私的良スレ書庫
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元スレ阿良々木「みんなが僕のことを好きだって?」
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僕の知る限り、最高峰の知識を持つ彼女は――頭の上に生えた耳を、ぴくりとこちらに向けて。
…………ん?
段々と距離が詰まり、もう吸血鬼補正に頼らなくてもはっきりと彼女の姿が見える。
頭の上に――白い、猫耳。
真っ黒なはずの髪の毛は――強烈に脱色されたように、白銀。
振り向いた羽川が、くいっと口元を歪めるような、
だけどどこか能天気で楽しそうな顔をして、言った。
「にゃははは――にゃんじゃ、人間。
ちょうど俺の方から会いに行こうと思っていたのに、
人間の方からわざわざ食い殺されに来るだにゃんて、にゃんと殊勝なやつだにゃん」
「……………………」
………………。
うそーん。
ブラック羽川――だった。
ブラック羽川。
障り猫に魅せられた羽川が生み出した、羽川の裏の人格。
羽川の抑制された欲望――いや、ストレスの体現者。
多重人格。
羽川翼の対照図。
黒くて悪い――羽川翼。
一度目は夜な夜な暴虐の限りを尽くして二人の入院者を出し。
二度目は怪異との関わり方を僕に忠告した。
今まで僕の出会った怪異の中でも、危険度としては、吸血鬼の次を誇る。
そんな――もう現れるはずのない、怪異。
「ブラック羽川あああああああああ!!!!」
全速力で、ブラック羽川に向かって走る。
「にゃはっ、にゃんじゃ人間っ!!」
迎えるように手を広げ、障り猫も走ってきた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「そんなに焦るにゃよ! ごろにゃん!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
「俺も会いたかったにゃあっ!!」
僕らの距離はほぼゼロへと迫り。
がばっと飛び付くようにして、地面を蹴ったブラック羽川に。
「うおりゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「ぎゅ!? にゅ、……にゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」
思いっきり、ラリアットをぶちかましてやった。
「はあっ……はあっ……!」
少し勢いを殺すために前進を続けた後に立ち止まり、振り返る。
ちょうど椅子に座ったままで空中に放られたみたいな体制になっていたブラック羽川が、
べちゃっという音を立てて頭から地面に落っこちるところだった。
「ふぎゃっ!?」
「………………」
動かない。
ブラック羽川は、動かない。
地面に寝たまま、動かない。
そろそろと近付いて顔を覗き込むと、
そこにはおよそ羽川らしからぬ不細工な顔で完全にノびているブラック羽川がいた。
「………………やべえ」
なんか変なテンションだったからって、羽川に全身全霊でラリアットしちゃった☆ミ
「…………いや」
しちゃった☆ミ じゃねえよ。
マジでどうすんだよ。
人格矯正技術を物にしてからというもの、羽川、マジで怖いんだぞ……。
ありゃりゃ木さんははやく鰹節を買ってきて
みんなを幸せにするためにブラック羽川に渡すんだ!!
みんなを幸せにするためにブラック羽川に渡すんだ!!
「…………………」
ま、いっか。
相手はブラック羽川だしな。
ブラック羽川の間の記憶は、羽川本人には残らないしな。
言わなきゃバレないだろ。
なんとかなるさ。
最悪、羽川に人格矯正されるだけだし。
薄くて弱い阿良々木から、白くて正しいホワイト阿良々木に生まれ変わるくらいである。
「あっはっは――じゃねえよっ!」
そうじゃねえよ!
なんか動揺して一人で高笑いしちゃったよ!
完璧に痛い人じゃん!
「そうじゃなくて、問題は……」
どうして、ブラック羽川が現れたのか、だ。
夏休み前の一件で、羽川は障り猫を飼い慣らすことが出来るようになったはずなのに。
「…………ふむ」
冷静になって見れば、朝のファイヤーシスターズの時点で気付くべきだったのだろう。
戦場ヶ原は……まあ、いつも通りぶっ飛んだ蕩け方をしていたけれど、
言われてみれば八九寺も神原もどこか様子がおかしかった。
しかし僕は、ここにきて。
千石撫子と羽川翼の豹変という圧倒的な日常の軋轢をもってして、
初めて、ようやく、やっとのことで、理解した。
今の僕の状況を的確に表現する言葉を、僕はたった一つだけ知っている。
正直、もう聞き飽きて耳にタコかもしれないが。
しかし僕はあえて、偉大な先人に敬意を示し、引用させてもらうことにしよう。
熱気の駐留した空気を吸い込み。
残暑のコンクリートで寝転がるブラック羽川を見下ろしながら。
「何かおかしい――なんとなく、そんな気がした」
もう8月は、とっくに終わったはずなのに。
ともあれ、羽川がこんな調子な以上、頼る相手は一人しかいない。
まあ、僕としては、いつでもすぐそこにいるこいつに頼むのが、
一番楽っちゃあ楽なんだけれど。
後々何か要求される可能性を考えると、
ちょっとそう簡単に頼りたくもない。
「仕方ないか」
こつこつと、足元に出来た強烈な黒色を爪先で小突く。
「忍。起きてんだろ? ちょっと出てきてくれよ」
ずぅるりと。
あるいは艶めかしいほどの非現実さを撒き散らしながら、
僕の影から金髪の美幼女が現れて。
やや舌足らずな声で、尊大に言い放つ。
「なんじゃ、騒がしい。
よいか、お前様。儂とお前様の感覚はリンクしているとついこの間教えたばかりじゃろう。
だっていうのに今日は一日、朝から心臓をばっくばっくばっくばっくさせおって――おちおち昼寝もできんわ」
かかっ、と笑う。
僕がSSなんて読むわけがないと思っていたのは僕にとっては当たり前で日常的に考える事を思いつきすらしないほどの事だったのだけれど、
僕がどうにかしてしまったのかこうして追い付いてしまってF5が砕け散る勢いでひどく激しく連打し続けている。
吸血鬼性は夜中に真っ暗闇の中、煌々と光るモニターを眺め続けるばかりの僕の両目が含む水分量を的確にし続けているのだろうか、
なにはともあれ僕はこう書き込まざるを得ない。
至極真っ当で当然で然るべき、なんて言うことさえおこがましいとは知っているのだけれど。
『支援』
僕がどうにかしてしまったのかこうして追い付いてしまってF5が砕け散る勢いでひどく激しく連打し続けている。
吸血鬼性は夜中に真っ暗闇の中、煌々と光るモニターを眺め続けるばかりの僕の両目が含む水分量を的確にし続けているのだろうか、
なにはともあれ僕はこう書き込まざるを得ない。
至極真っ当で当然で然るべき、なんて言うことさえおこがましいとは知っているのだけれど。
『支援』
やっと追いついた
バタフライの人じゃなかったんだね ごめん
でもともやウルフの人だったとは!
私怨
バタフライの人じゃなかったんだね ごめん
でもともやウルフの人だったとは!
私怨
見た目は八歳児、頭脳は数百歳という、
どこぞの名探偵を高跳びの如く越えていけそうなプロフィールを持つこいつは、
ご存知、忍野忍である。
吸血鬼――の成れの果て。
吸血鬼――の搾り粕。
身も凍るような美人で。
鉄血にして。
熱血にして。
冷血の吸血鬼――怪異の王。
僕を殺し――僕が殺した吸血鬼だ。
いろいろと紆余曲折を経て、現在の忍と僕は、
こうしてコミュニケーションを取るくらいには歩み寄りを見せている。
「ああ、そいつは悪かったよ」
「ま、ミスタードーナツ5つで許そう」
「5つも食うのかよ!」
なにちゃっかり変な約束を取り付けようとしてんだ。
「なんじゃ、5つじゃ不満か。
仕方ないのう、お前様がそういうのであれば儂も譲歩して、
10個で手を打つのもやぶさかではないぞ」
「なんで譲歩しておいて増えてんだよ!
そしてなぜ僕が我が侭を言ったみたいな言い方をするのかさっぱり分からねえぞ!?」
とりあえず突っ込んで、と。
「状況は分かってるだろ、忍。
お前が人間の味方じゃないのは分かっているけれど、それでもあえて頼む。
お前の力を借りたい」
「ふむ……」
小さな顎を、尊厳な動作で引き。
「確かに儂は人間の味方ではないが――少なくともお前様の味方ではある」
忍は、金色の瞳をちょっと優しげに細めて言った。
「だったら……!」
「しかし、お前様が何を訊きたいのか儂には分からぬ。
巨大な妹御と極小の妹御の暴走?
蝸牛の娘の動揺?
エロ娘の羞恥か、照れ娘の乱心か、はたまたそこの元委員長のくそ生意気な飼い猫の話かの」
「……とりあえず突っ込んでおくけれど、
羽川は元じゃなくて今も委員長だ」
「どうでもよい」
ソウデスネ。
一蹴された。
瞬殺だ。
「まあ、いいか。
とにかく忍、とりあえず最初に僕が訊きたいのは、その全部だよ。
今日のみんなが何かと様子がおかしかったのに、怪異が関係あるのかないのか。
ひとまずそれだけでいい」
それが分かるだけで、これからの対処の仕方が変わってくる。
「お前になら、分かるだろ?」
「……単刀直入に言えば」
僕の言葉に、さらりと流れるような声色で。
「ちょっと前から、不味そうな飯の匂いはしておった。
あまりに微弱で品がないから、放っておいたがの」
「つまり」
「あの娘御たちに関係があるのかは知らぬが――少なくとも、
今この町で悪さを働いている怪異はいるということじゃ」
怪異。
怪しくて、異なる。
春休みから散々苦しめられて、散々困らせられた存在が、性懲りもなくまた存在している。
チラッと思ったこと言っていいか?
本当にチラッと思っただけなんだが
怪異ってのはただそこに在るだけで
悪さを働いてるとは言わないんじゃないかな支援
本当にチラッと思っただけなんだが
怪異ってのはただそこに在るだけで
悪さを働いてるとは言わないんじゃないかな支援
一度怪異に曳かれた者はそれからも怪異に曳かれやすくなるとは、忍野の言葉だ。
怪異は、認識の差で生じるものなのだから、
知っている者のところに生じやすくなるのはある意味当然ではある。
しかし、こんな時に忍がいてくれてよかった。
忍野から怪異についての知識を託された、元怪異の王。
彼女が正常に機能しているのなら、話は早く片付く。
僕は安心して、忍に声をかけた。
「ああ、そうだ。忍、さっきはありがとな。手足の縄切ってくれて」
あれは勿論僕の秘められた能力が突如として覚醒したわけではなく、
僕の影に潜んだ忍が、影の中から切ってくれたのである。
どうせ厭味の一つでも言われるだろうけれど、
お礼を言わないわけにもいかないと口にした言葉に、
忍はしかし、やたらと爽やかに微笑んだ。
「なあに、気にするでない。
あれはお前様の為ではなく、この儂の――私欲の為じゃ」
「……私欲?」
「うぬ。
儂の大事なあるじ様であるお前様を、
あのような気の違えた小娘如きに、
そうそうくれてやるわけにもいくまいよ」
「……………なんて?」
「うん? なんじゃ、聞こえんかったのか。まったくお前様は本当に仕様がないの。
じゃが、まあ、そんなちょっと腑抜けた所もお前様の魅力ではあるか」
なかなか恥ずかしいことを言ってしまったの、と頬を染める忍。
目眩がした。
もう無理だ。
もう我慢の限界だ。
僕は大きく息を吸い込んで――叫んだ。
「お前もかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
鉄血にして熱血にして冷血の元吸血鬼。
不味そうで品がない怪異に、あっさり陥落してんじゃねえか。
「もういい、忍!
ありがとうな、だからお前はもう影に入れ!」
「なんでじゃ。せっかく昼に起きたのじゃから、
儂としては愛しいお前様とミスタードーナツデートをご所望なのじゃが?」
「うるせえ! なのじゃが? じゃねえんだよ、デレんな!
お前はルックスが飛び抜けすぎてんだから、
デレると反則級に可愛いんだよ、ちきしょうがっ!」
「可愛いだなんて……もっと言ってたもれ」
「その口調はなんかキャラが違う!」
何かと混ざってる。
配合相手は知らないけど。
「いいからさっさと影に帰れよ、頼むから! もう面倒くさいんだよ!
大体、対怪異に関しては最高の特効薬のお前があっさりやられちまったら、
僕もう打つ手なしじゃねえか、ふざけんな!」
「失礼なことを言うでない、儂は怪異なんぞにやられてなどおらんわ!
もっとも、お前様の魅力にはとっくにやられておるがの!」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
やめてくれ! 頬を染めてそんなことを言わないでくれ!
くっそう、相手は外見八歳児なのに!
間違いを犯してしまいたいっ!
「仕方ないの。お前様よ、儂のロリロリボディに魅力を感じないのなら、
儂に血を飲ますのじゃ。
15歳でも、20歳でも、お前様の好きな年齢の身体になってやろう」
「…………ゴクリ」
キスショットフルパワーバージョン時の、あの破壊的な胸を思い出す。
あれは、やばいよなあ。
マジでやばいよなあ。
「い、いやいやいやいや!」
騙されちゃいけない。
阿良々木さんはそんな簡単に流される男じゃない。
「朝っぱらから妹御に対して下腹部を反応させておった男が何を言うか……」
「そんなことを今更言うな、不可抗力だ!」
「ほうら、お前様。
八歳児のスカートたくし上げを見たくないわけあるまい?」
「やめなさい、はしたない」
「むう……」
本当にスカートの裾を持ち上げだした忍の手を叩いた。
デレ忍は可愛いし、その可愛さには間違いのボーダーを越えたくもなるけれど、
さすがに八歳児のお色気には欲情しない。
つーかお前、そういうのどこで覚えてくんの?
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