元スレ咲「え? どの学年が一番強いかって?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×4
101 = 1 :
久(あらあら、また一段と張り切ってるわねぇ……)
透華(衣……楽しそうでなによりですわ)
咲(すごい……まだ午前中なのに……!)
淡(へえー……)
衣、壇上の中央に進み出て、仁王立つ。
衣「二年選抜代表……龍門渕高校、天江衣だ」
すばら「え……えっと、ど、どうぞっ!!」
衣「初めに断っておくと、衣は二年生だが、先輩はいない。後輩もいない。なぜなら、衣たち龍門渕高校麻雀部は、元々校内にあった麻雀部を力で圧倒し、追い出し、その上に新しく作り上げたものだからだ。
ゆえに、衣は学年を超える繋がりというものが、よくわからない」
衣「そんな衣は他の三チームに対してなんの言葉も持たない。だから、ここから先は、敵ではなく味方――二年選抜の全員に向けた言葉になる……」
衣「お前たち……今日は好きなように打つがいい。結果がどうなっても誰も何も咎めることはない。衣が願うことはただ一つ。
全員が、己が納得できるような麻雀を打ってほしい! 最後まで自分の麻雀を貫いてほしい! それだけだっ!!
学年に拘る者は拘ればいい。勝敗に拘る者は拘ればいい。みな……それぞれにこの対抗戦に思うところはあるだろう。その思いを――全力でこの戦いにぶつけてほしい!」
衣「その結果……! もし我ら二年選抜が勝つようなことがあれば――それは全員で勝ち取った勝利だ! 各々胸を張って母校に帰るがよかろう!!
いいか、お前たち!! 今日は祭りだッ!! 楽しんだ者が勝者ッ!! みな……今日は一緒に心ゆくまで遊ぼうではないかッ!!」
電気、復旧ッ! 拍手、喝采ッ!
102 = 1 :
かおりん「天江さんカッコいいです……!!」パチパチパチ
小蒔「いいご挨拶でした……」パチパチパチ
玄「なんかわからないけど感動した……」パチパチパチ
灼「同じ学年とは思えない貫禄……」パチパチパチ
憩「衣ちゃん、のっけからはしゃぎすぎやでー」パチパチパチ
絹恵「なんやー天江さんってイメージとちゃうなー? ごっつええ人やん。浩ちゃんどう思う?」パチパチパチ
Q「せやな。もっと唯我独尊な感じやと思っとったけど、ちゃんとうちらのことまで考えてくれてたんやな。意外や」パチパチパチ
尭深(……さすが……)パチパチパチ
衣「以上! 二年選抜代表、龍門渕高校、天江衣!」
すばら「怒涛のご挨拶ありがとうございました! 私も仲間として聞いてみたかったところではあります! ええ、精進しますとも!
あっ、停電と発光には何もツッコみませんよ!! さて……最後になりましたが、一年選抜の代表挨拶をお願いします!」
咲「あ……ああ、えっと、一年選抜代表、清澄の宮永咲です。ええ、本日はお日柄もよく……」
103 = 1 :
優希「咲ちゃん全然ダメだじぇ! マイク貸すじょっ! あーあー。えー!! 我は清澄高校一年、片岡優希! 先輩方みたいに長々話す気はないじょ!
言いたいことは一つ! 我ら一年最強! 上級生は全員顔を洗って待ってるといいじぇっ! はい、じゃあせっかくだからみんな言いたいこと言えばいいじょっ!」
優希、マイクがワイヤレスなのをいいことに、壇上を飛び降りて、フロアを駆け抜ける!
一年選抜、次にマイクを受け取ったのは――!
南浦「え……? あ、えー。私のことなど全国区の方々は誰も知らないと思う。しかし、今日私と戦う者は、きっと一生忘れられない名になるだろう。
平滝高校、南浦数絵。……はい、どうぞ」
友香「えっ? これ全員回すパターンでー? あーあー。劔谷高校の森垣友香です。よろっ!
えっと、私が負けて劔谷が弱いみたいに思われるのは嫌なんでー、今日は一年というか劔谷を代表して、絶対に皆さんに勝ちたいと思いますんでー。ハイ、次あなたね!」
泉「あーあー。どうも、千里山の二条泉です。千里山はレギュラーが全員この場におるんで、あんま滅多なことは言えないですけど、私も負ける気はありません。
特に三年生の方々にはインハイで苦い思いをさせられたので、きちんと借りを返すつもりでいます。以上です。えっと、あ、じゃあどうぞ……」
憧「いや、すっごい恥ずかしいんだけどコレ……!? えっーと、阿知賀の新子憧です。えー、私は、自分が所属する阿知賀女子麻雀部の全国出場を、十年前と今年の二度で終わらせるつもりはありません。
なので、今の上級生がいなくなっても阿知賀が全国にいけるよう、これからも頑張っていくつもりです。先輩方は私の目標であり、超えなければいけない壁です。
今日はその壁に、体当たりでぶつかっていきたいと思います。できれば倒します。はい、シズ、パス!」
穏乃「ううおおおおおおお!!! 二年生!! 三年生!! 一年生もっ!!! 今日は強そうな人たちいっぱいで興奮してますっ!!!
こんなところで勝てたらきっと気持ちいいだろうなああああ!! だから勝ちますっ!! 阿知賀、高鴨穏乃! えっと、次は……!」
モモ「鶴賀の東横桃子っす。とにかく勝つっす。今日はそのためだけに来たっす。見ていてください……以上っす。じゃ、どうぞ」
淡「やっほーい! 年寄りの雑魚ども! 私は白糸台の大星淡だよ!! お願いだから簡単にやられちゃわないでよねー?
みなさんせいぜい私を倒せるように頑張ってくださーい。そんだけー。じゃ、サッキー、戻すねー!!」
104 = 63 :
咲さんかわい
105 = 1 :
淡、フロアから壇上目掛けてマイクをパス。マイクは放物線を描いて、綺麗に咲の手に収まる。
咲(わー戻ってきたー……みんなの痛い視線と一緒にマイクが戻ってきたー……)
咲、少し漏れそうになる。助けを求めるように、和に目線を送る。
咲「ごめん、和ちゃん、うまいこと収めて。お願い」
和「はあ……わかりました」
和、少しうんざりしたような様子で、壇上へ。マイクを受け取って、いつの間にかピリピリと剣呑な雰囲気に変わってしまった会場内を見回す。
和「えー、これは、この対抗戦の話が持ち上がったときから個人的にずっと気になっていて……今も黙って話を聞いていれば、三年生が強いだとか、一年生が強いだとか、二年生こそは……などと皆さんちらほら言われていますが……」
和「そんなオカルトありえません」
和「麻雀の強さと学年が比例するなんてことはないんです。差があるとしたら、純粋に経験の差でしかありません。
十分に経験があれば一年生でも強い人は強いですし、たとえ三年生であっても弱い人は弱いでしょう。それだけです。
もちろん、こんな一回限りの大会で強さの序列は決められません。これで勝ったからどうだということもないでしょう。ただ、もちろんやるからには負けるつもりはありません」
和「名目が学年対抗戦であろうとなんだろうと、私はいつも通りに打って勝ちたいと思います。相手が何年生の誰であろうと関係ありません。
全力を尽くして戦いますので、どうか、皆さんよろしくお願いします。清澄、原村和でした」
ぺっこりんと頭を下げる、和。
しかし、場の空気は回復するどころか、ぴきりと凍りついていた。
すばら「(和、相変わらずのエアーノーコントローラーっぷり! すばらくない!!)えっと………………じゃあもうさっさと先鋒戦を開始しましょうか!!?
選手のみなさんは一旦控え室に戻ってくださいっ!!」
106 = 1 :
@一年選抜控え室
友香「みなさーん、お茶淹れましたんでー。飲むー?」
淡「もらうもらうー」
泉「ほな、うちもいただきます。おお、ええ香りですねっ!」
憧「咲はどう思う? あの二人勝てそう?」
咲「(いきなり呼び捨て!? 和ちゃんのお友達アグレッシブ!!)え……? うん、大丈夫だと思うよ」
和「穏乃……さっきから何をやってるんですか?」
穏乃「いや……この隅っこのほうから……いい匂いがするんだけど……あっ!! これだ!! うおおおおなんだこれ!! 見えないけどなんかぷにぷにしてる……!?」
モモ「あの…………私の胸に何か用っすか?」
穏乃「あっ!? 鶴賀のモモさんじゃないですか!! インターハイではお世話になりましたっ!!」
107 = 1 :
@二年選抜控え室
玄「走っていっちゃったね。転ばないかな……?」
小蒔「先鋒戦をモニターで見るなんて、ちょっと不思議な感じです!」
玄「あ、それわかりますー!」
Q「っちゅーか、あの二人が先鋒なんは勿体無い気がするなぁ。普通に大将でええやん」
灼「まあ、先鋒に強い人っていうのはセオリーだから、間違ってないとは思うけど」
憩「そんな細かいこと考えてるんとちゃうよ、どうせ早く遊びたいだけやねんて」
かおりん「あの……インターハイを見てたときから気になってたんですけど、なんでいつもお茶飲んでるんですか?」
尭深「…………ノーコメント」
絹恵「コラそこ、ちゃんと応援しいや」
108 = 99 :
たかみーがキレて湯飲みをサイドテーブルにダンッ!と叩き付けるの見たい
109 :
先鋒戦に出る選手はもう控え室にいないのね
110 = 1 :
@三年選抜控え室
久「みんな、このオーダーで不都合はなかったかしら?」
美穂子「私は上埜さんの言うことに従います……たとえそれがどんなことでも////」
洋榎「うちは文句ないで。先鋒もあの二人でええと思うしな」
初美「私も問題ないですよー。どこに置かれても仕事はきっちりしますからねー」
姫子「ばってん、竹井さん。むしろ竹井さん自身は大丈夫とですか? けっこう思い切ったオーダーですけど……」
哩「思うところがあるんやろ。心配はしとらんけん、好きにしたらよか」
霞「みなさんリラックスしてるわねぇ。あっ、鹿児島から持ってきたお土産があるのよ。どうぞ召し上がってー」
セーラ「おおっ!! お土産やて!? さすが霞姐さんは気ぃ利くなぁー!!」
霞「姐さん……? 同い年なんだけど……」ゴゴゴゴゴゴ
111 = 1 :
@混成チーム控え室
まこ「本当にあの二人で大丈夫じゃろか。先鋒でトビ終了ってことはないと思うが」
かじゅ「まあ……いくら全国クラスとは言え、半荘二回で十万点を削り取れる者は限られている。そのうち一人はうちにいるしな」
照「…………」
末原「さっきからチャンピオン全然喋らへんけど、もしかして人見知りしてはるの?」
照「……………………」
漫「先輩っ!! これ図星ですよっ! 顔真っ赤になってますやん!」
怜「意外やなぁ。チャンピオンて外から見んのと内から見んのでこんなちゃうんや。あ、よく見たら膝が空いて……」
竜華「あんた浮気か!? 早速浮気か!?」
宥「あの……みなさん、そろそろ始まりますよ~」
112 = 1 :
すばら「それでは!! お待たせいたしましたぁ!! ついに全国選抜学年対抗戦、先鋒戦が始まります! 各チームのオーダーは以下の通りです!!」
@一年選抜:片岡優希(清澄)・南浦数絵(平滝)
優希「数絵、まずは私から行くじぇ!」
南浦「わかった。トバなければ私がなんとでもする」
@二年選抜:龍門渕透華(龍門渕)・天江衣(龍門渕)
透華「ま、わたくしが様子を見てきますわ」
衣「じゃー衣は後半からだなー!」
@三年選抜:小瀬川白望(宮守女子)・姉帯豊音(宮守女子)
豊音「はいはーい! 私、天江さんと打ちたいっ!」
シロ「お好きにどうぞ……」
@混成:池田華菜(風越女子)・小走やえ(晩成)
池田「天江衣が後半か……なら、あたしも……!」
小走「いや、池田、お前は前半に出とけ」
113 :
混成前半怖いなwwww
114 = 1 :
@実況室
すばら「対局者は席についてください! ペアの方は、こちら実況席の隣に特別観戦室を設けておりますので、そちらへどうぞ!!」
菫「へえ……そうなのか」
純「場合によってはここに呼べるように、ってことか」
初瀬「あ、私に言っていただければいつでも呼びにいきますね」
115 = 1 :
@対局室
東家:片岡優希(一年選抜)
優希(知った顔ばっかりだじょ。残念……どうせなら初めてのやつをぶちのめしたかったじぇ!)
南家:池田華菜(混成チーム)
池田(惜しいな……天江が先鋒だっていうから借りを返せると思ったのに。ま、小走さんには小走さんの考えがあるんだろうし……とにかく目の前の敵を倒すし!)
北家:龍門渕透華(二年選抜)
透華(風越と清澄は……ま、いいですわ。宮守の三年――ひとまずはあなたが敵でしてよ!)
西家:小瀬川白望(三年選抜)
シロ(三人ともやる気満々かぁ……ダルいなぁ。清澄もまた起家……けど、あのときは神代がいたからな……それに比べると楽できるかな……?)
それぞれの思惑を胸に、意地とプライドを懸けた戦いが今――始まるッ!!
すばら『先鋒戦、スタートですっ!!!』
優希「そっれじゃー! 今日一発目のサイコロを回すじぇー!!」
先鋒戦前半――開始ッ!!
117 = 1 :
@実況室
すばら「さあ、配牌も終わり、一年選抜・片岡選手から第一打が放たれました!! とうとう麻雀が始まりましたね、弘世さん!!」
菫「そうですね。対抗戦の話が持ち上がってからここまで……長かったです。やっと戦いが始まったと安心しています」
純「まだ試合はほとんど動いてないけどな」
すばら「井上さんは、この四人の中では、誰が最初に動くと思いますか?」
純「いやいや、そんなのオレに聞くまでもないだろ。ここにいるやつは全員こないだのインターハイを見てんだろ? 最初に仕掛けるやつが誰かなんて、わかりきってることじゃねえか」
すばら「これはこれは、失礼いたしました!」
菫「決勝の先鋒戦前半――東一局、私は控え室から見ていましたが、いや、やられたと思いましたよ」
純「あいつもあいつで大した化け物だからな。長野県の個人戦――予選は東場だけだったが……その結果がありありと物語ってるぜ。
こと東場に限れば、あいつは間違いなく全国トップクラスの打ち手だ」
初瀬「あっ――! 今、点棒ケースを開きました! たぶん、千点棒を出すんだと思いますっ!!」
すばら「おおおおっと!! 早くも試合が動きます!! 最初に仕掛けるのはやはりこの人ッ!! 一年選抜・清澄高校・片岡優希だああああ!!」
118 = 34 :
しえん
119 = 1 :
@対局室
東一局・親:優希
六巡目
優希「リーチだじぇっ!!」タァンッ
シロ(んー、そろそろかなと思ってたけど、やっぱ来ちゃったか……)
透華(きー! 目立ちやがって、ですわ!! 原村といい嶺上使いといい、清澄の一年は本当に腹立たしいですの!!)
優希「対抗戦最初のリーチはいただきだじぇ!! そしてこの対抗戦――東二局は来ないッ!
最後のリーチも私がいただいて、一年が最強であることを世に知らしめてやるじぇ!!」
優希、トラッシュトークッ! 池田、苦笑ッ!!
池田「いや……いくらお前が強くても、さすがにそれは不可能だし」
優希「むっ……? 風越池田、いまさり気なく私のことを『強い』って言ったか?」
池田「まあな。あたしがこんなことを言うのはアレだけど、お前ら清澄は普通に強いし。そりゃみんな認めてることだ。インターハイはマグレで優勝できるような大会じゃない。
そんなインターハイの優勝校で先鋒を務めて……チャンピオンとも立派に戦ったお前のことを、強くないなんて思ってるわけないし」
優希「今日は妙に話がわかるじゃないか、池田! その通りだじょ! 私は強いんだじょ!! もっとちやほやされていいと思うんだじょ!」
池田「ああ……ま、そうかもな」
シロ(話してないで早くツモれって。いや、それとも……ツモる必要がない…………とか……?)
120 = 1 :
池田「けど悪いな、清澄の! お前の先制リーチはお預けだし! 東二局もすぐに来るし!! だから――今すぐその目障りなリー棒を引っ込めろし!!!」
優希「は……?」
池田「ロンッ!! 平和赤一……2000!!」
優希「じょーーーーーー!!!?」
シロ(ふーん……風越・池田……知らない選手だったけど、東場の片岡の速さを上回れるのか……長野は魔物の巣窟だなぁ)
透華(池田華菜……衣相手の情けない姿ばかり見ていましたけれど、こうして戦ってみるとなかなか厄介な相手ですわねぇ……。負けちゃいられませんわ!)
池田(我ながらダサい和了だなぁ……。いつもなら先制リーチが入っても和了り拒否して高めを狙うんだけど。
清澄の片岡……こいつにそれは通じないだろう。ここで和了っとかなきゃ……きっと先に和了られてた。それくらい東場のこいつはブレなく強い……けどっ! 華菜ちゃんはもっと強いんだし!!)
優希(池田ァ!! やってくれるじぇ!! 東場でこのまま負けるわけにはいかない……すぐ巻き返すじょ!!)
タ:98000透:100000白:100000池:102000
121 = 63 :
池田かっこいい
122 = 1 :
@実況室
すばら「決まったああああ!! 学年対抗戦最初の和了りは――混成チーム先鋒・池田選手のダマ平和っ!!」
純「セコくて地味な和了りだな」
初瀬「池田選手は実は四巡目からテンパイしていましたよね。どうしてリーチをかけなかったんでしょうか?」
菫「もっと高めを狙える……そう考えたんでしょう」
初瀬「あ、いえ、それはわかるんですけど……。でも、あの形から狙える高めって要するに断ヤオですよね?」
池田手牌:二三四[五]六七45⑦⑧⑨②②:ロン3:ドラ③
初瀬「この手で六筒を待つくらいだったら、先制リーチを掛けて裏を狙ったほうが無難だと思います。
確かに断ヤオがつけばリーチツモで満貫に届きますが、今みたいに手替わりを待っている途中に和了り牌が出てきたら、せっかくの満貫もたったの2000点にしかなりません。
なら、リーチを掛けて3900を確定させておき、満貫は裏ドラ期待……少なくとも、私ならそう打ちます」
純「初瀬さんの意見はもっともだな。筋は通ってるし、かなり現実的だとオレも思う。で、それに白糸台の三年生はなんと答える?」
菫「初瀬さんの思う『狙える高目』と、池田選手の思う『狙える高目』が、同じだとは限らない」
初瀬「えっ……? でも、一通や三色は面子を崩さないとダメだし……一盃口も遠過ぎますよ?」
菫「いや、もっと簡単な方法でいいんですよ。手っ取り早く飜数を上げられる方法――例えば、雀頭にドラを重ねるとか、五索を赤ドラに切り替えるとかね」
初瀬「そ、そんな都合よく引けますか?」
123 = 1 :
菫「さあ、どうでしょう。ま、仮に赤五索、六筒、三筒、三筒と都合よく引いたとしましょう。そうすれば、あの2000の手がたった四巡で断ヤオ平和ドラ二赤二――ダマッパネに化ける」
初瀬「いや、確かにそうですけど……」
菫「で、万が一一発ツモなんてことになれば、あっという間に倍満です。先制リーチで手堅く3900を狙うか、数巡待って最大16000をものにするか……池田選手は恐らく後者を狙っていたんだと思います。
『裏はめくらないでおいてやる』とか、そんなことを言いそうな顔をしていました」
初瀬「信じられません……」
菫「信じる信じないはまた別の話ですよ。ただ、自分の手がどれくらい高い手になるか、今見えている手にどんな可能性があるか――そういうイメージをどれだけ具体的に描けるかで、実力に大きな差が生まれます。
池田選手はたぶん、そういうイメージ力に優れた選手なのだと私は思いますね」
純「言い得て妙だな」
すばら「すばらっ!! たった一度の和了りを見ただけでかなり深いところまで切り込んでくれました!! これが白糸台高校のシャープシューター!! 目の付け所がシャープです!!」
菫「初瀬さん、麻雀はより多く点を稼いだ者が勝つ競技です。あんまり早い段階で自分の手を見限っては手牌が可哀想ですよ。狙える高めはどんどん狙ったほうがいい」
初瀬「勉強になります!!」
すばら「さあ! そうこうしている間に東二局がじわじわ進行しております!!!」
124 = 34 :
ふんふむ
125 = 53 :
池田がカッコイイとな
126 = 116 :
さすがシャープシューター
127 = 1 :
@対局室
東二局・親:池田
七巡目
優希(タコスチャージもばっちり……配牌も三色確定ドラ二……勢いは削られてない……でもあと一歩テンパイが遠いじょ)タンッ
池田(清澄はまだ張ってないのか? それともダマで十分な手だとか……。ま、どっちだったとしても押せ押せだしっ!!)タンッ
シロ(んー……清澄はそろそろ危ないかな……風越さんはまだ……龍門さんは……果たしてどう出るか)タンッ
透華(さあさあ、いらっしゃいましっ! と……来ましたわねっ!! タンピンテンパイ……しかし、テンパイ即リーはさすがに早計もいいところ。
状況はまだ動くかもしれませんし、三色への変化も決して無茶ではない……。がっ!! しかし、ですわ!!)
透華のアホ毛、回転ッ!!
透華(ここでリーチをしないわけにはいきませんわ。先制リーチにはそれだけの価値がありますの。それに、3900だってわたくしにとっては十分大きいですわ。今は満貫やハネ満は必要ない。
何より……このままダマで通して……もしなんの変化もなくロンでもしようものなら……さっきの風越とどん被りですわ!! しかも点数まで風越と同じ!
どうせ解説の純が『セコい』だの『地味』だのこき下ろすに決まってますの!! そんなことになるくらいなら……わたくしが『対抗戦初リーチ』をいただきますわよっ!!)タンッ
透華、力強く、捨て牌を曲げる!
透華「リーチですわっ!!」スチャ
128 = 1 :
優希(じょーー!? 初リーチ盗られたじぇ!? でもこっちだってイーシャンテンだじょ。追っかけリーチしてやるじぇ!!)
シロ「ポン」タンッ
透華(一発消されたですわ!!)
優希(ツモ飛ばされたじぇ!!)
シロ(これで流れてくれればいいけど……そうはいかないか……?)
透華、ツモ牌を見て、歯軋り。
透華(く~~~宮守の! なんだか手の平の上で転がされたような感じがしますわ! けど……まあ、もらえるものはもらっておきますの!)
透華「ツモですわ。リータンピンツモ、裏は……なし。1300・2600ですの」パラララ
シロ(うわ、和了られたか……これは一番ダルいパターンになりそうだな)
優希(じょー……ツモさえ飛ばされなければ……!)
池田(束の間のトップだったな。ま、清澄がいる以上、東場が安く早く回るんなら、それはそれで悪くない)
タ:96700 透:105200 白:98700 池:99400
129 = 1 :
@実況室
すばら「二年選抜・龍門渕選手! 手堅く5200の和了りで暫定トップに立ちました!!
これは先ほどの池田選手とは対照的に、龍門渕選手はテンパイ即リーしてきましたね。井上さんはチームメイトとして、この和了りをどう評価しますか?」
純「ただ目立ちたかっただけだと思うぜ。間違いなく『対抗戦初リーチ』がしたかっただけだな。あと、ダマで和了ったらさっきの池田と被ると思ったとか。
ま、あそこは先制リーチがデジタル的にも正解だったんじゃねえの? 変化はできるが、現実的には期待値が低過ぎる。5200なら上出来だ」
すばら「目立ちたい欲求とデジタルを両立した和了りということですね!」
純「透華らしいっちゃらしいな」
初瀬「あの、見てて一つ気になることがあったんですけど」
すばら「はいっ、どうぞ!」
初瀬「今の小瀬川選手のポンなんですが……あれは一発消しにしては少々雑ではなかったですか? あのポンで小瀬川選手はほぼ役がない状態になってしまいました。
普通、一発消しをするにしても、自分が和了れる形を残すと思うんですが……」
純「役無しでも強引に鳴くことはあるぜ。相手にいい流れがいきそうだったら、オレは鳴く。ただ、これはオレだからできることであって、あんま一般的じゃない。
小瀬川ってやつも、オレ寄りの人間なのかもな」
初瀬「流れ……オカルトですか。私は苦手分野ですね。うまくできる気がしません」
菫「私もオカルトは苦手ですが、今の小瀬川選手の鳴きなら、理解できなくもないですよ」
すばら「と、言いますと?」
130 = 1 :
菫「いや、単純な経験則です。今の龍門渕選手の和了り牌――あれは元々片岡選手のツモ牌であり、同時に有効牌でした。
仮に、小瀬川選手の鳴きがなければ、イーシャンテンだった片岡選手は龍門渕選手の和了り牌を手牌に組み込んで、追っかけリーチに走ったでしょう。
小瀬川選手はむしろそちらを警戒していたんじゃないでしょうか」
井上「ありえる話だな。実際、片岡と小瀬川はインターハイで対戦してる。東場の片岡を直に感じたことがあるなら、オカルトに頼らなくても張ってるか張ってないかくらいは経験的にわかる……かもしれねえ」
初瀬「確かに、対戦しているうちに相手の癖や打ち筋が見えてくる、というのはわかる気がします。じゃあ、さっきの小瀬川選手は、過去の対戦経験から、片岡選手の放つ危険な気配を感じ取っていたんですね?」
菫「そんなところだと思います。で、龍門渕選手のリーチが入ったところで、小瀬川選手はそれを利用することにした。
ツモ番を飛ばして片岡選手を焦らせ、他家のリーチというプレッシャーで以てペースを狂わせ、あわよくば流局に持ち込む。
流局であれば、役はなくとも形式テンパイさえ作っておけばマイナスにはなりません。ま、鳴いた直後に龍門渕選手が和了ったことについては、小瀬川選手も予想外だったのかもしれませんが」
純「言われてみりゃ、和了った透華を面倒臭そうな顔で見てたっけな」
初瀬「お二人とも……よく対戦者を観察していらっしゃるんですね」
純「オレは得意だからな、そういうの。場の流れも読めるし」
菫「対戦者をよく観察するのは勝負の基本ですよ、初瀬さん。私たちが戦っているのは機械じゃない。生きた人間です」
純(機械みたいな打ち方をする最強のデジタルが一人いるけどな)
菫「かく言う私も、先のインターハイでは自分でも気付かないような癖を見抜かれて苦戦しました。
初瀬さんも、敵の牌譜を見るときは、時間の許す限り映像で確認したほうがいい。得られる情報はただの紙よりずっと多いはずです」
純(映像を見てるほうが逆に混乱を招くステルス女もいたっけな)
初瀬「勉強になりますっ!!」
すばら「お三方!! お勉強もすばらですが!! 東三局が開始早々とんでもないことになってますよ!?」
131 = 1 :
@対局室
東三局・親:シロ
洗牌中。
シロ(清澄は当然要警戒だけど……長野の二人も気を抜ける相手じゃない……困ったな。アミダで負けたから出てみたものの……下手な全国大会よりよっぽどダルいぞ……これ)
浮き上がる山牌。回る賽。
シロ(先鋒戦に出たのだって……さっさと終わらせてあとはのんびり観戦したかったからなのに……裏目裏目だなぁ。いや、それとも、この卓は今日のオーダーの中ではマシなほうなのか……? わからない……)
配牌、理牌。
シロ(ただ……一つ言えることは……)
シロ、視線を手牌から、卓を囲む面子へと向ける。
池田「龍門渕っ! 初リーチくらいで調子に乗るなし! すぐにトップ奪い返してやるから覚悟しろし!!」
透華「好きなだけ吠えてるといいですわ、風越。そのまま吠え面かかせて差し上げますわよ!!」
優希「お前たちっ! もう私に勝った気でいるとはおめでたいやつらだじょ! 東場はまだ終わってないじぇ!! ここから先は、ドンタコス優希の独壇場だじょ!!」
シロ(この卓の面子が今日トップクラスにウザいのは間違いない…………豊音じゃないけど……ちょーダルい……もう帰りたい)
132 = 1 :
シロ、溜息とともに、第一打。
シロ(別に私が頑張らないでも豊音が適当にやってくれるから先鋒戦は大丈夫だろうし……このままゆるゆる打ってようかな……)
透華が牌を切り、ツモ番がシロの対面に坐す優希に回る――!
優希「ふっふっふ……」
シロ(何笑ってんだ……? って、まさか……)
優希「お前たちの活躍もここまでだじぇ! 東場の神が私にもっと輝けと囁いているのが聞こえるじょ!!」タァン
優希、その第一打を――曲げるッ!!
優希「対抗戦……最初で最後のダブルリーチだじぇ!!」
シロ(いや、最後のかどうかはわからないだろ……)
そして、ツモ番がシロに戻ってくる。
シロ(こんなの振り込んだってただの事故だけど……清澄の場合は振り込まなくてもツモってくるだろうからなぁ。
一発親っ被りなんて勘弁だし……うーん、せめて被害を最小限に……この辺りで、どっすか……?)タンッ
シロ、強引に中張牌を切る。ロンの声はかからない。
同様に、鳴きの声も入らない。
シロ(……………………あれ?)
133 = 1 :
@実況室
すばら「小瀬川選手っ!!! 片岡選手のダブリーに対していきなりド真ん中から切っていったぁ!! 全く引く気が見られませんっ!!」
初瀬「これは……でも、ただ強気というにはやっぱり少し違うような」
純「そうだな。小瀬川は今度こそ一発消しをしたかったんだと思うぜ。つーか、第二打であんだけ的確な牌が切れるとか、あいつどこまで見えてんだよ」
菫「偶然もあるのでしょうが、小瀬川選手の一打は、確かに他家が鳴けるところを出しました。
ですが、どうやら他家がその意図を理解していないようですね。ぴくりとも反応しません」
純「ま、あいつらならそうだろうなぁ。小瀬川白望は判断を誤った。龍門渕透華と池田華菜に共闘なんて概念はない。目立ちたがり屋と、自己中バカだからな」
すばら「さあ!! 小瀬川選手のすばらプレーも不発に終わり、清澄が一発目をツモります!! 果たして本当にここで和了るのかっ!!」
134 :
おもち
135 = 1 :
@対局室
シロ(もしかして……こいつら……!)
透華(ダブリーなんてただの運。だからなんだって感じですわ。安牌が増えるのを待ちつつ、いつも通りに和了りを目指しますわよ!!)メラッ
池田(恐がってばかりじゃ東場の清澄には勝てない! ダブリーなんて華菜ちゃんが和了って蹴散らしてやるし!!)ニャー
シロ(こいつら……! 自分が和了ることしか考えてない……!?)
シロの思い、届かず! 優希、ツモ牌を見て、高らかに笑う!
優希「来たじぇ来たじぇー!! お前たちっ! 反撃の狼煙をその目に焼き付けろ!! タブリー一発ツモドラ一……裏一!! 3000・6000だじょ!!!」
シロ(ほーらツモったー……親っ被りとか……最悪だ……ダル過ぎる)
頭を抱えるシロ。
シロ(こうなったら……どうしよっかな……うーん……なんか変な気がするけど……今よりはマシだ……こっちも本気でいこう……)
のらりくらりと先鋒戦を終わらせようとしていたシロ。が、あまりに空気が読めない面子に囲まれて、むしろ全力で戦ったほうがダルくないと方針を急転換!!
あくまで自分のことしか考えていない長野勢、その変化には気付かない!
シロ(こいつら全員……ヘコませる……!!)ゴゴゴゴゴゴ
岩手の眠りたがりの獅子が、ここに目覚める!!
タ:108700 透:102200 白:92700 池:96400
137 = 1 :
東四局・親:透華
透華(さあっ! この親で稼ぎますわよ!)タンッ
優希(東場でトップを譲るわけにはいかないじょ……この局もいただきだじぇ!)タンッ
池田(龍門渕も清澄も配牌からよさげな感じだな……けど、実は華菜ちゃんもいい感じなんだし!)タンッ
シロ(…………)タンッ
138 = 116 :
シロさんの本気
139 = 1 :
@実況室
すばら「長野勢っ! 全員が開始早々リャンシャンテンと好配牌に恵まれています! まだ和了りのない小瀬川選手には苦しい展開ですね!」
初瀬「小瀬川選手はさきほどから防戦一方ですね。どうしたんでしょうか」
菫「宮守の小瀬川選手はこの対抗戦に乗り気じゃなかったそうですよ。クジで負けたからここに来た、と姉帯選手が言っていました」
初瀬「クジって……じゃあ、小瀬川選手はこのまま何もせずに半荘を終えるつもりなんですか?」
純「ああ……だからあんなやる気のねえ打ち方だったんだなぁ。原点で姉帯に回せば十分って感じだったぜ。ま……少なくともさっきまでは」
初瀬「えっ? さっきまでは?」
菫「ハネ満の親っ被り……というよりはその直前の打牌で鳴きが入らなかったこと――あれで小瀬川選手の顔つきが変わりました」
純「長野の面子があまりに空気読めないからキレたんだろ」
初瀬「はあ……しかし、やる気を出したとしても、現状苦しいことに変わりはないですよね。どうするつもりなんでしょうか?」
菫「どうにでもしますよ。ひよっ子三人を黙らせるくらい、小瀬川選手には造作もないことでしょう」
すばら「おおおおおっと!! 早くも場が動く模様っ!! これはまさに掴み合っての殴り合いとなりそうです!!」
140 = 1 :
@対局室
六巡目
透華「リーチ、ですわ!!」タンッ
優希「(龍門渕の親リー……望むところだじぇ! 今度こそ追っかけで粉砕してやるじょ!)こっちもリーチだじぇっ!!」タンッ
池田「(二人とも仕掛けてきたか。華菜ちゃんもテンパった……ここはダマでは済まされないしっ!)リーチだしっ!!」タンッ
三家同時リーチッ!!
シロ(…………)タンッ
しかし、シロに動揺は見られない!!
ノータイムで危険牌を手出しッ!!
透華「(今度こそ一発ツモでしてよ!!)ツモ…………! ならずですわっ!!」タンッ
透華、一発来ず!
優希「(二度目の一発いただきだじぇ!!)来るじぇ来るじぇ…………ってなんでそこなんだじょっ!?」タンッ
優希、一発来ず!!
池田「はは……お前らじゃ所詮役不足(誤用)なんだし! この華菜ちゃんが一発の見本を見せてやるっ! にゃあ~~~~っ!! …………これじゃないし!!」タンッ
池田、一発来ず!!!
141 :
リー棒うけとっての人か
前作もよかったしえん
142 = 1 :
三人が三人とも一発を逃し、場につかの間の静寂が訪れるッ!
それを見計らったように、シロ、盛大に溜息ッ!!
シロ「はぁぁぁぁ…………」
透華・優希・池田(溜息!?)
三人の視線が集まる中、気だるげに山牌へ手を伸ばすシロ。
ツモを手牌に収め、不要牌を河に置く。
打ち出された牌は――横向き!!!
シロ「あのさぁ……熱くなるのは勝手なんだけど……」
ロンの声は――掛からない!!
シロ「もう少し静かに打ってくれないかな……ダルいから」
シロ、点棒ケースから千点棒を取り出して、場に置く。
シロ「リーチ……誰も和了らないなら、この場はこれで仕切り直しってことで……」
透華・優希・池田(~~~~!!)
タ:107700 透:101200 白:91700 池:95400 供託:4000
143 = 1 :
@実況室
すばら「四家立直いいいいいいいい!! 三家同時リーチから、小瀬川選手の機転でまさかの流局ですっ!!」
初瀬「驚きました……好配牌だった他家の手に追い付くスピードもそうですし、いくら場を流すためとはいえ、あの状況で躊躇なく危険牌を切れる判断力もすごいと思います」
純「さっきまでの小瀬川なら、間違いなくオリて他家が潰し合うのを傍観してただろうな」
菫「普通に考えればそれが無難でしょう。打ち合いなら他家で点のやりとりがあるだけで、自分はマイナスにならないですから。
しかし、小瀬川選手は自分以外の誰かが和了ることをも嫌った。これ以上他家に点を与えるつもりはない、という宣戦布告ですね」
144 = 1 :
@三年選抜控え室
久「もう、白望ったらやる気になるのが遅いんだから。困ったもんだわ」
美穂子(上埜さん……どんどん呼び捨ての人が……私のライバルが……増えていく)
洋榎「ま、いくらマイナスになろうとうちがなんとかしたるけどなー」
姫子「私らは反対側のブロックですけん、よう知らんのですけど、宮守の小瀬川さんはどげん強かとですか?」
初美「うちの姫様相手に区間一位を取ってたですよー。まあ、あくまでただの結果ですけどー」
霞「豊音さんにも驚いたけれど、やっぱり宮守のエースと呼ぶべきは彼女じゃないかしら。安定して強いし、結果を残してるものね」
哩「なんや、やっぱ強かね。今日の味方はいっぺん打ってみとうやつばっかと」
セーラ「せやけどなぁ……強い強い言うても清澄の一年は止まらなそうやで。ホンマに大丈夫かいな?」
久「どうでしょうね。初美さんたちが評価してる通り、白望は強いわ。けれど……それで簡単にやられちゃうほど、うちの子たちはヤワな鍛え方はしてないつもりよ」
洋榎「お前はどっちの味方やねん。……って、おい? 久? どこ行くんやー?」
久「ちょっと野暮用~」
145 = 1 :
@対局室
東四局一本場・親:透華
八巡目
シロ(まあ……やる気を出したところで、私は豊音みたいな便利能力を持ってるわけじゃないからなあ……配られた牌と来る牌で戦うしかない)タンッ
透華「チー、ですわ!」タンッ
シロ(親の龍門さんがこれで二副露……鳴きを駆使したデジタル打ちか。スピード重視で連荘狙い。この人……天江衣の親類ってわりにはかなり手堅い打ち手なんだな……意外だ)
シロ、今更ながら、倒すべき他家を観察。
シロ(天江衣と言えば……こっちのネコっぽいのも縁があるんだったか……県大会の決勝で二度も戦って……二度ともボロ負けしたとか)
池田「リーチだしっ!!」スチャ
シロ(けど……このテンパイ率とテンパイ速度……エイスリンほどじゃないけど、十分全国上位レベルじゃないのか……? 火力も高そうだし……こんなやつをトバすとか天江衣ってどんだけ……)ツモッ
シロ、ツモ牌を手牌の上に置き、長考。
シロ手牌:三四四五五六七八九九白西西・ツモ二・ドラ一
シロ(んー……二萬か……ここが分かれ道っぽいなぁ……風越さんのリーチが入ったばかり……なんか引っかかる……ま、じゃあこっちにしてみようか……)タンッ
シロ、打、四萬ッ!
146 :
前書きがあれだったからくぅ~を書きたいだけかと思ったら普通に真面目な内容だった
147 :
最近もうコピペ狙いなのか素なのか見分けが付かない
148 = 1 :
@実況室
すばら「小瀬川選手っ! なんとあの状況から四萬切りいい!! 不可解な打牌ですっ!! 一体彼女には何が見えているんでしょうかっ!!」
初瀬「池田選手の和了り牌を読んだということでしょうか?」
池田手牌:①②③一一一三七八九123・ドラ一
純「いや……そういうのとはまた違う気がする。もし池田のリーチを警戒しているなら、まずは池田の安牌である字牌から切ればいい。そうすりゃ清一も見えてくるしな」
菫「小瀬川選手はたまにこういうセオリー外の打牌をしますね。急がば回れというか、一見して不合理な打牌を選ぶことで、結果的により高い手で和了ることが彼女の得意技のようです。
ただ、狙ってやっているというよりは、迷っているうちになぜかそうなってしまう――という感じなのだそうですが」
純「なぜか、ねえ。確かに、小瀬川はなぜか安牌の字牌ではなく四萬から切った……それを今うちの透華がポンしたわけだが、それによって池田の一発は消えた。ツモ順もズレた。結果論だが、随分と流れが変わったような気はする」
すばら「池田選手はツモならず! そして……注目の小瀬川選手にツモ番が回ってきますが……おおお、これは――!!」
149 = 1 :
@対局室
シロ(さーて……張ったなぁ)
四萬切りから四巡後、山から五筒、六筒、一萬、赤五萬を引き入れ、シロの手はがらりとその雰囲気を変えていた。
シロ手牌:一二三四五五六七八九九⑤⑥・ツモ[五]・ドラ一
シロ(ここは……リーチしたほうがいいもんかな……どうだろ。微妙だな……)タンッ
シロ、打、九萬ッ!
リーチ、せずッ!!
シロ(この巡目……三副露の親に、明らかに高めの手でリーチをかけてる上家……突っ張るのはさすがに無理。この手ならダマで和了っても十分だし。それに……さっきから清澄が静かなのが……気になるな)
シロ、対面の優希に目をやる。
優希、ちょうど山から牌を引いたところ。シロの視線に気付き、顔を上げる。
優希「……なんだじょ?」
シロ「いや、別に、見てただけ」
150 :
うえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさんうえのさん
みんなの評価 : ★★★×4
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