元スレ朝倉「ただ月が綺麗だったから…」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
601 :
むむっ……乙
602 = 586 :
>>599
いてら乙
603 = 600 :
ほ
605 :
県三つならまだ・・・
福岡と東京とか悲しみ背負うぞ
606 = 540 :
>>583
今でも思うけどね
ついでに金も大切だって事がよくわかったくらいで
607 = 540 :
>>605
どっちも誘惑多いしなぁw
608 = 600 :
ほしゅ
出かけてくるから保守頼む
610 :
ほ
617 :
保守なのさ
620 = 593 :
ぶひゃ
624 = 600 :
ほっひひ
626 :
しゅ
627 = 601 :
保守っさ
628 = 539 :
保守ありがとうございました
>>598の続きから
キョン「……だからな……」
佐々木「ん……」
キョン「俺は嫌だからな! このまま俺は…涼子と一緒に……」
朝倉「キョン…私だって一緒にいたいけど、でも……」
佐々木「本気で…言ってる? 違うね、キョンは意地になっているだけだよ…今は、その感情を出したらだめだよ…」
キョン「ぐっ……」
当たっているだけに、何も言い返せない
久しぶりに口を開いた第一声が…我ながら、わからない
佐々木「気持ちの中では、わかってるんでしょ…ここで一緒になっても何も無いって…帰らないといけないって…」
朝倉「キョン……」
俺も涼子も、ボロボロと涙をこぼしている
629 = 600 :
おかえり支援
630 = 549 :
待ってた!おかえり!
631 = 539 :
気持ちではわかっていても、体が…頭がそれを受け入れてくれない
それは…俺だけか…
ただこうやって駄々をこねる…まるで子供だ…
佐々木「朝倉さんは…今はここにいちゃいけないんだ…わかるだろ?」
キョン「今も早いもあるかっ! …涼子は今ここにいるんだ! ここから引き離して、何が幸せなんだ!」
佐々木「っ…いい加減目を覚ませ! バカキョン!!」
―バチイィィン!
キョン「……」
朝倉「……!」
佐々木の手が…俺の頬を力一杯に叩いた
一瞬、何が起きたかわからなくて…言葉を失った
頬がとてもビリビリする
佐々木「キョン…『私』だって本気なんだ。好きな人が遠くにいて、寂しいのはわかるよ。痛いほどにね」
キョン「…」
632 = 539 :
佐々木「でも、今は耐えるしか…ないじゃないか。僕たちには何も出来ない…色んな物が私たちを縛っている」
キョン(…だから俺たちは…それから逃げるために……)
佐々木「でも目の前の寂しさに負けて…全てを投げ出していいの?」
キョン(投げ出す…今回結果的には…先に涼子の方がそうなってしまった…俺は…まだ日常を変わらず生きている…)
キョン(俺は…まだ何も棄てていない…涼子にだけ…結果的にとは言え…俺はバカみたいだ…)
朝倉「キョン…私もう逃げないよ。ちょっとつらいけど…祝福の貰えない未来は、悲しすぎるから……」
佐々木「キョン…彼女は生きていく決意をしたよ。多分、心の中は…寂しさで満たされているだろうけど、ね」
キョン(俺だって…寂しい…涼子が帰るんだろ? いなくなるんだ)
キョン(でも……)
633 :
待ってたぞ!!
634 = 539 :
キョン「そう…だな。わかったよ…」
沈黙を破り…答えた
キョン「一緒に…帰ろう。いや、この言い方は変か…」
朝倉「ううん…キョンの言いたいこと、わかるから…帰りましょう。私たちの場所に」
佐々木「うん、それがいい…」
残りの荷物をまとめる彼女…
帰り支度をする姿を見ると、理由も無く悲しくなってしまう
それは、友達でも…恋人でも…
一人になっていく瞬間が、俺はたまらなく嫌だった
やりきれず、俺は窓の外に目をやる
外ではまだ夕陽が輝いている
…電車が無くなる心配は、大丈夫そうだ
635 = 539 :
朝倉「準備…できたわよ」
佐々木「じゃあ…帰ろう、朝倉さん」
涼子はこちらをジッと見つめてくる…
佐々木「…僕は、先に玄関に行ってるよ。朝倉さんは、お母さんに見つからないようにね」
そう言って、佐々木は部屋を出ていった
2人だけの時間…すぐに壊れてしまう空間だけれども
抱き合って…お互い力強く抱き合って…しばらくそのままでいた
朝倉「…」
キョン「…」
離れたくない。そう言ったら…ダメなんだろう
考えている事は…きっと同じなのに、俺たちは離れなければならない
朝倉「また…すぐ会えるわよね…」
キョン「ああ…すぐ会いに行くさ…」
朝倉「じゃあ、それまで…約束……」
涼子…俺に約束のキスをした…優しくて、痛い…
636 = 539 :
この先、もう会えないような…別れ際は、いつもそんな気がする
この手を離したら、もう二度と触れられないような…
でも今は…少しだけ違う…
朝倉「ほんの少しの我慢ね…」
一言一言が、名残惜しい
朝倉「…佐々木さんが待ってるから、そろそろ…」
キョン「ああ…そうだな」
俺は一緒に…外まで彼女達を見送る事にした
駅まで行ってしまったら、また悲しくなりそうだから
佐々木「じゃあ…またね」
朝倉「キョン…帰ったら連絡するから…ね」
キョン「ああ、2人とも気をつけてな」
彼女達は、駅に向かい歩き出す
その後ろ姿を、俺は見送らなかった
やっぱり…寂しいからだ
637 = 626 :
マッティー・真下
638 = 539 :
駅とは反対方向の道に、俺は歩き出した
このまま部屋に戻るのも…なんだか切なかった
…30分程、歩いただろうか
頭の中は真っ白で、歩いている間に何を考えていたか思い出せない
いや、何も考える事ができてなかったのかもしれない
フラフラと、俺はまた家に戻っていく
キョン「ただいま…」
キョン妹「あ、キョンくんおかえり~。もうごはんだよ~」
キョン「ああ…もうちょっとしたら行くよ」
返事も適当に、俺は部屋に戻る…
扉をゆっくりと開けると…彼女の甘い匂いがしてくる
女性の匂い…確かにわかる
部屋で涼子が待っている…涼子がいる…!
641 = 539 :
キョン「ただいま、涼子…!」
『おかえり、キョン…』
彼女の声は…返ってこない
ベッドにも彼女の姿は無い
…思わず布団に抱きつき、彼女の匂いを探す
さっきまで、彼女がここにいた…
でも…涼子はもういない
そう思うと…涙が止まらない
離れる事がつらいのは分かっていた
でも、この選択肢を選んだ俺は…もう、ただ泣くしかなくて…
涼子に会うために…ただ時間だけが過ぎてくれるのを待つしかない…
窓の外はもう、真っ暗になっている…
642 :
ハルヒ「恋なんて病気よ!精神病の一種よ!」
このセリフが重く思えるな
643 = 539 :
帰りの電車 朝倉
電車の揺れが、私たちの距離を確実に離していく
一駅、また一駅と…私は元いた場所へと帰っていく
数時間後には…私はまたあの街にいる
朝倉「……」
うつむきながら、持っているカバンを抱きしめる
隣には佐々木さんがいて…でも、私から何か話をする気分は起きない
佐々木「…そう言えばさ」
途中、佐々木さんが声をかけてくれる
佐々木「帰る前に…親御さんに連絡しておいた方がいいよ。今家に向かっている事だけさ」
朝倉「そう…ね。乗り換えの駅に着いたら連絡するわ」
佐々木「うん…」
それ以上彼女は会話をしなかった
落ち込んでいる私を気遣ってくれてるのだろう…
電車は相変わらず、揺れている
644 = 539 :
朝倉「じゃあ、ちょっと電話してくるから…」
佐々木「私はホームで待ってるよ」
緑色の…今では珍しい公衆電話に私は向かう
料金を入れて、自宅のダイヤルを押す…
―プルルルルル
朝倉母「もしもし…」
電話にはすぐに出た。懐かしい母親の声…
朝倉「……」
でも私は言葉が出ない
喉の奥がカラカラしてて…緊張のあまり呼吸も出来ていない
朝倉母「もしかして…涼子? 涼子なの…」
少し弱々しい声の母が…私の名前を呼ぶ
朝倉「うん……」
小さく…やっと出た言葉。その一言を返すだけで精一杯だった
朝倉母「ああ、涼子なのね……よかった、今どこにいるの…?」
645 = 539 :
朝倉「今…佐々木さんと駅にいる…今から帰る…」
朝倉母「佐々木さんも…そう。とにかく、早く帰って来なさい…心配かけて全く……」
朝倉「うん……」
電話を切り…私はホームに向かう
言葉通り、佐々木さんは待っていてくれていた
手には…ミルクココアが2つ握られている
佐々木「おかえり。はい、これ…落ち着くよ」
朝倉「……」
その言葉と温かさで……私は泣いてしまう…
646 = 539 :
夜の駅…人通りも多いのに、私は…
また、子供みたいに泣いていた
朝倉「…ヒッ……ヒック……!」
佐々木「…よしよし、よく頑張ったね…」
優しく頭を撫でてくれる彼女の手が…愛しい…あたたかい…
優しい…
―ガタンガタン
朝倉「…」
佐々木「…」
電車の中で、私は自然と彼女に寄り添っていた
彼女の肩に頭をのせて…そのぬくもりに揺られていた
佐々木「電話、大丈夫だった…?」
朝倉「…お母さん、泣いてた」
佐々木「心配だったんだよ…声聞けて安心したんだよ」
朝倉「……」
647 = 539 :
佐々木「…不安?」
朝倉「わからない…自分が今何を考えてるのか、わからないの。キョンの事でも…家族の事でも無いの」
佐々木「…一度に色々な事があったからね。時間をかけてゆっくり考えればいいと思うよ」
朝倉「うん…落ち着いたら…また佐々木さんとも話したいな…」
佐々木「うん…私はいつでも話相手になるよ。朝倉さんが不安に思ってる事…何でも聞くよ」
朝倉「うん…ありがとう…ね」
佐々木「…もう着くみたいだよ」
…荷物を抱え、私たちは電車を出る
キョンから遠く離れ…またこの街に帰ってきた…
何だか、目の前に見える景色が…少し違う気がした…
たった数日しか、この街を離れていないのに
648 = 539 :
―ピンポーン
朝倉母「…はい」
佐々木「夜分遅くにすいません。あの、涼子さんを送りに来ました」
…ガチャン
玄関の扉が勢いよく開く
…少し痩せた感じのお母さんが、私の目の前にいる
朝倉「あ、あの…」
佐々木「彼女が心配だったので…お家まで連れてきました」
言葉を繋いでくれるように、彼女がまず話をしてくれる
朝倉母「佐々木さん…本当にありがとう…涼子…」
朝倉「ん……ありがとう、佐々木さん…」
佐々木「いいんだよ。じゃあ私はこれでね…。お母さん、あまり彼女を…責めないであげて下さいね」
それだけ言い残し、佐々木さんは帰って行った
…残された私は、すぐにリビングに呼ばれた
649 = 539 :
そこには、とても落ち着いた様子の父親が座っていた
怒っているのか、何かを考えているのか…
朝倉父「…座りなさい」
私は言われるままに正座をする
母も一緒に座った
朝倉父「…どこに行ってた?」
朝倉母「涼子…」
朝倉「彼…キョンの所…」
朝倉父「…理由は?」
朝倉「…家出…のつもりだった」
朝倉父「…電話を制限したから?」
朝倉「ううん…とにかく近くに行きたかった……」
朝倉「今考えると…不満があったわけじゃないの…でも、会いたくて…待てなくて…」
朝倉父「そう…か。向こうの親御さんは?」
朝倉「事情は…知らない。こっそり会ってたから……」
650 = 539 :
淡々と…会話が続いていく
頭ごなしに叱られるかと思っていたが…雰囲気はとても静かで、口調も落ち着いていた
私は正直に…聞かれた事に答えていった
朝倉「…」
朝倉父「…あまり、唐突な事はするな。若いだけじゃ、認めて貰えない罪もある」
朝倉「…」
朝倉父「今日はもう遅いから…休みなさい」
その日は、それで部屋に帰された
あの怒りやすい父親から…思ったほど怒られる事が無かった…
それが私にとって一番の不思議だった
朝倉「あ…」
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