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    元スレ武内P「アイドル達に慕われて困っている?」

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    101 = 71 :

      ・  ・  ・

    武内P「――城ヶ崎さん」

    美嘉「ん」

    武内P「お母様が、城ヶ崎さんに代わって欲しい、と」

    美嘉「ん」

    武内P「……城ヶ崎さん?」

    美嘉「ん!」


    美嘉「……もしもし」

    美嘉「あ、うん……うん……うん」

    美嘉「あ、莉嘉も居て……はー、スピーカーで話して……はー」


    武内P「城ヶ崎さんは……その、何故、急に不機嫌に?」

    「多分、ツメが甘かった自分に腹が立ってるんだと思う」

    武内P「……?」


    美嘉「あー、うん……良かったね……莉嘉」

    102 = 71 :

      ・  ・  ・

    美嘉「……莉嘉に、メッチャ感謝された」

    「まあ、悪くないんじゃない」

    美嘉「何が?」

    「いや、莉嘉は喜んだんでしょ?」

    美嘉「それは……そうだけど……だけどさ!?」

    美嘉「TOKIMEKIだと思うじゃん!?」

    「DOKIDOKIだったね」

    「……まあ、私は一人っ子だし、同じ失敗はしないかな」

    「……行くよ――」


    「――蒼い風が、駆け抜けるように!」

    103 = 71 :

      ・  ・  ・

    武内P「渋谷さんの、お母様が私に?」

    「うん。なんだか、聞きたいことがあるみたい」

    武内P「……最近、多いですね」

    「はい、電話」

    武内P「あ、はい、少しの間、お借りします」


    武内P「――お待たせしました」


    「……私は、完璧だから」

    美嘉「……ハナコさん、とか言ったりして」

    「有り得ない。いくらなんでも、無理ありすぎ」


    武内P「――お父様、ですか?」


    「……」

    「えっ?」

    104 :

    あっ

    105 = 71 :

    美嘉「えっ? 凛って、お父さんに頼んだの?」

    「……頼んでない……えっ? なんで……!?」


    武内P「っ!? も、申し訳ありません……はい……はい……!」ペコペコ

    武内P「咄嗟とは言え、大変失礼しました……はい、申し訳ありません……!」ペコペコ


    美嘉「メッチャ謝ってるケド!? 電話なのに頭下げてるケド!?」

    「お父さん、何言ってるの!? ちょっと……待って!」


    武内P「いっ、いえ! 決して、娘さんに対してそんな! はい……はい!」ペコペコ

    武内P「っ!? ま、待ってください! お願いします、話を――」


    「プロデューサー! 電話代わって!」


    武内P「し、渋谷さ――」


    「早く! 良いから、代わって!」

    106 = 71 :

    武内P「で、ですが――」

    「――良いから、早く!」

    ぐいっ!


    「――もしもし!? ねえ、何なの!?」

    「……は? 私が心配だった?」

    「ふざけないでよ! ねえ、聞いてるの!? ちょっと!」

    「……は? お母さんに代わる!?」

    「逃げないでよ! まだ話の途中……あぁ、お母さん」


    武内P「……」


    「うん……うん……」

    「とりあえず、帰ったらお父さんに話がある、って伝えて」

    「そう……うん……承知しない、って言っておいて」


    美嘉「……」

    107 :

    でも武内Pならお嬢さんとか娘さんとか言いそうな気もする

    108 = 71 :

    「……当り前でしょ、私のプロデューサーなんだから」

    「なのに、あんな真似させて……絶対に許さない」

    「えっ? まだ、言い訳してる?」

    「……お父さんとは口きかない、って伝えて」


    武内P「……」


    「うん……うん……」

    「それじゃ、また、プロデューサーに代わるから」

    「……うん、お願い」


    美嘉「……な……なんか、アタシも気まずいんだケド……!?」

    109 = 71 :

    「……はい、プロデューサー、お母さんが代わるって」

    「あと……お父さんが、ゴメン」

    武内P「いえ……娘の心配をする、良い、お父様だと思います」

    「……うん、ありがと」


    武内P「――もしもし、お電話代わりました」


    「……」

    美嘉「えっと……なんか、ドンマイ」

    「……まあ、でも話はこれからだから」


    武内P「えっ!? 仲直りの手伝い、ですか!?」

    武内P「自分も『パパ』と呼ばれたい……は……はぁ」



    「お父さん!!」

    110 = 71 :

    「何なの!? もう、本当……何なの!?」


    武内P「成る程……最近、態度が冷たい、と」

    武内P「そう、ですね……所謂、年頃、というものだと、そう、思います」


    美嘉「なんか……相談始まってない?」

    「やめてよ! ちょっと! ねえ!?」


    武内P「家の手伝いをする機会が……はぁ、成る程」

    武内P「そうですね……負担の無いよう、スケジュールを調整します」

    武内P「……いえ、そんな事は、決して」

    武内P「家族の時間というのも、とても大切ですから」


    「ねえ、本当にやめて!?///」

    111 = 71 :

    武内P「はぁ……夕食時にも、私の話題が……」


    「美嘉、お願いだから聞かないで!」

    美嘉「あ、いや、出るよ? 莉嘉とか、アイツの話題出すし!」

    「そ……そう? せ、セーフ?」


    武内P「……頼れる、と……そんな事を仰って……」


    美嘉「あー……アウトじゃん?」

    「っ……!?」


    武内P「ずっと見ていると、約束……成る程、そんな事まで……」

    武内P「見たことの無い笑顔で……はぁ……ええ……はい」


    「殺して――っ! いっそ殺して――っ!」ジタバタ!

    112 = 71 :

    武内P「そうですね……私が思うに、それは――」


    「ふーん!」

    ぐいっ!

    「――お父さんのバカ!」


    武内P「……あ……あの……渋谷さん?」

    「…………何?」

    武内P「電話は……あの、よろしかったのですか?」

    「…………何が?」

    武内P「いえ、あの、お母様が私に聞きたい事がある、と……」

    「…………何で?」

    武内P「何で!? いえ……あの、何故、でしょうか……?」

    「……」

    武内P「……」

    113 = 71 :

      ・  ・  ・

    美嘉「――凛は、この間は災難だったね」

    「……うん、ホント最悪」

    美嘉「アッハハ……って、アタシも人のコト笑えないか」

    「何が最悪かって、プロデューサーとお父さんが連絡取り出した事」

    美嘉「……うえ、ソレ……マジ? お母さんは、止めないの?」



    「……全然」

    「お父さんは、こうするのが一番手っ取り早い……としか言わない」


    美嘉「……まー、ウチもイミわかんなくてさ」

    美嘉「莉嘉を味方につけておくと良いー、とか言っちゃってさー」


    凛・美香「……」

    凛・美香「……はぁ」


    凛・美香「ホント、子の心、親知らずだよね」



    おわり

    114 :

    卯月ママ有能。卯月は幸せものやで!

    115 :


    莉嘉さんは最大級のライバルな気がするのですが気のせいでしょうか……
    心なしかカリスマが薄れて名前まで変わっちゃってるし……

    116 :

    おつー 最後、美嘉ねぇが叶姉妹になっとる

    117 :

    斬新な発想で感心したわ
    ところでしぶりんよ、お父さん外堀埋めに来てるぞ

    118 :

    お父さんと娘で男取り合ってるってマジなのですか?

    119 :

    ひっどい話やで(褒めてる)
    他の人でもやって欲しいけど保護者像が浮かんでこない

    120 = 118 :

    仁奈ちゃんとかやばそう

    121 :

    仁奈ちゃんの場合両親にもっと家庭を大事にするようにと必死に説得しそう

    122 = 115 :

    あそこの家庭の場合修正という名のグーパン入れても許されるんじゃね……?

    123 :

    どういう家庭なんや・・・

    124 :

    新田家とかは案外普通そうな気がしないでもない
    外ではヘーキでも家族に見られるのは恥ずかしいとか、今までの行いを家族に報告されて顔真っ赤にするとか…

    まあ、恥じらう美波さんが見たいだけなんですけどね

    125 :

    恥知らずなミナミィさんが見たけりゃ見せてやるよ

    126 :

    うお、失礼
    >>113
    美香→美嘉、で

    >>123
    書きます

    127 :

    ひさしぶりの暗い話か期待

    128 = 126 :


    「ぷはー!」


     レッスンのあとに飲むジュースは、かくべつでやがりますなぁ!
     今日も、いっぱい頑張ったでごぜーます!
     トレーナーのお姉さんも、いっぱい、いーっぱい褒めてくれたですよ!
     えへへ、褒められると、うれしーでごぜーますよ!


    「……えへへ~♪」


     思い出すだけで、うれしい気持ちが溢れちゃうんだ! こんな風に!
     トレーナーのお姉さんだけじゃなく、皆も褒めてくれたですよ!
     頑張ってるね、可愛いね、って!
     そうやって褒めてくれるだけで、仁奈はとっても幸せでやがります!


    「明日は、何のキグルミにしようかな~」


     明日は、歌のレッスン!
     だから、お歌が上手な動物さんのキグルミにしよー!
     ウサギのキグルミはお気に入りだけど、ウサギはお歌が得意じゃねーでごぜーます。
     歌うとしたら、どんな感じだろ?


    「……ピョーン、ピョンピョンピョーン♪」


     うーん、やっぱり、難しいでごぜーますなぁ。
     ウサギの気持ちは、ピョンピョン飛び跳ねるけど、歌うのは苦手でごぜーますよ。


     だけど、仁奈はウサギのキグルミがお気に入りでごぜーます!
     だって、これを着てると、いつもより皆が優しくしてくれやがります♪
     いっぱい、ぎゅーってしてくれるですよ!


    「……そうだ!」


     もっとウサギの気持ちになれば、皆、もっと仁奈を見てくれるかも!
     ふおお! すげー……すげー事を思いつきやがりました! すっげー!


    「よいしょ、と」


     きゅーけースペースは、テーブルが無いから不便でごぜーますなぁ。
     誰も居ないし、ジュースは椅子に置いておいても大丈夫? 大丈夫!
     ちょっとだけ、ウサギの練習をするだけでごぜーますから!
     ここでいい子で待ってるですよ? だって、ウサギはオレンジジュースは飲みやがりません!


    「ピョン♪ ピョンピョン♪」


     足を揃えて、ジャンプ……足を揃えて、ジャンプっ!
     キグルミの耳が、パタパタ揺れます。


     足を揃えて、ジャンプ……足を揃えて、ジャンプっ!
     どんどん、どんどんウサギの気持ちになるですよ。


     ダンスレッスンの後だから、すげー大変でごぜーます。
     でも、仁奈は頑張るですよ!
     もっと、もっと頑張って、皆に見てもらって、ぎゅーっとして貰うんだー!


    「ピョン、ピョン……ピョンっ!」


     つらくても、苦しくても、仁奈はいーです。
     寂しくて、悲しいのは、嫌でごぜーますから。

    129 = 126 :


    「ピョン……ピョン、ピョン!」


     仁奈は、キグルミが好きですよ!
     キグルミを着てると、皆がかわいいって褒めてくれやがりますから……えへへ。
     ママも、新しいキグルミを着てるのを見たら、かわいいって言ってくれるでごぜーます!
     だから、もっとお仕事を頑張って、もっといっぱい新しいキグルミを着てーですよ!


    「ピョンピョン……ピョ……ピョンッ!」


     仁奈は、ママが好きでごぜーます!
     ホントはもっと一緒に……そばにいてほしーでごぜーます。
     だけど、ママはお仕事が忙しいから、仁奈がそう言うのってワガママなんだー。
     ワガママを言うと、オトナになれねーので、言わないようにしてます! えっへん!


    「ピョンピョンの……ピョンッ!」


     ママは、お仕事が好きでごぜーます! きっと!
     人間のキグルミは持ってねーので、ママの気持ちはわからねーですよ。
     人間のキグルミを持ってたら、もっと、そばにいて貰えるのかなぁ?
     ……うぅ、人間のキグルミ……欲しいでごぜーます。


    「ピョンピョンっ!」


     だけど、お仕事が楽しいって気持ちは、仁奈にもわかるんだー!
     アイドルを始めてから、仁奈は、毎日がすげー楽しいでやがりますよ!
     きっと、ママも仁奈くらいお仕事が楽しいんだと思うです! もしかしたら、もっと!


    「……」


     だから……だから――


    「……ピョンッ」


     ――仁奈も、頑張るでごぜーます!


    「ピョンッ! ピョンピョンッ!」


     仁奈は、お仕事が好きです! すっごく、すっごく好きでやがります!
     えへへ、だって、お仕事を頑張ってると、皆が仁奈を褒めてくれます。
     お家に帰っても、誰も居なくて、寂しくて、悲しいだけでごぜーました。


    「……ふぅ……きゅーけーも大事、っておねーさんが言ってやがりました」


     でも! アイドルをやってると……お仕事してると、誰かが近くに居る!
     誰かが近くにいるって、すっげーあったけーでごぜーますよ!
     ぎゅってしてくれて、あったかくて、えへへ、ポカポカするでごぜーます。
     だから、仁奈はお仕事が大好きでごぜーます♪


    「……喉、渇いた」


     キグルミを着て、お仕事をすると、皆が見てくれやがります。
     だから、仁奈はキグルミも、お仕事も、すっげー大好きでごぜーますよ!
     仁奈は……寂しいのがきらいでごぜーます。
     寂しいのはきらいなので、いっしょーけんめー頑張るですよ!

    130 :


    「……ぷはー!」


     オレンジジュースが、しみわたりやがりますなぁ!
     おねーさん達も、お酒を飲んだ時はこんな気持ち? かなー?
     だけど、お酒を飲んだ次の日のおねーさん達は、くっせーでごぜーます!
     早苗おねーさんたちは、時々……あはは! すっげーくせー!
     お仕事してる時はチョーかっけーので、らくさがすげーですよ!


    「ふ~ん♪ ふんふふ~ん♪」


     美優おねーさんは、すっげー良い匂いがするですよ!
     仁奈は、美優おねーさんの膝枕がお気に入りでごぜーます♪
     すげー良い匂いがして、やわらかくて、あったかくて、幸せな気持ちになるです♪
     間違って、ママ、って呼んじゃっても、怒らなかったでごぜーます!
     笑って、優しくナデナデしてくれたんだ! えへへっ♪


    「ふ~ん♪ ふんふふ~ん♪」


     ねっ! お仕事してると、こんなにうれしー事がいーっぱい!
     だから、仁奈は事務所に来るのが、楽しみでしょーがねーですよ!
     お家に居ても、一人で寂しいだけでごぜーますからなぁ。


    「……」


     ……だから、もっと頑張って、人気のアイドルになるですよ!
     そうすれば、もっといっぱい仕事が出来て、事務所にいっぱい来れるでごぜーます!
     事務所に来れば、寂しくねーですから!


    「……」


     ……ここに住めれば良いのになー。
     そうすれば、学校から帰った時も、寝る時も、起きた時も……寂しくねーのになー。
     誰かと食べるゴハンは、一人で食べるよりもすげーうめー! うめーんでごぜーます!
     オニギリばっかりは……あっと、ワガママは言いやがりませんよ! エッヘン!


    「……よし、きゅーけーしゅーりょー! でごぜーます!」


     ウサギさんの気持ちになるですよ!
     もっと頑張って、ファンの人を増やすでごぜーます!
     いっぱい練習して、ずっと、いーっぱいの人に見て貰えるようになるでごぜーますよ!


     えへへ、そうすれば、仕事で海外に行ってやがるパパも見てくれるかな。


    「……」


     仁奈は、パパが大大、だーい好きでごぜーます!
     パパは、ママよりも忙しくて、あんまり会えないです……。
     でも、アイドルを頑張れば、海の向こうにも届くでごぜーます! きっと!
     だから、仁奈は……仁奈は――


     コトンッ。


    「ん? 何の音だろー?」


     足元で、音がしやがりました。

    131 = 130 :


    「――あっ」


     オレンジ色の、水たまりが広がっていきやがります。
     トプトプ、トプトプ広がっていきやがります。


    「あっ、あっ!」


     どうしよう……どうしよう、どうしよう!
     キグルミが、引っかかっちゃったんだ!
     もう、中身は空っぽになったみてーですけど……どうしよう!



     怒られる。



    「っ……!」



     嫌われる。



    「いやだ……いや、いや、いや、いやでごぜーます……!」



     嫌われたら、一人になっちゃう!
     もう、一人は嫌でごぜーます!
     なんとかしなきゃ! なんとか!


    「――そうだっ!」


     良いことを思いついたでごぜーます!


    「んしょ……んしょっ!」


     キグルミは、汚れちゃ駄目でごぜーます!
     だって、キグルミがないと、皆が仁奈を見てくれなくなっちゃうかもしれねーですから!


     だけど、シャツが汚れても、着てなくても、大丈夫でごぜーます!


     シャツで拭いて、キレイキレイするですよ!


    「……へぷちっ!」


     寒いけど、問題ねーですよ!
     寂しくなるくれーなら、こんなのヘッチャラでごぜーます!
     ……うぅ、でも、あんまりキレイにならねーです……。
     どうしよう……どうしよう……。


    「……うぅ……!」


     仁奈は、もう一人になりたくねーです。

    132 = 130 :

      ・  ・  ・

    「――やったー! キレイになったでごぜーます!」


     ジュースをこぼしたとは、誰もわかりやがらないです!
     えへへ! みすをしてもとりかえす、ってこーゆー事ですね!


     これで、嫌われずにすむです!
     アイドル、続けられる!
     一人にならなくてもすむですよ!


    「……へぷちっ!」


     早くキグルミを着て、あったかくなるでごぜーます!
     んしょ……んしょっ……んー! やっぱり、あったけー♪
     キグルミは、やっぱり、最高でごぜーますなぁ♪


     キグルミを着てれば、皆が可愛がってくれやがりますから♪


     寂しくならねーなら、シャツなんていらねーでごぜーます!
     仁奈は、キグルミを着たアイドルでごぜーますから!


    「シャツは……捨てちゃっても、良いですね」


     汚れちゃったし、そもそも、かなりボロっちくなってやがりましたから!
     普通の服の中では、お気に入りだったけど……最後に、頑張ってくれた!
     今まで、ありがとーごぜーました!
     もー! ポタポタたれるの、うっとーしーです! えいっ!


    「……へぷちっ!」


     やっぱり、ちょっとさみーですねぇ。
     ……だけど、寂しいより、平気です! 全然!


     寂しいのは、服を着ても、キグルミを着ても、ふせげねーですからね!


     誰かがそばにいないと、ダメなんだー。


    「……」


     おねーさん達、お仕事から戻ってきてるかな?
     お家に帰っても、ママは、きっとまだ帰ってねーでごぜーます。
     だから、おねーさん達が居たら、お願いしよー!


     ぎゅ~っとしてくだせー! って!


    「ピョン……ピョンッ!」


     おねーさん達は優しいから、お願いを聞いてくれるでごぜーます! きっと!
     ぎゅっとして、ナデナデして、あったかくしてくれやがります! えへへ♪


     だから、ウサギの気持ちになるですよ!



    おわり

    133 :

    アカン(アカン)
    みんな実は知ってるような気がするのが死ぬほど怖い

    134 :


    やっぱり両親に男女平等パンチで修正入れる必要あるわこれ

    135 :

    もはや暴力で解決出来る事案じゃない
    むしろ悪化させる

    136 :

    痛ましい

    137 :

    ウサギはさびしいと死んじゃうらしいけど

    138 :

    早苗さんが臭くて悲しかった(現実から目を剃らしながら

    139 = 133 :

    目剃っちゃうのか…
    それでも気持ちはわからなくもない

    140 = 136 :

    これは武内Pがパパに、早苗さんがママになるしかないな
    早苗さんの酒臭さも改善されて一石二鳥

    141 :

    仁奈ちゃん以外にやべー家庭の子っているんか?
    村上さんとかみたいな方向のやべーんじゃなくて

    142 :

    こずミックえネミーさんとか……?

    143 = 133 :

    こずえに生物学上の親がいるとも思えない
    概念が人型を模したとか言われても納得

    144 :

    三船ママはよかですね

    145 = 130 :

    >>141
    書きます

    146 = 133 :

    シングルマザー三船さんと未亡人武内Pの恋…書きたい(書けない)

    147 = 130 :


    「あたしが失踪する理由?」


     失踪する理由かー。
     うーん、ただの趣味、って言っても納得いかない顔してるね、キミ。
     だけど、納得出来ないと、あたしが音を上げるまで聞くタイプでもない、か。
     オッケー! それじゃあ、気まぐれ志希ちゃんがお話してあげよーう!


    「あたしが失踪したら、どう思う?」


     腕を後ろで組み、腰を曲げ、上目遣いで見上げながら、言う。
     右手を首筋にやって戸惑ってる姿は、最近では、もう見慣れてきたかにゃ~。
     んっふっふ、困ってる困ってる。
     あたしのもう一つの趣味は、観察。
     その対象としても、キミはとっても興味深い反応をするよねぇ。


    「さあさあ、キミはどう思うのかな?」


     どう、思うんだろう。
     あたし達の関係は、あくまでもビジネスだからねん。


     アイドルと、プロデューサー。


     なのに、あたしは、それ以外の関係性から得られる答えを求めてる。
     当然、それはあたしの勘違いって可能性も、ある。
     あたしにだって、わからない事くらいあるのです。
     色々な可能性があるけれど、その、全てが正解で、全てが間違いかも知れない。


     だから、あたしは観察する。


     間違った結果を積み重ねていった結果、駄目になってしまったものがあるから。
     今度は、間違えたくはない。
     そう思う理由すらもわからないのに、おかしな話だよね~、にゃはは!
     おっとと、何か言おうと、口を開きかけてるね。


     さあ、キミは、あたしが失踪してどう思うのかな?


     キミは、あたしが求める答えを導き出してくれるのかな?


    「……一つ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」


     右手をおろして、気をつけの姿勢。
     困っていた顔は、一見無表情に見えて誠実な匂いが漂うものに、変化した。
     心の中で、一体どんな化学変化が起こったのかな。
     ま、いいや。


    「ん、何ー?」


     ヒントの一つくらいは出してあげようかな。
     頑張ってあたしを見つけたご褒美です、パンパカパーン!



    「どう思われたいと……思っていますか?」



     ……わお、鋭い質問をしてくるね。

    148 = 130 :


    「う~ん、そうだなぁ~……」


     人差し指を頬に当てて、思案する――フリをする。
     答えは出ているけれど、それを導き出す方程式を見せつける。
     風が吹いて、髪がフワリと揺れる、揺れる。
     風上に立っていたあたしの匂いが、あたしの答えを待つ人を包み込む。


    「……んふふっ!」


     思わず、笑みがこぼれる。
     副交感神経がリラックス状態になっていると自覚するのは、不思議な感覚。
     この感覚に身を任せて、そのまま消えてしまえればどれだけ幸せなのだろう。
     けれど、人間の体は、そこまで思考に依ったものじゃないんだよねー。


     皆は、あたしを天才――ギフテッドと言う。


     まー、ローティーンで海外で飛び級してるんだから、そうなのかなって思うよ。
     ふつーじゃない、ってやつ。
     でも、それにも程度っていうものがあるんだよね~。


     本当の天才っていうのは、孤独。
     孤高じゃなく、孤独なものだとあたしは考えてる。


     その才能に、周囲の人間はついていけない。
     ついていこうとしても、必ず無理が生じ、致命的な破綻を生む。
     肉体的、精神的、経済的、色々な破綻をね。
     あたしの知ってる一番の天才は、もう、色々とぶっとんでて、ぶっ壊した。


     幸せだった……そんな家庭をものの見事に、ぶっ壊した。


     勿論、それが一人の責任だなんて事は言わないよ。
     だって、ファミリーっていうのは、支え合っていくものらしいからね!
     小さい頃に見たホームドラマの中で言ってたし、それに……ママも言ってたから。



    「――内緒♪」



     ママは、ふつーの人だった。
     あ、すっごく美人だったよ? だから、あたしの容姿はママ譲りなので~す! ラッキー!
     でもね、中身はぜーんぜん違うの!
     だってさ、あたしの事を『希望』だって言っちゃうような人だよ? にゃはは!


     あたしには、わかんない。


     どうして、あたしが希望なのか。
     あの時、あたしがもう少し大きかったり、それこそ、ふつーの女の子だったら、わかったのかも。
     けれど、あたしはその時小さかったし、当然のように――ダッドのように、ギフテッドだったから。
     だけどさ、今でもハッキリ思い出せる。


     あたしを『希望』と言った時の、ママの笑顔。
     その時の匂いも、あたしの脳に深く……とっても深く刻み込まれてる。


    「――さっ、戻ろっか!」


     あたしは、それを思い出すと、いつものあたしではいられなくなる。

    149 = 130 :

      ・  ・  ・

    「……んー」


     マイ研究室で一人、実験ざんま~い!
     アイドルも刺激的だけど、このルーティンワークも無くせない。
     だって、これはあたしが、今まであたしでいた事の証明でもあるし。
     それに何より、イイ匂いでトリップするのも――


    「――良いねぇ!」


     鼻孔を甘~い香りが通り抜けていく。
     その香りに体の神経系統を全て委ねるように、寝転がる。
     床にはマットレスが敷かれていて、準備万端! 志希ちゃん天才!
     にゃはは、前にそのまま寝ちゃって、体バッキバキになっちゃってさー。


    「……ふぅ」


     どう思われたいと、思ってるか。


     さてさて、あたしはどう思われたいのでしょうか。


     誰に、どう思って欲しいのでしょーう、かっ。


    「……」


     なーんてねっ!
     センチメンタリズムは、あたしらしくなーい!
     あたしはロジカルシンキーング! いえーい!


    「……」


     ……あー、なんだか変な感じにキマっちゃったかにゃー?
     考えないようにしてる……思わないようにしてるのに。
     思考がどんどん溢れてきて、ふつーなら処理出来なくなるのに。
     あたしの脳は、それを処理しようと稼働して、止まらない。



    「ママ……パパ……」



     ああ、口に出してみれば楽になるかと思ったけど、違ったみたい。
     聴覚を刺激して、余計に感情が溢れるのに歯止めがきかなくなる。
     大脳辺縁系が、あたしの心を司る部分が、あたしを苦しめる。


     この匂いは、成功で、失敗。


     目を開けて、視覚を頼りに、足掻く。
     仰向けに寝転がったまま、コンクリート製の天井を見つめる。
     このコンクリートの天井が突然落ちてきて、あたしを押しつぶす確率は?


     ……。


    「……あー、飽きちゃった」


     脱出、成功ー!

    150 :

      ・  ・  ・

     パパは――ダッドは、孤独。
     孤高じゃなく、孤独。


     にゃはは! ダッドは、それが平気な人なんだよね~!


     ……でも、あたしは違った。
     あたしの当り前は、ダッドと――パパと、ママの三人で居る事だったから。


     あたしが色々な事を出来るようになったら、ママが、偉いね、凄いねって褒めてくれる。
     優しい笑顔を向けてくれて、頭を撫でてくれる。
     それがくすぐったいけど、全然嫌じゃなくて、もっとしてほしいって思って。
     そんなあたし達を見て、パパも、笑ってて。


     ふつーの幸せ。


     あたしは、それを知ってる。
     ワクワクはしないけれど、とっても素敵で、輝いてて、それがずっと続けば良いのにって思ってた。
     ううん、続くと信じて疑わなかったんだよねー。
     きっと、パパもあたしと同じで、そう思ってたんじゃないかな。


     そう思ってたからこそ、こんな風になっちゃったのかなー、って。


     パパは、ママを深く愛してた。
     孤独なあの人が、あーんなにぶっとんだ人が、まるでふつーの人みたいに振る舞うほど。
     二人の間に、どんなラブ・ストーリーがあったかは、知らない。
     だけど、その結果として、あたしが生まれたんだもんね。


     だけど、狂った歯車は崩壊するしかない。


     どれだけ革新的な理論を構築出来る頭でも、それは止められない。
     事実、あたしにもパパにも――ダッドにも、止められなかった。
     あ、ダッドは止めようとはしてなかったかな?
     あたしは全力で抗ってみたけど、所詮は一人の人間、止められなかった。


     孤独な人の隣に立つには、あたしも孤独でなきゃならない。


     子供心にそう考えたあたしは、そうだねぇ……おバカさんでーす! にゃはは!
     だってさ、孤独だったあの人の隣に居たのは、ママだったんだから。
     あたしがやるべきだったのは、娘として、ふつーに甘える事だったんだと、今ならわかる。
     わかるけど、出来るかは別だけどねん!


     だって、あたしもギフテッドだから。


     あたしもダッドも、才能が無かった。


     致命的なまでに、家族の才能が無かった。


     結局、孤独が平気なダッドは、また一人に戻った。
     でも、あたしは一人を知らなかった。
     パパとママとあたしの、三人の、家族で暮らす幸せしか知らなかった。
     だから、必死でダッドの隣に並ぼうとした。


     結果、孤独が平気なダッドが、一人。
     孤独を寂しいと思うあたしが、一人。
     一人と一人は、二人にはならなかった。


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