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鶴屋「いやぁ、実は鶴屋さんも、ちょこっと興味があるんだよ。遠距離恋愛って、どんなかなぁ、って」
キョン「鶴屋さん…」
朝比奈「わ…私も個人的に…聞いてみたいなあ…なんて…」
キョン「…はぁ…」
みんなの目は一斉に俺の方を向いている
俺だけは、涼子がいる押し入れの方向…
朝倉『……』
長門「……」
ちょうど、長門の後ろにいる、姿の見えない涼子の方を向いていた
キョン「やれやれ……」
観念して俺は…少しずつだが、涼子との恋愛模様を話す事にした
鶴屋「それでそれで…どんな恋愛なんだい!」
朝比奈「や、やっぱり大変なんですか? どうなんですか!」
…心なしか、鶴屋さんと朝比奈さんが興奮している
キョン「鶴屋さん…」
朝比奈「わ…私も個人的に…聞いてみたいなあ…なんて…」
キョン「…はぁ…」
みんなの目は一斉に俺の方を向いている
俺だけは、涼子がいる押し入れの方向…
朝倉『……』
長門「……」
ちょうど、長門の後ろにいる、姿の見えない涼子の方を向いていた
キョン「やれやれ……」
観念して俺は…少しずつだが、涼子との恋愛模様を話す事にした
鶴屋「それでそれで…どんな恋愛なんだい!」
朝比奈「や、やっぱり大変なんですか? どうなんですか!」
…心なしか、鶴屋さんと朝比奈さんが興奮している
キョン「大変…確かに、大変かもしれませんね。あまり会えないですし…」
鶴屋「会う時は?」
キョン「お互い真ん中の距離の駅で…朝早くに出掛けて、夕方帰ってきますね」
ハルヒ「SOS団の活動も、それくらい熱心だと助かるんだけど?」
谷口「ままま、おさえて涼宮さん。で…クリスマスはお泊まりしたのか?」
キョン「は…何でお泊まりなんだよ」
古泉「…出掛けた時間を考えると、帰ってこられる可能性が見えなかったので…そういう会話になったんですよ」
キョン「勝手な事を…。その日は……」
ハルヒ「……」
ハルヒの事がチラッと頭をよぎってしまい…言葉につまる
鶴屋「や、やっぱりお泊まりだったのかい!」
朝比奈「大胆ですぅ…」
鶴屋「会う時は?」
キョン「お互い真ん中の距離の駅で…朝早くに出掛けて、夕方帰ってきますね」
ハルヒ「SOS団の活動も、それくらい熱心だと助かるんだけど?」
谷口「ままま、おさえて涼宮さん。で…クリスマスはお泊まりしたのか?」
キョン「は…何でお泊まりなんだよ」
古泉「…出掛けた時間を考えると、帰ってこられる可能性が見えなかったので…そういう会話になったんですよ」
キョン「勝手な事を…。その日は……」
ハルヒ「……」
ハルヒの事がチラッと頭をよぎってしまい…言葉につまる
鶴屋「や、やっぱりお泊まりだったのかい!」
朝比奈「大胆ですぅ…」
キョン「…ちゃんと、帰ってきましたよ。終電ギリギリでしたけど、ね」
国木田「ははっ、残念だったね谷口」
谷口「チッ…」
ハルヒ「……」
鶴屋「…その薬指のそれ。その時彼女からもらったプレゼントかい?」
鶴屋さんが、俺の左手を指差して言ってくる
キョン「ああ…これは俺があげたんですよ。その…ペアリングって…やつで……」
ハルヒ「……!」
谷口「学校でも、いつもつけてるもんな、それ」
キョン「…外す事に、段々抵抗が出てきてな」
古泉「体の一部、という感じですよね」
谷口「はぁ…俺もそんな大事な彼女が欲しいもんだぜ…」
国木田「まずは相手から探さないとね」
鶴屋「ふふっ…仲よくやってるみたいだね、キョン君」
ハルヒ「……」
国木田「ははっ、残念だったね谷口」
谷口「チッ…」
ハルヒ「……」
鶴屋「…その薬指のそれ。その時彼女からもらったプレゼントかい?」
鶴屋さんが、俺の左手を指差して言ってくる
キョン「ああ…これは俺があげたんですよ。その…ペアリングって…やつで……」
ハルヒ「……!」
谷口「学校でも、いつもつけてるもんな、それ」
キョン「…外す事に、段々抵抗が出てきてな」
古泉「体の一部、という感じですよね」
谷口「はぁ…俺もそんな大事な彼女が欲しいもんだぜ…」
国木田「まずは相手から探さないとね」
鶴屋「ふふっ…仲よくやってるみたいだね、キョン君」
ハルヒ「……」
そんなこんなで、時間は過ぎていく…涼子も、無音で押し入れに入ったまま…このまま平和に終わりそうだ
ハルヒ「そろそろ…帰る時間かしらね」
谷口「聞きたい事…まだあったのにな…」
国木田「また、次の機会でいいじゃないの?」
キョン(次があってたまるか……)
鶴屋「ふふっ、またこのメンバーで尋問っさね」
古泉「では…これで失礼しますよ?」
長門「……」
ぞろぞろと…みんな部屋を出ていく
キョン「…見送りするか。涼子、もう少しま……」
ハルヒ「…何、一人で喋ってるのよ」
キョン「うおっ!」
ハルヒだけが一人…部屋に戻ってきている
今のを聞かれただろうか…?
ハルヒ「そろそろ…帰る時間かしらね」
谷口「聞きたい事…まだあったのにな…」
国木田「また、次の機会でいいじゃないの?」
キョン(次があってたまるか……)
鶴屋「ふふっ、またこのメンバーで尋問っさね」
古泉「では…これで失礼しますよ?」
長門「……」
ぞろぞろと…みんな部屋を出ていく
キョン「…見送りするか。涼子、もう少しま……」
ハルヒ「…何、一人で喋ってるのよ」
キョン「うおっ!」
ハルヒだけが一人…部屋に戻ってきている
今のを聞かれただろうか…?
キョン「なんだハルヒ…忘れ物でもしたか? ん?」
焦っている…早口で訪ねてしまう
ハルヒ「ちょっと…話したい事があっただけよ。みんなの前だと…ちょっとね」
キョン「…何だよ、話したい事って」
先ほどの会話は、気にしていない様子らしい
ハルヒ「キョンがあれだけ話してくれたから…私も、少しお話……」
キョン「……」
ハルヒ「えっとね…クリスマスの日に、会ったわよね。あの時…私すごい嬉しかったんだよ…」
キョン「……!」
朝倉『……』
ハルヒ「本当はクリスマス会なんて夜9時くらいに終わって…ずっと電車待ってて…でも、キョンが来なくて…」
ハルヒ「なんで自分で…もあんな時間まで駅にいたかなんてわからないのよ…! 会いたいって願ったら…キョンがタクシーからおりてきて…それで……」
焦っている…早口で訪ねてしまう
ハルヒ「ちょっと…話したい事があっただけよ。みんなの前だと…ちょっとね」
キョン「…何だよ、話したい事って」
先ほどの会話は、気にしていない様子らしい
ハルヒ「キョンがあれだけ話してくれたから…私も、少しお話……」
キョン「……」
ハルヒ「えっとね…クリスマスの日に、会ったわよね。あの時…私すごい嬉しかったんだよ…」
キョン「……!」
朝倉『……』
ハルヒ「本当はクリスマス会なんて夜9時くらいに終わって…ずっと電車待ってて…でも、キョンが来なくて…」
ハルヒ「なんで自分で…もあんな時間まで駅にいたかなんてわからないのよ…! 会いたいって願ったら…キョンがタクシーからおりてきて…それで……」
朝6時に起きなきゃいけないのにどうしてくれる
続きが気になって眠れたもんじゃない
続きが気になって眠れたもんじゃない
ハルヒも、焦っているのか知らないが…言葉がとても多くなっている
ハルヒ「…その指輪だって、朝倉涼子から貰ったとばかり…思ってた…だから、見た瞬間…」
キョン「渡すのを…戸惑ったと…?」
ハルヒ「…なんか、悔しかった。わかってたのに…キョンには恋人がいるってわかってたのに…やっぱり…実際に付き合っている形を見ちゃうと…」
キョン「……」
ハルヒ「バカみたいよね…。プレゼントしたいって思ってたのに、結局…渡せなくて、そのまま…」
キョン「あのさ、ハルヒ……」
ハルヒ「でもね! いいのよ、もう…キョンの気持ちを聞けたから…私も…思ってる事今言えたから…」
ハルヒ「…その指輪だって、朝倉涼子から貰ったとばかり…思ってた…だから、見た瞬間…」
キョン「渡すのを…戸惑ったと…?」
ハルヒ「…なんか、悔しかった。わかってたのに…キョンには恋人がいるってわかってたのに…やっぱり…実際に付き合っている形を見ちゃうと…」
キョン「……」
ハルヒ「バカみたいよね…。プレゼントしたいって思ってたのに、結局…渡せなくて、そのまま…」
キョン「あのさ、ハルヒ……」
ハルヒ「でもね! いいのよ、もう…キョンの気持ちを聞けたから…私も…思ってる事今言えたから…」
すいません、お早い方はお休み下さい
ここは書きだめしてある部分じゃないんです……
どうしても、時間かかってしまいますので、それだけ…すいません
ここは書きだめしてある部分じゃないんです……
どうしても、時間かかってしまいますので、それだけ…すいません
クリスマスの彼女の独白…
多分、俺だけに伝えたかった事を…もう一人が聞いてしまっている…
ハルヒ「ねえ…もう一回だけ聞かせて? あなたは…朝倉涼子が好き?」
…それはとてもシンプルで…胸に響く質問だった
キョン「ああ…俺は朝倉涼子が好きだ…。今は…涼子しか見えないんだ…」
涼子『……』
ハルヒ「…うん、ありがとう…しっかり聞いたから…ね?」
キョン「ああ……」
ハルヒ「じゃあ…私も行くわ。みんなを待たせているしね…」
キョン「気をつけて帰れよ。今日はお見舞い、ありがとう…な」
ハルヒ「どういたしまして。元気になって学校来なさいよ」
彼女はしっかりした足取りで出口に向かっていく…
ハルヒ「あ、それと……」
キョン「まだ何かあるのか?」
多分、俺だけに伝えたかった事を…もう一人が聞いてしまっている…
ハルヒ「ねえ…もう一回だけ聞かせて? あなたは…朝倉涼子が好き?」
…それはとてもシンプルで…胸に響く質問だった
キョン「ああ…俺は朝倉涼子が好きだ…。今は…涼子しか見えないんだ…」
涼子『……』
ハルヒ「…うん、ありがとう…しっかり聞いたから…ね?」
キョン「ああ……」
ハルヒ「じゃあ…私も行くわ。みんなを待たせているしね…」
キョン「気をつけて帰れよ。今日はお見舞い、ありがとう…な」
ハルヒ「どういたしまして。元気になって学校来なさいよ」
彼女はしっかりした足取りで出口に向かっていく…
ハルヒ「あ、それと……」
キョン「まだ何かあるのか?」
ありがとうございます、の一言です
ハルヒの足が…途中でピタッと止まる
ハルヒ「…彼女にも、ごめんなさいって、一応謝っておくわね」
キョン「彼女……?」
ハルヒ「押し入れの中の彼女よ? 古泉君がちゃんと連絡していれば、私たちがみんなで来る事はなかったんですもの」
押し入れ…ハルヒはピンポイントで場所を言い当てる…
キョン「…なんで、知ってるんだよ…?」
ハルヒ「部屋に入った瞬間…女の子の匂いがしたのよ。意外と部屋に残るのよ?」
キョン「そ、そんな…」
ハルヒ「それにアンタ…押し入れ見すぎ。そわそわした様子でさ…最初はあまり気にしなかったけど…朝倉涼子の話題が出るたびに…」
キョン「……」
ハルヒの足が…途中でピタッと止まる
ハルヒ「…彼女にも、ごめんなさいって、一応謝っておくわね」
キョン「彼女……?」
ハルヒ「押し入れの中の彼女よ? 古泉君がちゃんと連絡していれば、私たちがみんなで来る事はなかったんですもの」
押し入れ…ハルヒはピンポイントで場所を言い当てる…
キョン「…なんで、知ってるんだよ…?」
ハルヒ「部屋に入った瞬間…女の子の匂いがしたのよ。意外と部屋に残るのよ?」
キョン「そ、そんな…」
ハルヒ「それにアンタ…押し入れ見すぎ。そわそわした様子でさ…最初はあまり気にしなかったけど…朝倉涼子の話題が出るたびに…」
キョン「……」
ハルヒ「ふっ…アハハッ! 冗談よ!」
そう笑いながら…優しい笑顔でこっちを見つめてくる
ハルヒ「最初の匂いと押し入れも気になったけど…さっきの会話聞いちゃったのよ。それで確信になって、ね?」
キョン「…マジかよ…」
ハルヒ「ちょっと…フザケすぎたわね、ごめん。でもね…彼女にもちょっと聞いて欲しかったの、私の気持ち…」
朝倉『……』
ハルヒ「あなたがここにいる理由はわからないけど…よっぽどキョンに会いたいから、ここにいるのよね」
キョン「ハルヒ……」
ハルヒ「クリスマスの日にできなかった、お泊まりできてよかったじゃない。お幸せに…ね? 嫌みなんかじゃないわよ? これも本音…」
そう笑いながら…優しい笑顔でこっちを見つめてくる
ハルヒ「最初の匂いと押し入れも気になったけど…さっきの会話聞いちゃったのよ。それで確信になって、ね?」
キョン「…マジかよ…」
ハルヒ「ちょっと…フザケすぎたわね、ごめん。でもね…彼女にもちょっと聞いて欲しかったの、私の気持ち…」
朝倉『……』
ハルヒ「あなたがここにいる理由はわからないけど…よっぽどキョンに会いたいから、ここにいるのよね」
キョン「ハルヒ……」
ハルヒ「クリスマスの日にできなかった、お泊まりできてよかったじゃない。お幸せに…ね? 嫌みなんかじゃないわよ? これも本音…」
キョン「泊まりまで…わかるのか?」
ハルヒ「…机の上のドライヤーと、女の子用の髪櫛。櫛はカバンに大抵しまうもの…出しっぱなしなのは、日常的に使っている証拠よ」
キョン「片付け忘れた…俺も迂闊だったよ」
ハルヒ「ま…細かい事は聞かないわ。じゃあ…またね、キョン。さよなら、朝倉さん」
…
今度こそ、ハルヒは行ってしまった…
結局彼女には…涼子が見つかってしまった。話をして…気持ちも全部見せつけられてしまった…
キョン「りょ……」
押し入れの中の名前を途中まで呼んだ時……
長門「……」
キョン「…今度は長門か。何か、話し忘れたことか?」
長門「忘れ物……」
…長門はそう言って、座っていた近くに置いてあった携帯を拾い上げる
ハルヒ「…机の上のドライヤーと、女の子用の髪櫛。櫛はカバンに大抵しまうもの…出しっぱなしなのは、日常的に使っている証拠よ」
キョン「片付け忘れた…俺も迂闊だったよ」
ハルヒ「ま…細かい事は聞かないわ。じゃあ…またね、キョン。さよなら、朝倉さん」
…
今度こそ、ハルヒは行ってしまった…
結局彼女には…涼子が見つかってしまった。話をして…気持ちも全部見せつけられてしまった…
キョン「りょ……」
押し入れの中の名前を途中まで呼んだ時……
長門「……」
キョン「…今度は長門か。何か、話し忘れたことか?」
長門「忘れ物……」
…長門はそう言って、座っていた近くに置いてあった携帯を拾い上げる
長門「この、携帯電話を…」
涼子『……』
キョン「…そうか。長門も…知っているんだろ?」
長門「……」コク
キョン「そうだよな…わざわざ押し入れの近くに座ってくれたんだ…」
長門「あなたたちの恋愛に口を挟む気は無い…本人同士の気持ちが何より大事……」
キョン「ああ…ありが…」
長門「でも…彼女は携帯電話と一緒に、大切な物を忘れてきた気がする…」
キョン「忘れ…物? なんだよ、それは…」
―バンッ
涼子「私が、何を忘れてきたって言うのよ?」
キョン「涼子…!」
彼女が、押し入れから出てくる…
冷たい…氷のような表情で、長門の事を見ている…
涼子『……』
キョン「…そうか。長門も…知っているんだろ?」
長門「……」コク
キョン「そうだよな…わざわざ押し入れの近くに座ってくれたんだ…」
長門「あなたたちの恋愛に口を挟む気は無い…本人同士の気持ちが何より大事……」
キョン「ああ…ありが…」
長門「でも…彼女は携帯電話と一緒に、大切な物を忘れてきた気がする…」
キョン「忘れ…物? なんだよ、それは…」
―バンッ
涼子「私が、何を忘れてきたって言うのよ?」
キョン「涼子…!」
彼女が、押し入れから出てくる…
冷たい…氷のような表情で、長門の事を見ている…
長門「……」
朝倉「…私には、その忘れてきた物がわからない。長門さんはそれを知っているの?」
長門「話を聞いただけだから…はっきりとはわからない…でもそれは…」
長門「多分、2人にとって…大切な忘れ物…」
キョン「俺たちに…?」
朝倉「……」
長門「それだけ…さよなら……」
キョン「ま、待てよ長門…」
彼女は振り返らずに…そのまま部屋を出てしまう
さっきまで大勢いた人間が、今はただの2人…
扉を閉めて…この部屋はまた、また2人だけの閉鎖された空間に戻っていった
朝倉「…私には、その忘れてきた物がわからない。長門さんはそれを知っているの?」
長門「話を聞いただけだから…はっきりとはわからない…でもそれは…」
長門「多分、2人にとって…大切な忘れ物…」
キョン「俺たちに…?」
朝倉「……」
長門「それだけ…さよなら……」
キョン「ま、待てよ長門…」
彼女は振り返らずに…そのまま部屋を出てしまう
さっきまで大勢いた人間が、今はただの2人…
扉を閉めて…この部屋はまた、また2人だけの閉鎖された空間に戻っていった
深夜
布団でまた俺たちは眠っている
二人とも、同じ天井を見つめて…多分、同じ事を考えている
朝倉「ねえキョン…長門さんの言ったこと…」
キョン「ん……」
やっぱり、同じみたいだ
朝倉「忘れ物…何なんだろうね?」
キョン「俺も少し考えたんだ…でも、全くわからない…」
朝倉「そうよね…。携帯電話…あとは、両親…?」
キョン「親…そうなのかな…?」
忘れ物…抽象的すぎるその言葉は、俺たちの頭の中でずっとぐるぐると回っていた
布団でまた俺たちは眠っている
二人とも、同じ天井を見つめて…多分、同じ事を考えている
朝倉「ねえキョン…長門さんの言ったこと…」
キョン「ん……」
やっぱり、同じみたいだ
朝倉「忘れ物…何なんだろうね?」
キョン「俺も少し考えたんだ…でも、全くわからない…」
朝倉「そうよね…。携帯電話…あとは、両親…?」
キョン「親…そうなのかな…?」
忘れ物…抽象的すぎるその言葉は、俺たちの頭の中でずっとぐるぐると回っていた
考えてもわからない…哲学のような…
いや、多分答えはちゃんとあるんだ…
長門はそれをわかっているようだった…
自分で勝手に哲学にして、わからない答えを誤魔化しているだけだ…
朝倉「いつか…わかるのかな?」
キョン「わからない…でも、二人にとって大切な物なら…二人で考えていけば、いつか見つかるさ…多分な」
朝倉「キョン……」
ギュッと…彼女が暗闇の中で手を握ってくる
そろそろ眠気も襲ってくる…
見えない答えを探すのをやめて…俺たちは夢の中に旅立っていった…
いや、多分答えはちゃんとあるんだ…
長門はそれをわかっているようだった…
自分で勝手に哲学にして、わからない答えを誤魔化しているだけだ…
朝倉「いつか…わかるのかな?」
キョン「わからない…でも、二人にとって大切な物なら…二人で考えていけば、いつか見つかるさ…多分な」
朝倉「キョン……」
ギュッと…彼女が暗闇の中で手を握ってくる
そろそろ眠気も襲ってくる…
見えない答えを探すのをやめて…俺たちは夢の中に旅立っていった…
5月5日(木) 佐々木
この3日間…ずっと胸がざわざわしている
不安定な気持ちは相変わらずだ
佐々木「ふぅ…」
やはりメールも電話も、返っては来ない
佐々木「…どうしようかな」
迷っている、自分は…何をどうするか
彼女のために何をすれば一番いいのか
自分の気持ちをどう行動にうつせばいいのか…わからない
佐々木「ああ…遠距離恋愛ってこんな気持ちなのかな」
歩いて行ける場所に彼女はいない
佐々木「それなら…手の届く距離まで…」
佐々木「私に…それができるの? 私がそれを…していいの?」
この3日間…ずっと胸がざわざわしている
不安定な気持ちは相変わらずだ
佐々木「ふぅ…」
やはりメールも電話も、返っては来ない
佐々木「…どうしようかな」
迷っている、自分は…何をどうするか
彼女のために何をすれば一番いいのか
自分の気持ちをどう行動にうつせばいいのか…わからない
佐々木「ああ…遠距離恋愛ってこんな気持ちなのかな」
歩いて行ける場所に彼女はいない
佐々木「それなら…手の届く距離まで…」
佐々木「私に…それができるの? 私がそれを…していいの?」
5月6日(金) キョン
3連休も終わり…今日から学校だ
布団の中にいる涼子を横目に、俺は学校へ向かう準備をする
キョン「…じゃあ、いってくるよ涼子」
朝倉「ん…いってらっしゃい…」
布団の中から、彼女は唇をんー、とつき出す
キョン「…ほら、いってきます」
―チュ
朝倉「うん…いってらっしゃい」
彼女は満足そうに、また布団の中へ潜っていった
キョン「ああ…いってきます」
あれから、俺と涼子でずっと忘れ物について考えていた…
キョン(2日でわかるはずもない…か)
ただ学校に行って、涼子の待っている部屋に帰る…俺の今の生活は、これだけだった
3連休も終わり…今日から学校だ
布団の中にいる涼子を横目に、俺は学校へ向かう準備をする
キョン「…じゃあ、いってくるよ涼子」
朝倉「ん…いってらっしゃい…」
布団の中から、彼女は唇をんー、とつき出す
キョン「…ほら、いってきます」
―チュ
朝倉「うん…いってらっしゃい」
彼女は満足そうに、また布団の中へ潜っていった
キョン「ああ…いってきます」
あれから、俺と涼子でずっと忘れ物について考えていた…
キョン(2日でわかるはずもない…か)
ただ学校に行って、涼子の待っている部屋に帰る…俺の今の生活は、これだけだった
女子校 佐々木
始業時間前…3日ぶりの学校
私はまだこの街にいる
もしかしたら、彼女が帰ってきているのかもしれない
そんな期待を抱いていた
…私は、まだ気持ちのどこかで臆病だったんだろう
朝のホームルームで、彼女…朝倉涼子の名前が呼ばれる
しかしその席に彼女はいない
欠席理由は、軽い風邪と先生は言っていた
自分の隣に彼女がいない
恋愛的な意味合いとは違うけど、彼女がこの空間にいないのが堪らなく不安だった
佐々木「やっとわかったよ…私も、バカみたいだね」
ホームルームの途中…席を立ち上がり、発言する
佐々木「先生、大事な用ができたので早退させて下さい」
始業時間前…3日ぶりの学校
私はまだこの街にいる
もしかしたら、彼女が帰ってきているのかもしれない
そんな期待を抱いていた
…私は、まだ気持ちのどこかで臆病だったんだろう
朝のホームルームで、彼女…朝倉涼子の名前が呼ばれる
しかしその席に彼女はいない
欠席理由は、軽い風邪と先生は言っていた
自分の隣に彼女がいない
恋愛的な意味合いとは違うけど、彼女がこの空間にいないのが堪らなく不安だった
佐々木「やっとわかったよ…私も、バカみたいだね」
ホームルームの途中…席を立ち上がり、発言する
佐々木「先生、大事な用ができたので早退させて下さい」
朝倉ずっと家出なのか
てっきり連休が終わると帰ると思っていた
てっきり連休が終わると帰ると思っていた
佐々木さんの事調べたら、確かに男性には僕で、女性には私と、女言葉で…とありましたね
色々曖昧でしたね、失礼しました
気が付くと、私は電車に乗っていた
今から、とてもとても遠い…自分にとっては懐かしいあの街に向かう電車に…
学校のある日に、こんな風に電車に乗って何処かへ行く
何かから解放された、まるで旅のような気分だった
彼女に会いに行く…小さな旅
佐々木(…ここからどれくらいで着くんだろうね)
まだ電車は走り出したばかり…
知らない駅を、私の鼓動は駆け抜けていく…
色々曖昧でしたね、失礼しました
気が付くと、私は電車に乗っていた
今から、とてもとても遠い…自分にとっては懐かしいあの街に向かう電車に…
学校のある日に、こんな風に電車に乗って何処かへ行く
何かから解放された、まるで旅のような気分だった
彼女に会いに行く…小さな旅
佐々木(…ここからどれくらいで着くんだろうね)
まだ電車は走り出したばかり…
知らない駅を、私の鼓動は駆け抜けていく…
高校生の頃は好きな相手がいりゃあどんな問題でもなんとかなるって思ってたな
北高 キョン
キョン「…まだ昼、か」
ハルヒ「今日またいな日は、もうお昼休みって言うんじゃないの?」
今日は特別に、学校に流れる時間がゆっくりな気がする
それもこれも…部屋で涼子が待っている事が全ての原因だろう
キョン「ハルヒとは、時間のベクトルが違うんだ」
ハルヒ「え、何々? なんか不思議な話かしら?」
キョン「…わかって聞いてらっしゃいます? ハルヒさん」
ハルヒ「あら…何か身に覚えがあるのかしら? 朝倉さん」
キョン「ハ、ハハッ…」
ハルヒ「…クスッ」
気持ちをぶつけて話した彼女とは…なんだか、少し打ち解けた気がした
だから、今はこんな冗談も言える
ハルヒ「…クスッ」
この冷たい笑い…本当に冗談か?
キョン「…まだ昼、か」
ハルヒ「今日またいな日は、もうお昼休みって言うんじゃないの?」
今日は特別に、学校に流れる時間がゆっくりな気がする
それもこれも…部屋で涼子が待っている事が全ての原因だろう
キョン「ハルヒとは、時間のベクトルが違うんだ」
ハルヒ「え、何々? なんか不思議な話かしら?」
キョン「…わかって聞いてらっしゃいます? ハルヒさん」
ハルヒ「あら…何か身に覚えがあるのかしら? 朝倉さん」
キョン「ハ、ハハッ…」
ハルヒ「…クスッ」
気持ちをぶつけて話した彼女とは…なんだか、少し打ち解けた気がした
だから、今はこんな冗談も言える
ハルヒ「…クスッ」
この冷たい笑い…本当に冗談か?
16時過ぎ キョン宅 朝倉
―ペラ
家から持ってきた小説を1ページ…また1ページとめくっていく
部屋から出る事が出来ない生活…行動が制限されている…
でもそれは自分から望んだこと、何より…
キョンの部屋にずっといられる幸福
朝倉「キョン…」
思わず名前を呼ぶ…もうすぐで彼が帰ってくる…
―ペラ
家から持ってきた小説を1ページ…また1ページとめくっていく
部屋から出る事が出来ない生活…行動が制限されている…
でもそれは自分から望んだこと、何より…
キョンの部屋にずっといられる幸福
朝倉「キョン…」
思わず名前を呼ぶ…もうすぐで彼が帰ってくる…
―ガチャリ
遠くで…玄関の扉が開いた音が聞こえる
朝倉「あ…帰ってきたのかな…!」
胸が高鳴る
学校から帰って来るキョンの姿が待ち遠しくて…
思わず正座して待ってしまう
―ガチャリ
朝倉「おか…え……?」
佐々木「くつくつ…やっぱり此処にいたね」
そこにいるべき彼の姿では無く…いるはずの無い彼女の姿…
朝倉「佐々木…さん? どうしてここに……」
佐々木「君を連れ戻しに来たんだ」
彼女は力強く…凛と答える
その真っ直ぐな瞳を、私は直視する事ができない
遠くで…玄関の扉が開いた音が聞こえる
朝倉「あ…帰ってきたのかな…!」
胸が高鳴る
学校から帰って来るキョンの姿が待ち遠しくて…
思わず正座して待ってしまう
―ガチャリ
朝倉「おか…え……?」
佐々木「くつくつ…やっぱり此処にいたね」
そこにいるべき彼の姿では無く…いるはずの無い彼女の姿…
朝倉「佐々木…さん? どうしてここに……」
佐々木「君を連れ戻しに来たんだ」
彼女は力強く…凛と答える
その真っ直ぐな瞳を、私は直視する事ができない
朝倉「…嫌よ。私は帰らない」
佐々木「ふぅ…好きになったら、ってヤツなんだろうけどさ…」
スッと、彼女は目の前に座る
近すぎもなく、遠すぎもせず…そんな距離に…
朝倉「そうよ…私はキョンが好き。離れたくないのよ…もうつらい思いはしたくないの…」
佐々木「好きな人の側にいられれば、それで幸せかい?」
朝倉「ええ、幸せよ…!」
威圧感に負けないよう力強く答えたつもりだけど…自分の声は震えている
佐々木「こんな小さな部屋に一人で…ただ待ち続けるだけの生活でも?」
朝倉「キョンがいるもの…」
佐々木「……」
しばらく沈黙が続いた
―ガチャリ
「ただいまー」
また遠くから声がする…キョンの声…
佐々木「ふぅ…好きになったら、ってヤツなんだろうけどさ…」
スッと、彼女は目の前に座る
近すぎもなく、遠すぎもせず…そんな距離に…
朝倉「そうよ…私はキョンが好き。離れたくないのよ…もうつらい思いはしたくないの…」
佐々木「好きな人の側にいられれば、それで幸せかい?」
朝倉「ええ、幸せよ…!」
威圧感に負けないよう力強く答えたつもりだけど…自分の声は震えている
佐々木「こんな小さな部屋に一人で…ただ待ち続けるだけの生活でも?」
朝倉「キョンがいるもの…」
佐々木「……」
しばらく沈黙が続いた
―ガチャリ
「ただいまー」
また遠くから声がする…キョンの声…
同時刻 キョン
キョン「ただいまー」
…急ぎ足で家まで帰ってきた
早く部屋に戻りたい。そう思う気持ちを遮るよう、母親が声をかけてくる
キョン母「あら、おかえり。あのね、女の子が……」
キョン「!!」
キョン母「…何びっくりしてるのよ。女の子が部屋で待ってるわよ。会う約束してるなら、遅れちゃダメじゃない」
…約束? 女の子が待っている?
キョン「女の子って…誰が?」
キョン母「誰って…ショートカットの…何て言ったかしら、忘れちゃったけど」
キョン(ショートカット? 長門?)
この時点で、涼子の姿では無い事に気付く
キョン(会ってみればわかるか…)
母親との会話もそこそこに、俺は部屋に向かった
キョン「ただいまー」
…急ぎ足で家まで帰ってきた
早く部屋に戻りたい。そう思う気持ちを遮るよう、母親が声をかけてくる
キョン母「あら、おかえり。あのね、女の子が……」
キョン「!!」
キョン母「…何びっくりしてるのよ。女の子が部屋で待ってるわよ。会う約束してるなら、遅れちゃダメじゃない」
…約束? 女の子が待っている?
キョン「女の子って…誰が?」
キョン母「誰って…ショートカットの…何て言ったかしら、忘れちゃったけど」
キョン(ショートカット? 長門?)
この時点で、涼子の姿では無い事に気付く
キョン(会ってみればわかるか…)
母親との会話もそこそこに、俺は部屋に向かった
―ガチャリ
キョン「……!」
朝倉「キョン…」
佐々木「やあ……」
キョン「佐々木…か?」
久しぶりに会う彼女…雰囲気は少し大人びたような…綺麗になったような…
そして、女子高の制服を着ている彼女の姿…
佐々木「お邪魔しているよ」
キョン「待っている女の子って、佐々木だったのか」
佐々木「…待ち合わせの約束なんて、嘘は使っちゃったけどね」
キョン「それはどうでもいい。なんで佐々木がここにいるんだ?」
佐々木「僕が逆に聞きたいよ。どうして朝倉さんがキョンの部屋にいるんだい? 彼女は学校にも行かずに…」
キョン「……!」
朝倉「キョン…」
佐々木「やあ……」
キョン「佐々木…か?」
久しぶりに会う彼女…雰囲気は少し大人びたような…綺麗になったような…
そして、女子高の制服を着ている彼女の姿…
佐々木「お邪魔しているよ」
キョン「待っている女の子って、佐々木だったのか」
佐々木「…待ち合わせの約束なんて、嘘は使っちゃったけどね」
キョン「それはどうでもいい。なんで佐々木がここにいるんだ?」
佐々木「僕が逆に聞きたいよ。どうして朝倉さんがキョンの部屋にいるんだい? 彼女は学校にも行かずに…」
キョン「家出…だから……」
佐々木「家出ね…確かに彼女は自宅を離れてこんな遠くにいる。でもこの様子はまるで…監禁だね…?」
キョン「……」
朝倉「私は自分の考えでここにいる…そんな言葉使わないで…」
俺たちに構わず、佐々木は言葉を続ける
佐々木「朝倉さんは…さっき言ったよね。キョンがいるからこんな生活でも幸せだ、と」
朝倉「幸せよ…だって一緒にいられるんですもの」
佐々木「じゃあ…キョンは幸せなのかい?」
キョン「…俺だって、近くにいられれば幸せだ」
佐々木「……」
ふうっ、と彼女はため息をついて…
もう一度、俺たちをじっと見つめてきた
佐々木「家出ね…確かに彼女は自宅を離れてこんな遠くにいる。でもこの様子はまるで…監禁だね…?」
キョン「……」
朝倉「私は自分の考えでここにいる…そんな言葉使わないで…」
俺たちに構わず、佐々木は言葉を続ける
佐々木「朝倉さんは…さっき言ったよね。キョンがいるからこんな生活でも幸せだ、と」
朝倉「幸せよ…だって一緒にいられるんですもの」
佐々木「じゃあ…キョンは幸せなのかい?」
キョン「…俺だって、近くにいられれば幸せだ」
佐々木「……」
ふうっ、と彼女はため息をついて…
もう一度、俺たちをじっと見つめてきた
佐々木「確かに…今は幸せかもしれないね。でも、この恋愛に未来はあるの…?」
「……!」
佐々木「…もし彼女が家族に見つかってしまったら? 見つからなくても、後1年もしたらキョンは卒業して…彼女はまだこの部屋にいるの?」
朝倉「……」
キョン「…俺も家出するつもりだ」
口から出任せではない…本当にそういう話はしていた
佐々木「へえ…愛し合う2人が家出…駆け落ちだね。そのお金は? 最低50…いや、100万は無いと無謀だと思うよ…」
ただ…
具体的な計画なんて何もたててはいないんだ…
「……!」
佐々木「…もし彼女が家族に見つかってしまったら? 見つからなくても、後1年もしたらキョンは卒業して…彼女はまだこの部屋にいるの?」
朝倉「……」
キョン「…俺も家出するつもりだ」
口から出任せではない…本当にそういう話はしていた
佐々木「へえ…愛し合う2人が家出…駆け落ちだね。そのお金は? 最低50…いや、100万は無いと無謀だと思うよ…」
ただ…
具体的な計画なんて何もたててはいないんだ…
佐々木「それに、僕たち未成年に住む場所を貸してくれる会社なんて…まず無いだろうね」
さっきから…佐々木の言う事は最もだ
確かに俺たちの幸せは、刹那的なものかもしれない
でも今は…その刹那が欲しいんだ…
キョン「俺たちは……」
でも、それを上手く言葉には出来ない
佐々木「ねえ…学校や家族、それこそ…全てを捨ててまで…君たちは一緒になりたいの?」
佐々木「そんなに、未来に絶望しているの?」
朝倉「未来…」
佐々木「そうだよ…このまま大人になっても、周りは誰も祝福してくれない。それならば…今は少し寂しくても…自分の場所で生きるしかないじゃない……」
さっきから…佐々木の言う事は最もだ
確かに俺たちの幸せは、刹那的なものかもしれない
でも今は…その刹那が欲しいんだ…
キョン「俺たちは……」
でも、それを上手く言葉には出来ない
佐々木「ねえ…学校や家族、それこそ…全てを捨ててまで…君たちは一緒になりたいの?」
佐々木「そんなに、未来に絶望しているの?」
朝倉「未来…」
佐々木「そうだよ…このまま大人になっても、周りは誰も祝福してくれない。それならば…今は少し寂しくても…自分の場所で生きるしかないじゃない……」
キョン「……」
佐々木「二人が欲しいのは…明日だけの幸せじゃないでしょ?」
言われれば…思い知る
言われなくても、多分俺たちにはわかっていた…
この家出が、どういう形なら成功と言えるのか…
分かれ道が何百通りもあって…本当はそのうちのどれかが明るい未来の…はずなんだ
でも俺たちが歩く道は…どこに行っても暗い、そんな道…
キョン「……」
朝倉「キョン…3日間、ありがとう。短かったけど…楽しかった…」
涼子……?
朝倉「キョンと一緒に起きて、ご飯食べて…同じ布団で眠る…幸せだったわ…」
そんな言い方しないでくれ…
朝倉「今はまた離れちゃうけど…もう一度ここに帰って来るから……」
佐々木「朝倉さんは…決めたみたいだね…」
佐々木「二人が欲しいのは…明日だけの幸せじゃないでしょ?」
言われれば…思い知る
言われなくても、多分俺たちにはわかっていた…
この家出が、どういう形なら成功と言えるのか…
分かれ道が何百通りもあって…本当はそのうちのどれかが明るい未来の…はずなんだ
でも俺たちが歩く道は…どこに行っても暗い、そんな道…
キョン「……」
朝倉「キョン…3日間、ありがとう。短かったけど…楽しかった…」
涼子……?
朝倉「キョンと一緒に起きて、ご飯食べて…同じ布団で眠る…幸せだったわ…」
そんな言い方しないでくれ…
朝倉「今はまた離れちゃうけど…もう一度ここに帰って来るから……」
佐々木「朝倉さんは…決めたみたいだね…」
朝倉「キョン…ありがとうね…」
佐々木「…帰ろう。今ならまだ、帰りの電車があるから…」
彼女は荷物をまとめ始め…帰る支度をしている
洋服や美容品…彼女の形がどんどんカバンの中にしまわれていく
俺と佐々木は、ただその姿を見つめているだけだ…
悲しさを感じさせないような、テキパキとした動きの彼女を…
佐々木「キョンも…納得してくれるよね?」
キョン「……」
佐々木は俺に問いかけてくる
キョン「……」
口が一つの塊になったように、俺は喋れない
冗談でも何でもなく…話し方をこの瞬間だけ忘れてしまっている…
佐々木「キョン……?」
もう一度…佐々木が名前を繰り返す…
佐々木「…帰ろう。今ならまだ、帰りの電車があるから…」
彼女は荷物をまとめ始め…帰る支度をしている
洋服や美容品…彼女の形がどんどんカバンの中にしまわれていく
俺と佐々木は、ただその姿を見つめているだけだ…
悲しさを感じさせないような、テキパキとした動きの彼女を…
佐々木「キョンも…納得してくれるよね?」
キョン「……」
佐々木は俺に問いかけてくる
キョン「……」
口が一つの塊になったように、俺は喋れない
冗談でも何でもなく…話し方をこの瞬間だけ忘れてしまっている…
佐々木「キョン……?」
もう一度…佐々木が名前を繰り返す…
自分も出掛けなければいけないので、今朝はここまでです
読んで下さってる方、支援して下さる方、本当にありがとうございます
居残りがなければ夕方早めに再開できると思いますので…
ちゃんと完結はしたいと思ってます
いってらっしゃい、いってきます
読んで下さってる方、支援して下さる方、本当にありがとうございます
居残りがなければ夕方早めに再開できると思いますので…
ちゃんと完結はしたいと思ってます
いってらっしゃい、いってきます
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