元スレ咲「え? どの学年が一番強いかって?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×4
651 = 611 :
@会場某所
対局を終えたかじゅとモモ。
二人は、揃って対局室を出ると、控え室へ戻る途中にあるベンチで、足をとめた。
並んで座る、かじゅとモモ。
かじゅ「モモ……控え室に戻らなくていいのか?」
モモ「先輩こそ……チームの代表者じゃなかったんすか……?」
かじゅ「そうなんだが……もう少し……こうしてお前といたくてな」
モモ「私もっす……」
ベンチに座り、寄り添う二人。
それは、もし通りかかった者がいたならば――。
友香(あれ……? ねえねえ、あれ鶴賀の三年生でー? なんでこんなところでー?)コソッ
泉(疲れてはるんやろ。そっとしといたほうがええですよ)コソコソッ
この通り、かじゅ一人が戦いの疲れを癒しているように見えただろう。
しかし、それは確かに二人なのだ。
強い絆で結ばれた、二人なのだった。
652 = 599 :
さるよけー
655 = 611 :
@会場某所
初美「お疲れサマですよー」
霞「あら……わざわざ迎えに来てくれたの……?」
初美「私だけじゃないですよー」
はるる「」ポリポリ
巴「っていうか……お祓いしないとマズいでしょ」
霞「それもそうねぇ」
小蒔「霞ちゃん、お疲れっ!」
霞「あら……小蒔ちゃん。これから対局?」
小蒔「うん……そうだけど、どうかした?」
霞「ううん、なんでもないわ。二年生チームはトップタイだから、小蒔ちゃんも頑張ってね」
小蒔「うんっ!! 霞ちゃんや初美ちゃんに負けないように打ってきます! それでは……またあとでっ!!」
握り拳を作って、笑顔で対局室に向かう、神代小蒔。
しかし、その後ろ姿を見守る永水女子の四人の顔は、多少、緊張していた。
656 = 611 :
霞「巴ちゃん……悪いわね。今日はもう一回お祓いしてもらうことになりそうだわ」
巴「いえいえ……そのために来たようなもんだから……」
初美「相手が誰だかはわからないですけどー……同情するですよー」
はるる「」ポリポリポリ
と、その背後から――。
憩「あれ……? 永水の皆さん……なんやおそろいで」
霞「あら……あなたは……三箇牧の」
憩「荒川憩です。今日は中堅で小蒔ちゃんと組ませていただきます」ペコリン
霞「へえ……そうなの……」
巴(うわっ……二年選抜のオーダー組んだやつ誰よ……よりにもよって姫様と荒川憩を組ませるなんて……!)
初美(これは……中堅のあの二人には申し訳ないですけどー……私と霞は次鋒で正解だったかもですねー)
はるる()ポリポリポリポリ
657 = 611 :
@会場某所
絹恵(ふうー……しんどー……って、浩ちゃんのやつ、迎えに来ーへんのかーい。ま、ええけど……)
愛宕絹恵、精根尽き果てたといった風に、通路の端にしゃがみ込む。
と、そこに通りかかる人影。
洋榎「よっ、絹っ!」
絹恵「お……! おねーちゃん!? なんで!!?」
洋榎「なんや……そんな驚くことないやろ」
絹恵「いや……やっておねーちゃん今回は敵やから……まさか迎えに来てくれるとは思っとらんくて」
洋榎「あーちゃうちゃう。絹の迎えやない。うちがこれから対局なだけや」
絹恵「あ……じゃあ、インターハイと同じで中堅なんやね」
洋榎「せや。ま、どこに置かれようとうちはいつも通りがつーんと勝つだけやけどなー」
絹恵「おねーちゃんは……強いからなー……」
絹恵、小さく溜息。洋榎、それを知ってか知らずか、軽やかに絹恵の背中を叩く。
洋榎「なに言うてんの自分。絹も頑張っとったやんけ。さっきの次鋒戦後半、絹がトップやったやんか」
絹恵「え……おねーちゃん……?」
658 = 611 :
洋榎「ま、うちなら最後の和了りは華麗に裏を乗っけてチームを単独トップにしてたとこやけどなー。そこらへんが絹の甘いとこや。やけど……さっきのはむっちゃカッコよかったでー?
うちなー、控え室でな、あれうちの妹なんやでーって他県のやつらに自慢しとったんや」
絹恵「おねー……ちゃん……!!」
洋榎「絹もなー、もうちょいちょいっと強かったらうちとタメ張れるようになんでー。やから、もっと気張って……自信持って打ちや。せやったら……安心して姫松を絹に任せられるわっ!」
絹恵「う……うんっ! 頑張るでっ! うち、もっと強くなんねんっ!」
洋榎「頼んだで。ほな、おねーちゃんが麻雀の見本見せたるから、絹も控え室で自慢するとええで。あれが自分のおねーちゃんやー言うてな。ま、この愛宕洋榎を知らんやつなんておらんやろけどなー」
絹恵「うんうん……! せやな! おねーちゃんは有名人やからなっ!」
659 = 611 :
ちなみに、その影では。
Q(先輩方……空気読んでくださいよ……! 今出て行ったらなんもかんもぶち壊しですからね……!!)
セーラ(わ……わかっとるわそんなこと!)
怜(愛宕姉妹……妹のほうは……なかなかのふとももの持ち主と見た……!)
竜華(なんやあんた……! また浮気かいな……!!)
660 = 611 :
すばら「お待たせしましたあああ!! 全国選抜学年対抗戦もとうとう中堅戦までやってきましたあああ!! 各チーム、オーダーは以下のようになっていますっ!!」
@一年選抜:森垣友香(劔谷)・二条泉(千里山女子)
友香「驚いた。泉さん、なんか先輩ばっかみたいでー?」
泉「ホンマや……じゃあ、セーラ先輩とかぶらんほうにうちが出るわ。さすがに卓に三人千里山はマズいやろ……」
@二年選抜:神代小蒔(永水女子)・荒川憩(三箇牧)
小蒔「荒川さんは、前半と後半のどちらがいいですか?」
憩「うちはどっちでもええよー。ほな、あっち向いてホイで決めよか?」
@三年選抜:愛宕洋榎(姫松)・江口セーラ(千里山女子)
洋榎「なんや知った顔ばっかりやなー。劔谷に千里山に三箇牧……あとは晩成でもおったらなー……完全に近畿大会なんやけど」
セーラ「洋榎さんは近畿大会かもしらんけど……フナQ以外の千里山が勢揃いって……俺らからしたら部活の順位戦のノリやで、コレ……」
@混成チーム:園城寺怜(千里山女子)・清水谷竜華(千里山女子)
怜「おおおおおお!! 巫女さん……!! 巫女さんのふとももっ!!」
竜華「ほな……怜は巫女さんの出るほうなー。となると……当然うちの相手はナースやなっ!」
661 = 611 :
@実況室
すばら「中堅戦が間もなく始まろうとしていますっ!! 鹿児島の神代選手を除けば全員が近畿勢っ! うち六人が大阪府の選手です!!」
初瀬「激戦区大阪……その中でも選りすぐりのトップランカー……近畿大会で必ず名前の挙がる方々ばかりです。かく言う私も近畿地区なので……観客席からよく見ていましたが……こうして勢ぞろいとなると、本当に壮観ですね」
純「姫松と千里山からは合計で九人参加してるからな。ま、こういうことも起こるとは思ってたぜ」
菫「注目すべき選手ばかりで目移りしてしまいそうですね。ただ……まあ、当然一人だけ異彩を放っているのは……なんと言っても彼女だと思いますが」
すばら「唯一の非近畿勢……永水の神代小蒔選手ですねっ!」
純「強い弱いは別にして、何をやらかしてくるかわかんねえって意味では……あいつがこの中堅戦の目玉……もとい台風の目だろうな」
初瀬「先ほどの薄墨選手や石戸選手と同じ高校というだけで……身震いしてしまいそうです」
菫「果たして鬼が出るか蛇が出るか……楽しみな一戦です」
すばら「それでは……各選手席に着いたところで――中堅戦前半を開始いたしましょうっ!!」
662 = 611 :
@対局室
東家:一年選抜・森垣友香(劔谷)
友香「(私ら劔谷が勝てなかった千里山の昨今ダブルエース……それに秘境のお姫様が一人……こりゃかなり面白そうな卓でー!)よろっ!」
北家:三年選抜・江口セーラ(千里山女子)
セーラ「おっ、怜が前半に出てきたかー。(そういや怜が活躍し出したのは最近やからな……竜華とは何度か公式の個人戦でぶつかっとるけど……怜とガチで敵同士なんは初めてやないか?)ほな……みんなよろしくなー」
西家:混成チーム・園城寺怜(千里山女子)
怜「お手柔らかにな、セーラ。(ふふん……残念ながら……セーラなんて眼中にないんや……うちの狙いは永水の巫女さん……おっ、劔谷の副将もなかなかのもんで……さすが全国選抜はええふとももしてはりますなー!)他のお二人もよろしゅう」
南家:二年選抜・神代小蒔(永水女子)
小蒔「みなさん、今日は最後まで、よろしくお願いしますっ!!」ペコリ
中堅戦前半――開始ッ!!!
663 :
巫女みこナースだな
664 = 611 :
@実況室
すばら「さあ……始まりました中堅戦前半!! 起家は兵庫県・劔谷高校の森垣友香選手ですっ!」
初瀬「森垣さんは、どことなく、伝統的で物静かなイメージの劔谷の人たちとは少し違う感じがしますね。型破りというか。インターハイの準々決勝では、千里山の船久保選手と阿知賀の鷺森選手を相手にプラス23200点のトップを取っています」
純「オレはよく知らないやつだが、どんな打ち方をするやつなんだ?」
初瀬「全体的に火力は高めですね。インターハイではいきなり親の倍満を和了っていました」
菫「若さが溢れている感じがしますね。先が楽しみな選手です」
665 = 611 :
@観戦室
澄子「みんなはどう思いますか、友香……勝てると思いますか?」
梢「わかりません……相手はあの江口セーラと」
美幸「園城寺怜だもんなもー」
莉子「神代小蒔もいますしね……」
美幸「でももー」
澄子「?」
667 = 611 :
美幸「友香は……あのインターハイのあと……私たちが負けた千里山と阿知賀の牌譜をよく研究してたもー」
莉子「そうですね……遅くまで部室に残って。千里山や阿知賀だけじゃないです。全国の強豪校……個人戦の上位選手……いろんな人の打ち方を研究していました」
美幸「私や梢ちゃんはもう引退で……たぶん競技麻雀をやるのはインターハイが最後だったからもー、あの試合をどこか思い出としてみてるところはあったもー」
梢「でも……友香は私たちとは違うものを見ている気がします。私たちは……ベスト16に残れただけでどこか満足していましたが……友香はそうじゃない。来年、再来年……もっと先まで見据えているんだと思います」
莉子「友香ちゃんは……勝つつもりで戦ってますよ。私をまくった高鴨さんと同じチームで……」
梢「私に三万点差で勝った江口セーラと……」
美幸「私に五万点差つけた園城寺怜に……勝つつもりで戦ってるもー」
澄子「そういえば、あの子、開会式のときに言ってましたね。劔谷を代表して勝ちたいと思いますって……」
莉子「友香ちゃんなら……やってくれます!」
美幸「そうだなもー。みんなで信じて見守ろうもー!!」
669 = 611 :
@対局室
東一局・親:友香
友香(みんな、今頃観戦室で見てるかな。私……頑張るんでー。あのインターハイ……美幸先輩は……園城寺怜や宮永照を見て……世界の違いを感じるって言ってた。莉子は……負けた後……牌を握るのが恐いって言って……ずっと泣いてたっけ)タンッ
友香(私は……みんなが弱かったとは思わない。けど……それでも足りないものがあったのは確かなんでー。
だから……勝てなかった。私はそれを埋めたいと思う……あんな……たった一回のトーナメントで……全てが決まったとは思わない。私たちはまだまだ強くなれるし……もっと上を目指せるんでー)タンッ
友香(世界が違うなんてことはないんでー……! 園城寺怜も……江口セーラも、牌に愛された子とか言われてる神代小蒔も……ただ私たちから見れば高いところにいるというだけで……その山の頂……宮永照が頂点に立つ山は……どこまでも陸続き。
険しいけれど……一歩一歩前に進んでいけば……辿り着ける。それを――今日、私が証明してやるんでー!!)タンッ
四巡目
友香「リーチでー!」クルッ
670 = 611 :
小蒔(わっ……親リー! これは振り込めませんっ!)タンッ
怜(一巡後に……8000オール? 劔谷の一年生……いきなり無茶苦茶やな。セーラ……これ鳴けるか?)コホッ
セーラ(高そーで嫌な感じやな。む、怜が危なそうなところを切ってきた……? ははん、さては鳴かんとあかんパターンか。ええで……それは鳴けへんけど……協力したる……)タンッ
怜「(おおきに……)ポン……」コホッ
セーラ(ん……ちょい待った……? ってことは……これが劔谷の和了り牌? なんや……こんなん抱えとったらテンパイできひんやん! 怜のやつ……こないな面倒な牌を俺に回すとは……ええ度胸やんけ!)タンッ
怜(いや……そんな睨まれても……うちの牌で鳴けへんかったセーラが悪い。せやったら巫女さんに掴ますことができたんや)
友香(一発ならずでー。ま、わかってたけど。一巡先が見える園城寺怜が相手ではそうそう一発は狙えない。ま……ダマでもリーチかけてても園城寺には和了る未来が見えるわけだから……ここはリーチが正解だったはずでー。
園城寺だっていつでもズラせるわけじゃないし。神代小蒔が振り込んでくる可能性もあるし。私のツモはあと十回以上残ってる。和了るチャンスはまだまだあるんでー!)タンッ
小蒔(うう……安牌ないですね! で、でも……頑張りますっ!!)タンッ
怜(さて……さっきの8000オールを見たから劔谷の和了り牌はわかっとる。ここは他家のために安牌を増やしつつ……ゆっくりテンパイを目指すとしよか……)タンッ
671 = 611 :
終盤
怜(って……劔谷の子……めちゃめちゃ引き強いなー! あれから二回も鳴くことになるとは思わへんかった……カンチャンで和了り牌が三枚しかないっちゅうのに……ズラしてもズラしてもツモで引いてくるとかプチ化け物やでこの子。
東一局やいうのにもう疲れたわ……全部セーラのとこに送れればうちもセーラもテンパイできたんやろうけど……そう上手く鳴けたら苦労せんわな。結局一枚ずつみんなのところに回してしもうた。これじゃ親以外はノーテンやろなー)コホッ
セーラ(だあああ……怜から回された牌が最後まで浮いてもうた!)タンッ
友香(園城寺……三副露か。もし全部私の和了りをズラすための鳴きだったら……もうどうやったって和了れんでー)タンッ
流局ッ!!
セーラ「ノーテン」
友香「テンパイでー」
小蒔「ノーテンです」
怜「ノーテン」
友香(まあ……そう簡単には和了らせてくれないと思ってたけど。勝負はまだまだ始まったばかりなんでー!)
怜(せやな……勝負はまだ始まったばかり……こっからが本番やで……)ゴゴゴゴゴ
友:110200 神:107200 セ:103500 怜:78100 供託:1000
672 = 611 :
東一局一本場・親:友香
怜(劔谷の一年生……直に対戦してみるとやっぱ強いなー。あの準々決勝……フナQが『あいつは放っておくしかなかった』ゆうてたからなー。別に不思議能力を持っとるわけでもないんやろ。ただ単純に強い。ええなあ……そういうの……憧れるわ)コホッ
怜(うちは麻雀が強いわけやないねん……ちょっと人より先が見えるだけや。地力では劔谷の一年生のほうが上。一年だった頃のセーラにだって……能力ナシで戦ったらまず勝てへんやろな)コホッ
怜(やからやろか……強豪校の一年生レギュラーっちゅうんは……どうしても憧れてまう。それも……純粋に麻雀の技術を高めてレギュラーになったような……泉とか、この子とか、阿知賀の二人、それに清澄の原村和とかな)コホッ
怜(一巡先が見えへんようになったら……うちはきっとあの子たちには勝てへん。実際……インターハイでは能力の通じひんチャンピオン相手に何もできひんかった。ダブルとかトリプルとか……そりゃ死ぬ気で頑張ったけど……麻雀でなんとかしたんと違う。
その点……新道寺はすごかったわ。あとで二回戦の牌譜をちゃんと見てみたら……宮永照相手に先鋒戦で他校がトバんかったのは新道寺が頑張ったからやったもんな……)コホッ
怜(うちはまだ……一巡先を見るんを……どっかでズルしてると思うてる。そりゃ……天江衣みたいに自分の能力に誇りを持って戦ってる人もいっぱいおるやろ。大星淡みたいにとんでもない能力を持ちながらも慢心しない子もおるやろ。
けど……うちはそうやない。うちは……どれだけ勝っても心は三軍なんや。セーラや竜華が……活躍してるのを見て……世界が違うなーって憧れてるだけの……応援席でチームの勝利を祈ってるだけの……その他大勢や)コホッ
怜(やけど……! そんなうちの三軍根性を見抜いてても……見抜いてたからこそ……監督はうちをエースにしてくれた。セーラや竜華にも……うちが千里山のエースやって認められた。そんなんもう……死ぬ気で頑張るしかないやん……!!)コホッ
怜(みんながうちを認めてくれてる。うちが心の中で何を思うてても関係なく……みんながうちを千里山のエースやって言うんや。その期待は……重たいけれど……応えたい。インターハイで負けて強くそう思えたんや。
やって……三軍やった頃のうちみたいに……華々しい舞台で戦う強い人を……すごいなー言うて見てる子は……千里山にだって他の高校にだっていっぱいおる。
今はたまたま……どういうわけかうちがその強い人ってことになっとって……せやから……強い人に憧れる人の気持ちがわかるから……そういう子たちの期待に応えるためにも……うちは勝ちたい……!)コホッ
674 = 611 :
八巡目
友香「またまたリーチでー!」
怜(せやろな……そこでリーチやろな……そんなん……一巡前から知っとったで……!!)
怜「ほな……うちもリーチや」トッ
セーラ(おおお!! 来たで来たでー……怜の絶対一発リーチ。ま、逆に言うと……これでズラせたら怜のリーチはただのリーチや。未来予知能力の弱点やな……怜は未来が見えるけど……その見えとる未来が……行動を起こすことで他家にも伝わってまう)タンッ
友香(江口セーラ……園城寺のリーチに対して動揺なし……!? ってか鳴く気もなしでー……!? ちょ……これは……困ったことになったんでー!!)タンッ
小蒔(ま……また先にリーチされてしまいました……しかも二家同時……どうしましょうっ!?)タンッ
小蒔の出した牌、誰も鳴かずッ!!
瞬間、未来は不確定から、確定へッ!
怜「……ツモ! リーチ一発ツモ赤一……2000・4000は2100・4100」パララ
セーラ(ま、せやろなー)
友香(親っ被り……さっきのも合わせて二本もリー棒持っていかれたんでー……!)
小蒔(はう……! 一発! すごいです!)
怜(セーラ……動いてこんかったな……何を考えとるんや……?)
友:105100 神:105100 セ:101400 怜:88400
675 = 611 :
東二局・親:小蒔
セーラ(なんや……怜……自分がリーチしたらみんなこぞって鳴きに来るとでも思てんのか……?
そんなことないで……そりゃ……怜の一発率は半端やないけど……普通に打ってたって一発は来るし……一発消しやって……状況によってやるときもあればやらへんときもある。それだけのことや……)タンッ
セーラ(麻雀は……相手の和了りを潰したもんが勝つんと違う。最終的に一番点を稼いだもんが勝つ競技や。俺が怜のリーチに反応しなかったのやって……簡単なことや。
怜……一発で和了りたいなら好きなだけ和了るとええで……俺はその上を行くだけのことや……!!)タンッ
五巡目
セーラ「ほな……反撃開始といこかっ! リーチやッ!」スチャ
友香(こっちもか……江口セーラ。二年で名門千里山のエースになった……関西でも屈指の高火力選手……!)タンッ
小蒔(ま……また先制リーチ! みなさん速いですねっ! め、めげませんよっ!)タンッ
怜「チー……」タンッ
セーラ(っと……なんや……さすが俺……一発やったんか。ま、一発消しくらい……誰だってようやるわな。怜……そんなんで俺を止めた気になっとんのやとしたら……大間違いやで……!)タンッ
友香(園城寺が鳴いたってことは……これが江口セーラの和了り牌。オーケー……これなら回せる。こっから追いつくんでー!)タンッ
小蒔(できることを……やります……!)タンッ
怜(こうやって鳴くと……少しの間未来が見えなくなるんが辛いな……)タンッ
676 = 611 :
セーラ(怜……怜は未来予知が反則かなんかやって思うてて……それで俺からエースの座を奪ったこと……気に病んでたみたいやけど……)タンッ
セーラ(そんなこと……関係ないねん。能力とか……関係ないねん。どんな競技やって……生まれ持った才能……人にはない特別……そういうもんを武器にして戦ってるやついっぱいおる。
俺は女やけど……女やってだけで……例えば男より速く走ることができひんのやで……? やけど……それがなんやねん……!!)タンッ
セーラ(みんな同じ力で……同じ土俵で戦ってたってオモロないやん……!! 世の中……強い弱いがバラバラで……能力もバラバラで……いろんな人がおる! やからこそ……その中で勝ちたいって思えるんやろ……!!
一巡先が見える? 見ればええやん! 鳴いて速攻? 鳴けばええやん! 連続和了? させときゃええやん!! 俺は俺の麻雀で勝つだけやっ!!)タンッ
友香(さあ……こっちも張った! さすがに追っかけはしないけど……園城寺の気が江口セーラに向いてる今は和了るチャンスでー……!)タンッ
小蒔(劔谷の人……危ないところを切ってきましたね……こちらもテンパイしている感じでしょうか……!)タンッ
怜(セーラ……うちがおっても和了る気満々やな……! その真っ直ぐさは……先輩相手に堂々と打っとった一年の頃と……変わってへん……!!)タンッ
セーラ(ズラされようとなんだろうと……和了れんときは和了れんし……和了れるときは和了れるんや……!! 麻雀って……そういうもんやろ……!! なあ……怜……!!)
セーラ、ツモ牌を、手牌の横に叩きつけるッ!!
セーラ「ツモや……! タンピン一盃口赤一ツモ……裏一……!! 3000・6000ッ!!」
友香(うっわー……相変わらず高っけー!)
怜(一発消しても打点は変わらんかったか……! やっぱ……セーラはカッコええなあ……! 憧れるわ……!! 千里山のエースは……誰がなんと言おうと……やっぱりセーラしかおらんな……!!)
小蒔(お、親っ被りですか……!?)
友:102100 神:99100 セ:113400 怜:85400
677 = 611 :
東三局・親:怜
友香(千里山の二人……さすがの強さでー。江口セーラを相手にするなら……満貫以上の手じゃないと稼ぎ負ける。園城寺を相手にするなら……せめて両面以上の待ちじゃないと鳴いてツモが潰される。なにその縛り……! ま、望むところでー!)タンッ
友香(千里山はレギュラー五人が全員この対抗戦に出てるから……出れなかった人のこととか考えないで……自分の麻雀を打てばいいだけ。
対して私は……出れなかったみんなの分まで頑張るって縛りを最初から設けてるんでー……今更満貫縛りだろうが両面縛りだろうが……どんとこいでー!!)タンッ
友香(さて……このタイミングでこれが来たかー……どーしよ。普通に打ってたら千里山の二人に持っていかれる感じがする……なら……ここは麻雀らしく……大博打してみるんでー!!)
友香「……カンッ!!」パララ
小蒔(暗槓ですか! しかも……晒したのがドラの北……!? 劔谷の方……これでドラ四ですね……!!)
友香「さーて、カンドラ表示牌はー……いっし西ッ! またまた北ドラでー!!」タンッ
小蒔(カンドラ北……!! ド……ドラ八……!!?)タンッ
怜(見えとったけど……現実になると一層迫力が増すでコレ。まあ……普通に打っとればうちなら振り込まんけど……これはツモられても相当痛い。ただ……この子の引きの強さを考えると……ズラしても和了られるような気もするわ。
ほな……普通に打っててもあかんな……ここは……速攻で流してみよか……!)
怜「チー!」コホッ
セーラ(お……? 怜が鳴いた? 劔谷はまだ張ってないような感じやけど……ってことは、ズラしの鳴きやなく速攻の鳴きか。へえ……全然昔より頭回るようになっとるやん……今の怜なら一巡先が見えなくたって……十分イケてると思うで……!!)タンッ
友香(ほい来たテンパイ……! しかも絶好の三面張ッ!! まさかの園城寺がナイス鳴きっ! これはいくしかないんでー!!)
友香「リーチでー!!」クルッ
678 = 611 :
怜(む……さっき鳴いて未来変えてもうたから……今はわからへんけど……なんやまた一発でツモりそうやな……させへん……うちが先に和了る……!!)
怜「ポンや……!」コホッ
セーラ(仕掛けてきよるなー……怜。やけど……そういうんが裏目に出るのもまた……麻雀やで……!!)タンッ
友香「ツモ……!! リーチツモドラ八……裏は乗らずで4000・8000でー!!」パララ
怜(ぐ……倍満……!? たまに無理して仕掛けてみたらこれかいな。こりゃ大打撃やで……!!)
小蒔(み……みなさんだんだん手が高くなってます……!!)
セーラ(劔谷の一年生……先が楽しみなええ選手やな。俺はそういう高いの大好きやで……もちろん自分が和了るときはやけど……!!)
友香(これでトップでー! みんな見てるー!? 私……千里山が相手だって全然負けてないんでー!! 最後まで応援よろっ!!)
ここまで、園城寺怜、満貫! 江口セーラ、ハネ満! 森垣友香、倍満……!!
対局はまさに高打点の叩き合いの様相……ッ!!
そんな中、一人和了りのない永水・神代小蒔は――!!
小蒔(す……すごいです……目も眩むような打ち合い……! なんだか……なんだか頭がくらくらして…………眠くなってきました………………)ウトウト
魔神の覚醒――目前ッ!!!
友:118100 神:95100 セ:109400 怜:77400
680 = 611 :
@実況室
すばら「森垣選手の倍満が決まりましたあああ!! 一年選抜・森垣選手、千里山のダブルエースを相手にまったく引けを取っていませんっ!!」
初瀬「今の北カンのような強気の打ち方は、とても好感が持てます。同じ一年生として、森垣選手には頑張ってほしいです!」
純「大星や鶴賀の東横のときは、同じ一年とは思えないとか麻雀として成立してないとか言ってたのに、初瀬ちゃんは非オカルトに甘いなぁ」
初瀬「すいません……。でも、誰だって親近感が湧く人を応援したくなりません?」
純「そうか? オレはどっちかっていうと、衣みたいに途方もなく強いやつのほうが見ていて気持ちいいけどな」
菫「私は……照の麻雀に親近感や気持ちよさを抱いたことはないですね。私の場合、いつかあいつに勝ちたいと思ってますから、馴れ合ってる暇なんてありません。
そういう意味では、初瀬さんにとってうちの淡なんかは……敵として厄介だから親近感が湧かない……つまり、初瀬さんはゆくゆく淡と戦って勝つことを考えている……と言えなくもない」
初瀬「いや……さすがにそこまでは……」
純「ま、オレにとって衣は敵になりえないからな。常に味方だから、勝てなくたって別にいいんだよ。あいつの強さは、オレの強さみたいなもんだ」
菫「今対局している面子でいうと、千里山の園城寺選手は、どこか江口選手に憧れている感じがしますね。かたや、二年の秋まで無名だったエース。かたや、一年生のときからベンチ入りしていて二年生から堂々デビューしたエース。
園城寺選手は去年の秋季大会までずっと三軍だったと聞きます。色々と、思うところがあるのでしょう」
初瀬「森垣さんなんかは、見ていて、憧れって感情とは無縁な感じがしますね。誰が相手だろうと勝ってやる……そんな気迫を感じます。千里山の江口選手もそんな感じですよね」
681 = 611 :
純「憧れかぁ……考えてみりゃ面白いよな。例えば、初瀬ちゃんは、小走先輩に憧れてるんだよな。小走先輩みたいになりたいと思うか?」
初瀬「もちろん! 先輩は私の憧れで、目標で、いつか対等な立場に立ちたいと思ってます」
純「オレの場合、衣が好きだが、衣になりたいとは思わねえな。強いやつに憧れるやつってのはいくらでもいるけどよ、強いやつの側からしてみれば、案外、どこにでもいるような普通のやつに憧れを抱いたりするのかもしれねえ。
さっきの石戸霞なんかは、化け物みたいに強いが、もっと別の何かを求めているように見えなくもなかった。鶴賀の二人のこと、羨ましそうに見てたもんな」
菫「面白い問題提起ですね。うちの淡は強いですが、もっと強い照に憧れています。照みたいになりたいと言っていた。しかし……照はどうなんでしょうね。あいつは、何を目標にして、何に憧れているのか。気になるところではあります」
初瀬「チャンピオンですか……あそこまで強いと、もはや、憧れとか畏れではなく……ただただ遠いなぁとしか思えなくなってきますね」
純「そう言ってやるなって。うちの衣じゃねえが、あいつら魔物も人間なんだよ。友達になっちまえば何も遠い存在なんかじゃねえ。そんな風に敬遠されるのは、向こう側にしてみりゃけっこう寂しいもんなんだぜ?」
菫「まあ、強過ぎる力は他人を遠ざけますからね。初瀬さんみたいに感じるのも致し方ない。けれど、これは知っていてほしいです。強い力を持つ人には……本人にしかわからない苦悩がある」
682 = 611 :
初瀬「なるほど。じゃあ……神代選手も……そうなんですかね」
純「さあ……わからねえな。見た感じ、あんま悩んでるようには見えねえが」
菫「巫女さん仲間も多そうですしね」
初瀬「ふむ……なんだか、少しだけ、強い人たちのこと……理解できそうな気がしてきました。
この対抗戦が始まったときは……ここに出てくるような人と卓を囲むなんてできっこない……そう思ってましたけど、今なら、一回くらいは一緒に麻雀を打ってみたい……強さを肌で感じてみたい……そう思えなくもないです」
純「いい心掛けだな。が……果たして、神代小蒔の全力を見て……同じことが言えるかな、初瀬ちゃん?」
初瀬「え……」
菫「神代小蒔選手……対抗戦が始まる前、照は彼女のことを、自分より異質だと評価していました。ここまでは大人しいですが……そろそろ何かが来そうな予感がします。
天江選手と淡に続いて……今日三人目の牌に愛された子……一体どんな闘牌を見せてくれるのやら」
初瀬「お、お二人とも……脅かさないでくださいよー!」
685 = 611 :
@対局室
東四局・親:セーラ
友香(暫定トップ……けど……まだまだ大変なのはここからなんでー。私の今日の目標は……みんなに……目の前の化け物たちが勝てる相手なんだと証明すること。
今は確かにトップだけど……これは私の運がたまたまよかっただけ。それじゃダメ……下手したら私まで世界が違う人扱いされる……そんなの嫌なんでー)タンッ
友香(ターゲットは……やっぱり園城寺怜……! 美幸先輩……見ててくださいよ……! 先輩に五万点差つけた化け物にも……やり方次第で勝てなくはないんだって……私が証明してみせるんでー!!)タンッ
怜(なんや……劔谷からごっつうマークされとる感じするわ。まあ……うちとセーラは劔谷の三年に勝っとるからな。その弔い合戦のつもりなんやろか。
セーラなら……喜んで受けそうやな。うちはそういう暑苦しいの苦手やけど……せやけど……別にむざむざ負けてやる気はあらへんで……!)コホッ
友香(園城寺怜の未来予知は……いつでも見えてるわけじゃない。牌譜と睨めっこしてようやく見つけた……ほんの僅かな隙。園城寺はよく他家のツモ和了りを消すけど……消したあと数巡だけ……何度か……一巡後に裏目ることがあった。
二巡裏目りはけっこうあったけど……一巡裏目りはほとんどない。そして……そのほとんどないうちのほとんどが……何らかの形で園城寺が動いた直後に起きてる。
たぶん……この人……予知した未来と違う打ち方をすると……数巡の間は未来予知が使えなくなるんだ……そこが攻略の糸口でー!)タンッ
怜(っと……また劔谷のツモか。七対ドラドラツモ……待ちは五筒か……満貫やないか。させへんで……!)
怜「チー」コホッ
687 = 611 :
セーラ(今日はよう鳴くなー怜。たぶんツモ消しなんやろうが……俺やないとすると劔谷か。
ただな……怜……得意技を得意になってやり過ぎると逆に狙われんで。まあ……怜のツモ消しはせざるを得ない得意技やからな。せんかったらせんかったで和了られるのがわかっとるわけやから。
やけど……チャンピオンが打点を上げんとあかんっちゅうのと同じで……せなあかんことってのは……能力に振り回されて自分の意思とは関係なく打ってまうってのは……相手からすれば……付け入る隙になるんやで……)タンッ
友香(鳴いたな……園城寺……!! この場……江口セーラと神代小蒔は重たそうな感じだから……今のはきっと私のツモをズラすための鳴き……ってことは……私はここでツモだったはずでー……ってあれ……?)
怜がツモをズラした直後、友香の手に舞い込んできたのは、やはり和了り牌の五筒ッ!! しかも高めの赤ッ!!
友香(へえ……これはなんなんだろ……和了っとけってことでー……? 麻雀の神様……もしいるんだとしたら気紛れ過ぎでー……!
けど……私は神様に好かれなくたっていい……牌と仲良くなれなくたって別にいい……私は私の仲間に好きになってもらいたいんでー……!!)タンッ
友香、和了り拒否ッ!!
その一打の不可解さを理解できたのは、この場では未来を見た怜一人ッ!!
怜(はあ!!? なんやねんそれ……!!? 意味が……意味がわからん!!? ツモ切りで赤五筒……!?
まずズラしたのに高めで和了ってきたことにびっくりやけど……それ以上に……ハネ満和了り拒否ってどういうことやねん!!? 何考えてんのや……この一年……!!?)
友香(へえ……驚いてる驚いてる。なるほど……園城寺の見える未来は一通りだけなんだ。自分が改変したあとの未来は……園城寺には見えない……!!)
689 = 611 :
怜(この状況を狙って作ったんか……劔谷……!! こないな……こないな打ち方……うちは知らんで……!! 絶対思いつかん……思いついてもやろうと思わん……仮にやろうと思うたとしてもできる気がせえへんわ……!!)
怜、一周回って、苦笑ッ!!
怜(ああ……振り込みが恐いのなんて久しぶりやわ……! そういや一年の頃はようセーラや竜華にボコられとったっけ……懐かしいで……この感じ……何をやっても負けてまうような……追い詰められる感じや。
そういうんを……弱いなりにぎりぎりでかわしていくんが……楽しかったな。ごくたまーにそれでセーラや竜華に勝てたときは泣くほど嬉しかったなぁ……! ええやん……劔谷……!! あんたオモロいで……!!!)
怜、場を眺めて、捨て牌を選ぶ。
手に掴んだのは、一筒ッ!!
怜(本来七対子にヤオ九牌はむしろ危険や。劔谷の七対子は断ヤオと複合できひん感じやったしな。かなりの確率でありえる。
やけど……前巡……劔谷が待ちを変えたあと……神代もセーラも一筒を切っとる。そのあと劔谷は手替わりしてへんから……もしこの子が一筒で待ってんのやとしたら……地獄単騎でその上山越。
まあ……ハネツモ和了り拒否をしたこの子ならやりかねん……狙いはうちみたいやし……せやけど……そんなん一々考慮しとったら何も切れなくなるわ。
ジャンケンでグー出す言うてる相手にパー出そうかなどうかな悩むのと一緒や。答えはあらへん。未来が見えへん今のうちに頼れるのは……確率だけや。その確率が……一筒が最も安全や言うてる。これで振り込んだら……相手が一枚上手やった……それだけの話や……!!)タンッ
怜、覚悟の一筒切りッ!!!
劔谷・森垣友香の待ちは果たして――!!
690 = 611 :
友香(みんな……!! 莉子……! 澄子先輩……梢部長……美幸先輩……!! 見てますか……!!? 私……化け物を捉えましたよ……!!! 私らのいる世界は……どこまでも繋がってるんでー!!)
友香、力強く手牌を倒すッ!!
友香「それロンでーッ! 七対子ドラドラ……6400でー!!」ゴッ
怜(あ……和了り拒否からの山越地獄単騎……!? ホンマにようやってのけよったな……!!? 和了られといてなんやけど……素直に感動やわこんなん……!!!)
セーラ(うっわ……嘘やろ……なんやその和了り……!? わけわからへん!! たぶん……怜から直撃を取りたかっんやろけど……点数的にはハネ満ツモのほうが削れたやん……! 点数度外視で直撃狙いって……俺やってそんな無茶はやらへんで……!!)
小蒔(ふわっ……!! これ……三巡前にハネ満和了り拒否……!? それに私の一筒を見逃しですか……!!
よくわかりませんが…………すご過ぎて何がなんだか………………どうしましょう……………………とても眠いです…………………………)ZZZZZZZZZZZ
友香(みんな……私……やりましたんでー!!!)ピース
友:124500 神:95100 セ:109400 怜:71000
691 = 611 :
@観戦室
莉子「友香ちゃん……!! カメラ目線でピースしてる……!!」
梢「なんだか無茶をしていると思ったら……そういうことですか」
澄子「そういうこと、とは?」
美幸「たぶん私らに見せたかったんだもー。私らが勝てなかった千里山……でも……それは決して勝てない相手じゃなかったってもー」
澄子「あの子……そんなことを考えて打ってたんですか……」
梢「ええ……あの七対子も……きっと莉子を励ますための和了りだと思いますよ」
莉子「はい……! 友香ちゃんの……頑張れ……負けるな……って声が聞こえた気がします……!!」
美幸「なんだかなーもー……引退する気だったけど……まーた麻雀やりたくなってきたなもー!」
梢「そうですね。インターハイは終わってしまいましたけど……もう少しだけ……みんなと一緒に打ちたいものですね」
澄子「まだコクマとかがありますよ……! 先輩方……また一緒にやりませんか?」
莉子「それがいいです! 私も……友香ちゃんに負けないくらい頑張って……強くなってみせますっ!!」
梢「そうですね……友香が帰ってきたら……みんなで今後のことを話し合ってみましょうか」
美幸「でも……今は先のことよりも……とにかくみんなで友香を応援するもー!」
莉子「はいっ!」
692 = 587 :
一人カタカタしてそう
693 = 611 :
@実況室
すばら「あ……あの園城寺さんが振り込んだ……!!!!?」
純「煌ちゃん煌ちゃん、実況忘れてるって」
すばら「はっ!? これは申し訳ありませんっ! あまりに森垣選手がすばらなことをやってのけたので……驚いてしまって……!!!」
菫「花田さんは園城寺さんと打ってますからね、驚きもひとしおでしょう」
初瀬「あんな和了りを見たら誰だって驚きますよ。本当にすごかったです。きっとかなり園城寺選手の牌譜を研究したんでしょう……私も見習わなくてはいけませんね」
菫「そういえば、園城寺選手はインターハイで照に振り込んでいましたが、彼女がリーチ時以外に振り込んだのは、あれが公式戦では初なんだとか。ということは、これが二度目ってことになるでしょうね」
すばら「まさにセカンドインパクトッ!!」
初瀬「えっ? なんですかそのワードチョイス……」
694 = 611 :
純「これで一年選抜が頭一つ分抜け出したな」
すばら「はいっ! というわけで、南入しました! 今しがた、ハネ満和了り拒否――からの山越地獄単騎で園城寺選手からまさかの直撃をものにした森垣選手の、親番ですっ!」
菫「直撃も火に油というか、江口選手や園城寺選手がまた一段と加速した感じがします」
初瀬「本当ですね……わっ、江口選手……六巡目でハネ確リーチ……! また高いのを張りましたねっ!」
純「江口セーラのリーチに園城寺は動かない、か。一発はないってことだな」
すばら「一方、親番の森垣選手はさっきの無茶が祟ったのか、少し苦しい手牌ですっ! これは鳴いて流しに行くでしょうか?」
菫「セーラ選手の打点が高いのは周知の事実ですからね。振り込む危険を犯して無理に連荘を狙うより、トップの今は素直にオリというのが妥当な気がします」
すばら「おおおっと、森垣選手、面子を崩してきました! これはベタオリかっ!!」
純「と、園城寺も張ったな」
初瀬「リーチ……はかけませんね」
菫「一発狙いと、江口選手のツモ消し……当然のダマでしょう」
695 = 611 :
すばら「江口選手はツモならず……! これは園城寺選手には見えていたのでしょう……っと!! その園城寺選手っ!! 一巡待ってからここでリーチをかけてきましたあああ!! これは園城寺選手が江口選手を出し抜くのか!?」
純「江口セーラがやっちまったって顔してるなぁ……」
初瀬「そうですね……この南一局は、これで終わりでしょうか」
菫「いや……もちろんそうとは言い切れませんが……しかし十中八――」
その――瞬間ッ!!!
テンポよく和やかに会話が進んでいた実況室に押し寄せる……津波のような圧倒的悪寒ッ!!!!
すばら・菫・純・初瀬「――ッ!!!!?」ゾゾゾッ
その破壊力はさながらセカンドインパクト……ッ!!
衝撃は、実況室だけではなく、会場中に伝播するッ!!!
696 = 611 :
@観戦室
莉子「うっ……!!!」クラッ
美幸「ええ……莉子っ!!? 大丈夫かもー!!?」
梢「今のは……!?」
澄子「恐らく……!!」
莉子「……ゆ……友……香…………ちゃん……」パタッ
美幸「誰か助けてくださいもーーーーー!!!?」
697 = 611 :
@三年選抜控え室
霞「あらあら……来てしまったわねぇ」
初美「二度寝ですよー……」
久「みんな、気分が悪くなったら無理せず医務室に行ってね」
美穂子「上埜さんと一緒なら喜んで……//////」
哩「姫子、大丈夫と?」
姫子「はい……なんとか」
シロ(うわー……これ準々決勝のときとは段違いだな……こんなのが相手じゃなくてホントよかったー……)
豊音「わわわわっ!!!? 去年テレビで見たやつっ!! すごいすごいっ!!! 神代さんの相手もしたかったー!! これ生で感じたかったー!!!!」
698 = 611 :
@二年選抜控え室
衣「ほう……」
透華「ヤバげ……今日一番のヤバげですわ!!」
絹恵「なんや頭痛くなってきたわ……」
Q「うちも……」
尭深「……大丈夫……?」
灼「玄、生きてる……?」
玄「…………」フルフル
かおりん「えっ? みなさん、何をそんなに恐い顔してるんですか?」ケロッ
699 = 611 :
@一年選抜控え室
穏乃「おおおお……園城寺さんがリーチしたっ!! これはまた一発ツモが来るのかー!!? 森垣さん、頑張って! 鳴いてっ!!」
憧「いや……穏乃、あんた今騒ぐポイントはそこじゃないでしょ……」
和「そうですよ。ただの追っかけリーチに騒ぎ過ぎです。あと、また一発とか、そんなオカルトありえません」
優希「いや、和ちゃんもズレてるじぇ……」
南浦「優希……あなたよくこんなのと戦って生きて帰ってきたわね」
淡「んー……どうだろう。インターハイの準々決勝とは全然違う感じがするなぁ……一体いくつ持ってんだろうねぇ……」ウネウネ
モモ「森垣さん……大丈夫っすかね」
咲「あの人は……たぶんこういうの強いと思う。それよりも……お姉ちゃんに病院送りにされた園城寺さんが……心配だなぁ……」
700 = 611 :
@混成チーム控え室
末原「うっわ……『ザ・魔物ヒットパレード☆』って今度はこいつかいなっ! 勘弁してくれやー……!」ガクブル
かじゅ「これは……満月時の天江衣と同じか……或いはそれ以上だぞ……!」ゴクッ
小走「ふうん……面白いじゃないか」
宥「あれ……なんだか……寒気が増しました……?」
照「ホットココア……買ってくる?」
まこ(うおっ、チャンピオンが今日初めて喋りよった!? わしゃこっちのほうがびっくりじゃ!!)
漫「先輩ー? どうしたんですかー?」ケロッ
池田「なんだ? みんなして頭痛かー?」ケロッ
みんなの評価 : ★★★×4
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