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    元スレ朋也「軽音部? うんたん?」2

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    みんなの評価 : ★★★×4
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    401 = 161 :

    長門「死に至るまでの危険性はない。あくまで被弾箇所の人体が著しく損傷するだけ」

    キョン「いや、十分ヤバイじゃないか…」

    春原『みろよ、これ、すげぇかっこよくない?』

    春原が上半身だけアーマーを身にまとっていた。

    春原『これ、ガスマスクって奴だよね?』

    篭った声。顔面を保護する装甲の下から発声しているからだ。

    春原『なんか、本格的だよね…っうわっ』

    古泉「んっふ、下半身がお留守ですよ、んっふ」

    春原『なんなんだよ、こいつ!? いつの間にかすげぇ近いよっ!』

    古泉「特に*を守らないと…常に誰かに狙われていることを、もっと自覚したほうがいい」

    春原『ひぃぃいいっ』

    古泉に襲われ始める春原。

    朋也(しかし…)

    あの、長門有希という子は、なんでダメージのでかさがわかるんだろう…

    長門「………」

    402 = 162 :

    何者なんだ、あいつは…

    ―――――――――――――――――――――

    時間になり、屋内に突入した。
    中は薄暗く、視界が悪かった。
    そのため、暗視ゴーグルを作動させて進むことになった。

    キョン『暗視調整、良し。吸気弁、作動良し』

    朋也『妙な気分だな…』

    キョン『ああ。体は軽いのに視界が重い』

    春原『潜水夫になった気分だよね』

    涼宮『そこ、無駄口を叩くんじゃないわよ。オペレーションスタートっ』

    古泉『了解です、ゆりっぺ』

    長門『…自重しろ』

    古泉『んっふ、すみません、もしくはさーせん』

    ―――――――――――――――――――――

    周りを警戒しつつ、ゆっくりと廊下を進む。
    先頭は涼宮だ。この部隊の指揮官であるため、強化服の上から腕章をしていた。
    死んでたまるか戦線、と書かれてある。

    403 = 161 :

    涼宮『いないわね…』

    未だ敵とエンカウントしていなかった。
    物音もしない。

    涼宮『この区間にはいないのかしら…』

    その言葉を聞いて、俺たちの緊張が少しだけ解けた。
    その時…

    朋也『ん?』

    赤いランプが四つ、奥の通路で軌跡を残しながら揺らめいた。
    電気も通っていないようなこの建物内での明かり。
    考えられる光源は、ひとつしかない。暗視装置が放つ光だ。

    ばたたたたっ! ばたたたたっ!

    案の定、すぐに銃声が響いた。

    涼宮『っ! 待ち伏せよっ!』

    全員、さっと遮蔽物に身を隠す。
    弾が柱に当たって、バチバチと大きな音を立てていた。
    俺たちも、相手の攻撃が休まると、その隙に身を乗り出して撃ち返した。

    涼宮『古泉くん、有希! その通路からあそこまで回りこめるから、潜行してちょうだい!』

    涼宮『挟撃するわよっ』

    404 = 162 :

    最も通路の入り口に近かったふたりに指示を出す。

    古泉『わかりました、任せてください』

    長門『わかった』

    即時行動に移し、がしゃがしゃと装備の揺れる音を立てながら消えていった。

    朋也(すげぇな、涼宮の奴…)

    あの指示が出せるということは、建物内の空間の把握ができているということだ。
    それはつまり、ほんのわずかな時間見取り図を眺めただけで、完全に頭の中に入れてしまったことを意味する。

    たたたっ! ばたたたっ!

    向こうから新しい銃声がふたつ。
    古泉と長門有希だった。
    手を振って、制圧が完了したことをこちらに伝えてきた。
    不意をつかれはしたが、意外にあっけなく終わった開幕戦。
    涼宮の采配が的確だったおかげだ。
    敵は正面から俺たちの攻撃を受け続け、突然横から潜行部隊の奇襲を受けたのだ。
    ひとたまりもなかったろう。

    涼宮『よくやったわ、ふたりとも』

    通路を抜け、敵の居た位置までやってくる。
    そこは、ずいぶんと開けた場所だった。
    さっきまでの一方通行な一本道と違い、動きやすい。

    古泉『んっふ、正確に仕事ができて、なによりです、Angel Beatあっ…』

    405 :

    さるさんくらいそうですね

    406 :

    >>405
    ID

    407 = 161 :

    ばたたたたっ!

    かんっ、とひとつ金属音がしたと思うと、古泉が発砲しながら勢いよく倒れた。
    敵からのヘッドショットを受けたのだ。

    涼宮『どこからっ…』

    向かい側の出入り口から、がしゃがしゃと音を立てながら足音が遠のいていった。
    ヒットアンドアウェイだ。敵は、反撃される前に退いていた。

    涼宮『逃げられたか…』

    キョン『大丈夫か、長門』

    長門有希が床にうずくまっている。
    キョンに安否を訊かれ、フェイスセーフ、メット、吸気弁の三つを外した。

    長門「問題ない。でも…ルール上もう動けない」

    手や足など、体の末端はセーフだが、内臓の詰まった胴や、頭にもらえばそこでゲームオーバーということだった。

    長門「…あなたのせい」

    古泉「僕も突然のことだったので、なにがなんだか…一応すみませんでした」

    古泉も頭部の装備をすべて外していた。

    長門「…死ぬならひとりで死ぬべき。馬鹿」

    …古泉の死に際の乱射が長門有希に被弾していたらしい。

    408 = 162 :

    キョン『これでまた同人数に戻っちまったな…』

    今しがたふたり処理した矢先の出来事だったので、落胆の具合も大きい。

    涼宮『終わったことは、言っても仕方ないわ。先へ進みましょう』

    涼宮『ふたりのカタキを取るのよ』

    言って、先行する。

    春原『ハルヒちゃん、頼もしいね』

    キョン『こういう時だけは、役に立つんだ、あいつも』

    涼宮『なにがこういう時だけよ! 聞えてるんだからね、キョンっ』

    キョン『あー、すまんすまん…』

    ―――――――――――――――――――――

    涼宮『静かね…』

    通路を進むが、人のいる気配が感じられない。
    しかし…

    朋也『俺たちが追う立場になってるけど、それって不利なんじゃないか』

    涼宮『じゃ、私たちも待ち伏せしろっていうの? そんなの嫌よ』

    涼宮『言ったでしょ? 攻撃は最大の防御だって。なにより、あたしの性分にあわないわ』

    409 = 161 :

    朋也『あ、そ…』

    闘争心の塊のような奴だった。

    春原『ん…?』

    春原『うわぁあああっ! ゴキブリだぁあああっ!』

    ばたたたたたっ!

    朋也『馬鹿、んなのほっとけよ!』

    涼宮『なにやってんの、金髪! 敵に位置がばれるじゃないっ!』

    キョン『春原、無駄弾撃つなっ』

    春原『わ、わりぃ、つい…』

    どがらしゃーっ!

    大きい音がして、目の前で天井が抜けていた。
    春原の撃った弾が、脆くなった部分に当たり、ぶち抜いてしまったんだろうか…。
    もくもくと埃が舞う。が、マスクをしている俺たちには無害だった。
    次第に煙も薄れ、晴れていく視界。

    涼宮『あ…』

    そこには、敵が三人、重なって倒れていた。
    上の階で、丁度床が崩れた場所にいて、落ちてきたのだろう。

    410 = 405 :

    >>406
    あっ、携帯とで交互にやってるのか…

    411 = 162 :

    その衝撃からか、吸気弁が外れて埃を吸い込んでしまい、咳き込んでいる者もいた。
    すかさず俺たちが銃を構えると、手を挙げて降伏していた。

    ―――――――――――――――――――――

    春原『いやぁ、なんか、あそこは怪しいと思ってたんだよねっ』

    春原『なんていうの? 動物的カンってやつ?』

    あの偶発的な事故以来、春原は延々と自画自賛し続けていた。

    朋也『おまえ、うるさい』

    春原『いいじゃん、敵もあと一人なんだしさ。軽くトークしながらいこうぜ』

    その残った一人とは、やっぱり、あの目つきの悪い男なんだろう。
    今は3対1の状況で有利だが…なにか嫌な予感がしてならない。

    春原『ん…どうしたの、いきなり止まっちゃってさ』

    涼宮『この扉の向こうは大部屋になってるの。特に入り組んでいるわけでもなく、単純な構造よ』

    涼宮『もしここに潜伏してるとしたら…』

    涼宮『不用意に全員で突入すれば、一網打尽にされる可能性もあるわ』

    涼宮『身を隠す遮蔽物が、室内にある家具ぐらいしかないでしょうからね』

    涼宮『それに、罠を張られているかもしれないしね』

    412 = 250 :

    >>410
    すげえだろ…朝からこれだぜ

    413 = 161 :

    春原『ははっ、大丈夫だって。三人で袋叩きにしちゃえばいいじゃん』

    春原が銃を構えることもなく、無造作に扉を開けた。

    涼宮『あ、馬鹿っ…』

    入り口に足を踏み入れる春原。
    室内を見回す。

    春原『何もないよ』

    俺たちに向き直り、肩をすくめてみせる。
    そして、また正面に視線を戻す。

    春原『この部屋にはいなかったみた…』

    カシャッ

    物音がしたと思うと、大量の日光が窓から降り注いできた。

    朋也『うお…』

    暗視装置がちりちりと焼けていた。
    腕で光を遮り、影を作ることで対処した。

    春原『うぐあぁ…目がぁあっ! 目がぁあっ!』

    春原はモロに直視してしまったようだ。
    となれば、おそらく暗視装置は焼き切れてしまっているだろう。

    414 = 162 :

    ばたたたたたたっ!

    春原『ぎゃぁあああああああああっ!』

    銃弾を浴びながら後ずさり、俺たちのいる場所まで押し戻され、そこでばたりと倒れた。

    朋也(くそっ…!)

    暗視装置を切り、半身になって室内を見る。
    すると、光を背にして、ひとりの男が立っていた。
    斜光カーテンを開けて、暗視装置の弱点を突いてきたのだ、あいつは…。
    俺は迷わず発砲する。

    ばたたたたたっ! ばたたたたっ!

    キョンと涼宮も加わり、掃討射撃のように絶え間なく弾が飛んでいく。
    だが、そんな派手な攻撃もむなしく、ソファーに身を隠しながら別の出入り口から逃げられてしまった。

    朋也(逃がすかっ…!)

    俺が一番に追い始め、その後に残りのふたりもついてきた。

    ―――――――――――――――――――――

    部屋から出ると、すぐに階段があった。
    暗視装置を再び作動させ、一気に下りていく。
    そして、中程まで来たところで…

    どがぁっ!

    415 = 161 :

    最上段から何かが砕ける音。

    朋也(嘘だろ…!?)

    壁を突き破って、突然敵が現れていた。
    銃を構える。狙われるのは、当然一番近い位置に居る…

    涼宮『嘘っ…』

    ばたたたたたたっ!

    キョン『うぁああっ!』

    声を上げたのは、涼宮ではなく、キョンだった。
    自分が盾となり、涼宮をを守っていたのだ。

    涼宮『キョンっ! なんで…』

    涼宮はキョンが階段から落ちないように支え、両手がふさがり、銃を落としてしまっていた。
    容赦なく敵の銃口が向く。

    朋也(くそっ…!)

    朋也『喰らえっ』

    ばたたたたたたたっ!

    敵に向けて発砲する。
    が、すぐさま逃げられてしまった。

    416 = 162 :

    涼宮『キョン…』

    キョン『あつつ…あー、俺はもうゲームオーバーだな…あとは任せた』

    涼宮に抱きかかえられるその腕の中で、若干苦しそうに言う。

    涼宮『……うん』

    朋也『行くぞ、涼宮。終わりは近い』

    涼宮『…わかってるわ』

    ―――――――――――――――――――――

    薄暗い通路をただひたすら進む。俺が前衛、涼宮が後衛だった。
    俺たちの他に足音は聞えない。やはり、また待ち伏せなのだろう。
    今は2対1の状況なので、その判断は正しいはずだ。

    朋也『ん…』

    大き目の扉が目の前にあった。
    一度立ち止まる。

    涼宮『この先は、結構な広さのあるホールになってるわ。そして…出入り口はここしかないの』

    涼宮『もし、ここでキャンプしているとしたら…決着は、ここでつくことになるわ』

    朋也『…そうか』

    涼宮『短時間で罠が用意できたかどうかはわからないけど、用心していきましょう』

    417 = 161 :

    朋也『ああ、わかった』

    俺はまず様子見のために、扉を慎重に開くだけで、中に突入することはなかった。
    次に、銃を構えつつ辺りを見渡して、警戒しながら足を踏み入れた。
    長机が多く並んでおり、最奥には人ひとり隠れられるだけの教卓のようなものがあった。

    朋也(居るのか…?)

    そこに注意を向け、進んでいく。
    涼宮も後ろからついてくる。

    朋也(あそこしかないよな…居るとしたら…)

    緊張が高まる。

    ばたたたたっ!

    奥から銃声。
    身をかがめて長机の下に隠れる。
    俺と涼宮は左右に散っていた。

    朋也(やっぱりか…)

    朋也(よし…)

    身を起こして、教卓に銃を向ける。
    その時…
    右の壁にある窪みから、赤い光が尾を引きながら出てきた。

    朋也(な…)

    418 = 162 :

    ばたたたたっ!

    朋也『うぉあっ』

    咄嗟に伏せて難を逃れる。

    『ふん、なかなかいい反射神経してるじゃねぇか』

    ばたたたっ!

    涼宮が発砲する。

    『おっと』

    しゃがみ、奥へ移動していった。

    朋也(どうなってんだ…)

    さっきは確かに奥から発砲してきたはずだ。
    それで、あの場所に居ると当たりをつけたのだから。

    朋也(一瞬で移動…? いや、ありえない、あんな距離だからな…)

    朋也(なら…銃が二丁あるのか…? 一つはおとり用で…) 

    朋也(でも、どうやって…)

    朋也(あ…)

    ひとつ思い当たる。

    419 = 161 :

    あの大部屋のすぐ外で、春原がゲームオーバーになっていたことを。
    おそらく、回収していたのだろう。
    そして、仕掛けていたのだ。この罠を。
    どうやって遠隔発砲できたのかは知らないが…やはり只者じゃない。

    朋也(しかし…)

    マガジンを取り出す。
    重さからして、残弾も残り少ないことがわかった。
    それは、涼宮も同じことだろう。
    このまま小競り合いを続けて消耗戦になれば、負け戦になることは目に見えている。

    朋也(…ふぅ。仕方ねぇな…やるか)

    俺は一つの賭けに出ることにした。
    ともすれば、無駄死にするだけかもしれない策だったが…いや、策とも呼べないかもしれない。
    だが、この状況を打破し、勝利できる可能性も秘めているはずだ。

    朋也『涼宮』

    俺は銃を放った。
    受け取る涼宮。

    涼宮『なによ…どうしたの』

    朋也『俺は今からあの男を拘束しに行く。丸腰でな』

    朋也『おまえは発砲して動きを止めておいてくれ』

    涼宮『そんなことできるの?』

    420 = 162 :

    朋也『やるしかねぇだろ。弾、もうないだろ?』

    涼宮『…そうね。じゃあ、頼んだわ』

    朋也『ああ』

    朋也(さて…)

    俺は長机のひとつを抱えると、それを盾にして突進していった。
    昨日の水鉄砲遊びの時、ダンボールで防いでいたようにだ。

    『かっ、馬鹿だな。蜂の巣にしてやるよ』

    ばたたたたたっ!

    朋也『うぐ…』

    ミシミシと机が削られていく。
    支える手にも、その振動が伝わってくる。

    ばたたたたっ!

    涼宮からの援護が入り、相手の攻撃の手が休まる。

    朋也(ぐ、うおらっ…)

    飛びかかれる位置までやってくる。

    『ちっ』

    421 = 161 :

    逃げようとするが…

    ばたたたたっ!

    涼宮の援護射撃によって動きが止まる。

    朋也『おらっ』

    ついに組み付くことに成功した。

    『離せ、小僧っ』

    ものすごい力で抵抗される。
    この状態も、長くは持たないだろう。

    朋也『撃てっ! 涼宮っ!』

    涼宮『でも、あんたにも当たるじゃないっ!』

    朋也『いいから、早くしろっ! もう解かれるっ』

    涼宮『わ、わかったわよっ! 恨まないでよねっ!』

    ばたたたたたっ!

    『あだだだっ!』

    朋也『ってぇ!』

    弾を受けながら倒れる俺と敵の男。

    422 = 162 :

    『はぁー…はぁ…』

    重く呼吸にあえぎながらも、フェイスガードと吸気弁を外す。
    俺も寝転がったまま同じように装備を脱いだ。

    「なかなか根性あるじゃねぇか、小僧」

    朋也「あんたも、かなり手ごわかったぜ、オッサン」

    小僧と言われたお返しに、オッサンを強調してやる。

    「かっ、しっかし、この俺様が負けちまうとはな…」

    ポケットからタバコを取り出して、火をつけた。
    そう、戦いは終わったのだ。俺たちの勝利を以って。

    ―――――――――――――――――――――

    「おめぇら、最近のガキにしちゃ、骨があるな」

    「俺たち古河ベーカリーズに勝つなんてよ」

    ベーカリー…パン?

    涼宮「当然じゃない。私たちSOS団は世界最強なのよ」

    涼宮「それを知らしめるために、日夜活動してるの」

    涼宮「今は光坂だけだけど、いずれは全国に支部を置いてやるんだから」

    423 = 161 :

    「ん…おまえら、もしかして、光坂の生徒なのか?」

    涼宮「そうよ」

    「そうか…じゃ、渚の後輩ってことになるのか…」

    渚…?

    朋也(う~ん…)

    誰かがその名を言っていたような…。
    記憶が曖昧で思い出せない。

    「ま、いいや。おら、ご褒美をやる」

    言って、全員にパンを握らせた。

    「うちは古河パンってパン屋をやってるんだが、気が向いたら来い」

    「おまえらなら、全品一割引きの出血大サービスだ」

    出血するどころか、ただのかすり傷だった。
    それに、店の名前だけ言われても、場所がわからない。
    この人には、絶対商才がないと思う。

    「それじゃあな。今日は楽しかったぜ」

    それだけ言うと、背を向けて去っていった。

    涼宮「ふふふ、勝った後はやっぱり気分がいいわね」

    424 = 162 :

    キョン「おまえはノーダメージだから、そりゃ気分もいいだろうよ…いつつ…」

    涼宮「あ…キョン…その、大丈夫?」

    キョン「まぁ、なんとかな…」

    朋也「そういや、おまえ、涼宮を身を挺して守ってたよな」

    キョン「お、おい、岡崎…」

    春原「マジで? 愛だねぇ」

    キョン「違うって…指揮系統をやられるわけにはいかないだろ」

    春原「じゃあ、エースである僕の盾になってくれてもよかったんじゃない?」

    春原「僕も、かなり喰らっちゃって…だいぶ体が痛むからね…骨まで堪えるよ…」

    古泉「僕が居れば、その*だけは守り通して…いや、責め通してあげられたんですけどね」

    古泉「ふぅんもっふっ!!」

    春原「ひぃっ! なんで頭に喰らったのにこんな元気なんだよ、こいつ!?」

    古泉「下半身は無傷ですからね…まっ↓がーれ↑」

    春原「ひぃいっ」

    手負いの春原に好き放題始める古泉。
    思わず目を逸らしたくなるほど陰惨な光景だった。

    425 = 251 :

    やはりアッキーか

    426 = 161 :

    朋也(そういえば…)

    長門有希も、至近距離で古泉のフレンドリーファイアを受けていたはずだが…

    長門「………」

    何事もなかったかのような涼しい顔。
    ………。
    やっぱり、こいつからはなにか得たいの知れない深いものを感じる…

    涼宮「ところで、岡崎。あんた、正式にSOS団に入団してみない?」

    朋也「あん?」

    涼宮「あの金髪はともかく、あんたはなかなか使えそうだからね」

    涼宮「もし、入るんなら、キョンより上の地位に置いてあげるわ」

    キョン「なんでだよ…」

    涼宮「あんたは定年まで平団員で固定なのよ」

    キョン「ああ、そうですか…はぁ…やれやれ…」

    朋也「せっかくだけど、遠慮しとくよ」

    涼宮「なんですって? あたしの誘いを蹴るっていうの?」

    キョン「やめとけ、ハルヒ。こいつは無理に押さえつけてられるようなタマじゃない」

    427 = 162 :

    涼宮「だからこそ欲しいんじゃない」

    キョン「諦めろ。最近は、こいつにも新しい居場所が出来つつあるんだ」

    キョン「それを邪魔するのは、野暮ってもんだろ」

    俺を見て、わずかに笑みを浮かべた。
    それは…やっぱり、軽音部のことを言っているんだろうか。

    涼宮「でも…」

    キョン「いいから、もう帰るぞ」

    言って、その背を優しく押した。

    涼宮「もう…わかったわよ…」

    キョン「長門も、いくぞ」

    長門「………」

    こく、と小さく頷いて歩き出す。

    キョン「じゃあな、岡崎」

    朋也「ああ、じゃあな」

    春原「って、こいつも連れて帰ってくれよっ!」

    古泉「セェカンドレイドッ!!! フンッ!」

    428 = 161 :

    春原「ひぃぃいいっ」

    後ろで悲鳴が上がったが、誰も振り返らなかった。
    俺は、あのオッサンにもらったパンの袋を開けた。
    一口かじってみる。

    朋也(うげ…)

    とてもマズかった。なぜか食感もボリボリしているし…
    捨てようかとも思ったが…食べ物を粗末にするのもよくない。
    道すがら、ジュースでも買って一気に流し込もうと、そう決めた。

    春原「って、助けてくれよっ!」

    ―――――――――――――――――――――

    429 = 162 :

    5/4 火 祝日

    春原「あ……あ…」

    朋也「駄目か…」

    ひっぱたいてみても、つねってみても反応がない。
    こいつは朝からずっとこんな調子だった。
    昨日、銃撃で体を痛めつけられたあげく、古泉には精神を犯されていたので、廃人のようになってしまっていたのだ。

    朋也(そっとしておいてやるか)

    寝転がり、雑誌を開いた。

    ―――――――――――――――――――――

    さすがに暇になり、ひとりで町へ出てきた。
    春原があんな状態では、悪戯してもつまらない。
    雑誌も漫画も、一通り読みつくしてしまっていたし…
    昔のを読み返す気にもならなかった。

    朋也(なにしようかな…)

    ノープランだったので、当然のごとく立ち往生してしまう。
    あまり無駄金は使いたくなかったが、ネットカフェにでも行けば、楽しく暇が潰せるだろうか。

    朋也(でもなぁ…)

    仮に行ったとして、春原の部屋で過ごすのと、やることはそんなに変わりないような気もする。

    430 :

    二度目の追いつき そろそろ俺も寝ようかな >>1は体壊すなよ 
    マイペースでな

    431 = 161 :

    ………。

    朋也(まぁ、物は試し…行ってみるか…)

    俺は繁華街の方へ足を向けた。

    ―――――――――――――――――――――

    朋也(この辺で見たことあるんだけどなぁ…)

    すでに何度か同じ区間で行ったり来たりを繰り返していた。
    用がない時にはすぐ見つかるのだが、探し始めた時に限ってなかなか見つからないのだ。
    なんというんだろう、この現象は。
    誰か偉い学者が名前をつけていてもおかしくはないくらい、ありふれていると思うのだが。

    朋也(もういっか…寮に戻ろう)

    諦めて、踵を返す。
    この辺りは、食事処がずらっと並んでいる。
    どこかに立ち寄ってみるのもいいかもしれない。
    そんなことを思いながら、歩を進める。

    朋也「あれ…」

    「………」

    少し先、秋山の姿が見えた。
    こじゃれたカフェの前で立ち止まっている。
    なにか、きょろきょろと周りを気にしているようだった。
    誰かに目を向けられていることを察すると、すぐ表にあったメニューを熟読し始めていた。

    432 = 162 :

    朋也(なにやってんだろ…)

    俺は近づいていった。

    朋也「よお、なにやってんだ」

    「うわぁっ」

    びくっと体を震わせる。

    「ぽ、岡崎くん…?」

    朋也(ぽ?)

    謎の接頭辞。

    433 :

    ついに追いついた
    俺も寝るかな、>>1頑張ってくれ

    434 = 162 :

    「びっくりしたぁ…」

    朋也「うん、俺も」

    ぽ、にだが。

    「え、岡崎くんも…?」

    朋也「ああ」

    「でも、すごく冷静にみえるんだけど…」

    朋也「いや、こう見えて、すげぇ足にきてるんだ」

    朋也「今ヒザカックンもらったら、呼吸困難に陥るくらいにな」

    435 = 161 :

    「そ、そんなに…」

    朋也「まぁ、それはいいとして…」

    「いいんだ…? 結構、危険な状態だと思うけど…」

    朋也「なにやってたんだ? この店になんかあるのか?」

    逸れかけた話の筋を軌道修正し、本題に入る。

    「うん…私、前からこのお店に来てみたかったんだけどね…」

    「その…初めてだから、気後れしちゃって…なかなか入れなかったんだ」

    朋也「ふぅん。じゃ、誰か誘っくればよかったんじゃないか?」

    「あ…そ、そうか…その手があった…」

    しっかりしているような印象があったが、意外と抜けているところもあるようだ。

    朋也「じゃ、入ってみるか? 俺とでよければだけど」

    「いいの?」

    目を輝かせる。

    朋也「ああ」

    「じゃあ、お願いしようかな…」

    436 = 162 :

    朋也「了解。ま、さっさと入ろうぜ」

    「うんっ」

    ―――――――――――――――――――――

    からんからん。

    ベルの音と共に入店する。
    店内は、白を基調とした清潔感ある内装だった。

    店員「いらっしゃいませ。何名様でしょうか」

    カウンターに近づいていくと、すぐに店員が寄ってきた。

    朋也「ふたりです」

    店員「では、こちらへどうぞ」

    案内されるままついていく。
    日当りのいい、窓際の席に通された。

    店員「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください」

    言って、テーブルから離れていった。

    「ああ、ひとりで入らなくてよかったぁ…私、絶対店員さんに声かけられないよ…」

    朋也「水運んでくるだろうから、その時に言えばひとりでも大丈夫だろ」

    437 = 161 :

    「でも、それまでに頼むもの決めてなきゃいけないでしょ? そう考えたら…お、恐ろしい…」

    「きっと、水だけ飲んで帰ることになって…冷やかしだと思われて…」

    「それで、ブラックリストに載って…出入り禁止になって…」

    「町中のお店にその情報が伝わって…どこにも入れてくれなくなって…」

    「私…私…あわわ…」

    多重債務者のような扱いになっていた。

    朋也「あー…心配するな。俺がちゃんと声かけてやるから」

    「うぅ…かさねがさね、ありがとうございます…」

    涙を流すほどでもないと思うが…。

    朋也(まぁ、とりあえずは…)

    メニューを開く。

    朋也(…なんだこりゃ)

    そこには、みたこともない文字列が所狭しと踊っていた。
    フラペチーノうんらたらマキアートなんたらカプチーノかんたら…
    かろうじて、ラテとモカを聞いたことがある程度だった。
    はっきり言って、ちんぷんかんぷんだ。
    秋山ならわかるだろうか。

    438 = 162 :

    朋也「なぁ、秋山…」

    「………」

    …顔が青ざめている。

    「…ナニ、オカザキクン」

    声がおかしい。

    朋也「いや…メニューがさっぱりわかんなくてさ…」

    「…ウン、ワタシモ」

    やっぱりか…。

    「どどっどどうしよう…」

    ぷるぷると震えだす。

    朋也「落ち着け。なんかうまそうなの、指さして頼めば大丈夫だ」

    「ゆ、ゆゆ指? そ、そんな恥ずかしいよ…もし、田舎者だってことがバレたら…あわわ」

    ここは地元だ。
    だいぶ錯乱しているようだった。

    朋也「じゃあ、適当に俺がおまえの分も頼むってことでいいか?」

    「お、おおお願いしますぅ…」

    439 = 161 :

    緊張の糸が切れたのか、脱力していた。

    朋也(ふぅ…)

    もう一度メニューに目を落とす。
    フードメニューの方は普通に理解できた。
    異常なのはドリンクだけだったようだ。

    朋也(フレンチトーストでいいかな…)

    朋也「食べ物は、どうする?」

    「えっと…チョコレートケーキにしようかな」

    朋也「わかった。んじゃ、店員来たら、一度に頼むな」

    「お願いします…」

    横のスタンドにメニューを立てかける。

    「…あ、そうだ」

    なにやらバッグを漁り、ノートを取り出した。

    「あの、岡崎くん」

    朋也「ん? なんだ」

    「ちょっとみてもらいたいものがあるんだけど…いいかな?」

    440 = 162 :

    朋也「なにを」

    「これなんだけど…」

    ページを開いて、そのノートを差し出してくる。

    朋也「なんだ、これ」

    受け取る。

    「私が書いた詩だよ。感想もらいたくて」

    朋也「俺、詩の良し悪しなんてわかんないぞ」

    「いいよ、思った通りを言ってくれれば。それに、岡崎くんなら、正直に言ってくれそうだしね」

    朋也「はぁ…」

    目を通してみる。

    朋也「………」

    甘ったるい言葉の羅列。意味不明な比喩表現。口に出すのも恥ずかしい言い回し。
    俺にとっては、さっきのドリンクメニュー並にわからない世界だった。

    朋也「あのさ…」

    店員「お冷、どうぞ」

    言いかけた時、店員が水を持ってきてくれた。

    441 = 161 :

    朋也「あ、すみません、注文いいですか」

    店員「はい、どうぞ」

    朋也「これと、これを…」

    メニューを片手に、指でさし示して伝える。
    店員は、腰に下げていたオーダー表を取り出して、そこになにやら書き込んでいた。
    不恰好な注文方法だったが、意思の疎通は滞りなく果たせたようだ。

    朋也「それと、フレンチトーストとチョコレートケーキを」

    店員「はい」

    朋也「以上で」

    店員「お飲み物の方は先にお持ちいたしましょうか?」

    朋也「どっちでもいいです」

    店員「かしこまりました。しばらくお待ちください」

    軽く会釈し、下がっていった。

    朋也「あー…それで、感想だったっけ…」

    「うん」

    俺は水を少し飲んで、一呼吸置いた。

    442 = 162 :

    朋也「なんか、変だな」

    「う…へ、変かぁ…あはは…律にもよくそう言われるんだ…はは…」

    朋也「でも、独特で面白い気もする」

    「ほ、ほんとに?」

    朋也「ああ。もうちょっとみていいか?」

    「う、うん、どうぞ」

    ページをめくってみる。
    ところどころ、走り書きされた単語や、注意点の箇条書きなどがメモされてあった。
    読み進めてみる。文字だけが続いていたと思うと、突如可愛らしい落書きが現れた。
    その付近の字は、やけにへにゃへにゃとしている。
    ネタが思い浮かばず、苦悩した末、落書きに走ったんだろうか。
    なんとなく共感できるところもあり、人の思考の軌跡を辿るのは、意外と面白かった。
    しかし…

    朋也「この、遭難者が日数カウントしてるような記号はなんなんだ?」

    正、という字を書く、あれのことだ。

    朋也「いろんなページにあるけど、どれも三回くらいで終わってるよな」

    「あ、そ、それは…えっと…ダイエットが続いた日数…かな…」

    朋也「そうなのか…」

    443 = 161 :

    確かに、恋愛というよりは、その前段階である片想いの立場で書かれているものばかりだった。

    朋也(なら、好きな奴はいたってことなのかな)

    「でも、やっぱり経験に根ざしてないぶん、私自身、言葉にリアリティがない気がするんだ…」

    コップを置き、そう力なくつぶやいた。

    朋也「いや、好きな奴はいたんだろ? そういう女の子の主観じゃないのか?」

    「ううん、全部想像なんだ。今まではそういう人がいなかったから」

    朋也「今まで? じゃ、今はいるのか」

    「え? あ、いや…気になるっていうか…そんな感じなんだけど」

    444 = 162 :

    つまり、いつも三日ほどで挫折しているということか。
    いや…むしろ、三日坊主を継続しているといえるかもしれない。

    朋也「まぁ、なんていうかさ、思ったんだけど…恋のこと書いてるのが多いよな」

    朋也「やっぱ、おまえくらいだと、恋愛経験豊富だったりするんだな」

    「そ、そんなことないよ…私、一度も男の子と付き合ったことなんてないし」

    朋也「マジ? 意外だな…」

    「い、いや、私なんて別に…」

    謙虚に返した後、気を紛らわすようにして水を口にする秋山。
    俺はノートを読み返してみた。
    確かに、恋愛というよりは、その前段階である片想いの立場で書かれているものばかりだった。

    朋也(なら、好きな奴はいたってことなのかな)

    「でも、やっぱり経験に根ざしてないぶん、私自身、言葉にリアリティがない気がするんだ…」

    コップを置き、そう力なくつぶやいた。

    朋也「いや、好きな奴はいたんだろ? そういう女の子の主観じゃないのか?」

    「ううん、全部想像なんだ。今まではそういう人がいなかったから」

    朋也「今まで? じゃ、今はいるのか」

    「え? あ、いや…気になるっていうか…そんな感じなんだけど」

    445 = 161 :

    朋也「ふぅん、なら、その気持ちはけっこう恋に近いんじゃないのか」

    「そ、そうかな…」

    朋也「ああ、多分な。俺も別に恋愛経験豊富ってわけじゃないからなんともいえないけどさ…」

    朋也「少なくとも、他の男よりかは、一緒に居たいって思ったりするんだろ?」

    「うん…そうだね」

    朋也「試しに告ってみたらどうだ。付き合ってみれば、恋愛の詩だって書けるようになるだろうし」

    「ええ!? む、無理、絶対…」

    朋也「大丈夫だって。おまえの告白を断る男なんて、ホモ野郎ぐらいだからさ」

    「えぇ…じ、じゃあ…もし、岡崎くんに告白したら、受けてくれるの…?」

    朋也「俺? まぁ、そうだな。できるならそうしたいけど…」

    朋也「おまえにはもっと相応しい奴がいるだろうし…俺にはもったいないからな」

    朋也「そういう意味で、受け流すかな」

    「そんな…相応しいとか、相応しくないとか、自分で決めないでよ、岡崎くん」

    朋也「いや、俺なんて、なんの将来性もなくて…ずっと同じ場所に留まってるだけの奴なんだぜ」

    朋也「どう考えても、おまえとは釣り合わない。つーか、俺が心苦しいよ」

    446 = 162 :

    「でも…」

    朋也「ま、こんな配慮、おまえが知り合いだからするんだけどな」

    朋也「もし、なにも知らない状態で告白されてたら、間違いなく受けてたよ」

    その時は、可愛い子とつき合えてラッキー、くらいにしか思わないだろう。
    そして、徐々に価値観の違い、目指すべき場所の違いから、溝が大きくなっていって…
    最後には、破局してしまうのだ。それは、容易に予想しえたことだった。

    「………」

    朋也「な? それで納得してくれ」

    「…できないよ」

    朋也「え?」

    「あ、私とつき合えないことを言ってるんじゃないよ?」

    「それは、岡崎くんが決めることだから、いいんだけど…」

    「ただ、岡崎くんが自分を卑下してるのが、その…すごく嫌なんだ」

    「私、岡崎くんは素敵な男の子だと思ってるから」

    「優しくて、おもしろくて、頼り甲斐があって…」

    「そんな岡崎くんだから、私も普通に話せてるんだと思う」

    447 = 161 :

    「今まで、恥ずかしがってばっかりで、まともに男の子と話せなかった私が、だよ」

    「それは、きっと、すごいことなんだよ。だから、岡崎くんにはもっと自信を持って欲しい」

    諭すように、俺の目をじっと見つめたままで、ゆっくりと、でも力強く言った。
    真摯な姿勢が、挙動やその言葉の節々から汲み取れた。
    単なる慰めじゃなく、腹の底から出た本音だということが、すぐにわかる。

    朋也「…そっか。ありがとな。頭の隅に置いておくよ、おまえの言葉」

    だからこそ、俺も素直になれた。
    同じように、思ったことをそのまま返していた。

    「うんっ」

    まばゆい笑顔。
    それは、男なら誰でもはっとしてしまうであろうくらいに魅力的だった。

    店員「お待たせしました」

    店員がやってきて、トーストとケーキ、同じタイミングで、ドリンクを俺たちの前に並べた。

    店員「ごゆっくりどうぞ」

    言って、俺たちの席を離れ、また店の中をせわしく動き回っていた。

    「あ、おいしそう」

    朋也「でも、部室で出てくる奴よりは、貧相だな」

    448 = 162 :

    「それは、持ってきてくれてるのがムギだからしょうがないよ」

    「貰い物っていっても、それをくれる人たちが、大企業の社長さんだったりするみたいだから」

    朋也「え、あれって貰い物だったのか」

    「うん、そうらしいよ」

    朋也「へぇ…」

    なら、お歳暮なんかはどうなっているんだろうか…。
    俺には到底想像が及ばない領域で贈答が行われているに違いない。

    「でも、これはこれでいいと思うな、私は」

    フォークで一口サイズに切って、口に運ぶ。

    「おいひぃ~」

    頬に手を添え、幸せそうにもぐもぐとかみ締めていた。

    朋也(俺も食うか…)

    とりあえずはドリンクから手をつけることにした。
    カップからは湯気が立っている。ホットを注文していたようだ。
    一口飲んでみる。若干ミルクが多かったが、甘すぎず、丁度良い加減だった。
    ランダムに選んだのだが、当たりを引けたようだった。

    ―――――――――――――――――――――

    449 = 350 :

    >>1はおよそ18時間連続書き込みか…無理するなよ

    450 = 161 :

    「ありがとね、岡崎くん」

    朋也「いや、別に。俺も暇が潰せてよかったよ」

    「そっか。じゃ、おあいこだね」

    朋也「だな」

    「ふふ…それじゃあ、また」

    朋也「ああ、じゃあな」

    その背を見送る。
    角を曲がったところで、俺も身を翻して歩き出す。
    向かう先は、もちろん春原の部屋。
    あいつはもう、意識を取り戻しているだろうか。
    もし、まだ臥せっているなら、また暇になってしまう。
    最悪の事態に備えて、途中で雑誌でも買っていこう…そう決めた。

    朋也(ふぅ…)


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