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    元スレ朝倉「ただ月が綺麗だったから…」

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    タグ : - 佐々木 + - 国木田 + - 朝倉 + - + - 涼宮ハルヒの憂鬱 + - 超感動巨編 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    151 = 1 :

    さて、どうするか、と考えながら歩いていた時…

    目の前に一つのジュエリーショップが見える

    キョン「宝石、か…」

    店に入ってみると、ショーケースに並んだ眩しい光の数々

    ネックレス、指輪、ピアス…それぞれが煌めきながらショーケースを彩っている

    キョン「こりゃあまた、豪華なもんだな」

    値段も…その輝きに比例してか、かなり高い

    キョン「とても、高校生の小遣いじゃあ足りないな……」

    152 = 1 :

    しかしよく見てみると、決して手が届かないような値段でも無かった

    もちろん高い物は高いが、それでも何とか買える値段の宝石があるのも事実だった

    キョン「いいかもな…うん」


    そんな事を呟きながら、ケースを見ていく

    キョン「ん…これは…」

    目に飛び込んで来た一つの光

    キョン「これ…似合いそうだな」

    値段も決して手が出ないわけでもない…

    153 = 1 :



    帰路につく途中、俺は佐々木にメールをした

    キョン『24日、そっちに行く事にしたよ。知らせてくれてありがとうな』

    ―ピリリリリ

    佐々木『そうかい、それはよかった。じゃあ24日の夕方6時に駅だから…遅れて、彼女が帰ってしまわないようにね』

    今回ばかりは、佐々木に感謝だな

    会える機会を一つ作ってくれた

    今度お礼でもするよ、と軽く返事をしてメールを終わった

    もうすぐ冬休み…そしてクリスマスには涼子に会える

    154 = 1 :

    12月20日 ハルヒ

    放課後…あと2日で学校も終わり

    少し短いながらも楽しい冬休みに入るっていうのに…

    私の気持ちはなぜか暗い

    冬みたいに凍ったままの気持ち

    理由はわからない

    前の席のバカが、SOS団のクリスマス会に参加しないとか…

    決してそんな理由では無い…と思う

    155 :

    前の作品も良かったけど、今回のもめちゃくちゃ面白いです!

    がんばってください!

    156 = 1 :

    ハルヒ(なんでこんなにモヤモヤしてるのよ…バカみたい)

    机で考えいても…答えは見つからない

    ハルヒ(やめた…帰ろ)

    席を立ち、廊下を歩いていく

    下駄箱まで歩くと、すでに靴を履き替えた古泉一樹の姿があった

    古泉「おや、涼宮さん。今お帰りですか?」

    ハルヒ「ええ。古泉君も?」

    古泉「はい。今日はもう何もありませんしね…」

    ハルヒ「ふうん…」

    今は誰でもいいから、聞いて欲しかった

    古泉「…どうかしましたか?」

    ハルヒ「ちょっと、お話があるの。よかったら一緒に帰らない?」

    157 = 1 :

    >>155
    本当に、ありがとうございます


    古泉「自分の気持ちがわからない?」

    ハルヒ「そうなのよ…なんかモヤモヤしっぱなしで。何をしてもスッキリしないの」

    古泉「それはそれは…」

    ハルヒ「ちょっと、考えるのに疲れちゃってね…」

    普段ならこういう話はあのバカキョンによく話していた…気がする

    でも今は違う

    古泉「ふぅむ…そのモヤモヤの原因を考えた事はおありですか?」


    ハルヒ「…あるけど、あまり話したくないわ」

    多分わかっている事のに…私は口に出す事が出来なかった

    158 = 1 :

    古泉「それでもいいですよ。原因がはっきりしているなら…それを解決してみては?」

    ハルヒ「…それが解決できなかったり、どうしようもない事だったらどうするのよ?」

    正直、何をすればいいのかわからない…

    何をしたいのかもわからない…

    古泉「そういう時はですね、何をどうするかではなく、自分がどうしたいかを考えるんですよ」

    ハルヒ「私自身…?」

    古泉「はい。今やりたい事を考えて…そのためにはどうすればいいか。それだけで随分違うはずです」

    ハルヒ「自分…自分ね…」

    159 :

    みずぽたん・・・

    160 = 1 :

    古泉「…ある程度、答えは決まってるんじゃないですか?」

    ハルヒ「うん…決まってる。本当はキョンと一緒にクリスマス会に参加したいの…」

    私は…素直にそう思う

    ハルヒ「でも、それはどんなに頑張っても叶わないのよ…」

    しばらく…静かに道を歩いていく

    今年のクリスマスは…彼と一緒にはいられない…ずっとそう考えていた

    古泉「それなら少しだけ…願望を変えてみては?」

    ハルヒ「…?」

    それでも、彼は口を開いてくれた

    161 = 146 :


    前作読んできた

    これは支援せざる得ないwww

    162 = 1 :

    古泉「クリスマス会が無理でも、彼に何かの形でクリスマスを残せれば…いいんではないですか?」

    ハルヒ「形……」

    古泉「当日には会えなくても…彼とクリスマスを記憶に残してもらえるような……」

    ハルヒ「あ…プレゼント……」

    古泉「…それがあなたの答えならば、渡してあげるのも…いいと思いますよ」

    ハルヒ「うん…私、今からデパートに行ってくる…」

    古泉「そうですか。答えが…見つかったならよかったですよ」

    ハルヒ「うん…ありがとうね古泉君」

    古泉「ええ、暗いですから…お気をつけて」

    彼は、優しく手を振ってくれた

    163 = 1 :

    支援の方、ありがとう

    >>161
    感謝です
    前作の、省略した高校時代の部分としてお読み下さい



    彼と別れてから、デパートに向かう

    素直に考えたら…私はキョンに喜んで欲しかったんだ

    恋愛感情なんかは別にして…なんだかずっとキョンの事ばかり考えてしまう

    朝倉涼子と付き合ってから、キョンは遠くなってしまった

    話しても上の空…

    授業中はいつもボーッと何かを考えているか、携帯を見ているか

    彼が遠くなってしまったからこそ、何だか気になってしまったのかもしれない

    でも今は…そこまでの答えは、わからなかった

    164 = 1 :

    ハルヒ「何を買おうかしらね……」

    ハルヒ「洋服…んー、何か違う…かな」

    ハルヒ「玩具…これは、妹ちゃん向けかしらね」

    ハルヒ「宝石…なんて、キョンのガラじゃないわよね…」

    お店をいくつか…歩いて彼に合ったプレゼントを探していく…

    ハルヒ「えへへ…キョンには、これがピッタリ…かしらね」

    小さな紙袋に包まれた…綺麗な灰色をした毛皮の手袋

    オシャレ過ぎず、かと言って地味すぎるわけでもない…使いやすい手袋

    フワフワ、サラサラした手触りが気持ちいい

    165 = 1 :

    足取り軽く、帰って来る途中…

    ハルヒ「あ…どうせデパート行ったなら、クリスマス会のプレゼントも買えばよかったかしら?」

    でもこの考えは、手に持った紙袋を軽く抱きしめただけで…

    ハルヒ「…まあ、いいか。今回はキョンのためにデパート行ったんだし…ね?」

    もう一度デパートに行って、プレゼントは買えばいい

    明日になったら、クリスマス会の連絡をして…準備もして…

    忙しいけれど、やっと自分の冬休みが始まるような…そんな気がした

    166 = 1 :

    12月24日 夕方4時頃

    キョン宅前

    SOS団のクリスマス会…私は妹ちゃんを迎えに行くため、キョンの家に来ていた

    ―ピンポーン

    ハルヒ「こんにちはー」

    ガチャ

    キョン「あ、ハルにゃんだ。おむかえに来てくれたのー?」

    ハルヒ「ええ。一緒に行きましょう」

    キョン「わかったー♪」

    無邪気に手をとってくれる妹ちゃん…

    開いたドアから、家の中が少し見えてしまい…思わず、妹ちゃんに訪ねてしまえ

    ハルヒ「あ…キョンはもういないの?」

    キョン「キョンくんはねー、お昼頃出かけちゃったよ。また遠くにいってくるんだってー」

    ハルヒ「そう…遠く、ね…」

    167 = 58 :

    ハルヒかわいい

    168 = 1 :

    ハルヒ「そ、そう。まあいいわ、いきましょう、妹ちゃん」

    キョン「はーい♪」

    ギュッと手を繋いで…有希のマンションまで、妹ちゃんとゆっくり歩く

    キョン「ケーキケーキ♪」

    握った手を、ブンブンと振ってくる妹ちゃんが可愛らしい

    ―ピンポーン

    鍵は開いている、と言われていたので中に入る

    相変わらず小綺麗で大きなマンションだ

    キョン「おじゃましまーす」

    長門「…いらっしゃい」

    ハルヒ「来たわよ、有希。あれ、みんなまだいないの?」

    169 = 1 :

    長門「古泉一樹と朝比奈みくるは買い出し中…他のみんなは合流して間もなく到着する」

    ハルヒ「そう、じゃあ準備しちゃいましょう。手伝うわよ」

    長門「問題無い。後は人と食料が集まればいいだけ…ゆっくりしてくれて構わない」

    ハルヒ「そう…じゃあ妹ちゃん、遊んで待っていましょうか?」

    キョン「わーい♪」

    それから、20分もすると賑やかな足音とうるさい声が響いてくる

    今日は…多分、楽しいクリスマス

    170 = 1 :

    夕方5時過ぎ

    ハルヒ「…みんな、集まったわね。じゃあ乾杯しましょうか…乾杯よ!」

    カンパーイ

    古泉「しかし、これだけ集まると賑やかですね」

    谷口「いやあ、モグ俺たちまでモグ呼んでもらえるとは思ってなかったからなモグ」

    国木田「食べながら喋るのよしなよ…」

    鶴屋「うんうん…めがっさなご馳走が目の前にあるんじゃ、我慢できないよね♪」

    朝比奈「ちょうど焼きたてピザのセールをやっていたんで、買ってきたんですよ」

    古泉「チキンとピザ、クリスマスには持ってこいでしょう」

    長門「…もぐ」

    171 = 1 :

    キョン「コーンピザだいすきー♪」

    鶴屋「お、いい食べっぷりだねえ! …そう言えば、キョン君はいないのかい?」

    ハルヒ「キョンは……」

    言葉に詰まっていると…

    谷口「あいつは…女ですよ、女。全く…クリスマスに彼女と過ごすなんてあいつは…チクショウ!!」

    鶴屋「ほうほう!青春だねぇ…確か遠距離恋愛だったかな?あまり知らないけど」

    朝比奈「そうですね。確か…県3つほど離れてるとか」

    鶴屋「ひゃあ…遠くまで、わざわざ会いに行ってるんだね」

    172 = 1 :

    谷口「でも確か、中間地点の街で会ってるとか言ってたよな」

    国木田「うん。お金も時間もかかるから、って」

    長門「…」

    古泉「…あの、彼から聞いた話なんですけど」

    ハルヒ「? どうしたのよ、古泉君」

    古泉「今日…つまり今回は中間地点ではなく、朝倉さんの街まで行くそうですよ」

    鶴屋「って事は、県3つかい! そんな遠く、想像がつかないにょろ…」

    ハルヒ「…あれ、でも妹ちゃん?」

    キョン「なーにハルにゃん?もぐもぐ」

    174 = 1 :

    ハルヒ「キョン、お昼くらいに出かけたって言ったわよね?」

    キョン「そうだよー。お昼のハトさんが鳴ったらおでかけしたんだよ」

    国木田「じゃあ12時に家を出てから…えっと、彼女のいる街までの時間は?」

    古泉「乗り換えを含めて5、6時間かかると言ってましたが」

    谷口「多く見て…まあ、6時間か」

    ここまで話を聞いて…全員が顔を見合わせる

    全員「……?」

    谷口「あいつ…今日中に帰って来られるのか?」

    175 = 1 :

    国木田「そう言えば…終電とかもあるからね。夕方6時に着いたとして…夜7時に乗ればギリギリ終電くらいかな?」

    ハルヒ「5時間かけて1時間だけ会って帰ってくるなんて…馬鹿げてるわ」

    谷口「今日は帰らないでお泊まりだったりしてな」

    ハルヒ「な……!」

    キョン「キョンくん、お泊まりっておかーさんに言ってなかったよ?夜に帰る、って」

    鶴屋「…て事は、本当に1時間足らずで帰りの電車に乗るみたいだね」

    長門「…」

    176 :

    ハルヒ「ふぅ…今度一度、あのバカを尋問する必要があるみたいね」

    谷口「おっ、いいなそれ。色々楽しい話が聞けそうだ」

    朝比奈「ふぇぇ…あまり聞いちゃあ悪いですよ…」

    鶴屋「はははっ、まあそれも青春なんだからいいじゃないかっ! 楽しい話は大歓迎だよ」

    古泉「たまにはそういう話も、いいのかもしれませんね」

    国木田「彼女がいるのは貴重なサンプルだからね。僕もぜひ聞いてみたいよ」

    谷口「くそっ……あの節約野郎が……」

    鶴屋「おっ、節約ってなんの事だい?」

    国木田「キョンがね、昼食分のお金を貯めてね……」

    彼の話で笑いながら…夜は深くなっていく

    177 = 176 :

    夜9時

    クリスマス会を始めて数時間…

    パーティーもそこそこに盛り上がり、そろそろ帰宅の準備を始めていた頃だった

    谷口「じゃあ、帰るか」

    国木田「そうだね…今日は誘ってくれて、ありがとね」

    鶴屋さん「めがっさ楽しかったよ」

    朝比奈「みなさん、よい冬休みを過ごして下さいね」

    古泉「では行きますか。女性の方は送る必要がありますね…」

    ハルヒ「ほら、妹ちゃん帰るわよ」

    キョン「う~ん…ねむぃぃ…」

    178 = 176 :

    古泉「…これではおぶって行く必要がありますかね?」

    谷口「あいつの家までなら、俺がおぶってくよ」

    古泉「わかりました、では行きますか」

    みんな準備をすませ、玄関に並んでいる

    ハルヒ「じゃあ有希、戸締まりちゃんとするのよ?」

    長門「…わかった」

    古泉「では、失礼します長門さん」

    玄関をあけ、皆外に出ていく

    最後に私が家を出ようとした瞬間

    長門「…待ってほしい」

    ハルヒ「ん…」

    私は…彼女に呼び止められる

    179 = 176 :

    …みんなを扉の外で待たせながら、一人玄関に残っている

    ハルヒ「どうしたのよ?」

    長門「…」

    有希は少し戸惑っているようだ

    それでも、口ごもりながら…彼女は言葉を話してくれた

    長門「今日、彼は…」

    彼…キョンの事?

    長門「彼は最愛の人に会っている…」

    ハルヒ「…そうよね。だからこそ、出かけてるんだものね」

    いたって冷静に、受け返したつもりだ

    胸の中は、なんだがズキッとしたけれども…

    180 :

    ハルヒ・・・・

    181 = 176 :

    長門「その状態で、私たちが何を言っても、彼には届かない…」

    ハルヒ「…そうよね。盲目な人間て、そんなものよね」

    長門「それでも…あなたは彼にそれを渡したいの?」

    なぜかここに持ってきてしまった、彼へのプレゼント…

    静かな玄関に…紙袋が、カサリと鳴る

    ハルヒ「だって…せっかく買ったんだもの。彼に喜んで貰えるなら……」

    長門「彼の事が…好き?」

    好き…?

    ハルヒ「わからない…わからないのよ。彼には喜んで欲しい、プレゼントをあげたい…でも…」

    182 = 176 :

    長門「でも?」

    ハルヒ「隣にいる事を望まれてるのは…私じゃ無いもの……」

    長門「……」

    ハルヒ「自分に、どんな気持ちがあってもダメなのよ…! 結局は…相手が認めてくれないと……」

    長門「じゃあ、諦める…?」

    ハルヒ「それも…嫌、でも…本当に今はわからないの…」

    長門「…」



    ハルヒ「…変なこと言って、悪かったわね。みんなを待たせてるから、もう行くわ…」

    長門「…引き止めてしまって申し訳無い」

    ハルヒ「ううん…平気よ。じゃあ、またね」

    長門「…おやすみなさい」

    ―ガチャリ

    184 = 176 :

    古泉「おや、終わりましたか?ではみなさん帰りましょうか」

    夜の闇を、みんなで歩いている

    歩きながら、有希の言葉を思い返す…

    なんだろう…やはり考えてもわからない

    ハルヒ(そりゃあ…好きな人と会ってたら幸せに決まってるわよね…)

    持っていたカバンの中を探る…
    ―カサリ

    手に触れた…紙袋一つ

    彼へのクリスマスプレゼント…

    ハルヒ(…私だって、今日会えたら…)

    会いたい


    ハルヒ(うん…難しい事は考えられないけど、やっぱり私は彼に…会いたいみたい)

    185 = 176 :

    妹ちゃんを送って、みんなそれぞれに帰って行った

    まだ、キョンは家には帰っていなかった…

    国木田「さて…じゃあ、またね」

    谷口「じゃあな」

    古泉「お気をつけて」

    鶴屋「みんな、よいお年をっさ」

    朝比奈「さよなら、風邪ひかないで下さいね」


    私も一人…夜道を歩いている

    寒い…空気は清みきっていて、星空が綺麗だ

    その冷たい空の下で、私はただ星を見ながら歩いている

    ハルヒ「あ、もう…着いたのね」

    186 = 176 :

    私が来たのは駅だった

    ハルヒ「ここで待っていればキョンに会える」


    ここにいれば、キョンの方から私に近付いてきてくれる

    ハルヒ「…我ながら、本当よくわからないわね」

    待合室のベンチに座る…時計は9時27分…

    今、彼はどの辺りにいるんだろうか

    あと数時間もすれば会える…

    それだけが、今の彼女の支えだった

    187 :

    おもしろい しえん

    188 = 176 :

    12月24日 キョン

    少し前…夕方6時頃

    電車を乗り換えて向かった…涼子がいる街

    これで2度目だ

    2ヶ月前に来た時とは、駅の様子も空気も少し違う

    まだ慣れていなかった景色をもう一度見た違和感…だろうか

    それとも、単純に季節が変わっただけだから…そう感じただけだろうか?


    それはとにかく…

    俺は東口に行き、彼女の姿を探す。たしかこっちでよかったはずだ

    歩いて駅を出ると…すぐに目的の人は見つかった

    189 = 176 :

    駅から一歩外に出ると…それだけで彼女と目が合う

    彼女もハッとした様子で俺に気付き…こちらに歩み寄ってくる

    朝倉「あのさ…なんでここにいるのよ…?」

    キョン「…佐々木が来られなくなったからな。変わりを頼まれたんだよ」

    朝倉「……」

    キョン「迷惑だったか?」

    朝倉「…嬉しすぎるのと、佐々木さんへの怒りで言葉が出ないのよ…」

    怒り…とは口ばかりなんだろう

    彼女は目から涙を流しながら、俺を見ている

    190 :

    なんか死にたくなってきた

    191 :

    >>190
    イキロ
    支援

    192 :

    なんで俺はキョンじゃないんだろう

    193 :

    支援しつつも、寝る

    194 = 176 :

    キョン「さて…行くか。2人だけのクリスマスだ」

    朝倉「うん…うん……!」

    手を繋いで歩き出す

    今ここに2人で一緒にいられる

    本当に奇跡のようだ

    キョン「それで、どこに行こうか? この街は、涼子のバイト先のコンビニしか知らないからな……」

    クリスマス用にライトアップされた…駅前通りを歩く…

    とは言っても、落ち着けるお店があるわけではない

    居酒屋とデパートくらいで…駅前には、他に何も無いような場所だ

    195 = 176 :

    朝倉「んー…この辺には座れるお店が無いのよね。でも駅から離れすぎても…キョンの帰りが心配だし」

    キョン「帰り?」

    涼子からその言葉を聞くまで…帰りの電車の事など、あまり考えていなかった

    ここからまた約5時間…気が遠くなるが、隣に涼子がいればそれだけで…

    キョン「まあ、なんとかなるさ。駅の近くで落ち着ける場所は無いのか?」

    朝倉「…あ、そうだわ」

    そう言って、彼女に引っ張られて来たのは小さな神社だった

    196 = 176 :

    キョン「神社か…」

    朝倉「駅からも近いし、座れるわよ。少し寒いけど…」

    キョン「…こうしてれば、暖かいさ」

    俺はすぐに涼子に抱きつく

    朝倉「あ…」

    キョン「会いたかった…」

    朝倉「私も……」

    ベンチに腰をおとして、2人ずっと抱き合ったまま…

    今度は唇を近付ける

    朝倉「ん……」

    1ヶ月ぶりの彼女の唇は、柔らかく暖かい

    しばらく時間が止まる…

    197 :

    前回のもリアルタイムで見てたから
    また会えて光栄だね

    念のためsageにしようか?

    198 = 176 :

    支援ありがとうです

    >>197
    どちらでも、大丈夫ですよ
    自分も、1時間に1回くらいは適当にageてますし…本当感謝


    一通りくっついた後…彼女は持っていた袋から…


    朝倉「私ね、お菓子作ってきたんだよ」

    キョン「お菓子か…そりゃあすごいな」

    朝倉「本当は佐々木さんとお互いのお菓子を交換するはずだったんだけどね」

    彼女は…フッ、と半目で笑いながら嫌みっぽくこちらを見ている

    キョン「…うん、すまない、悪かった」

    朝倉「ふふっ、冗談よ。新作だったから、キョンに一番始めに食べて欲しかったの…お願いが叶ってよかったわ」

    キョン「涼子…」

    199 = 176 :

    彼女は箱を取りだし…開ける

    そこには一口サイズの小さなケーキが6つ並んでいた

    キョン「すごいな…これ全部手作りなのか?」

    朝倉「そうよ。こっちのがチーズケーキで、これがマドレーヌ…ショートケーキに、チョコに……」

    キョン「ああ、じゃあ俺はとりあえずショートケーキをもらうかな」

    朝倉「うん♪ じゃあ…はい、あーん♪」

    何の恥ずかしげも無く、俺は涼子の差し出したフォークにかぶり付く

    口の中に生クリームの甘味が広がる

    200 = 176 :

    キョン「うま…すごく美味しい」

    朝倉「ふふっ、よかった…あ、口にクリームついてるよ」

    キョン「え…?」

    ―チュッ

    朝倉「……」

    キョン「……」

    朝倉「ぷはぁ…」

    キョン「…」

    朝倉「ふふっ、クリスマスだから、ね」

    唇と舌を、ずっと押し付けられていた感触と…

    そんな行動をする大胆な彼女自身が可愛すぎて、俺はしばらく放心していた気がする


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