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元スレ阿良々木「みんなが僕のことを好きだって?」
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「つーか携帯ゲーム機じゃあやっぱり、二人ではできないな」
「うん……あ、そういえば据え置きのも新しいの買ったの」
「お、いいじゃん。それやろうぜ!」
据え置きゲームか。
Wiiスポーツとか、千石がやったら可愛い気がするなぁ。
なんて思っていたら。
「じじゃーん。 セガ・サターン」
「なんでさっきからもう普通に作ってないようなチョイスばっかりなんだ!?」
そりゃあ、MSX2やポピラ2をやる女子中学生よりはいいかもしれないけれど。
何かと極端すぎる。
つーか、目が悪くなるからテレビとかゲームはあんまりやらないみたいなことを言っていたのに、
千石、いつの間にかすっかりマイナーゲーム機収集キャラだ。
ほぼ全キャラが初期設定から変わりすぎて、収拾がつかなくなるぞ。
「暦お兄ちゃん、セガ・サターンは嫌いだった……?」
「嫌いもなにも、実は触ったこともないよ……」
恐ろしく反応に困るネタ振りだ。
「そうなんだ。撫子、セガ・サターン好きだよ。
でも実はハードは売ってたんだけど、ソフトが全然なくて一つしか買えなかったんだ」
「まあ、そうなるよな。
まともにセガ・サターンのソフトと取り扱ってるゲーム屋なんて、もうほとんどないし」
近所のゲームショップじゃ、そもそも中古コーナーですら猫の額程度のスペースしか設けていなかったのに、
DSやらPSPやらPS3やらWiiやら一気に新たなハードが出たせいでそこも追いやられ、
しばらくは投げ売りワゴンに放り込まれていたけれど最近それすらなくなった。
セガ・サターン。
デザインは嫌いじゃないんだけれど。
カプコンの格ゲーマーには夢のようなハードである。
「で、その買ったソフトってのは、なんなんだ?」
「うん、これ」
千石がごそごそと取り出したのは。
「なっ……それはっ……!」
なんと。
あろうことか。
『QUIZなないろDREAMS~虹色町の奇跡~』だった。
『QUIZなないろDREAMS~虹色町の奇跡~』。
あれはいつのことだったか、
以前、八九寺とこのゲームについて熱く語った幻の恋愛クイズゲームであるところの、
『QUIZなないろDREAMS~虹色町の奇跡~』だ。
ゲームについての説明はもはや不要だろう。
ていうかあんな長い説明台詞を一から言い直したくない。お察しください。
マジかよ。
八九寺、お前の続編を望む草の根活動は、とんでもない局所で地味に花を咲かせかけているぞ。
「暦お兄ちゃん、これ知ってるの?」
「知っているとも」
勿論、知っているとも。
八九寺に『阿良々木さんはリンツを狙うような人』呼ばわりされた作品なのだ。
だが、僕はあえて声を大にして言いたい。言ってやりたい。
よし。
言おう。
「残念ながら僕はリンツよりも絵美さん派だッ!!!」
言ってやった。
唐突にそこだけ叫んでやった。
僕は決してロリコンじゃないから、シャルロッテ――通称ロッテなるロリキャラに心を動かされることなど、あり得ないのである。
「………………」
「はっ……!」
やべえ。
思いっきり千石に引かれていた。
「……こ、暦お兄ちゃんは、絵美さんが好きなんだ?」
「やめてくれ! そんな同情に満ちた慈愛の表情で僕に話を合わせないでくれ!」
「だ、大丈夫だよ、暦お兄ちゃん。
撫子はロッテちゃん可愛いって思うし……」
千石がロリコンだった。
衝撃の新事実である。
つーかあの千石が、クイズ形式とは言え恋愛ゲームの類を、
咄嗟に好きなキャラ名が出る程度にやり込んでいることの方がむしろ驚きだ。
>>1はセガサターンもってるのか
「ロッテと言えば千石、知ってるか?」
「うん? なぁに?」
「このゲーム、元はといえばアーケードでゲームセンターに置いてあったゲームを
家庭用ゲーム機に移植した、いわゆるコンシューマ版なのだけれど、
アーケード版ではロッテが貧乳を思いっきり露出してしまうシーンがあるんだぜっ!!」
「………………」
「カプコンの奴ら、コンシューマ版ではそのシーンをカットしやがったんだ。
ロッテの貧乳の代償がリンツ攻略可能への仕様変更だと言うのなら、
むしろ僕はリンツルートなんかいらなかったねっ!!!」
「………………」
「はっ……!」
やべえ。
思いっきり千石にドン引かれていた。
「こ、暦お兄ちゃんは、ロリコンなの……?」
「違う、僕はロリコンじゃない!」
自分でもびっくりするくらい説得力のない言葉だった。
つーか、なんの話をしてるんだっていう。
誰もついてこれない話だろう。
これはららら木さんじゃなくて>>1がロリコン説を唱えるしかない
外国人が1クレで似たようなゲームをクリアしてた時はなぜかギャラリーが拍手してた
しえん
しえん
「ご、ごほん。気を取り直して……」
僕は誤魔化すためにぽんと手を打つと。
「どうする? 一応クイズゲームだから、それなら二人でできるけれど」
恋愛ゲーム的な要素があるというのは、男女でやるのに適しているとは言えないけれど。
「ううーん、これは実は自慢したかっただけだから」
「あ、そうなのか」
ワンダースワンとセガ・サターンを自慢っていうのもどうなんだろう。
別にいいけど。
「だけど暦お兄ちゃんがやりたいなら、撫子、いいよ」
「いや、僕は別に……千石のやりたいことでいいよ。なんかあるんだろ?」
「うん」
僕の言葉に千石は頷いて。
「実は今日は暦お兄ちゃんに、お勉強を教えてもらおうと思ってたの」
「………勉強」
「お勉強」
断っておくけれど、はっきり言って僕は落ちこぼれだ。
数学ならまだしも他の教科なんてさっぱり分からない。最近の受験勉強のおかげで全体的に成績は上がっているとは言っても、それはやっぱりまだまだ付け焼き刃で、他人に教えることが出来るレベルではない。
誰かにものを教える際には、三倍の理解が必要と言うし。
でも、中学生の範囲だしな。
なんとかなるか。
「よし。僕なんかでどこまで為になるかは正直、保証できないけれど、いいよ」
千石の期待に満ちた目に負けて、見栄を張ったという理由が大部分で頷いた。
「それで、教科はなんなんだ?」
「えっとね、待ってて」
そう断りを入れてから、千石は四つん這いで部屋の隅のスクールバッグを漁り……、
って、パンツ見えてる、パンツ!
「えっと……確か、この辺に……」
「………………」
比較的シンプルな、薄い水色のパンツ。
ふりふりとなぜかやたら揺れる腰が、あるいは誘われてるようにすら思えて、生唾を飲み込んだ。
いや、うん、勿論、そりゃあもう勿論、千石にそういう意識がないのは分かっているけれど、
むしろその意識のなさが問題だ。
大体、ワンピースでそんな格好をするとどうなるかも分かっていないのか、この子は。
これはさすがに注意するべきだよなぁ、と思いつつ。
「………………」
全力で目を反らした。
いくら妹的存在とはいえ、
女の子に対して「パンツ見えてるぞ」なんて気安く言えるような男では僕はないのだ。
……小学生には散々セクハラしてるくせに。
「こ、暦お兄ちゃん……」
「う、うん!? あー、ああ、見つかったのか……」
気付けば千石が僕の前に戻ってきていた。
千石はなぜか変に赤い顔をしつつ、ずるりと肩を滑り落ちたワンピースを戻す。
「あー、えっ、と。勉強だったな。
そ、それで……教科はなんなんだ?」
「う、うん。…………こっ、これっ!!」
そう言って、思い切るように千石がばっと突きつけてきた教科書には。
「……………はい?」
保健体育と、書かれていた。
「えっと、その……」
もじもじと、教科書に顔を隠してしまう千石。
「撫子……その、よく、分からないから、暦お兄ちゃんに……」
何かを覚悟するような一瞬の間があって。
「じ、実技指導を……して欲しいの」
「………………はいぃ?
今、なんか僕、物凄いこと言われてないか?
部屋に入った時に例の消去法主義で勧められ、
逆らえずにベットに腰かけているという状況も、その勘違いに拍車をかけている。
「……実技、指導?」
「う、うん……実技指導」
ずいっと身を乗り出して、至近距離で見つめてくる千石。
星空を詰め込んだみたいなキラキラ光る潤んだ瞳に、
動揺する僕が映っているのさえはっきり分かった。
「暦お兄ちゃんは大人だから、きっと慣れてる、よね?」
いや、別に、慣れてはいないけれど。
「そ、その、千石……?」
「暦お兄ちゃん……」
その綺麗な瞳に吸い込まれる。
ふわりと甘い香りが鼻先を擽り、吐息さえ触れ合うような距離。
前髪を上げた千石の顔はやっぱり恐ろしいくらい整っていて、
すっと通った鼻筋や、真っ白い肌に浮かぶ鮮烈な赤い唇が、
艶めかしく言葉を滑り出させる。
「優しく、してね……?」
「………………っ!」
前屈みになっているせいで、
だぼだぼの胸元から千石の大人しめの白い乳房とその先の――って、ノーブラかよっ!
ラフな格好ってレベルじゃねえ!
これはさすがに見てはいけないと全身全霊をかけて反らした目線の先に。
僕は、それを見つけた。
「あ」
声を漏らす。
視界の端っこで、潤んだ瞳を不思議そうに揺らす千石が、
ちょこんと首をかしげるのが分かった。
「あ、ああ、うん、分かった、千石――やろう」
千石の肩に手を置くと、びくんと大袈裟に体が跳ねるのが愛らしい。
はっはっは、僕相手に、そんなに緊張することなんかないのになあ。
「ぁぅう……」
真っ赤な顔で何事かを呟き、何故か目を閉じた千石に。
僕は、言った。
「よし、やろうか――バドミントン!」
そう、千石の部屋の隅には、
この前来たときはなかったバドミントンのラケットと羽根があったのである。
おそらく最近学校の授業でやっているから出しっぱなしなのだろうけれど、
千石のことだ、スポーツが得意というわけでは、決してないと思う。
そこで僕の出番というわけだ。
簡単な話。
千石の出した『保健体育』の教科書において、
千石の教わりたかった部分は『保健』ではなく『体育』だったのである。
まあ、当然か。
男の僕を軽々しく部屋に招き、
無防備な格好でその素肌を晒け出しているような千石が、
そんな性的知識を持っていると考える方が難しい。
いやあ、恥ずかしい勘違いをしてしまった。
人見知りで恥ずかしがり屋な千石に限って、
自ら迫ってくるなんて展開は、絶対にあり得ないと分かっていたのに。
「…………え?」
一方の千石は、閉じていた瞳を開け、
ちょっとぽかんとした感じで声を上げる。
まるで必死に勇気を出して誘惑してあとちょっとのところまでいったのに、
すんでのところで相手が訳の分からないことを言い出して
状況がまったくつかめていないような、
そんな女の子みたいに見えてしまうのは――まず間違いなく、僕の思い込みである。
さっきの勘違いが尾を引いて、思考がちょっと不純な感じに寄りすぎだ。
「……………え?」
もう一度繰り返す千石。
「ん? だから、バドミントンだろ?そこにラケットと羽根あるしさ。
最近の授業でやってるのか?」
言いつつ、千石の手から保健体育の教科書を受け取ると、
バドミントンのページを開く。
無意味に丁寧な絵で、サーブやスマッシュを打つ男の図があった。
「ああ、これ、懐かしいなあ。
そっか、千石は同じ中学だから、使ってる教科書も同じなのか」
「……………う、うん?」
なんだかいまいちぼんやりしたままの千石は、ベットの縁にかけていた足を降ろし、
ぺたんとカーペットに座り込む。
「とは言ってもさ、僕だって運動はそんなに得意なわけじゃないぜ?
まあ、バドミントンくらいならそこそこはできるけどさ」
「えっと………」
「うん?」
千石は、なぜかポンと手を打ち、何かに納得したように頷いて。
「……そう、バドミントン? うん、バドミントン。
撫子、暦お兄ちゃんとバドミントンやりたかったの」
「うっし、そうと決まればさっそくやるか」
「でも、ラケット一つしかないけど」
「なんで一つしかないんだよ!?」
ああ、そっか、一人っ子だと体育の授業くらいでしかバドミントンなんかやらないから、
複数は持ってなかったりするのか。
「でも暦お兄ちゃんなら大丈夫だよね」
「いや、さすがの僕も、それはなにをどうしたら大丈夫になるのか、全然分からねえぞ……」
「プロゴルファー猿もドライバー一本で戦ってたし」
「またえらく古いのを引っ張り出してきたな!」
プロゴルファー猿って。
僕らが産まれる前の漫画だろ?
つーか僕、猿谷猿丸と同格の扱いかよ。
……………ちょっと嬉しい。
「多分、探せばお母さんとお父さんのあると思うから、探してくるね」
そんな言葉を残して部屋から出ていく千石を見送り。
「………はぁ」
溜め息を、ついた。
危なかった。今のは、本当に、危なかった。
勝手に自分で盛り上がって勘違いをして、取り返しのつかない暴挙に出るところだった。
落ち着けよ、僕。相手はあの千石だぜ?
あー、嫌な汗かいた。
「あっ、暦お兄ちゃん……」
なんて動揺を隠そうとしていると、千石が部屋に戻ってくる。
不意に先程までの出来事が頭をよぎり、自然と肩に力が入るのを感じた。
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