけだから、何言っても知らないもん」
僕(さっきの、今を楽しみたいとか言っていた自分が恥ずかしいよ……)
彼女はまだ僕の成績表を手放してはくれない。
早く帰りたいのに。
早く、僕の夏休みを始めたいのに。
女「あ、あとニンジンをちゃんと食べましょう、だって」
……しかし、このまま帰るのも何だか癪に触る。
僕「ねえ、僕のを見せたんだから交換で見せてよ」
女「え、見ても面白くないよ?」
僕「いやあ、今を楽しみたいもので」
女「変な僕ちゃん。はい……これ」
成績表を受け取り、ページを手早くめくってみる。
僕「……」
僕「全部、よくできましたに印が……」
女「だから面白くないって言ったのに~」
まだ、満面の笑みで僕の成績表を見つめている。
僕(……そっちのこそ面白くないだろうに)
……しかし、このまま帰るのも何だか癪に触る。
僕「ねえ、僕のを見せたんだから交換で見せてよ」
女「え、見ても面白くないよ?」
僕「いやあ、今を楽しみたいもので」
女「変な僕ちゃん。はい……これ」
成績表を受け取り、ページを手早くめくってみる。
僕「……」
僕「全部、よくできましたに印が……」
女「だから面白くないって言ったのに~」
まだ、満面の笑みで僕の成績表を見つめている。
僕(……そっちのこそ面白くないだろうに)
女「はい、ありがとう」
パッと成績表が手元に戻ってくる。
僕「満足した?」
女「丁寧に書きましょう、だけですっかり満足~」
僕「ああ、喜んでくれてるなら良かったよ」
いつもは本心からこの言葉を言っているが、今日この時だけは嫌味で言ってやった。
女「うん。また冬休み前に見せてね?」
僕「……」
彼女のその言葉には嫌味が無いのがわかる。
僕「覚えていたらね」
女「私が覚えているから大丈夫だよ」
だからこそ、僕たちはまた冬休みの前に同じように成績表を見せあって笑うんだろう。
何となく、わかる気がする。
パッと成績表が手元に戻ってくる。
僕「満足した?」
女「丁寧に書きましょう、だけですっかり満足~」
僕「ああ、喜んでくれてるなら良かったよ」
いつもは本心からこの言葉を言っているが、今日この時だけは嫌味で言ってやった。
女「うん。また冬休み前に見せてね?」
僕「……」
彼女のその言葉には嫌味が無いのがわかる。
僕「覚えていたらね」
女「私が覚えているから大丈夫だよ」
だからこそ、僕たちはまた冬休みの前に同じように成績表を見せあって笑うんだろう。
何となく、わかる気がする。
女「ね、夏休みはどうするの?」
彼女は荷物をまとめながら僕に聞いてくる。
僕「んー?」
女「遊びにいったりしないの?」
僕(一年生の時はどうだっただろう……?)
この辺りはただでさえ遊ぶ場所なんて無かった。
裏山、神社、駄菓子屋……小さな体で遊びにいけるのはこの辺りだけだ。
僕「あまり計画的に遊ぶ事はしないよ」
女「そんなものだっけ?」
僕「学校でラジオ体操があったから、その後に約束とかはしたかも」
女「ラジオ体操があるんだ!」
彼女の目がちょっと輝いた。
彼女は荷物をまとめながら僕に聞いてくる。
僕「んー?」
女「遊びにいったりしないの?」
僕(一年生の時はどうだっただろう……?)
この辺りはただでさえ遊ぶ場所なんて無かった。
裏山、神社、駄菓子屋……小さな体で遊びにいけるのはこの辺りだけだ。
僕「あまり計画的に遊ぶ事はしないよ」
女「そんなものだっけ?」
僕「学校でラジオ体操があったから、その後に約束とかはしたかも」
女「ラジオ体操があるんだ!」
彼女の目がちょっと輝いた。
僕「嬉しいの?」
女「夏休みだなあ、って感じがして好き」
彼女は雰囲気を大切に感じているらしい。
それは僕もわかるけれど。
僕「来る?」
女「どこでやるの?」
僕「学校の校庭だよ。役員の人がカードにシールを張ってくれて……」
女「うん、うん!」
やはり出席する気満々みたい。
僕(僕は眠っていたいからパスだけど……ね)
女「夏休みだなあ、って感じがして好き」
彼女は雰囲気を大切に感じているらしい。
それは僕もわかるけれど。
僕「来る?」
女「どこでやるの?」
僕「学校の校庭だよ。役員の人がカードにシールを張ってくれて……」
女「うん、うん!」
やはり出席する気満々みたい。
僕(僕は眠っていたいからパスだけど……ね)
女「ところでさ、僕ちゃん持って帰る荷物無いの?」
夏休みに入ると、絵の具や道具箱、ロッカーや机の中の物を全部持ち帰らなければいけない。
女「あ、もう全部持って帰ったとか?」
僕「何も持って帰ってないよ」
女「何でよ?」
僕「どうせ二学期も持ってくるんだから……ねえ?」
女「……ハァ」
また溜め息か。
女「もしかして教科書とかも?」
僕「置きっぱなしー」
女「そんな小学一年生は滅多にいないわよ……まったく」
夏休みに入ると、絵の具や道具箱、ロッカーや机の中の物を全部持ち帰らなければいけない。
女「あ、もう全部持って帰ったとか?」
僕「何も持って帰ってないよ」
女「何でよ?」
僕「どうせ二学期も持ってくるんだから……ねえ?」
女「……ハァ」
また溜め息か。
女「もしかして教科書とかも?」
僕「置きっぱなしー」
女「そんな小学一年生は滅多にいないわよ……まったく」
女「ね、お絵かきの宿題どうするの?」
僕「えっ?」
そんな宿題、出てたっけ?
女「出てたよ。ねえ? 眼鏡ちゃん」
いつの間にか僕の後ろには眼鏡の彼女が立っていた。
眼鏡「う、うん。絵の具いるよ、僕くん」
僕「じゃあ絵の具だけ……。ねえ眼鏡ちゃん、いつからいたの?」
眼鏡「女ちゃんを、まってたから。さっき」
女「声をかけてくれていいのにー」
眼鏡「で、でも……」
彼女はまた、しどろもどろ。
眼鏡「なんだか、二人の話してる事がむずかしくて……」
僕「えっ?」
そんな宿題、出てたっけ?
女「出てたよ。ねえ? 眼鏡ちゃん」
いつの間にか僕の後ろには眼鏡の彼女が立っていた。
眼鏡「う、うん。絵の具いるよ、僕くん」
僕「じゃあ絵の具だけ……。ねえ眼鏡ちゃん、いつからいたの?」
眼鏡「女ちゃんを、まってたから。さっき」
女「声をかけてくれていいのにー」
眼鏡「で、でも……」
彼女はまた、しどろもどろ。
眼鏡「なんだか、二人の話してる事がむずかしくて……」
女「難しいってどういう事?」
眼鏡「たまに……わからない言葉とか、わからないお話とか……」
僕「まあ、そりゃあねえ?」
女「しっ!」
僕「……」
夏休みで僕も浮かれているのか、小学生という事に慣れてきたからなのか。
僕(何となく、自分の性格で適当な部分が出てきた気がする……)
僕「気を付けます」
女「……バカ」
僕(気を付けますってば)
女「それで?」
眼鏡「あ……うん。だからあまりお話に入れなくて……」
眼鏡「たまに……わからない言葉とか、わからないお話とか……」
僕「まあ、そりゃあねえ?」
女「しっ!」
僕「……」
夏休みで僕も浮かれているのか、小学生という事に慣れてきたからなのか。
僕(何となく、自分の性格で適当な部分が出てきた気がする……)
僕「気を付けます」
女「……バカ」
僕(気を付けますってば)
女「それで?」
眼鏡「あ……うん。だからあまりお話に入れなくて……」
女「気にしないで大丈夫だよ眼鏡ちゃん。適当にお話しながら帰ろ?」
眼鏡「う、うん!」
女「じゃあ早く帰ろ。私お腹すいちゃった」
眼鏡「あたしも!」
女「今日のお昼はなーに?」
眼鏡「カレーだよ!」
先ほどの様子とは違って、自然体の眼鏡ちゃん。
僕(浮き沈みの激しい子?)
一年生の時なんてそんなものかな?
自分の性格を思い返してみたけど、やっぱり思い出せなかった。
眼鏡「う、うん!」
女「じゃあ早く帰ろ。私お腹すいちゃった」
眼鏡「あたしも!」
女「今日のお昼はなーに?」
眼鏡「カレーだよ!」
先ほどの様子とは違って、自然体の眼鏡ちゃん。
僕(浮き沈みの激しい子?)
一年生の時なんてそんなものかな?
自分の性格を思い返してみたけど、やっぱり思い出せなかった。
僕(性格的な部分を馬鹿にする気は無いし……ね)
隣「僕ー。帰ろうぜー!」
僕「あ、隣君?」
隣「そ、そんな女子とばっか話していると女子になっちまうぞ!」
彼も夏休み前だからかな。
何だか僕に、元気に絡んできている。
隣「ほら! 行こうよー!」
僕「……」
女「あ、帰る? じゃあ眼鏡ちゃん、帰ろう?」
眼鏡「う、うん」
こちらの様子を察してか、彼女たちもお喋りをやめてこちらに注目をしてくれる。
隣「じ、女子と帰るなんてやだよー!」
隣「僕ー。帰ろうぜー!」
僕「あ、隣君?」
隣「そ、そんな女子とばっか話していると女子になっちまうぞ!」
彼も夏休み前だからかな。
何だか僕に、元気に絡んできている。
隣「ほら! 行こうよー!」
僕「……」
女「あ、帰る? じゃあ眼鏡ちゃん、帰ろう?」
眼鏡「う、うん」
こちらの様子を察してか、彼女たちもお喋りをやめてこちらに注目をしてくれる。
隣「じ、女子と帰るなんてやだよー!」
女「そんな事言わずにさ、みんなで帰ろう? もうお腹すいたよ~」
隣「お、女ちゃんが言うなら……」
僕「ん?」
彼の目線がこっちに向いてくる。
女「……帰ろう?」
笑いながら、彼女は歩いて行ってしまう。
後ろから、追いかけるように眼鏡ちゃんが女に付いていく。
隣「ま、待ってよ」
更に後ろから、男の子が一人。
僕「彼女と昔の友達が絡んでいる姿が……何だか」
それが少し寂しいような気がした。
夏休みは始まったばかりなのに。
隣「お、女ちゃんが言うなら……」
僕「ん?」
彼の目線がこっちに向いてくる。
女「……帰ろう?」
笑いながら、彼女は歩いて行ってしまう。
後ろから、追いかけるように眼鏡ちゃんが女に付いていく。
隣「ま、待ってよ」
更に後ろから、男の子が一人。
僕「彼女と昔の友達が絡んでいる姿が……何だか」
それが少し寂しいような気がした。
夏休みは始まったばかりなのに。
……
夏休み。
普段の生活の中でも、あまり深く考えずに過ごしていた毎日。
学校がなくなってしまえばもっと、自分の時間ができてしまう。
僕(明日から何しようかな……)
布団の中で、ボーッとそんな事を考えていた。
僕(おやすみ……)
夏休み。
普段の生活の中でも、あまり深く考えずに過ごしていた毎日。
学校がなくなってしまえばもっと、自分の時間ができてしまう。
僕(明日から何しようかな……)
布団の中で、ボーッとそんな事を考えていた。
僕(おやすみ……)
ジリリリリン
ジリリリリン
母「もしもし。あ……ちゃ……ん。いるわよ」
遠くから、黒電話と母の声が聞こえてくる。
意識がはっきりとしない。また夢かな?
母「僕ー。女ちゃんから電話」
居間と寝室を繋ぐ扉が開けられる。
僕「ん……」
僕「電話持ってきて……」
眠いと自然とものぐさになってしまう。
母「寝惚けないの。家の電話は動かないわよ」
僕「……」
ジリリリリン
母「もしもし。あ……ちゃ……ん。いるわよ」
遠くから、黒電話と母の声が聞こえてくる。
意識がはっきりとしない。また夢かな?
母「僕ー。女ちゃんから電話」
居間と寝室を繋ぐ扉が開けられる。
僕「ん……」
僕「電話持ってきて……」
眠いと自然とものぐさになってしまう。
母「寝惚けないの。家の電話は動かないわよ」
僕「……」
僕「もしもし……」
女「おはよ。もう十一時だよ? 寝過ぎじゃない?」
僕「休みの日はお昼過ぎまで寝るのが普通だよ」
あくびと一緒にそんな言葉が当たり前に出てくる。
女「寝過ぎ……ラジオ体操来なかったのも寝坊のせい?」
僕「あまり出る気が無くて……」
女「時間を使わないのは勿体ないよー。」
……
言われてみれば、それは確かに。
何がきっかけで元の時間に戻るかもわからない。
そうなった時に自分は後悔……しないんだろうか?
女「おはよ。もう十一時だよ? 寝過ぎじゃない?」
僕「休みの日はお昼過ぎまで寝るのが普通だよ」
あくびと一緒にそんな言葉が当たり前に出てくる。
女「寝過ぎ……ラジオ体操来なかったのも寝坊のせい?」
僕「あまり出る気が無くて……」
女「時間を使わないのは勿体ないよー。」
……
言われてみれば、それは確かに。
何がきっかけで元の時間に戻るかもわからない。
そうなった時に自分は後悔……しないんだろうか?
よし、決めた。
僕「ねえ」
女「ん?」
僕「八月の最初の日曜日、暇?」
女「多分大丈夫だと思うよ」
僕「近くで花火大会があるんだよ。一緒に行かない?」
思いきって彼女を誘ってみる。
女「花火、八月なんだ」
僕「一緒に行こう?」
女「あ、でも……」
僕「?」
女「眼鏡ちゃんと隣君は……どうするの?」
僕「どうするって、何が?」
僕「ねえ」
女「ん?」
僕「八月の最初の日曜日、暇?」
女「多分大丈夫だと思うよ」
僕「近くで花火大会があるんだよ。一緒に行かない?」
思いきって彼女を誘ってみる。
女「花火、八月なんだ」
僕「一緒に行こう?」
女「あ、でも……」
僕「?」
女「眼鏡ちゃんと隣君は……どうするの?」
僕「どうするって、何が?」
女「お友達なんだもの。誘ってあげないの?」
彼女とデート、という事だったら間違いなく誘わないけれど……。
僕「一年生だから出歩けるかわからないけどね。。でも誘って来られるようなら……」
女「うん! せっかくの夏休みなんだもん。一緒に遊ばないとね」
そこは僕も彼女も慣れてしまった仲のようだ。
女「……考えたら、私たち一年生なんだもんね。夜に出歩けないのは当たり前だよね」
僕(そう言えば僕も許可をとらないと)
僕「あれ、女は大丈夫なの?」
彼女とデート、という事だったら間違いなく誘わないけれど……。
僕「一年生だから出歩けるかわからないけどね。。でも誘って来られるようなら……」
女「うん! せっかくの夏休みなんだもん。一緒に遊ばないとね」
そこは僕も彼女も慣れてしまった仲のようだ。
女「……考えたら、私たち一年生なんだもんね。夜に出歩けないのは当たり前だよね」
僕(そう言えば僕も許可をとらないと)
僕「あれ、女は大丈夫なの?」
女「私はほら……お母さんが……ね」
僕「……ああ。ごめん」
女「ううん、大丈夫だよ」
……
少しだけ変な空気になってしまう。
それでも彼女は、受話器の向こうから元気に話しかけてくれる。
女「じゃあっ、お祭り楽しみにしているよ!」
僕「うん……。また連絡するよ」
女「またね、僕ちゃん」
僕「ん、またね」
リンッ、と黒電話の金属が響く音がした。
僕「花火大会……ね」
僕「……ああ。ごめん」
女「ううん、大丈夫だよ」
……
少しだけ変な空気になってしまう。
それでも彼女は、受話器の向こうから元気に話しかけてくれる。
女「じゃあっ、お祭り楽しみにしているよ!」
僕「うん……。また連絡するよ」
女「またね、僕ちゃん」
僕「ん、またね」
リンッ、と黒電話の金属が響く音がした。
僕「花火大会……ね」
僕「いってきま~す」
真夏の太陽が眩しい八月。
僕は元気に学校へ向かっていた。
今日は夏祭りの前日であり、登校日でもある。
僕「今日が終わったら、明日は女と……」
この日のためにお小遣いをコツコツ貯め、なるべく無駄遣いも抑えて来たつもりだ。
僕「何買ってあげようかな。またクレープとか……」
ワクワクする。
遠足の前日みたいな楽しみが僕の胸にある。
真夏の太陽が眩しい八月。
僕は元気に学校へ向かっていた。
今日は夏祭りの前日であり、登校日でもある。
僕「今日が終わったら、明日は女と……」
この日のためにお小遣いをコツコツ貯め、なるべく無駄遣いも抑えて来たつもりだ。
僕「何買ってあげようかな。またクレープとか……」
ワクワクする。
遠足の前日みたいな楽しみが僕の胸にある。
先生「えー、明日は花火大会があります。お父さんやお母さんと一緒に出かける人もいると思います」
僕(まあ、普通はそうだよね)
先生「夜で、人もいっぱいいる場所だから……気をつけて下さいね」
は~い、とクラス全体が返事をする。
先生「じゃあ、さよなら。夏休みを楽しんでね」
僕「……帰ろ」
ガタッと席を立ち、彼女の元へ向かう。
女「や、僕ちゃん」
彼女も同じ事を考えていたようだ。
僕(まあ、普通はそうだよね)
先生「夜で、人もいっぱいいる場所だから……気をつけて下さいね」
は~い、とクラス全体が返事をする。
先生「じゃあ、さよなら。夏休みを楽しんでね」
僕「……帰ろ」
ガタッと席を立ち、彼女の元へ向かう。
女「や、僕ちゃん」
彼女も同じ事を考えていたようだ。
僕「どうかした?」
女「明日のお祭り大丈夫そう?」
僕「うん。ほら、僕いい子だから」
女「そうだね~、僕ちゃんお子ちゃまでいい子だもんね~」
突っ込むというより、それに便乗して僕を口撃してくる彼女。
大学からずっと変わっていない。
僕「今は女だってお子ちゃまだろ?」
女「私の方がお姉ちゃんだもん。一歳年が上がっちゃったんだから、ね?」
僕「同い年でペッタンコのくせに……」
女「ペ……ペッタンコなのは仕方ないでしょ! い、一年生なんだから……から……」
女「明日のお祭り大丈夫そう?」
僕「うん。ほら、僕いい子だから」
女「そうだね~、僕ちゃんお子ちゃまでいい子だもんね~」
突っ込むというより、それに便乗して僕を口撃してくる彼女。
大学からずっと変わっていない。
僕「今は女だってお子ちゃまだろ?」
女「私の方がお姉ちゃんだもん。一歳年が上がっちゃったんだから、ね?」
僕「同い年でペッタンコのくせに……」
女「ペ……ペッタンコなのは仕方ないでしょ! い、一年生なんだから……から……」
僕(お、からかうと面白そう)
女「そ、そうよ。これからきっと……ね! うん!」
僕「へえ、これからって何年後?」
女「た、多分……昔と同じなら六……って、何よ! 変な事聞くなバカ!」
僕(今まで、胸の小ささをバカにした事は大学でもあったけれど……)
僕(未来の彼女を知っているだけに、今の女をこうしてからかえるなんて……楽しすぎる)
女「そ、そうよ。これからきっと……ね! うん!」
僕「へえ、これからって何年後?」
女「た、多分……昔と同じなら六……って、何よ! 変な事聞くなバカ!」
僕(今まで、胸の小ささをバカにした事は大学でもあったけれど……)
僕(未来の彼女を知っているだけに、今の女をこうしてからかえるなんて……楽しすぎる)
女「だ、だから……私は、その……」
慌てる彼女を見て、僕も自然と顔がニヤついてしまう。
普段とは違う彼女の反応が……たまらなく愛しい。
僕「まあまあ、一緒に帰ろうよ女ちゃん」
女「知らない、バカ! 私帰る!」
急ぎ足で彼女は教室を出ていってしまう。
僕(あの反応は……ちょっと怒ってるかも……)
近くでずっと彼女を見ていたから、僕にはそれがよくわかる。
僕(でも、可愛かったなあ。ああいう彼女も……)
僕はボーッと教室で彼女の事を考えていた。
今思えば……すぐにここで彼女を追いかけてさ……。
急いで謝れば、僕は明日のお祭りに一緒に行けたのかもしれないのに。
慌てる彼女を見て、僕も自然と顔がニヤついてしまう。
普段とは違う彼女の反応が……たまらなく愛しい。
僕「まあまあ、一緒に帰ろうよ女ちゃん」
女「知らない、バカ! 私帰る!」
急ぎ足で彼女は教室を出ていってしまう。
僕(あの反応は……ちょっと怒ってるかも……)
近くでずっと彼女を見ていたから、僕にはそれがよくわかる。
僕(でも、可愛かったなあ。ああいう彼女も……)
僕はボーッと教室で彼女の事を考えていた。
今思えば……すぐにここで彼女を追いかけてさ……。
急いで謝れば、僕は明日のお祭りに一緒に行けたのかもしれないのに。
ダダダダダッ!
背中から迫る足音に、僕は気付かなかった。
多分教室から出ていった彼女の事を考えていて……。
彼女のいない教室になんて興味が無かったからだと思う。
ドンッ!
足音の勢いはそのまま、すぐに左肩に衝撃となって伝わってくる。
体の何処にも力を入れていなかった僕は、情けないくらいにあっけなく……
体重の全てが地面に引かれるように、落ちていく。
倒れ込んだ先には……机とイスから伸びている、鉄パイプのような物体があっただけだった。
背中から迫る足音に、僕は気付かなかった。
多分教室から出ていった彼女の事を考えていて……。
彼女のいない教室になんて興味が無かったからだと思う。
ドンッ!
足音の勢いはそのまま、すぐに左肩に衝撃となって伝わってくる。
体の何処にも力を入れていなかった僕は、情けないくらいにあっけなく……
体重の全てが地面に引かれるように、落ちていく。
倒れ込んだ先には……机とイスから伸びている、鉄パイプのような物体があっただけだった。
その次の瞬間に、僕は何に刺さったのか、よく見えていなかった。
すぐに僕の目には、真っ赤な液体が大量に流れ込んで来て……。
僕(……痛い?)
僕「い……痛いっ……! いた……痛いよ……」
足に力が入らない。
倒れたまま、僕は目元を手で覆っている。
ドクドクと温かい液体が手のひらの中に流れてくる。
「……! ……!」
教室に残っていた何人かが、僕の周りを囲んでいるようだ。
何を話しているかは聞こえない……慌てているような、叫んでいるようなそんな声しか。
すぐに僕の目には、真っ赤な液体が大量に流れ込んで来て……。
僕(……痛い?)
僕「い……痛いっ……! いた……痛いよ……」
足に力が入らない。
倒れたまま、僕は目元を手で覆っている。
ドクドクと温かい液体が手のひらの中に流れてくる。
「……! ……!」
教室に残っていた何人かが、僕の周りを囲んでいるようだ。
何を話しているかは聞こえない……慌てているような、叫んでいるようなそんな声しか。
「うわ、血……」
「痛そう……」
「生きてる……? まさか死んでる……?」
ネガティブな言葉がどんどん頭に入ってくる。
体の力がドンドン抜けていく……。
「先生は?」
「さっき……うん……」
痛みだけが目に植え続けられている。
僕(痛い……)
それだけしか考えられない。
「痛そう……」
「生きてる……? まさか死んでる……?」
ネガティブな言葉がどんどん頭に入ってくる。
体の力がドンドン抜けていく……。
「先生は?」
「さっき……うん……」
痛みだけが目に植え続けられている。
僕(痛い……)
それだけしか考えられない。
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