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元スレ僕「小学校で」女「つかまえて」
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>>649
三日前なら。なぜ?
女「で、でも悪いですよ……」
母「来たら起こしてあげるから、ね?」
僕「僕は寝る……」
一人でさっさと隣室への仕切り襖を開ける。
妹「んー」
妹もあひるの子。
母「ほら、女ちゃんも」
女「は、はい……」
……。
三日前なら。なぜ?
女「で、でも悪いですよ……」
母「来たら起こしてあげるから、ね?」
僕「僕は寝る……」
一人でさっさと隣室への仕切り襖を開ける。
妹「んー」
妹もあひるの子。
母「ほら、女ちゃんも」
女「は、はい……」
……。
暖房熱からは遮断された空間……。
子供が三人、体を小さくし、布団にくるまって眠っている。
僕、妹、女……眠っている瞬間は僕たちは無邪気なんだと思う。
何も考えず、腕を伸ばした先に彼女の手があったから。
僕は暖かさが残る彼女をギュッと握りしめた。
彼女は……もう寝ているのかわからない。
……。
ギュッ。
すぐに彼女も、僕の手を確かに握り返してくれる。
意識は眠っていて、無意識に握っているだけなのかもしれないけれど……。
僕は暗闇の中でその暖かさだけを感じていた。
石油と赤外線が生み出す熱も、それは全然……。
僕(ぬくもりだ……)
子供が三人、体を小さくし、布団にくるまって眠っている。
僕、妹、女……眠っている瞬間は僕たちは無邪気なんだと思う。
何も考えず、腕を伸ばした先に彼女の手があったから。
僕は暖かさが残る彼女をギュッと握りしめた。
彼女は……もう寝ているのかわからない。
……。
ギュッ。
すぐに彼女も、僕の手を確かに握り返してくれる。
意識は眠っていて、無意識に握っているだけなのかもしれないけれど……。
僕は暗闇の中でその暖かさだけを感じていた。
石油と赤外線が生み出す熱も、それは全然……。
僕(ぬくもりだ……)
僕「……ん」
一時間くらい寝ていたのかな。
僕(女は、帰った?)
女「……」
ギュッ。
僕(よかった……まだいるみたいだ)
僕(……よし)
あらかじめ寝室に置いてあった、僕プレゼントに手を伸ばす。
まっ暗闇でも、目が慣れている。
目的の袋はすぐに手中に。
僕(さて、これを……枕元に?)
僕(いやいや、彼女の家ならともかく僕たち家族の布団に置いても……ね?)
彼女が起きるまで待つしかないのか?
しばらく袋を握りしめたまま、僕は考えていた。
一時間くらい寝ていたのかな。
僕(女は、帰った?)
女「……」
ギュッ。
僕(よかった……まだいるみたいだ)
僕(……よし)
あらかじめ寝室に置いてあった、僕プレゼントに手を伸ばす。
まっ暗闇でも、目が慣れている。
目的の袋はすぐに手中に。
僕(さて、これを……枕元に?)
僕(いやいや、彼女の家ならともかく僕たち家族の布団に置いても……ね?)
彼女が起きるまで待つしかないのか?
しばらく袋を握りしめたまま、僕は考えていた。
気持ち良さそうな寝息が二つ、暗闇の中に響いている。
僕(んー……)
女「くー……」
ボウッとだけ見える彼女はうつ伏せに眠っている。
長く、背中辺りで髪が広がっている。
彼女を優しく、視線でなぞる……。
顔の辺りの髪はまるでベールのように、彼女の顔を覆い隠している。
それを見て思わず僕は……。
僕(綺麗だな……)
そっと、顔から覗いて見えている肌色の部分に触れてみる。
フニッ。
女「ん……」
髪をかき上げ耳に引っ掻けてみると、小さな光に映える頬が全部露になる。
僕「……」
ゴクッ。
僕(んー……)
女「くー……」
ボウッとだけ見える彼女はうつ伏せに眠っている。
長く、背中辺りで髪が広がっている。
彼女を優しく、視線でなぞる……。
顔の辺りの髪はまるでベールのように、彼女の顔を覆い隠している。
それを見て思わず僕は……。
僕(綺麗だな……)
そっと、顔から覗いて見えている肌色の部分に触れてみる。
フニッ。
女「ん……」
髪をかき上げ耳に引っ掻けてみると、小さな光に映える頬が全部露になる。
僕「……」
ゴクッ。
安心しきって眠っている彼女の横顔。
僕(む、無防備すぎる……)
女「んー……」
僕(お……)
僕(これは、チャンスかもしれない)
眠る彼女の姿を見て僕は閃いた。
今なら彼女に何をしても気付かれないだろうか。
驚かすには持ってこい、だ。
僕(えっと……)
ガサゴソ。
僕(これをこうして……こら、動くな女)
女「くー……」
僕(む、無防備すぎる……)
女「んー……」
僕(お……)
僕(これは、チャンスかもしれない)
眠る彼女の姿を見て僕は閃いた。
今なら彼女に何をしても気付かれないだろうか。
驚かすには持ってこい、だ。
僕(えっと……)
ガサゴソ。
僕(これをこうして……こら、動くな女)
女「くー……」
僕(こっちに引っ張って? あれ、間違ってるかな……?)
女「んん……」
僕(……暗くてよく見えないや)
女「んっ……」
暗闇の中で僕の作業は続く。
僕(ここをこうして……むー……)
僕(女の耳……可愛いな)
ツイッ。
女「んんっ……」
僕(……違う違う違う)
女「んん……」
僕(……暗くてよく見えないや)
女「んっ……」
暗闇の中で僕の作業は続く。
僕(ここをこうして……むー……)
僕(女の耳……可愛いな)
ツイッ。
女「んんっ……」
僕(……違う違う違う)
僕(あとは、ここをしっかりと……)
女「……」
僕(……よし)
暗闇の中の作業が終了する。
僕(これで大丈夫だよね?)
女「んん……」
コロン、と彼女の寝相が仰向けに変わる。
先ほどまで顔を覆っていた髪も今はただ静かに、彼女の横で眠っている。
女「……」
目、唇、頬、首筋……彼女の全てを僕は見つめている。
僕「……」
いつかの日、怪我で寝ていた僕を見守っていてくれていた彼女の姿を思い出す。
僕(ゼラチンだけれども……彼女は僕にキスをしていた)
女「……」
今度は僕が……ちょっとだけ彼女にイタズラをする。
女「……」
僕(……よし)
暗闇の中の作業が終了する。
僕(これで大丈夫だよね?)
女「んん……」
コロン、と彼女の寝相が仰向けに変わる。
先ほどまで顔を覆っていた髪も今はただ静かに、彼女の横で眠っている。
女「……」
目、唇、頬、首筋……彼女の全てを僕は見つめている。
僕「……」
いつかの日、怪我で寝ていた僕を見守っていてくれていた彼女の姿を思い出す。
僕(ゼラチンだけれども……彼女は僕にキスをしていた)
女「……」
今度は僕が……ちょっとだけ彼女にイタズラをする。
チュッ。
彼女の頬っぺに、優しい口づけ。
そのまま僕は。
強く、唇で頬に吸い付いて……。
チゥゥー。
女「んっ……」
僕(付いたかな?)
暗くてよくは見えないけれど、彼女の頬には今日の印が付いたはずだ。
僕(クリスマスだから、これくらいのイタズラいいよね?)
僕(……可愛く寝ている彼女が悪いんだ)
彼女の頬っぺに、優しい口づけ。
そのまま僕は。
強く、唇で頬に吸い付いて……。
チゥゥー。
女「んっ……」
僕(付いたかな?)
暗くてよくは見えないけれど、彼女の頬には今日の印が付いたはずだ。
僕(クリスマスだから、これくらいのイタズラいいよね?)
僕(……可愛く寝ている彼女が悪いんだ)
仕返しができて、僕は一人で悦に浸っていた。
妹「くーっ……」
女「……」
暗闇の中には相変わらず、妹と彼女の小さな寝息が……。
女「……」
女「ねえ?」
僕「!」
女「もしかして私にキスマーク……つけた?」
妹「くーっ……」
女「……」
暗闇の中には相変わらず、妹と彼女の小さな寝息が……。
女「……」
女「ねえ?」
僕「!」
女「もしかして私にキスマーク……つけた?」
暗い、本当にまっ暗な闇。
今は妹の寝息と……僕の心臓の音だけが響いている。
女「ね、聞いてる?」
僕「お……起きてた?」
声が震え、額から汗が吹き出す。
返事をするだけで僕の心臓はパンクしそうになっている。
女「聞いてるのは私。何をしていたの?」
僕(さっきはキスマークって自分で言ったのに……)
彼女の沈んだ声が、部屋を一層暗くしている。
僕「ほ……頬っぺたを吸っていただけだよ」
女「ふーん。その前は?」
僕「え? べ、別に変な事なんてしてないよ!」
今は妹の寝息と……僕の心臓の音だけが響いている。
女「ね、聞いてる?」
僕「お……起きてた?」
声が震え、額から汗が吹き出す。
返事をするだけで僕の心臓はパンクしそうになっている。
女「聞いてるのは私。何をしていたの?」
僕(さっきはキスマークって自分で言ったのに……)
彼女の沈んだ声が、部屋を一層暗くしている。
僕「ほ……頬っぺたを吸っていただけだよ」
女「ふーん。その前は?」
僕「え? べ、別に変な事なんてしてないよ!」
女「髪の毛触ったり、耳をいやらしく触ったり……色々してたんじゃないの?」
ドッキ……!
僕(こいつは……)
おそるおそる、僕の口は彼女に答えを求めていた。
僕「もしかして、ずっと見てた……?」
見てた、という表現は変かもしれない。
女「うん。起きてたよ」
僕(やっぱり)
僕「どの辺りから?」
女「んー、髪の毛をわしわしってされた時くらいから」
僕(ほぼ最初からじゃないか……)
ドッキ……!
僕(こいつは……)
おそるおそる、僕の口は彼女に答えを求めていた。
僕「もしかして、ずっと見てた……?」
見てた、という表現は変かもしれない。
女「うん。起きてたよ」
僕(やっぱり)
僕「どの辺りから?」
女「んー、髪の毛をわしわしってされた時くらいから」
僕(ほぼ最初からじゃないか……)
僕「あ、あのさ……」
女「よいしょ……」
僕が何かを言う前に、体を起こした彼女は、座りながら僕と向かい合う形になる。
女「さて、僕ちゃんは私の髪の毛に何をしてたのかな~?」
彼女の両手が後ろ髪を撫でている。
女「ん、あれ? これ……リボン?」
僕「う、うん」
女「これを結んでたんだね。でも、何この結び方?」
僕「……ール」
女「ん?」
僕「ポニーテール」
女「……」
女「よいしょ……」
僕が何かを言う前に、体を起こした彼女は、座りながら僕と向かい合う形になる。
女「さて、僕ちゃんは私の髪の毛に何をしてたのかな~?」
彼女の両手が後ろ髪を撫でている。
女「ん、あれ? これ……リボン?」
僕「う、うん」
女「これを結んでたんだね。でも、何この結び方?」
僕「……ール」
女「ん?」
僕「ポニーテール」
女「……」
僕「最初は、プレゼントでリボンをあげるだけだったんだ。でも寝ている女の髪の毛を見ていたら……」
女「ムラムラしちゃった?」
僕「へ、変な風に言わないでよ。結びたくなっただけ」
女「へえ。僕ちゃんポニーテールが好きなんだ?」
僕「普段ずっと髪型ロングのままだからさ。ちょっと、もったいないって思って……ごめん」
女「……」
僕は小さく頭を下げる。
何に謝っていたのかはわからないけれど、僕はただ布団と彼女の足下だけを見つめている。
女「ふぅ……」
女「あのね、これじゃあポニーテールじゃなくてただの一本縛りだよ?」
僕「えっ?」
女「ムラムラしちゃった?」
僕「へ、変な風に言わないでよ。結びたくなっただけ」
女「へえ。僕ちゃんポニーテールが好きなんだ?」
僕「普段ずっと髪型ロングのままだからさ。ちょっと、もったいないって思って……ごめん」
女「……」
僕は小さく頭を下げる。
何に謝っていたのかはわからないけれど、僕はただ布団と彼女の足下だけを見つめている。
女「ふぅ……」
女「あのね、これじゃあポニーテールじゃなくてただの一本縛りだよ?」
僕「えっ?」
女「後ろ縛りっていうか……ほら、首の後ろが全然出てないでしょ?」
背中を僕に向けた彼女の首は、長く垂れた髪の毛に隠されている。
女「ポニーテールの場合は……あ、これ外しちゃっても平気?」
僕「う、うん」
シュルリと布が髪を撫でる。
布の長さを感じる事ができる音が心地よい。
女「首をちょっと仰け反らせて、こうして髪を集めるの」
僕「さっきより……まとまってる気がする」
女「髪って結構強く引っ張らないとダメだからさ。僕ちゃん、さっきのだと弱すぎ」
僕(女の子の髪の毛事情も、難しい……)
彼女は慣れた手付きで髪の毛を束ねていく。
薄暗さの中でも、僕はそんな彼女の後ろ姿に見とれてしまう。
背中を僕に向けた彼女の首は、長く垂れた髪の毛に隠されている。
女「ポニーテールの場合は……あ、これ外しちゃっても平気?」
僕「う、うん」
シュルリと布が髪を撫でる。
布の長さを感じる事ができる音が心地よい。
女「首をちょっと仰け反らせて、こうして髪を集めるの」
僕「さっきより……まとまってる気がする」
女「髪って結構強く引っ張らないとダメだからさ。僕ちゃん、さっきのだと弱すぎ」
僕(女の子の髪の毛事情も、難しい……)
彼女は慣れた手付きで髪の毛を束ねていく。
薄暗さの中でも、僕はそんな彼女の後ろ姿に見とれてしまう。
女「リボンだとちゃんとキツくして……はい、できたよ」
僕「うん……」
寝癖のためか、少しだけくせっ毛になっている彼女のポニー。
それでも、僕が結んだ形より美しいのは当たり前か。
女「……このリボンを、私に?」
背中を向けたまま、彼女は僕に話しかけてくる。
僕「……サンタさんにはなれなかったけど」
女「私、何にもプレゼント用意してないよ?」
僕「……」
彼女の後ろ姿と、揺れている黒髪。
華奢な背中と細い首筋、チョコンと座る可愛さ……。
とにかく僕は彼女の全てに負けてしまって……。
僕「女っ……」
女「あ……」
瞬間、彼女を後ろから抱きしめていた。
僕「うん……」
寝癖のためか、少しだけくせっ毛になっている彼女のポニー。
それでも、僕が結んだ形より美しいのは当たり前か。
女「……このリボンを、私に?」
背中を向けたまま、彼女は僕に話しかけてくる。
僕「……サンタさんにはなれなかったけど」
女「私、何にもプレゼント用意してないよ?」
僕「……」
彼女の後ろ姿と、揺れている黒髪。
華奢な背中と細い首筋、チョコンと座る可愛さ……。
とにかく僕は彼女の全てに負けてしまって……。
僕「女っ……」
女「あ……」
瞬間、彼女を後ろから抱きしめていた。
彼女は、拒否をしない。
そのまま体をくっつけて。
彼女の体温を感じている。
女「……」
僕「こ、これがお返しじゃあダメかな?」
女「くすっ……こんなのでいいの?」
僕「こんなのなんかじゃないよ。僕にとってはすごく嬉しい」
女「んっ……」
キュッ。
僕の腕を、彼女の両手が優しく包む。
抱きしめて、握りしめて。
部屋の空気の冷たさと……寒さの中で見つける事ができる暖かさを、僕たちは感じていた。
女「あったかいね……」
そのまま体をくっつけて。
彼女の体温を感じている。
女「……」
僕「こ、これがお返しじゃあダメかな?」
女「くすっ……こんなのでいいの?」
僕「こんなのなんかじゃないよ。僕にとってはすごく嬉しい」
女「んっ……」
キュッ。
僕の腕を、彼女の両手が優しく包む。
抱きしめて、握りしめて。
部屋の空気の冷たさと……寒さの中で見つける事ができる暖かさを、僕たちは感じていた。
女「あったかいね……」
僕「ねえ、女」
女「ん……?」
僕「首にもマーク、つけていい?」
女「目立ったら嫌だよぉ……」
彼女の声がなんだか甘い。
僕「だ、大丈夫だよ後ろにつけるから。リボンをほどけば隠れるよ?」
女「くすくす。僕ちゃんからのプレゼント、外しちゃっていいのかな?」
僕「う……」
僕は何かと彼女に遊ばれてしまう。
それはクリスマスも変わらない。
多分、これからもずっと。
女「ん……?」
僕「首にもマーク、つけていい?」
女「目立ったら嫌だよぉ……」
彼女の声がなんだか甘い。
僕「だ、大丈夫だよ後ろにつけるから。リボンをほどけば隠れるよ?」
女「くすくす。僕ちゃんからのプレゼント、外しちゃっていいのかな?」
僕「う……」
僕は何かと彼女に遊ばれてしまう。
それはクリスマスも変わらない。
多分、これからもずっと。
女「……くすっ、いいよ」
僕「えっ?」
女「虫刺されとか、掻いた痕って誤魔化せば大丈夫だよ。学校も無いしさ」
僕「冬に虫はあまりいないじゃん……」
女「……今から虫みたいに私にチュウするのは、どこの誰かな?」
僕「……!」
その言葉をスイッチに、僕は彼女の首筋を甘噛みし始める。
女「も、もう少し後ろ……!」
僕(もう吸っちゃったから)
チゥゥゥ。
僕「えっ?」
女「虫刺されとか、掻いた痕って誤魔化せば大丈夫だよ。学校も無いしさ」
僕「冬に虫はあまりいないじゃん……」
女「……今から虫みたいに私にチュウするのは、どこの誰かな?」
僕「……!」
その言葉をスイッチに、僕は彼女の首筋を甘噛みし始める。
女「も、もう少し後ろ……!」
僕(もう吸っちゃったから)
チゥゥゥ。
僕(うなじ、首筋。もう一度うなじ……)
女「ん……」
夢中で、僕は彼女に吸い付いていた。
それこそ血を求めている小さな吸血鬼みたいに……。
チュッ。
女「ふぁ……」
……。
……。
ガラッ。
母「女ちゃん、お母さん迎えに来てくれたわよって……あら?」
女「す、すーっ……」
僕「く、くー……」
母「抱っこなんかしちゃって。本当に仲がいいんだから、ふふっ」
母「ほら、起きて女ちゃん。女ちゃん」
ユサユサ。
女「ん……」
夢中で、僕は彼女に吸い付いていた。
それこそ血を求めている小さな吸血鬼みたいに……。
チュッ。
女「ふぁ……」
……。
……。
ガラッ。
母「女ちゃん、お母さん迎えに来てくれたわよって……あら?」
女「す、すーっ……」
僕「く、くー……」
母「抱っこなんかしちゃって。本当に仲がいいんだから、ふふっ」
母「ほら、起きて女ちゃん。女ちゃん」
ユサユサ。
女「ん、んんー……お母さんがー……?」
僕(お、演技がうまい)
母「ええ、玄関で待ってるわよ」
女「は、はーい」
フラフラした足取りで、母と彼女は扉の向こうへ歩いていってしまう。
僕(これで……クリスマスも終わりかな)
そう思いまた暗い天井を見つめている。
……。
ガラッ。
僕「?」
女「忘れ物したって言って、ちょっとだけ」
ひそひそ声の彼女。
自然と僕の声も小さくなってしまう。
僕(お、演技がうまい)
母「ええ、玄関で待ってるわよ」
女「は、はーい」
フラフラした足取りで、母と彼女は扉の向こうへ歩いていってしまう。
僕(これで……クリスマスも終わりかな)
そう思いまた暗い天井を見つめている。
……。
ガラッ。
僕「?」
女「忘れ物したって言って、ちょっとだけ」
ひそひそ声の彼女。
自然と僕の声も小さくなってしまう。
僕「わ、忘れ物ってリボン?」
上半身を起こし、逆光に立つ彼女を見つめる。
しかし僕のプレゼントは彼女の髪に巻かれたままだ。
女「ううん……」
女「キスマーク」
膝を崩し、僕の前で四つん這いになる彼女……。
女「んっ……」
チュッ。
僕の唇と彼女の唇が、冷たい空気を閉じ込める。
僕「!」
上半身を起こし、逆光に立つ彼女を見つめる。
しかし僕のプレゼントは彼女の髪に巻かれたままだ。
女「ううん……」
女「キスマーク」
膝を崩し、僕の前で四つん這いになる彼女……。
女「んっ……」
チュッ。
僕の唇と彼女の唇が、冷たい空気を閉じ込める。
僕「!」
チュッ。チゥゥー。
唇は、さっきから僕を乱暴に吸っている。
僕(そんなに吸っても……)
そこにはキスマークなんてつかないのに……。
『そんな事、知らない』
彼女に何かを聞いても、きっとこう言われるんだろう。
それくらいに、彼女の唇は僕を……。
僕をまだ、冷たい空気には触れさせてくれない。
唇は、さっきから僕を乱暴に吸っている。
僕(そんなに吸っても……)
そこにはキスマークなんてつかないのに……。
『そんな事、知らない』
彼女に何かを聞いても、きっとこう言われるんだろう。
それくらいに、彼女の唇は僕を……。
僕をまだ、冷たい空気には触れさせてくれない。
女「……ぷは」
ようやく唇が離れた後、彼女はわざとらしく息を吐き出している。
女「ついたかな?」
僕「ここにはマークなんてつかないよ?」
女「そうだっけ? 小学生だから知らないや」
そうしてまた彼女は……。
僕(優しく、小さくて笑って……僕にさよならを言うんだ)
女「ふふっ……じゃあ、またね。今日はありがとう、おやすみなさい」
女「よいお年を」
ありったけの挨拶を僕にしてくれた後、彼女は立ち上がりくるりと背中を向ける。
光に揺れるポニーテールが可愛らしい。
僕「また、ね。お互い……よいお年を」
女「うん!」
彼女は元気に光の中へ消えていった。
ようやく唇が離れた後、彼女はわざとらしく息を吐き出している。
女「ついたかな?」
僕「ここにはマークなんてつかないよ?」
女「そうだっけ? 小学生だから知らないや」
そうしてまた彼女は……。
僕(優しく、小さくて笑って……僕にさよならを言うんだ)
女「ふふっ……じゃあ、またね。今日はありがとう、おやすみなさい」
女「よいお年を」
ありったけの挨拶を僕にしてくれた後、彼女は立ち上がりくるりと背中を向ける。
光に揺れるポニーテールが可愛らしい。
僕「また、ね。お互い……よいお年を」
女「うん!」
彼女は元気に光の中へ消えていった。
僕(……)
彼女が帰った後、僕はすぐに眠気に襲われた。
僕(ああ、これはきっとサンタさんが来る時の眠気なんだ……)
何となく、そんな予感がしていた。
「……かな?」
「だいじ……と」
誰かが扉を開けて、僕の枕元にプレゼントを置いていった。
僕がそれに気付いたのはイブが終わった次の日の朝だったから……。
僕の意識は、あの後すぐ眠りに落ちていったんだと思う。
新しい記憶の中で、僕はまたサンタクロースに会う事ができた。
少し大人な記憶も残ったクリスマスだけれども……僕はきっと忘れない。
それは彼女も多分同じ。
今日が忘れられない日になっているだろう。
彼女が帰った後、僕はすぐに眠気に襲われた。
僕(ああ、これはきっとサンタさんが来る時の眠気なんだ……)
何となく、そんな予感がしていた。
「……かな?」
「だいじ……と」
誰かが扉を開けて、僕の枕元にプレゼントを置いていった。
僕がそれに気付いたのはイブが終わった次の日の朝だったから……。
僕の意識は、あの後すぐ眠りに落ちていったんだと思う。
新しい記憶の中で、僕はまたサンタクロースに会う事ができた。
少し大人な記憶も残ったクリスマスだけれども……僕はきっと忘れない。
それは彼女も多分同じ。
今日が忘れられない日になっているだろう。
女「えへへ……」
帰りの車の中で、私は一人ご機嫌だった。
ううん、ご機嫌なのは多分二人?
今は側にはいないけれど……きっと同じ気持ちを抱きながら眠るはず。
女母「そんなに笑うほど、楽しかった?」
女「うん! ご飯とケーキを食べて、僕ちゃんにはプレゼントも貰ったの!」
女母「そう、よかったね」
改めて、彼から貰ったリボンを手に取ってみる。
色合いは黒をベースに、白いラインが外周を覆わっている。
アクセント程度にヒラヒラが付いているが、低学年の女の子がするには何処か大人っぽい印象を受ける。
女(大事にするから……ね)
帰りの車の中で、私は一人ご機嫌だった。
ううん、ご機嫌なのは多分二人?
今は側にはいないけれど……きっと同じ気持ちを抱きながら眠るはず。
女母「そんなに笑うほど、楽しかった?」
女「うん! ご飯とケーキを食べて、僕ちゃんにはプレゼントも貰ったの!」
女母「そう、よかったね」
改めて、彼から貰ったリボンを手に取ってみる。
色合いは黒をベースに、白いラインが外周を覆わっている。
アクセント程度にヒラヒラが付いているが、低学年の女の子がするには何処か大人っぽい印象を受ける。
女(大事にするから……ね)
リボンを確認するついでに、首筋をサイドミラーに写してみる。
女(うわっ、真っ赤だ……吸いすぎバカ)
女(……ま、いっか)
女(早く、冬休みが終わらないかな。交換日記、また新しいノート買わなきゃね)
自分がノートを持っているから、休みの間は彼の日記を何度も読み返そう。
今日の事も日記にして、休みが終わったらたくさん、たくさん彼に伝えたい……。
そんな事を考えながら、私はずっと夜の道を見つめていた。
車の通らない静かな道をずっと……。
このずっとが、ずっと続けばよかったのに。
女(うわっ、真っ赤だ……吸いすぎバカ)
女(……ま、いっか)
女(早く、冬休みが終わらないかな。交換日記、また新しいノート買わなきゃね)
自分がノートを持っているから、休みの間は彼の日記を何度も読み返そう。
今日の事も日記にして、休みが終わったらたくさん、たくさん彼に伝えたい……。
そんな事を考えながら、私はずっと夜の道を見つめていた。
車の通らない静かな道をずっと……。
このずっとが、ずっと続けばよかったのに。
……変だ。
なんだか空気が重く、濁っている。
女「……」
チラリと運転している母の方を盗み見する。
母はなんだか、何かを迷っているような表情で車を運転している。
女(またお店で嫌な事があったのかな? それとも……)
女母「……」
母に質問する事は出来なかった。
それを聞いてしまったら、よくない事が起こりそうで……。
私はただひたすら、早くお家に着いてほしいと、そう願っていた。
女「……」
……。
なんだか空気が重く、濁っている。
女「……」
チラリと運転している母の方を盗み見する。
母はなんだか、何かを迷っているような表情で車を運転している。
女(またお店で嫌な事があったのかな? それとも……)
女母「……」
母に質問する事は出来なかった。
それを聞いてしまったら、よくない事が起こりそうで……。
私はただひたすら、早くお家に着いてほしいと、そう願っていた。
女「……」
……。
キキーッ。
十字路の交差点。
赤信号に私たちは足止めされてしまう。
周りには車も、建物の明かりもなにも無い。
道路の真ん中にある私たちの車と、ただ赤く光っているだけの信号。
この時間、この空間だけが……なんだかクリスマスの夜から取り残されてしまったような。
そんな感覚。
女母「……ね」
母が小さく口を開く。
小学生の私より、か細くて弱々しい声で。
女「……」
私は声を出す事が出来ない。
信号は、変わらずに私たちをその赤い目で睨んでいる。
何だかとても怖かった。
十字路の交差点。
赤信号に私たちは足止めされてしまう。
周りには車も、建物の明かりもなにも無い。
道路の真ん中にある私たちの車と、ただ赤く光っているだけの信号。
この時間、この空間だけが……なんだかクリスマスの夜から取り残されてしまったような。
そんな感覚。
女母「……ね」
母が小さく口を開く。
小学生の私より、か細くて弱々しい声で。
女「……」
私は声を出す事が出来ない。
信号は、変わらずに私たちをその赤い目で睨んでいる。
何だかとても怖かった。
女母「学校は楽しい?」
女「……うん」
僕ちゃんがいるから。
女母「お友達とはうまく行ってる?」
女「うん」
僕ちゃんがお友達だから。
女母「今日は……楽しかった?」
女「僕ちゃんとクリスマスを過ごせたから、楽しかったよ」
女母「……そう」
女母「ハァ……」
母は大きく、深くため息をつく。
女母「……ごめんね」
何を謝っているのか、私にはわからない。
女「……うん」
僕ちゃんがいるから。
女母「お友達とはうまく行ってる?」
女「うん」
僕ちゃんがお友達だから。
女母「今日は……楽しかった?」
女「僕ちゃんとクリスマスを過ごせたから、楽しかったよ」
女母「……そう」
女母「ハァ……」
母は大きく、深くため息をつく。
女母「……ごめんね」
何を謝っているのか、私にはわからない。
何かを思い詰めているのだけはわかるけど。
それも私に謝るような……私に影響するような事。
女(あ、信号が青になる……)
やっと消えてくれた。
その赤が私の事を見なくなった瞬間。
母が申し訳なさそうに私に言葉を発した。
女母「来年になったらね」
女母「お父さんの所に行く事になっちゃったの」
……私が僕ちゃんの前からいなくなる。
それも私に謝るような……私に影響するような事。
女(あ、信号が青になる……)
やっと消えてくれた。
その赤が私の事を見なくなった瞬間。
母が申し訳なさそうに私に言葉を発した。
女母「来年になったらね」
女母「お父さんの所に行く事になっちゃったの」
……私が僕ちゃんの前からいなくなる。
布団の中で私は大泣きした。
この一年で体験した、どんな寂しさよりも寂しかった。
悲しかった。
悔しかった。
彼の事が……愛しかった。
女「なんで……どうして……」
女「嫌だよ、お父さんがこっちに来ればいいじゃん……」
女「また向こうに戻って過ごすなんて嫌だよ。もう僕ちゃんの優しさを知っちゃったから……嫌だよ……」
女「ぐすっ……う、うわあぁぁん……ずすっ……」
何を言っても、母には無駄だった。
女「知らないよ、家の権利なんて……契約の問題なんて……」
女「私知らない。だから子供のままここにいる……」
女「ずっと僕ちゃんと学校行くんだもん……」
この一年で体験した、どんな寂しさよりも寂しかった。
悲しかった。
悔しかった。
彼の事が……愛しかった。
女「なんで……どうして……」
女「嫌だよ、お父さんがこっちに来ればいいじゃん……」
女「また向こうに戻って過ごすなんて嫌だよ。もう僕ちゃんの優しさを知っちゃったから……嫌だよ……」
女「ぐすっ……う、うわあぁぁん……ずすっ……」
何を言っても、母には無駄だった。
女「知らないよ、家の権利なんて……契約の問題なんて……」
女「私知らない。だから子供のままここにいる……」
女「ずっと僕ちゃんと学校行くんだもん……」
女「う……ううっ……」
女「うわあぁん……」
子供みたいに、何も考えずに引っ越しをするだけだったらどんなに気分が楽だったか。
記憶と思い出の二つが邪魔をする。
女「リボン……リボン……せっかく貰ったのに」
女「交換日記だって……眼鏡ちゃんの恋愛相談だって……」
女「私、またあの場所に戻るの?」
女「う……ううっ……」
嗚咽で言葉にならない。
クリスマスの嬉しい気持ちは、全部どこかに落っことしてしまった。
彼から貰った大切な心も、本当に全てを。
私は無くしていた。
女「うわあぁん……」
子供みたいに、何も考えずに引っ越しをするだけだったらどんなに気分が楽だったか。
記憶と思い出の二つが邪魔をする。
女「リボン……リボン……せっかく貰ったのに」
女「交換日記だって……眼鏡ちゃんの恋愛相談だって……」
女「私、またあの場所に戻るの?」
女「う……ううっ……」
嗚咽で言葉にならない。
クリスマスの嬉しい気持ちは、全部どこかに落っことしてしまった。
彼から貰った大切な心も、本当に全てを。
私は無くしていた。
……。
シュルッ。
私はその日、リボンを左手の薬指に巻き付けて眠った。
こうしていると彼が一緒にいる。
そんな気がした。
私は眠る。
涙の冷たさに凍えながら。
ただ一つ、形に残った彼からの贈り物を抱きしめて。
キュッとリボンに口づけをして……。
気持ちが凍死してしまわないように……眠った。
今日のクリスマスを、私は一生忘れる事が出来なかった。
シュルッ。
私はその日、リボンを左手の薬指に巻き付けて眠った。
こうしていると彼が一緒にいる。
そんな気がした。
私は眠る。
涙の冷たさに凍えながら。
ただ一つ、形に残った彼からの贈り物を抱きしめて。
キュッとリボンに口づけをして……。
気持ちが凍死してしまわないように……眠った。
今日のクリスマスを、私は一生忘れる事が出来なかった。
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