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    元スレ八幡「徒然なるままに、その日暮らし」

    SS+覧 / PC版 /
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    701 = 1 :


    「とにかくあれだ、用もないのにメールはすんなってことだろ? 心配せんでも分かってるから」
    「理解しているならいいわ。あぁそれと、私からのメールには出来るだけ早く返信すること。いい?」
    「え? そんな厳しいこと言われんの?」
    「当然じゃない、あなたが私を無視するなんて許されることではないわ。逆ならともかく。自然の理に反しているでしょう、そんなこと」
    「そこまで言うか」

     相変わらず傍若無人を地で行く女である。
    傲岸不遜もここまでくれば、いっそ清々しさすら覚えるな。
    わざわざ言われんでも無視するつもりなんかねぇよ、そんなことしたら後が怖いし。
    それに、だ。

    702 = 1 :


    「――まぁ手を貸すって言ったのは俺だしな。なるべく早く返すようにはするよ」
    「そう……それは殊勝な心がけね」

     可愛げのない言葉。
    けれど、それを口にする雪ノ下は淡く微笑んでいて。
    憎まれ口を叩く気にもなれなくなってしまう
    ここでそんな顔見せるとか、ずるいだろ。

     でもまぁ仕方ない、今日のところは甘んじて敗北を受け入れておこう。
    せっかく喜んでるところに水を差すほど、俺は悪趣味じゃないのだ。
    変なこと言ってその表情を曇らせたくもないし。
    何より、総じて今日は悪くない一日だったと、素直にそう思えるんだから。

    703 = 1 :


     その後、家路についてからのこと。
    自宅近くまで来ていた所で携帯にメールが届いた。
    普段なら本命小町、対抗由比ヶ浜ってところなんだけど、今日に限れば少し違うだろう。
    そう考えつつ差出人を確認すると、想像した通り、今日登録したばかりの雪ノ下の名前がそこにある。
    とりあえず開いて本文を読む。

    「……えらく素直だな」

    704 = 1 :


     つい呟きがもれてしまう。
    届いたメールに、普段の雪ノ下からは考えられないくらいに素直な言葉が並んでいたせいである。
    ストレートに感謝の意思表示、皮肉も罵倒も無し、何と珍しい。
    そりゃ驚いてつい笑ってしまいそうになるというものだ。

     しかし周りに誰もいなくて良かった。
    誰かに見られてたら、通報とかはないにしろ、不審な目で見られるのは間違いないだろうし。
    近所に悪評が立つなんて絶対に避けなきゃいけない。とりあえず落ち着こう。

    705 :


     それにしても、である。
    改めて携帯に視線を落として、もう一度その文面を読み直す。
    不思議と言うのか不自然と言うのか、差出人が間違ってるのでは? と、つい思ってしまうのは俺が毒され過ぎなのだろうか。
    ほんの数行の文章なのに、どうにもむず痒い心地になってしまう。

     電話越しだと本音で喋れるとか、メールだと普段言えない事も言えるとか、そういう話はよく聞くけど、雪ノ下もその例に漏れないということなのか?
    面と向かって直で話さなければ、こんな風に素直な感じになるのかもしれない。
    それか単純に罵倒の文句を打つのが面倒だったという可能性もあるけど。
    正直、そこは前者であってほしいと思いつつ、返信しようと携帯を操作する。

    706 = 1 :


     返信内容を入力しているうちに、ふと頬が緩んできてしまう。
    やはり今日の俺はどこかおかしいみたいだ。
    悪戯心か、あるいは他の何かか、返信を打つ指が、普段の俺からは考えられないような言葉を連ねて行く。
    後で見返したら後悔するかもしれないような、そんな言葉を。今日の本音の感想を。素直な今の心境を。

     あいつがこんな不意打ちで来たんだから、俺も同じように返してやるだけのこと。
    そんな言い訳を頭の片隅で思いながら。

    707 = 1 :


    「……お?」

     返信が終わって歩き始めてすぐに、携帯がまたメールの着信を知らせる。
    一瞬自分の耳を疑ってしまった。
    でも気のせいでも勘違いでもなく、聞こえているのは俺の携帯の着信音だ。

     というか、リターン早過ぎるだろ。
    何? あいつってああ見えて実は由比ヶ浜レベルの打鍵速度持ってたりすんの?
    いや、まさかだよな。

    708 = 1 :


    「ぷ……」

     慌てて内容を確認したところで、つい噴き出してしまった。
    返信早いはずだ、何せほんの一言しか書いてないんだから。
    おまけに変換もなしで、主語も述語もありゃしない。
    几帳面な雪ノ下にしては珍しいというか。

     この文面を打つ時に、果たしてあいつはどんな気分だったのか。
    憤慨してたのか動揺してたのか、とか。この一言にどんな感情がこもっているのか、とか。
    そんなことを想像すると、負けっ放しだったところで一矢報いたような気がして、少しほっとする。
    もっともスコア的には大惨敗を喫してるんだけど。

    709 = 1 :


     しかし、他人とメールを送り合って楽しいと思うだなんて。
    そんな自分にびっくりだ。
    でも、たまにはそんな日があったっていいだろう、きっと。

     そうこうしているうちに、我が家の門扉が見えてくる。
    また小町に根掘り葉掘り色々と聞かれるんだろうなぁと思うと少し苦い心地もあるけど。
    それでも今日一日を思い返すに、そのきっかけをくれた小町には感謝すべきなんだろうし、精々ご機嫌を取ることにしようか。

    710 = 1 :




    ~Their mobile talk~


    711 = 1 :


    Yukino's mobile

    From 雪乃
    TITLE non title

    今日は助かったわ、ありがとう。
    あなたに貰ったパンさんの人形、大切にさせてもらうから。
    また明日、学校で会いましょう。
    おやすみなさい。

    712 = 1 :


    Hachiman's mobile

    From 八幡
    TITLE Re:

    喜んでもらえて何より。
    今日一日わりと楽しかったし、こっちも感謝してる。
    また明日、奉仕部の部室でな。

    しかしお前も結構可愛いとこあるんだな。
    パンさん人形見てる時のお前、すげぇ優しい目してたぞ。
    良いもの見れて良かったわ。

    713 = 1 :


    Yukino's mobile

    From 雪乃
    TITLE Re:2

    ばか

    714 = 1 :

    ということで、これで⑤も完了です。
    やー想像以上に長くなってしまいました。
    それもこれも捻デレさん達が素直に動いてくれないせいですが。
    まぁそれもまた良しということで。

    しかし最大の懸念、8巻は早ければ年末にということですが……先が全然読めないので怖いですね。
    早く読みたいようなそうでないような、複雑な気分です。
    もうちょっと八雪の絡みが増えても罰は当たらないと思うよ。

    次回の構想はある程度まとまってきてます。
    腰やってる間に考えてましたww
    タイトルも近いうちに連絡しますので。
    ではでは。

    715 :

    ゆきのんかんわええええええええええ

    716 :

    雪乃可愛すぎワロタ 乙乙

    717 :

    この八雪はやばすぎるな

    718 :


    ゆきのんが可愛すぎて昇天した

    719 :

    8は和解するとこから始めなきゃいけないからねぇ
    そんときに多少デレはあるかもしれんけど

    720 :

    >>719和解から始まるのではなく、和解だけで終わる可能性が微レ存……

    721 :

    読んでて身悶えする可愛さ

    722 :

    ばか

    可愛すぎるんぇえええええええええええええええええ

    723 = 1 :

    こんばんはです、たくさんのご感想に感謝です!
    mobile talk、自分でも書いてて楽しかったりしました。
    ゆきのん可愛いですよねー、八雪こそ至高と思います。切に。
    ここからどう話を持っていくかはまだ流動的だったりしますが、気長にお付き合い頂ければ嬉しいです。

    さておき、ぼんやりとですが、次とその次のエピソードが終わった所で一つ区切りとしたいなと考えてます。
    終わりじゃなくて、その後のラストエピソードが結構書くの大変そうなのでその時間を取る為に、という感じで。
    ラストエピソードが何話構成になるかもまだ未確定なので、これから次第ではありますけど。
    まぁ予定は未定ということで、まずは次の⑥をガンガン書いて行きたいと思います。久々にあの人が登場しますし。

    8巻、和解だけで終わるのもアレですが、和解にすら届かない可能性も……?
    良い意味で予想を裏切ってほしい。

    725 = 721 :

    ぬるぬる待ってる

    727 :

    ゆきのんかわいいいいいいいいいい

    728 :

    ばかの破壊力クソワロタ

    729 :


    俺もゆきのんにばかって言われたい

    730 :

    和解にすら届かないで余計拗れるのはありそうなんだよなあ

    731 :

    ゆきのん最高やでぇ

    733 :

    やっはろーです、⑤が想像以上に好評で嬉しいですね。
    ホント皆さんの感想が続き書く原動力になってます。心より感謝!
    そんなこんなで⑥の話も大体見えてきましたのでタイトル予告を。

    ⑥ 釈然としないながらも、奉仕部はその理念に則って行動する

    ここから色々ややこしい話になってきそうなのですが、しっかり書いていきたいと思います。
    まだまだぼんやりしてるので、気合い入れてかないと。

    >>726
    気に入って頂き感謝です。捻デレさん、いいですよね。
    原作の雰囲気が好きなので、壊し過ぎないようにと注意はしてます。
    デレてほしいけど度を越させるのも……と葛藤の日々。

    >>732
    まさにそこというか、八幡に一歩踏み出させたかったんですよね。
    ここまで長かった……

    734 :

    ゆきのんの「ばか」の破壊力が半端じゃない…ついついニヤニヤしてしまう自分がいる…

    735 :

    ばかのんペロペロ

    736 :

    追いついたー
    もうゆきのんかわいすぎて禿げた
    更新待ってます

    737 :

    もともと禿げてるだろ

    738 :

    こんばんはです。皆様の感想に心より感謝です。
    ぼちぼち書き進めてますが、今で大体半分くらい。
    近いうちに更新したいとは思ってますので、もう少しだけお待ちください。
    ちょっと幕間っぽい話になると思います。前半は。

    しかし何か8巻が11月に出る予定とかそんな噂を小耳に挟んだんですが……もし本当なら嬉しいけど刊行ペースが早過ぎな気が。
    早く読みたいのは事実ですが、無理はしてほしくないなぁ。

    739 :

    わたりんがそんなに働けるわけ無いだろ
    夢をみるのも大概にしておきなさい

    740 :

    8巻はよ読みたいのぅ…

    741 :

    もしそれが本当ならわたりん今年は働き過ぎってレベルじゃねーぞ
    兼業作家っていうのだけでも大変そうなのに・・・

    742 :

    マジだった……

    http://www.gagaga-lululu.jp/gagaga/release/

    743 :

    わたりんもだけどぽんかん⑧神様も大変だろうな
    原作小説だけじゃなく円盤やゲームの限定版パケ絵も描いてるし

    744 :

    やはたとはちまんって漢字同じなんだな
    どうでもいいけど

    745 :

    わたりん年内っていっててそれでもすげぇ!!ってなったのに11月とかすんげぇぇぇぇ!!!

    746 :

    ほんとに月刊ペースだな…
    特典とかも含めるとすごいことになるんじゃ

    747 :

    >>744
    八幡区に住んでるからはちまん区って言いそうになる

    748 :

    こんばんはです。
    8巻確定という朗報に衝撃。
    あと二ヶ月、期待しつつ待ちます。

    とりあえず続きを上げてきたいと思います。
    そろそろスパートかけないと……

    749 = 1 :


    ⑥ 釈然としないながらも、奉仕部はその理念に則って行動する


     秋も深まり隣が何をしているのか気になるとされる頃、今日も今日とて不毛な何かが始まろうとしていた。
    すぅっと大きく息を吸う音が小さく耳に届く。
    俺はと言うと、そいつに気付かれないようにため息をついていた。
    そして次の瞬間、季節にそぐわぬ明るい声が部室内に響き渡る。

    「千葉県横断お悩み相談メールー!」
    「わーわー」
    「……」
    「二人とも全然やる気ないし!」

    750 = 1 :


     元気一杯にタイトルコールをした由比ヶ浜だったが、その後の俺たちの反応に何やらショックを受けているようだった。
    どうやら俺の気の抜けた合いの手はお気に召さなかったらしい。
    雪ノ下に至っては読書を続けたままで、言葉もなく視線すら一ミリも動かしてなかったしなぁ。
    そりゃ怒るのも無理からぬところだとは思う。

     だがしかし、だ。
    俺たちにも言い分はある。言い分というか文句だけど。
    腰に手を当てて不満そうな顔をしている由比ヶ浜に、俺も正直なところを吐露する。


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