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    元スレ八幡「徒然なるままに、その日暮らし」

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    401 = 1 :

     当の雪ノ下はというと、どうやら俺の背後で指折り数えているご様子。
    あ、駄目だこれ、本当に容赦するつもりなさそうだわ、こいつ。
    悲しいかな、善意とは時に悪意よりも残酷なのである。

    「他に欠如しているものというと……礼儀、作法、所作、落ち着き、淑やかさ、細やかさ、それから」
    「ちょっと待った、その辺にしといた方がいいと思うぞ、先生もそろそろノックアウト寸前っぽいから」
    「あ、あら、ちょっと言い過ぎたのかしら――でも、本当に知りたいようだったから、その……」
    「いやいい、むしろよく言ってくれた、雪ノ下よ」

    402 = 1 :

     あ、何かふらふらしてるけどまだダウンはしてないみたいだ。
    結婚したいという思いとその為の熱意は本物なんだな。

     しかしまぁ、この情熱をもっと別のことに使えれば、割と凄い功績だって上げられそうな気もするんだけど。
    本当に色々と力の入れ所が間違っているお人だ。残念美人というか何というか。
    生温い視線で見守る俺の前で、先生はぐっと握りこぶしを作って気炎を上げる。

    「そうだ、改善すべき点があるのならば直して行けば良いだけのこと。壁は高い程越えた時の喜びは大きいしな。ふふ、燃えてきたぞ」
    「いえ、ですからその考え方がまず……」

    403 = 1 :

     雪ノ下が諦めずに言い募ろうとしているけど、多分無駄だと思う。
    まずこの思考の端々から漂う少年マンガ臭がなくならないと、結婚は難しいんじゃないかな。
    仲良くはなれるかもしれないけど、そこ止まりというか。
    そんなイメージが頭から離れない。

     あれだ、これからもずっとお友達未満でいましょうね的な感じ。
    ……何で俺は自分で自分のトラウマ抉ってんだよ。
    何だよ未満って。つまり何なのさ?

    404 = 1 :

    「ふむ、では逆に男の目から見たらどうだね? 比企谷よ」
    「はい?」
    「つまりだ、その、男のお前の目から見て、私が魅力的に映るかどうか、と聞いているわけだが」

     不意に流し目を送られて、反射的にどきっとしてしまう。
    いや実際の所、中身はさておくにしても、外見的にはもちろん平塚先生は所謂美人さんなわけで。
    強さと温かさを湛えた瞳といい、艶のある唇といい、さらりと流れる黒髪といい、無駄に良いスタイルといい、(喋らなければ)大和撫子と評してもまぁ決して言い過ぎということはないだろう。

     ここにきて、しずかわいいが脚光を浴びることになろうとは――まさに遅れてきたブーム、とか言ったら殴られそうだけど。
    とにかくまぁそんな人に色目を使われれば、そりゃあ健全な男子高校生なら反応しない方がむしろ不自然なんじゃないかと思うのだ。
    そう、普通なら。

    405 = 1 :

    「……」

     頭が痛い。いや精神的にではなく物理的に。
    より具体的には、雪ノ下さんの手が、何故か俺の頭部へ明らかに攻撃を加えてきております。
    ちょっと待って、ここって俺を痛めつける場面じゃないでしょう、平塚先生の結婚を祈念して応援する場面じゃないですか。

     そんな俺の切なる思いも虚しく、雪ノ下は手を決して緩めようとしないまま、ゆっくりと口を開く。
    聞こえてくる声は予想に違わず、地の底から聞こえてくるように低く冷たい。氷の女王降臨である。

    406 = 1 :

    「平塚先生、冗談でもこの程度の男にその手の誘惑は止めておいた方がよろしいかと。危険以外の何物でもありませんし、そもそも一般男性とかけ離れた嗜好・感性を持つ愚の骨頂の意見など何の参考にもなりませんから」
    「なぁ、俺別に何も悪いことしてないよな。何でそんなナチュラルに俺を貶してるの? 文句を言う方向がおかしいでしょ。あとそろそろ手ぇ離してくれよ、割とマジで痛いから」
    「黙りなさい、愚の骨頂くん。全く、年上の女性と見ればすぐに発情して、本当に唾棄すべき下劣さね。獣でももう少し節操があるわよ、あなたいつになったら進化できるの?」
    「おい、色々言いたいことあるけど、まずその呼び名は止めろ。つーかせめて何かにかけようとしろよ、一文字も合ってないだろうが、手抜きすんな」

     あと発情とか変な言葉を口にするなっての。表現がいちいち怖過ぎるわ。
    平塚先生相手にそんなことしたら色々終わるだろうが。
    俺はここで人生を終わらせる気は無いぞ。
    と、そんなやり取りをする俺たちを、なぜかにやにやしながら見てくる平塚先生。

    407 = 1 :

    「ほう、これはこれは。いや何とも仲が良くて結構なことだ」
    「聞き捨てなりませんね。それは冗談にしても笑えないですよ、平塚先生。この男と仲が良いなど……」
    「ちょっ、落ち着け雪ノ下」

     雪ノ下の細くしなやかな指が、すーっと俺のこめかみの方に下りてきた。
    所謂うめぼしの予感に知らず緊張が走り、俺も静止の声を上げたのだが――果たして彼女の耳に届いているかどうか。
    脳内ではアラートが鳴りっ放しだ。

     不意打ちに弱いのは知ってるけど、それにしたって何でこいつはこうまで自然に俺に対して攻撃態勢を取れるんだよ。
    これはもう、いざとなったら無理やりにでも止めないと、と身を固くしつつ推移を見守ることにする。

    408 = 1 :

    「ふふ……なるほど、陽乃の言った通りだな」
    「姉さんが、何か?」
    「いやなに、君たち二人を見ていると初々しくて微笑ましいとか、からかうと一々反応が楽しいとか、まぁ愉快そうに話していたよ」
    「姉さんらしい歪んだ感想ですね、そんな妄言を真に受けるのはどうかと思いますが」
    「そうかね? だが雪ノ下、聞けば君は比企谷にファーストネームで呼ぶことを許可したそうじゃないか、他の異性には許していないだろうに」
    「な……っ! そ、それは、その――つまり、この男は私の姉のことも知っているから、えぇ、だからこそファミリーネームで呼ぶのでは愚かな彼には識別が困難なのではないかと判断し、その恐れを排除しておこうという思慮と配慮の結果として下された苦渋の決断によるものであって、決して他意はありません。いえ、まずそもそも――」
    「ちょっ、待て! ストップストップ!」

     平塚先生のにまにました笑みを浮かべながらの指摘に、雪ノ下がこれ以上ないくらいに動揺し、いよいよ危険水域に達したと思った瞬間、俺の体が脊髄反射的に動いていた。
    それこそ目にも止まらない速さどころか目にも映らない速さ、みたいな。いやごめんこれは言い過ぎ。
    しかしとりあえず声を上げるよりは迅速に、俺の手は動いていた――雪ノ下の両の手を、しっかりと掴んで止める為に。

    409 = 1 :

    「きゃっ」

     いきなりのことで驚いたのか、そんな可愛らしい声が雪ノ下の口からもれた。
    突然のことで強張ってはいるものの、掴んだ両手は信じられないくらいに柔らかく、また普段の冷徹さからは想像できないくらいに温かい。
    が、今はそのことに感動している余裕なんて微塵も無く、ただ事前にダメージを防ぐことができた安堵の気持ちが心を支配していた。

    「平塚先生、間接的に俺を攻撃するのは止めて下さい。そんな搦め手とか、らしくないじゃないですか。剣よりも強いペンよりも強い拳を持つ女の異名が泣きますよ」
    「そもそも君を弄っていたわけではないんだが――とりあえず君は後で泣かす」

    410 = 1 :

     いかん、動揺していたせいでまた口が滑ってしまった。
    あれ? でも後でとは意外な気がするな、いつもなら言葉の前に拳が飛んでくるのに。

    「いや、どうせならさっさと終わらせたいんで、やるなら一思いに今きて下さい」
    「君のその変な諦めの良さは何なんだろうな、逆に毒気を抜かれてしまうぞ。それに今君を殴れば、とばっちりを受けてしまうからな、どの道その提案は却下だ」
    「ふっ、どうやら命拾いしたようだな」
    「なぜその台詞を君が言う? しかも誇らしげに」

     どうやら毒気を抜かれたのは本当のようで、平塚先生の声は怒りではなく呆れに満ちていた。
    俺のこの危機回避能力の高さはちょっとしたもんだな。
    もっとも危機に陥ったのも自分のせいなんだけど。何そのマッチポンプ。

    411 = 1 :

     ふと気付けば、平塚先生がまた楽しそうな笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
    笑いを堪え切れないと言った風な表情が、妙に気にかかる。

    「さて、では気も大分晴れたし、そろそろ私も帰ることにしよう」
    「あぁ、やっぱりただの気晴らしだったんですね」
    「そうだな、これで気分良く酒を楽しめそうだよ、君たち二人のおかげだ」

     そういう豪気なところも直さないと、益々もって結婚は難しいんじゃないですかね?
    さすがに今回は思うだけで口にするのは自重した。
    あるいは言ってあげるべきかもしれないけど。

    412 = 1 :

    「ん? でも俺たち別に何もしてませんけど」
    「いやいや、いいものを見せてもらったよ。何でもできる子だと思われていても、苦手なものはあったんだな」
    「?」
    「では二人とも、あまり遅くならないように。あと――」

     言いながら立ち上がり、扉の方へと歩く平塚先生。
    部屋を出る直前、茫然と見ている俺の方へと向き直って、一つウインクする。

    「――そろそろ離してあげたまえ、さすがにこれ以上は持たないだろうからな」

    413 = 1 :

     は? と俺が間抜けな声を上げるのを聞くでもなく、平塚先生は今度こそ部屋を後にする。
    一瞬呆けて、それからようやく気付く……まだ雪ノ下の手を握ったままだったことに。

     と同時に、手に伝わってくる様々な感触が、堰を切ったように俺の脳内を駆け抜ける。
    きめ細やかな肌の滑らかさを、その芯にある温もりを、そんな諸々を知覚して。
    今更ながらに自分が何をしているかに気付き、血の気が引く思いがした。

     俺が手を掴んでから、雪ノ下は一言も言葉を発していない。
    座った今の体勢では、背後の彼女がどんな表情をしているかも、まるで窺い知れない。
    突然の出来事に硬直しているだけだとしたら――手を離した後、俺を極北の冷気が襲うのは間違いないだろう。

    414 = 1 :

     しかし、それは真実俺の自業自得なわけで。
    これはもう素直に謝るのが先決だ。

    「えっと、すまん、雪ノ下」
    「……ぁ」

     覚悟を決めて、謝りながら両手を離す。
    その刹那、雪ノ下の口から小さな声が零れ落ちた。
    それがどういう感情によるものかは分からないけど。

    415 = 1 :

    「これは、その……って」
    「動かないで」

     正面から向き合って反省の弁を述べようとしたのだが、俺の手をがっちりと捉えたままの雪ノ下の手がそれを許してくれなかった。
    あれ? これは何でしょうか?
    もしかして、疑問に思う俺の代わりに首を捻ってくれるおつもりでしょうか?
    それには及びませんので、解放してもらえませんかね。

    416 = 1 :

    「あの、雪ノ下、お前の怒りはごもっともというか、その、全面的に俺が悪かったというか」
    「――少し黙っていなさい、比企谷くん」
    「……」

     感情を無理矢理抑え込んでいるかのような平坦な声に、俺は口を閉ざさざるを得なかった。
    決して冷たくはないけれど、その内に潜む物が何なのかがまるで見えず、むしろ不安になってくる。
    暫しの沈黙と停滞。
    やがて、俺の頭上で雪ノ下が区切りのように一つ溜め息を吐く。

    417 = 1 :

    「はぁ……全く、あなたという人は本当にどうしようもないわね、いきなり女子の手を掴んでくるだなんて、相手によっては通報されていてもおかしくはないわよ」
    「いや、うん、それは本当に悪かったよ。これからは絶対しねぇから、だからその」
    「ちょっと待ちなさい、比企谷くん。どうも誤解があるようね」
    「んなことねぇよ、お前が俺に手を掴まれて気分を害したってことはちゃんと理解してるから」
    「だから、それが間違っていると言っているのよ」
    「え? 何言ってんのお前。さっき自分で口にしてたことじゃん」
    「――別に、手を握られたこと自体に文句を言っているわけではないわ」

     不意にそっぽを向いたのか、少し雪ノ下の声が遠くなる。
    相変わらず俺の頭は固定されたままで、その動きも表情も全く窺えない。
    その物言いも気にかかったけど、それ以上に言葉の内容が引っ掛かった。

    418 = 1 :

    「でも、怒ってるんだろ?」
    「当たり前じゃない、いきなりあんなことされたら。せめて一言断ってからにしなさい」
    「あれ? 問題なのってそこ?」
    「当然でしょう。もちろん私がそれを了承するかどうかは、また別の話だけれど」

     あぁ、うん、それは言われなくても分かってるけど。
    それでも、常よりも少し早口だった雪ノ下の言葉の、その真意までは掴み切れない。
    今こいつの心をどんな感情が占めているかなんて、まるで窺い知れない。

     ――いや、今はこれ以上考えるのは止めておこう。
    きっと明かされない方がいいこともあるのだ。

    419 = 1 :

     何にしても、思ってたほどは怒っていなかったみたいで、それは本当に僥倖だった。
    腹を切って死ぬべきであるとか言われたらどうしようかと思った。雰囲気的にそう言われたらやりかねなかったし。
    そんな風に俺が安堵の息を吐いたところで、雪ノ下が駄目押しをしてくる。

    「安堵しているようだけれど、次はないわよ。もしまた許可なく勝手なことをしたら――終わらせるわ」
    「何をだよ……いや分かってるよ、ちゃんと気をつけるから」

     怖い言い回し狙いやがって。
    しかし今の俺は、そこを突っ込める立場ではなく。
    平身低頭、唯々諾々と、何を言われようと頷く他ないわけだ。
    触れるなら事前に許可を取れとかお前は役所かよ、と心の中でだけ突っ込んでおく。小心者万歳。

    420 :

     と、そこでようやく雪ノ下の手が俺の頭から離れた。
    一つ深呼吸してからゆっくり振り返ると、雪ノ下はいつも通りの余裕綽々の表情で俺を見下ろしていた。
    本当にこいつはどうしてこうもいちいち上から目線じゃないと落ち着かないんだろうか。
    何? お前どこの姫なの? 見下し過ぎて逆に見上げてたりするの?

     しかし何だな、さすがにここまで優越感たっぷりに見下ろされると、ちょっと抗いたくなってくるというものだ。
    いくら俺に非があったにしたって、やられっ放しというのは気に食わないというか。
    たとえ勝てないまでも、せめて一太刀。
    その余裕を奪ってやれないものかと考える。

    421 = 1 :

    「そうだ、言い忘れてた」
    「何かしら?」

     だから。
    一度居住まいを正し。
    雪ノ下を見上げながら。
    雪ノ下に見下ろされながら。
    目と目を合わせて、一言。

    「前髪さんきゅな――雪乃」

    422 = 1 :

    「前髪さんきゅな――雪乃」

     瞬間、雪ノ下の目が少し見開かれる。
    不意打ちに弱いこいつには有効打になるはず、と思っての名前呼びだ。

     しかし、予想に反して変化は一瞬だけ。
    雪ノ下はすぐにまた余裕ぶった表情に戻り、どころか逆に嬉々として俺の顔を指差してくる。

    「どういたしまして。それより顔、赤くなってるわよ?」
    「ぐっ……」

    423 = 1 :

     指摘されて、一気に恥ずかしさが込み上げてくる。
    あぁそうだな、諸刃の剣だって自覚はあったよ、相討ちでもいいと思ってたんだよ。
    それがまさか単なる盛大な自爆で終わるだなんて――雪ノ下、こいつ、慣れてきてやがる。
    全くどうかしてるぜ、この状況。

     とか思いつつも。
    一太刀浴びせるどころかカウンターをくらったわけだけど、それでも。
    いつもの冷笑ではなく、してやったりという、そんな花が綻ぶような嬉しそうな笑顔を見せられたら。
    負けても悪くないかなとか思ってしまうんだから、俺も大概どうかしてるのだろう。

    424 = 1 :

    「天に唾する行為とはこのことね、その程度の浅知恵で私の意表を突けると思うだなんて、逆に感心してしまうわ」
    「――お前だって前は真っ赤になって動揺してたじゃん」
    「何のことかしら? 現在進行形で顔を赤くしている人の台詞じゃないわね」
    「つーかお前が慣れんの早過ぎなんだよ」
    「名前を呼ぶことは私が許可したわけだし、慣れて当たり前でしょう。むしろあなたの方が慣れなさ過ぎなのよ」

     さらりと髪を流す雪ノ下。
    相変わらず一つ一つの仕草がいちいち堂に入っていやがる。
    凛とした立ち姿に、磨き上げられたダイヤのような輝く瞳、たおやかに綻ぶ口元からは、しかし容赦の無い罵倒。
    容姿端麗にして辛口とか、何? お前日本酒か何かなの?

    425 = 1 :

    「簡単に言ってくれるけどなぁ」
    「そもそもあなた、姉さんを呼ぶ時は全然動揺してなかったじゃない」
    「陽乃さんは別だろ、あんだけ分厚い外面越しじゃあ意識のしようもねぇよ」
    「図太いのか鈍いのか――それなら、私の名前を呼ぶのも自然にできるはずでしょう?」
    「いや、それはちょっと……」

     ちらと雪ノ下の目に視線を向ける。
    真っ直ぐに見返してくるその瞳は、深海のように深く静かな色合いで。
    知らず言葉に詰まってしまう。
    上手く二の句を告げない俺に対して、雪ノ下は呆れたように肩を竦めた。

    426 = 1 :

    「本当に処置無しね、これじゃあ先が思いやられるわ」
    「放っといてくれ……ん? 先って?」

     ふと引っ掛かって問うと、雪ノ下の動きがぴたりと止まる。
    瞬きを一つした後、さっと視線を逸らして、勢いよく何やら捲し立ててきた。

    「何でもないわよ、あなたが気にすることじゃないわ、忘れなさい、いいわね?」
    「お、おぉ」
    「それより、もういい時間だわ。天気は回復しないし、依頼者も来る様子はないし、平塚先生も帰ってしまったし、今日の活動はここまでにしましょう」
    「え? いやまぁいいけどさ」

    427 = 1 :

     早口で言いながら、雪ノ下は手早く片付けをしている。
    何もそんな慌てんでも、と思いつつぼーっと見ていると、きっと睨まれた。

    「比企谷くん、あなた何をぐずぐずしているの? 呼吸する暇があるのなら今すぐ帰る準備をしなさい」
    「理不尽過ぎるだろ、呼吸くらい自由にさせてくれよ」
    「あなたが部室を出ないと施錠できないでしょう、そのくらい察したらどうなの?」
    「分かった分かったよ、すぐ片付けるから」

     そうして追い立てられるように片付けを終えてから部屋を出て、扉の前で、また明日と別れの挨拶を交わす。
    そそくさと職員室へ向かう雪ノ下の背中を見送り、それで俺も帰路に着くことにする。
    窓の外は、相変わらずの雨模様だ。

     ふと気付けば、少しだけ視界が広くなっているような気がする。
    それは前髪の影響か、あるいは精神的なものなのか。
    何にしても、鬱陶しいくらいに雨が降っているのは変わらないけれど、今は決して悪くない気分だった。

    428 = 1 :

    ということで④終了です。
    お待たせしまくりで申し訳なかったです。

    ゆきのん幸せになってほしいですよね。
    ガハマさんも良い子なんだけどね、やはりゆきのん推しの身としては、葛藤に苛まれる所があるというか。
    6.5と7.5が楽しみでもあり怖くもありますな。

    さて、次はどんな話にしようかと色々考え中。
    近いうちに案をまとめてタイトル予告出しますので、暫しお待ちくださいませ。

    429 :

    乙のん
    ゆきのんペロペロ

    430 :

    乙!!
    ゆきのん可愛いなあああああああああああああああ
    もう一回最初から読み直したくなった

    431 :

    乙! 雪乃可愛すぎだろ このもどかしい感じがたまらんな 

    432 :

    この雪乃はもう自覚してるのかな?

    見てる限りは意識しまくってるけど

    433 :

    乙乙!
    更新がある際はある程度読み直しているけれど、罵倒の応酬としぐさ、それでいて流れるような会話、そして八幡キモポエム、いいですね。
    ところで④ではガハマさんが全く出なかったのですが、これは仕様ですか?

    434 :

    乙!
    ああもうお前ら仲良すぎだろww
    これだけクオリティ高かったらいくらでも待つわ

    435 = 1 :

    やっはろー、皆様お読み頂き&感想も感謝です。
    ⑤も色々考えてるところです。書くのはこれからですが。
    しかし八幡のポエムをゆきのんが聞いたらどんな反応をするか知りたいww
    罵倒しつつ内心で喜んでたりしたら捗るなぁ。

    >>432
    その辺はご想像にお任せということで一つ。
    まぁ行動が心を育てることもあるかなーとは思ってます。

    >>433
    キモポエムは外せませんよねww 多分一番書くの難しいけどww
    ウチのSSでは、基本八雪で他の人たちがちょこちょこ絡んでくる形式を取ってます。
    だからガハマさんも出たり出なかったりしてしまうのです。折角だしいろんなキャラを書いてもみたいので。

    また定期的に状況報告してきますので。
    よろしくです。

    436 :

    おつ

    437 :

    >>419の「終わらせるわ」という台詞の前に
    「あなたの独身生活を」という分が浮かんだ自分は絶対何かに毒されている

    438 :

    >>437
    俺も結婚って人生の墓場って言うよねとか考えてたわ

    439 :

    >>435
    最近加速する照れ隠しのんを見て、八幡のキモポエムが暴走することを勝手に期待させていただきますww
    ついうっかり、独白をt

    ガハマさんの件、仕様なんですね。了解しました。
    っと、更新の方まーたりと、楽しみに待っていますので無理をしない程度にがんばってください。

    441 :

    捻デレ総受け八幡がやっぱり真のヒロインですね、分かります。
    私が今まで読んできた俺ガイルSSの中で一番好
    きなのでこれからも期待してます!

    442 :

    独白こそ俺ガイルの特徴みたいなところあるから、台詞形式よりもちゃんとした視点形式の方が合ってるね

    443 :

    やっはろーです。とりあえず⑤の方向性が大分決まってきました。
    ぼちぼち書き始めていこうと思います、ただ平日に時間が取れないのは致命的だよなぁ……とりあえずタイトル予告だけ。

    ⑤ 当然のように連れ立って比企谷兄妹は街を巡り歩く

    定期的に状況報告していくつもりでいますので、今しばらくお時間を。
    更新速度が速い人って凄いなといつも感心しきり。

    >>437
    その発想はなかったww
    ゆきのんが嫁になるなら墓穴でも何でも掘るのが正義だと思います。

    >>439
    個人的に嫉妬のんが一番好きです。ゆきのんの不器用な可愛さがもう。照れのんも好きだけど。
    でも八雪ってその辺の匙加減が難しい――やり過ぎると原作との乖離が気になるし、やらなければ物足りないという。

    >>441
    八幡のヒロイン力は異常ですな、そりゃひなひなじゃなくても妄想捗りますわww
    そしてお褒めの言葉に感謝! ご期待に沿えるよう頑張ります、ぼちぼちと。

    >>442
    八幡のポエムが無いとやっぱりちょっと物足りなく思ってしまいますよね。あとゆきのんの罵倒。
    そこに時々ちょこっとデレが入れば、それだけでご飯三杯は行けます。

    444 :

    ゆきのんは出してくれ

    445 :

    小町に嫉妬のんwwktk

    446 :

    小町キター!

    448 :

    ラーンラーラ ラーンラーー ウェイッイェイッイェー オオォ
    ラーンラーラ ラーンラーー ウォーオォウ ウォーオォッオーーー

    449 = 448 :

    誤爆した済まぬ

    今回も面白かった乙

    450 :

    やっはろーです。
    色々忙しくて中々時間が取れず、お待たせしており申し訳ない。

    一応生存&状況報告。今やっと半分超えたくらいですね。
    今週末――は難しいかもですが、できるだけ早く書き上げたいと思ってます。

    とりあえず小町超可愛い。例の新しいジャケットの絵も凄く可愛い。
    しかし陽乃さんと小町は深く考えなくても割と勝手に自由に動いてくれるので書いてて凄く楽しいです。
    八幡とかゆきのんとかは中々動いてくれないのになぁ。難易度高い子たちです、ホント。


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