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元スレ阿良々木「みんなが僕のことを好きだって?」
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「な………」
戦場ヶ原がデレてからはほとんど言われる機会のなくなった、
久々なバイオレンスな発言である。
「千石、僕、ジョークでもそういうのは嫌だな……」
「ジョークじゃないよ」
ぷう、と可愛らしく頬を膨らませて、僕の妹的存在は不満を表した。
対照的に、僕は脂汗が吹き出るのを感じる。
……なんだこれ。
なんだよこれ!?
心臓が悪い意味でばくばくして落ち着かない。
千石の目にはいつものような怯えた風はなく、
むしろ自信に満ち溢れた妖しさを携えていた。
くいっと吊り上がる口元も、笑みらしい笑みこそ浮かべているが、
狂気と狂喜が滲んでいる。
のこぎりという凶器に反射して写る顔が、歪んで――感情の麻痺した、虫のような笑顔。
「それにしても、予想外だったよ。
お茶に混ぜた睡眠薬、普通もうちょっと効き目が長いはずなんだけどな……」
「睡眠薬って、千石、そんなもの入れたのかよ……」
道理でお茶を飲んだ途端に眠気が襲ってきたわけだ。
ていうか、わざわざ睡眠薬まで用意していたとなると、この一連の流れは、
おそらく千石が電話をしてきた辺りから入念に計画されていたということなのだろう。
嫌な寒気がして、全身の鳥肌が立った。
「やっぱり暦お兄ちゃんの吸血鬼の力なのかな。
睡眠薬が、あんまり効かないのって」
「さ、さあ……どうだろうな……」
のこぎりを持った千石が、一歩ベッドに近付いてくる。
「ちょ、ちょっと待て、千石! 落ち着け、な?」
「撫子は冷静だよ」
「のこぎり持って言われても闘争本能剥き出しにしか見えない!」
「撫子は冷戦だよ」
「冷酷すぎるっ!」
このタイミングでその台詞は怖い。
水面下で火花バチバチじゃねえか。
「り、理由をきかせてくれよ、千石!
なんでこんなことするんだ、僕の足なんか食べても絶対美味くないぞ!」
「た、食べたりなんかしないよ……暦お兄ちゃんは面白いことを言うよね……」
「そいつはどうも!」
おいおい撫子ちゃんが自分でいったとはいえ
睡眠薬を入れたのが撫子ちゃんのわけないだろう
睡眠薬を入れたのが撫子ちゃんのわけないだろう
すると千石は――気付けばもうベッドの傍に立って僕を見下ろしていた千石は、
その瞳に鈍い光をぎらぎらとさせながら、口を開いた。
「だ……だって暦お兄ちゃん、足がなかったらずっと撫子のところにいてくれるでしょ?」
だから切り落とすんだよ、と。
さも当然のことのように、犯行の動機を告げる。
「あ……え……?」
「ううん、分かってるの。撫子、本当はちゃんと分かってるんだ。
暦お兄ちゃんには彼女さんがいるんだよね。
とっても綺麗な人なんだよね。
それに、神原さんみたいなすごくかっこよくて魅力的な後輩さんもいるし、
えっと、なんとかさんっていう委員長さんとも仲がいいって聞いたよ。
ららちゃんと火憐ちゃんにも、撫子じゃ全然適わないし……諦めるしかないと思ってた。
だけどね、撫子、それでも暦お兄ちゃんのこと、諦めたくないの。
だからどうすれば暦お兄ちゃんを、撫子だけの暦お兄ちゃんにできるか考えてたんだよ。
必死で考えてたら、そうしたら……閃いたんだ。
他の女の子に勝てなくても、暦お兄ちゃんをもう二度とここから出れないようにしちゃえば、結局独り占めできるって。
あはは、そうだよ、暦お兄ちゃんは撫子だけの暦お兄ちゃんになるんだよ。
嬉しいな。暦お兄ちゃんも嬉しいでしょ?
だから、他の女の子に会いに行く足なんかいらないよね。
だから切り落とすの。そうだ、他の女の子に今まで触ってきた手もいらないから切り落としちゃっていいよね。
……え? 大丈夫だよ、撫子、止血の仕方も、保健の授業でちゃあーんと勉強したし。
あ、でも暦お兄ちゃんは、吸血鬼だから、切っても治っちゃうんだよね。
任せて、手足が伸びてくる度に、撫子が元の長さに切り揃えてあげる。
お食事とかおトイレとかのお世話も、全部全部ぜぇーんぶ撫子がやってあげる。
撫子、暦お兄ちゃんのだったら全然嫌じゃないよ。
ほ……本当だよ? うん。だからね、暦お兄ちゃんはずっとこの部屋で、
撫子だけの暦お兄ちゃんとして生きればいいの。
撫子だけを好きでいてくれれば、一生一緒にいられるんだよ。
幸せだね。えへへ」
>>363
八九寺の存在を撫子は知らないからしょうがない
八九寺の存在を撫子は知らないからしょうがない
ありゃりゃぎさんが吸血鬼もどきって知ってるのは誰だっけ?
シスターズ以外のヒロインは知ってるんだっけ?
シスターズ以外のヒロインは知ってるんだっけ?
>>368
いいぞもっとやれ
いいぞもっとやれ
「………、……………」
…………………。
…………………。
…………………。
絶、句。
まるで千石が千石でないような、
息をつく暇もないマシンガントークで繰り出された感情の吐露に、
理解がついていかない。
えっと。
千石が僕に睡眠薬を飲ませて。
どこにも行けないように、足を切る?
………はい?
「じょ、冗談はよすんだ、千石。
意味が分からないし、笑えない。
戦場ヶ原や神原や羽川が、どうしたって?」
「撫子以外の女の名前を口にしないでよ暦お兄ちゃんッ!!!」
叫んだ。
千石撫子が、絶叫した。
「お……お前、そんなでかい声出せたのか……」
「暦お兄ちゃんのためなら撫子、大きな声も出すよ。
もう、せっかくこんなに説明してもまだ彼女さんの呪いは解けないんだね」
「の……呪い? なんの話だよ」
「でも心配しないで、撫子が暦お兄ちゃんを助けてあげる。
暦お兄ちゃんの足を落としたら、
きちんと彼女さんも神原さんも委員長さんもららちゃんも火憐ちゃんも――みんな仲良くあの世に送ってあげるの。
そうすれば、暦お兄ちゃんももう間違わなくて済むよね?」
よかったな、八九寺。
お前は安全みたいだぞ。
って、もう幽霊だっけか、あいつ。
あっはっは。
「笑えねえー……」
つまらない冗談だった。
なんときてたのか!バタフライの人だろ!?
今から読んでくるぜwktk!
今から読んでくるぜwktk!
それに――くだらない状況だ。
千石に何があったのか知らないけれど、明らかに、普通じゃない。
まともじゃない。
何か大変な勘違いとか、洗脳とか――あるいは、怪異とか、そういったものの影響さえ見え隠れする。
だったら。
だったら兄的存在の僕が、それを正してやらなくて、一体どうするというのだ。
「あのな、千石」
「すぐに終わるから待っててね」
「いや、あの……千石……さん?」
ぴたりと、のこぎりの刃が左脚の太股に乗せられた。
ジーンズ越しに、ざらざらとした痛覚が弾ける。
春休みから始まって、つい先日まで続いていた夏休みの間。
実は僕、阿良々木暦は、
足から下が無くなるなんていうような怪我は数えきれないくらいに負っている。
腕だって何度も吹き飛んだし、
それどころか首から下がぐしゃぐしゃになったことだってあるのだ。
しかし、それらはすべて、吸血鬼としての回復能力にかなり依存していた時期の話で。
僕が最後に忍に血をやったのは、もう十日以上前。
となると、現在の僕の回復能力は、まだ重度の火傷くらいなら一瞬で治癒する程度にはあるものの、
さすがに四肢をすべて切り落としたら再生する前に出血多量で生命活動が停止するのは間違いない。
千石は止血の勉強をしたとは言ったが、一体全体どこの保健の教科書に、
達磨になった人間に有効な止血方法が載っているというのだ。
ぞわぞわと、明確な命の危機に寒気が沸き上がる。
>>1よ、ペース大丈夫か?
「いくよ、暦お兄ちゃん」
「……ぃ、………っ!」
ぎりぎりぎりぎりという音と不快な肌触りを残して、
のこぎりが千石の手前に引かれた。
まだほとんど身体には到達していないが、
ジーンズが一瞬にしてイケてない感じダメージ加工されてしまっている。
やばい。
マジでやばい。
ちょっと漏らしそう!
「千石、た、頼みがある!」
「うん? 何かな、暦お兄ちゃん」
「あ、ああ……あー」
咄嗟に叫んだ僕の声に、千石は動きを停止。
僕は必死で頭脳をフル回転させる。
何か。
何かないのか。
うまい言い訳の種になるようなことは……。
「時間稼ぎのつもりなら、撫子、作業を始めるよ?」
ここにきて初めて撫子が可愛いと思った
いや、
ただヤンデレが好きなだけなんだが
いや、
ただヤンデレが好きなだけなんだが
「す、……そうだ、睡眠薬!
千石、さっき僕に飲ませた睡眠薬って、まだあるのか!?」
「う、うん。あるけど、なんで?」
「その、なんだ。
僕もさ、千石に管理されて生活するのには不満なんてないのだけれど、
やっぱり足を切り落とすのは怖いんだ。
体の一部を無くす恐怖は、どんなに経験しても慣れるものじゃないしさ」
「……………」
いぶかしむような視線。
千石のこんな表情を見れるのはレアだけれど、
出来ればもっとまともなシチュエーションで見たかったな。
「だからさ、その……睡眠薬を僕に飲ませてくれないか。
眠ってる間に千石が手足を切ってくれるんなら、ほら、僕は怖くないだろ?」
「うーん………」
千石は、しばらく悩むように首をかしげてから、ゆっくりとのこぎりを持ち上げた。
同時に、じくじくと嫌な痛みから解放。
「いいよ、暦お兄ちゃんのお願いだもん。撫子が断る理由なんかないよ。
暦お兄ちゃんが撫子に管理されたいって言ってくれて、きゅんってしちゃったし」
ぱたんと、ちょっとだけ血のついたのこぎりをテーブルに置くと、
ぎちりという効果音が似合いそうな、歪んだ笑顔を浮かべる。
「じゃあ持ってくるから、暦お兄ちゃんはおとなしく待っててね。
ううん、暦お兄ちゃんはここで待ってる以外にないんだよ。
だから――」
そう、だから。
「だから絶対、逃げちゃダメだよ?」
そう言い残し、千石は部屋を出ていった。
「…………ふう」
息をつく。
逃げちゃダメ、らしい。
無論。
逃げないわけが、ないのだけれど。
「おい、忍。寝ているかもしれないけれど、大至急起きてこの紐なんとかしてくれ」
すぱん、と。
「大至急起きて」の辺りまで言い切るより早く、手足の自由を奪っていた紐が見事に切れていた。
ずっと起きてたんじゃねえか。
「………サンキュ、忍」
起き上がりながら呟いて、影を撫でる。
さあ。
本日二度目の、窓からダイブで大脱出だ。
006
「はぁ……はぁ……」
裸足で走るコンクリートは、たまらなく痛いし、
どうしようもなく熱いし、
言うまでもなく不愉快だった。
だけど走る。千石の家からちょっとでも離れて安全を確保するまで、走り続ける。
さっきまで兄的存在の僕が助ける、
とか格好つけてほざいていたけれど、千石、ごめん。
もうちょっと待っていてくれ。
そもそも、千石がおかしくなった原因に心当たりがありそうなやつか、
あるいはそういう方面に詳しいやつに話を聞かないと、
なんの知識もない僕には何も出来ないのだ。
千石がおかしくなった原因。
そして、そういう方面に詳しいやつ。
怪異ならば――忍。
それ以外なら――羽川か。
「とにかく、まずは、安全な場所まで……」
と思いながら走っていると、なんとも都合のいいことに、
前方に見慣れた後ろ姿を見つけた。
ちょっと遠くて吸血鬼補正に頼らないと見えないが、
この僕が彼女の後ろ姿を見間違えるわけがない。
なぜなら、彼女は、僕の命の恩人だから。
一生かかっても返しきれないような、そんな恩がある相手だから。
しっかし、相変わらず、休日だっていうのに制服である。
長い三つ編みだった髪は今や肩口で揃えられて。
僕は声を張り上げる。
「おーい、羽川!」
そう、羽川。
羽川翼。
猫に魅せられた少女。
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