元スレ朝倉「ただ月が綺麗だったから…」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
651 = 539 :
部屋に入り…机に目がいく…
置きっぱなしにした携帯電話の近くに…メモ書きが一枚
『あまり遅くまで使いすぎないように』
朝倉「…」
そのメモ書きがあって、携帯が没収されずにここにある理由が…わからなかった
私が理由を知ったのは…もう少し気持ちが落ち着いて、時間が経ってからだ…
今は…キョンに一通だけ…
『家に着いたよ。おやすみなさい…大好きなキョン…』
おやすみなさい…おやすみ…
653 = 539 :
―学校 キョン
あの家出から1週間
涼子が学校を休んだのも、連休の合間の1日だけだったので、周りで騒がれる事は無かったようだ
休みも終わり、俺は今まで通りの生活を送っている
ハルヒ「キョン」
ハルヒ「ねえってば…」
ハルヒ「…このバカ!」
キョン「…いてて…いきなり叩くなよ」
ハルヒ「なんで返事しないのよ。無視?」
キョン「…」
ハルヒ「…元気無いじゃない」
キョン「…ほっといてくれ」
以前の上の空に加え…人と話す元気も無くなっていた
誰と話しても楽しくない
ずっと涼子の事ばかり考えて…目の前の事など、いつも見えていなかった
654 = 540 :
カナダGDPも下だから、ここは一旦上って漢字化?
655 = 539 :
そんな脱け殻のような姿の俺を見て…彼女は、ふぅとため息をつく
彼女には、多分理由も…わかっているんだろう
ハルヒ「…精神的な気休めだけど、教えてあげる」
キョン「ん……」
呆れたような表情で…彼女は会話を続ける
さっきまでの話題とは…違うんだろう…
ハルヒ「会いたい人がいたらね、心の中で会うの。何度も何度も…幸せな形を描くの…そうすると、現実で会えるのよ」
キョン「……」
ハルヒ「それだけよ……じゃあね」
プイッ、と彼女は教室を出ていってしまう
彼女なりの…慰めなんだろうか?
キョン「心の中で…ね……」
656 = 539 :
ある日の夕飯…いつもの食卓
キョン母「ねえ…」
キョン「ん…」
キョン母「今日の昼間に向こう…朝倉さんのお母さんとお話したのよ」
キョン「涼子…の…」
キョン母「ええ。事情を聞いて…一応謝罪もしたわ」
そうか…涼子、ちゃんと親に話したんだな
キョン「…ごめんなさい」
キョン母「…怒るつもりは無いのよ。ただ、他の家の人に問題を起こしちゃうと…ね」
キョン「反省…してます」
ふぅ、と母はため息をつき…何かを決めたように俺に話しかけてくる
キョン母「そんなに、彼女が好き?」
657 = 539 :
―コクン
俺は黙って頷く
キョン母「そう…。あのね、反省してるならって、向こうのご両親がね……」
キョン「え…休みの日……?」
妙な形ながらお互いの両親に関係を認めてもらい…
俺たちは、休日をまた新しい形で過ごせる事となった……
部屋に戻ると…外の空気を吸いたいために、窓を開ける……
もうすぐ…夏が来る…
658 = 539 :
何処かの道 何時かの日
佐々木「そうなんだ…休日に……」
朝倉「ええ…これから、色々……」
佐々木「くつ…それは忙しくなるかもね……」
朝倉「ふふっ…そうね……」
夕闇、景色が薄い藍色に染まる頃…私たちは一緒に街を歩いていた
行く場所も決めず…二人でただのんびりと……
佐々木「…いい、月だね」
朝倉「本当…綺麗な満月……」
空には大きなお月様…
月の光が彼女の瞳を照らしていて…私はその姿に心をまた奪われてしまう…
でも、今はいいんだ…
彼女と一緒に、お月様を見ている…この瞬間だけで……
659 = 539 :
朝倉「……」
月を見ている途中…彼女は携帯を取り出して…
佐々木「ん、電話?」
朝倉「うん…キョンから…」
佐々木「さっきの事じゃない?」
朝倉「そうかも……もしもし…?」
気を利かせて離れようとしたけれど…
電話はとても早く、15秒程で終わったので離れるまでいかなかった
佐々木「早いね?」
朝倉「う、うん……」
佐々木「そんなにすぐ終わる内容だったの?」
朝倉「えっと…その…言うの、恥ずかしいな……」
佐々木「くつくつ、いつもは聞かないけど…今日はちょっと聞いちゃおうかな?」
660 = 539 :
朝倉「イジワル…あ、あのね、実は……」
彼女と話しているこの一時が…ゆっくりと過ぎていく…
光を浴びた曇達を優しく運ぶ風のような…大切な時間…
これからも私たちは、そんな時間を…大切な人と過ごしていけたらいいな…
話の中で…彼女は言っていた
とても優しい目で…満月をみつめながら…
涼子「ただ月が綺麗だったから…私の声を聞きたいって……」
終
661 :
面白かった乙
662 :
激しく乙!
すごくよかった
663 = 600 :
面白かった
乙でした
665 = 539 :
これで、とりあえず終わりとなります
本当は、まだ半分程の地点なんですけど…家出編がクライマックスな感じになってしまったので、ここで……
読んでいただいた方、支援して下さった方本当にありがとうございました
666 = 560 :
>>ただ月が綺麗だったから…君の声を聞きたい
全く、言ってみてえもんだな!乙!
667 = 612 :
>>1
乙でした。
ぜひ続きが読みたいので、
機会があれば降臨してくれ
668 :
乙
一つ質問なんだけど
>俺たちは、休日をまた新しい形で過ごせる事となった……
て具体的にどういう事なの?
669 = 539 :
>>666
SSを投稿するまで、このラストもタイトルも決めてなかったんですよね
半分は思いつきですが、もう半分は「たったそれだけの事でも、恋人に伝えたい」
のような意味を含みました
>>668
残りの半分の中に書いてありますが、ここで終わりなんで引っ張る形に…
最後辺りの言葉も、あえてボカしてあります
670 = 545 :
すごく乙
余力があるのならただのイチャイチャもみたいれす
671 = 633 :
乙
嗚呼、それにしても彼女が欲しい
672 = 560 :
>>669
「月が綺麗」の元ネタはやっぱり夏目漱石かい?
673 = 552 :
続きはいつやるんだい?
674 = 549 :
乙。
胸キュンしまくった。
でも若干消化不良…。余力があれば残りの半分も是非読みたいです。
675 = 539 :
>>670
まだ元気なんで…ポチポチやってみます
>>672
あそこまで、深い意味は本当に無いんですよね…
自分が深夜に出かける→月が綺麗→SS書く
正直、これがタイトルの理由です…冒頭だけができていたSSを、勢いで投下させて頂きました…
676 :
素晴らしい…
乙!!
次回作も読みたいが見つけられるかな?
677 :
乙でした
こんなにも互いを好きでいられるような関係に憧れます
678 = 539 :
キョン「じゃあ…いってきます」
土曜日の朝…俺は駅に向かう
手には普段なら持たないような量の荷物と、胸いっぱいの希望…
いつもの電車に乗って…彼女の街に向かう
涼子「キョン、こっちこっち!」
駅に着くと、涼子と…今日は…
朝倉母「あら…」
朝倉父「…」
キョン「あ、あの…はじめまして。キョンと言います…その…涼子さんとお付き合いさせて頂いております……」
深々と頭を下げて…一礼をする
朝倉母「ふふっ、あまり硬くならなくていいのよ? ね、父さん…」
朝倉父「う、む……」
涼子「えへへっ…じゃあ早速ご飯食べに行きましょ! キョン、一緒に後ろに…」
引っ張られるまま、車に連れ込まれる
朝倉母「あらあら……」
679 = 560 :
まさか残り半分とやらか?
680 = 593 :
前回 今回といい リアルタイムで見れたことがひたすらに嬉しいぜ
乙!!!!
681 = 612 :
後半キターーー
682 = 551 :
さあこい
いくらでも読んでやる
683 = 539 :
>>679
とりあえず、触りの部分だけ…全部書くかは…未定な感じで、
あれから…土日を利用して、俺は朝倉家に泊まり込みに来ている
朝倉家の親御さんが…来れる時は泊まりに来ていい、と話をしてくれた
俺はもちろんそれに甘える事にした…
まあ、今日が初顔合わせなんだが…
車内では、母親が運転をし、父親は助手席に座っている
朝倉父「……」
涼子「それで、お父さんてね……!」
朝倉母「ふふふっ」
キョン「は、ははっ…」
どうやら、緊張しているのは、男性側だけのようだった
684 = 539 :
朝倉母「はい…着いたわよ」
レストランでの食事を終えて、俺たちは涼子のマンション…第二の自宅に帰ってきた
望んでも、泊まる事のできなかった場所…
今日は…ここにいていいんだ…
朝倉母「あ、布団敷いておいたからね? 仲良く寝るのよ?」
キョン「……え?」
朝倉母「ウチって、部屋が少なくてね…私の部屋と涼子の部屋…それと居間しか寝るスペースが無いのよ」
キョン「そ、それなら僕は居間で……!」
朝倉母「あら、居間はお父さんが寝てるのよ。テレビを遅くまで見たりするから…そっちのがいい?」
キョン「いえ、お許し頂けるなら、そのままで結構です」
我ながら、初対面の親御さんを前にはっきりと言えたもんだ
685 = 539 :
朝倉母「ふふっ…涼子と、仲良くね? ……」ボソッ
一緒の部屋で寝る事は、両親公認らしい
少しは気持ちが楽だが…
俺は、じっと…涼子を見てみる…
涼子「?」
彼女は笑顔でこっちを見てくれている…俺も合わせて、引きつった笑いをする…
部屋に向かう前に…小さく呟かれた言葉を思い出しながら…
朝倉母『子供だけは作らないでね』
…はい
686 = 545 :
わろた
687 = 539 :
夕飯後…俺は率先して食器を片付け、皿を洗っていた
朝倉母「キョンちゃん、そんな事いいのに…」
キョン「いえ、お世話になるからには…何か手伝いませんと…」
これくらいはやらなければ…
ただ座って、涼子とお茶を飲んでばかりもいられない
涼子「ふふっ、お手伝い終わったら、このシートに書き込んでね」
見てみると、冷蔵庫に貼られた一枚の…シート
床掃除、洗濯、風呂、洗い物、猫の餌やり…家事全般と、涼子の印がついている
朝倉母「うちは共働きでね…平日は、どうしても家事が満足にできないのよ」
涼子「手伝ったらこれに印をつけるの。そうすると、お小遣いが増える仕組みなのよ」
キョン「そ、それはすごいシステムですね…」
688 = 540 :
んー・・・・・・・・・お疲れ様ではあるけど
689 = 539 :
風呂に入り…就寝だ
部屋の明かりは全部消えて…俺は涼子の隣にいる
布団とベッド…段差は違いがあるが、確かに隣に涼子が寝ている
こんな穏やかな気持ちで涼子と眠れる日が来るなんて…ちょっと、信じられなかった…
涼子「キョン……」
キョン「ん…起きてたのか?」
涼子「ちょっと…寒いかなぁ、って……」
キョン「寒い? じゃあ、俺の毛布やるよ。ほら、こっちの…」
涼子「…バカキョン!」
ヒソヒソ声の中で…涼子がちょっと大きな声を出す
キョン「な、なんだよ…」
涼子「…知らない」
プイッと…背中を向けて布団に顔を潜らせてしまう
その姿を見て…思い出した
690 = 539 :
キョン「……」
涼子「あ……」
後ろから、涼子を抱きしめて…ギュッとする…
キョン「これ…好きだったよな」
涼子「…うるさい、バカ…」
キョン「あのさ…涼子が良ければ…一緒の布団で眠りたいんだが……」
涼子「……」
キョン「ダメか…?」
涼子「腕まくらか…今みたいにギューってしてくれるなら…いいわよ……」
この日から、俺たちは…改めて、毎晩一緒の布団で眠るようになった
ベッドの中で、もう一度彼女を抱きしめて…
いつかのように、心臓に耳を当てながら…
691 = 539 :
涼子と過ごした時間も…もうすぐ終わってしまう
日曜日の昼過ぎ…今は、車で駅まで送ってもらう途中
別れる直前なのに、寂しさはそんなに生まれない…
心の余裕が、そうさせているんだろう
朝倉母「そろそろ駅だから、降りられる用意してね?」
キョン「は、はい」
涼子「気をつけて帰ってね?」
朝倉父「……」
この二日間、涼子の父親とは殆ど会話をしていない
テレビを見ていても、食事をしていても…涼子や母親とはよく喋ったが、父親とだけは話した記憶は無い
692 = 539 :
キョン(…嫌われてるのかな)
他人の家庭にお邪魔しているわけだ…人によっては、そういう感情が出るのが当たり前かもしれない
朝倉母「はいっ、到着よ」
そんな心配をよそに、もう駅まで着いてしまう
キョン「じゃあ…この二日間、お世話になりました…ありがとうございました」
朝倉母「どういたしまして…気をつけてね」
涼子「じゃあ…またね、キョン。落ち着いたら、メールしてね」
車を出て…助手席に座っている父親に、外から最後のお礼をする
キョン「あ、あの…色々ありがとうございました。本当に…ありがとうございます」
緊張で…ありがとう以外の言葉が出てこない…
朝倉父「…また、おいで。待ってるから」
キョン「は、はい…!」
693 = 539 :
彼女とは、これから会う時の話ばかりをするようになった
別れ際にずっと話していたような…まだ見えない未来の話じゃなくて…
周りが祝福してくれるような、そんな歩き方を…俺たちは始めていた…
父親とはまだ話がぎこちない…
母親は、もう俺を家族の一員だと言ってくれている…
猫は…少しずつ俺にもなついてくれている…
そして涼子とは…今も一緒の布団で眠っている…
このまま…いくつもの季節が流れて、俺の高校生活は終わって行くんだろう…
今日、俺は初めて夕方の電車に乗って…涼子のいる街に向かっている……
終
694 = 539 :
こんな感じの生活を…残り一年半、大学に行くまで繰り返す事になります
障害から安定に変わった2人は…幸せな高校時代を過ごしていきます
今回は、正直ここまでで…
ありがとうございました
696 = 612 :
乙
かなり楽しめた。
あとで、ローカルに保存しておこう
697 = 539 :
書ききれないんで、残り後半のネタとか、設定を最後に…
キョン
大学試験を受けるために、また涼子の家に転がり込んでいる
彼女がいるから…近くの大学に進む決心をした
向こうの家族とも順調に仲を深めて、お正月や夏休みなど、長い期間を涼子の家で過ごす
朝倉涼子
2年目のクリスマスに、手作りのマフラーをもらう
3年目には、手作りのセーターだった
さらに、気合いの入ったバレンタインチョコなど、女の子のスキルを見せられっぱなしだった
大学に入ってからの、彼女との事はまだわからない…
もしかしたら、別れてしまうかもしれない
もしかしたら、ずっと一緒にいられるかもしれない…
698 = 610 :
最後の一文がわけわからん
699 = 539 :
>>698
学校の終わった金曜日の夕方に…電車に乗って会いに行ってます、という感じで…
佐々木
今でも、ずっと同じ人を好きなようだ
涼子とは、よく遊びに行くらしい
結局、俺と佐々木が会って遊ぶ事は無かった
たまに…涼子の事でメールをする
700 = 539 :
ハルヒ
一度お互いの本音を話したので、弱音から愚痴まで、なんでも言い合えるようになった
俺たちしか知らない(クリスマス、押し入れ)ネタを武器に、毎日俺を笑っている
周りに人がいる中、このネタを言って…二人で含み笑いをするのが最高に楽しいんだそうだ
2年生のクリスマスに、綺麗な灰色をした毛皮の手袋をプレゼントしてもらう
3年生になったら、クラスが離れてしまった…
古泉曰く「朝倉涼子の事を考えて身を引いたから」らしい
そのせいか、話す機会も減って、冗談も言ってくれなくなった
同時期に、遠距離の彼氏ができたみたいだ
チラッとハルヒに聞いた話だと「同じ事を感じたかったから」
それのせいかは知らないが、一緒の大学に行く事になる
みんなの評価 : ★
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