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    元スレ朋也「軽音部? うんたん?」2

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×4
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    353 :

    下手するとトイレに行く暇すらないんじゃないか?

    354 :

    やっと追いついた!
    >>1凄すぎ!!

    355 = 161 :

    うんこなう

    357 :

    休憩入ったのか
    まぁここまでやって休憩とがめる奴いないからゆっくり出してこいwwww

    358 = 250 :

    >>355
    トイレに持ち込むなwwwww

    359 :

    なんつーか
    もげろ

    360 = 353 :

    初めて喋ったと思ったらwwwwww

    361 :

    今125だがきっついぜこれ

    362 :

    さっさとしろカス

    363 = 231 :

    すげぇなこれw

    でも卒業するまでの話を書くら、ぜひ製作速報で腰をすえてやってほしいな。
    ここじゃ、スレ落ちの恐れがあって休めないだろ・・・

    364 :

    >>1は休んだ方がいい
    ずっとレスしっぱなしじゃねえか

    365 = 162 :

    朋也(俺も一個買うか…安いし…)

    一つ手にとって、琴吹の後を追った。

    ―――――――――――――――――――――

    「えいっ!」

    ピュピュッ

    発射された水が勢いを失って地面に染みていく。

    「撃った時に手ごたえを感じるわ…これが武器を扱うことの重みなのね…」

    朋也「いや、単純に水を押し出してる抵抗だからな」

    言って、俺も発射する。
    特に意味はなかったので、適当なところを狙っていた。

    朋也「やっぱ、マトがないと盛り上がらないな」

    朋也「なんか、手ごろなもんがないか…」

    びしゃっ

    朋也「ぷぇっ」

    水が口に入り込んでくる。

    「あ、ごめんなさい、威嚇射撃のつもりだったんだけど…」

    366 = 161 :

    朋也「おまえな…」

    びしゃっ

    「きゃっ」

    お返しとばかりに、俺も撃ち返す。

    「…えいっ」

    びしゃっ

    朋也「うわっ」

    さらに撃ち返された。

    朋也「………」

    「………」

    さささっ!

    同時に距離を取る。
    それは、お互いが銃撃戦の開幕を了承したことを意味していた。
    琴吹は俺に発砲しながら草むらに向かって行く。
    俺は水道のコンクリ部分に身を隠してそれを避けた。
    顔だけを出して、琴吹を確認する。

    朋也(いない…?)

    367 :

    あんまり頑張られるとAAで荒らしたくなっちゃうよぉ・・・ふえぇ

    368 = 162 :

    その時、上から落ち葉が大量に降ってきた。

    朋也(ちぃっ)

    ごろごろと転がってその場から離れる。

    朋也(奇襲か…やるな、琴吹)

    振り返ると、琴吹が水道で弾を補充していた。

    朋也(喰らえっ)

    ぴゅぴゅぴゅっ

    三連射。
    が、水道の影に隠れられてしまう。

    朋也(ちっ、残弾が少ない…)

    補給が必要だが、琴吹が陣取っていて近づけない。

    朋也(どうする…?)

    朋也(ん…?)

    ダンボールが落ちていた。
    これを盾に進めば、あるいは…

    朋也(よし…)

    369 = 161 :

    体を覆い隠しながら突進する。
    足音に気づいた琴吹が顔を出してきた。

    「!」

    驚いているようだ。必死にヘッドショットを狙ってくる。
    が、すべて外れていた。
    そうこうしているうちに、琴吹の目の前までやってくる。

    朋也「終わりだぜ、琴吹」

    ぴゅっぴゅっ

    「きゃっ」

    胸の辺りに二発入った。

    「卑怯よ、岡崎くん…」

    朋也「防弾チョッキだったと思って、許してくれ」

    へたり込んでいる琴吹に手を差し伸べる。

    「ん…」

    その手を取って、立ち上がる。

    「濡れちゃった…」

    服がぺたぺたと肌に吸い付いていた。

    370 = 162 :

    被弾箇所は胸。つまり…はっきりと形がわかってしまっていた。
    いや、それはブラの形なのかもしれないが…正直、たまらない。

    「もう一度、水を満タンにしてやり直しましょっ」

    朋也「あ、ああ…」

    まだ続行する気なら、どんどん胸に当てていけば、いずれは…

    朋也(って、俺は春原かよ…)

    しかし…

    朋也(遊びの中で起きたことなら、不可抗力だよな…)

    ………。
    やってやるぜ…。

    ―――――――――――――――――――――

    「あ~っ、おもしろかったぁ」

    息も切れてきたので、一度休憩を入れていた。
    髪も服も、だいぶ水気を含んでしまっている。

    「水鉄砲って、楽しいのね」

    朋也「ああ、だな」

    俺も途中から邪な考えは消え、童心に帰って純粋に楽しんでしまっていた。

    371 = 161 :

    そうできたのも、きっと、琴吹の遊びに対する純真な姿勢につられてしまったからだろう。

    朋也(ほんと、いい顔してたもんな…)

    朋也(ん…?)

    子供「………」

    俺たちの腰掛けるベンチの手前、じっと見上げてくる男の子が四人。
    小学校低学年くらいだろうか。

    「なぁに? どうしたの?」

    子供「………」

    誰も何も言わず、無言で見つめてくる。

    「これ?」

    水鉄砲を差し出す。
    すると、一人がこくりと小さく頷いた。

    「欲しいの?」

    また、頷く。

    「じゃあ、ちょっと待っててね」

    子供たちに言って、俺に顔を向ける。

    372 = 162 :

    「岡崎くん、私、さっきのおもちゃ屋さんに行ってくるね」

    朋也「こいつらの水鉄砲買いにか?」

    「うん」

    朋也「じゃ、俺もいくよ。2個ずつ買ってやろう」

    「あ、さすが岡崎くんねっ。ふとっぱら」

    朋也「おまえもな」

    ―――――――――――――――――――――

    おもちゃ屋で人数分購入してくると、全員に分け与えた。
    子供たちは、礼の言葉を言うと、嬉しそうに水鉄砲を手の中に収めていた。

    「ふふ、かわいい」

    朋也「まぁ、今時のガキにしちゃ、可愛げがある方かもな」

    こんな水鉄砲なんかで喜ぶのは、かなりの希少種なんじゃないだろうか。
    今は高性能な携帯ゲーム機など、おもしろい娯楽で溢れかえっているのだ。
    そっちに傾倒しているのが普通だろう。

    朋也(ま、俺も言えた義理じゃないか…)

    俺も小学校高学年頃からは、遊びといえば、友人の家に入り浸ってひたすらゲームだった気がする。
    いつからか、自然とこういう遊びはやめてしまっていた。

    373 = 161 :

    子供1「あの…」

    「ん? なに?」

    子供1「お姉ちゃんたちも、一緒にやらない? 水鉄砲」

    子供2「やったほうがいいし」

    子供3「やろうよ」

    子供4「う○こ」

    一人だけ異端なことを口走っていたが、遊びのお誘いだった。

    「いいの?」

    子供1「うん、もちろん」

    子供2「だから言ってるし」

    子供3「おまえ口調キツイだろ」

    子供4「ち○こ」

    「じゃあ、一緒に遊びましょっか。岡崎くんも、ね?」

    朋也「ああ、いいけど」

    子供1「やったぁ」

    374 = 162 :

    子供2「当然だし」

    子供3「おまえ傲慢すぎるぞ」

    子供4「うん○こ」

    無邪気にはしゃぎ出すガキども。変わった連中だった。
    見ず知らずの俺たちに近づいてきたかと思えば、おもちゃをねだってみたり…果ては遊びに誘うなんて。
    一人、頑なに下ネタしか言わない奴もいるし…とりあず、退屈だけはしないで済みそうだった。

    ―――――――――――――――――――――

    二チームに別れ、公園の端と端にそれぞれの陣営を敷いた。
    場についてから5分後に状況開始の取り決めだった。
    俺は腕時計を見た。

    朋也「よし、時間だ。いくぞ」

    子供1「はい」

    子供4「ちん○こ」

    俺が前衛を張り、ガキふたりを後衛に据え、突撃していく。

    子供2「ファイアインザホォルだしっ!」

    掛け声と共に向こうから何かが投擲された。ちょうど俺の足元に落ちてくる。
    直後…

    ぱんぱんぱぱんっ!

    375 = 161 :

    朋也「おわっ」

    激しい火花が散る。爆竹だった。

    子供1「うわぁああっ」

    子供4「ひぃぃいうん○ちん○ぉおっ」

    ぴゅぴゅぴゅっ

    混乱して俺を撃ち始めていた。

    朋也「ちょ、おい、やめろ…」

    子供2「死ねし」

    子供3「おまえ暴言吐きすぎ」

    ぴゅぴゅぴゅっ

    敵からも攻撃を受ける。
    もはや俺一人が袋叩きにされている状態だった。

    朋也「だぁーっ、くそ、このクソガキどもっ、喰らえ、こらっ」

    俺も反撃する。

    子供1「うわぁ、僕は味方ですよぉ」

    朋也「知るかっ! おまえが先に撃ってきたんだっ」

    376 = 162 :

    子供1「そんな…うわっ」

    顔に水がかかる。

    子供3「よそ見だし。おまえ死ぬし」

    子供1「てめぇっ!」

    敵味方入り混じり、ドッチボールで言うめちゃぶつけの様相を呈していた。

    「くすくす」

    琴吹はそんな俺たちを喧騒の外から眺め、終始笑っていた。

    ―――――――――――――――――――――

    朋也「はぁ…」

    びしょびしょになった体をべちゃっと荒くベンチに預ける。

    「おつかれさま」

    隣で琴吹がねぎらいの言葉をかけてくれる。
    俺とは反対に、もう服は乾ききっていた。

    「楽しそうだったね、岡崎くん」

    朋也「ああ…年甲斐もなくはしゃいじまった」

    「くすくす…なんか、可愛かった。大きな子供みたいで」

    377 = 161 :

    朋也「あ、そ…」

    ガキどもはすでに家路についていた。
    帰り際、俺たちの水鉄砲をくれてやると、二丁拳銃だなんだと、また騒ぎ出していたが。

    「あ…」

    朋也「ん…」

    琴吹のバッグから携帯の着信音。

    「ごめん、ちょっと出るね」

    朋也「ああ」

    「えっと…」

    携帯を取り出し、ディスプレイを見て、相手を確認している。

    「………」

    一瞬、表情を曇らせると、ためらいがちに通話を始めた。
    最初は、黙ったまま相手の話を聞いていた。
    そして、次第にぽつぽつと返事を返すようになったところで電話を切った。

    「………」

    浮かない顔。

    朋也「あー…もしかして、親御さん?」

    378 = 162 :

    「うん…」

    朋也「で…なんだって?」

    「話し合いたいから、帰ってきてほしい、って…」

    「アルバイトのことも謝りたいし、イタリアにも、夜の便で出るから、って…」

    朋也「そっか。そりゃ、よかったじゃん。仲直りってことだな」

    「そう…だね」

    朋也「なら、もう帰らなきゃだな」

    「うん…」

    朋也「俺、送ってくよ」

    「ありがとう、岡崎くん」

    朋也「ああ、別に」

    立ち上がる。

    朋也「じゃ、いこうか」

    「うん」

    ―――――――――――――――――――――

    379 = 161 :

    琴吹は、この町へは電車で来ているらしく、俺が送ってあげられるのも、駅までだった。
    実家は隣町の方にあるらしい。

    「今日は本当にありがとうね。すごく楽しかったわ」

    朋也「俺の方こそ。おまえといられてよかったよ。ありがとな」

    「ふふ、どういたしまして」

    冗談めかしたように言う。

    「でも、なんだか寂しいね…これで、恋人同士が終わっちゃうなんて」

    朋也「じゃ、最後にキスするか」

    「え…えぇ!?」

    慌てふためく琴吹。
    初めてみるその動揺っぷりに、顔が緩むのを抑えられなかった。
    そして、冗談だと、そう言おうとした時…

    「…うん。しましょうか…」

    朋也「え?」

    「………」

    目を瞑って、顔を上げる。
    緊張しているのか、頬を赤くして、その太めの眉がへの字になっていた。

    380 = 162 :

    朋也(どうするんだよ…俺)

    ごくりと生唾を飲み込む。
    このままいってしまえば、なし崩し的に付き合うことになったりするんだろうか。
    ………。
    でも、それは…

    朋也(違うよな…)

    こんな、その場の雰囲気に流されて始まった関係なんか、絶対長続きしない。
    なにより、俺は…

    朋也(って、なんで平沢の顔が出てくんだよ…)

    朋也(ったく…)

    俺は頭を振った。
    そして、琴吹を見据える。
    その頭に手を置いた。

    朋也「それは、ほんとの彼氏ができた時のためにとっとけよ」

    ぽんぽん、と優しく触れる。

    「ん…」

    ゆっくりと目を開ける琴吹。

    「…あ…あはは…ご、ごめんなさい、私ったら…真に受けちゃって…」

    381 :

    >>1
    すげーな、とりあえず体壊さないようにな

    382 = 161 :

    わたわたと、手の先を絡ませて弄ぶ。

    朋也「まぁ、でも、俺も、かなりどきっとしたよ」

    「そ、そう?」

    朋也「ああ。だって、気づかれないように、つむじに5回くらいキスしてたんだぜ、俺」

    「え…ほ、ほんとに?」

    頭頂部をさする。

    朋也「まぁ、作り話だけど」

    「もう…」

    ぷっと吹き出す。

    朋也「それじゃな」

    「うん、またね」

    笑顔で別れの挨拶を交わした。
    最後に、琴吹の恥らう乙女な姿を見ることができてよかった…歩きながら思う。
    あのワンシーンのために、今日一日があったと言っても過言ではないかもしれない。

    ―――――――――――――――――――――

    383 = 162 :

    5/3 月 祝日

    春原「なぁ、岡崎…」

    朋也「なんだよ」

    雑誌を読みながら応答する。

    春原「ゴールデンウィークだぞ」

    朋也「知ってるよ」

    春原「じゃあさ、なんかゴールデンなことしようぜっ」

    春原「こんなとこでうだうだやってたらもったいねぇよ」

    朋也「そうだな、こんな薄汚い部屋なんか、一刻も早く出て行きたいもんな」

    春原「そこまでは言ってないだろっ!」

    朋也「で、ゴールデンなことって、なんだよ」

    春原「そうだなぁ…やっぱ、黄金にちなんだことがいいよね」

    春原「埋蔵金掘りに、町に繰り出したりとかさっ」

    朋也「どこ掘るつもりなんだよ…」

    春原「そりゃ、やっぱ、金脈がありそうなとこだよ」

    384 = 361 :

    おいついた…
    頑張りすぎだろ>>1

    385 = 161 :

    春原「銀行の近くとか、案外よさそうな感じじゃない?」

    春原「もしなくても、金庫まで掘り進めば、僕ら大金持ちだぜ?」

    朋也「ただの強盗だからな…」

    朋也「つーか、金脈って、金の鉱脈のことだぞ。埋蔵金とは関係ない」

    春原「あん? そうなの? ま、どうでもいいけど」

    朋也「じゃ、言うな」

    春原「それよか、おまえはなんかないの」

    朋也「ない」

    春原「んだよ、素っ気ねぇなぁ…きのうも、なかなか来なかったしさ…」

    春原「なにやってたんだよ」

    朋也「なんでもいいだろ、別に」

    こいつにだけは話したくなかった。
    泣き喚かれたりでもしたら面倒だ。

    春原「よくねぇよっ! おまえがこなきゃ、僕がひとりになるだろっ」 

    春原「きのうは、ずっと貧乏ゆすりでビート刻んでるしかなかったんだからなっ」

    朋也「知らねぇよ…」

    386 = 162 :

    春原「今日こそは僕と同じ時を過ごしてもらうからなっ!」

    朋也「気持ちの悪い言い回しをするな」

    春原「だからさぁ、どっか行こうぜ」

    朋也「その案が浮かばないからここにいるんだろ」

    春原「そうだけどさぁ…」

    朋也「大人しく漫画でも読んどけ」

    春原「結局それしかないのかよ…あーあ、つまんね…」

    コタツの向こう側、春原はばたりと床に倒れこみ、俺の視界から消えた。
    ふて寝でもするのかと思ったが、寝転がったままぶつぶつと不満を漏らし続けていた。

    春原「なんかおもしろいことないの、岡崎」

    朋也(うるせぇな…)

    春原「聞いてる?」

    朋也「ねぇっての」

    春原「なんだよ、つまんねぇ奴だなぁ…」

    俺は無視して雑誌を読み続けた。

    ―――――――――――――――――――――

    387 = 161 :

    春原「なんか、家族連れが多いねぇ」

    朋也「まぁ、大型連休の只中だからな」

    町の中、行き交う人たちを品定めするように眺める俺たち。
    外出を決めたのは、こいつの愚痴にいい加減耳が耐えられなくなったからだった。

    春原「にしても…なかなかヒットしないなぁ…」

    春原「岡崎、おまえも可愛い娘見つけたら教えてくれよ」

    朋也「ひとりで探せよ」

    こいつのナンパの片棒なんて担ぎたくもない。

    春原「遠慮すんなって。おまえの好みの娘がいたら、ばっちり協力してやるからさ」

    朋也「って、なんだ、俺もやんのかよ」

    春原「そりゃ、そうでしょ。なんのためにここまで出てきてんだよ」

    朋也「暇つぶしだけど」

    春原「僕が女の子ひっかけちゃったら、おまえ、暇になるじゃん」

    朋也「まぁ、そうだけどさ…」

    春原「な? だからさ、ふたり以上で固まってる女の子たち狙って、協力して落とそうぜ」

    朋也「落とすって、んな簡単に言うけどな、失敗すりゃただのピエロだぞ。恥かくリスクが高すぎる」

    388 = 162 :

    春原「大丈夫だって。その辺は僕に任せとけよ。巧みな話術で瞬殺してやるからさ」

    春原「それに、おまえも女ウケいいツラしてるし、成功率は高いって」

    朋也「おまえのトークセンス頼みってところに不安を覚えるんだけどな」

    春原「僕を信じろっ! かなりの場数を踏んできた百戦錬磨の手錬なんだぞっ」

    朋也「勝率は?」

    春原「え゛? ははっ、そりゃ、ぎりぎり判定負けする時もあったさ」

    要するに一度も成功したことがないんだろう。

    朋也「つーか、おまえ、琴吹はいいのかよ」

    春原「ん? それはそれ、これはこれだよ」

    朋也「あ、そ」

    朋也(はぁ…)

    他にやることがあるわけでもなし…ひとりでいるよりはマシかもしれない。

    ―――――――――――――――――――――

    春原「あーあ、なかなかいい娘みつかんないなぁ…」

    朋也「お、あの娘なんかいいんじゃないか」

    389 = 161 :

    春原「え、どこ?」

    俺の指さすその先を凝視する春原。

    春原「って、なんだよ、ガキじゃん」

    朋也「ちょうど親子でそろってるしさ、娘さんを僕にくださいっ、ってやってこいよ」

    春原「もうそれ、路上で結納してるだろっ! ナンパしにきてんの、ナンパっ」

    朋也「結婚を前提にだろ?」

    春原「結婚を前提にナンパって、どんな奴だよっ! 重すぎるだろっ」

    朋也「けっこう切羽詰ってそうだったから、そう見えたんだよ」

    春原「んながっついてねぇよっ。ったく…もっと真面目にやれよ」

    真面目にナンパするのもどうかと思うが。

    朋也「わかったよ」

    春原「頼むぞ、ほんとに…」

    朋也「お、早速みつけたぞ」

    春原「どこ?」

    朋也「ほら、あそこ」

    390 = 162 :

    春原「って、今度はバァさんかよっ!」

    朋也「なんだよ、不満か?」

    春原「当たり前だろっ!」

    朋也「おまえのストライクゾーンがわからん」

    春原「せめて、娘って呼べる年齢層に絞ってくれっ」

    朋也「そっか。そうだったな。おまえ、ロリコンだもんな」

    春原「どんだけ下を想定してんだよっ!?」

    春原「ああっもう、おまえが想像する僕の好みじゃなくて、おまえ自身の好みで探してくれっ」

    春原「そっちのが間違いなさそうだからな…」

    朋也「わぁったよ」

    春原「今度こそ頼むぞ…ん?」

    人混みに目を向けて、そこで固まる。

    春原「おい、岡崎、みてみろよ、あの二人組」

    朋也「あん?」

    春原が示した先に顔を向ける。
    ひとりは、背が小さめで髪がショート。小動物のような雰囲気を持っていた。

    391 = 161 :

    もうひとりは、黄色いカチューシャとリボンが印象的だった。顔立ちはかなり整っている。

    春原「かわいくない?」

    朋也「ああ、まぁな」

    春原「決まりだね。いくぞ、岡崎っ」

    ―――――――――――――――――――――

    春原「ねぇ、君たち、今、暇?」

    進路を塞ぐように相手の正面に立ち、あげくボディタッチまでしていた。

    女>1「………」

    女>2「………」

    春原「よかったらさ、僕らと遊ばない? 楽しいことしまくろうよ」

    春原「朝まで、あ~んなことや、こ~んなことしてさっ、げへへ」

    下ネタの追撃。最悪な第一印象を、これでもかというくらいにねじこんでいた。

    女>1「あんたたち…春原と、岡崎じゃない?」

    カチューシャをした、気の強そうな女がそう返してきた。

    春原「うん? そうだけど…なに? 僕らって、そんなに有名なの?」

    392 = 162 :

    女>1「うちの学校じゃ、悪名の高さで知れ渡ってるわね」

    春原「あ、君も光坂なんだ? へぇ、知らなかったなぁ、こんな可愛い子がいたなんて」

    春原「名前、なんていうの?」

    女>1「涼宮」

    朋也(ん?)

    どこかで聞いたような…

    春原「え? って、もしかして…キョンが入ってる部活の、部長さん?」

    朋也(ああ、そういえば…)

    あいつの所属する部活動の話になった時、その名が出てきたことを思い出した。

    涼宮「そうよ」

    春原「へぇ、美人だって聞いてたけど、ほんとだったんだ」

    春原「でも、残念だなぁ。もうキョンっていう彼氏がいるもんね」

    春原「さすがに友達の彼女は寝取れないからなぁ」

    涼宮「キョンとは付き合ってないわ。誤解しないで」

    春原「まぁたまた~、みんな言ってるよ」

    393 = 161 :

    涼宮「それはただの、何も知らない外野の意見よ。信憑性なんかゼロに等しいわ」

    涼宮「そんなことより、あんたたち、今日一日、SOS団の臨時団員として働きなさい」

    春原「へ? どういうこと?」

    涼宮「私たち、6対6のサバイバルゲームに挑むためのリザーバーを探していたところなの」

    涼宮「こっちは4人しかいないから、あとふたり必要だったのよ」

    涼宮「そこへ、丁度あんたたちが現れたってわけ」

    春原「ふぅん…サバイバルゲームねぇ…なんか、おもしろそうじゃん」

    朋也「そうか?」

    春原「おまえも、やるよな?」

    朋也「いや、俺は…」

    涼宮「拒否権はないわ。バスケだかなんだかで、キョンを貸してあげたことあったでしょう」

    まるで備品のように言う。

    涼宮「あの時の貸しは、ここできっちりと清算してもらうわ」

    断ることを許さない、意志のこもった瞳。

    朋也「…ああ、わかったよ。借りは返さなきゃいけないよな」

    394 = 162 :

    涼宮「殊勝な心がけね。ま、当然だけど」

    強引な女だ。あいつの気苦労も、こいつからきているんだろうな…きっと。

    ―――――――――――――――――――――

    涼宮「あ、来た」

    向かいの通りから、キョンと、長身で細身の男が一緒に駆けてきた。

    涼宮「遅いわよっ、キョン、古泉くん。呼んだらすぐに来なさい」

    「すみません、走って来たんですが…気合が足りなかったみたいですね」

    キョン「いや、遅くはないだろ、全然早…って、あれ…」

    春原「よう、キョン」

    朋也「よお」

    キョン「春原に、岡崎…え、もしかして、おまえらか? サバゲーの補充要員って…」

    涼宮「その通りよ」

    涼宮が答える。

    キョン「マジでか…」

    涼宮「大マジよ。これで参加人数を満たせたわ」

    395 = 161 :

    好戦的な口調で言う。
    早く戦いたくてうずうずしているようだった。

    涼宮「さて、キョンは面識あるからいいとして…古泉くん、有希。一応自己紹介しときなさい」

    涼宮「これからチームで戦うことになるんだからね。こういう形式的なことも大事よ」

    「そうですね。では、僕から…」

    一歩前に出る。

    「古泉一樹です。以後お見知りおきを」

    笑顔を作り、さわやかに言ってみせた。
    さらさらの長髪で、いかにもモテそうな美男子といった容姿をしている。

    古泉「直接お会いするのは初めてですが…僕の方は、あなたたちのことは、以前から存じてます」

    丁寧口調のまま続ける。

    春原「あん? そうなの?」

    古泉「ええ、あなたたちコンビは、その筋の人間には人気が…」

    「…それ以上喋るな」

    古泉「んっふ、これは手厳しい」

    「………」

    396 = 162 :

    涼宮と一緒にいた女。
    おとなしそうだが、意外と毒を吐く奴なんだろうか…

    「…長門有希」

    こちらを見て、その一言だけをぽつりと漏らした。

    朋也「岡崎朋也」

    春原「春原陽平」

    俺たちも名前だけ伝えた。
    なんとも事務的な自己紹介だった。

    涼宮「じゃ、親交も深まったことだし、行くわよっ」

    多分、なにも関係に変化はなかっただろう。

    ―――――――――――――――――――――

    キョン「しっかし…まさか、おまえらを連れてくるとはな…予想外だったよ」

    春原「おう、よろしくな、キョン」

    涼宮の後に続き、現地へと向かう俺たち一向。

    朋也「つーか、おまえらって、サバゲー愛好会かなんかなのか」

    キョン「いや、そういうわけじゃないんだけどな…たまたまだよ」

    397 = 161 :

    キョン「俺たち、休みの日は市街探索…ああ、まぁ…町の中をぶらついたりしてるんだけどさ…」

    キョン「きのう、その途中で、ある男に絡まれたんだ」

    キョン「その時に、サバゲーの話を持ちかけられて、うちの団長様が乗っちまったんだ」

    朋也「ふぅん…そうなのか」

    しかし、いきなりサバゲーに誘ってくるなんて、どんな男なんだろう…
    ミリタリーな趣味を持った、アブナイ奴なのか…

    春原「でもさ、涼宮…ハルヒちゃんだっけ? 初めてみたけど、可愛いよね」

    春原「おまえも、けっこうやるじゃん」

    キョン「なにをどうやるのかわからん」

    春原「はっ、とぼけん…うわっ」

    ばっとケツを抑える春原。

    春原「な、なにすんだよっ」

    古泉「おっと、失礼。手が空中で派手にスリップしてしまいました」

    春原「な、なに言って…」

    古泉「事故ですよ、事・故。んっふ」

    春原「………」

    398 = 162 :

    ぎこちなく俺たちに振り返る。

    春原「なんか、気色悪いんだけど、こいつ…」

    キョン「そういう奴なんだ。自分の身は自分で守ってくれ」

    春原「…ははっ、どういう意味なのかなぁ」

    朋也「…さぁな」

    できるだけ考えたくない…なにも考えないようにしよう…。

    ―――――――――――――――――――――

    涼宮「着いたわ」

    広い敷地の中に木造の建物がひとつ、ぽつんと佇んでいた。
    誰の記憶からも忘れ去られたかのように、老朽化が進んでいる。

    涼宮「ここで待ち合わせることになってたはずんなんだけど…」

    腕時計を見る。

    涼宮「時間は合ってるわね…」

    「おう、お嬢ちゃん。逃げずにやってきたか」

    どこからともなく、ガラの悪そうな男が現れた。
    タッパがあり、威圧感もそれ相応にあった。

    399 = 161 :

    年の頃は、30前後だろうか。
    それにしては、悪戯っ子のように目がギラギラしていた。

    涼宮「当たり前じゃない。こんな面白そうなイベント、あたしがすっぽかすわけないわ」

    「ふん、そうかい。威勢のいいこった」

    「こっちの準備は大体できてるからな。あとはおまえらを待つだけだ」

    「装備は向こうの小屋に一式揃えてある」

    ここからそう遠くない場所に、物置のような小さい小屋があった。

    「一四○○(いちよんまるまる)時にゲーム開始だ」

    「俺たちは裏口から、おまえらは正面からあの建物に突入する」

    木造の建物を指さす。

    「それでいいな?」

    涼宮「ええ、わかったわ」

    「せいぜい俺様を楽しませてくれよ」

    不敵な笑みを見せ、奥に消えていった。

    涼宮「みんな、気合いれていくわよっ」

    興奮した面持ちで小屋にずんずんと歩いていく。

    400 = 162 :

    俺たちもそれに続いた。

    ―――――――――――――――――――――

    春原「うわ、かっけぇ…」

    小屋の中にあったのは、プロテクトアーマーのような重装甲と、マシンガンだった。
    ディテールに凝っていて、とてもおもちゃとは思えない。

    朋也(お…建物の見取り図まである…)

    朋也(やけに本格的だな…まさか、銃も本物ってことはないだろうな…)

    ………。

    朋也(はっ…まさかな…)

    長門「…弾はゴム弾。ギアの上からでも被弾すれば、肉体的な痛みは相当のものだと予想される」

    長門「気をつけたほうがいい」

    長門有希が装備を身につけながら、淡々と言った。

    長門「いかなる状況であれ、撃たれるよりは撃つべき」

    涼宮「いいこと言うじゃない、有希。そうよ、攻撃は最大の防御なんだからね」

    涼宮「さっさと全滅させちゃいましょ」

    キョン「また、物騒なことを…つーか、危ないんじゃないのか、このゲーム」


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