私的良スレ書庫
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元スレ阿良々木「みんなが僕のことを好きだって?」
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戦場ヶ原ひたぎは、僕こと阿良々木暦の彼女である。
戦場ヶ原ひたぎ。
蟹に行き遭った少女。
今や当初の原形などまったく留めていないほどにデレてしまったが――いや、勿論それは悪いことではなく、
当然のように大変喜ばしいことなのだけれど、ともかく戦場ヶ原は、元ツンドラだ。
というか、正直、恐ろしいレベルの狂気をぎっちりと内包していたと思う。
普通、いくら自分の秘密がバレたからって、
話したこともないクラスメイトの口をホッチキスで閉じたりはしない。
ともあれ、戦場ヶ原ひたぎ。
ドロデレになってしまった今の彼女は、むしろ常時過剰なほどにデレすぎているようなものだが、
ならばツンドラ時代の旧戦場ヶ原が決してデレなかったのかと言われれば、
やはりというか当然というか、決してそういうわけではない。
もっとも、頻度こそ、低かったものの。
と、言うわけで。
そんな戦場ヶ原ひたぎのツンドラ時代のエピソードの一つを、紹介しようと思う。
―――
「ところで阿良々木くん、受験勉強は捗っているのかしら」
ふと、すっかり忘れていた用事を思い出したみたいな気軽さで
戦場ヶ原がそんなことを言ったのは、
羽川の障り猫騒動リベンジが片付いてからしばらくが経った、
とある帰り道のことだった。
戦場ヶ原は、このためだけにわざわざ朝から座布団を装備してきた僕の自転車の荷台に乗り、
おでこは僕の背中ぴったりとくっついているくせに、
腰に回した手だけはなんだか無意味に遠慮がちで、そわそわと落ち着かない。
今日は珍しく神原がしつこく僕らに付き纏ってくることもなく、
戦場ヶ原といるからか八九寺の大きなリュックサックは見あたらず、
千石は以前のように僕を高校の門で待ってもいなかったし、
羽川は羽川で含みのある笑顔と共に見送ってくれた。
まあ、つまり。
久しぶりに、なんの心配もなく、二人きりの下校だった。
「ところで阿良々木くん、受験勉強は捗っているのかしら」
ふと、すっかり忘れていた用事を思い出したみたいな気軽さで
戦場ヶ原がそんなことを言ったのは、
羽川の障り猫騒動リベンジが片付いてからしばらくが経った、
とある帰り道のことだった。
戦場ヶ原は、このためだけにわざわざ朝から座布団を装備してきた僕の自転車の荷台に乗り、
おでこは僕の背中ぴったりとくっついているくせに、
腰に回した手だけはなんだか無意味に遠慮がちで、そわそわと落ち着かない。
今日は珍しく神原がしつこく僕らに付き纏ってくることもなく、
戦場ヶ原といるからか八九寺の大きなリュックサックは見あたらず、
千石は以前のように僕を高校の門で待ってもいなかったし、
羽川は羽川で含みのある笑顔と共に見送ってくれた。
まあ、つまり。
久しぶりに、なんの心配もなく、二人きりの下校だった。
正直。
なんとなくと言っては失礼なくらい、ていうかぶっちゃけかなり露骨に、
僕のテンションはあがる。
そりゃあもう、あがっていた。ぐんぐん上昇。
エベレストのてっぺんなんか突き抜ける勢いだ。
別にこのハイパーツンだらけ女、戦場ヶ原ひたぎとの間に、
なにかきゃっきゃうふふなイベントが起こりうることを期待していたわけでは勿論ないけれど、
僕だって一般的な男子高校生だ。
付き合ってる彼女との下校に、なにか思うところがあったって、いいだろう。
特に最近は知り合いが増えたせいで、こうしてゆっくり二人きりになることが少なくなってきていたし。
だっていうのに、それが分からない戦場ヶ原ではないだろうに――いや、あるいはだからこそ、
そんなことを言いやがるのだった。
「戦場ヶ原、いきなり勉強の話かよ……」
「あら、阿良々木くん。
私たち受験生の本分は遊びでも恋愛でも、
はたまた付き合っている異性とのいちゃこらに夢を膨らませることでもなく、
きっちりと勉学を修めて大学に合格することよ」
「そりゃそうだろうけれど……」
いちゃこらって。
表現が古すぎる。
「阿良々木くん、ちょっとこの前のテストがまぐれで、たまたま、、ついうっかり、ほんの出来心で、
調子が良かったからっていい気になっているんじゃない?」
「いや、いい気にはなってないけどさ……
つーか、『調子がよかったから』の前につく言葉のチョイスに
抑えきれない悪意が見え隠れしてるんだけど」
「カンニングの調子がよかったからって」
「ああ、理解した、100%悪意だ!!
もういろいろと泥沼だよ!!」
「池沼ですって?
いくらマントヒヒと同じくらいの知能レベルの阿良々木くんとはいえ、
そんなに自分のことを卑下するものではないわ」
「その略し方はモラル的にマズイからやめろ!
つーか戦場ヶ原が喩えに使うにしては、マントヒヒは比較的知能レベルの高そうな動物じゃないか!?」
「ねえ、阿良々木くん。
マントヒヒって、見てると楽しいわよね」
「マントヒヒが? うーん……なんで?」
「顔面ぐちゃぐちゃじゃない?」
「……何が言いたい」
「マントヒヒ野郎には、丁寧に最後まで言わなくちゃ分からないかしら」
「……いや、やめて」
死んじゃう。
「阿良々木くんの顔面ってマントヒヒみたいにぐちゃぐちゃって意味よ」
「やめてって言ったのになんで言うんだよ!?」
「嫌よ嫌よも」
「嫌でしかねえ!」
付き合っている彼女が、彼氏を顔面マントヒヒ呼ばわりである。
戦場ヶ原ごと自転車を川に放り込んで逃げ出してしまいたい気分だった。
もうほんと、僕は僕が不憫で仕方ない。
「ありがとう、阿良々木タクシー」
「………いや、いいよ」
その後もそんな調子で戦場ヶ原にいじめられているうちに、もう戦場ヶ原の家の前。
きゃっきゃうふふ? なんだそれ。生ゴミの日に出しとけ。
戦場ヶ原は、もしかして僕のことを本当にアッシーくんとしてしか見ていないんじゃないだろうかと不安になった。
……そういや戦場ヶ原に告白された日って、マウンテンバイクでサイクリングしてた日だしなあ。
マウンテンバイクに惚れたのかなあ。
「ところで阿良々木くん」
すたっと華麗に自転車から降りた戦場ヶ原は、
しかしなぜか無意味に、その場でくるりと一回転した。
ふわりと舞った裾の長いスカートが、戦場ヶ原の動きの停止から一瞬遅れて、
ぱさっとその真っ白で綺麗な太ももに弾ける。
絵になるなあ、なんてノロケてみたり。
「ん? どうした、戦場ヶ原。忘れ物でもしたのか」
「忘れ物。そう、忘れ物。忘れ物ね。
……阿良々木くん。あなた、忘れ物をしているわ」
「え?」
僕が?
「明日提出の宿題とか、あったっけ」
ところが戦場ヶ原はあくまで無表情に、首を横に振った。
「明日ではなく、今日。むしろ――今よ」
「あん?」
わけもわからず唸った僕を、一瞬だけ恨めしそうに睨んだあと。
戦場ヶ原は、目を閉じて。
くいっと持ち上げた顎。
すぅ、という呼吸。
何かを待つような――濡れた、唇。
「あ? え、……えっと……戦場ヶ原?」
「本当に甲斐性無しね、阿良々木くん。
女の子に、皆まで言わせるつもり?」
不満げな、そう、もしくは、拗ねたような、声。
よくできた麻薬のように、
僕の耳から入ってきて脳の底まで甘く甘く浸していく。
そんな、錯覚。
「せ、戦場ヶ原……」
こ、これって、つまり、あれだよな。
……いいのだろうか。
いいんだよな!?
僕は、戦場ヶ原の、本当に陶器みたいな、いや――それよりももっと綺麗で純粋な頬に手をあてて。
ぴくっと体に力を入れた戦場ヶ原が、たまらなく愛しい。
そして、僕は。
ゆっくりと。
唇を、重ねた。
こ、これって、つまり、あれだよな。
……いいのだろうか。
いいんだよな!?
僕は、戦場ヶ原の、本当に陶器みたいな、いや――それよりももっと綺麗で純粋な頬に手をあてて。
ぴくっと体に力を入れた戦場ヶ原が、たまらなく愛しい。
そして、僕は。
ゆっくりと。
唇を、重ねた。
「………、んっ………」
「………………」
すっと、ほとんど怯えるみたいにして唇を離す。
「……………ぁ」
目の前には、超至近距離に戦場ヶ原の顔。
その黒く、夏の星空を丸ごと詰め込んだみたいな輝きに、言葉を失う。
心臓がばくばくと好き勝手に跳ねまくり、顔が真っ赤なのが自覚できた。
う、うわ、……うわあ、僕、たぶん今、すんげえ情けない顔してるよ。
戦場ヶ原は戦場ヶ原で、やたら満足げに目を細めただけで、顔色一つ変えていないし。
これじゃ僕だけ一人でテンパっているみたいじゃないか。
「ねえ」
「はっ、はいっ!」
優しげな戦場ヶ原のに、びくんと体が跳ねた。
「阿良々木くん、今のこれは、なにかしら」
「え? え、えっと……」
なにって?
戦場ヶ原の望みそうな答えを必死で検索する。
勿論ただのキス、というわけでもないだろう。
あ、愛情の証?
………忘れ物。
「その、さよならの、キス……?」
「ふふ、そうね」
どうやら正解だったらしい。戦場ヶ原はやんわりと頷いて。
だけど、と続ける。
「『さよならのキス』って、私はあんまり好きじゃないわ」
「へ、へえ……どうして?」
正直こっちは、心臓の痛さと顔の熱さでそれどころではないのだけれど。
さっきまで触れ合っていた、
あの死ぬほど柔らかくて気持ち良いの唇で、優しく言葉を紡がないで欲しい。
「だって『さよならのキス』は、明日がないじゃない。
なんだかそのあと死に別れるドラマの最後みたいで――不吉だから」
ふわりと。
今度は戦場ヶ原のほうから、僕の頬を、ほとんど撫でるように挟んで。
>>783 1600+1500+1300*3となります
>>788 軽い気持ちで刀も買うと金額が跳ね上がるので注意
そうして。
二度目の、キス。
「んむ………!?」
じんじんと発熱するみたいな酷く甘くて淡い匂いが――戦場ヶ原の、匂いが、
はっきりと、僕の脳みそを、溶かした。
「………………」
「………………」
長い。
長い、キスだった。
あるいは僕が勝手にそう感じただけで、本当はほんの一瞬だったのかもしれないけれど。
けど、僕は、長い時間、そうしていたような気がしたし――そうしていたいとも思った。
このまま、この一瞬のまま、時間が――世界が止まってしまえばいい。
>>794 買うなら1100*12ですよ…
まあ買ったんだけどな竹さんの絵のがなんか好きだな
まあ買ったんだけどな竹さんの絵のがなんか好きだな
もう時間の感覚もなくなって呆然と固まる僕に、
熱の余韻を残すような艶めかしさで離れた戦場ヶ原は、
やっぱり相変わらずの無表情で、言う。
「今日は送ってくれてありがとう。
久しぶりに阿良々木くんとゆっくり話せて、楽しかったわ」
そして、茫然自失の僕を置き捨て、
まるで何事もなかったようにさっさと家へと帰っていってしまう。
「な、………………」
僕はといえば、もうなにがなんだか分からなくて。
唇は甘く痺れていて。
まだ戦場ヶ原の匂いがそこにあるような気がして。
だから、そのまま立ち尽くしていた。
戦場ヶ原がとっくに見えなくなったことにも。
自転車が倒れて制服の裾を削っていることにすら、気付かなかった。
久しぶりに、なんの心配もなく、二人きりの下校で。
僕たちは、『また明日のキス』をした。
化物語の会話の掛け合い好きなんだが刀語も面白い?
数が多くてまだ手を出してないんだが
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