私的良スレ書庫
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元スレ阿良々木「みんなが僕のことを好きだって?」
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「僕とやりあうつもり?
僕は別に構わないよ、鬼のお兄ちゃん。
なんならハンディもつけてあげようか
――僕はキメ顔でそう言った」
「………やらねえよ」
逃げた。
いや、だって、勝てないし。
今の僕がこいつ相手にしたら絶対に死ぬし。
「なんや、鬼畜なお兄やん、チキンやなぁ」
「生身でコンクリートの床ぶち抜ける人と比べないでくださいよ……」
「あんなもん気合いやん」
「んなわけあるかっ!」
気合いって言っとけばすべて解決する時代は終わったんだよ。
今や主人公にはハイレベルな知能戦が求められる時代である。
……あれ。
毎回、吸血鬼の回復能力にものを言わせたごり押しで戦っている僕は、
見事に時代に乗り遅れていた。
「そもそも、怪異転がしは不死身の怪異の専門家やし……
その方面なら負けへん自信があるけどな。
さすがに忍野くんみたいに、なんでもかんでも答えられるほど幅広くないわ」
それもそうか。
いなくなって分かるとはよく言う表現だけれど、
忍野って本当にすごいやつだったんだな。
「……影縫さんって、忍野と学生時代の知り合いなんですよね?
連絡とかつかないんですか」
「つかへんなぁ。そもそも忍野くん、携帯持たんし」
「ですよね」
打つ手無しか、と諦めかけた瞬間。
教室の隅で瓦礫を投げて遊んでいた斧乃木ちゃんが、
平然と、やっぱり平坦な声で、言葉を放ってきた。
「お姉ちゃん。僕、忍野っていうのは知らないけれど、
貝木っていうのとは今でも連絡つくんじゃないの?
――僕はキメ顔でそう言った」
「………貝木?」
貝木泥舟。
戦場ヶ原を騙した最初の詐欺師。
全身黒ずくめの、「不吉」の具現者。
本物の、偽物。
「せやな。ああ、鬼畜なお兄やんは貝木くんとも知り合いやったっけ。
貝木くん自体は怪異なんか信じてないいっぱしの詐欺師やから、
使い物になるとは思へんけど――ま、一応連絡してみるわ」
「ちょ……ちょっと、待っ……!」
なんて僕が止めた時には影縫さんはもう携帯電話を操作して、
にっこり笑って僕に向けて差し出していた。
アニメしか見てない俺は登場人物とかわからなくなってきたな
支援
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レスはあまり気にせずに
>>1の好きなようにしてくれ
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―――
「ほう、阿良々木か。
画面には影縫の携帯電話からの着信だと表示されていたと思うのだが、
どうしてお前が?」
電話越しに、地の底を這い回るようなド低い声が耳に流れ込んできた。
相変わらず、声だけでかなり不吉な響きである。
物凄く気分が滅入るからその喋り方はやめてほしい。
面と向かって聞くとあるいは威圧されているようにも思える貝木は声は、
電話口だと自殺する五秒前と言われても信じられるくらいの異様さだ。
まあ、こいつがいきなりフランクに話してきたらそれはそれで不吉だけれど。
「ほう、阿良々木か。
画面には影縫の携帯電話からの着信だと表示されていたと思うのだが、
どうしてお前が?」
電話越しに、地の底を這い回るようなド低い声が耳に流れ込んできた。
相変わらず、声だけでかなり不吉な響きである。
物凄く気分が滅入るからその喋り方はやめてほしい。
面と向かって聞くとあるいは威圧されているようにも思える貝木は声は、
電話口だと自殺する五秒前と言われても信じられるくらいの異様さだ。
まあ、こいつがいきなりフランクに話してきたらそれはそれで不吉だけれど。
「いろいろ事情があってな……そんなことよりお前、
僕らの前で携帯へし折ったはずだろ。
聞いた話じゃお前と影縫さんが最後に会ったのって半年以上前らしいじゃねえか。
そんなお前が、どうして影縫さんの番号を登録した携帯電話を持ってるんだよ」
「ふっ……」
貝木は小馬鹿にするように息を漏らすと。
「阿良々木。今回の件からお前が得るべき教訓は、
詐欺師が自らに不利な条件を抵抗せずに承諾する時というのは、
その条件は実は詐欺師にとって不利にはなりえない時だということだ」
「てめえ……」
バックアップ用の携帯でも隠してたのか。
さすが詐欺師である。
死んでしまえ。
「いいか、阿良々木。詐欺師はいついかなる時でも詐欺師だ。
相手が詐欺師の場合、すべての言動を疑ってかかれ。
詐欺師が真実を言うのは、金を積まれた時だけだよ」
「嘘つけよ、てめえ。
僕が金積んで影縫さんたちの情報を聞き出した時、
実際会ったことはないとかほざいてただろうが」
電話番号交換して、
未だに連絡が取れるようにしているくらいには仲良しさんじゃねえかよ。
「俺の望む額に、お前の積んだ額は届いていなかったとでも解釈しておけ」
「…………………」
くそう、腹立つ。
おい、忍野。
忍野関連の知り合いはろくなやつがいねえぞ。
「それで? 阿良々木、今回はいくら払う」
「まだなにも言っていないうちから、
金をふんだくる話を始めるんじゃねえ!」
「商談は常に有利に進めるため、先手を取るのは常識だろう。
今回の件からお前が得るべき教訓は、
詐欺師を相手にするときは絶対に先に喋らせないことだ」
「どうでもいいけれど、お前、電話だと割と饒舌なのな」
「何を言う。俺は元々饒舌なほうだ」
「はあん」
どうでもいい。
平均的なミドリガメの時速の次の次の次くらいにどうでもいい。
「とにかく、お前に訊きたいことは一つだ。
金は――えっと、今手持ちで財布には1万円ある」
「なるほど、少なくとも1万3000円ほどは持っているな。
ならば1万5000円でいい。
俺が知っている情報なら、素直に一切の嘘をつかずに答えよう」
「………………」
あっさり嘘を見破られた上に、まったく信用できない。
何が素直に、だ。
つーか本当の手持ちが1万5000円って、ぴったり当てやがった。
怖すぎる。
しかし現状、頼れる相手はこいつしかいないのだった。
「……くそ、分かった、それでいいよ。
ただし、お前が情報を知らなかったりガセだったりしたら絶対に払わないからな」
「勿論だ。
俺は詐欺師だが、報酬はきちんと騙してとった金でないと
俺のポリシーに反する」
そんなポリシー、命と一緒に溝に捨てちまえ。
つーかお前、手負いの火憐から財布掻っ払うとかいう
ただのかつあげみたいなことしたんじゃないのか。
まあ、いいや。
僕はゆっくりと息を吸い込むと、言った。
貝木に頼むのは、ただ一つ。
絶対的な、願いだ。
「僕は――」
僕の、願いは。
「――忍野と連絡が取りたい」
支援
書くの早いな
どれくらいのペースで支援すりゃさるさん食らわないんだっけ
書くの早いな
どれくらいのペースで支援すりゃさるさん食らわないんだっけ
008
「袋青狸」
電話越しで聞こえた、懐かしい、本当に懐かしくて、
軽薄で小馬鹿にするような態度のくせに誰よりも頼もしい声に、
ほとんど泣き出しそうになりながら僕がなんとか事の顛末を説明し終えると、
忍野はきっといつものようにちょっとだけ悩むような仕草をしたのだと
スピーカーを挟んでいても分かる間な取り方をして、
一度「そうだね」と呟いてから、そう結論を出した。
「知らない間に人の部屋の襖の中に住み着いて、
どら焼きを要求しまくる耳が無い狸の怪異さ。
毛の色は青で、人語を解し、ぐふふふふぅと不気味に笑い、
思春期の少年に怪しいアイテムを渡すことで楽をすることを覚えさせ、堕落させるんだよ」
「………忍野、僕、久しぶりのお前の声に、
感極まって泣きそうにすらなっていたんだけれど、どうしてくれる」
本気で相談してんだぞ。
ドラえもんの話なんか聞きたくねえんだよ。
「はっはー。相変わらず阿良々木くんは元気がいいなあ。
何かいいことでもあったのかい?」
「ねえよ。一つもねえよ。
頼みの綱のお前にも、せっかく作ったシリアスムードもぶち壊しにされたしな」
「まあ、そう怒るなよ。
僕だってせっかく新しい拠点での生活に慣れてきたっていうのに、
いきなり全然キメ顔じゃないキメ顔ちゃんが訪ねてきたと思ったら、
前の町で知り合った友達から『女の子にモテてモテて困る』って相談されたんだぜ?
厭味の一つだって言いたくもなるさ」
「いや……モテるとかそういう話じゃねえよ。
僕の話の、一体何を聞いてたんだ」
僕がそう呟くと、忍野は唐突に黙った。
え、なんだよ。
僕、なんか変なこと言ったか?
いいことあっただろ
がんばるするがちゃんの恥ずかしい所を見れたじゃないか
がんばるするがちゃんの恥ずかしい所を見れたじゃないか
「いや……そうだね。阿良々木くんはそういうやつだった。
阿良々木くんみたいな女の子の敵は、みんな死んでしまえばいいのにな」
「なんでそんなわけの分かんねえ理由で、
いきなり死ぬことを願われなくちゃならないんだ!?」
どちらかと言えば、女の子の味方だぜ、僕。
妹と八九寺にはセクハラし放題だけれど。
「……ま、いいや。
阿良々木くんのそれは、今に始まったことじゃないしね」
やれやれ、みんな苦労するだろうね、とかんとか呟いて。
「じゃあ、仕切り直しにしようか」
忍野はわざとらしく、こほんと咳払いをした。
「八股狸」
で、忍野が改めて、いつものような口調で短く発したのは、
そういう怪異の名前だった。
「まあ、電話越しじゃあ、そこまで詳しい状況とかを聞けないから
以前ほどはっきりとは言えないんだけれど――昨日の夜、阿良々木くんは、
あの百合っ娘ちゃんにも聞こえない祭囃子を聞いたんだろ?
だったら少なくとも、狸の怪異であることは間違いないよ」
「………狸、か」
懐かしい語り口に溢れ出る涙を堪えて、かろうじて言った。
「そう、狸」
忍野は小さく繰り返す。
「狸だよ」
狸。
ネコ目イヌ科タヌキ属に分類される哺乳動物。
短い足と太い尾を持ち、目の周りと足の先が黒い。
「そもそも一般的に、人を化かす動物っていうと狐が一番って思われがちだけれどね、
一説じゃあ、化ける能力は狸のほうが上なんじゃないかって話もあるんだよ。
狐の七化け狸の八化けって言葉があるくらいだし
――って、阿良々木くんは知らないかな」
あくまでいつもの調子の忍野。
あくまで、僕を小馬鹿にするような――優しい悪態。
忍野。
忍野メメ。
怪異関係の専門家。オーソリティ。
旅から旅、町から町の根無し草。
僕や、戦場ヶ原や、八九寺や、神原や、千石や、羽川――春休みから夏前までの間、
この町で怪異に関わったそれらすべての人間の恩人。
「……ああ、知らないな」
僕が素直に答えると、忍野は「だよね」と笑った。
ラクーンドッグって狸のことだったのかー
調べてもアライグマ的なものだってことしか分からなかったわ
調べてもアライグマ的なものだってことしか分からなかったわ
結論から言って、貝木は忍野の居場所を知っていた。
なんでも忍野がこの町を去り、貝木がこの町に向かう間のとある場所で、
偶然出会ったそうである。
その際に、忍野がこれからしばらく活動拠点にする予定の場所を、
何かで金に変わる可能性があるかもしれない情報として聞き出していたらしい。
そこは僕の町からは結構距離がある場所だったのだけれど、
そこは斧乃木ちゃんの式神としての面目躍如。
リハビリの一環だとか言って、影縫さんの携帯電話を持たされた斧乃木ちゃんが、
凄まじい速度でそれを忍野に届けに行った。
本気を出せば、100メートルを1秒未満で疾走できるらしい。
式神すげえ。
とにかくその結果、こうして僕は僕の携帯電話を通して、携帯電話を持たず、
それどころか使い方さえも分からないような旧友・忍野と会話をすることが出来るのである。
ちなみに僕のなけなしの1万5000円も斧乃木ちゃんに持たせた。
帰りに貝木のところに寄り、渡してもらうという約束だ。
「ま、ともあれ今は、八股狸の話だ。八股狸ってのはね、阿良々木くん。
愛媛県の今治市のとある村に伝わる怪異の名前だよ。
境内の山桃の木に、八本の尻尾を持った狸が住んでるって話さ」
「愛媛県?」
「うん。愛媛県ってのは、なんでか知らないけれど、
狸に関する言い伝えが割とたくさんあったりするんだよね。
例えば、そうだな。有名なおみつ狸の話なんかも愛媛なんだけど……
当然のように、阿良々木くんは知らないよね?」
やっぱりいちいちムカつく話し方をするやつである。
まあ、知らないんだけど。
「おみつ狸ってのは、あるおじいさんの前に美人の女の人が現れたんだけれど、
尻尾みたいなのが垂れていたから火で炙ったら、
雑魚を狙った狸だったって話さ。
ま、それは今は置いておいて」
「ああ。八股狸だ」
「うん」
忍野は頷き。
「とは言っても、八股狸はちょっとばかり特別な怪異でね。
ううん、どう説明したらいいのかな。
八股狸は、逸話と怪異の性質が違いすぎるんだ」
「性質?」
どういう意味だ?
「そう。八股狸はそもそも、村の守り神なんだよ。それ以上でも以下でもない。
ただ八股の狸が境内に住んでいて、村人たちを守っていたってだけの、
ろくなストーリー性もない伝承なんだよね」
「……それはおかしいだろ。
こっちは明らかにおかしくなった人間が存在するんだから、
今回この町にいるのが八股狸だっていうんなら、
それに見合った説話がないと辻褄が合わないんじゃないのか」
「その通り。阿良々木くんもなかなか分かってきたね」
なんだか全然誉められている気がしない。
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